1936年ねんベルリンオリンピック

1936年ねんベルリンオリンピック（1936ねんベルリンオリンピック）は、1936年ねん8月がつ1日にちから8月がつ16日にちまで、ドイツのベルリンで行おこなわれた第だい11回かいオリンピック競技きょうぎ大会たいかい。ベルリン1936（Berlin 1936）と呼称こしょうされる。

1936年ねんベルリンオリンピック
第だい11回かいオリンピック競技きょうぎ大会たいかい Jeux de la XIe olympiade Games of the XI Olympiad Spiele der XI. Olympiade
開催かいさい国こく・都市とし	ドイツ国こく ベルリン
参加さんか国こく・地域ちいき数すう	49
参加さんか人数にんずう	4,066人にん（男子だんし3,738人にん、女子じょし328人にん）
競技きょうぎ種目しゅもく数すう	21競技きょうぎ129種目しゅもく
開会かいかい式しき	1936年ねん8月がつ1日にち
閉会へいかい式しき	1936年ねん8月がつ16日にち
開会かいかい宣言せんげん	アドルフ・ヒトラー総統そうとう
選手せんしゅ宣誓せんせい	イト・レーティー
最終さいしゅう聖火せいかランナー	フリッツ・シルゲン
主しゅ競技きょうぎ場じょう	オリンピアシュタディオン
夏季かき
冬季とうき
Portal:オリンピック

概要がいよう

開催かいさい決定けってい

ベルリンは1916年ねんのオリンピック開催かいさい都市としとして一いち度どは開催かいさいが予定よていされていたが、第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんによって中止ちゅうしされた。さらにドイツは第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんに敗北はいぼくし、国土こくどが荒廃こうはいし経済けいざい危機ききに陥おちいることとなった。

しかし、1931年ねんにフランスのパリで行おこなわれた第だい11回かい夏季かきオリンピックの開催かいさい地ち投票とうひょうにおいてベルリンがスペインのバルセロナを43対たい16で破やぶって再ふたたび開催かいさい地ちの地位ちいを獲得かくとくしたことで、開催かいさいに向むけての準備じゅんびが進すすめられた（夏季かき五輪ごりんは開催かいさいが取とりやめとなった場合ばあいでも開催かいさい地ちに選択せんたくされたことが「みなし回かい次じ」として残のこるため、今回こんかいのベルリンでの開催かいさい決定けっていは公式こうしき上じょうは2度目どめとして形式けいしき的てきな記録きろくに残のこる）。

1936年ねん夏季かき五輪ごりん投票とうひょう結果けっか

都市とし	国くに	1回かい目め
ベルリン	ドイツ国こく	43
バルセロナ	スペイン	16

「ヒトラーのオリンピック」

ベルリン市内しないに飾かざられた彫刻ちょうこく

ベルリンオリンピック時じのベルリン・オリンピアシュタディオン。右側みぎがわの柱はしらにはハーケンクロイツが描えがかれている

オリンピアシュタディオンに入場にゅうじょうするヒトラー

聖火せいかリレー

ウンター・デン・リンデンに展示てんじされた聖火せいか台だい。背景はいけいに写うつっているのはベルリン大だい聖堂せいどう。

その翌年よくねんの1932年ねん11月ドイツ国会こっかい選挙せんきょの後のちに首相しゅしょうに任命にんめいされドイツの政権せいけんを獲得かくとくし、反はんユダヤ主義しゅぎ政策せいさくを打うち出だし同国どうこくの国民こくみんからの支持しじを背景はいけいに当時とうじ隆盛りゅうせいを誇ほこっていたアドルフ・ヒトラー総統そうとうは、当初とうしょオリンピックを「ユダヤ人じんの祭典さいてん」であるとしてベルリン開催かいさいに難色なんしょくを示しめした。反はんユダヤ・反はんフリーメイソンのヒトラーにとってオリンピックとは「ユダヤとフリーメイソンによる発明はつめい」とされていた。

しかし、側近そっきんから「大おおきなプロパガンダ効果こうかが期待きたいできる」との説得せっとくを受うけて、開催かいさいすることに同意どういした。開会かいかい式しきではプロパガンダの一環いっかんとして第だい一いち回かいマラソン優勝ゆうしょう者しゃのスピリドン・ルイスが招待しょうたいされたりもしている。

ヒトラーがオリンピックの開催かいさいを決きめた後のちは、オリンピックを「アーリア民族みんぞくの優秀ゆうしゅう性せいと自分じぶん自身じしんの権力けんりょくを世界中せかいじゅうに見みせつける絶好ぜっこうの機会きかい」と位置いちづけ、ベルリンだけでなくドイツが国くにの総力そうりょくを挙あげて開催かいさい準備じゅんびを進すすめ、短期間たんきかんでオリンピック・スタジアム（オリンピアシュタディオン）や選手せんしゅ村むら、空港くうこうや道路どうろ、鉄道てつどうやホテル、さらに当時とうじまだ実験じっけん段階だんかいであったテレビ中継ちゅうけいなどの受うけ入いれ態勢たいせいの整備せいびが進すすめられた。

人種じんしゅ差別さべつ政策せいさくの一時いちじ凍結とうけつ

だが、ベルリンでの開催かいさい決定けってい後ごにドイツの政権せいけんを握にぎったナチス党とうが、ドイツ国民こくみんの支持しじの下したにユダヤ人じん迫害はくがい政策せいさくを進すすめて行いったことや、反はん政府せいふ活動かつどう家かに対たいする人権じんけん抑圧よくあつを行おこなっていることを受うけて、ユダヤ人じんが多おおいイギリスやアメリカ、そして開催かいさい地ちの地位ちいを争あらそったスペインなどが、開催かいさい権けんの返上へんじょうやボイコットを行おこなう動うごきを見みせていた。

これに対たいしてドイツ政府せいふは、この大会たいかいを開催かいさいしたいがために、大会たいかい期間きかんの前後ぜんごに限かぎりユダヤ人じんに対たいする迫害はくがい政策せいさくを緩ゆるめることを約束やくそくした他ほか、ヒトラー自身じしんも、有色ゆうしょく人種じんしゅ差別さべつ発言はつげん、特とくに黒人こくじんに対たいする差別さべつ発言はつげんを抑おさえるなど、国くにの政策せいさくを一時いちじ的てきに変更へんこうしてまで大会たいかいを成功せいこうに導みちびこうとした。実際じっさいに、オリンピック開催かいさいの準備じゅんびが進すすめられる中なか、それまでドイツ中ちゅうに見みられていた反はんユダヤ人じんの標語ひょうごを掲かかげた看板かんばんは姿すがたを消けし、ユダヤ系けいの選手せんしゅの参加さんかも容認ようにんされた。併あわせて反はん政府せいふ活動かつどう家かが収監しゅうかんされていた収容しゅうよう所しょの規則きそくは一時いちじ的てきに緩ゆるめられた他ほか、一部いちぶの反はん政府せいふ活動かつどう家かは国外こくがいへ出国しゅっこくできる（事実じじつ上じょうの亡命ぼうめいの容認ようにん）こととなった。

このようなドイツ政府せいふの「変節へんせつ」を受うけて、開催かいさいぎりぎりのタイミングで開催かいさい権けんの返上へんじょう案あんは撤回てっかいされ、また、国内こくないからのボイコットの要望ようぼうが根強ねづよかったイギリスやアメリカも参加さんかすることを決意けついした。

なおオリンピック開催かいさい後ご、イギリスやアメリカにおいて「人種じんしゅ差別さべつ的てき感情かんじょうを抑おさえ切きれなかったヒトラーは、黒人こくじんのメダリストジェシー・オーエンスを快こころよく考かんがえず握手あくしゅを拒否きょひした」という噂うわさがあった。しかし実際じっさいには、ヒトラーは当初とうしょ勝者しょうしゃ全員ぜんいんと握手あくしゅしていたが、走はしり高跳たかとび競技きょうぎが長引ながびき、ヒトラーは時間じかんの都合つごう上じょう途中とちゅうで退席たいせきせざるを得えなかった。そこでオリンピック委員いいん会かいが、公平こうへいを期きすために全すべての勝者しょうしゃに握手あくしゅするかしないかを決きめるよう要求ようきゅうしたところ、ヒトラーは後者こうしゃを選えらんだという。

また、オーエンスの回想かいそうによると「ヒトラーの席せきの前まえを通過つうかする時ときに、ヒトラーは立たち上あがり手しゅを振ふった。私わたしも手てを振ふりかえした」という証言しょうげんがあるように、オリンピックの成功せいこうに向むけて、多おおくのドイツ人じんのみならず、ヒトラーも自みずからの人種じんしゅ的てき偏見へんけんを表ひょうに出だすことを抑制よくせいしていた。

初はつの聖火せいかリレー

この大会たいかいにおいて、プロパガンダ効果こうかを高たかめることを目的もくてきに古代こだいオリンピックの発祥はっしょう地ちであるギリシャのオリンピアで聖火せいかを採火さいかし、松明たいまつで開会かいかい式しきのオリンピアシュタディオンまで運はこぶ「聖火せいかリレー」が初はじめて実施じっしされた。これは彼かれらゲルマン民族みんぞくこそがヨーロッパ文明ぶんめいの源流げんりゅうたるギリシャの後継こうけい者しゃであるというヒトラーの思想しそうに適かなったものでもあった。

聖火せいかリレーのコースは、オリンピアを出発しゅっぱつしてブルガリア、ユーゴスラビア、ハンガリー、オーストリア、チェコスロバキアを経由けいゆし、ドイツ国内こくないへ入はいるというものであった。

なお、ドイツ政府せいふは聖火せいかリレーのルート調査ちょうさのためにルート途上とじょうの各国かっこくの道路どうろ事情じじょうを綿密めんみつに調査ちょうさしたが、1939年ねんに勃発ぼっぱつした第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんにおいてドイツ軍ぐんがこの調査ちょうさ結果けっかを活用かつようし、後日ごじつドイツ軍ぐんがルートを逆進ぎゃくしんする形かたちで侵攻しんこうを行おこなったという逸話いつわが残のこっている。この説せつには反論はんろんもあるが一般いっぱん的てきにはこれが通説つうせつとなっている。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん前ぜん最後さいごの大会たいかい

この大会たいかいの3年ねん後ご、1939年ねん9月にドイツによるポーランド侵攻しんこうを機きに第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんが勃発ぼっぱつし第だい12回かい東京とうきょう大会たいかいと第だい13回かいロンドン大会たいかいが中止ちゅうしされたため、この大会たいかいが大戦たいせん前ぜん最後さいごの大会たいかいとなってしまった。次つぎの夏季かきオリンピックは世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつ後ごの1948年ねん（第だい14回かいロンドン大会たいかい）まで12年ねんの間隔かんかくが開ひらくこととなる。

「人民じんみんオリンピック」

なお、開催かいさい地ち選定せんていに敗やぶれたスペイン政府せいふは、ベルリンオリンピックへの参加さんかをボイコットした上うえに同どう大会たいかいに対抗たいこうして、同どう時期じきに五輪ごりん候補こうほ地ちだったバルセロナで「人民じんみんオリンピック」を開催かいさいすることを計画けいかくした。ドイツからの亡命ぼうめい者しゃを含ふくむ22か国こくから6,000人にんの参加さんかが予定よていされていたが、開幕かいまく当日とうじつにスペイン内戦ないせんが勃発ぼっぱつしたために幻まぼろしの大会たいかいとなった。バルセロナでIOC公認こうにんオリンピックが開ひらかれたのは56年ねん後ごの1992年ねんのことになる。

詳細しょうさいは「人民じんみんオリンピック」を参照さんしょう

出場しゅつじょう国こく

青色あおいろが初はつ参加さんか国こく、緑色みどりいろの国くにがその他たの参加さんか国こく。

ベルリン市内しないに掲揚けいようされた各国かっこく旗き。

前回ぜんかいを大おおきく上回うわまわる49の国くにと地域ちいき（独自どくじの国内こくないオリンピック委員いいん会かいを保有ほゆうしていたアメリカやイギリスのいくつかの植民しょくみん地ち）が出場しゅつじょうした。なお、アフガニスタン、イギリス領りょうバミューダ、ボリビア、コスタリカ、リヒテンシュタインとペルーが初はつ参加さんかとなった。一方いっぽうでリトアニアはクライペダ地方ちほう（ドイツ名めいメーメルラント）の占領せんりょうおよび編入へんにゅうに対たいする対抗たいこう措置そちとしてドイツから参加さんかを拒否きょひされ、不参加ふさんかとなった。

主おもな出場しゅつじょう国こく

独立どくりつ国家こっか

• アルゼンチン
• オーストリア
• ブラジル
• ボリビア
• 中華民国ちゅうかみんこく
• チェコスロバキア
• エジプト
• フランス
• イギリス
• ドイツ(開催かいさい国こく)
• オランダ
• イタリア
• 日本にっぽん
• ラトビア
• メキシコ
• ノルウェー
• ペルー
• 南みなみアフリカ連邦れんぽう
• アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
• ユーゴスラビア
• 朝鮮ちょうせん
• オーストラリア

植民しょくみん地ち

• イギリス領りょうインド帝国ていこく
• アメリカ領りょうフィリピン
• イギリス領りょうバミューダ

実施じっし競技きょうぎ

• カヌー、バスケットボール、ハンドボールが初はじめて正式せいしき種目しゅもくとなった。特とくにハンドボールはヒトラーの特別とくべつ要求ようきゅうによって実施じっしされることとなった。

陸上りくじょう競技きょうぎ 競泳きょうえい 飛込とびこみ 水球すいきゅう サッカー ボート ホッケー ボクシング 体操たいそう バスケットボール レスリング セーリング

ウエイトリフティング ハンドボール(11人にん制せい) 自転車じてんしゃ 馬術ばじゅつ フェンシング 射撃しゃげき 近代きんだい五ご種しゅ競技きょうぎ カヌー ポロ 芸術げいじゅつ競技きょうぎ - 絵画かいが・彫刻ちょうこく・建築けんちくの作品さくひん79点てんと音楽おんがく作品さくひんが参加さんかした。

公開こうかい競技きょうぎ

• 野球やきゅう
• グライダー

主おもなメダリスト

日本人にっぽんじん女性じょせい初はつの五輪ごりん金きんメダリストとなった前畑まえはた秀子ひでこ

日本にっぽんの孫まご基もと禎ただし

走幅跳はしりはばとびで3位いに入はいり表彰台ひょうしょうだいに上あがる日本にっぽんの田島たじま直人なおと（左ひだり） 表彰台ひょうしょうだい中央ちゅうおうは、優勝ゆうしょう者しゃのジェシー・オーエンス

• 金きんメダル
  • 遊佐ゆさ正憲まさのり・杉浦すぎうら重雄しげお・田口たぐち正治しょうじ・新井あらい茂雄しげお（日本にっぽん、競泳きょうえい男子だんし800 m自由形じゆうがたリレー）
  • 前畑まえはた秀子ひでこ（日本にっぽん、競泳きょうえい女子じょし200 m平泳ひらおよぎ）
  • 葉室はむろ鐵夫てつお（日本にっぽん、競泳きょうえい男子だんし200 m平泳ひらおよぎ）
  • 寺田てらだ登のぼる（日本にっぽん、競泳きょうえい男子だんし1500 m自由形じゆうがた）
  • 田島たじま直人なおと（日本にっぽん、陸上りくじょう男子だんし三段跳さんだんとび）
  • 孫まご基もと禎ただし（日本にっぽん、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんしマラソン）
  • ジェシー・オーエンス（アメリカ、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし100 m）
  • ジェシー・オーエンス（アメリカ、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし200 m）
  • ジョン・ウッドラフ（アメリカ、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし800 m）
  • ジェシー・オーエンス（アメリカ、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし走幅跳はしりはばとび）
  • アメリカ（陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし4×100 mリレー）
  • ヘレン・スティーヴンス（陸上りくじょう競技きょうぎ女子じょし100m）
  • アメリカ（陸上りくじょう競技きょうぎ女子じょし4×100 mリレー）
  • ヘンドリカ・マステンブルーク（オランダ、競泳きょうえい女子じょし100 m自由形じゆうがた）
  • ヘンドリカ・マステンブルーク（オランダ、競泳きょうえい女子じょし400m自由形じゆうがた）
  • オランダ（競泳きょうえい女子じょし4×100 mリレー）
  • マージョリー・ゲストリング（アメリカ、女子じょし3 m飛板とびいた飛込とびこみ） - 個人こじん種目しゅもく最年少さいねんしょう金きんメダリスト
  • ドイツ（体操たいそう男子だんし団体だんたい）
  • アルフレート・シュヴァルツマン（ドイツ、体操たいそう男子だんし個人こじん総合そうごう）
  • コンラッド・フライ（ドイツ、体操たいそう男子だんし種目しゅもく別べつあん馬ば）
  • アルフレート・シュヴァルツマン（ドイツ、体操たいそう男子だんし種目しゅもく別べつ跳馬ちょうば）
  • コンラッド・フライ（ドイツ、体操たいそう男子だんし種目しゅもく別べつ平行棒へいこうぼう）
  • ゴットハルト・ハンドリック（ドイツ、近代きんだい五ご種しゅ競技きょうぎ男子だんし）
  • アリー・ファンフリート（オランダ、自転車じてんしゃ男子だんし1000mタイムトライアル）
  • トーニ・メルケンス（ドイツ、自転車じてんしゃ男子だんしスプリント）
  • ロベール・シャルパンティエ（フランス、自転車じてんしゃ男子だんし個人こじんロードレース）
  • イタリア（サッカー男子だんし）
  • フランス（自転車じてんしゃ男子だんしタイムトライアル団体だんたい）
  • フランス（自転車じてんしゃ男子だんしチームパシュート）
  • アメリカ（バスケットボール男子だんし）
• 銀ぎんメダル
  • 遊佐ゆさ正憲まさのり（日本にっぽん、競泳きょうえい男子だんし100 m自由形じゆうがた）
  • 鵜う藤ふじ俊平しゅんぺい（日本にっぽん、競泳きょうえい男子だんし400 m自由形じゆうがた）
  • 原田はらだ正夫まさお（日本にっぽん、陸上りくじょう男子だんし三段跳さんだんとび）
  • 西田にしだ修平しゅうへい（日本にっぽん、陸上りくじょう男子だんし棒高跳ぼうたかとび）
  • ルッツ・ロング（ドイツ、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし走はしり幅跳はばとび）
  • マシュー・ロビンソン（アメリカ、陸上りくじょう男子だんし200 m）
  • ヘンドリカ・マステンブルーク（オランダ、競泳きょうえい女子じょし100 m平泳ひらおよぎ）
  • コンラッド・フライ（ドイツ、体操たいそう男子だんし種目しゅもく別べつ鉄棒てつぼう）
  • アリー・ファンフリート（オランダ、自転車じてんしゃ男子だんしスプリント）
  • オーストリア（サッカー男子だんし）
• 銅どうメダル
  • 新井あらい茂雄しげお（日本にっぽん、競泳きょうえい男子だんし100 m自由形じゆうがた）
  • 牧野まきの正蔵しょうぞう（日本にっぽん、競泳きょうえい男子だんし400 m自由形じゆうがた）
  • 清川きよかわ正二しょうじ（日本にっぽん、競泳きょうえい男子だんし100 m背泳せおよぎ）
  • 小池こいけ禮三れいぞう（日本にっぽん、競泳きょうえい男子だんし200 m平泳ひらおよぎ）
  • 鵜う藤ふじ俊平しゅんぺい（日本にっぽん、競泳きょうえい男子だんし1500 m自由形じゆうがた）
  • 南みなみ昇竜しょうりゅう（日本にっぽん、陸上りくじょう男子だんしマラソン）
  • 田島たじま直人なおと（日本にっぽん、陸上りくじょう男子だんし走幅跳はしりはばとび）
  • 大江おおえ季雄すえお（日本にっぽん、陸上りくじょう男子だんし棒高跳ぼうたかとび）
  • 藤田ふじた隆治りゅうじ（日本にっぽん、芸術げいじゅつ競技きょうぎ絵画かいが）
  • 鈴木すずき朱雀すじゃく（日本にっぽん、芸術げいじゅつ競技きょうぎ水彩すいさい）
  • コンラッド・フライ（ドイツ、体操たいそう男子だんし個人こじん総合そうごう）
  • アルフレート・シュヴァルツマン（ドイツ、体操たいそう男子だんし種目しゅもく別べつ鉄棒てつぼう）
  • アルフレート・シュヴァルツマン（ドイツ、体操たいそう男子だんし種目しゅもく別べつ平行棒へいこうぼう）
  • コンラッド・フライ（ドイツ、体操たいそう男子だんし種目しゅもく別べつゆか）
  • ノルウェー（サッカー男子だんし）

各国かっこくのメダル獲得かくとく数すう

詳細しょうさいは「1936年ねんベルリンオリンピックのメダル受賞じゅしょう数すう一覧いちらん」を参照さんしょう

順じゅん	国くに・地域ちいき	金きむ	銀ぎん	銅どう	計けい
1	ドイツ（開催かいさい国こく）	33	26	30	89
2	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく	24	20	12	56
3	ハンガリー	10	1	5	16
4	イタリア	8	9	5	22
5	フィンランド	7	6	6	19
	フランス	7	6	6	19
7	スウェーデン	6	5	9	20
8	日本にっぽん	6	4	8	18
9	オランダ	6	4	7	17
10	イギリス	4	7	3	14

大会たいかいハイライト

• 8月がつ1日にちの開会かいかい式しきでは、ヒトラーが開会かいかい宣言せんげんをしている間あいだに、メインスタジアムの10万まん人にんの観衆かんしゅうが、ナチス式しき敬礼けいれい（ローマ式しき敬礼けいれい）のように右手みぎてを斜ななめ前方ぜんぽうに挙あげた。また、ドイツと政治せいじ的てきに緊張きんちょう状態じょうたいであったフランスの選手せんしゅ団だんが、行進こうしんの際さい「右手みぎてを斜ななめ横よこに掲かかげるオリンピック式しき」の挨拶あいさつをし、これをナチス式しきの敬礼けいれいと勘違かんちがいしたドイツ人じんの観衆かんしゅうの熱狂ねっきょう的てきな拍手はくしゅを浴あびた。
• 前回ぜんかいのロサンゼルス大会たいかいに引ひき続つづき、平沼ひらぬま亮三りょうぞうが日本にっぽん選手せんしゅ団長だんちょうを務つとめた。
• 陸上りくじょうの10,000メートル、5,000メートルに出場しゅつじょうした村社そんしゃ講こう平たいらは共ともに4位いとメダルはならなかったものの、小柄こがらな村社そんしゃが大柄おおがらなフィンランドの選手せんしゅ達たち（イルマリ・サルミネン、アルヴォ・アスコラ、ボルマリ・イソ＝ホロ）を相手あいてに果敢かかんに先行せんこうする姿すがたがドイツの観衆かんしゅう達たちの熱狂ねっきょう的てきな共感きょうかんを呼よび、日本にっぽんにおいてもベルリンオリンピック最初さいしょの国民こくみん的てき英雄えいゆうとなった。
• 陸上りくじょう三段跳さんだんとびの田島たじま直人なおとが金きんメダルを獲得かくとくし3大会たいかい連続れんぞくの日本にっぽんの勝利しょうりを見みせ、また走幅跳はしりはばとびでも銅どうメダルを獲得かくとくする活躍かつやくをみせた。
• 陸上りくじょう棒高跳ぼうたかとびでは西田にしだ修平しゅうへいと大江おおえ季雄すえおの日本にっぽん勢ぜいが、アメリカ勢ぜいとの熾烈しれつな争あらそいの末すえ、それぞれ銀ぎん・銅どうメダルを獲得かくとく。2人ふたりはメダルを半分はんぶんずつに割わって『友情ゆうじょうのメダル』を作成さくせいした（後のちに、西田にしだ修平しゅうへいのメダルは早稲田大学わせだだいがくに、大江おおえ季雄すえおのメダルは秩父宮ちちぶのみや記念きねんスポーツ博物館はくぶつかんに、それぞれ寄贈きぞうされた）。
• 女子じょし二に百ひゃくメートル平泳ひらおよぎでは前畑まえはた秀子ひでこが、地元じもとドイツのゲネンゲルの激はげしい追おい込こみを僅差きんさで押おさえ、金きんメダルを獲得かくとくした。ラジオ放送ほうそうでの河西かさい三省みつよしアナウンサーの「前畑まえはた頑張がんばれ」の連呼れんこの実況じっきょうは、日本にっぽんの聴取ちょうしゅ者しゃに熱狂ねっきょう的てきな興奮こうふんを巻まき起おこした。
• サッカーでは初はつ出場しゅつじょうの日本にっぽんチームが優勝ゆうしょう候補こうほのスウェーデンを破やぶる歴史れきし的てき番狂ばんくるわせを演えんじ（ベルリンの奇跡きせき）ベスト8に進出しんしゅつした。
• アメリカのジェシー・オーエンスが、男子だんし短距離たんきょり・跳躍ちょうやく種目しゅもくのそれぞれに優勝ゆうしょうし史上しじょう初はつの4冠かんを達成たっせいした。この陸上りくじょう4冠かん記録きろくはカール・ルイスが登場とうじょうするまで並ならぶ者ものは出でなかった。
• 芸術げいじゅつ競技きょうぎでは、日本にっぽん画家がかの藤田ふじた隆治りゅうじが混合こんごう絵具えのぐ（Mixed Painting）の部ぶに作品さくひん「アイスホッケー」で参加さんかして銅どうメダルを獲得かくとくし、作品さくひんはナチス買上かいあげとなった。洋画ようが家かの高田たかだ力蔵りきぞうも、Zwei Formen賞しょう（二に部ぶ賞しょう）を受賞じゅしょうした。

報道ほうどう

日本にっぽんの報道ほうどう合戦かっせん

左ひだりから河西かさい三省みつよし、山本やまもと照あきら、頼よりゆき母はは木き真六しんろく

読売新聞社よみうりしんぶんしゃは写真しゃしん原稿げんこう輸送ゆそうのため、1936年ねん8月がつに1機きを現地げんちで購入こうにゅう、ベルリン-東京とうきょう3日間にちかんの連絡れんらく飛行ひこうを企画きかくしたが、ソビエト連邦れんぽう上空じょうくうの飛行ひこう許可きょかが下おりず、結局けっきょく船便せんびんで輸入ゆにゅうされた。この機体きたいは「よみうり6号機ごうき（登録とうろく記号きごうJ-BACC）」として使用しようされた。

大阪毎日新聞おおさかまいにちしんぶんは、ロサンゼルス前ぜん大会たいかいにおいて、ライバルの大阪おおさか朝日新聞あさひしんぶんが日本にっぽん代表だいひょう応援おうえん歌詞かしを公募こうぼして大だいヒット曲きょくを生うみ出だしたことに鑑かんがみ、子会社こがいしゃ東京日日新聞とうきょうにちにちしんぶんを参画さんかくさせて当とう大会たいかいの応援おうえん歌かを懸賞けんしょう公募こうぼした。この結果けっか、山本やまもと塊かたまり二にの詩しが当選とうせん。『あげよ日ひの丸まる』の曲きょく題だいを付ふし、前ぜん大会たいかいの朝日あさひ製せい応援おうえん歌かと同おなじく山田やまだ耕筰こうさく作曲さっきょく、中野なかの忠晴ただはるの歌唱かしょうで日本にほんコロムビアレーベルから発売はつばいさせた。これに対たいし朝日あさひは前ぜん大会たいかい応援おうえん歌か『走はしれ大地だいちを』を再さい発売はつばいする奇策きさくで対抗たいこうしたところこれが大当おおあたりをとり、朝日あさひの大だい逆転ぎゃくてん勝利しょうりとなった。

ファクシミリ

競技きょうぎ報道ほうどうにおいても大毎だいまい・大朝おおあさの争あらそいは熾烈しれつを極きわめ、国際こくさい電話でんわ取材しゅざい、飛行機ひこうきによるフィルム送付そうふ、実験じっけん的てきながら画像がぞう電送でんそう機き（ファクシミリ）が登場とうじょうした。

テレビ中継ちゅうけい

本ほん大会たいかいでは、当時とうじまだ多おおくの国くにでは開発かいはつ段階だんかいであったテレビジョンによる中継ちゅうけいが試験しけん的てきに行おこなわれた。試験しけん的てきとはいえ、複数ふくすうのカメラを使つかい、会場かいじょうと会場かいじょう外がいを結むすぶ本格ほんかく的てきなものであった。

記録きろく映画えいが

「ナチスのお抱かかえ監督かんとく」と呼よばれた女流じょりゅう映画えいが監督かんとくのレニ・リーフェンシュタールによる2部ぶ作さくの記録きろく映画えいがである『オリンピア』が撮影さつえいされた。この作品さくひんは1938年ねんのヴェネツィア国際こくさい映画えいが祭さいで金賞きんしょうを獲得かくとくするなど各かく方面ほうめんで絶賛ぜっさんされ、不朽ふきゅうの名作めいさくとされている。詳細しょうさいは『オリンピア (映画えいが)』を参照さんしょう。本ほん作さくの成功せいこうにより、IOCは以後いごのオリンピック大会たいかいにおいて、組織そしき委員いいん会かいに記録きろく映画えいがの制作せいさくを義務ぎむづけることになった。

記録きろくレコード

• 『第だい十じゅう一いち回かい国際こくさいオリムピック大会たいかい・ニュースレコード水上すいじょう競技きょうぎ実況じっきょう放送ほうそう』（ポリドール・レコード）
  • 河西かさい三省みつよしアナウンサーによる実況じっきょうレコード。録音ろくおんはNHKによるものではなく、コロナ・レコード（当時とうじの日本にっぽんポリドール蓄音器ちくおんき商會しょうかいの子会社こがいしゃ）のスタッフによるもの。ポリドールはレコード発売はつばいしようとするが「公共こうきょう放送ほうそうを無断むだんで録音ろくおんした上うえ、商売しょうばいに使つかうとは何事なにごとか」とNHKが拒否きょひ。その後ご、NHKに再さい放送ほうそうの希望きぼうが殺到さっとうしたため、レコードを放送ほうそうで流ながすことを条件じょうけんに発売はつばいを許可きょかしたというエピソードが残のこっている。記録きろく物ぶつのレコードとしては異例いれいの11万まん枚まい以上いじょうを売うり上あげる大だいヒットになった。

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• リチャード・マンデル 著ちょ、田島たじま直人なおと 訳わけ『ナチ・オリンピック』ベべースボすぼール・マガジン社るまがじんしゃ、1976年ねん3月がつ15日にち。NDLJP:12138852。 
• ダフ・ハート・ディヴィス（著ちょ）、岸本きしもと完かん司し（訳わけ）『ヒトラーへの聖火せいか：ベルリン・オリンピック』東京書籍とうきょうしょせき、1988年ねん、ISBN 4487761026
• 沢木さわき耕こう太郎たろう（著ちょ）『オリンピア：ナチスの森もりで』集英社しゅうえいしゃ、1998年ねん、ISBN 4087830950
• 児島こじま襄じょう 『第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん ヒトラーの戦たたかい』（文春ぶんしゅん文庫ぶんこ）

関連かんれん項目こうもく

• 国際こくさいオリンピック委員いいん会かい
• 夏季かきオリンピック
• 1936年ねんベルリンオリンピックの日本にっぽん選手せんしゅ団だん
• プロジェクト:オリンピック
• 出で宮みや順一じゅんいち（自転車じてんしゃ競技きょうぎ選手せんしゅ。開会かいかい式しきに参加さんかしたものの、役員やくいんの登録とうろくミスでレース出場しゅつじょうできず）
• 田村たむら春吉はるきち（名古屋なごや医大いだい（当時とうじ）学長がくちょう。後のちに名古屋なごや帝国ていこく大学だいがく総長そうちょう。海外かいがい視察しさつ中ちゅう、ベルリンオリンピックも観戦かんせん。）
• ナチスのプロパガンダ
• アドルフに告つぐ
• 栄光えいこうのランナー/1936ベルリン
• 不屈ふくつの男おとこ アンブロークン
• いだてん〜東京とうきょうオリムピック噺ばなし〜
• アベリー・ブランデージ
• 1916年ねんベルリンオリンピック

外部がいぶリンク

• JOCオリンピックの歴史れきし
• IOC BERLIN 1936（英語えいご）
• 第だい11回かい ベルリン オリンピック - NHK放送ほうそう史し
• Olympic Sports In Berlin Aka 11th Olympiad (1936) British Pathé
• United States Holocaust Memorial Museum - Online Exhibition: Nazi Olympics: Berlin 1936
• United States Holocaust Memorial Museum - Library Bibliography: 1936 Olympics
• Hitler's Olympics - The 1936 Games in Nazi Germany Free Documentary - History