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安山岩 - Wikipedia

安山岩あんざんがん

火成岩かせいがん一種いっしゅ

安山岩あんざんがん(あんざんがん、えい: andesite)は、火成岩かせいがん一種いっしゅ現在げんざいもちいられているぜんいわSiO2りょうによる火山岩かざんがん分類ぶんるいほうのうち、国際こくさい地質ちしつ科学かがく連合れんごう推薦すいせんする分類ぶんるい体系たいけいによれば、52〜57wt%が玄武岩げんぶがんしつ安山岩あんざんがん、57〜63wt%が安山岩あんざんがん定義ていぎされる。日本にっぽんでよくもちいられている分類ぶんるい体系たいけい都城みやこのじょう久城くじょう(1975)によるもので、国際こくさい地質ちしつ科学かがく連合れんごうのものと同様どうように、たてじくにアルカリりょう (Na2O + K2O)、よこじくにSiO2りょうをとっており、SiO2が53〜62wt%を安山岩あんざんがんとしている。深成岩しんせいがん閃緑がん対応たいおうする。

安山岩あんざんがん
火成岩かせいがん
安山岩あんざんがん
構成こうせいぶつ
主要しゅよう構成こうせいぶつ はす長石ちょうせき輝石きせきすみ閃石
構成こうせいぶつ 磁鉄鉱じてっこうくろ雲母うんもチタンせき石英せきえい
プロジェクト:地球ちきゅう科学かがくPortal:地球ちきゅう科学かがく
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火山岩かざんがんのQAPF;
Q: 石英せきえい、A: アルカリ長石ちょうせき、P: はす長石ちょうせき、F: じゅん長石ちょうせき
化学かがく組成そせいによる火山岩かざんがん分類ぶんるい
安山岩あんざんがん薄片はくへん

英名えいめいandesite は、南米なんべいアンデスさんなかMarmatoさんあらめんがんさま火山岩かざんがんたいし、ブッフ命名めいめいしたもので、アンデスのをとり -ite をつけたもの。日本語にほんごやくは、はじめしょうふじぶん次郎じろうにより富士ふじいわ明治めいじ17ねん)とやくされ、東京大学とうきょうだいがくけい人々ひとびともちいられたが、地質調査所ちしつちょうさしょではアンデスさんいしで、安山岩あんざんがんやくしてもちいた。文献ぶんけん最初さいしょ安山岩あんざんがんわけあらわれるのは、ライマン弟子でしであった西山にしやま正吾しょうごによる『伊豆いずはば説明せつめいしょ』(明治めいじ19ねん)で、以後いご富士ふじいわ安山岩あんざんがん明治めいじ20年代ねんだいまでは併用へいようされた。

成分せいぶん種類しゅるい

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安山岩あんざんがんまだらあきらおよびいしもととして、有色ゆうしょく鉱物こうぶつであるすみ閃石輝石きせき磁鉄鉱じてっこうまれくろ雲母うんもかんらんせき)、無色むしょく鉱物こうぶつであるはす長石ちょうせきまれ石英せきえいとうふくむ。特徴とくちょうてきまだらあきら鉱物こうぶつ名前なまえをつけて、すみ閃石安山岩あんざんがん輝石きせき安山岩あんざんがんかんらんせき安山岩あんざんがんなどとぶ。

特殊とくしゅ安山岩あんざんがん

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讃岐さぬきがんえい: sanukite、サヌカイト)
黒色こくしょく緻密ちみつで、まだらあきらがない。古銅こどう輝石きせきふくむ。瀬戸内海せとないかい沿岸えんがんさんする。
無人むじんがんえい: boninite、ボニナイト)
ガラスしつで、はす長石ちょうせきふくまない。小笠原諸島おがさわらしょとうさんする。

ねつすい影響えいきょうおも緑色みどりいろ変質へんしつした安山岩あんざんがんを、むかしプロピライト(propylite、へんくち安山岩あんざんがん)とんだが、最近さいきんはこの言葉ことば使つかわれない。

性質せいしつ特徴とくちょう

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安山岩あんざんがんは、ほとんどがプレートしずたい噴火ふんかしたアルカリしつ岩石がんせきである。トータルアルカリりょう (Na2O + K2Owt%) がたかアルカリがん系列けいれつのものも存在そんざいするが、ごくまれである。FeO*/MgO増加ぞうかともない、SiO2りょう増加ぞうかするカルクアルカリ系列けいれつと、SiO2りょう増加ぞうかしないソレアイト系列けいれつとにけられる。カルクアルカリ系列けいれつ久野くのひさ箱根はこね岩石がんせき研究けんきゅう提唱ていしょうしたハイパーシン系列けいれつに、ソレアイト系列けいれつピジョナイト系列けいれつ対応たいおうする[よう出典しゅってん]

のちさくさん雅則まさのりは、カルクアルカリ系列けいれつには鉱物こうぶつ化学かがく組成そせいバイモーダルみとめられること、および、かんらんせきすみ閃石など、平衡へいこう鉱物こうぶつ共存きょうぞんすることから、玄武岩げんぶがんしつマグマと珪長しつマグマの混合こんごうマグマ混合こんごう)がカルクアルカリマグマのしゅ成因せいいんであると主張しゅちょうした[よう出典しゅってん]

DefantとDrummond[1]は、安山岩あんざんがん成因せいいんろんあらたなかんがえをしめし、たかいSr/Y特徴とくちょうとする岩石がんせきアダカイト英語えいごばん命名めいめいし、40Maよりもわかあつしずスラブ柘榴ざくろせき残留ざんりゅうしょうとするエクロジャイト)が直接ちょくせつ溶融ようゆうし、安山岩あんざんがんしつマグマが発生はっせいすることを提唱ていしょうした。アダカイトはおおくの地域ちいき確認かくにんされており、現在げんざい安山岩あんざんがん成因せいいん議論ぎろんでもおおきな一角いっかくめている。

安山岩あんざんがん地球ちきゅう大陸たいりく主成分しゅせいぶんであり、だい陸上りくじょうでは非常ひじょうにありふれた岩石がんせきである一方いっぽうで、海底かいていや、地球ちきゅう兄弟きょうだいぼしといわれる火星かせい金星かなぼしではめずらしい(これらの主成分しゅせいぶん玄武岩げんぶがん存在そんざいである。

やまたい安山岩あんざんがん出来でき火山かざんとうとして西之島にしのしまがある。

用途ようと加工かこうほう

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産地さんちでは石垣いしがき石壁いしかべ砕石さいせき砂利じゃり)として使つかわれる。さらに安山岩あんざんがん特殊とくしゅ石材せきざいとしててつ平石ひらいし讃岐さぬきがんがある。また、安山岩あんざんがんの1つであるほん小松こまつせき日本にっぽんめいせきのひとつとしてられている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Marc J. Defant; Mark S. Drummond (1990). “Derivation of some modern arc magmas by melting of young subducted lithosphere”. Nature 347: 662-665. doi:10.1038/347662a0. ISSN 0028-0836. NAID 80005544708. 

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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