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翼竜 - Wikipedia

つばさりゅう(よくりゅう)あるいはつばさりゅうるい(よくりゅうるい、学名がくめい: Pterosauria)は、つばさりゅうさまるいぞくする爬虫類はちゅうるい一群いちぐんである。

つばさりゅうるい
Pterosauria
生息せいそく年代ねんだい: さんじょう後期こうきはく亜紀あき後期こうき, 220–65 Ma
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
つな : そうゆみつな Diapsida
階級かいきゅうなし : しゅりゅうさまるい Archosauromorpha
階級かいきゅうなし : しゅりゅうるい Archosauria
階級かいきゅうなし : とり頸類 Ornithodira
階級かいきゅうなし : つばさりゅうさまるい Pterosauromorpha
: つばさりゅう Pterosauria
学名がくめい
Pterosauria
Kaup1834
和名わみょう
つばさりゅうるい(よくりゅうるい)
下位かい分類ぶんるいぐん

[1][2]

概要がいよう

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はじめてそらんだ脊椎動物せきついどうぶつである。現代げんだい鳥類ちょうるいほどは上手うまそらんだり、地上ちじょうあるいたりすることはできなかった。恐竜きょうりゅう同様どうようさんじょうあらわれ、はく亜紀あきすえ絶滅ぜつめつした。

分類ぶんるい

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上位じょうい分類ぶんるい

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爬虫類はちゅうるい分類ぶんるいされる。恐竜きょうりゅうきんえん動物どうぶつだが、恐竜きょうりゅうとはべつのグループである。

2020ねん内耳ないじ研究けんきゅうもとづき、ラゲルペトンつばさりゅう祖先そせんすじだったとする仮説かせつ提唱ていしょうされた[3]

つばさりゅうさまるい Pterosauromorphaは、恐竜きょうりゅうよりつばさりゅうきんえんすべてのとり頸類として定義ていぎされている[4]

下位かい分類ぶんるい

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旧来きゅうらいくちばしこうりゅうつばさゆびりゅうの2ぐんけられていた。現在げんざいでは、くちばしこうりゅうがわ系統けいとうであることがあきらかになっている。分岐ぶんきがく使用しようえるにつれて、旧来きゅうらい分類ぶんるいはほとんどの科学かがくしゃあいだ支持しじされなくなった[5]

代表だいひょうてきたねとしてはランフォリンクスプテラノドンケツァルコアトルスなどがられている。

発見はっけん

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1784ねん、イタリアじん博物はくぶつ学者がくしゃコジモ・アレッサンドロ・コリーニによって最初さいしょ報告ほうこくされた。当初とうしょはその分類ぶんるい帰属きぞく生態せいたいにさまざまなせつい、哺乳類ほにゅうるい水生すいせい動物どうぶつであるとかんがえられていたこともある。はじめてつばさりゅうそら爬虫類はちゅうるいだとしたのは、19世紀せいきフランス博物はくぶつ学者がくしゃジョルジュ・キュヴィエである。これまでに60以上いじょうぞく発見はっけんされている。

特徴とくちょう

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おおきさは小鳥ことりぐらいのおおきさからつばさひらきちょう12メートルをえるものまでさまざまである。どれもおおきな頭部とうぶつばさ、それにたいしてちいさな胴体どうたいをもつ。ながつものも、まったくたないものもある。

つばさまく構造こうぞうであったとかんがえられている。つまり、ながびた前足まえあしゆびによってうすまくひろげているという、コウモリつばさ構造こうぞうである。ただし、コウモリであれば親指おやゆび以外いがいのすべてのゆびまくささえているのにたいし、つばさりゅうつばさだい4ゆびだい5ゆび退化たいか)とあしあいだだけにまくっている。つばさから独立どくりつしているゆびかずおおかったのでコウモリよりずっと自由じゆうものをつかめたはずだが、ゆび1ほんだけでまくささえたつばさでは飛行ひこう自由じゆうさなどのてんでコウモリにはおよばないものであったとおもわれる。しかしその一方いっぽうまくには神経しんけい筋肉きんにくめぐらされていたとおもわれる痕跡こんせきもあり、まく形状けいじょう変化へんかさせることにより高度こうど飛行ひこう制御せいぎょおこなえた可能かのうせい指摘してきされている。また、歩行ほこう地上ちじょう活動かつどうかんしては後述こうじゅつするように鳥類ちょうるいにはおおきくおとっていたが、足跡あしあと研究けんきゅうからはつばさりゅう蹠行せい四足しそく歩行ほこうをしており、地上ちじょうでははいまわることしかできないコウモリより地上ちじょう適応てきおうせいたかかったことが示唆しさされている。

しんこつゆうすること、骨格こっかく中空ちゅうくう軽量けいりょうな含気こつからるのは、鳥類ちょうるいおなじである。含気こつゆうすることから、やはり鳥類ちょうるいおなじく気嚢きのうそなえていた可能かのうせいたかい。(恐竜きょうりゅう気嚢きのうゆうしており、恐竜きょうりゅうつばさりゅう共通きょうつう祖先そせん段階だんかいすで気嚢きのう獲得かくとくしていた可能かのうせいたかい。)体重たいじゅう非常ひじょうかるく、つばさひらきちょう10mをえるケツァルコアトルスでも70kgほどだったとられる。

また、つばさりゅう化石かせきからも恐竜きょうりゅう鳥類ちょうるい羽毛うもう発見はっけんされており[6]恐竜きょうりゅうるいとの共通きょうつう祖先そせんとり頸類)の段階だんかいから羽毛うもうゆうしていたとかんがえられる。

また、そらでは逆光ぎゃっこうえにくいためいろいま海鳥うみどりていて派手はでいろすくなく、背中せなか紫外線しがいせんふせぐためくろで、はらがわ色素しきそ節約せつやくしろだったというせつもある[7]

飛行ひこうなどについて

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じゅうふんはばたけるだけの筋肉きんにくたなかったのではないか」、「つばさまく構造こうぞうであるためにあらしなどの強風きょうふうなかではつばさやぶれて飛行ひこう出来できなかったのではないか」というせつもある。しかし、その研究けんきゅうでまったくばたかなかったというせつはほぼ否定ひていされ、現生げんなま鳥類ちょうるいからても大型おおがたしゅ滑空かっくうおもだが多少たしょうなりともばたいたことは間違まちがいないとかんがえられている[8]。また、つばさたんなる皮膜ひまくではなく、強靱きょうじん繊維せんいはいったある程度ていどあつみのるものだったと判明はんめいしている。

上記じょうき体重たいじゅうふくめて、骨格こっかく構造こうぞう飛行ひこうのために特殊とくしゅしており、陸上りくじょう生活せいかつへの適応てきおうひくく、鳥類ちょうるいのような活発かっぱつ歩行ほこうなどはほとんどできなかったとされている。歩行ほこう姿勢しせいは、前肢ぜんし使つかっての四足しそく歩行ほこうであった可能かのうせいたかいことが近年きんねん研究けんきゅう判明はんめいしつつある(くちばしこうりゅう#生態せいたいこう参照さんしょう)。 飛行ひこう制御せいぎょおこなうだけの高度こうど知能ちのうや、それだけののう使つかうためにうちゆたかせい恒温動物こうおんどうぶつ)であったことや体温たいおん維持いじする羽毛うもうっていた可能かのうせいなどが指摘してきされている。

さんじょうからジュラ紀じゅらきにかけてはランフォリンクスなど、小型こがたながいものがおおかったが、ジュラ紀じゅらきまつおおくが絶滅ぜつめつし、衰退すいたい最後さいご化石かせき記録きろく以前いぜんジュラ紀じゅらき末期まっきまでだったが、はく亜紀あき前期ぜんきのものもわずかだが発見はっけんされるようになった)。はく亜紀あき後期こうきにはプテラノドンやケツァルコアトルスなど大型おおがたみじかつばさゆびりゅうぞくするものばかりになった(つばさゆびりゅう小型こがたながいものからジュラ紀じゅらき後期こうき進化しんかし、はく亜紀あき前期ぜんきにかけては多様たようせい頂点ちょうてんむかえて小型こがたたねおおかったが、後期こうきにはその多様たようせい減少げんしょうさせていた)。このころには鳥類ちょうるい飛行ひこうはじめていたようなので、小型こがたしゅ鳥類ちょうるいとの競争きょうそうやぶれ、ことなるニッチにある大型おおがたしゅのこったともわれている。

おもなぞく

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ゲオステルンベルギア
ランフォリンクス Rhamphorhynchus
ジュラ紀じゅらき出現しゅつげんした。ながさき菱形ひしがたになっていたが、これは飛行ひこうかじ役割やくわりをしたのではないかとするせつがある。つばさひらきちょう最大さいだい175センチメートル。
プテロダクティルス Pterodactylus
ジュラ紀じゅらき出現しゅつげんした。つばさひらきちょうは50 - 75センチメートルほど。
プテラノドン Pteranodon
はく亜紀あききたアメリカ出現しゅつげんした。つばさひらきちょうは7~9メートルにもおよ大型おおがたつばさりゅうで、おおきなくちばしをもち、頭部とうぶうしろにもおおきな突起とっきがある。
ケツァルコアトルス Quetzalcoatlus
はく亜紀あききたアメリカに出現しゅつげんした。つばさひらきちょうは10メートルをえ、目下めしたそらんだ最大さいだい動物どうぶつとされている。ぞくめいアステカ神話しんわかみケツァルコアトル由来ゆらいする。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Andres, B.; Clark, J.; Xu, X. (2014). “The Earliest Pterodactyloid and the Origin of the Group”. Current Biology 24 (9): 1011–16. doi:10.1016/j.cub.2014.03.030. PMID 24768054. 
  2. ^ Baron, Matthew G. (2020). “Testing pterosaur ingroup relationships through broader sampling of avemetatarsalian taxa and characters and a range of phylogenetic analysis techniques.”. PeerJ 8: e9604. doi:10.7717/peerj.9604. PMC 7512134. PMID 33005485. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7512134/. 
  3. ^ つばさりゅうにつながる特徴とくちょう さんじょうそく歩行ほこう爬虫類はちゅうるい国際こくさいチーム』(2020:JIJI.COM)
  4. ^ Padian, K. (1997). "Pterosauromorpha", pp. 617–18 in Currie, P.J. and Padian, K. The Encyclopedia of Dinosaurs. Academic Press. ISBN 0122268105.
  5. ^ Lü J.; Unwin D.M.; Xu L.; Zhang X. (2008). “A new azhdarchoid pterosaur from the Lower Cretaceous of China and its implications for pterosaur phylogeny and evolution”. Naturwissenschaften 95 (9): 891–97. Bibcode2008NW.....95..891L. doi:10.1007/s00114-008-0397-5. PMID 18509616. 
  6. ^ Cincotta, A., Nicolaï, M., Campos, H.B.N. et al. Pterosaur melanosomes support signalling functions for early feathers. Nature (2022). https://doi.org/10.1038/s41586-022-04622-3
  7. ^ 鳥類ちょうるい学者がくしゃ 無謀むぼうにも恐竜きょうりゅうかたる』新潮社しんちょうしゃ、2018ねん7がつ1にち、236-238ぺーじ 
  8. ^ 天宮あまみやよう 2013, p. 111.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 天宮あまみやよう、スペース探査たんさしつ へん へん宇宙うちゅう137おくねんなぞが2あいだでわかるほん 宇宙うちゅうはこうして宇宙うちゅうになった!』河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ〈KAWADEゆめ文庫ぶんこ〉、2013ねんISBN 978-4309498706 
  • 川上かわかみ和人かずと鳥類ちょうるい学者がくしゃ 無謀むぼうにも恐竜きょうりゅうかたる 新潮社しんちょうしゃ発行はっこう

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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