関西かんさい

関西かんさい地方ちほうのデータ
	逢坂おうさか関せきおよび三関みつせきの位置いち、これより西にしが「関西かんさい」
国くに	日本にっぽん
京都きょうと・大阪おおさか・兵庫ひょうご・奈良ならの4府県ふけんの合計ごうけい
面積めんせき	18,609.22km2
推計すいけい人口じんこう	17,926,993人ひと
人口じんこう密度みつど	963.3人ひと/km2
滋賀しが・和歌山わかやまを含ふくむ6府県ふけんの合計ごうけい
面積めんせき	27,338.01km2
推計すいけい人口じんこう	20,211,192人ひと
人口じんこう密度みつど	739.3人ひと/km2
6府県ふけん+伊賀いが・東ひがし紀州きしゅう・嶺みね南みなみの合計ごうけい
面積めんせき	30,124.01km2
推計すいけい人口じんこう	20,556,456人ひと/km2
人口じんこう密度みつど	682.4人ひと/km2
（統計とうけい日び：）
	7府県ふけんでの括くくりについては近畿きんき地方ちほうを参照さんしょう

関西かんさい（かんさい^{[注釈ちゅうしゃく 2]}）は、日本にっぽんの本州ほんしゅう西部せいぶに位置いちする地方ちほうである。関東かんとうとの対たいで生しょうじた名称めいしょうであり、歴史れきし的てきには逢坂おうさか関せきや三関みつせき、あるいは箱根はこね関せき以西いせいの西日本にしにほんを広ひろく指さす用語ようごであったが^[1]^[2]、現在げんざいでは京阪神けいはんしんとその周辺しゅうへん部ぶのみを指さすことが多おおい^[3]。

概要がいよう

平安へいあん時代じだい初期しょきの『続ぞく日本にっぽん紀き』で使用しようが確認かくにんできる「関東かんとう」に対たいして、「関西かんさい」という名称めいしょうの使用しようが確認かくにんできる最初さいしょ期きの史料しりょうは平安へいあん時代じだい後期こうきの漢詩かんし集しゅう『本朝ほんちょう無む題詩だいし』^[4]や鎌倉かまくら時代ときよの歴史れきし書しょ『吾妻あづま鏡きょう』^[3]であり、その後ごも「関東かんとう」に比くらべると「関西かんさい」の使用しようはあまり多おおくなかった。これは現在げんざい「関西かんさい」と呼よばれる地域ちいきは日本にっぽんの中心ちゅうしん地ちだった時期じきが長ながく、「畿内きない」「五ご畿」「上方かみがた」などの名称めいしょうが用もちいられたためである。

学校がっこう教育きょういく（文部もんぶ科学かがく省しょう教育きょういく指導しどう要項ようこう）や各種かくしゅ辞書じしょなどで2府ふ5県けん（大阪おおさか府ふ・京都きょうと府ふ・兵庫ひょうご県けん・奈良なら県けん・和歌山わかやま県けん・滋賀しが県けん・三重みえ県けん）と明確めいかくに定義ていぎされている「近畿きんき」と異ことなり^[5]、「関西かんさい」が指さす範囲はんいは時代じだいや場面ばめん、文献ぶんけんによってまちまちであり、最もっとも広義こうぎでは西日本にしにほん、最もっとも狭義きょうぎでは京阪神けいはんしんを指さす^[1]^[3]。現代げんだいにおいては大阪おおさか市しや京都きょうと市しを中心ちゅうしんとした経済けいざい圏けん・文化ぶんか圏けんを指さす場合ばあいが多おおい。一般いっぱん的てきには律令制りつりょうせいにおける畿内きないを含ふくむ大阪おおさか府ふ・京都きょうと府ふ・兵庫ひょうご県けん・奈良なら県けんの2府ふ2県けん（逢坂おうさか関せき以西いせい）を主しゅとして^{[注釈ちゅうしゃく 3]}^[1]^[3]^[6]、和歌山わかやま県けん・滋賀しが県けんの2県けん^[6]を含ふくむ「関西かんさい2府ふ4県けん」^[7]や、さらに三重みえ県けん伊賀いが^[8]・東ひがし紀州きしゅう^[9]や福井ふくい県けん嶺みね南みなみ^[10]（三関さんのせき以西いせい）などを含ふくむものが見みられる^[1]。

在ざい阪ばんテレビ局てれびきょく（テレビ大阪てれびおおさかを除のぞく）の広域こういき放送ほうそうエリア（近畿きんき広域こういき圏けん）としては2府ふ4県けん（大阪おおさか府ふ・京都きょうと府ふ・兵庫ひょうご県けん・奈良なら県けん・和歌山わかやま県けん・滋賀しが県けん）が対象たいしょう地域ちいきであり、同一どういつの経済けいざい圏けんや文化ぶんか圏けんを構成こうせいしていると言いえる。一方いっぽうで辞書じしょ的てきには近畿きんき地方ちほうの一ひとつである三重みえ県けんについては、大阪おおさかと結むすびつきが強つよい県けん西部せいぶの伊賀いが地方ちほうなどの一部いちぶ地域ちいきを除のぞいて県けんの大だい部分ぶぶんで愛知あいち県けん名古屋なごや市しとの関係かんけい性せいが強つよいため、経済けいざい圏けんとしては中京ちゅうきょう圏けん（名古屋なごや都市とし圏けん）に含ふくまれている。テレビ放送ほうそうにおいても在ざい名めいテレビ局てれびきょく（テレビ愛知てれびあいちを除のぞく）の広域こういき放送ほうそう（中京ちゅうきょう広域こういき圏けん）は、愛知あいち県けん・岐阜ぎふ県けん・三重みえ県けんの東海とうかい3県けんを対象たいしょうとしている。なお、前述ぜんじゅつの大阪おおさかと結むすびつきが強つよい一部いちぶ地域ちいきでは、区域くいき外がい再さい送信そうしんによって在ざい阪ばんテレビ局てれびきょくの視聴しちょうも可能かのうとなっている。

「関西かんさい」と「近畿きんき」が同義どうぎで使つかわれる場合ばあいもあり^[3]^[11]、例たとえば大阪おおさか市しに所在しょざいする経済けいざい産業さんぎょう省しょうの出先でさき機関きかんは「近畿きんき経済けいざい産業さんぎょう局きょく」であるが、英えい称しょうは "The Kansai Bureau of Economy, Trade and Industry (METI-KANSAI) " としている^[12]。これについては国際こくさい化かが進展しんてんした平成へいせい以降いこう、「近畿きんき」（Kinki）が「変態へんたいの」等とうの意味いみを持もつ英語えいごの "kinky" に発音はつおんが似にていることから、「関西かんさい」（Kansai）の使用しように拍車はくしゃがかかった側面そくめんもある^[3]。

時代じだいによる概念がいねんの変遷へんせん

古代こだい

古代こだい律令制りつりょうせい期き、畿内きないを防御ぼうぎょする目的もくてきで鈴鹿すずか関せき（東海道とうかいどう伊勢いせ国こく、現在げんざいの三重みえ県けん亀山かめやま市し）、不破ふわ関せき（東山ひがしやま道みち美濃みの国こく、現在げんざいの岐阜ぎふ県けん関ケ原せきがはら町まち）、愛あい発はつ関せき（北陸ほくりく道どう越前えちぜん国こく、現在げんざいの福井ふくい県けん敦賀つるが市し）の三関みつせきが設置せっちされ、その東ひがしに位置いちする諸国しょこくが「関東かんとう」と呼よばれるようになったが^[2]、「関西かんさい」という概念がいねんは発生はっせいしなかった。朝廷ちょうていの存在そんざいする畿内きないとその周辺しゅうへんは日本にっぽんの中心ちゅうしんであり、東ひがしも西にしもなかったためである。

平安へいあん時代じだいに愛あい発はつ関せきが廃止はいしされ、代かわりに逢坂おうさか関せき（東山ひがしやま道みち近江おうみ国こく、現在げんざいの滋賀しが県けん大津おおつ市し）が置おかれると、逢坂おうさか関せきが「関東かんとう」と「関西かんさい」の境界きょうかいとなったが^[2]、「関西かんさい」という概念がいねんは依然いぜんとして強つよく意識いしきされることはなかった。

中世ちゅうせい

朝廷ちょうていと権力けんりょくを二分にぶんする鎌倉かまくら幕府ばくふが成立せいりつすると、幕府ばくふを中心ちゅうしんとする三河みかわ国こく・信濃しなの国こく・越後えちご国こく以東いとうが「関東かんとう」と意識いしきされるようになり、対たいして朝廷ちょうていを中心ちゅうしんとする西日本にしにほん諸国しょこくが「関西かんさい」として意識いしきされるようになった。ただし「関西かんさい」が指さす範囲はんいは一定いっていではなく、朝廷ちょうていが直接ちょくせつ統治とうち権けんを及およぼす尾張おわり国こく以西いせいを指さすこともあれば、従前じゅうぜんどおり三関さんのせき以西いせいあるいは逢坂おうさか関せき以西いせいを指さすこともあった。

近世きんせい

江戸えど幕府ばくふが成立せいりつすると、幕府ばくふ所在地しょざいちの江戸えどを中心ちゅうしんとする坂東ばんどう8か国こく（関せき八はち州しゅう）が「関東かんとう」と認識にんしきされるようになり、それとともに「関西かんさい」は大坂おおさか・京都きょうとを中心ちゅうしんとする上方かみがた諸国しょこくと認識にんしきされるようになった^[3]。しかし、「関西かんさい」の指さす範囲はんいはやはり大おおまかなものであり、場面ばめんによって上方かみがた諸国しょこく、畿内きない諸国しょこく、逢坂おうさか関せき以西いせい、三関さんのせき以西いせい、箱根はこね関せき以西いせいなどと使つかい分わけられた。なお、「上方かみがた」が指さす範囲はんいも同様どうように一定いっていではなかった（詳細しょうさいは上方かみがたを参照さんしょう）。

近代きんだい・現代げんだい

1930年代ねんだいの東邦とうほう電力でんりょくの広告こうこく。名古屋なごや・岐阜ぎふを指さして「関西かんさい方面ほうめん」と表現ひょうげんしている。

現在げんざいの「関西かんさい」という概念がいねんは、明治維新めいじいしんによる東京とうきょう奠都てんと以後いご（特とくに大正たいしょう末期まっき・昭和しょうわ初期しょき以降いこう）になって「畿内きない」や「上方かみがた」に代かわる用語ようごとして醸成じょうせいされた。学会がっかいでは、皇居こうきょの東京とうきょう移転いてんによって皇居こうきょ所在地しょざいちを意味いみする「上方かみがた」に語弊ごへいが生しょうじたため、上方かみがた方面ほうめんを意味いみする用語ようごとして、明治めいじ政府せいふが積極せっきょく的てきに普及ふきゅうさせたとの歴史れきしが研究けんきゅう発表はっぴょうされている^{[要よう出典しゅってん]}。なお、「近畿きんき」という用語ようごおよびその範囲はんいが定着ていちゃくするのも明治めいじ以降いこうであり、1903年ねんに地理ちりの第だい一いち期き国定こくてい教科書きょうかしょ内ないで使用しようされたことを契機けいきとする^[3]。

明治めいじ以降いこうは、江戸えど時代じだい以前いぜんと比くらべて「関西かんさい」が指さす範囲はんいは固定こてい化かされ、京阪神けいはんしんとその周辺しゅうへん地域ちいきを指さすことがほとんどとなった^[3]。もっとも、岡山おかやま県けん岡山おかやま市しの学校がっこう法人ほうじん関西かんさい学園がくえん関西かんさい高等こうとう学校がっこう（1894年ねんより「関西かんさい」の名なを使用しよう）^[13]や、東海とうかい・北陸ほくりくで刊行かんこうされた医学いがく雑誌ざっし『関西かんさい医界いかい時報じほう』（1912年ねん～1964年ねん）^[14]のように、明治めいじ以降いこうにも京阪神けいはんしん周辺しゅうへん以外いがいの地域ちいきを指さして「関西かんさい」を用もちいた例れいは存在そんざいする。