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大阪おおさか

日本にっぽんの地名ちめい

曖昧さ回避 この項目こうもくでは、"大阪おおさか"または"大坂おおさか"における歴史れきしや文化ぶんかについて説明せつめいしています。
曖昧さ回避 「大坂おおさか」はこの項目こうもくへ転送てんそうされています。その他たの用法ようほうについては「大坂おおさか (曖昧あいまいさ回避かいひ)」をご覧らんください。

大阪おおさか（おおさか、英語えいご: Osaka）は、日本にっぽんの近畿きんき地方ちほう（関西かんさい地方ちほう）の地名ちめい、都市とし。

律令りつりょう国こくでは摂津せっつ国こくの範囲はんいであり、近畿きんきの経済けいざい・文化ぶんかの中心ちゅうしん地ち。

かつては大坂おおさか[1][2][3]と表記ひょうきし、古墳こふん時代じだいから江戸えど時代じだい以降いこうの長ながきにわたり、日本にっぽん経済けいざいと文化ぶんかの中心ちゅうしん地ちであった。そのため、京都きょうとと共ともに上方かみがたと呼よばれ、古都こと・副ふく都と・水みず都ととしての歴史れきしも持もつ。

現在げんざいの「大阪おおさか」は、近畿きんき地方ちほうに位置いちする包括ほうかつ的てき地方ちほう公共こうきょう団体だんたい・大阪おおさか府ふや、その府庁ふちょう所在地しょざいちであり西日本にしにほん最大さいだいの都市とし・大阪おおさか市しを指さし、広ひろい意味いみでは大阪おおさか市しを中心ちゅうしんとする京阪神けいはんしん（近畿きんき地方ちほう、大阪おおさか都市とし圏けん〈阪神はんしん都市とし圏けん〉、京阪神けいはんしん大都市だいとし圏けん、近畿きんき圏けんなど）を漠然ばくぜんと総称そうしょうすることにも使つかわれる。

地名ちめいの由来ゆらいと変遷へんせん

「大坂おおさか」という地名ちめいは、元もとは大和やまと川がわと淀川よどがわ（現在げんざいの大川おおかわ）の間あいだに南北なんぼくに横よこたわる上町うえまち台地だいちの北端ほくたん辺あたりを指さし、古ふるくは摂津せっつ国こく東成ひがしなり郡ぐんに属ぞくした。

この漢字かんじの地名ちめいに関かんする最古さいこの記録きろくは、1496年ねん、浄土真宗じょうどしんしゅう中興ちゅうこうの祖そである蓮如れんにょによって書かかれた御ご文ぶんの中なかに見みられる「摂と州しゅう東成ひがしなり郡ぐん生玉いくたま乃庄内ない大坂おおさか」との記載きさいである。もともと、蓮如れんにょが大坂おおさかと呼よんだ一帯いったいは、古ふるくは浪速なにわ（難波なんば・浪花なにわ・浪なみ華はな）などが地域ちいきの名称めいしょうとして用もちいられていたが、蓮如れんにょが現在げんざいの大阪城おおさかじょう域いきに大坂おおさか御坊ごぼう（いわゆる石山いしやま本願寺ほんがんじ）を建立こんりゅうし、その勢力せいりょくを全国ぜんこくに伸のばすに及およんで、大坂おおさかという呼称こしょうが定着ていちゃくした。

その語源ごげんは、大おおきな坂さかがあったために大坂おおさかという字じが当あてられたという説せつがあるが、蓮如れんにょ以前いぜんの大坂おおさかは「オホサカ」ではなく「ヲサカ」と発音はつおんされており、諸しょ資料しりょうにも「小坂こさか（おさか）」と表記ひょうきされた例れいが見みられる（正安まさやす3年ねん（1301年ねん）刊かんの『宴曲えんきょく抄しょう』には、熊野くまの参詣さんけいの行路こうろとして「九品くほん津つ小坂こさか郡ぐん戸との王子おうじ」が言及げんきゅうされており、これが大だい坂さかに比定ひていされる[4]。また『日本書紀にほんしょき』には烏がらす瑳箇とある[5]）。このためにこの説せつは信憑しんぴょう性せいに乏とぼしい。

蓮如れんにょ以後いご、大坂おおさかは「おおざか」と読よんだとされる。江戸えど時代じだい、商人しょうにんの伝兵衛でんべえが海難かいなん事故じこでロシア帝国ていこくに漂流ひょうりゅうしたとき、ロシア人じんには「ウザカ」と聞きこえたと伝つたわっている。

漢字かんじの表記ひょうきは当初とうしょ「大坂おおさか」が一般いっぱん的てきだったが、「坂さか」の字じを分解ぶんかいすると「土どに反そる」となり、死しを連想れんそうさせることから、江戸えど時代じだいのころから「大阪おおさか」とも書かくようになり、明治めいじ時代じだいには、「大阪おおさか」が定着ていちゃくした[6]。一説いっせつに「坂さか」から「阪ばん」への変更へんこうは、明治めいじ新しん政府せいふが「坂さか」が「士しが反はんする」、すなわち武士ぶしが叛く（士族しぞくの反乱はんらん）と読よめることから「坂さか」の字じを嫌きらったともいわれる[7]。

ただし、「大阪おおさか府庁ふちょう所用しょようの官印かんいんに、大阪おおさか府ふ印しるし、大坂おおさか府ふ印しるしの両様りょうようあるを以もって見みれば、坂さか阪ばん二に字じの變更へんこうは偶然ぐうぜんに起おこりしにて、必かならずしも深ふかき理由りゆうありしにあらざるべし。」[8]と、昭和しょうわ2年ねん再版さいはん発行はっこう「大阪おおさか市し史し　巻まき1」は語かたる。

歴史れきし

現在げんざいの大阪おおさか市しの基もとである大坂おおさかの町まちは、古墳こふん時代じだいの難波なんば高津たかつ宮みや、飛鳥あすか時代ときよに大化たいかの改新かいしんが行おこなわれた難波なんば長柄ながら豊ゆたか埼宮（なにわのながらのとよさきのみや）、住吉すみよし津つ（すみのえのつ）難波なんば津つ（なにわのつ、なにわづ）を起源きげんに持もつ港湾こうわん都市としであり、日本にっぽんの流通りゅうつうの要ようであった。律令制りつりょうせいでは摂津せっつ国こくの範囲はんいであり、江戸えど時代じだいには現在げんざいの大阪おおさか市し中央ちゅうおう部ぶを広ひろく町まち域いきとする大都市だいとしであり、日本にっぽん経済けいざいの中心ちゅうしんだったため、天下てんかの台所だいどころと呼よばれるようになった。

「大坂おおさか」地名ちめい発生はっせい以前いぜんの大坂おおさか

のちの「大坂おおさか」が位置いちする上町うえまち台地だいちは、古代こだいには「難波なんば潟かた」と呼よばれる葦原よしわらの広ひろがる湿地しっちに突つき出だした半島はんとう状じょうの陸地りくちで、浪速なにわ（なみはや、なにわ）、難波なんば(なにわ)、浪花なにわ（なにわ）、浪なみ華はな（なにわ）などと書かき表あらわされてきた。

この地ちには、上代じょうだいにはヤマト王権おうけんが遣や隋ずい使しや遣唐使けんとうしなどの使節しせつを送おくり出だしたり、返答へんとう使しの迎接げいせつを行おこなった住吉すみよし津つや難波なんば津つが置おかれ、運河うんが難波なんばの堀江ほりえが築きずかれた。また仁徳天皇にんとくてんのうの時代じだいには難波なんば高津たかつ宮みや、孝徳天皇こうとくてんのうの時代じだいには難波なんば宮みや、聖武天皇しょうむてんのうの時代じだいには難波なんば京きょう（難波なんば宮みや）が営いとなまれ、都とあるいは副ふく都ととして機能きのうした。律令制りつりょうせいのもとでは都とに置おかれた京きょう職しょくに準じゅんじる特別とくべつの官署かんしょ・摂津せっつ職しょくによって管理かんりされた。

上代じょうだいから奈良なら時代じだいにかけて難波なんばの地ちがこのように重要じゅうよう視しされたのは、大阪おおさか湾わんが西日本にしにほんの交通こうつうの要ようである瀬戸内海せとないかいの東ひがし端はしに位置いちしている上うえ、難波なんば高津たかつ宮みや、難波なんば宮みや、以後いごの飛鳥あすか古京ふるきょう・藤原ふじわら京きょう・平城京へいじょうきょうなどから最もっとも近ちかい港湾こうわんであることによる。住吉すみよし津つを管理かんりする住吉すみよし大社たいしゃは大和やまと朝廷ちょうてい直属ちょくぞくの社しゃとして別格べっかくであった。

難波なんば津つは土砂どしゃの堆積たいせきにより外港がいこうとしての機能きのうが衰おとろえ、奈良なら時代じだい末まつには神崎川かんざきがわ河口かこうの河かわ尻しり泊はく（現在げんざいの兵庫ひょうご県けん尼崎あまがさき市し）などに繁栄はんえいを一時いちじ譲ゆずる。しかし平安へいあん時代じだいに淀川よどがわ水系すいけいを利用りようして営いとなまれた平安京へいあんきょうが恒久こうきゅう的てきな都ととなったことから、源みなもと氏し渡辺わたなべ氏しによって難波なんば津つから渡辺わたなべ津つと名前なまえを変かえ、瀬戸内海せとないかいから淀川よどがわを通つうじて京都きょうとに通つうじる内うち港みなとな水運すいうんの要衝ようしょうとして栄さかえたほか、北きたから淀川よどがわを渡わたり南みなみの四天王寺してんのうじや住吉すみよし大社たいしゃ、さらには熊野くまのへと続つづく陸上りくじょう交通こうつう熊野くまの街道かいどうの起点きてんな要衝ようしょうとしても栄さかえた。

近世きんせいの大阪おおさかの移うつり変かわり

 
大だい坂城さかき（2014年ねん11月）

15世紀せいきに大坂おおさかの地名ちめいを持もって呼よばれるようになった上町うえまち台地だいちの先端せんたん部ぶには、古代こだいから生國しょうごく魂たましい神社じんじゃが鎮座ちんざしていたが、1496年ねんに蓮如れんにょが隣接りんせつして建立こんりゅうした浄土真宗じょうどしんしゅうの大坂おおさか道場どうじょう（石山いしやま道場どうじょう）に、1532年ねんに証あかし如が山科やましな本願寺ほんがんじから移うつり、大坂本願寺おおさかほんがんじ（石山いしやま本願寺ほんがんじ）となったことから寺内てらうち町まちとして発展はってんした。

織田おだ信長のぶながと本願寺ほんがんじの間あいだに戦たたかわれた石山いしやま合戦かっせんで1580年ねんに顕如けんにょが退去たいきょした後のちの1583年ねんには、大坂本願寺おおさかほんがんじの跡地あとちに豊臣とよとみ秀吉ひでよしが大だい坂城さかきを築きずき、城下じょうかに配下はいかの大名だいみょうの屋敷やしきや堺さかいなどの周辺しゅうへんの町まち々の町人ちょうにんを集あつめて、上町うえまち台地だいちから大阪平野おおさかへいやに広ひろがる大だい坂さかの町まちを築きずいて再ふたたび政治せいじ・経済けいざいの中心ちゅうしん都市としとした。このため、安土あづち桃山ももやま時代じだいのうちの豊臣とよとみ政権せいけん期きを指さして「大坂おおさか時代ときよ」と呼よぶ人ひともいる。なお、大坂おおさか築城ちくじょうの際さいに生國しょうごく魂たましい神社じんじゃは現在地げんざいちに移転いてんさせられている。

豊臣とよとみ氏しが滅ほろんだ大坂おおさか夏なつの陣じんで大だい坂さかは荒廃こうはいした。江戸えど幕府ばくふは、味方みかたとなる大名だいみょうが西国さいこくには乏とぼしいことから大坂おおさかを直轄ちょっかつ地ち（天領てんりょう）とし、西国さいこくに睨にらみを利きかせる要ようとして大坂おおさか城しろを再建さいけんし大坂おおさか城代じょうだいを置おく一方いっぽう、海路かいろに難所なんしょが多おおく海運かいうんに不向ふむきな江戸えどよりも、古いにしえより恵めぐまれた海運かいうんの要衝ようしょうの地ちとして治おさめるべく河川かせんの改修かいしゅうや堀ほりの開削かいさくを行おこない、諸しょ藩はんも蔵屋敷くらやしきを置おいた。蔵屋敷くらやしきへは水路すいろで年貢ねんぐ米まいが運はこばれたため八はち百ひゃく八はち橋きょうと言いわれるほど橋はしと水路すいろの多おおい町まちとなった。こうして水みずの都ととして復興ふっこうした大坂おおさかは日本にっぽん全国ぜんこくの物流ぶつりゅうが集中しゅうちゅうする経済けいざい・商業しょうぎょうの中心ちゅうしん地ちとなり、「天下てんかの台所だいどころ」と呼よばれて繁栄はんえいした。こうした経済けいざい的てきな発展はってんに伴ともなって「元禄げんろく文化ぶんか」が大だい坂さかを中心ちゅうしんに花開はなひらいた。また、堂島どうじま米べい会所かいしょでは世界せかいで最初さいしょの先物さきもの取引とりひきが行おこなわれた。

近世きんせい大坂おおさかの町まちは江戸えど幕府ばくふの派遣はけんした大坂おおさか町奉行まちぶぎょう支配しはいのもとに北きた組ぐみ・南組みなみぐみ・天満てんま組ぐみの三さん組くみに分わかれ、総称そうしょうして大坂おおさか三郷みさとと呼よばれた。北きた組ぐみ・南みなみ組ぐみは現在げんざいの中央ちゅうおう区くの本町通ほんちょうどおりを境さかいに分わかれ、天満てんま組ぐみは北きた区くの大阪天満宮おおさかてんまんぐうを中心ちゅうしんとする一帯いったいである。なお、天満てんまは元和がんわ年間ねんかん頃ごろまで大だい坂さかとは別べつの町まちとみなされていた。大阪おおさかの旧きゅう市街地しがいちは沽券こけん地ちとして、江戸えど幕府ばくふから町人ちょうにん間あいだで譲渡じょうとが許ゆるされていた。

古代こだい〜近世きんせいにかけ現在げんざいの大阪おおさか市し中心ちゅうしん部ぶはその姿すがたを整ととのえた。現在げんざいも続つづく以来いらいの大阪おおさかの町まちは、上町うえまち・天満てんま・堂島どうじま・中之島なかのしま・船場ふなば・島之内しまのうち・堀江ほりえ・下船げせん場じょうなどが知しられている。

大坂おおさかから大阪おおさかへ

江戸えど時代じだい中期ちゅうきには「大坂おおさか」と「大阪おおさか」が併用へいようされ、明治維新めいじいしん後ごの1868年ねん、新しん政府せいふはもとの大坂おおさか三郷みさとに大阪おおさか府ふを置おいた[6]。元来がんらいの「大坂おおさか」に代かわって「大阪おおさか」が正式せいしきな表記ひょうきとなったのは、このころである[注釈ちゅうしゃく 1]。「阪ばん」は「坂さか」の異体いたい字じのなかでも古こ字じとされる字じであり、阜部（読よみ：ぶぶ、意味いみ：こざとへん）は小高こだかい土山つちやま・丘陵きゅうりょうを意味いみする。

鳥羽とば伏見ふしみの戦たたかいの後のち、大久保おおくぼ利通としみちにより、大阪おおさかに遷都せんとする旨むねの建白けんぱく書しょが出だされた[10]。これは、諸しょ外国がいこくとの外交がいこう、富国強兵ふこくきょうへい策さく、内戦ないせんの指導しどう権けんの把握はあく、海軍かいぐんの建設けんせつなどの点てんで最適さいてきであるとした内容ないようだった[10]。また、財政ざいせい的てき基礎きそを持もたない明治めいじ政府せいふにとって、京阪けいはん一帯いったいの政商せいしょう資本しほん家かとの結むすびつきを考慮こうりょしたものでもあった[10]。しかし、これが実現じつげんしないうちに、慶応けいおう4年ねん（1868年ねん）3月がつ、前島まえじま密ひそかによる江戸えど奠都てんとの建言けんげんが出だされ、最終さいしゅう的てきに大久保おおくぼもこれに同意どういし、江戸えどへの奠都てんとが決定けっていされた[11]。

明治維新めいじいしんの直後ちょくごは廃藩置県はいはんちけんによるいわゆる「大名だいみょう貸かし」の貸かし倒だおれや地租ちそ改正かいせいによる金納きんのう化か（結果けっか的てきには農民のうみんによる米べいの自由じゆう売買ばいばいにつながった）によって、大阪おおさか経済けいざいは大おおきな打撃だげきを受うけたが、経済けいざい産業さんぎょうの近代きんだい化かとともに次第しだいに西日本にしにほん経済けいざいの中心ちゅうしん地ちとしての地位ちいを確立かくりつしていくことになる。

1869年ねんには北きた・南みなみ・天満てんまの三郷みさとから東ひがし・南みなみ・西にし・北きたの4大だい組ぐみに再編さいへんされ、1875年ねんに大だい区く小お区く制せいが施行しこうされると、順じゅんに第だい1～4大だい区くとなり、1879年ねんに郡こおり区く町村ちょうそん編制へんせい法ほうが施行しこうされると、再ふたたび東ひがし・南みなみ・西にし・北きたの4区くとなった。

1889年ねんには市制しせい施行しこうにより大阪おおさか府ふ管内かんないの大阪おおさか市しとなる（市制しせい特例とくれい参照さんしょう）。

難波なんば津つ後退こうたい以来いらい1000年ねん以上いじょうにわたって内陸ないりくの都市としだった大阪おおさかは、1897年ねんの第だい一いち次じ市域しいき拡張かくちょうによって大阪おおさか湾わんに面めんする市域しいきとなり、海港かいこうの造成ぞうせい（第だい一いち次じ大阪おおさか港こう修築しゅうちく工事こうじ）も同年どうねんにスタートした。1925年ねんの第だい二に次じ市域しいき拡張かくちょうでは東成ひがしなり郡ぐん・西成にしなり郡ぐんの残余ざんよ44町村ちょうそん全すべてを編入へんにゅうし、首府しゅふの東京とうきょう府ふ東京とうきょう市し（現げん・東京とうきょう都区とく部ぶ）を人口じんこうで追おい抜ぬき、日本にっぽん最多さいたの人口じんこうを有ゆうする都市としとなった。また、世界せかいでも6番目ばんめの人口じんこうを誇ほこる主要しゅよう都市としとなり、ここに大だい大阪おおさか時代じだいが到来とうらいした。

しかし1932年ねんに東京とうきょう府ふ東京とうきょう市しが周辺しゅうへん町村ちょうそんの合併がっぺいによる市域しいき拡大かくだいによって、人口じんこうで再ふたたび大阪おおさか市しを追おい抜ぬいたため[注釈ちゅうしゃく 2]、大だい大阪おおさか時代じだいはわずか7年ねんで終焉しゅうえんした。

1955年ねんの第だい三さん次じ市域しいき拡張かくちょうでは河内かわうち国こくの範囲はんいにあたる6町村ちょうそんを編入へんにゅうし、ほぼ現在げんざいの市域しいきとなった。後年こうねんに湾岸わんがん部ぶの埋立うめたて造成ぞうせいが拡大かくだいし、市域しいきはさらに広ひろがったが、これ以降いこう編入へんにゅう合併がっぺいによる市域しいき拡張かくちょうは行おこなわれておらず、政令せいれい指定してい都市としの中なかでも予算よさん規模きぼ等とう上位じょういにありながらも非常ひじょうに面積めんせきの小ちいさい市しとなっている。

府県ふけんのほうでは、1881年ねんに現在げんざいの奈良なら県けんを編入へんにゅうしていた堺さかい県けんを大阪おおさか府ふへ編入へんにゅうして最大さいだい版図はんととなったが、1887年ねんに奈良なら県けんを分離ぶんりした。1958年ねんには京都きょうと府ふの一部いちぶを大阪おおさか府ふへ編入へんにゅうし、現在げんざいの府ふ域いきとなった。

文化ぶんか

大阪おおさかは長ながらく日本にっぽんの文化ぶんかの中心ちゅうしん地ちであった京都きょうとに近ちかく、また西日本にしにほん最大さいだいの都市としとして発展はってんしたため、独自どくじの文化ぶんかを築きずいてきた。以下いかの食しょく文化ぶんかや芸能げいのう文化ぶんかがよく知しられるほか、大阪おおさか弁べんは東京とうきょう方言ほうげんや京きょう言葉ことばなどとともに日本にっぽんで最もっとも知しられた方言ほうげんの一ひとつである。

食しょく文化ぶんか

全国ぜんこくからあらゆる食材しょくざいが集あつまる「天下てんかの台所だいどころ」であり、瀬戸内せとうちの海産物かいさんぶつや大阪おおさか近郊きんこうの野菜やさいにも恵めぐまれ、日本にっぽん料理りょうりの基礎きそとなった食しょく文化ぶんかが栄さかえ、「大阪おおさかの食くい倒だおれ」（大阪おおさか人じんは破産はさんしそうなほど飲食いんしょくに贅沢ぜいたくをするという意味いみであるが、大阪おおさか人じんは食たべ物もの自慢じまんにうるさい、大阪おおさかには食たべ切きれないほど美味うまいものが沢山たくさんある、といった意味いみでも使つかわれる）ということわざまで生うまれた。しゃぶしゃぶや懐石かいせき料理りょうり、うどんすき、大阪おおさか寿司ずしや割烹かっぽうなどの本格ほんかく的てきな日本にっぽん料理りょうりの発祥はっしょう地ちとしてや、たこ焼やきやお好このみ焼やき、串くしカツ、イカ焼やきといった、“粉こなもん”を中心ちゅうしんとした庶民しょみんの味あじまで、さまざまな料理りょうりが楽たのしめる。現在げんざい大阪おおさかでは廃すたれた最古さいこ級きゅうの発祥はっしょう地ちとして蕎麦そばがあり、これは関東かんとうでは砂場すなばの名門めいもん屋号やごうとして知しられている。

昔むかしからの土産みやげとしては岩いわおこしやコンブがあり、現在げんざいは廃すたれたもののキュウリ、ダイコンなどの伝統でんとう野菜やさい（なにわ野菜やさい）が見直みなおされたり、和泉いずみでしかできない水みずなすや和泉いずみのタマネギ、ミズナなど野菜やさいの特産とくさんもある。特とくにネギは九条くじょう葱ねぎなどの青あおネギの原種げんしゅであり、最古さいこ（奈良なら時代じだいには既すでにあった記録きろくが残のこる）の品種ひんしゅである難波なんば葱ねぎの一大いちだい生産せいさん地ちとして戦前せんぜんまで栄さかえ、大阪おおさかの代名詞だいめいしにもなり、これは鴨かも南蛮なんばんの語源ごげんとなったともされている。南河内みなみかわちでは明治めいじの頃ころより山梨やまなしに次つぐ古ふるくから葡萄ぶどうの栽培さいばいが盛さかんであり、現在げんざいでもその出荷しゅっか量りょうは全国ぜんこく上位じょういに入はいる品種ひんしゅもある。近年きんねんでは、葡萄ぶどうの中なかでも日本にっぽん古来こらい6品種ひんしゅの一ひとつで約やく400年ねん前まえより大阪おおさかに伝つたわる紫むらさき葡萄ぶどうが、特産とくさんの葡萄ぶどうとして復活ふっかつさせるべく栽培さいばいと普及ふきゅうが進すすめられている。

昔むかしから“大阪おおさかの味あじ”として親したしまれてきたものとしては、ハモ、フグ、きつねうどん、まむしなどがある。特とくにふぐ料理りょうりは全国ぜんこく消費しょうひ量りょうの約やく6割わりが大阪おおさかでの消費しょうひであり、代表だいひょう的てきな料理りょうり法ほうとしてはてっちりやてっさがある。

過去かこには主おもに商人しょうにんの食卓しょくたくで、半はん助すけ（蒲焼かばやきにした後のちのウナギの頭部とうぶ）を使つかった炊たき合あわせや船場ふなば汁じるなど、節約せつやく料理りょうりも数多かずおおく見みられた。

鶴橋つるはしなどのコリア・タウンがあることから焼肉やきにくの店みせも多おおく、日本にっぽんでホルモン焼やきが広ひろまった最初さいしょの都市としである。また、インスタントラーメンや酢す昆布こぶなど、大阪おおさか発祥はっしょうの料理りょうり・食品しょくひんも多おおい。

また、食しょくの風習ふうしゅうとしては、節分せつぶんの行事ぎょうじとしての太ふとし巻まき寿司ずしの丸まるかぶり（いわゆる恵方えほう巻まき）がある。

芸能げいのう

人形浄瑠璃にんぎょうじょうるり発祥はっしょう地ちであり本場ほんば。大坂おおさか相撲すもうや上方かみがた歌舞伎かぶきも盛さかんであった。このほかにも庶民しょみんの娯楽ごらくとして、米沢よねざわ彦八らが起源きげんとされる上方かみがた落語らくご、漫才まんざい、吉本よしもと新しん喜劇きげき・松竹しょうちく新しん喜劇きげきなどのお笑わらい文化ぶんかが栄さかえている。大阪おおさかは商業しょうぎょうの町まちとしての性格せいかく上じょう、お互たがいに角かくの立たたない円滑えんかつで穏和おんわなコミュニケーション術じゅつが発達はったつした。こうしたことが大阪おおさかでお笑わらい文化ぶんかが花開はなひらく素地そじとなったのではないかとされる。

八はち百ひゃく八はち橋きょう

江戸えど時代じだい、江戸えどの「八はち百ひゃく八はち町まち」、京都きょうとの「八はち百ひゃく八はち寺てら」と並ならんで、大阪おおさか（浪なみ華はな）は「八はち百ひゃく八はち橋きょう」で知しられた[12]。実際じっさいには江戸えどの橋はしは約やく350だったのに対たいして、大阪おおさかの橋はしは200ほどだったが、江戸えどの半分はんぶんの橋はしは幕府ばくふが設置せっちした公儀こうぎ橋きょうだったのに対たいし、大阪おおさかの公儀こうぎ橋きょうは12橋きょうで残のこりはすべて町人ちょうにん達たちが自腹じばらで架かけた橋はしだった[12]。

住すみやすい都市としランキング

2018年ねんにイギリスの『エコノミスト』誌しの調査ちょうさ部門ぶもん「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット（EIU）」が発表はっぴょうした「2018年ねん世界せかいで最もっとも住すみやすい都市としランキング」では大阪おおさかは3位いだった[13]。

イギリスの人材じんざい調査ちょうさ会社かいしゃECAインターナショナルが2019年ねん1月がつに発表はっぴょうした「アジア（アジア・オセアニア地域ちいき）の、駐在ちゅうざい員いんが最もっとも住すみやすい都市としランキング」では、大阪おおさか・名古屋なごや・東京とうきょうが並ならんで5位い[14]。

備考びこう

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

  1. ^ 慶応けいおう4年ねん旧暦きゅうれき閏うるう4月がつ21日にち（1868年ねん6月がつ11日にち）に公布こうふされた政体せいたい書しょに基もとづいて同年どうねん旧暦きゅうれき5月がつ2日にち（1868年ねん6月がつ21日にち）に大坂おおさかの地ちに”府ふ”が設置せっちされた際さいには「大阪おおさか府ふ」と表記ひょうきされ、官報かんぽうにおいても明治めいじ20年ねん（1887年ねん）から同どう24年ねん（1891年ねん）にかけての時期じきに「大坂おおさか」から「大阪おおさか」へと表記ひょうきが改あらためられた。その一方いっぽうで、大阪おおさか府ふの公文書こうぶんしょにおいては明治めいじ22年ねん（1889年ねん）時点じてんでまだ「大坂おおさか」と「大阪おおさか」の両りょう表記ひょうきが混在こんざいしていた[9]
  2. ^ 大阪おおさか市しも同日どうじつ周辺しゅうへん町村ちょうそんの合併がっぺいを実施じっししたため、市域しいきは拡大かくだいし人口じんこうも増加ぞうかしたが、東京とうきょう市しでは関東大震災かんとうだいしんさいからの復興ふっこうが進すすみ、人口じんこうが急速きゅうそくに回復かいふく傾向けいこうにあったことや、東京とうきょう市しは隣接りんせつしている周辺しゅうへん82町村ちょうそんの編入へんにゅうを一挙いっきょに実施じっししたため、人口じんこうの増加ぞうか数すうでは東京とうきょう市しの方ほうが圧倒的あっとうてきに多おおかった

出典しゅってん

  1. ^ “TBSテレビ「この差さって何なにですか？」”. TBS. 2024年ねん7月がつ14日にち閲覧えつらん。
  2. ^ “[https://kanjibunka.com/kanji-faq/history/q0267/ Q0267 「大阪おおさか」は昔むかしは「大坂おおさか」と書かいていたそうですが、いつから、なぜ変かわったのですか？]”. 漢字かんじ文化ぶんか資料しりょう館かん. 2024年ねん7月がつ14日にち閲覧えつらん。
  3. ^ “大坂おおさか城じょうの“坂さか”の字じは、いつから“阪ばん”と表記ひょうきされるようになったのですか。”. 帝国ていこく書院しょいん. 2024年ねん7月がつ14日にち閲覧えつらん。
  4. ^ 大坂おおさか城じょうのはじまり　『大だい坂城さかき全あきら史し――歴史れきしと構造こうぞうの謎なぞを解とく』「はじめに」 - 中村なかむら博司ひろし
  5. ^ 浅井あさい建けん爾なんじ 『日本にっぽんの地名ちめいがわかる事典じてん』 日本にっぽん実業じつぎょう出版しゅっぱん、1998年ねん、ISBN 4-534-02808-3
  6. ^ a b 大阪おおさか府立ふりつ中央ちゅうおう図書館としょかん (24 May 2011). 「大坂おおさか」はいつ頃ごろから「大阪おおさか」になったのか。またその理由りゆうは何なにか。 (Report). 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん. 2017年ねん1月がつ14日にち閲覧えつらん。『レファレンス協同きょうどうデータベース』より
  7. ^ 「にほんご探偵たんてい局きょく・謎なぞ究明きゅうめいシリーズ(1)大坂おおさかと大阪おおさか《ファイルNo.17》」（PDF）『こんにちわ奥おくさん』第だい100号ごう、大丸おおまるエナウィン、2014年ねん9月がつ1日にち、3頁ぺーじ、2017年ねん1月がつ14日にち閲覧えつらん。 
  8. ^ 大阪おおさか市し史し　大阪おおさか市役所しやくしょ編纂へんさん発行はっこう　大正たいしょう二に年ねん十二月じゅうにがつ二に十じゅう日にち発行はっこうの再版さいはん昭和しょうわ二に年ねん三さん月がつ二に十じゅう日にち発行はっこう　巻まき第だい一いち　2ページ。
  9. ^ 福井ふくい栄一えいいち「第だい2章しょう・上方かみがた三さん都と物語ものがたり～(3)ちゃっかりOSAKAの奮戦ふんせん記き～「小しょう坂ざか」から「大阪おおさか」へ～やっと「大阪おおさか」の出番でばん」『上方かみがた学がく～知しってはりますか、上方かみがたの歴史れきしとパワー』PHP研究所けんきゅうじょ、2003年ねん1月がつ20日はつか。ISBN 4569578845。 
  10. ^ a b c 新しん修おさむ新宿しんじゅく区史くし編集へんしゅう委員いいん会かい 1967, p. 92.
  11. ^ 新しん修おさむ新宿しんじゅく区史くし編集へんしゅう委員いいん会かい 1967, pp. 92–93.
  12. ^ a b 大阪おおさか八はち百ひゃく八はち橋きょう 国土こくど交通省こうつうしょう近畿きんき地方ちほう整備せいび局きょく 大阪おおさか国道こくどう事務所じむしょ、2020年ねん7月がつ11日にち閲覧えつらん。
  13. ^ [1]
  14. ^ アジア経済けいざいニュース「住すみやすい都市としランク、14年ねん連続れんぞくで世界せかい首位しゅい」

参考さんこう文献ぶんけん

  • 新しん修おさむ新宿しんじゅく区史くし編集へんしゅう委員いいん会かい 編へん『新あたらし修おさむ新宿しんじゅく区史くし』東京とうきょう都と新宿しんじゅく区役所くやくしょ、1967年ねん3月がつ。NDLJP:3002679。 (要よう登録とうろく)

関連かんれん書籍しょせき

  • 塚田つかだ孝たかし 『近世きんせい大坂おおさかの都市とし社会しゃかい』 吉川弘文館よしかわこうぶんかん ISBN 4-642-03411-0
  • 鍋井なべい克之かつゆき 『大阪おおさか繁盛はんじょう記き』 東京とうきょう布ぬの井い出版しゅっぱん株式会社かぶしきがいしゃ ISBN 4-8109-1100-4

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