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クルースン (小惑星しょうわくせい)

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クルースン
(クルイシン
3753 Cruithne
パウエル天文台(英語版)で撮影されたCruithne
パウエル天文台てんもんだい英語えいごばん撮影さつえいされたCruithne
かり符号ふごう別名べつめい 1986 TO
分類ぶんるい 地球ちきゅう近傍きんぼう小惑星しょうわくせい
軌道きどう種類しゅるい アテンぐん
火星かせい横断おうだん
金星かなぼし横断おうだん
発見はっけん
発見はっけん 1986ねん10がつ10日とおか
発見はっけんしゃ J・D・ウォルドロン
軌道きどう要素ようそ性質せいしつ
もと:2012ねん9がつ30にち (JD 2,456,200.5)
軌道きどうちょう半径はんけい (a) 0.998 AUえーゆー
近日きんじつてん距離きょり (q) 0.484 AUえーゆー
遠日点えんじつてん距離きょり (Q) 1.511 AUえーゆー
はなれしんりつ (e) 0.515
公転こうてん周期しゅうき (P) 1.00 ねん
(363.98 にち
平均へいきん軌道きどう速度そくど 29.82 km/s
軌道きどう傾斜けいしゃかく (i) 19.81
近日きんじつてん引数ひきすう (ωおめが) 43.80
のぼり交点こうてんけい (Ωおめが) 126.25
平均へいきんきんてんかく (M) 277.23
物理ぶつりてき性質せいしつ
直径ちょっけい 5 km 以下いか
質量しつりょう 1.3 ×1014 kg
平均へいきん密度みつど 2.0? g/cm3
表面ひょうめん重力じゅうりょく 0.0014 m/s2
脱出だっしゅつ速度そくど 0.0026 km/s
自転じてん周期しゅうき 27.44 あいだ
スペクトル分類ぶんるい Q
絶対ぜったい等級とうきゅう (H) 15.1
アルベド反射はんしゃのう 0.15(推定すいてい
表面ひょうめん温度おんど ~378 K
Template (ノート 解説かいせつ■Project

クルースン (3753 Cruithne)(日本にっぽんではほかにクルイシンクルイーニャクルーフニェクルイニェなどの表記ひょうきがある)は太陽系たいようけい地球ちきゅう近傍きんぼう小惑星しょうわくせいアテンぐん)であり、地球ちきゅう沿った軌道きどうきょう軌道きどう天体てんたいco-orbital object英語えいごである(一部いちぶ地球ちきゅう自然しぜん衛星えいせいであるととなえるものもいるが事実じじつではない)。

1986ねん10がつ10日とおかオーストラリアクーナバラブラン英語えいごばんにあるサイディング・スプリング天文台てんもんだいにおいて、ダンカン・ウォルドロンロバート・マックノートマルコム・ハートレー、マイケル・ホーキンス(Michael R. S Hawkins)らととも発見はっけんした。その1983ねんチリヨーロッパ南天なんてん天文台てんもんだい発見はっけんされた1983 UHと同一どういつであることがわかった。

名前なまえ

クルースンは、イギリス諸島しょとう最初さいしょいたケルト部族ぶぞく集団しゅうだんクリフニャぞくにちなんで命名めいめいされた [注釈ちゅうしゃく 1]。 クリフニャぞくヨーロッパ大陸たいりくからうつみ、イギリス諸島しょとうあらわれたのは、紀元前きげんぜん800ねんからどう500ねんにかけてである[注釈ちゅうしゃく 2]

当時とうじのケルトじんが「Cruithne」をどう発音はつおんしていたのか、正確せいかくなところはわかっていない。現代げんだいのアイルランド・ゲールでの発音はつおんは、英語えいごばんウィキペディアなどをもとにカタカナで表記ひょうきすると、「クリフニャ」がちかい ([ˈkrɪhnʲə]) が、英語えいごされた発音はつおんでは「クルーフニェ」([krúxnjə]) となる[5]。ただし小惑星しょうわくせい名称めいしょうについては、ポール・ウィガートのWebサイト(外部がいぶリンク参照さんしょう)では「krooy-nyuh」または「KROOee-nyuh」と発音はつおんするべきだとされており、これにちか表記ひょうきは「クルイーニャ」などである。日本にっぽんでは現在げんざいのところ、「クルースン」もしくは「クルイシン」と表記ひょうきされることがおおい。

軌道きどう

地球ちきゅうからたクルースンはまめのようなかたち軌道きどうえがく。さらに長期ちょうきてきには、このまめ自体じたい地球ちきゅう軌道きどう沿って往復おうふく運動うんどうする。
クルースン(みぎ)と地球ちきゅうひだり)がそれぞれの軌道きどうしゅうっている。

1997ねんまでに、ポール・ウィガート英語えいごばんキンモ・イナネン(ともにカナダヨーク大学だいがく)、セッポ・ミッコラフィンランドトゥルク大学だいがく)によって、この小惑星しょうわくせい異常いじょう軌道きどうつことがされた[6]

クルースンは、実際じっさいには地球ちきゅうまわりをまわっているわけではない。そのわり、地球ちきゅう軌道きどうまわりを螺旋らせんじょううごく。クルースンの(かけじょう馬蹄ばていがた軌道きどう (Horseshoe orbit) はあたかもじゅん衛星えいせいのような軌跡きせきになる[7]が、そのりょうはしでは、それぞれ地球ちきゅう反対はんたいがわ接近せっきんはしても接触せっしょくはしない。近日きんじつてん金星きんぼしよりも太陽たいようちかく、遠日点えんじつてん火星かせい軌道きどうちょう半径はんけいとほぼひとしい。クルースンは地球ちきゅう周回しゅうかいせず、ときには太陽たいようはさんだ反対はんたいがわ[1]、すなわち地球ちきゅうヒルだま外側そとがわにある。水星すいせい軌道きどうない火星かせい軌道きどうがいとお[1]

馬蹄ばていがた軌道きどう自体じたい回転かいてんするため、クルースンがもと馬蹄ばていがた軌道きどうもどるには地球ちきゅうねんで385ねん[疑問ぎもんてん]かかる。このようにクルースンの軌道きどう地球ちきゅうから観測かんそくするかぎ非常ひじょう複雑ふくざつえ、直感ちょっかんにもはんする。しかし、太陽たいよう基準きじゅんると、理解りかいしやすい。多少たしょう楕円だえんがたではあるが、比較的ひかくてき平凡へいぼん軌道きどうをほとんど地球ちきゅうねんの1ねん公転こうてんする。地球ちきゅう重力じゅうりょく楕円だえん軌道きどうにわずかな影響えいきょうあたえるため、クルースンのとし運動うんどう変化へんかし、極端きょくたん軌道きどう地球ちきゅうちかづくことはなくなる。

クルースンは直径ちょっけいやく5kmで、地球ちきゅうに1500まんkmまで接近せっきんする。これは地球ちきゅう - つきあいだ距離きょりやく40ばいである。クルースンの軌道きどう長期ちょうきてきには安定あんていしていないとかんがえられているが、ウィガートとイナネンの計算けいさんによると、なが年月としつきにわたって地球ちきゅう軌道きどう同期どうきしていたことがかった。このさきすうひゃくまんねんあいだ衝突しょうとつ危険きけんがないことは確実かくじつである。

類似るいじ小惑星しょうわくせい

クルースンと同様どうよう地球ちきゅう共鳴きょうめい軌道きどうにあるべつ地球ちきゅう近傍きんぼう小惑星しょうわくせいは、2004ねん時点じてんで3つ発見はっけんされている。(54509) YORP (2000 PH5)、(85770) 1998 UP1(英語えいごばん)、2002 AA29である。

にクルースンのような馬蹄ばていがた軌道きどう自然しぜん天体てんたいとして、土星どせい衛星えいせいであるヤヌスエピメテウスられている。地球ちきゅうとクルースンの場合ばあいくらべれば2つの衛星えいせい質量しつりょうちがいははるかにちいさいため、2つの衛星えいせい完全かんぜんたがいの軌道きどうわることができる(ラグランジュてん#同期どうき軌道きどう天体てんたい土星どせい衛星えいせい#共有きょうゆう軌道きどう衛星えいせい参照さんしょう)。

火星かせいにもこのような共鳴きょうめい軌道きどうにある小惑星しょうわくせい (5261) エウレカがあり、木星もくせいにはトロヤぐんばれるやく400もの同種どうしゅ天体てんたいしたがっている。土星どせいにもテティスしたがテレストカリプソディオネしたがヘレネのようなトロヤ衛星えいせいがある。しかしながら、いずれも馬蹄ばていがた軌道きどうはとっていない。

ポップカルチャーに登場とうじょう

SF作家さっかスティーヴン・バクスターは、クルースンの奇妙きみょう軌道きどうのためか、著書ちょしょManifold:Time英語えいご多様たようたい時間じかん)のなかでクルースンを舞台ぶたいげている。 どうさくは2000ねんアーサー・C・クラークしょうノミネートさく

この惑星わくせいはイギリスのテレビドラマ「QI英語えいごシーズン1[注釈ちゅうしゃく 3]のエピソード「Astronomy」で地球ちきゅうだい2のつきあやまって説明せつめいされ、のちのエピソードで訂正ていせい情報じょうほうれて地球ちきゅうに1まん8せんある小型こがたつきのひとつと紹介しょうかいした。SFコミック「X-メン」シリーズちゅう、『Astonishing X-Men』には寄生きせい生物せいぶつBrood英語えいご (ブルード) が棲息せいそくする惑星わくせい設定せっていされ、エージェントアビゲイル・ブランド英語えいごひきいる S.W.O.R.D. が秘密ひみつ研究所けんきゅうじょ破壊はかいする[8]だいさん世界せかい大戦たいせん仮想かそうしたSFシリーズInsignia trilogy英語えいご (仮題かだい記章きしょうさんさく) は地球ちきゅう軌道きどうないすす設定せっていで、太陽系たいようけいぐん前哨ぜんしょう基地きち配置はいちしている。だい3さく『Catalyst』の設定せっていでは地球ちきゅうとあわや衝突しょうとつする寸前すんぜん破壊はかいされ、地表ちひょう広範こうはん落下らっかした破片はへんでおよそ8おくにんちょう落命らくめいするという。「民間みんかんじん」、密輸みつゆしょうなど定住ていじゅうしゃがいる惑星わくせいとしてあつかうSF小説しょうせつシリーズ「Aeon 14」[9]はテラン宇宙うちゅう艦隊かんたい (TSF) 前哨ぜんしょう基地きちのほか民間みんかん企業きぎょう本拠地ほんきょちとする[10]。その設定せっていは James S. Aaron とのともさく『The Proteus Bridge』(Legends of the Sentience Wars #1) にがれる[11]

参考さんこう文献ぶんけん

  • Cairney, C. Thomas (1989). “VI. The Cruithne” (英語えいご). Clans and families of Ireland and Scotland : an ethnography of the Gael, A.D.. Jefferson, N.C.: McFarland. p. 51. OCLC 18559005 ISBN 0899503624, 9780899503622
  • Christou, A. A.; Asher, D. J. (2011). “A long-lived horseshoe companion to the Earth” (英語えいご). Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 414 (4): 2965. arXiv:1104.0036. Bibcode2011MNRAS.414.2965C. doi:10.1111/j.1365-2966.2011.18595.x. 
  • Wiegert, Paul A.; Innanen, Kimmo (June 1998). “The Orbital Evolution of Near-Earth Asteroid 3753”. The Astronomical Journal 115 (6): 2604–2613. Bibcode1998AJ....115.2604W. doi:10.1086/300358. 

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

  1. ^ 古代こだいピクトじんアイルランドCruthin英語えいごいろられた人々ひとびと)といい、『アルスターのしょ』に記載きさいがある[1]ほか、伝承でんしょうめたen:Pictish Chronicle には「Cingeの息子むすこCruidne」が100ねんにわたりおさ[2]一族いちぞくめい(なおや)となったことがべてある。
  2. ^ Electric Scotland のウェブサイトより[3]。ウェブサイトには書籍しょせきばん[4]転載てんさいされている(文字もじ原稿げんこうのみ)。
  3. ^ 『QI』は Quite Interesting のりゃく)。

出典しゅってん

  1. ^ a b c Cruithne: Asteroid 3753” (英語えいご). Western Washington University Planetarium(大学だいがく天文台てんもんだい). 2011ねん1がつ27にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2012ねん3がつ2にち閲覧えつらん
  2. ^ Kessler Associates. “Kingdoms of Caledonia & Ireland - Pictland” (英語えいご). www.historyfiles.co.uk. 2019ねん12月21にち閲覧えつらん
  3. ^ Electric Scotland's Classified Directory > Unique Cottages | Clans and Families of Ireland and Scotland英語えいご
  4. ^ Cairney 1989, p. 51.
  5. ^ 『リーダーズ・プラス』研究けんきゅうしゃ(1994ねん
  6. ^ Wiegert, Innanen 1998, pp. 2604–2613.
  7. ^ Christou, Asher 2011, p. 2965.
  8. ^ (英語えいご) Astonishing X-Men. GCD : Series : Marvel, 2004. 3. (2013-12). https://www.comics.org/series/11653/ 2019ねん12月23にち閲覧えつらん. 
  9. ^ Terran Space Force Marines | Aeon 14 / The Intrepid Saga”. 著者ちょしゃ Cooper のサイト. 2018ねん10がつ12にち閲覧えつらん
  10. ^ Cooper, M. D. (2018ねん). “The Aeon 14 Reading Guide”. 2019ねん12月23にち閲覧えつらん
  11. ^ James S. Aaron; M.D. Cooper (2018-08-09) (Kindle). The Proteus Bridge (Legends of the Sentience Wars, #1). Legends of the Sentience Wars #1. The Wooden Pen Press. ASIN B07F18VHQ8. https://www.goodreads.com/book/show/40648827-the-proteus-bridge 2019ねん12月23にち閲覧えつらん 

関連かんれん項目こうもく

関連かんれん文献ぶんけん

外部がいぶリンク