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カリプソ (衛星えいせい)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
カリプソ
Calypso
カッシーニが撮影したカリプソ（2010年2月13日）
カッシーニが撮影さつえいしたカリプソ（2010年ねん2月がつ13日にち）
仮かり符号ふごう・別名べつめい 仮かり符号ふごう S/1980 S 25
別名べつめい Saturn XIV
分類ぶんるい 土星どせいの衛星えいせい
発見はっけん
発見はっけん日び 1980年ねん3月13日にち
発見はっけん者しゃ D. Pascu
P. Kenneth Seidelmann
William A. Baum
Douglas G. Currie[1]
軌道きどう要素ようそと性質せいしつ
軌道きどう長ちょう半径はんけい (a) 294,721 km[2]
離はなれ心しん率りつ (e) 0.0005[2]
公転こうてん周期しゅうき (P) 1.8878 日にち[2]
(45時じ間あいだ18分ふん26秒びょう)
軌道きどう傾斜けいしゃ角かく (i) 1.500° (土星どせいの赤道せきどう)[2]
近日きんじつ点てん引数ひきすう (ωおめが) 17.470°[2]
昇のぼり交点こうてん黄き経けい (Ωおめが) 314.226°[2]
平均へいきん近きん点てん角かく (M) 156.660°[2]
土星どせいの衛星えいせい
物理ぶつり的てき性質せいしつ
三さん軸じく径みち 30.2 × 23 × 14 km[3]
平均へいきん半径はんけい 10.7 ± 0.7 km[3]
質量しつりょう 2.5×1015 kg[4]
平均へいきん密度みつど 0.5 g/cm3[4]
自転じてん周期しゅうき 同期どうき回転かいてん
アルベド（反射はんしゃ能のう） 1.34 ± 0.10 (幾何きかアルベド)
赤道あかみち傾斜けいしゃ角かく 0
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カリプソ[5][6]（Saturn XIV Calypso）は、土星どせいの第だい14衛星えいせいである。テティスとほぼ同おなじ軌道きどうを公転こうてんしており、テティスのラグランジュ点てんに存在そんざいするトロヤ衛星えいせいの一ひとつである。

発見はっけんと命名めいめい[編集へんしゅう]

1980年ねん3月13日にちに Dan Pascu、P. Kenneth Seidelmann、William A. Baum、Douglas G. Currie による地上ちじょうからの観測かんそくによって発見はっけんされた[7]。発見はっけんの報告ほうこくは7月がつ31日にちの国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうのサーキュラーで公表こうひょうされ、S/1980 S 25 という仮かり符号ふごうが与あたえられた[7]。その後ごの観測かんそくでも複ふく数すう回かい検出けんしゅつされており、その度たびに S/1980 S 29[8]、S/1980 S 30[8]、S/1980 S 32[9]、S/1981 S 2[10] という仮かり符号ふごうが与あたえられている。これらが全すべて同一どういつの天体てんたいであることが報告ほうこくされたのは1981年ねん5月18日にちになってからである[10]。その後ご1983年ねん9月30日にちにギリシア神話しんわに登場とうじょうする海うみの女神めがみカリプソに因ちなんで命名めいめいされ、Saturn XIV という確定かくてい番号ばんごうが与あたえられた[11]。

トロヤ衛星えいせい[編集へんしゅう]

カリプソはテティスと同どう一いち軌道きどう上じょうにあり、テティスの後方こうほうにあるラグランジュ点てん (L5) に存在そんざいしている。このような衛星えいせいはトロヤ衛星えいせいと呼よばれる。テレストも同おなじくテティスのラグランジュ点てんに存在そんざいしており、こちらはテティスの前方ぜんぽうのラグランジュ点てん (L4) に位置いちしている。なお、カリプソがテティスと同おなじ軌道きどうにあり力学りきがく的てきに安定あんていなラグランジュ点てんに存在そんざいすることは、1981年ねんに明あきらかにされた[12]。この状態じょうたいは軌道きどう力学りきがくの観点かんてんから言いうと、テティスとカリプソが 1:1 の平均へいきん運動うんどう共鳴きょうめいを起おこしていることを意味いみしている[13]。

物理ぶつり的てき特徴とくちょう[編集へんしゅう]

土星どせいの他ほかの小型こがたの衛星えいせいや小惑星しょうわくせいと同様どうようにカリプソは不規則ふきそくな形状けいじょうをしており、重かさなった大おおきなクレーターを持もっている。また表面ひょうめんの物質ぶっしつは緩ゆるくしか結むすびついていないため容易よういに移動いどうすることができ、このためクレーターの形状けいじょうを慣ならして滑なめらかな表面ひょうめんに近ちかづく。カリプソの表面ひょうめんは非常ひじょうに反射はんしゃ率りつが高たかく、可視かし光こうでの幾何きかアルベドは 1.34 になる[14]。この非常ひじょうに明あかるい表面ひょうめんは、エンケラドゥスの南極なんきょく領域りょういきから噴出ふんしゅつしてE環たまきを形成けいせいしている微小びしょうな氷こおりの粒子りゅうしが降ふり積つもっていることが原因げんいんだと考かんがえられている[15]。

土星どせい探査たんさ機きカッシーニの観測かんそくにより、カリプソは氷こおりに覆おおわれていることが判明はんめいしており、表面ひょうめんには地じすべりの跡あとの様ような模様もようが確認かくにんされている。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ NASA (2017年ねん12月5日にち). “In Depth | Calypso – Solar System Exploration: NASA Science”. アメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょく. 2018年ねん12月1日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b c d e f g Jet Propulsion Laboratory (2013年ねん8月がつ23日にち). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょ. 2018年ねん12月1日にち閲覧えつらん。
  3. ^ a b Thomas, P. C. (2010-07). “Sizes, shapes, and derived properties of the saturnian satellites after the Cassini nominal mission”. Icarus 208 (1): 395–401. Bibcode: 2010Icar..208..395T. doi:10.1016/j.icarus.2010.01.025. http://www.ciclops.org/media/sp/2011/6794_16344_0.pdf. 
  4. ^ a b Jet Propulsion Laboratory (2015年ねん2月がつ19日にち). “Planetary Satellite Physical Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょ. 2018年ねん12月1日にち閲覧えつらん。
  5. ^ 『オックスフォード天文学てんもんがく辞典じてん』（初版しょはん第だい1刷さつ）朝倉書店あさくらしょてん、92頁ぺーじ。ISBN 4-254-15017-2。 
  6. ^ “太陽系たいようけい内ないの衛星えいせい表ひょう”. 国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかん. 2019年ねん3月がつ9日にち閲覧えつらん。
  7. ^ a b Brian G. Marsden (1980年ねん7月がつ31日にち). “IAUC 3496: Sats OF SATURN; AM Her”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう. 2018年ねん12月1日にち閲覧えつらん。
  8. ^ a b Brian G. Marsden (1980年ねん12月11日にち). “IAUC 3549: 1980 WF; Sats OF SATURN; CH Cyg”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう. 2018年ねん12月1日にち閲覧えつらん。
  9. ^ Brian G. Marsden (1981年ねん4月がつ16日にち). “IAUC 3593: Sats OF SATURN; PKS 0735+178 AND 3C 371”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう. 2018年ねん12月1日にち閲覧えつらん。
  10. ^ a b Brian G. Marsden (1981年ねん5月がつ18日にち). “IAUC 3605: 1981 JD; NEPTUNE APPULSE; Sats OF SATURN”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう. 2018年ねん12月1日にち閲覧えつらん。
  11. ^ Brian G. Marsden (1983年ねん9月がつ30日にち). “IAUC 3872: GX 1+4; Sats OF JUPITER AND SATURN”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう. 2018年ねん12月1日にち閲覧えつらん。
  12. ^ Seidelmann, P. K.; Harrington, R. S.; Pascu, D.; Baum, W. A.; Currie, D. G.; Westphal, J. A.; Danielson, G. E. (1981). “Saturn satellite observations and orbits from the 1980 ring plane crossing”. Icarus 47 (2): 282. Bibcode: 1981Icar...47..282S. doi:10.1016/0019-1035(81)90172-X. 
  13. ^ “暦こよみWiki/共鳴きょうめい - 国立こくりつ天文台てんもんだい暦れき計算けいさん室しつ”. 暦こよみ計算けいさん室しつ. 国立こくりつ天文台てんもんだい. 2018年ねん12月1日にち閲覧えつらん。
  14. ^ Verbiscer, A.; French, R.; Showalter, M.; Helfenstein, P. (2007-02-09). “Enceladus: Cosmic Graffiti Artist Caught in the Act”. Science 315 (5813): 815. Bibcode: 2007Sci...315..815V. doi:10.1126/science.1134681. PMID 17289992. http://www.sciencemag.org/content/315/5813/815.abstract. 
  15. ^ Mason, Betsy (2010年ねん2月がつ15日にち). “New Close-Ups of Saturn's Moons Mimas and Calypso”. wired.com. Condé Nast Digital. 2011年ねん12月23日にち閲覧えつらん。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

各かく群ぐんの衛星えいせいは土星どせいからの軌道きどう長ちょう半径はんけいが近ちかい順じゅんに列記れっきしており、分類ぶんるいは [1] や [2] における軌道きどう要素ようそに基もとづく
羊ひつじ飼かい衛星えいせい群ぐん
軌道きどう共有きょうゆう衛星えいせい
G環たまき内うち
内うち大だい衛星えいせい群ぐん
（およびトロヤ衛星えいせい）
アルキオニデス（副ふく群ぐん?）
外そと大だい衛星えいせい群ぐん
イヌイット群ぐん (13)
キビウク群ぐん (5)
パーリアク群ぐん (1)
シャルナク群ぐん (7)
ガリア群ぐん (7)
北欧ほくおう群ぐん (100)
フェーベ群ぐん (2)
不明ふめい
関連かんれん項目こうもく: テミス（誤認ごにんされた衛星えいせい）・土星どせいの環たまき・太陽系たいようけいの衛星えいせいの一覧いちらん
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