(Translated by https://www.hiragana.jp/)
アルベド - Wikipedia コンテンツにスキップ

アルベド

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

アルベドえい:albedo[ælˈbi.doʊ][1]ラテン語らてんごしろ」)とは、物体ぶったい表面ひょうめん反射はんしゃされるひかり割合わりあい[2]天文学てんもんがくにおいては天体てんたい外部がいぶからの入射にゅうしゃひかりたいする、反射はんしゃひかりである。アルベード[3]反射はんしゃのう(はんしゃのう)ともう。

0以上いじょう、1前後ぜんこう以下いか(1をえることもある)の次元じげんりょうであり、0 – 1の数値すうちそのままか、0 % – 100 %の百分率ひゃくぶんりつあらわす。

アルベドの種類しゅるい

[編集へんしゅう]

ボンドアルベドと幾何きかアルベド

[編集へんしゅう]

おも定義ていぎボンドアルベド幾何きかアルベドとがある。ボンドアルベドは定義ていぎ簡潔かんけつだが実際じっさい算出さんしゅつむずかしく、天文学てんもんがく通常つうじょう使つかわれるのは幾何きかアルベドである。幾何きかアルベドのことは「通常つうじょうアルベド」あるいは「通常つうじょう反射はんしゃりつ」とも呼称こしょうされる。

ボンドアルベド
入射にゅうしゃこう総量そうりょうたいする反射はんしゃこう総量そうりょう割合わりあいである。入射にゅうしゃかく反射はんしゃかくわない。
通常つうじょう電磁波でんじは波長はちょうわず、ぜん帯域たいいきについてスペクトル密度みつど積分せきぶんする。そのため、入射にゅうしゃエネルギーたいする反射はんしゃエネルギーの割合わりあいともえる。
ボンドアルベドはかならず1以下いかであり、鏡面きょうめん反射はんしゃでも乱反射らんはんしゃでも、入射にゅうしゃこうすべ反射はんしゃすれば1である。
算出さんしゅつするには、天体てんたいおおきさだけでなく、天体てんたい表面ひょうめん光学こうがくてき性質せいしつについてる(あるいは仮定かていする)必要ひつようがある。反射はんしゃこうのうちどれだけの割合わりあい観測かんそくものかったかがわからないからである。
「ボンド」とは、提唱ていしょうした天文学てんもんがくしゃジョージ・フィリップス・ボンドのことであり、「結合けつごうアルベド」は誤訳ごやくである。
幾何きかアルベド(ジオメトリックアルベド)
位相いそうかく0°入射にゅうしゃこう方向ほうこう反射はんしゃする)への反射はんしゃこうつよさを、天体てんたい表面ひょうめん完全かんぜんランバートめんだと仮定かていした場合ばあい比較ひかくする。ランバートめんはその性質せいしつじょう光源こうげん垂直すいちょくでもななめでも、平面へいめんでも曲面きょくめんでも、反射はんしゃこうつよさはおなじである。そのため、より一般いっぱんし「おなだん面積めんせき完全かんぜんランバートめん比較ひかく」と表現ひょうげんされることもある。
位相いそうかく0°への反射はんしゃこうのみを問題もんだいにしているため、観測かんそくすれば、天体てんたいおおきさ(より厳密げんみつには、視線しせん方向ほうこうへのだん面積めんせき)のみを仮定かていすれば算出さんしゅつできる。
鏡面きょうめん反射はんしゃつよければ幾何きかアルベドはボンドアルベドよりたかくなり、1をえることもある。現実げんじつ天体てんたいでは1をおおきくえることはないが、理論りろんじょう上限じょうげんはなく、かり完全かんぜん鏡面きょうめん反射はんしゃならとなる。

帯域たいいきによるちが

[編集へんしゅう]

アルベドは、電磁波でんじは帯域たいいきについてスペクトル密度みつど積分せきぶんする。したがってアルベドは、天体てんたい反射はんしゃスペクトルだけではまらず、入射にゅうしゃこうのスペクトルにも依存いぞんする。たとえば、あかつよ反射はんしゃする火星かせいおな反射はんしゃスペクトルの惑星わくせい赤色あかいろぼしまわりをまわっていれば、そのアルベドは火星かせいよりたかい。

帯域たいいきとしては、ボンドアルベドでは通常つうじょうは(ぜんエネルギーの比較ひかくという性質せいしつじょう電磁波でんじはぜん帯域たいいきかんがえるが、幾何きかアルベドの場合ばあい通常つうじょうは(実際じっさい観測かんそくもとづくため)可視かしこう範囲はんいかんがえ、厳密げんみつには可視かしアルベド(可視かし幾何きかアルベド)とぶ。このほか必要ひつようおうじ、あかがいアルベド、むらさきがいアルベドなども使つかわれる。

アルベドは電磁波でんじは波長はちょうごとにも定義ていぎ可能かのうである。人工じんこう衛星えいせいによるリモートセンシングでは地表ちひょうめんアルベドを波長はちょう関数かんすうとしてさだめることが必要ひつようとなる。

地表ちひょうめん反射はんしゃりつ拡散かくさんアルベド

[編集へんしゅう]

地表ちひょうめん反射はんしゃりつ入射にゅうしゃかく関数かんすうとして定義ていぎされ、散乱さんらんかくについては積分せきぶんおこなったりょうあらわす。これにたいし、拡散かくさんアルベドは入射にゅうしゃかくおよび散乱さんらんかく双方そうほうについて積分せきぶんおこなったりょうである。

アルベドとねつ収支しゅうしのフィードバック

[編集へんしゅう]

表面ひょうめん雪氷せっぴょうおおわれている場合ばあい極地きょくちなど)、アルベドは80 %にもたっする。このため地球ちきゅうねつ収支しゅうしへの寄与きよでは、雪氷せっぴょういきたんなるひやげんとしてだけでなく、太陽たいようエネルギー吸収きゅうしゅうりつにもおおきく影響えいきょうする。たとえば、地球ちきゅう寒冷かんれいして雪氷せっぴょうおおわれる面積めんせきえるとアルベドがおおきくなり、地球ちきゅうることができる太陽たいようエネルギーは低下ていかする。そのため、さらに寒冷かんれい加速かそくされるというせいフィードバックきる(スノーボールアース)。また、地球ちきゅう赤道あかみち付近ふきんのアルベドは20 – 30 %ほどである。そのため、地球ちきゅう温暖おんだんによって雪氷せっぴょう面積めんせきれば、さらなる温暖おんだん加速かそくつながるフィードバックがおきる[4]。このフィードバックはアイス・アルベド・フィードバックばれている。

一方いっぽうくもおおわれた惑星わくせいのアルベドはたかく、しろくものアルベドは70 %程度ていどである。そのためぎゃくに、温暖おんだんにより大気たいきなか水蒸気すいじょうきりょうくもえるとアルベドが増加ぞうかするというまけのフィードバックもある。

アルベドの人為じんいてき操作そうさ構想こうそう

[編集へんしゅう]

地球ちきゅう温暖おんだんおくらせるために、くもきり発生はっせいさせて宇宙うちゅう空間くうかんへの反射はんしゃこうやすマリン・クラウド・ブライトニング(MCB)が1990年代ねんだい提唱ていしょうされ、実験じっけんおこなわれているが、気候きこうへどのような影響えいきょうあたえるかについては未知数みちすうである[5]

太陽系たいようけい天体てんたいのアルベド

[編集へんしゅう]

太陽系たいようけい惑星わくせいでアルベドが最高さいこうなのは金星かなぼし最低さいていなのは水星すいせいである(ボンドアルベド、幾何きかアルベドどちらでも)。

天体てんたい 種類しゅるい ボンド 可視かし幾何きか 出典しゅってん
01 水星すいせい 惑星わくせい01 0.068 0.142 [6]
02 金星かなぼし 惑星わくせい02 0.90 0.67 [7]
03 地球ちきゅう 惑星わくせい03 0.306 0.367 [8]
03.1 つき 衛星えいせい03.1 0.11 0.12 [9][10]
04 火星かせい 惑星わくせい04 0.25 0.15 [11]
04.1 フォボス 衛星えいせい04.1 0.071 [10]
04.2 ダイモス 衛星えいせい04.2 0.068 [10]
06 木星もくせい 惑星わくせい06 0.343 0.52 [12]
06.1 イオ 衛星えいせい06.1 0.63 [10]
06.2 エウロパ 衛星えいせい06.2 0.67 [10]
06.3 ガニメデ 衛星えいせい06.3 0.43 [10]
06.4 カリスト 衛星えいせい06.4 0.17 [10]
07 土星どせい 惑星わくせい07 0.342 0.47 [13]
07.1 ヤヌス 衛星えいせい07.1 0.17 [10]
07.2 ミマス 衛星えいせい07.2 0.962 [10]
07.3 エンケラドゥス 衛星えいせい07.3 1.375 [10]
07.4 テティス 衛星えいせい07.4 1.229 [10]
07.5 ディオネ 衛星えいせい07.5 0.998 [10]
07.6 レア 衛星えいせい07.6 0.949 [10]
07.7 タイタン 衛星えいせい07.7 0.2 [10]
07.8 ハイペリオン 衛星えいせい07.8 0.3 [10]
07.9 イアペトゥス 衛星えいせい07.9 0.6 [10]
08 天王星てんのうせい 惑星わくせい08 0.300 0.51 [14]
08.1 ミランダ 衛星えいせい08.1 0.32 [10]
08.2 アリエル 衛星えいせい08.2 0.39 [10]
08.3 ウンブリエル 衛星えいせい07.3 0.21 [10]
08.4 チタニア 衛星えいせい08.4 0.27 [10]
08.5 オベロン 衛星えいせい08.5 0.23 [10]
09 海王星かいおうせい 惑星わくせい09 0.290 0.41 [15]
09.1 トリトン 衛星えいせい09.1 0.719 [10]
10 冥王星めいおうせい じゅん惑星わくせい10 0.50.4–0.6 0.60.5–0.7 [16]
10.1 カロン 衛星えいせい10.1 0.372 [10]

アルベドをあつかった作品さくひん

[編集へんしゅう]

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ 「アルビードウ」、えいろうontheweb「albedo」[1]
  2. ^ ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてんしょう項目こうもく事典じてん「アルベド」[2]
  3. ^ 松田まつだ佳久よしひさ惑星わくせい気象きしょうがく入門にゅうもん 金星きんぼしふうなぞ岩波書店いわなみしょてん、2011ねん、11ぺーじISBN 978-4-00-029583-3 
  4. ^ 地球ちきゅうはこの20ねんで、薄暗うすぐらほしになってきていた──太陽光たいようこう反射はんしゃ低下ていかNewsweekjapan.jp(2021ねん10がつ11にち
  5. ^ 朝日新聞あさひしんぶん朝刊ちょうかん2022ねん10がつ3にち【1.5℃の約束やくそく】:1めんくもづく温暖おんだんふせげるか/海水かいすい噴霧ふんむ 太陽光たいようこう反射はんしゃりつたかめる」/2めんそらへの副作用ふくさよう れない疑問ぎもん
  6. ^ Mercury Fact Sheet, NASA
  7. ^ Mallama, A.; Wang, D.; Howard, R.A. (2006). “Venus phase function and forward scattering from H2SO4”. Icarus 182: 10–22. Bibcode2006Icar..182...10M. doi:10.1016/j.icarus.2005.12.014. 
  8. ^ Earth Fact Sheet”. NASA (2004ねん9がつ1にち). 2010ねん8がつ9にち閲覧えつらん
  9. ^ Moon Fact Sheet, NASA
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w Planetary Satellite Physical Parameters幾何きかアルベドのみ)
  11. ^ Mars Fact Sheet, NASA
  12. ^ Jupiter Fact Sheet, NASA
  13. ^ Saturn Fact Sheet, NASA
  14. ^ Uranus Fact Sheet, NASA
  15. ^ Neptune Fact Sheet, NASA
  16. ^ Pluto Fact Sheet, NASA

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]