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トリトン (衛星 えいせい ) 」は
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(2018年 ねん 12月 )
トリトン [11] [12] (英語 えいご : Triton , Neptune I)は、海王星 かいおうせい 最大 さいだい の自然 しぜん 衛星 えいせい で、海王星 かいおうせい で発見 はっけん された初 はじ めての衛星 えいせい である。1846年 ねん 10月 がつ 10日 とおか にイギリス の天文学 てんもんがく 者 しゃ であるウィリアム・ラッセル によって発見 はっけん された。太陽系 たいようけい 内 うち の大型 おおがた 衛星 えいせい の中 なか では唯一 ゆいいつ 、主 しゅ 惑星 わくせい の自転 じてん 方向 ほうこう に対 たい して逆 ぎゃく 方向 ほうこう に公転 こうてん する逆行 ぎゃっこう 軌道 きどう を持 も つ[6] [13] [14] 。直径 ちょっけい は 2,710 km で[1] 、太陽系 たいようけい の衛星 えいせい の中 なか では7番目 ばんめ に大 おお きい。その逆行 ぎゃっこう 軌道 きどう と、冥王星 めいおうせい に似 に た組成 そせい であることから、トリトンはエッジワース・カイパーベルト から捕 と らえられた準 じゅん 惑星 わくせい 規模 きぼ の天体 てんたい であったと考 かんが えられている[15] 。トリトンは、凍 こお った窒素 ちっそ の表面 ひょうめん と、主 おも に水 みず の氷 こおり から成 な る地殻 ちかく 、マントル [16] 、岩石 がんせき と金属 きんぞく からなる大 おお きな核 かく を持 も っており、総 そう 質量 しつりょう の約 やく 3分 ぶん の2を占 し めている。平均 へいきん 密度 みつど は 2.059 g/cm3 [1] で、これは組成 そせい の約 やく 15~35%が氷 こおり であることを反映 はんえい している[7] 。
トリトンは地質 ちしつ 学 がく 的 てき に活動 かつどう していることが知 し られている数少 かずすく ない太陽系 たいようけい 内 ない の衛星 えいせい の一 ひと つである(他 た には木星 もくせい のイオ やエウロパ 、土星 どせい のエンケラドゥス やタイタン がある)。その結果 けっか 、表面 ひょうめん は比較的 ひかくてき 若 わか く、明確 めいかく なクレーター はほとんど見 み られない。氷 こおり の火山 かざん やテクトニクス といった地形 ちけい の存在 そんざい は、複雑 ふくざつ な地質 ちしつ 学 がく 的 てき 変遷 へんせん を示唆 しさ している。その表面 ひょうめん の一部 いちぶ には昇華 しょうか した窒素 ちっそ ガスを噴出 ふんしゅつ する間欠泉 かんけつせん を有 ゆう しており、地球 ちきゅう の海面 かいめん 上 じょう での気圧 きあつ の70,000分 ぶん の1に相当 そうとう する薄 うす い窒素 ちっそ の大気 たいき に関与 かんよ している[7]
トリトンは1846年 ねん 10月 がつ 10日 とおか にイギリスの天文学 てんもんがく 者 しゃ ウィリアム・ラッセル によって発見 はっけん され[17] 、これは海王星 かいおうせい の発見 はっけん から17日 にち 後 ご のことであった。彼 かれ は自身 じしん が製作 せいさく した口径 こうけい 61cm の望遠鏡 ぼうえんきょう を用 もち いてトリトンを発見 はっけん した。
1820年 ねん にジョン・ハーシェル が海王星 かいおうせい 発見 はっけん の知 し らせを受 う けた時 とき 、ラッセルに存在 そんざい する可能 かのう 性 せい のある衛星 えいせい を探索 たんさく するよう手紙 てがみ を書 か いて提案 ていあん した。ラッセルはそれに応 おう じ、その8日 にち 後 ご にトリトンを発見 はっけん した[17] [18] 。ラッセルは当時 とうじ 、環 たまき を発見 はっけん したと報告 ほうこく したが、後 ご の観測 かんそく で環 たまき はとても微 かす かで暗 くら いということがわかったため、ラッセルが実際 じっさい に環 たまき を観測 かんそく したかどうかは疑 うたが わしい[19] 。
トリトンはポセイドーン (ローマ神話 しんわ ではネプトゥーヌス に相当 そうとう するギリシャ神話 しんわ の神 かみ )の息子 むすこ である、海 うみ の神 かみ トリートーン (Τρίτων )に因 ちな んで命名 めいめい されている[13] 。この名称 めいしょう はカミーユ・フラマリオン によって1880年 ねん に出版 しゅっぱん された書籍 しょせき である、Astronomie Populaire で初 はじ めて提案 ていあん され[20] 、数 すう 十 じゅう 年 ねん 後 ご に正式 せいしき に採択 さいたく された[21] 。1949年 ねん に第 だい 2衛星 えいせい ネレイド が発見 はっけん されるまで、トリトンは一般 いっぱん 的 てき に「海王星 かいおうせい の衛星 えいせい 」と呼 よ ばれていた。ラッセルは自分 じぶん 自身 じしん が発見 はっけん した衛星 えいせい に名称 めいしょう をつけず、後 のち に彼 かれ が発見 はっけん した土星 どせい の第 だい 8衛星 えいせい の名称 めいしょう として、以前 いぜん にジョン・ハーシェルが選 えら んだヒペリオン を使用 しよう することを成功裏 せいこうり に提案 ていあん した[22] 。
トリトンの軌道 きどう (赤 あか 線 せん )は海王星 かいおうせい の赤道 せきどう 面 めん を公転 こうてん する典型 てんけい 的 てき な衛星 えいせい の軌道 きどう (緑 みどり 線 せん )と比 くら べて、公転 こうてん 方向 ほうこう が逆 ぎゃく で157度 ど 傾 かたむ いている 。
トリトンは、太陽系 たいようけい にある全 すべ ての大型 おおがた 衛星 えいせい の中 なか で唯一 ゆいいつ 逆行 ぎゃっこう 軌道 きどう で公転 こうてん 、すなわち、主 しゅ 惑星 わくせい の自転 じてん 方向 ほうこう と逆 ぎゃく 向 む きに公転 こうてん している。木星 もくせい や土星 どせい の外側 そとがわ を公転 こうてん するほとんどの不規則 ふきそく 衛星 えいせい 、天王星 てんのうせい の外側 そとがわ を公転 こうてん するいくつかの衛星 えいせい も逆行 ぎゃっこう 軌道 きどう を持 も つ。しかし、これらの衛星 えいせい は主 しゅ 惑星 わくせい からはるか遠 とお くに離 はな れており、大 おお きさも小 ちい さい。その中 なか で最大 さいだい のもの(フェーベ )[注 ちゅう 6] でも、トリトンの直径 ちょっけい のわずか8%(質量 しつりょう だと0.03%)しかない。
トリトンの軌道 きどう には、海王星 かいおうせい の軌道 きどう に対 たい する海王星 かいおうせい の自転 じてん 軸 じく の傾 かたむ き 30度 ど と、海王星 かいおうせい の自転 じてん に対 たい するトリトンの軌道 きどう 傾斜 けいしゃ 角 かく 157度 ど (90度 ど を超 こ えていれば逆行 ぎゃっこう 軌道 きどう であることを示 しめ す)の2つの傾斜 けいしゃ が関 かか わっている。トリトンの軌道 きどう は、海王星 かいおうせい の自転 じてん に対 たい して678地球 ちきゅう 年 ねん (4.1海王星 かいおうせい 年 ねん )の周期 しゅうき で歳 とし 差 さ 運動 うんどう を起 お こしており[3] [4] 、海王星 かいおうせい の軌道 きどう に対 たい する相対 そうたい 的 てき な軌道 きどう の傾 かたむ きは127度 ど から180度 ど まで変化 へんか し、過去 かこ には173度 ど に達 たっ したこともあった。現在 げんざい は130度 ど になっており、トリトンの軌道 きどう は現在 げんざい 、海王星 かいおうせい の軌道 きどう 面 めん から最 もっと も離 はな れた状態 じょうたい に近付 ちかづ いていることになる。
トリトンの自転 じてん は公転 こうてん と同期 どうき するように潮汐 ちょうせき 固定 こてい されており、常 つね に同 おな じ面 めん を海王星 かいおうせい に向 む けている。トリトンの赤道 せきどう はその軌道 きどう 面 めん とほぼ一致 いっち している[23] 。トリトンの自転 じてん 軸 じく は海王星 かいおうせい の軌道 きどう 面 めん から約 やく 40度 ど 傾 かたむ いているため、海王星 かいおうせい が軌道 きどう 上 じょう のある地点 ちてん にいる間 あいだ 、天王星 てんのうせい の両極 りょうきょく とほぼ同 おな じくトリトンのどちらかの極 きょく は太陽 たいよう に非常 ひじょう に近 ちか い方向 ほうこう を向 む くようになる。海王星 かいおうせい が軌道 きどう を公転 こうてん するにつれて、トリトンの極 きょく 域 いき は太陽 たいよう の方向 ほうこう を向 む くようになり、それぞれの極 きょく に代 か わる代 か わる太陽光 たいようこう が差 さ すという季 き 節 ぶし 変化 へんか が生 しょう じる。このような変化 へんか は、2010年 ねん に観測 かんそく された[24] 。
海王星 かいおうせい の周 まわ りにおけるトリトンの公転 こうてん 運動 うんどう はほぼ完全 かんぜん に円形 えんけい であり、離 はなれ 心 しん 率 りつ はゼロに近 ちか い。潮汐 ちょうせき による粘 ねば 弾性 だんせい の減衰 げんすい だけでは、海王星 かいおうせい 系 けい の形成 けいせい から現在 げんざい までの間 あいだ にトリトンの軌道 きどう を円形 えんけい 化 か することはできないと考 かんが えられており、順行 じゅんこう するデブリ円盤 えんばん (英語 えいご 版 ばん ) からのガス抗力 こうりょく が重要 じゅうよう な役割 やくわり を果 は たしているとされている[4] 。潮汐 ちょうせき 力 りょく の作用 さよう はまた、トリトンの公転 こうてん にブレーキをかけ、地球 ちきゅう から徐々 じょじょ に遠 とお ざかっている月 つき よりも近 ちか い位置 いち にあるトリトンを海王星 かいおうせい に接近 せっきん させてもいる[25] 。予測 よそく では、今 いま から36億 おく 年 ねん 後 ご にはトリトンは海王星 かいおうせい のロッシュ限界 げんかい より内側 うちがわ を通 とお るようになる。これにより、トリトンは海王星 かいおうせい の大気 たいき に落下 らっか するか、あるいは粉砕 ふんさい されて土星 どせい の環 たまき に似 に た新 あら たな環 たまき が形成 けいせい されるだろう[25] 。
トリトンの起源 きげん と考 かんが えられている、太陽系 たいようけい 外縁 がいえん 部 ぶ にあるカイパーベルト (緑 みどり )
逆行 ぎゃっこう 軌道 きどう の衛星 えいせい は、その衛星 えいせい が公転 こうてん する主 しゅ 惑星 わくせい の周 まわ りで形成 けいせい されたデブリ円盤 えんばん から形成 けいせい されることはないため、トリトンは他 た の領域 りょういき から捕獲 ほかく された天体 てんたい であるとされている。太陽 たいよう から約 やく 50 au 離 はな れた位置 いち にある、小 ちい さな氷 こおり の天体 てんたい からなるリング状 じょう の領域 りょういき エッジワース・カイパーベルト (カイパーベルト)がトリトンの起源 きげん かもしれない[15] 。地球 ちきゅう で観測 かんそく される短 たん 周期 しゅうき 彗星 すいせい の大 だい 部分 ぶぶん の起源 きげん であるカイパーベルトには、冥王星 めいおうせい を含 ふく む惑星 わくせい サイズの天体 てんたい がいくつか存在 そんざい している。これらは現在 げんざい 、海王星 かいおうせい と軌道 きどう 共鳴 きょうめい の状態 じょうたい にあるカイパーベルトの中 なか で最 もっと も大 おお きな天体 てんたい (冥王星 めいおうせい 族 ぞく )であると認識 にんしき されている。トリトンは冥王星 めいおうせい よりもわずかに大 おお きいだけで、組成 そせい もほぼ同 おな じであるため、両者 りょうしゃ が同 おな じ起源 きげん を共有 きょうゆう しているという仮説 かせつ が導 みちび かれている[26] 。
トリトンが捕獲 ほかく によって衛星 えいせい になったという仮説 かせつ は、海王星 かいおうせい の衛星 えいせい ネレイドの極端 きょくたん な楕円 だえん 軌道 きどう や、海王星 かいおうせい が他 た の巨大 きょだい ガス惑星 わくせい よりも衛星 えいせい の数 かず が少 すく ないことなどの、海王星 かいおうせい 系 けい のいくつかの特徴 とくちょう を説明 せつめい できるかもしれない。初期 しょき のトリトンの楕円 だえん 軌道 きどう は、不規則 ふきそく 衛星 えいせい の軌道 きどう を横断 おうだん し、より小 ちい さな規則 きそく 衛星 えいせい の軌道 きどう に摂動 せつどう を与 あた え、重力 じゅうりょく の相互 そうご 作用 さよう によってそれらを分散 ぶんさん させただろう[4] 。
捕獲 ほかく されたトリトンの楕円 だえん 軌道 きどう はまた、内部 ないぶ に潮汐 ちょうせき 加熱 かねつ を引 ひ き起 お こし、10億 おく 年間 ねんかん に渡 わた ってトリトンの内部 ないぶ に流体 りゅうたい を存在 そんざい させることができた。この推論 すいろん はトリトンの内部 ないぶ が分化 ぶんか しているという証拠 しょうこ によって裏付 うらづ けられている。この内部 ないぶ 熱源 ねつげん は潮汐 ちょうせき 固定 こてい と軌道 きどう の円形 えんけい 化 か に伴 ともな って消滅 しょうめつ した[27] 。
トリトンの捕獲 ほかく については2種類 しゅるい のメカニズムが提案 ていあん されている。惑星 わくせい の重力 じゅうりょく によって捕 と らえられるためには、通過 つうか する天体 てんたい は離脱 りだつ に必要 ひつよう な速度 そくど よりも低速 ていそく になるために十分 じゅうぶん なエネルギーを失 うしな わなければいけない。初期 しょき の理論 りろん では、トリトンは他 た の天体 てんたい と衝突 しょうとつ したことによって減速 げんそく したと考 かんが えられた。その天体 てんたい は偶然 ぐうぜん 海王星 かいおうせい を通過 つうか した天体 てんたい か (ただし可能 かのう 性 せい は低 ひく い)、もしくは海王星 かいおうせい の周 まわ りを公転 こうてん する衛星 えいせい や原始 げんし 衛星 えいせい (この方 ほう が現実 げんじつ 的 てき )であったとされている[7] 。最近 さいきん の仮説 かせつ では、トリトンは捕獲 ほかく される前 まえ は連 れん 星 ぼし (二 に 重 じゅう 惑星 わくせい ・二 に 重 じゅう 小惑星 しょうわくせい )の一部 いちぶ であったことが示唆 しさ されている。この仮説 かせつ では、連 れん 星 ぼし が海王星 かいおうせい に接近 せっきん した際 さい に重力 じゅうりょく 相互 そうご 作用 さよう によって連 れん 星 ほし 系 けい は破壊 はかい され、連 れん 星 ぼし の片方 かたがた は弾 はじ き飛 と ばされ、もう片方 かたがた のトリトンは海王星 かいおうせい に捕 と らえられたとされる。この現象 げんしょう はもう片方 かたがた の天体 てんたい の質量 しつりょう が大 おお きいとより発生 はっせい しうる[15] 。火星 かせい の衛星 えいせい の捕獲 ほかく についても同様 どうよう のメカニズムが提案 ていあん されている[28] 。この仮説 かせつ は、大 おお きなカイパーベルト天体 てんたい は一般 いっぱん 的 てき に連 れん 星 ぼし を成 な していることなどの、いくつかの証拠 しょうこ によって支持 しじ されている[29] [30] 。この捕獲 ほかく 現象 げんしょう は短期間 たんきかん でしかし穏 おだ やかに発生 はっせい したため、トリトンの衝突 しょうとつ 破壊 はかい を防 ふせ いだとされている。この現象 げんしょう は、海王星 かいおうせい の形成 けいせい 時 じ や、その後 ご の外側 そとがわ への移動 いどう が起 お きていた間 あいだ は一般 いっぱん 的 てき に起 お きていたかもしれない[15] 。
しかし2017年 ねん に行 おこな われたシミュレーションでは、トリトンが捕獲 ほかく された後 のち 、軌道 きどう 離 はなれ 心 しん 率 りつ が小 ちい さくなる前 まえ に少 すく なくとも1個 いっこ の他 ほか の衛星 えいせい と衝突 しょうとつ し、他 た の衛星 えいせい 同士 どうし の衝突 しょうとつ を引 ひ き起 お こしたことが示 しめ された[31] [32] 。
トリトンは
海王星 かいおうせい の
衛星 えいせい 系 けい の
中 なか でも
卓越 たくえつ しており、
全 ぜん 質量 しつりょう の99.5%を
占 し めている。この
不 ふ 均衡 きんこう 性 せい は、トリトンが
捕獲 ほかく された
後 のち に
元々 もともと 海王星 かいおうせい を
公転 こうてん していた
衛星 えいせい の
多 おお くを
排除 はいじょ したことを
反映 はんえい しているかもしれない
[3] [4] 。
トリトン(左下 ひだりした )と月 つき (左上 ひだりうえ )、地球 ちきゅう (右 みぎ )の大 おお きさの比較 ひかく
トリトンは、太陽系 たいようけい で7番目 ばんめ に大 おお きな衛星 えいせい で、天体 てんたい 全体 ぜんたい でも16番目 ばんめ に大 おお きく 、準 じゅん 惑星 わくせい の冥王星 めいおうせい やエリス よりもわずかに大 おお きい。海王星 かいおうせい の環 たまき とその他 た の13個 こ の衛星 えいせい を含 ふく む、海王星 かいおうせい の周回 しゅうかい 軌道 きどう 上 じょう にある物体 ぶったい の全 ぜん 質量 しつりょう の99.5%以上 いじょう を占 し めており[注 ちゅう 7] 、太陽系 たいようけい 内 ない で知 し られているトリトンより小 ちい さな衛星 えいせい の全 ぜん 質量 しつりょう よりも大 おお きい[注 ちゅう 8] 。また直径 ちょっけい は海王星 かいおうせい の5.5%であり、巨大 きょだい ガス惑星 わくせい の衛星 えいせい の中 なか ではその主 しゅ 惑星 わくせい に対 たい する大 おお きさは最 もっと も大 おお きいが、質量 しつりょう の比較 ひかく では土星 どせい の衛星 えいせい タイタン の方 ほう が大 おお きい。冥王星 めいおうせい に似 に た半径 はんけい 、密度 みつど (2.059 g/cm3 )、温度 おんど そして化学 かがく 組成 そせい を持 も つ[33] 。
トリトンの表面 ひょうめん は焼 やき なまし された固体 こたい 窒素 ちっそ の透明 とうめい な層 そう で覆 おお われている。観測 かんそく され研究 けんきゅう が行 おこな われているのはトリトンの表面 ひょうめん の40%のみだが、その表面 ひょうめん は全体 ぜんたい が窒素 ちっそ の氷 こおり でできた薄 うす いシートで覆 おお われている可能 かのう 性 せい がある。冥王星 めいおうせい と同 おな じように、トリトンの地殻 ちかく の55%は窒素 ちっそ の氷 こおり で、そこにその他 た の氷 こおり が混 ま ざったものになっている。水 みず の氷 こおり は15~35%、凍結 とうけつ した二酸化炭素 にさんかたんそ (ドライアイス )が残 のこ りの10~20%を占 し めているが、0.1%のメタン や、0.05%の一酸化 いっさんか 炭素 たんそ を含 ふく む氷 こおり も少量 しょうりょう 存在 そんざい している[7] 。リソスフェア にアンモニア の水 みず 和物 あえもの の兆候 ちょうこう が見 み られるため、表面 ひょうめん にアンモニアの氷 こおり が存在 そんざい する可能 かのう 性 せい も示 しめ されている[34] 。トリトンの平均 へいきん 密度 みつど は、組成 そせい の約 やく 30~45%が氷 こおり で、残 のこ りは岩石 がんせき であることを示唆 しさ している[7] 。表面積 ひょうめんせき は2,300万 まん km2 で、地球 ちきゅう 全体 ぜんたい の4.5%、陸地 りくち のみに限定 げんてい するとその15.5%に相当 そうとう する。トリトンはかなり高 たか いアルベド を持 も ち、受 う ける太陽光 たいようこう の60~95%を反射 はんしゃ する。またその値 ね は最初 さいしょ の観測 かんそく からわずかに変化 へんか している。これに対 たい して、月 つき はわずか11%しか太陽光 たいようこう を反射 はんしゃ しない[35] 。トリトンの赤 あか みがかった色 いろ はメタンの氷 こおり によるものと考 かんが えられており、メタンの氷 こおり は紫外線 しがいせん を受 う けるとソリン に変換 へんかん される[7] [36] 。
トリトンの表面 ひょうめん は長期 ちょうき に渡 わた って溶融 ようゆう していたことを示唆 しさ しているため、内部 ないぶ モデルではトリトンは地球 ちきゅう のように固体 こたい の核 かく とマントル 、そして地殻 ちかく に分化 ぶんか していることを仮定 かてい している。岩石 がんせき と金属 きんぞく からなる核 かく を取 と り囲 かこ んでいるトリトンのマントルは、太陽系 たいようけい で最 もっと も多 おお く存在 そんざい している揮発 きはつ 性 せい 物質 ぶっしつ である水 みず で構成 こうせい されている。トリトンの内部 ないぶ には、放射 ほうしゃ 性 せい 物質 ぶっしつ の崩壊 ほうかい 熱 ねつ で今日 きょう までマントルの対流 たいりゅう を駆動 くどう するのに十分 じゅうぶん な量 りょう の岩石 がんせき が存在 そんざい する。この熱 ねつ は、エウロパ の内部 ないぶ に存在 そんざい すると仮定 かてい されているのと同様 どうよう の、全 ぜん 球 たま 規模 きぼ の地下 ちか 海洋 かいよう を維持 いじ するのに十分 じゅうぶん である可能 かのう 性 せい もある[7] [37] [38] 。排出 はいしゅつ された黒色 こくしょく の物質 ぶっしつ には有機 ゆうき 化合 かごう 物 ぶつ が含 ふく まれている可能 かのう 性 せい があり[37] 、トリトンに液体 えきたい の水 みず が存在 そんざい していれば、何 なん らかの形態 けいたい の生命 せいめい にとって居住 きょじゅう 可能 かのう 性 せい があると推測 すいそく されている[37] [39] [40] 。
トリトンの想像 そうぞう 図 ず 。縁 えん に薄 うす い大気 たいき が描 えが かれている。
トリトンはその表面 ひょうめん に微量 びりょう の一酸化 いっさんか 炭素 たんそ と少量 しょうりょう のメタンを含 ふく む薄 うす い窒素 ちっそ の大気 たいき を持 も つ[41] [42] 。冥王星 めいおうせい の大気 たいき と同様 どうよう に、トリトンの大気 たいき は表面 ひょうめん からの窒素 ちっそ の蒸発 じょうはつ に起因 きいん していると考 かんが えられている[26] 。トリトンにある窒素 ちっそ の氷 こおり は温度 おんど が比較的 ひかくてき 高 たか い場所 ばしょ に生成 せいせい される六方 ろっぽう 晶 あきら 系 けい の状態 じょうたい で存在 そんざい しており、その温度 おんど では六 ろく 方 ぽう 晶 あきら 系 けい の氷 こおり と立方 りっぽう 晶 あきら 系 けい の氷 こおり の間 あいだ で相 あい 転移 てんい が起 お きるため、表面 ひょうめん 温度 おんど は少 すく なくとも35.6 K (-237.6 ℃ )となる[43] 。温度 おんど の上限 じょうげん は40 K弱 じゃく で、これはトリトンの大気 たいき 中 ちゅう の窒素 ちっそ ガスの平衡 へいこう 蒸気 じょうき 圧 あつ から求 もと めることができる[44] 。これは冥王星 めいおうせい の平均 へいきん 平衡 へいこう 温度 おんど 44 K(-229 ℃)よりも冷 つめ たい。トリトンの表面 ひょうめん の大気 たいき 圧 あつ は約 やく 1.4~1.9 Pa (0.014~0.019 mbar )しかない[7] 。
ボイジャー2号 ごう によって観測 かんそく された、周縁 しゅうえん の上 うえ に存在 そんざい しているトリトンの雲 くも
トリトンの表面 ひょうめん での乱 らん 流 りゅう は対流圏 たいりゅうけん (weather region )を生 う み出 だ しており、その高度 こうど は 8 km に達 たっ している。間欠泉 かんけつせん の噴煙 ふんえん によってトリトンの表面 ひょうめん に残 のこ された縞 しま 模様 もよう は、対流圏 たいりゅうけん が 1 μ みゅー m 以上 いじょう の大 おお きさの物質 ぶっしつ を動 うご かすことが出来 でき る季 き 節 ぶし 的 てき な風 ふう によって動 うご いていることを示唆 しさ している[45] 。他 た の天体 てんたい の大気 たいき とは異 こと なり、トリトンには成層圏 せいそうけん が存在 そんざい しておらず、代 か わりに高度 こうど 8~950 km に熱 ねつ 圏 けん 、その外側 そとがわ に外気 がいき 圏 けん が存在 そんざい している。太陽 たいよう の放射 ほうしゃ と海王星 かいおうせい の磁気圏 じきけん から吸収 きゅうしゅう された熱 ねつ により、トリトンの大気 たいき 上層 じょうそう 部 ぶ の温度 おんど は 95 ± 5 K と表面 ひょうめん よりも高温 こうおん になっている[46] 。大気 たいき 中 ちゅう のヘイズ (もや) は対流圏 たいりゅうけん の大 だい 部分 ぶぶん に浸透 しんとう しており、主 おも にメタンと太陽光 たいようこう の作用 さよう によって生 しょう じた炭化 たんか 水素 すいそ とニトリル から成 な ると考 かんが えられている。トリトンの大気 たいき には、高度 こうど 1~3 km に凝縮 ぎょうしゅく した窒素 ちっそ の雲 くも が存在 そんざい している[7] 。
1997年 ねん に、地球 ちきゅう からトリトンが恒星 こうせい の前 まえ を通過 つうか した際 さい にトリトンの周縁 しゅうえん 部分 ぶぶん が観測 かんそく された。この観測 かんそく 結果 けっか から、大気 たいき の密度 みつど はボイジャー2号 ごう のデータから推測 すいそく されたものより大 おお きいことが示唆 しさ された[47] 。他 た の観測 かんそく では、1989年 ねん から1998年 ねん の間 あいだ に気温 きおん が5%上昇 じょうしょう していることが観測 かんそく されている[48] 。これらの観測 かんそく 結果 けっか から、トリトンは数 すう 百 ひゃく 年 ねん に一 いち 度 ど だけ訪 おとず れる異常 いじょう に暖 あたた かい夏 なつ の季 き 節 ぶし に近付 ちかづ いていることが示 しめ されている。この温暖 おんだん 化 か の理論 りろん には表面 ひょうめん の霜 しも のパターンの変化 へんか と氷 こおり のアルベドの変化 へんか が含 ふく まれており、そのためより多 おお くの熱 ねつ を吸収 きゅうしゅう することができる[49] 。別 べつ の理論 りろん では、温度 おんど 変化 へんか は地質 ちしつ 学 がく 的 てき プロセスによる暗 くら い赤色 あかいろ の物質 ぶっしつ が堆積 たいせき した結果 けっか であると主張 しゅちょう している。トリトンはボンドアルベド が太陽系 たいようけい 内 ない で最 もっと も高 たか い天体 てんたい の1つであるため、スペクトル アルベドの小 ちい さな変動 へんどう に敏感 びんかん であるとされている[50] 。
トリトンの地形 ちけい 学 がく 的 てき 解釈 かいしゃく 図 ず
トリトンの表面 ひょうめん に関 かん する詳細 しょうさい な情報 じょうほう は、全 すべ て1989年 ねん にボイジャー2号 ごう が 40,000 km の距離 きょり にまで接近 せっきん した際 さい に得 え られた[51] 。トリトンの表面 ひょうめん の40%がボイジャー2号 ごう によって撮影 さつえい されており、むらのある露頭 ろとう や尾根 おね 、谷 たに 、溝 みぞ 、盆地 ぼんち 、高原 こうげん 、凍 こお った平野 へいや 、いくつかの衝突 しょうとつ クレーター といった地形 ちけい が存在 そんざい していることが明 あき らかになった。表面 ひょうめん は比較的 ひかくてき 平 たい らであり、観測 かんそく されている範囲 はんい 内 ない の地形 ちけい では高 たか さが 1 km を超 こ えて変化 へんか することはない。衝突 しょうとつ クレーターは比較的 ひかくてき 少 すく ない。最近 さいきん のクレーターの密度 みつど と分布 ぶんぷ の分析 ぶんせき では、地質 ちしつ 学 がく 的 てき に見 み るとトリトンの表面 ひょうめん は非常 ひじょう に若 わか いことが示唆 しさ されており、地域 ちいき によってその推定 すいてい 年齢 ねんれい は600万 まん 年 ねん から5000万 まん 年 ねん と様々 さまざま である[52] 。トリトンの表面 ひょうめん の55%は凍 こお った窒素 ちっそ で覆 おお われており、その氷 ひょう のうち水 すい の氷 こおり は15~35%、ドライアイス(凍 こお った二酸化炭素 にさんかたんそ )が残 のこ りの10~20%を占 し めている[53] 。表面 ひょうめん には、生命 せいめい の起源 きげん への先駆 せんく 的 てき な化学 かがく 物質 ぶっしつ になるかもしれない有機 ゆうき 化合 かごう 物 ぶつ であるソリン の堆積 たいせき 物 ぶつ が見 み られる[54] 。
窒素 ちっそ の間欠泉 かんけつせん の噴火 ふんか によって残 のこ された塵 ちり の堆積 たいせき 物 ぶつ であると考 かんが えられている、トリトンの南極 なんきょく の極冠 きょっかん を横切 よこぎ る暗 くら い縞 しま 模様 もよう
トリトンは地質 ちしつ 学的 がくてき には活動 かつどう 的 てき で表面 ひょうめん は若 わか く、衝突 しょうとつ クレーターの数 かず が比較的 ひかくてき 少 すく ない。トリトンの地殻 ちかく は様々 さまざま な氷 こおり で構成 こうせい されているが、その地下 ちか で起 お きているプロセスは地球 ちきゅう 上 じょう で火山 かざん や地溝 ちこう 帯 たい を形成 けいせい するものと似 に ている。ただし、トリトンではそのプロセスでは液体 えきたい の岩石 がんせき ではなく水 みず とアンモニア がはたらく[7] 。トリトンは表面 ひょうめん 全体 ぜんたい に複雑 ふくざつ な谷 たに や尾根 おね が存在 そんざい しているが、これらはおそらくテクトニクス と火山 かざん 活動 かつどう によるものであるとされている。トリトンの表面 ひょうめん における特徴 とくちょう の大 だい 部分 ぶぶん は、天体 てんたい 衝突 しょうとつ などの外的 がいてき な要因 よういん ではなく、内部 ないぶ の地質 ちしつ 学 がく 的 てき なプロセスによって形成 けいせい された内因 ないいん 的 てき なものであり、その多 おお くはテクトニクス的 てき なものと言 い うよりは噴火 ふんか や噴出 ふんしゅつ 的 てき な性質 せいしつ のものである[7] 。
探査 たんさ 機 き ボイジャー2号 ごう は1989年 ねん に、トリトンの表面 ひょうめん で窒素 ちっそ を噴出 ふんしゅつ する少数 しょうすう の間欠泉 かんけつせん と、それに付随 ふずい する表面 ひょうめん から 8 km の高 たか さにまで達 たっ する塵 ちり の噴煙 ふんえん を観測 かんそく した[33] [55] [13] 。そのためトリトンは、地球 ちきゅう 、イオ およびエンケラドゥス と共 とも に、ある種 しゅ の活発 かっぱつ な噴火 ふんか 活動 かつどう が観測 かんそく されている太陽系 たいようけい 内 ない でも数少 かずすく ない天体 てんたい の1つであるとされている[56] 。最 もっと も良 よ く観測 かんそく された煙 けむり の柱 はしら はヒリ(Hili)とマヒラニ(Mahilani)と命名 めいめい されている(それぞれズールー神話 しんわ (英語 えいご 版 ばん ) の水 みず の精 せい とトンガ に伝 つた わる水 みず の精霊 せいれい の名 な に因 ちな む)[57] [58] 。
観測 かんそく されている全 すべ ての間欠泉 かんけつせん は、トリトンの太陽 たいよう 直下 ちょっか 点 てん に近 ちか い南緯 なんい 50度 ど から57度 ど の領域 りょういき 内 ない に存在 そんざい している。このことは、トリトンが太陽 たいよう から遠 とお く離 はな れているため、とても微弱 びじゃく ではあるものの太陽 たいよう からの熱 ねつ の存在 そんざい が極 きわ めて重要 じゅうよう であることを示 しめ している。トリトンの表面 ひょうめん はおそらく暗 くら い基質 きしつ の上 うえ に半 はん 透明 とうめい の凍 こお った窒素 ちっそ の層 そう から成 な り、一種 いっしゅ の「固体 こたい の温室 おんしつ 効果 こうか 」を生 う み出 だ すと考 かんが えられている。太陽 たいよう からの放射 ほうしゃ は表面 ひょうめん の薄 うす い氷 こおり 床 ゆか を通過 つうか し、地上 ちじょう から噴出 ふんしゅつ するのに十分 じゅうぶん なガス圧 あつ が蓄積 ちくせき するまで表面 ひょうめん 下 か の窒素 ちっそ を徐々 じょじょ に加熱 かねつ して蒸発 じょうはつ させている[7] [45] 。そして、周囲 しゅうい の表面 ひょうめん 温度 おんど 37 K よりも温度 おんど が 4 K 上回 うわまわ ると、観測 かんそく された高 たか さの噴出 ふんしゅつ を駆動 くどう する可能 かのう 性 せい があるとされている[55] 。一般 いっぱん 的 てき にこうした地質 ちしつ 活動 かつどう は氷 こおり の火山 かざん と呼 よ ばれているが、この窒素 ちっそ のプルーム活動 かつどう は、問題 もんだい となっている天体 てんたい の内部 ないぶ 熱 ねつ に駆動 くどう されるトリトンの大 だい 規模 きぼ な氷 こおり の火山 かざん の噴火 ふんか や、他 た の天体 てんたい の火山 かざん 活動 かつどう とは異 こと なる。これと同様 どうよう に火星 かせい の二酸化炭素 にさんかたんそ の間欠泉 かんけつせん は、季 き 節 ぶし が春 はる になる度 たび に噴出 ふんしゅつ すると考 かんが えられている[59] 。
トリトンの間欠泉 かんけつせん の噴火 ふんか の期間 きかん は最長 さいちょう で1年 ねん になると考 かんが えられており、その間 あいだ に約 やく 1億 おく km3 もの窒素 ちっそ の氷 こおり が昇華 しょうか する。一緒 いっしょ に噴出 ふんしゅつ する塵 ちり は、肉眼 にくがん で観望 かんぼう できる縞 しま 模様 もよう としては風下 かざしも に 150 km の長 なが さにまで堆積 たいせき する可能 かのう 性 せい があり、より拡散 かくさん した堆積 たいせき 物 ぶつ だとさらに遠 とお くまで堆積 たいせき する可能 かのう 性 せい がある[55] 。ボイジャー2号 ごう によって撮影 さつえい された南半球 みなみはんきゅう の画像 がぞう では、こうした暗 くら い色 いろ の縞 しま 模様 もよう が多数 たすう 見 み られる[60] 。1977年 ねん からボイジャー2号 ごう が接近 せっきん した1989年 ねん までの間 あいだ に、トリトンは冥王星 めいおうせい に似 に た赤 あか みがかった色 いろ からはるかに薄 うす い色合 いろあ いに変化 へんか しており、軽 かる い窒素 ちっそ の霜 しも がより古 ふる い赤 あか みを帯 お びた物質 ぶっしつ を覆 おお ったことが示唆 しさ された[7] 。トリトンの赤道 せきどう からの揮発 きはつ 性 せい 物質 ぶっしつ の噴出 ふんしゅつ とそれらの極 きょく への堆積 たいせき は、1 万 まん 年 ねん にわたって極 ごく 移動 いどう を引 ひ き起 お こすのに十分 じゅうぶん な質量 しつりょう を再 さい 分配 ぶんぱい するかもしれない[61] 。
カンタロープ地形 ちけい の領域 りょういき 上 じょう にあるトリトンの南極 なんきょく の明 あか るい極冠 きょっかん
トリトンの南極 なんきょく は、衝突 しょうとつ クレーターと間欠泉 かんけつせん の噴出 ふんしゅつ 口 こう が散在 さんざい しており、凍 こお った窒素 ちっそ とメタンから成 な る反射 はんしゃ 率 りつ の高 たか い極冠 きょっかん で覆 おお われている[13] 。北極 ほっきょく については、ボイジャー2号 ごう が接近 せっきん した時 とき は夜 よる であったため、ほとんど知 し られていないが、北極 ほっきょく にもこうした極冠 きょっかん があるだろうと考 かんが えられている[43] 。
ジパンゴ高原 こうげん (Cipango Planum)のようなトリトンの東半球 ひがしはんきゅう に見 み られる高 たか い平野 へいや は古 ふる い地形 ちけい を覆 おお い隠 かく しているため、氷 こおり の溶岩 ようがん がそれ以前 いぜん の地形 ちけい を一掃 いっそう した結果 けっか であると考 かんが えられる。平野 へいや にはリヴァイアサン(Leviathan Patera)といった窪 くぼ みが点在 てんざい している。トリトンの溶岩 ようがん はアンモニアと水 みず の混合 こんごう 物 ぶつ だと思 おも われているものの、その組成 そせい は知 し られていない[7] 。
トリトンには4つのほぼ円形 えんけい な「壁 かべ のある平野 へいや (Walled plains)」が確認 かくにん されている。これらはこれまで観測 かんそく されている中 なか で最 もっと も平坦 へいたん な領域 りょういき で、高度 こうど の変動 へんどう は 200 m 未満 みまん になっている。この領域 りょういき は氷 こおり の溶岩 ようがん の噴火 ふんか によって形成 けいせい されたと考 かんが えられている[7] 。トリトンの東側 ひがしがわ の縁 えん 近 ちか くにある平野 へいや には、黒 くろ い斑点 はんてん (黒 くろ 斑 まだら )が点在 てんざい している。いくつかの黒 くろ 斑 まだら は広 ひろ がった境界 きょうかい 線 せん を持 も つ単純 たんじゅん なものであり、その他 た ははっきりとした境界 きょうかい 線 せん を持 も ち、中央 ちゅうおう の暗 くら い斑点 はんてん の周 まわ りを白 しろ いハロー(halo)が囲 かこ んでいるものである。典型 てんけい 的 てき な黒 くろ 斑 まだら の直径 ちょっけい は約 やく 100 km で、幅 はば 20~30 km のハローを有 ゆう する[7] 。
トリトンの表面 ひょうめん には複雑 ふくざつ な尾根 おね や谷 たに が存在 そんざい しており、これらはおそらく凍結 とうけつ と融解 ゆうかい のサイクルによる結果 けっか だとされている[62] 。その多 おお くはまた、本質 ほんしつ 的 てき に地殻 ちかく 活動 かつどう で出現 しゅつげん したとされており、伸長 しんちょう または走 はし 向 こう 移動 いどう 断層 だんそう 運動 うんどう に起因 きいん している可能 かのう 性 せい がある[63] 。中央 ちゅうおう 部 ぶ にはエウロパの線 せん 紋 もん 地形 ちけい (規模 きぼ はこちらの方 ほう が大 おお きい[16] )と強 つよ い類似 るいじ 性 せい を持 も つ長 なが い二 に 重 じゅう の尾根 おね があり、同様 どうよう の起源 きげん を持 も つかもしれない[7] 。この地形 ちけい はトリトンの軌道 きどう が完全 かんぜん に円形 えんけい 化 か する前 まえ に起 お きた潮汐 ちょうせき 応 おう 力 りょく によって引 ひ き起 お こされた、断層 だんそう に沿 そ った運動 うんどう で形成 けいせい された可能 かのう 性 せい がある[16] 。これらの平行 へいこう な尾根 おね を持 も つ断層 だんそう は、赤道 あかみち 地域 ちいき を横断 おうだん する複雑 ふくざつ な地形 ちけい の谷 たに の内部 ないぶ から放出 ほうしゅつ したものとされている。尾根 おね や谷 たに 、そしてヤス溝 みぞ (Yasu Sulci)やホ溝 みぞ (Ho Sulci)、ロ溝 みぞ (Lo Sulci)のような溝 みぞ はトリトンの地質 ちしつ 学 がく 的 てき 歴史 れきし で見 み ると中期 ちゅうき に形成 けいせい されたものと考 かんが えられており、多 おお くは同 どう 時期 じき に形成 けいせい されたとされている[64] 。それらの地形 ちけい は「グループ」や「パケット」としてまとめられる傾向 けいこう がある[63] 。
ボイジャー2号 ごう が 130,000 km の距離 きょり から観測 かんそく した、エウロパに似 に た尾根 おね が2つ横切 よこぎ っているカンタロープ地形 ちけい 。スリドル溝 みぞ (Slidr Sulci、画像 がぞう では垂直 すいちょく になっている方 ほう )とタノ溝 みぞ (Tano Sulci)が「X」の字 じ を形成 けいせい している。
トリトンの西半球 にしはんきゅう は、カンタロープ メロンの皮 かわ の模様 もよう に似 に ていることから「カンタロープ地形 ちけい 」と呼 よ ばれる、奇妙 きみょう な一連 いちれん の裂 さ け目 め と窪 くぼ みで構成 こうせい されている[13] 。クレーターは少 すく ないが、これはトリトンで最 もっと も古 ふる い地形 ちけい であると考 かんが えられており[65] 、トリトンの西半球 にしはんきゅう の大 だい 部分 ぶぶん を覆 おお っていると考 かんが えられる[7] 。
カンタロープ地形 ちけい はほとんどが汚 よご れた水 みず の氷 こおり から成 な り、トリトンにしか存在 そんざい していない。直径 ちょっけい 30~40 km の窪 くぼ みがあり[65] 、同 おな じ大 おお きさで滑 なめ らかな曲線 きょくせん になっているため、おそらくクレーターではないとされている。これらの地形 ちけい の形成 けいせい の主 おも な仮説 かせつ としてダイアピリズム (英語 えいご 版 ばん ) 説 せつ があり、これはより密度 みつど の高 たか い物質 ぶっしつ の層 そう を通過 つうか する、より密度 みつど の低 ひく い物質 ぶっしつ の「しこり」が上昇 じょうしょう したことで形成 けいせい とする仮説 かせつ である[7] [66] 。代替 だいたい の仮説 かせつ として、崩壊 ほうかい によって形成 けいせい されたとする説 せつ や、氷 こおり の火山 かざん の活動 かつどう で発生 はっせい した洪水 こうずい によって形成 けいせい されたという説 せつ などがある[65] 。
ツオネラ平原 へいげん (Tuonela Planitia、左 ひだり )とルーア平原 へいげん (Ruach Planitia、中央 ちゅうおう )は、氷 こおり の火山 かざん の活動 かつどう で形成 けいせい されたトリトンの「壁 かべ のある平野 へいや 」 のうちの2つである。クレーターが少 すく ないことは広範囲 こうはんい で比較的 ひかくてき 最近 さいきん に地質 ちしつ 学 がく 的 てき 活動 かつどう があることを示 しめ す証拠 しょうこ である。
継続 けいぞく 的 てき な地質 ちしつ 学 がく 的 てき 活動 かつどう による地形 ちけい の一掃 いっそう と変化 へんか のため、トリトンの表面 ひょうめん 上 じょう においてクレーター は比較的 ひかくてき 稀 まれ である。ボイジャー2号 ごう が撮影 さつえい したトリトンの画像 がぞう の調査 ちょうさ から発見 はっけん されたクレーターはわずか179個 こ であった。一方 いっぽう で、表面積 ひょうめんせき がトリトンのわずか3%しかない天王星 てんのうせい の衛星 えいせい ミランダ には835個 こ ものクレーターが観測 かんそく されている[67] 。トリトンで観測 かんそく された、衝突 しょうとつ によって生 しょう じたと考 かんが えられている最大 さいだい のクレーターはマゾムバ(Mazomba)と呼 よ ばれるクレーターで、直径 ちょっけい は 27 km である[67] [68] 。より大 おお きなクレーターも観測 かんそく されているが、一般 いっぱん 的 てき にこれらは火山 かざん 性 せい のクレーターであると考 かんが えられている[67] 。
数少 かずすく ないトリトンの衝突 しょうとつ クレーターのほとんどは、主 おも に軌道 きどう 運動 うんどう の方向 ほうこう に対 たい して先行 せんこう している方 ほう の半球 はんきゅう に集中 しゅうちゅう しており、その大 だい 部分 ぶぶん が経度 けいど 30度 ど から70度 ど の赤道 せきどう 付近 ふきん に集中 しゅうちゅう している[67] 。これは海王星 かいおうせい の周 まわ りの軌道 きどう 上 じょう の物質 ぶっしつ を掃 は き集 あつ めた結果 けっか であると考 かんが えられている[52] 。トリトンは片面 かためん を恒久 こうきゅう 的 てき に海王星 かいおうせい に向 む けているため、天文学 てんもんがく 者 しゃ 達 たち は先行 せんこう する半球 はんきゅう にはより頻繁 ひんぱん で激 はげ しい衝突 しょうとつ が起 お き、後方 こうほう の半球 はんきゅう への衝突 しょうとつ は少 すく なくなるはずだと予想 よそう している[67] 。ただしボイジャー2号 ごう はトリトンの表面 ひょうめん の40%しか撮影 さつえい していないため、この考 かんが えは不 ふ 確実 かくじつ なままとなっている。
ボイジャー2号 ごう がフライバイした3日 にち 後 ご に撮影 さつえい した海王星 かいおうせい (上 うえ )とトリトン(中央 ちゅうおう )
トリトンの軌道 きどう の特性 とくせい は19世紀 せいき にはすでに高 こう 精度 せいど で求 もと められており、海王星 かいおうせい の軌道 きどう 面 めん に対 たい して非常 ひじょう に傾 かたむ いていて、逆行 ぎゃっこう 軌道 きどう を持 も つことが判明 はんめい していた。トリトンの詳細 しょうさい な観測 かんそく は1930年 ねん まで行 おこな われておらず、1989年 ねん にボイジャー2号 ごう が接近 せっきん するまでは、トリトンについてほとんど知 し られていなかった[7] 。
ボイジャー2号 ごう がフライバイを行 おこな う前 まえ は、天文学 てんもんがく 者 しゃ はトリトンには液体 えきたい 窒素 ちっそ の海 うみ と、地球 ちきゅう の30%もの密度 みつど を持 も つ窒素 ちっそ とメタンから成 な る大気 たいき が存在 そんざい するかもしれないと考 かんが えていた。しかし火星 かせい の大気 たいき 密度 みつど が過大 かだい 評価 ひょうか されていたのと同様 どうよう に、これは正 ただ しくなかったことが判明 はんめい した。火星 かせい と同様 どうよう に、初期 しょき の頃 ころ はより濃 こ い大気 たいき の存在 そんざい が想定 そうてい されていた[69] 。
トリトンの直径 ちょっけい を測定 そくてい する最初 さいしょ の試 こころ みは1954年 ねん にジェラルド・カイパー によってなされ、彼 かれ はトリトンの直径 ちょっけい について 3,800 km という値 ね を得 え た。その後 ご に行 おこな われた測定 そくてい によるトリトンの推定 すいてい 直径 ちょっけい は 2,500~6,000 km と幅 はば があり、これは月 つき (3,474.2 km)よりやや小 ちい さい大 おお きさから地球 ちきゅう の約 やく 半分 はんぶん の大 おお きさにまで匹敵 ひってき する[70] 。1989年 ねん 8月 がつ 25日 にち にボイジャー2号 ごう が海王星 かいおうせい に接近 せっきん した際 さい のデータから、トリトンの正確 せいかく な直径 ちょっけい の推定 すいてい 値 ち (2,706 km)が得 え られた[71] 。
1990年代 ねんだい には、近距離 きんきょり 星 ぼし の掩蔽 えんぺい を用 もち いて地球 ちきゅう からトリトンの周縁 しゅうえん を調 しら べる様々 さまざま な観測 かんそく が行 おこな われ、トリトンに大気 たいき と風変 ふうが わりな表面 ひょうめん が存在 そんざい していることが判明 はんめい した。1997年 ねん 後半 こうはん の観測 かんそく では、トリトンの温度 おんど が上昇 じょうしょう しており、ボイジャー2号 ごう が1989年 ねん に接近 せっきん した際 さい よりも大気 たいき の密度 みつど が著 いちじる しく大 おお きくなっていることが示唆 しさ された[47] 。
2008年 ねん 10月 がつ 16日 にち 、冥王星 めいおうせい 探査 たんさ のために打 う ち上 あ げられた探査 たんさ 機 き ニュー・ホライズンズ が、約 やく 37億 おく 5,000万 まん km 離 はな れた位置 いち から海王星 かいおうせい とトリトンの画像 がぞう を撮影 さつえい した[72] 。
2010年代 ねんだい に行 おこな われることを目指 めざ した海王星 かいおうせい 系 けい の探査 たんさ ミッションの新 あら たな構想 こうそう は、過去 かこ 数 すう 十 じゅう 年 ねん の間 あいだ に何 なん 度 ど もNASA の科学 かがく 者 しゃ によって提案 ていあん されてきた。彼 かれ らはトリトンを主 おも な観測 かんそく 対象 たいしょう としており、それらの提案 ていあん にはタイタン のホイヘンス・プローブ のような着陸 ちゃくりく 機 き をトリトンに送 おく る計画 けいかく が含 ふく まれることも頻繁 ひんぱん にあった。しかし、海王星 かいおうせい とトリトンの探査 たんさ 計画 けいかく は提案 ていあん の段階 だんかい を超 こ えておらず、また、外 そと 太陽系 たいようけい の探査 たんさ ミッションに対 たい するNASAの資金 しきん の用途 ようと は現在 げんざい 、木星 もくせい と土星 どせい の探査 たんさ に集中 しゅうちゅう している[73] 。
トリトンへの着陸 ちゃくりく を行 おこな うミッションとして提案 ていあん されている Triton Hopper と呼 よ ばれる計画 けいかく では、トリトンの表面 ひょうめん から窒素 ちっそ の氷 こおり を採掘 さいくつ し、小 ちい さなロケット推進 すいしん 剤 ざい として使用 しよう するように処理 しょり して、トリトンの表面 ひょうめん からの飛行 ひこう あるいは表面 ひょうめん を「跳 は ねて」渡 わた っていくことが計画 けいかく されている[74] [75] 。
2017年 ねん 10月 がつ 5日 にち に、トリトンによる恒星 こうせい UCAC4 410-143659 の掩蔽 えんぺい が発生 はっせい した[76] 。
色 いろ を
強調 きょうちょう した
地図 ちず 、
画像 がぞう 右側 みぎがわ が
先行 せんこう する
半球 はんきゅう
色 いろ を
強調 きょうちょう した
極座標 きょくざひょう 地図 ちず 、
右 みぎ が
南側 みなみがわ
^
4
π ぱい
r
2
{\displaystyle 4\pi r^{2}}
(
r
{\displaystyle r}
は半径 はんけい )より計算 けいさん 。
^ 体積 たいせき
v
{\displaystyle v}
は
v
=
4
3
π ぱい
r
3
{\displaystyle v={\frac {4}{3}}\pi r^{3}}
(
r
{\displaystyle r}
は半径 はんけい ) より計算 けいさん 。
^ 質量 しつりょう
m
{\displaystyle m}
は
m
=
d
v
{\displaystyle m=dv}
(
d
{\displaystyle d}
は密度 みつど 、
v
{\displaystyle v}
は体積 たいせき ) より計算 けいさん 。
^
G
m
r
2
{\displaystyle {\frac {Gm}{r^{2}}}}
(
m
{\displaystyle m}
は質量 しつりょう 、
r
{\displaystyle r}
は半径 はんけい 、
G
{\displaystyle G}
は万有引力 ばんゆういんりょく 定数 ていすう )より計算 けいさん 。
^
2
G
m
r
{\displaystyle {\sqrt {\frac {2Gm}{r}}}}
(
m
{\displaystyle m}
は質量 しつりょう 、
r
{\displaystyle r}
は半径 はんけい 、
G
{\displaystyle G}
は万有引力 ばんゆういんりょく 定数 ていすう )より計算 けいさん 。
^ 特 とく に大 おお きな不規則 ふきそく 衛星 えいせい には、土星 どせい のフェーベ(210 km)、天王星 てんのうせい のシコラクス (150 km)、および木星 もくせい のヒマリア (85 km)がある。
^ トリトンの質量 しつりょう は 2.14× 10 22 kg。知 し られているその他 た の12個 こ の海王星 かいおうせい の衛星 えいせい の合計 ごうけい 質量 しつりょう は 7.53× 10 19 kg で、トリトンの0.35%に相当 そうとう する。環 たまき の質量 しつりょう はごくわずかである。
^ その他 た の球状 きゅうじょう になっている衛星 えいせい の質量 しつりょう (単位 たんい はkg)は、チタニア - 3.5× 10 21 、オベロン - 3.0× 10 21 、レア - 2.3× 10 21 、イアペトゥス - 1.8× 10 21 、カロン - 1.5× 10 21 、アリエル - 1.3× 10 21 、ウンブリエル - 1.2× 10 21 、ディオネ - 1.0× 10 21 、テティス - 0.6× 10 21 、エンケラドゥス - 0.12× 10 21 、ミランダ - 0.06× 10 21 、プロテウス - 0.05× 10 21 、ミマス - 0.04× 10 21 となっている。その他 た の衛星 えいせい の全 ぜん 質量 しつりょう は約 やく 0.09× 10 21 。したがって、トリトンより小 ちい さな衛星 えいせい の全 ぜん 質量 しつりょう は約 やく 1.65× 10 22 となる。
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