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シラミ

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しらみから転送てんそう
シラミ Anoplura
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 節足動物せっそくどうぶつもん Arthropoda
つな : 昆虫こんちゅうつな Insecta
: 咀顎 Psocodea
下目しため : シラミ下目しため Phthiraptera
小目こもく : シラミ小目こもく Anoplura

シラミしらみしらみ)は、昆虫こんちゅうつな咀顎シラミ小目こもく (Anoplura) [1]ぞくする昆虫こんちゅう総称そうしょうぜんたね血液けつえき体液たいえき寄生きせい生物せいぶつである。かつてはシラミはだか学名がくめいおなじAnoplura)ともされた。

広義こうぎには、咀顎のうち寄生きせいせいのものの総称そうしょうとして、シラミ小目こもくのほか、おも体毛たいもう羽毛うもう咀嚼そしゃくするハジラミるいふくまれる(シラミるい(Phthiraptera)。かつてはこれに階級かいきゅうあたえることもあった)。咀顎にはシラミ小目こもくとハジラミるいのほかに、寄生きせいせいでないチャタテムシがいる。

また咀顎以外いがいにも、外部がいぶ寄生きせいするしょう動物どうぶつ動物どうぶつ付着ふちゃくする生物せいぶつに「〜ジラミ」のがつくものがいる。昆虫こんちゅうでは、カメムシに3グループがあり、哺乳類ほにゅうるい寄生きせいするトコジラミ植物しょくぶつから吸汁するコナジラミおなじくキジラミうえがあり、昆虫こんちゅう以外いがいではウオジラミ甲殻こうかくもんえら)、クジラジラミ甲殻こうかくもんはしあし)。ヤブジラミ植物しょくぶつセリ)があるがこれらは生物せいぶつ学的がくてきにはシラミには該当がいとうしない。

以下いかでは、シラミ小目こもくについてべる。

系統けいとう分類ぶんるい

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現在げんざい世界中せかいじゅうやく1000しゅられ、おおくの未知みちしゅがあるとかんがえられている。ハジラミるいより分化ぶんかしたとかんがえられるが、化石かせきじょう証拠しょうこはない。ハジラミるい同様どうよう外部がいぶ寄生虫きせいちゅうとして哺乳類ほにゅうるいなか生活せいかつするが、ハジラミるいことなり鳥類ちょうるいからはまったくられていない。

日本にっぽん分類ぶんるい学会がっかい連合れんごうによる日本にっぽんさん生物せいぶつしゅすう調査ちょうさ確認かくにんされている「シラミ」(ほん記事きじのシラミ小目こもく対応たいおう)の既知きちたねかずは、以下いかとお[2]

このうち人間にんげん寄生きせいするシラミは、ヒトジラミアタマジラミ Pediculus humanus humanusコロモジラミ Pediculus humanus corporis の2亜種あしゅがある。最近さいきんでは両者りょうしゃ別種べっしゅとするせつもある)とケジラミ Phthirus pubisの2しゅ である。これらはひろし世界せかいしゅ(コスモポリタン)で、人類じんるい寄生きせいしているたねぜん世界せかいおなじこれらのたねである[3]

形態けいたい

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おおくは体長たいちょうすうmm以下いかであり外観がいかんはん透明とうめい柔弱にゅうじゃく印象いんしょうだが、ゴムのよう弾力だんりょくせいのある丈夫じょうぶからだかべ構造こうぞうっている。 体型たいけいはハジラミるいるが頭部とうぶちいさく、口器こうきいちじるしく変形へんけいし、したはり唾腺だせんしたしもくちびるはりから構成こうせいされる管状かんじょうするどい吻針となり、それを宿主しゅくしゅ皮膚ひふして咽頭いんとうにあるポンプで吸血きゅうけつする(とはことなりオスもメスも吸血きゅうけつする)。使用しようしないときは口器こうきあたまなかにひきこまれる。 触角しょっかくは5せつからなるが、まれには3せつのものもある。 1つい複眼ふくがんつが退化たいか傾向けいこうにあり、単純たんじゅんな1ついのレンズや受光じゅこうまだらとなるたね欠如けつじょしているたねもある。 胸部きょうぶの3せつはつねに癒合ゆごうし、退化たいかしている。あしをつかむのにてきするよう変形へんけいし、てんぶしは1せつとなる。その先端せんたんには1ほんつめがある。 腹部ふくぶは9せつからなり、産卵さんらんかん退化たいかし、2つのべんとなっている。

生態せいたい

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不完全ふかんぜん変態へんたいたまご幼虫ようちゅう成虫せいちゅうとなる。 たまご産卵さんらんかんもと底部ていぶよりされるにかわさま物質ぶっしついちはし宿主しゅくしゅ膠着こうちゃくする。遊離ゆうりまつはしがわには気孔きこう突起とっきばれる通気つうきあなのあるぶたがあり、幼虫ようちゅうはこのたまごぶたから孵化ふかする。幼虫ようちゅう成虫せいちゅうかたちがよくており、孵化ふか直後ちょくごより雌雄しゆうども吸血きゅうけつする。幼虫ようちゅうは3よわいて1~2週間しゅうかんほど成虫せいちゅうとなる。 成虫せいちゅう交尾こうび、ヒトジラミで1にち8~10一生いっしょうやく100~200程度ていどたまごむ。ケジラミはややすくなく1にち1~4一生いっしょうやく40程度ていど産卵さんらんする。寿命じゅみょうはヒトジラミの成虫せいちゅうやく1ヵ月かげつ、ケジラミの成虫せいちゅうやく3週間しゅうかん程度ていどである。[4]

宿主しゅくしゅ特異とくいせい

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シラミは生理せいりてきにも形態けいたいてきにも特定とくてい哺乳類ほにゅうるいにきわめてよく適応てきおうしているので、宿主しゅくしゅ範囲はんい限定げんていされ、宿主しゅくしゅ特異とくいせいきわめてたかい。ある1しゅのシラミは特定とくていの1しゅ、あるいは同属どうぞくすうしゅ宿主しゅくしゅかぎって寄生きせいし、ふつう1つの宿主しゅくしゅには1しゅのシラミだけが寄生きせいする(ヒトウシ、および一部いちぶネズミるい複数ふくすうしゅのシラミの寄生きせいをうけるが、これは例外れいがいてきである)。これは系統けいとうはなれた宿主しゅくしゅにしばしば容易ようい移行いこうすることがられているノミと非常ひじょう対照たいしょうてきである。

またシラミのぞくはそれぞれ、哺乳類ほにゅうるい特定とくていまたはそれにきんえん対応たいおうした寄生きせい関係かんけいをもつので、宿主しゅくしゅとシラミはきょう進化しんかしたとかんがえられる。

なおシラミは、コウモリアリクイゾウセンザンコウカイギュウクジラ獣類じゅうるい、およびたんあなるいゆうぶくろるいには寄生きせいしない[3]

人間にんげんとのかかわり

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人間にんげんにつくシラミ2しゅのうちヒトジラミは、アタマジラミ Pediculus humanus humanusコロモジラミ Pediculus humanus corporis の2亜種あしゅけられる。DNAちがいから、およそ7まんねんまえにコロモジラミがアタマジラミからかれたと推定すいていされている。このことは人類じんるいがそのすこまえ時代じだいから衣服いふくをまとうようになったとするせつ根拠こんきょの1つにげられている。もう1しゅケジラミで、陰部いんぶ生息せいそくし、これはのレベルで分類ぶんるいことにする。

ノミとシラミ

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ノミとシラミはともに人間にんげん寄生きせいして吸血きゅうけつし、かゆみをあたえるために、よくたいにしてあつかわれる。しかし、ノミはさなぎ完全かんぜん変態へんたい昆虫こんちゅうのうち、比較的ひかくてき原始げんしてきシリアゲムシちか系統けいとう昆虫こんちゅうから哺乳類ほにゅうるい寄生きせいせい発達はったつさせた系統けいとうであるとかんがえられている。それにたいして、シラミはさなぎない不完全ふかんぜん変態へんたい昆虫こんちゅうのうち、カメムシきんえん咀顎ぞくし、系統的けいとうてきにはおおいにことなる。 さらに、しばしば宿主しゅくしゅ離脱りだつするたねもあるノミには飢餓きがたいせいつよたねおおいが、生涯しょうがい宿やど主体しゅたいひょうごすシラミは通常つうじょう飢餓きがたいせいく。

生活せいかつとして、ノミの幼虫ようちゅう部屋へやのすみのほこりなかなどでそだつのにたいして、シラミは終生しゅうせい宿主しゅくしゅじょうらす。そのため、入浴にゅうよく着替きがえが頻繁ひんぱんおこなわれれば、シラミはらせなくなるが、ノミはかならずしもそうはならず、生息せいそくつづける。それで「シラミは貧乏人びんぼうにんに、ノミは金持かねもちにつく」ともいわれた。

民俗みんぞく

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シラミの語源ごげんについては、しろちゅう転訛てんかであるというせつ有力ゆうりょくである。古名こみょうはまたキササ、その字体じたいしらみ)から半風子はんぷうし(はんぷうし)ともばれる。さらにそのかたちから千手観音せんじゅかんのんという異称いしょうもあったことが横井よこい也有やゆうの『ひゃくむし』などにもえ、だい世界せかい大戦たいせんだい発生はっせいには隠語いんごふうホワイトチイチイばれた。

シラミにまつわるはなしふるくからられ、『古事記こじき』にはスサノオノミコト大穴おおあな牟遅しん八田はったあいだ大室おおむろあたまのシラミりをさせたはなしがあり、昔話むかしばなし継子けいしたんなかにも、継子けいし山中さんちゅうった老婆ろうばのシラミをとってやってぶくさづけられたとかたられるものがある。『古今ここん著聞ちょぶんしゅう』のいちや、曲亭馬琴きょくていばきんの『花春かばるしらみ道行みちゆき』『花見はなみばなししらみ盛衰せいすい』などにもシラミは登場とうじょうする。俳句はいく川柳せんりゅうにもシラミをあつかった作品さくひん数多かずおおい。


シラミの生物せいぶつ

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きゅうシラミのもの以外いがいにも、以下いかのようなものがある。

慣用かんよう

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  • しらみつぶし(虱潰しらみつぶし) - 物事ものごと片端かたはしから処理しょりしていくこと。シラミを身体しんたい衣服いふくからのぞ作業さぎょう面倒めんどう片端かたはしからやるしかないことから。

単位たんい

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リークシャ シラミのたまごいちぶんおもさ。やく0.7mgと換算かんさんされている。[5]

公衆こうしゅう衛生えいせい

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ちゅう

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  1. ^ de Moya, Robert S; Yoshizawa, Kazunori; Walden, Kimberly K O; Sweet, Andrew D; Dietrich, Christopher H; Kevin P, Johnson (2021-06-16). Buckley, Thomas. ed. “Phylogenomics of Parasitic and Nonparasitic Lice (Insecta: Psocodea): Combining Sequence Data and Exploring Compositional Bias Solutions in Next Generation Data Sets” (英語えいご). Systematic Biology 70 (4): 719–738. doi:10.1093/sysbio/syaa075. ISSN 1063-5157. https://academic.oup.com/sysbio/article/70/4/719/5912026. 
  2. ^ 日本にっぽん分類ぶんるい学会がっかい連合れんごう(2003) だいかい日本にっぽんさん生物せいぶつしゅすう調査ちょうさ
  3. ^ a b 『THE SUCKING LICE OF NORTH AMERICA』(THE PENNSYLVANIA STATE UNIVERSITY PRESS) ISBN 0271003952
  4. ^ 図説ずせつ 人体じんたい寄生虫きせいちゅうがく』(南山みなみやまどうISBN 4525170263
  5. ^ 『はかりきれない世界せかい単位たんい株式会社かぶしきがいしゃそうもとしゃ、2017ねん6がつ20日はつか、93ぺーじ 

外部がいぶリンク

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