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におい

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曖昧さ回避 「臭くさい」はこの項目こうもくへ転送てんそうされています。臭くさい（くさい）については「悪臭あくしゅう」をご覧らんください。
曖昧さ回避 「匂におい」と「にほひ」はこの項目こうもくへ転送てんそうされています。襲かさねの色目いろめの匂におい（にほひ）については「襲かさねの色目いろめ」をご覧らんください。

においとは

  • 空気くうき中なかを漂ただよってきて嗅覚きゅうかくを刺激しげきするもの[1]（注ちゅう. 『広辞苑こうじえん』では嗅覚きゅうかく系けいの説明せつめいは2番目ばんめ以降いこうである）。
  • 赤あかなどのあざやかな色彩しきさいが美うつくしく映はえること[2]。視覚しかくで捉とらえられる美うつくしい色彩しきさいのこと。「匂におい」。

語義ごぎ

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まず『広辞苑こうじえん』でどう解説かいせつしているか紹介しょうかいする。次つぎの順番じゅんばんで掲載けいさいされている。

  • 赤あかなどのあざやかな色彩しきさいが美うつくしく映はえること[3]。視覚しかくで捉とらえられる美うつくしい色彩しきさいのこと。「匂におい」。
  • 空気くうき中なかを漂ただよってきて嗅覚きゅうかくを刺激しげきするもの[1][4]。

現代げんだいでは後者こうしゃのような、嗅覚きゅうかくを刺激しげきされ、人ひとが感かんじる物質ぶっしつや感覚かんかくという意味いみで用もちいることの方ほうが増ふえている。

表記ひょうき

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ウィクショナリーに関連かんれんの辞書じしょ項目こうもくがあります。

「におい」は大和言葉やまとことばで、漢字かんじを当あてる場合ばあい、基本きほん的てきには「匂におい」「匂におい」と表記ひょうきする。ただし、「匂におい」は国字こくじである。 良よいにおいを「匂におい」、悪わるいにおいは「臭におい（にお）い」と書かくことが多おおい[注ちゅう 1]。

良よいにおい（匂におい）は大和言葉やまとことばで「かおり」や、漢語かんごで「香気こうき（こうき）」とも言いう[5]。「かおり」に漢字かんじを当あてる場合ばあいは「香かおり」「薫かおり」「芳かおるり」などであり、「芳香ほうこう」といった熟語じゅくごもある。いずれも当用漢字とうようかんじで、「芳かおる」は表ひょう外がい訓くんなどを当あてる。

色彩しきさい

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においには、赤あかなどのあざやかな色彩しきさいが美うつくしく映はえることという意味いみがある[3]。視覚しかくで捉とらえられる美うつくしい色彩しきさいのこと。「匂におい」。

例たとえば『万葉集まんようしゅう』には次つぎのような歌うたがある。

黄葉こうよう（もみじは）のにほひは茂しげし[6] -（『万葉集まんようしゅう』10）

また『いろは歌うた』の冒頭ぼうとうでも「いろはにほへと（色いろは匂におえど）」とある。

伝統でんとう的てきに花はなの雄蕊おしべ雌蕊めしべをまとめて「におい」と言いう。日本にっぽん画がや友禅ゆうぜんなどの和わ柄がら、焼物やきもの、漆器しっきの蒔絵まきえ、絞しぼり細工ざいくなど細工ざいくの花はなの中心ちゅうしん部分ぶぶんのこと。奥おくにより強つよい存在そんざいを感かんじさせる表ひょうに一部いちぶが表出ひょうしゅつしたものを「匂におい」と呼よぶ。

嗅覚きゅうかくの発生はっせい機構きこう

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五感ごかんのうちの嗅覚きゅうかくと味覚みかくは、化学かがく物質ぶっしつの刺激しげきによってもたらされる感覚かんかくであり「化学かがく感覚かんかく」と呼よばれることがある[7]。

器官きかん

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物質ぶっしつの匂におい分子ぶんしが空気くうきによって運はこばれ、鼻はなから（食たべ物ものの場合ばあいは喉のどから）嗅上皮がわに到達とうたつし、嗅上皮がわにある嗅細胞さいぼうの粘膜ねんまくになっているひげ状じょうの嗅繊毛せんもうに付つくことで匂におい分子ぶんしを捉とらえ、嗅神経しんけいを通とおって大脳だいのうまで伝達でんたつされる[7]。

物質ぶっしつ

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においを持もつ物質ぶっしつは約やく10万まんから40万まん種しゅとされるが、リチャード・アクセルとリンダ・バックの研究けんきゅうによると、そのうちヒトが感かんじ取とることができる匂におい物質ぶっしつは1万まん種類しゅるい程度ていどであるのに対たいし、受うけ取とる側がわの受容じゅようタンパク質たんぱくしつの形かたちは1,000種類しゅるいぐらいしかなく、一対一いちたいいち対応たいおうでないことがわかっている[7]。

匂におい分子ぶんしには条件じょうけんがあり、大おおきな分子ぶんしでは空気くうき中ちゅうで運はこばれず低てい分子ぶんしである必要ひつようがあり、かつ揮発きはつ性せいのあるものでなければならない[7]。また、粘膜ねんまくへの付着ふちゃくに関かんして、ある程度ていど水みずや脂あぶらに溶とける必要ひつようがある[7]。さらに受うけ取とる側がわの受容じゅようタンパク質たんぱくしつとの関係かんけいから、分子ぶんし構造こうぞう（立体りったい構造こうぞう）が鍵かぎと鍵穴かぎあなのように相互そうご作用さようするものでなければならない[7]。

嗅覚きゅうかくの感覚かんかく内容ないよう

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主観しゅかん的てきな分類ぶんるい

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匂におい・香かおり

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においの中なかでも、特とくに好このましいものを「かおり」「香かおり」「香気こうき（こうき）」「芳香ほうこう（ほうこう）」と呼よび分わけることがある。

良よい香かおりを身体しんたい・衣服いふく・住居じゅうきょなどに漂ただよわせる文化ぶんかは洋ようの東西とうざいを問とわず古来こらいあり、人々ひとびとは花はなやハーブを採集さいしゅうしたり、香水こうすいや香こうを発達はったつさせてきた歴史れきしがある。たとえば、西洋せいようでは古代こだいローマで西暦せいれき1世紀せいき頃ごろに書かかれたペダニウス・ディオスコリデスの書しょDe Materia Medica（『薬物やくぶつ学がく』）には、「ラベンダーを蒸留じょうりゅうして作つくるラベンダー油ゆは他たのいかなる香料こうりょうもしのぐ香かおりだ」と記述きじゅつされ、着衣ちゃくいや髪かみにつけて用もちいたり入浴にゅうよく剤ざいなどにも使つかわれていたようである。それは現代げんだいでもフランスなど地中海ちちゅうかい沿岸えんがんの国々くにぐにの家庭かていで盛さかんに用もちいられているし、東洋とうようでは香こうを探究たんきゅうしてゆくうちに香道こうどうも行おこなわれるようになった。現在げんざいでも様々さまざまな芳香ほうこう剤ざいが開発かいはつ・販売はんばいされている。

飲食いんしょくにおいても匂におい・香かおりは重要じゅうような要素ようそである。人ひとは口くちに入いれたもの（食品しょくひん・料理りょうり）を咀嚼そしゃくしつつ、その香かおりも感かんじ取とっている。人間にんげんは、香かおりの良よい食材しょくざい選えらびや、香辛料こうしんりょうの使用しよう、香かおりが良よくなる調理ちょうり法ほうの選択せんたくなどにより、匂においや香かおりの面めんでも食生活しょくせいかつを充実じゅうじつさせようと努力どりょくしてきた。たとえば菓子かしなどでも、同一どういつの基本きほん材料ざいりょうでつくるもので栄養えいよう価か的てきにも、テクスチャー（かみごこち）面めんでも、何なんら変かわらないと分わかっていても、（そして品種ひんしゅを増ふやすと、生産せいさんコストや輸送ゆそうコストが増ふえてしまうことが分わかっていても）菓子かしメーカーは、あえて様々さまざまな香かおり（フレイバー）のものをラインナップとして用意よういすることで、人々ひとびとの多様たようなフレイバーに対たいする需要じゅように応こたえようとすることが（そして結果けっかとして総そう売上うりあげを伸のばすことが）広ひろく行おこなわれている。人々ひとびとは、口くちに入いれるものの栄養えいよう価か（あるいは空腹くうふく感かんを抑おさえる作用さよう）や かみごこち ばかりだけでなく、香かおり（フレイバー）も大おおいに楽たのしんでいるのである[注ちゅう 2]。

香水こうすいや芳香ほうこう剤ざい、洗濯せんたく用ようの洗剤せんざい・柔軟じゅうなん剤ざいのように、企業きぎょうが良よいにおいとして開発かいはつ・販売はんばいする製品せいひんであっても、嗅かぐ人ひとによっては香かおりが強つよ過すぎると感かんじたり、不快ふかいな臭くさいとして心身しんしんに影響えいきょうが出でたりすることもある。これを現代げんだいの日本にっぽんでは、公害こうがいとかけて香こう害がい（こうがい）と呼よぶこともある。

詳細しょうさいは「香こう害がい」を参照さんしょう

臭くさい・悪臭あくしゅう

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不快ふかいなにおい、くさい（臭におい）においは、現代げんだいでは「臭気しゅうき」と言いう。「臭におい」という漢字かんじをあて「臭くさい（におい）」とも書かく。

臭においの中なかでも特とくに強つよい不快ふかい感かんをもたらすものを悪臭あくしゅうと言いい、日本にっぽんでは悪臭あくしゅう防止ぼうし法ほうにより規制きせい対象たいしょうとなっている。また刺激しげき性せいの化学かがく物質ぶっしつが撒まかれたり、物ものが腐敗ふはいしたり、焼やけ焦こげたりした時ときには「異臭いしゅう」騒さわぎと報道ほうどうされることもある[9]。

法律ほうりつや条例じょうれいによる規制きせい対象たいしょうではなくても、口臭こうしゅうや加か齢よわい臭しゅう、腋臭わきが症しょうを含ふくめた過度かどの体臭たいしゅう、洗濯せんたくしていない衣服いふく、喫煙きつえんなどによる不快ふかいな臭くさいについて、トラブルの原因げんいんになったり、抑おさえることがエチケットとされたりする。悪意あくいの有無うむにかかわらず、臭気しゅうきで周囲しゅういを不快ふかいにさせることをスメルハラスメントと呼よぶ。

また上記じょうきのように、ある人ひとが好このましいと感かんじて使つかっている芳香ほうこう剤ざいなどが、別べつの人ひとには不快ふかい感かんや身体しんたい症状しょうじょうを催もよおさせる香こう害がい問題もんだいも起おきている[10]。

悪臭あくしゅうや刺激しげき臭しゅうは、腐敗ふはいや有害ゆうがい物質ぶっしつなどの危険きけん性せいを人間にんげんに知しらせることも多おおい。近きん現代げんだいに開発かいはつされた化学かがく兵器へいきには、無色むしょく無臭むしゅうでありながら致死ちし性せいが高たかいものもある。

一方いっぽうで人間にんげんは、文化ぶんか圏けんや嗜好しこうが異ことなる人々ひとびとが悪臭あくしゅうと感かんじるにおいを放はなつ発酵はっこう食品しょくひんなどを好このんで食たべたり[11]、好奇心こうきしんから悪臭あくしゅうを嗅かいでみたりすることもある。後者こうしゃの例れいとしては、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくで開催かいさいされている「最もっとも臭くさいスニーカーコンテスト」[12]（ロッテン・スニーカー・コンテスト）があるほか、東京とうきょうの池袋いけぶくろPARCOが2018年ねん1～2月がつ、シュールストレミングのにおいなどを嗅かげる「におい展てん」を開催かいさいした[13]。スウェーデン南部なんぶのマルメでは2018年ねんに期間きかん限定げんていで「不快ふかいな食たべ物もの博物館はくぶつかん」が開設かいせつされ、シュールストレミングのほかドリアンなど臭くさいが強つよい食品しょくひんも展示てんじされた[14]。

なお食品しょくひんなどで、においの強つよさを示しめす指標しひょうとしては「アラバスター単位たんい」（AUえーゆー）が使つかわれる。

においと人ひとの関係かんけい

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においと感情かんじょうのつながりの強つよさ

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医学いがく領域りょういきにおける様々さまざまな研究けんきゅう成果せいかにより、匂においというのは他たの感覚かんかくとは異ことなり、大脳だいのう辺べ縁えん系けいに直接ちょくせつ届とどいていることが明あきらかになった。その大脳だいのう辺べ縁えん系けいは「情動じょうどう系けい」とも呼よばれており、匂においは人間にんげんの本能ほんのうや、特とくに感情かんじょうと結むすびついた記憶きおくと密接みっせつな関係かんけいがあると指摘してきされている。つまり匂においは、最もっとも感情かんじょうを刺激しげきする感覚かんかくなのだとされているのである[15]。

におい感受性かんじゅせいの男女だんじょ差さ

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女性じょせいは、男性だんせいよりも脳のうの嗅覚きゅうかく野のが発達はったつしているので、匂においに敏感びんかんに反応はんのうする[16]。

女性じょせいは男性だんせい以上いじょうに　においに関心かんしんを寄よせるが、その理由りゆうの一ひとつに、感覚かんかくの男女だんじょ差さがある[17]。女性じょせいは男性だんせいよりも嗅覚きゅうかくが敏感びんかんだと言いわれている[17]。一ひとつの要因よういんは、女性じょせいというのは月経げっけい周期しゅうき内ないの時期じきなどによって、嗅覚きゅうかくが敏感びんかんになる時期じきがあることである[17]。なお排卵はいらん期きには「成人せいじん男性だんせいに関係かんけいするようなにおい」や「不快ふかいなにおい」に対たいする嗅覚きゅうかく感受性かんじゅせいが低下ていかするという[17]。月経げっけい期きには、反対はんたいに、「不快ふかいなにおい」に敏感びんかんになる女性じょせいが多おおいと言いわれている[17]。

脳のうの発達はったつには男女だんじょ差さがあり、嗅覚きゅうかくを司つかさどるのは「嗅覚きゅうかく野の」で、そこは大脳だいのう辺べ縁えん系けいと関係かんけいが強つよいとされている。その大脳だいのう辺べ縁えん系けいは、記憶きおくを司つかさどる海馬かいばや感情かんじょうを司つかさどる扁ひらた桃もも体たいがあり、嗅覚きゅうかく的てき感知かんちに大おおきな影響えいきょうを与あたえている[17]。脳のうがそういう構造こうぞうになっているので、匂においと記憶きおく、また、匂においと感情かんじょう　は結むすびつきやすいのである。そして、女性じょせいはにおいを嗅かいだ時ときに、同時どうじにそれに関連かんれんする記憶きおくまで呼よび覚さましやすいのである[17]。

生理せいり的てきな影響えいきょう

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においは人ひとに生理せいり的てきな影響えいきょうを与あたえることがある。例たとえば、ジャスミンの匂におい（香かおり）は心拍しんぱくのパワースペクトルのLF成分せいぶんを有意ゆういに増大ぞうだいさせる、との研究けんきゅうもある。これはジャスミンの香かおりが副ふく交感神経こうかんしんけいの活動かつどうを増大ぞうだいさせ（＝交感神経こうかんしんけいを抑制よくせいし）、精神せいしん性せいの負荷ふかを減少げんしょうさせることを示唆しさしている[15]。

アロマテラピーは中世ちゅうせいにその原型げんけいが生うまれ、20世紀せいきにより具体ぐたい的てきに提唱ていしょうされた。主しゅとして花はなや木きに由来ゆらいする芳香ほうこう成分せいぶんの香かおりを活用かつようし、ストレス軽減けいげんなど心身しんしんの健康けんこう維持いじに役立やくだつ、ともされる技術ぎじゅつである。

視覚しかく的てきイメージ（視覚しかく内容ないよう）、音おと（聴覚ちょうかく内容ないよう）、味あじ（味覚みかく内容ないよう）などに比くらべると、匂におい（嗅覚きゅうかく内容ないよう）というのは、論ろんじられたり教育きょういくされたりする機会きかいは比較的ひかくてき少すくない。また、近年きんねんの日本にっぽんでは匂においが無ないまたはや少すくないことが良いしとされる傾向けいこうがあり、家庭かてい用ようの消けし臭しゅう剤ざいや消けし臭しゅうグッズ、微香びこう性せいの化粧けしょう品ひん・整髪せいはつ料りょうなどを買かう消費しょうひ者しゃも多おおい。このような「匂においを避さける」という現象げんしょうの背後はいごには、《匂においの抑圧よくあつ》があり、さらにその背後はいごには《本能ほんのうの抑圧よくあつ》や《性せいの抑圧よくあつ》が潜ひそんでいる、と鈴木すずき隆たかしは述のべた[18][19]。

現代げんだいでは、様々さまざまな業種ぎょうしゅの企業きぎょうが、においをイメージアップや販売はんばい促進そくしんに活用かつようしようとしている。こうしたことは10時間じかん以上いじょうも香かおりを長続ながつづきさせる最新さいしんのにおい噴霧ふんむ器きが開発かいはつされたり、「禁煙きんえんを手助てだすけする効果こうかがある」「記憶きおく力りょくを高たかめる効果こうかがある」とされる《機能きのう性せいアロマ》が開発かいはつされたりしたことによる。ただし、人工じんこう的てきな香かおりが氾濫はんらんすることによって、「日本人にっぽんじんがもつ繊細せんさいな《香かおり文化ぶんか》が失うしなわれつつあるのではないか」「自然しぜんの、かすかなにおいを教おしえる必要ひつようがあるのではないか」という専門せんもん家かの指摘してきもあるという[20]。

においの利用りよう

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食品しょくひんや飲料いんりょうでは、素材そざいや調味ちょうみ料りょう、香辛料こうしんりょうおよびそれらを使つかった調理ちょうり・醸造じょうぞうなどにより生しょうじる良よい匂においや香かおりを楽たのしむ。近きん現代げんだいの加工かこう食品しょくひん・飲料いんりょうでは香料こうりょうを加くわえることも多おおい。

エタンチオールなどの一部いちぶの有機ゆうき硫黄いおう化合かごう物ぶつは低てい濃度のうどで十分じゅうぶんに強つよい刺激しげき臭しゅうを持もつ。これを利用りようして微量びりょうのガスが漏もれてもすぐわかるようLPG（液化えきか石油せきゆガス）などに付づけ臭しゅう剤ざいとして添加てんかされることがある。

犯罪はんざい捜査そうさにおいては、人間にんげんよりはるかに鋭敏えいびんな嗅覚きゅうかくを持もつ警察犬けいさつけんを使つかって、犯人はんにんや被害ひがい者しゃ、遺留いりゅう品ひんの追跡ついせき・捜索そうさくを行おこなう。

においの検知けんち・分析ぶんせきと再現さいげん

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各種かくしゅの臭気しゅうき計けいに加くわえて、においの種類しゅるいや強つよさを可視かし化かするカメラが豊橋技術科学大学とよはしぎじゅつかがくだいがくや浜松はままつホトニクスによって開発かいはつされた[21]。

また、人間にんげんの嗅覚きゅうかくが感かんじ取とれるにおいの構成こうせい物質ぶっしつを分析ぶんせきして、「要素ようそ臭しゅう」の組くみ合あわせや合成ごうせいをすることにより、バーチャル・リアリティ（VR）やゲームを含ふくむ映像えいぞうや疑似ぎじ体験たいけんと連動れんどうさせて、においを遠隔えんかく地ちでも再現さいげんする技術ぎじゅつも実用じつよう化かされつつある[22][23]。

においの制御せいぎょ

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「部屋へや干ほし」のにおい

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洗濯せんたく物ものを室内しつないに干ほす「部屋へや干ほし」をした時とき、その臭においが問題もんだいとなる。これは洗濯せんたく物ぶつが乾燥かんそうするまでの長時間ちょうじかん、衣類いるいが湿しめっていることによって雑菌ざっきんが繁殖はんしょくし、それによって臭においが発生はっせいしているからである[24]。

これを防ふせぐ方法ほうほうはいくつかある。一ひとつは、部屋へや干ほしグッズ等とうを使用しようし、[25]できる限かぎり短時間たんじかんで乾かわかすという方法ほうほうである[24]。他ほかにも、雑菌ざっきんを極力きょくりょく少すくない状態じょうたいにしておくことも大切たいせつである[24]。また、「部屋へや干ほし専用せんよう」の洗剤せんざい（抗菌こうきん作用さようのある薬剤やくざいが入はいっているもの）を使つかう方法ほうほう、また通常つうじょうの洗濯せんたく洗剤せんざいに加くわえて衣類いるい用よう漂白ひょうはく剤ざい（漂白ひょうはく剤ざいは滅菌めっきん剤ざいや除菌じょきん剤ざいとしても作用さようする）を入いれる[24]などの方法ほうほうで、菌きんの繁殖はんしょくを最低限さいていげんにすることが可能かのうである[24]。ヨーロッパでは日本にっぽんのように「部屋へや干ほし」の匂においで悩なやんでいる人々ひとびとは少すくない。というのは、フランスやドイツなどで販売はんばいされている洗濯せんたく機きの多おおくが（日本にっぽんの家電かでんメーカー製せいの洗濯せんたく機きとは大おおいに異ことなって）洗濯せんたく時じのお湯ゆの温度おんどを設定せっていする機能きのうがついているものが多おおく、（電気でんきやガスなどで）きれいな水道すいどう水すいをお湯ゆに温あたためて設定せっていされた温度おんどにしつつ洗濯せんたくし、温度おんどとしては60℃以上いじょうで洗あらうと洗濯せんたく物ぶつに潜ひそむ雑菌ざっきんをほぼ全部ぜんぶ殺ころしてしまえることがヨーロッパの家庭かていでは常識じょうしきのように知しられており、（洗濯せんたく物ぶつの状況じょうきょうを判断はんだんしたり、必要ひつように応おうじて）そうした温度おんどに設定せっていして洗あらう習慣しゅうかんがある。そのようにして洗あらった後のちはたとえ部屋へや干ほししても（そもそも、干ほした洗濯せんたく物ぶつの中なかに雑菌ざっきんが少すくないので）あまり変へんな臭においがせず、爽さわやかに仕上しあがるようになっている。

デジタル制御せいぎょ

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ICT分野ぶんやでは映像えいぞうや音おとと異ことなり発生はっせいや制御せいぎょが困難こんなんとされてきたが、1ミリ秒びょう以下いかの時間じかん幅はばでパルス状じょうに匂においを発生はっせいさせる嗅覚きゅうかくディスプレイの研究けんきゅう開発かいはつが行おこなわれている[26]。

博物館はくぶつかん

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香かおりをテーマとした展示てんじを行おこなう「磐田いわた市し香かおりの博物館はくぶつかん」（静岡しずおか県けん）[27]や「大分おおいた香かおりの博物館はくぶつかん」（別府べっぷ市し）[28]がある。

Museum of the Land of Frankincense（英語えいご版ばん） - オマーンにある乳香にゅうこうの博物館はくぶつかん。

文化ぶんか

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宗教しゅうきょう
ヒンズひんずー教きょうの線香せんこう立だて
詳細しょうさいは「匂においの宗教しゅうきょう的てき利用りよう（英語えいご版ばん）」および「匂においのお供そなえ（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

脚注きゃくちゅう

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[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 例外れいがいとして「くさいにおい」は「臭くさいにおい」と書かくのが基本きほんだが、「臭くさい匂におい」と書かくことはある。読よみづらいので「臭くさい臭くさい」とは通常つうじょう書かかない。
  2. ^ また、匂においが商品しょうひんの販売はんばい促進そくしんの際さいの重要じゅうような訴求そきゅう点てんになることもある。例たとえば、かつてキッコーマンも醤油じょうゆをアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくで、（まだ醤油じょうゆになじみのない）非ひアジア人じんに売うり込こむ際さいには、店頭てんとう実演じつえんで肉にくを焼やいて醤油じょうゆをかけ、その匂においを大おおいに活用かつようした[8]。

出典しゅってん

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  1. ^ a b デジタル大辞泉だいじせん
  2. ^ 『広辞苑こうじえん 第だい5版はん、p.2018。※『広辞苑こうじえん』第だい5版はんでも第だい6版はんでも、視覚しかく的てきな匂においの方ほうをまず一いち番目ばんめに挙あげており、嗅覚きゅうかく的てきな匂においの説明せつめいはその後ごに配置はいちしている。
  3. ^ a b 『広辞苑こうじえん』第だい5版はん、p.2018。※『広辞苑こうじえん』第だい5版はんでも第だい6版はんでも、視覚しかく的てきな匂においの方ほうをまず一いち番目ばんめに挙あげており、嗅覚きゅうかく的てきな匂においの説明せつめいはその後ごに配置はいちしている。
  4. ^ 注ちゅう. 『広辞苑こうじえん』では嗅覚きゅうかく系けいの説明せつめいは2番目ばんめ以降いこうである。
  5. ^ 広辞苑こうじえん第だい六ろく版はん「におい」
  6. ^ 『広辞苑こうじえん』第だい五ご版はん p.2018 「匂におい」
  7. ^ a b c d e f 国本くにもと浩喜ひろき「暮くらしの中なかの匂においと香かおり」金沢大学かなざわだいがくサテライト・プラザ「ミニ講演こうえん」講演こうえん録ろく集しゅう、金沢大学かなざわだいがく大学だいがく教育きょういく開放かいほうセンター、2006年ねん8月がつ、NAID 120000814054、2022年ねん4月がつ4日にち閲覧えつらん。 
  8. ^ デリシャス・オン・ミート！肉にくによく合あうKIKKOMANキッコーマン国際こくさい食しょく文化ぶんか研究けんきゅうセンター（2018年ねん2月がつ26日にち閲覧えつらん）
  9. ^ 一いち例れいとして、「JR中央ちゅうおう線せんで異臭いしゅう騒さわぎ ヒーターにかばん触ふれる」産経新聞さんけいしんぶんニュース（2017年ねん12月5日にち）2019年ねん7月がつ26日にち閲覧えつらん。
  10. ^ 体臭たいしゅう気きにしすぎ!?相次あいつぐにおいトラブルNHK『クローズアップ現代げんだい』（2017年ねん10月がつ25日にち放映ほうえい）2018年ねん2月がつ26日にち閲覧えつらん
  11. ^ 小泉こいずみ武夫たけお『くさいはうまい』（文春ぶんしゅん文庫ぶんこ）には実例じつれいが多おおく紹介しょうかいされている。
  12. ^ 米国べいこくで「最もっとも臭くさいスニーカー」コンテスト、12歳さい少年しょうねんが優勝ゆうしょうロイター（2017年ねん3月がつ29日にち）2018年ねん6月がつ19日にち閲覧えつらん
  13. ^ 池袋いけぶくろPARCO「におい展てん」（2018年ねん2月がつ26日にち閲覧えつらん）
  14. ^ 世界中せかいじゅうの「不快ふかいな食たべ物もの」博物館はくぶつかん『日刊にっかん工業こうぎょう新聞しんぶん』2018年ねん10月がつ4日にち4面めん掲載けいさいの時事通信じじつうしん配信はいしん記事きじ。
  15. ^ a b 青木あおき孝志たかし, 足達あだち義則よしのり「ジャスミンの匂においが心拍しんぱく変動へんどうに与あたえる影響えいきょう(研究けんきゅう発表はっぴょう,第だい21回かい生命せいめい情報じょうほう科学かがくシンポジウム)」『国際こくさい生命せいめい情報じょうほう科か学会がっかい誌し』第だい24巻かん第だい1号ごう、国際こくさい生命せいめい情報じょうほう科か学会がっかい、2006年ねん、121-125頁ぺーじ、doi:10.18936/islis.24.1_121、ISSN 1341-9226、NAID 110004848824。 
  16. ^ 斎藤さいとう勇いさむ『面白おもしろいほどよくわかる！「女おんな」がわかる心理しんり学がく』西東さいとう社しゃ, 2014 p.61
  17. ^ a b c d e f g 斎藤さいとう勇いさむ『面白おもしろいほどよくわかる！「女おんな」がわかる心理しんり学がく』西東さいとう社しゃ, 2014 p.118-119
  18. ^ 鈴木すずき隆たかし『匂においのエロティシズム』集英社しゅうえいしゃ, 2002、ISBN 4087201295。
  19. ^ 鈴木すずき隆たかし『匂においの身体しんたい論ろん:体臭たいしゅうと無臭むしゅう志向しこう』八坂やさか書房しょぼう, 1998、4896944151
  20. ^ NHKクローズアップ現代げんだい「広ひろがる“においビジネス”」
  21. ^ 「香かおり可視かし化かカメラ開発かいはつ 豊橋とよはし技わざ科か大だいなど 特徴とくちょうをチャート表示ひょうじ」『日刊にっかん工業こうぎょう新聞しんぶん』2018年ねん4月がつ19日にち（大学だいがく・産学さんがく連携れんけい面めん）2018年ねん10月がつ8日にち閲覧えつらん。
  22. ^ 【きょうの授業じゅぎょう】「におい」を再現さいげんする 香かおりの「もと」組くみ合併がっぺいせ追求ついきゅう『朝日新聞あさひしんぶん』朝刊ちょうかん2018年ねん7月がつ18日にち（教育きょういく面めん）2018年ねん10月がつ8日にち閲覧えつらん。
  23. ^ 【NextTech2030】東京工業大学とうきょうこうぎょうだいがく／VR技術ぎじゅつ、嗅覚きゅうかくも追求ついきゅう におい成分せいぶん、組くみ合あわせ工夫くふう『日経にっけい産業さんぎょう新聞しんぶん』2018年ねん12月19日にち（先端せんたん技術ぎじゅつ面めん）。
  24. ^ a b c d e 矢野やのきくの『省しょうエネで部屋へや干ほし洗濯せんたく物ぶつを早はやく乾かわかす方法ほうほう』株式会社かぶしきがいしゃオールアバウト, 2013。「部屋へや干ほしをした洗濯せんたく物ぶつは、そもそもなぜ臭におうのか？」の章しょう。google eブックスで確認かくにん可能かのう。
  25. ^ “室内しつない干ほしおすすめグッズ人気にんき比較ひかくランキング15選せん【部屋へや干ほしでもストレスフリー】”. タスクルヒカク | 暮くらしのおすすめサービス比較ひかくサイト. 2019年ねん12月4日にち閲覧えつらん。
  26. ^ 岡田おかだ 謙一けんいち「匂においのデジタル制御せいぎょ」 2022年ねん3月がつ28日にち閲覧えつらん
  27. ^ 磐田いわた市し香かおりの博物館はくぶつかん（2018年ねん2月がつ26日にち閲覧えつらん）
  28. ^ 大分おおいた香かおりの博物館はくぶつかん（2018年ねん2月がつ26日にち閲覧えつらん）
  29. ^ “お盆ぼんのお供そなえ物ものの仕方しかたとは？しきたりや基本きほんマナーを解説かいせつ”. [初盆はつぼん・お盆ぼんの過すごし方かた] All About (2023年ねん8月がつ3日にち). 2023年ねん8月がつ27日にち閲覧えつらん。

関連かんれん文献ぶんけん

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単行本たんこうぼん

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論文ろんぶん

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関連かんれん項目こうもく

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資格しかく、学会がっかいなど

外部がいぶリンク

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