アルペイオス

アルペイオス Ἀλφειός
河かわ神しん
フィレンツェの彫刻ちょうこく家かの作品さくひん『アルペイオスとアレトゥーサ』1561年ねんから1562年ねん。バルジェロ美術館びじゅつかん所蔵しょぞう
住処すみか	アルペイオス川がわ
親おや	オーケアノス、テーテュース
兄弟きょうだい	ポタモイ（エーリダノス、ストリューモーン、アケローオス、シモエイス、ペーネイオス、ラードーン、スカマンドロス）、オーケアニデス
子供こども	ペーゲウス、オルティロコス

ベルナール・ピカール （en）によるエングレービング。アレトゥーサを追おいかけるアルペイオス。

アルペイオス（古希こき: Ἀλφειός, Alpheios, ラテン語らてんご: Alpheus）は、ギリシア神話しんわの神かみである。エーリス地方ちほうのアルペイオス川がわの河かわ神しん。エーリス地方ちほうの最大さいだいの河川かせんであるアルペイオス川がわは、エーリス地方ちほうでは特とくに尊崇そんすうされていた。

オーケアノスとテーテュースの3000人にんの子供こどもの1人ひとりで、アルカディア地方ちほうのプソーピスの王おうペーゲウスの父ちち。またテーレゴネーとの間あいだにオルティロコスをもうけたともいわれる。オルティロコスはディオクレースの父ちち。

神話しんわ

神話しんわによるとアルペイオスはアルテミスに恋こいをしたといわれる。アルペイオスはアルテミスと夫婦ふうふになれそうにないと考かんがえ、アルテミスを無理むりやり奪うばおうと考かんがえ、その機会きかいをうかがっていた。そこでアルテミスとニュムペーたちが祭まつりを開ひらいているところにやって来きた。しかしアルテミスはアルペイオスが何なにか企たくらんでいると考かんがえて、ニュムペーたちとともに顔かおに泥どろを塗ぬった。このためアルペイオスは誰だれがアルテミスか分わからなかったので、あきらめて去さった。

またアルペイオスはニュムペーのアレトゥーサにも恋こいをした。しかしアレトゥーサは拒こばんで逃にげ、シチリア島とうのシュラクーサイの泉いずみに変身へんしんした。古代こだいではアルペイオス河かわはシュラクーサイのアレトゥーサの泉いずみとつながっていて、河かわの水みずが海うみに混まざらずに海底かいていを通とおってアレトゥーサの泉いずみから湧わき出だすと信しんじられていて、アルペイオス河かわに流ながした物ものがアレトゥーサの泉いずみから湧わき出でるといわれていた。こうした伝説でんせつからアレトゥーサへの恋こいの物語ものがたりが生うまれたとされる。

参考さんこう文献ぶんけん

• オウィディウス『変身へんしん物語ものがたり』中村なかむら善よし也訳、岩波いわなみ文庫ぶんこ（1981年ねん）
• ストラボン『ギリシア・ローマ世界せかい地誌ちし』飯尾いのお都と人じん訳やく、龍渓りゅうけい書しょ舎しゃ（1994年ねん）
• パウサニアス『ギリシア記き』飯尾いのお都と人じん訳やく、龍渓りゅうけい書しょ舎しゃ（1991年ねん）
• ヒュギーヌス『ギリシャ神話しんわ集しゅう』松田まつだ治おさむ・青山あおやま照夫てるお訳やく、講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ（2005年ねん）
• ヘシオドス『神かみ統みつる記き』廣川ひろかわ洋一よういち訳わけ、岩波いわなみ文庫ぶんこ（1984年ねん）
• ホメロス『イリアス（上うえ）』松平まつだいら千秋ちあき訳わけ、岩波いわなみ文庫ぶんこ（1992年ねん）
• ホメロス『オデュッセイア（上うえ）』松平まつだいら千秋ちあき訳わけ、岩波いわなみ文庫ぶんこ（1994年ねん）
• 高津たかつ春繁はるしげ『ギリシア・ローマ神話しんわ辞典じてん』、岩波書店いわなみしょてん（1960年ねん）