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カミツキガメ

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カミツキガメ
カミツキガメ
カミツキガメ Chelydra serpentina
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
: カメ Testudines
: せん頸亜 Cryptodira
うえ : カミツキガメうえ Chelydridea
: カミツキガメ Chelydridae
ぞく : カミツキガメぞく Chelydra
Schweigger1812
たね : カミツキガメ C. serpentina
学名がくめい
Chelydra serpentina
L.1758
和名わみょう
カミツキガメ

カミツキガメ (Chelydra serpentina) は、爬虫つなカメカミツキガメカミツキガメぞく分類ぶんるいされるカメもしくはその総称そうしょう

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

C. s. serpentina ホクベイカミツキガメ
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく中部ちゅうぶから東部とうぶにかけて)、カナダ南部なんぶ[1][2][3]
C. s. acutirostris ナンベイカミツキガメ
エクアドルコスタリカコロンビアニカラグアホンジュラス南東なんとう[1][3]
C. s. osceola フロリダカミツキガメ
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくフロリダ半島はんとう[1][3]
C. s. rossignoni チュウベイカミツキガメ
グアテマラ、ホンジュラス中西部ちゅうせいぶベリーズ西部せいぶメキシコベラクルスしゅう中部ちゅうぶからユカタン半島はんとう基部きぶにかけて)[1][3]

形態けいたい[編集へんしゅう]

頭骨とうこつ

最大さいだいかぶとちょう49.4センチメートル[2][3]しい甲板かんぱんあばら甲板かんぱんにはすじじょうがり(キール)がやや発達はったつする[3]あばら甲板かんぱんえん甲板かんぱんあいだ甲板かんぱんうええん甲板かんぱん)がない[3]後部こうぶえん甲板かんぱん外縁がいえんのこじょうとが[3]

上顎じょうがく先端せんたんかぎじょうとがらない[3]背面はいめんは1れつはらめんは2れつ大型おおがたうろこおおわれる[3]

C. s. serpentina ホクベイカミツキガメ
最大さいだい亜種あしゅ[3]のど甲板かんぱんたてはば左右さゆうかた甲板かんぱんむね甲板かんぱんをあわせたながさがかぶとちょうの40%未満みまん[3]頭部とうぶ背面はいめんからがわ頭部とうぶにかけてのうろこ平坦へいたん規則きそくてき[3]頚部けいぶ背面はいめん突起とっきこぶじょう[1][2][3]したあごひげじょう突起とっきが2-4ほん[3]
C. s. acutirostris ナンベイカミツキガメ
かぶとちょう41センチメートル[3]のど甲板かんぱんたてはば左右さゆうかた甲板かんぱんむね甲板かんぱんをあわせたながさがかぶとちょうの40%以上いじょう[3]頚部けいぶ背面はいめん突起とっきこぶじょう[1][3]したあごひげじょう突起とっきが4-6ほん[1][3]
C. s. osceola フロリダカミツキガメ
最大さいだいかぶとちょう43.8センチメートル[3]のど甲板かんぱんたてはば左右さゆうかた甲板かんぱんむね甲板かんぱんをあわせたながさがかぶとちょうの40%未満みまん[3]頭部とうぶ背面はいめんからがわ頭部とうぶにかけてのうろこ顆粒かりゅうじょう[3]頚部けいぶ背面はいめん突起とっきとげじょう[1][2][3]したあごひげじょう突起とっきが2-4ほん[3]
C. s. rossignoni チュウベイカミツキガメ
かぶとちょう38.9センチメートル[3]のど甲板かんぱんたてはば左右さゆうかた甲板かんぱんむね甲板かんぱんをあわせたながさがかぶとちょうの40%以上いじょう[2][3]頚部けいぶ背面はいめん突起とっきとげじょう[1][2][3]したあごひげじょう突起とっきが4-6ほん[1][3]

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

ミトコンドリアDNA解析かいせきから、亜種あしゅチュウベイカミツキガメと亜種あしゅナンベイカミツキガメを独立どくりつしゅとするせつもある[1][3]

  • Chelydra serpentina serpentina (Linnaeus, 1758) ホクベイカミツキガメ Common snapping turtle
  • Chelydra serpentina acutirostris Peters, 1862 ナンベイカミツキガメ South American snapping turtle
  • Chelydra serpentina osceola Stejneger, 1918 フロリダカミツキガメ Florida snapping turtle
  • Chelydra serpentina rossignoni (Bocourt, 1868) チュウベイカミツキガメ Mexican snapping turtle

生態せいたい[編集へんしゅう]

まれてあいだもないかめ

知見ちけんがほぼもと亜種あしゅ亜種あしゅフロリダカミツキガメにかぎられるため[3]以下いかもと亜種あしゅ知見ちけんもとづく。

そこしつどろすな水生すいせい植物しょくぶつ繁茂はんもした様々さまざま淡水たんすいいきみずじょう生息せいそくするが、汽水いき生息せいそくすることもある[2][3]完全かんぜん水棲すいせいで、みずじょう干上ひあがったり産卵さんらん以外いがいりくがることはまれ[3]夜行やこうせいだが[2]北部ほくぶ個体こたいぐんひるぎょうせい傾向けいこうつよ[3]。10-よく4がつ水底みなそこすなどろいわ倒木とうぼくなどのした植物しょくぶつ根元ねもと水辺みずべいたあなマスクラット古巣ふるすなどで冬眠とうみんするが、水温すいおん5℃の環境かんきょう活動かつどうしたり、水面すいめんこおりった環境かんきょうでも交尾こうびおこなっていたりしたれいがある[3]

昆虫こんちゅう節足動物せっそくどうぶつ甲殻こうかくるい貝類かいるい魚類ぎょるい両生類りょうせいるい爬虫類はちゅうるい鳥類ちょうるい哺乳類ほにゅうるい動物どうぶつ死骸しがい植物しょくぶつくきはな果実かじつ藻類そうるいなどをべる[3]水底みなそこ徘徊はいかいして食物しょくもつさが[3]

繁殖はんしょく形態けいたい卵生らんせいおもに5 - 6がつみずじょうからはなれた基底きていすな赤土あかつち腐植ふしょくしつけた場所ばしょや、アメリカビーバーやマスクラットの古巣ふるす蟻塚ありづかなどに1かいに6-100おもに20-40)のたまごを1ねんに1かいだけむ(飼育しいくではとし2かいけてんだれいもあり)[3]たまごは55-125にちおもに75-95にち)で孵化ふかする[3]発生はっせいどき温度おんどにより性別せいべつ決定けってい温度おんど依存いぞんせい決定けってい)し、20℃でメス、21-22、25-28℃で雌雄しゆうどもに、23-24℃、29℃でオスになる[3]。また30℃以上いじょう環境かんきょうに4にち以上いじょうさらされたたまごはメスになる[3]。オスは生後せいご4-5ねんせい成熟せいじゅくする[3]。メスは地域ちいき変異へんいおおきくれいとしてアイオワしゅうテネシーしゅう個体こたいぐん生後せいご4-7ねんオンタリオしゅう個体こたいぐん平均へいきん生後せいご17-19ねんせい成熟せいじゅくする[3]成体せいたいになってから飼育しいくされたもと亜種あしゅで38ねん8かげつ飼育しいく記録きろくがある[4]

成長せいちょうしたカミツキガメは凶暴きょうぼうで、うごきはきわめてもとはやい。名前なまえしめとおりにちからきわめてつよく、本気ほんきせばひとゆび簡単かんたんいちぎることもできるほどで、場合ばあいによってはだい怪我けがともなうこともある。そのうえくびなが柔軟じゅうなんで(たねめいserpentinaは「ヘビのような」という意味いみ)、一瞬いっしゅんくび甲羅こうらうえまでおおきくらしてばしくこともできるため、人間にんげんでカミツキガメをあつかときには、尻尾しっぽをつかむなど細心さいしん注意ちゅういはら必要ひつようがある。みずからされるとぐちおおきくあけ、四肢ししって甲羅こうらげ、威嚇いかく姿勢しせいをとる。

人間にんげんとの関係かんけい[編集へんしゅう]

日本にっぽんではもと亜種あしゅ定着ていちゃくし、印旛沼いんばぬま水系すいけいでは繁殖はんしょく確認かくにんされている[4]日本にっぽん生態せいたい学会がっかいによって日本にっぽん侵略しんりゃくてき外来がいらいしゅワースト100指定していされている[4]印旛沼いんばぬま水系すいけい定着ていちゃく地域ちいきでも発見はっけんれいがある、大型おおがたしょくせい幅広はばひろ在来ざいらいしゅへの影響えいきょう懸念けねんされる、つかまえたさい咬傷こうしょう被害ひがい想定そうていされるなどの理由りゆうから、2005ねん特定とくてい外来がいらい生物せいぶつによる生態せいたいけいとうかか被害ひがい防止ぼうしかんする法律ほうりつ施行しこうともな特定とくてい外来がいらい生物せいぶつ指定していされた[5]印旛沼いんばぬま水系すいけいは、1997ねんには繁殖はんしょく定着ていちゃく確認かくにんされ高密度こうみつど生息せいそく[6]している場所ばしょ[7]、2007ねんより千葉ちばけん漁協ぎょきょう依頼いらいして、漁師りょうし定期ていきてき駆除くじょにあたっている[8]。その研究けんきゅうでは繁殖はんしょく拡大かくだい指摘してきされており、静岡しずおかけん狩野川かのがわ水系すいけいでも繁殖はんしょくしていることが判明はんめいしている[9]ほか、東京とうきょう上野うえのにんなどでも目撃もくげきされている[10]

ペットとして飼育しいくされることもあり、日本にっぽんにも輸入ゆにゅうされていた。日本にっぽんでは昭和しょうわ初期しょきには展示てんじようのちにペットようとして大量たいりょう輸入ゆにゅうされた[3]。ペットよう輸入ゆにゅうされるようになったのは1960年代ねんだい以降いこうで、のち野外やがいはなされたものが繁殖はんしょくしていったとみられている[10]

1989 - 1997ねんほんしゅおももと亜種あしゅ)のアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくからの輸出ゆしゅつりょうやく100,000とうで、おも日本にっぽん輸入ゆにゅうされたとかんがえられている[4]おももと亜種あしゅ流通りゅうつうし、亜種あしゅチュウベイカミツキガメや亜種あしゅナンベイカミツキガメは生息せいそく輸出ゆしゅつ規制きせいされているため流通りゅうつう不定期ふていき流通りゅうつうりょう少数しょうすうだった[3]。2000ねん単位たんい改正かいせい動物どうぶつ愛護あいごほうにより特定とくてい動物どうぶつ指定していされたことにより[4]流通りゅうつうりょう減少げんしょうした[1]。2005ねん特定とくてい外来がいらい生物せいぶつ指定していされたため、輸入ゆにゅう飼育しいく施行しこうまえから飼育しいくされていた個体こたい登録とうろくすれば飼育しいく可能かのう)、販売はんばい譲渡じょうと遺棄いきなどが禁止きんしされ、違反いはんした場合ばあい外来がいらいしゅ被害ひがい防止ぼうしほう違反いはんとなる[11]

外来がいらい生物せいぶつほうもとづく捕獲ほかく防除ぼうじょ推進すいしん調査ちょうさ生息せいそくりつたか場所ばしょ実施じっしされ、2007年度ねんど千葉ちばけん佐倉さくら印旛沼いんばぬま防除ぼうじょモデル事業じぎょうでは気温きおんたかくカミツキガメの活動かつどう活発かっぱつな10がつごろまでの実施じっしをめどにしている。エビカゴ(もんどりわな)をけい50仕掛しかける計画けいかくで、捕獲ほかくしたほんしゅは、環境省かんきょうしょうにサンプルとして提供ていきょうする甲羅こうらながさが20センチメートル以下いか幼体ようたいのぞすべ冷凍れいとう処分しょぶんされる[12]

食用しょくよう[編集へんしゅう]

カミツキガメは食用しょくようにできる[13]にわとりももにくスペアリブ中間ちゅうかんのようなしょくかんで、食材しょくざいとしてはきわめて優秀ゆうしゅうであるという[13]。しかし、狂暴きょうぼうちから強力きょうりょくてん考慮こうりょすると捕獲ほかくには怪我けが危険きけんともなう。また、特定とくてい外来がいらい生物せいぶつ指定していされているため捕獲ほかくしてもきたまま移動いどうすることができず、そのである程度ていど処理しょりする必要ひつようがある。ぶしにより活動かつどう活発かっぱつであり捕獲ほかくしづらく、安定あんていした供給きょうきゅう困難こんなんなため食材しょくざいとして本格ほんかくてき利用りようされるにはいたっていない。ただし上記じょうきのような防除ぼうじょ活動かつどう捕獲ほかくされたカミツキガメの活用かつようほうさぐ一環いっかんとして、イベントで料理りょうりわれることがある[14]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 海老えびぬまつよし 『爬虫・両生類りょうせいるいビジュアルガイド 水棲すいせいガメ1 アメリカ大陸あめりかたいりくのミズガメ』、まことぶんどう新光しんこうしゃ、2005ねん、60-63、140ぺーじ
  2. ^ a b c d e f g h せんせき正一しょういち監修かんしゅう 長坂ながさか拓也たくや編著へんちょ爬虫類はちゅうるい両生類りょうせいるい800しゅ図鑑ずかん だい3はん』、ピーシーズ、2002ねん、178ぺーじ
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar 安川やすかわ雄一郎ゆういちろう 「カミツキガメ分類ぶんるい自然しぜん(前編ぜんぺん)」『クリーパー』だい18ごう、クリーパーしゃ、2003ねん、10-21、42-44ぺーじ
  4. ^ a b c d e 安川やすかわ雄一郎ゆういちろう 「カミツキガメ分類ぶんるい自然しぜん(後編こうへん)」『クリーパー』だい19ごう、クリーパーしゃ、2003ねん、4-6、9、15ぺーじ
  5. ^ 環境省かんきょうしょう
  6. ^ 佐藤さとうほうひろし神澤かみさわ良子りょうこ東京とうきょう武蔵野むさしの地域ちいきにおけるカミツキガメの繁殖はんしょく 日本にっぽん生態せいたい学会がっかい大会たいかい講演こうえん要旨ようししゅう だい52かい日本にっぽん生態せいたい学会がっかい大会たいかい 大阪おおさか大会たいかい セッションID: P3-175, doi:10.14848/esj.ESJ52.0.812.0
  7. ^ 小林こばやしよりゆきふとし橋本はしもと典之のりゆき早川はやかわさとしじん ほか、外来がいらいしゅカミツキガメの野生やせいとその対策たいさくかんする研究けんきゅう-ラジオテレメトリーほうによる生息せいそく利用りよう野外やがい繁殖はんしょく調査ちょうさ プロ・ナトゥーラ・ファンドだい12助成じょせい成果せいか報告ほうこくしょ,057-64.
  8. ^ 印旛沼いんばぬま周辺しゅうへんカミツキガメ 今年ことし駆除くじょはじまる(Wayback Machine、2013ねん6がつ25にち) - http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20130620/CK2013062002000133.html[リンク]
  9. ^ 加藤かとう英明ひであき衛藤えとう英男ひでお静岡しずおかけん狩野川かのがわ水系すいけいにおけるカミツキガメ Chelydra serpentina( Testudines, Chelidridae) の定着ていちゃく (PDF) 静岡しずおかけん自然しぜん研究けんきゅう報告ほうこく 東海とうかい自然しぜん だい5ごう 2012ねん5がつ31にち発行はっこう
  10. ^ a b “カミツキガメの捕獲ほかく難航なんこう 印旛沼いんばぬま水系すいけい大量たいりょう繁殖はんしょく 生態せいたいけい影響えいきょう懸念けねん. 千葉ちば日報にっぽう. (2014ねん8がつ6にち). http://www.chibanippo.co.jp/news/national/207430 2014ねん8がつ7にち閲覧えつらん 
  11. ^ どぶろっく・江口えぐち直人なおと「カミツキガメ」許可きょか飼育しいくぬし責任せきにんころせ処分しょぶん”. J-CASTニュース (2014ねん7がつ7にち). 2014ねん8がつ28にち閲覧えつらん
  12. ^ 産経新聞さんけいしんぶん2007ねん7がつ2にちづけ記事きじ[リンク]
  13. ^ a b カミツキガメをつかまえてべてみたデイリーポータルZ 平坂ひらさかひろし 2012ねん6がつ19にち
  14. ^ 【チェック】外来がいらいしゅ べて駆除くじょ/「厄介やっかいしゃ」を有効ゆうこう活用かつよう/カミツキガメやウチダザリガニ毎日新聞まいにちしんぶん夕刊ゆうかん2018ねん11月6にち(1めん)2018ねん11月8にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]