カライスとゼーテース

カライス（古希こき: Κάλαϊς, Kalais）とゼーテース（古希こき: Ζήτης, Zētēs,　長ちょう母音ぼいんを省略しょうりゃくしてゼテスとも）は、ギリシア神話しんわに登場とうじょうする有ゆう翼つばさの英雄えいゆうである。北風きたかぜの神かみボレアースとアテーナイ王おうエレクテウスの娘むすめオーレイテュイアの子こで、クレオパトラー、キオネーと兄弟きょうだい^[1]。兄弟きょうだいそろってアルゴナウタイの勇者ゆうしゃで、トラーキアでのハルピュイア退治たいじで活躍かつやくした。

ハルピュイア退治たいじ[編集へんしゅう]

イアーソーン一いち行ぎょうはこの航海こうかいでの難所なんしょ中ちゅうの難所なんしょボスポラス海峡かいきょうを通過つうかするため、アポローンによる呪のろいを受うけた盲目もうもくの予言よげん者しゃでサルミュデーソスの王おうピーネウスのもとを訪たずねた。

しかし王おうは食事しょくじのたびに食卓しょくたくを荒あらしにくる二に羽わのハルピュイアのためにひどく衰弱すいじゃくしており、涙なみだながらに勇者ゆうしゃたちに怪物かいぶつの退治たいじを依頼いらいする。イアーソーンは申もうし出でを快諾かいだくすると、食卓しょくたくの下したに隠かくれて食事しょくじの準備じゅんびをするように言いいつけた。果はたして耳障みみざわりな鳴なき声ごえとともに現あらわれたハルピュイアは早速さっそく食卓しょくたくを荒あらしまわり始はじめた。イアーソーンの合図あいずとともに一斉いっせいに飛とび出だした屈強くっきょうな英雄えいゆうたちに仰天ぎょうてんした二に羽わは、いつもどおり投石とうせきも届とどかない上空じょうくうに避難ひなんしようとした。

しかし、この日ひは勝手かってが違ちがっていた。なんと英雄えいゆうたちの中なかから二に人にんの若者わかものが力強ちからづよく羽はばたきながら二に羽わを追おいかけてきたのだ。ハルピュイア達たちは泡あわを食くって逃にげ出だし、二人ふたりの英雄えいゆうカライス、ゼーテース兄弟きょうだいはそれを追おうが武装ぶそうの重おもさのせいでなかなか追おいつけない。しかし、若わかい二に人にんは長ながい時間じかんハルピュイアを追おい回まわし、疲労ひろう困憊こんぱいしたところを捕獲ほかくした。二に羽わは二に人にんに命乞いのちごいをし、姉妹しまいの悲鳴ひめいを聞ききつけた虹にじの女神めがみイーリスにとりなされて王おうの食卓しょくたくを荒あらさないことを条件じょうけんに命いのちを助たすけられた。

王おうは久方ひさかたぶりの食事しょくじで生気せいきを取とり戻もどし、若わかい英雄えいゆう達たちを命いのちの恩人おんじんとして歓待かんたいした。そして海峡かいきょうを渡わたるために鳩ばとを使つかって試験しけんするよう懇切こんせつ丁寧ていねいに助言じょげんし、英雄えいゆう達たちに祝福しゅくふくを与あたえた。

そして、アルゴナウタイとしての冒険ぼうけんを終おえたのち、自分じぶんを置おき去ざりにして出航しゅっこうするよう進言しんげんしたことを恨うらんだヘーラクレースにより二に人にんまとめて殺ころされた。

ハルピュイア退治たいじ[編集へんしゅう]

系図けいず[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]