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クロソイ - Wikipedia
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クロソイ

メバル科かメバル属ぞくの魚類ぎょるい

クロソイ（黒くろ曽そ以[2][3][4]、学名がくめい：Sebastes schlegelii）は、メバル属ぞくの魚類ぎょるい。黒くろい腹はらびれ・尻しりびれ・尾おびれを持もつ、全体ぜんたい的てきに黒くろい魚さかなである。「北海道ほっかいどうの鯛たい」の異名いみょうを持もつ[5]。

クロソイ
分類ぶんるい
界さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
門もん : 脊索せきさく動物どうぶつ門もん Chordata
亜あ門もん : 脊椎動物せきついどうぶつ亜あ門もん Vertebrata
綱つな : 条じょう鰭ひれ綱つな Actinopterygii
目め : カサゴ目め Scorpaeniformes
科か : メバル科か Sebastidae
属ぞく : メバル属ぞく Sebastes
種たね : クロソイ S. schlegelii
学名がくめい
Sebastes schlegelii
Hilgendorf, 1880[1]
和名わみょう
クロソイ
英名えいめい
black rockfish, Korean rockfish

特徴とくちょう 編集へんしゅう

頭あたまに8つの弱よわい棘とげを持もつ。上うえあごに3つの棘とげがあり[3][6]、棘とげの有無うむで外見がいけんの似にているキツネメバルと区別くべつできる[3]。若わかい個体こたいは黒くろく、年齢ねんれいを重かさねると灰色はいいろのまだら模様もようになり、しばしば白しろに近付ちかづく。水域すいいきによって体からだ色しょく[6]・体長たいちょうが大おおきく変かわりうる。寿命じゅみょうは最長さいちょうで18年ねんになり、長生ながいきする個体こたいは、平均へいきん的てきな個体こたいよりはるかに大おおきくなる。平均へいきん的てきな魚さかな体たいは30 - 40 cmくらい[7]で、最大さいだいの記録きろくは体長たいちょう60 cm、体重たいじゅう3 kgである。甲殻こうかく類るいや小しょう魚さかなを餌えさにする[7]。縄張なわばりを持もち、侵入しんにゅう者しゃには体当たいあたりして防戦ぼうせんする[2]。

日本にっぽん、朝鮮半島ちょうせんはんとう、中国ちゅうごくの沿岸えんがん部ぶに生息せいそくする[3]。大陸棚たいりくだなで発生はっせいする遠海魚えんかいぎょ（英語えいご版ばん）である。仔こ魚ぎょは表層ひょうそう、稚魚ちぎょは藻も場じょう・岩礁がんしょうに棲すみ、2歳さいの秋あきから冬ふゆにかけて水深すいしん50 - 100 mの岩礁がんしょう域いきに移動いどうする[3]。他たの遠海魚えんかいぎょと同様どうように、ほとんどの時間じかんを水柱みずばしら（英語えいご版ばん）や荒あらい地形ちけいの中なかで過すごす。昼間ひるまは岩礁がんしょうや人工じんこう漁礁ぎょしょうに身みを潜ひそめ、日没にちぼつ以降いこうに集団しゅうだんで遊泳ゆうえいする[6]。

体内たいない受精じゅせいで繁殖はんしょくし、メスは卵たまごが発達はったつするまで精子せいしをため込こむ[6]（卵たまご胎生たいせい[7]）。12月から1月がつに交尾こうびし、3 - 4月がつに受精じゅせい、40日にちほどメスの胎内たいないで育そだてて仔こ魚ぎょを生うむ[7]。交尾こうびは深海しんかいで、出産しゅっさんは浅海せんかいで行おこなう[3]。大半たいはんの若わかい個体こたいは冬ふゆの終おわりから早春そうしゅんにかけて育そだてられる。メスは産卵さんらん期きごとに12.5万まん個こから120万まん個この卵たまごを生産せいさんする。ただしすべての卵たまごを毎年まいとし放出ほうしゅつするのではなく、時折ときおり卵たまごを体からだに吸収きゅうしゅうするのが観察かんさつされている。大おおきなメスは1度どに20万まん匹ひき以上いじょうを出産しゅっさんする[8]。

Lepeophtheirus elegans という寄生虫きせいちゅうはクロソイから検出けんしゅつされている[9]。

魚さかな名めいのクロは黒くろい魚さかな[6]、ソイとは磯魚いさな（いそいお→そい）という意味いみである[4]。地方ちほう名めいはクロカラ（富山とやま県けん）[2]、クロゾイ（北海道ほっかいどう・千葉ちば県けん）[2][3]、クロメバル（田辺たなべ）[10]、ゴマソイ（仙台せんだい）[10]、タケノコメバル（下関しものせき）[10]、ナガラゾイ（北海道ほっかいどう）[3]、モヨ（東京とうきょう都と）[10]、ワガ（静岡しずおか県けん）[10]など。アイヌ語ごではソイという[3]。

人間にんげんとの関係かんけい 編集へんしゅう

釣つりの対象たいしょうとなる[7][4]。ほぼ周しゅう年ねんで日本にっぽん全国ぜんこくの沿岸えんがん部ぶで釣つれるが、特とくに北日本きたにっぽんに多おおい[7]。

漁業ぎょぎょう 編集へんしゅう

沿岸えんがん・浅瀬あさせ・岩場いわば（岩礁がんしょう）に生息せいそくするため、漁業ぎょぎょう上じょうの困難こんなんを伴ともなうが、北東ほくとうアジアの沿岸えんがん漁業ぎょぎょうにおいて重要じゅうような位置いちにある。北海道ほっかいどうでは十勝とかち・釧路くしろ・根室ねむろ管内かんない以外いがいの沿岸えんがん部ぶで、春はると秋あきに定置網ていちあみ・刺さし網もう・底そこ建だて網もうで漁獲ぎょかくする[3]。これらの漁法ぎょほうはクロソイを狙ねらったものではなく、他たの魚類ぎょるいとの混こん獲えによって漁獲ぎょかくする[6][4]。1990年代ねんだいの漁獲ぎょかく量りょうは、北海道ほっかいどうで年間ねんかん200 - 300 t、西にし九州きゅうしゅうで300 - 1,200 tほどである[11]。

香川かがわ県けん・長崎ながさき県けん・三重みえ県けん・福井ふくい県けんなどで養殖ようしょくが行おこなわれるが、生産せいさん量りょうは少すくない[2]。漁獲ぎょかくした個体こたいを交尾こうびさせて仔こ魚ぎょを産うませ、5 - 8 cmになったところで放流ほうりゅうする栽培さいばい漁業ぎょぎょうも行おこなわれる[12]。1987年ねんから放流ほうりゅうが行おこなわれている[11][4]。成長せいちょうが早はやく、放流ほうりゅう箇所かしょからあまり動うごかないことから漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃの栽培さいばい漁業ぎょぎょうに対たいする期待きたいが大おおきい[8]。

2021年ねん2月がつ22日にち、福島ふくしま県けん新地しんじ町まち沖おきで漁獲ぎょかくされたクロソイから、日本にっぽんの食品しょくひん基準きじゅん値ち（100 Bq/kg）の5倍ばいとなる放射ほうしゃ性せいセシウムが検出けんしゅつされたため、福島ふくしま県けん漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごう会かいは出荷しゅっかを停止ていしした[13][14]。福島ふくしま県けん沖おきで漁獲ぎょかくされる魚さかなから基準きじゅん値ちを超こえる放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつが検出けんしゅつされるのは2019年ねん2月がつ以来いらいのことで、以降いこうは検査けんさを受うけた99.9%が検査けんさ装置そうちで検出けんしゅつできる限界げんかいを下回したまわる放射ほうしゃ性せい濃度のうどであった[13]。このため福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょの港湾こうわん内ないで魚類ぎょるいが出入でいりしている可能かのう性せいがあるという[13]。その後ごしばらく基準きじゅん値ちを超こえる検体けんたいは確認かくにんされていなかったが、4月がつ1日にちに南みなみ相馬そうま市し沖おきで採取さいしゅされた個体こたいが基準きじゅん値ちを超こえたため、原子力げんしりょく災害さいがい対策たいさく本部ほんぶは出荷しゅっか制限せいげんを指示しじした[15][16]。ただし、福島ふくしま県けん漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごう会かいは2月がつに放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつが検出けんしゅつされて以降いこう、出荷しゅっかを自粛じしゅくしており、2020年ねんに福島ふくしま県けんで漁獲ぎょかくされたクロソイは3 tと全体ぜんたいの1%にも満みたない[15]。

食しょく 編集へんしゅう

 
塩焼しおやき

店頭てんとうには活魚いけうお・鮮魚せんぎょ・冷凍れいとう状態じょうたいで並ならぶ[11]。ソイの中なかでは最もっとも美味びみとされる[11][4][5]が、サイズや海域かいいきによってはわずかに磯臭いそくささをもつことがある[11][4]。白身しろみ魚ぎょであり、塩焼しおやき[11]・煮付につけやから揚あげにして食たべる[11][7][4]。ただし煮に崩くずれしやすいので注意ちゅういを要ようする[11]。小こぶりのクロソイをから揚あげにし、餡あんをかけた料理りょうりは料亭りょうていで供きょうされることがある[11]。新鮮しんせんなものは刺身さしみにすることができる[11][2][7][4]。皮かわも美味びみとされ、皮かわつきのサクに熱湯ねっとうをかけて表面ひょうめんを白しろくし、松まつ皮かわ造づくりにする調理ちょうり法ほうがある[11]。漁獲ぎょかく量りょうが多おおくないため加工かこう原料げんりょうとしては重要じゅうようでないが、一部いちぶ地域ちいきで高級こうきゅう蒲鉾かまぼこの原料げんりょうとして利用りようする[11]。

北海道ほっかいどう室蘭むろらん市しの「市しの魚さかな」に指定していされており、室蘭むろらん観光かんこう推進すいしん連絡れんらく会議かいぎは室蘭むろらんカレーラーメン・室蘭むろらんやきとりと並ならぶ「むろらん3大だいグルメ」の1つと紹介しょうかいしている[17]。

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ “Sebastes schlegelii クロソイ”. Biological Information System for Marine Life. 海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう. 2021年ねん2月がつ23日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2021年ねん2月がつ23日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b c d e f “クロソイ（黒くろ曽そ以）”. 全国ぜんこく海水かいすい養魚ようぎょ協会きょうかい. 2021年ねん2月がつ23日にち閲覧えつらん。
  3. ^ a b c d e f g h i j “クロソイ” (PDF). 北海道ほっかいどう立りつ総合そうごう研究けんきゅう機構きこう. 2021年ねん2月がつ23日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2021年ねん2月がつ23日にち閲覧えつらん。
  4. ^ a b c d e f g h i “黒くろ曽そ以（くろそい）”. 日本にっぽんの旬しゅん・魚さかなのお話はなし. 神港魚類しんこうぎょるい. 2021年ねん2月がつ23日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2021年ねん2月がつ23日にち閲覧えつらん。
  5. ^ a b “クロソイ”. ケンミン食しょく. まちづくりプラットフォーム. 2021年ねん2月がつ23日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2021年ねん2月がつ23日にち閲覧えつらん。
  6. ^ a b c d e f 山本やまもと 編へん 1997, p. 437.
  7. ^ a b c d e f g h “クロソイの特徴とくちょう”. Honda釣つり倶楽部くらぶ. 本田技研工業ほんだぎけんこうぎょう. 2021年ねん2月がつ23日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2021年ねん2月がつ23日にち閲覧えつらん。
  8. ^ a b 宮古みやこ栽培さいばい漁業ぎょぎょうセンター (2006年ねん7月がつ3日にち). “クロソイの放流ほうりゅう効果こうか―放流ほうりゅうした稚魚ちぎょがお母かあさんになって帰かえってきています―”. 水産すいさん総合そうごう研究けんきゅうセンター栽培さいばい漁業ぎょぎょうセンター. 2021年ねん2月がつ23日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2021年ねん2月がつ23日にち閲覧えつらん。
  9. ^ Venmathi Maran, Balu Alagar; Moon, Seong Yong; Ohtsuka, Susumu; Oh, Sung-Yong; Soh, Ho Young; Myoung, Jung-Goo; Iglikowska, Anna; Boxshall, Geoffrey Allan (2013). “The caligid life cycle: new evidence from Lepeophtheirus elegans reconciles the cycles of Caligus and Lepeophtheirus (Copepoda: Caligidae)”. Parasite 20: 15. doi:10.1051/parasite/2013015. PMC 3718518. https://www.parasite-journal.org/articles/parasite/abs/2013/01/parasite130014/parasite130014.html.   
  10. ^ a b c d e 山本やまもと 編へん 1997, p. 439.
  11. ^ a b c d e f g h i j k l 山本やまもと 編へん 1997, p. 438.
  12. ^ “ソイ類るい”. 公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん茨城いばらき県けん栽培さいばい漁業ぎょぎょう協会きょうかい. 2021年ねん2月がつ23日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2021年ねん2月がつ23日にち閲覧えつらん。
  13. ^ a b c 「福島ふくしま県けん沖おき クロソイから基準きじゅん超ちょうの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつ 出荷しゅっかを停止ていし」『NHKニュース』日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい、2021年ねん2月がつ22日にち。2021年ねん2月がつ23日にち閲覧えつらん。オリジナルの2021年ねん2月がつ23日にち時点じてんにおけるアーカイブ。
  14. ^ 「福島ふくしま沖おき「クロソイ」 基準きじゅんの5倍ばいのセシウム検出けんしゅつ」『FNN プライムオンライン』フジニュースネットワーク > 福島ふくしまテレビ、2021年ねん2月がつ22日にち。2021年ねん2月がつ23日にち閲覧えつらん。オリジナルの2021年ねん2月がつ23日にち時点じてんにおけるアーカイブ。
  15. ^ a b “福島ふくしま県けん沖おきの海域かいいき 国こくがクロソイの出荷しゅっか制限せいげんを指示しじ”. 日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい (2021年ねん4月がつ19日にち). 2021年ねん4月がつ22日にち閲覧えつらん。
  16. ^ “クロソイ、国くにの基準きじゅん超ちょうセシウム 福島ふくしま県けん沖おき、政府せいふが出荷しゅっか制限せいげん”. 時事通信社じじつうしんしゃ (2021年ねん4月がつ19日にち). 2021年ねん4月がつ22日にち閲覧えつらん。
  17. ^ “室蘭むろらん市し/食たべる”. 室蘭むろらん市し経済けいざい部ぶ観光かんこう課か. 2021年ねん2月がつ23日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2021年ねん2月がつ23日にち閲覧えつらん。

参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

  • 山本やまもと保彦やすひこ 編へん、阿部あべ宗明むねあき・本間ほんま昭郎あきお 監修かんしゅう 編へん『現代げんだいおさかな事典じてん 漁場ぎょじょうから食卓しょくたくまで』エヌ・ティー・エス、1997年ねん11月25日にち、1196頁ぺーじ。ISBN 4-900830-22-4。 

外部がいぶリンク 編集へんしゅう

  • クロソイ - 青森あおもり県けん漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごう会かい
  • クロソイ - 三重みえ県けん漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごう会かい
  • 『クロソイ』 - コトバンク
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