クロスグリ

クロスグリ
クロスグリ
分類ぶんるい（APG III）
界さかい : 植物しょくぶつ界かい Plantae 階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms 階級かいきゅうなし : 真正しんしょう双そう子葉しよう類るい eudicots 階級かいきゅうなし : コア真正しんせい双そう子葉しよう類るい core eudicots 目め : ユキノシタ目め Saxifragales 科か : スグリ科か Grossulariaceae 属ぞく : スグリ属ぞく Ribes 種たね : クロスグリ R. nigrum
学名がくめい
Ribes nigrum L.
和名わみょう
クロスグリ
英名えいめい
Blackcurrant

植物しょくぶつ全体ぜんたいの様子ようす

クロスグリ（黒くろ酢す栗ぐり、別名べつめいクロフサスグリ、英名えいめいブラックカラント (Blackcurrant)、学名がくめい Ribes nigrum）は、小ちいさな食用しょくようの果実かじつをつける温帯おんたい性せいの落葉らくよう低木ていぼく。カシス（仏ふつ: Cassis）とも呼よばれる。果実かじつは黒くろに近ちかい濃紫こむらさき色しょくで、ビタミンCやアントシアニンが豊富ほうふ。他たのスグリの仲間なかまと同おなじく、スグリ科かスグリ属ぞくに分類ぶんるいされる。

生産せいさん

カシスの世界せかい最大さいだいの産地さんちはポーランドで、毎年まいとし10万まんトンから14万まん5千せんトンの収穫しゅうかく高こうがあり、これは世界せかい全体ぜんたいの収穫しゅうかく高だかの約やく半分はんぶんを占しめる。ポーランドは同時どうじに輸出ゆしゅつ高こうでも世界せかい最大さいだいである。またポーランドは品種ひんしゅ改良かいりょうも盛さかんで、頻繁ひんぱんに新しん品種ひんしゅを生うみ出だしている。

日本にっぽんでは11トンの収穫しゅうかく量りょうがあり、青森あおもり県けんが7.7トンとフサスグリ国内こくない最大さいだいの産地さんちとなっている。

• アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは19世紀せいきまではクロスグリが広ひろく栽培さいばいされていたが、1900年代ねんだいにアジアからヨーロッパ経由けいゆで侵入しんにゅうし、抵抗ていこう性せいのないアメリカ大陸あめりかたいりくのマツ類るいに壊滅かいめつ的てき被害ひがいを出だし続つづけている五ご葉ようマツ類るい発疹はっしんさび病びょう（英名えいめい：white pine blister rust）の原因げんいん菌きんCronartium ribicolaの中なか間あいだ宿主しゅくしゅになるということで クロスグリの栽培さいばいは禁止きんしされた。連邦れんぽう政府せいふによるクロスグリの栽培さいばい禁止きんし令れいは1966年ねんに廃止はいしされ、バーモント州しゅう、ニューヨーク州しゅう、コネティカット州しゅう、オレゴン州しゅうなどでクロスグリ栽培さいばいが再ふたたび盛さかんになってきたが、現在げんざいでもマサチューセッツ州しゅう、メイン州しゅう、ニューハンプシャー州しゅうなどの東部とうぶの諸しょ州しゅうではクロスグリの栽培さいばいが禁止きんしされている。合衆国がっしゅうこくにおけるクロスグリの認知にんち度どは低ひくく、禁止きんし令れい以前いぜんのレベルや欧州おうしゅうほど一般いっぱん的てきにはなっていない。

利用りよう法ほう

クロスグリの実じつはかすかな苦味にがみをもち、ゼリー、ジャム、アイスクリーム、コーディアル、リキュールなどに利用りようされる。イギリス、ヨーロッパ、イギリス連邦れんぽう諸国しょこくでは、クロスグリの風味ふうみを加くわえたり、干ほした果実かじつを加くわえたクッキーなどの菓子かしが多数たすう存在そんざいする。しかし、同おなじブランドの製品せいひんでも北きたアメリカでは、この風味ふうみが取とり除のぞかれていることが多おおく、代かわりに利用りようしやすいブドウ味あじが使用しようされている。日本にっぽん国内こくないではクロスグリの風味ふうみを活いかしジャム、飴あめ、ケーキ、ジュース、お茶ちゃ、ワイン、サプリメントに加工かこうされるなど利用りようされている。

また、クロスグリを使つかった飲のみ物ものは様々さまざまなものが販売はんばいされているが、国くにによって呼よび方かたが異ことなる。

• 酒場さかばでは、クロスグリのコーディアルは単たんに「ブラック」と呼よばれる。例たとえば、「ウォッカ・アンド・ブラック」「スネークバイト・アンド・ブラック」「ペルノー・アンド・ブラック」「ブラック・アンド・レモネード」など。
• 北きたアメリカでは、クロスグリのコーディアルを「クレーム・ド・カシス (仏ふつ: creme de cassis)」と呼よぶ。
• イギリスやフランスでは、「キール」などで用もちいるクロスグリのリキュールを「クレーム・ド・カシス」と呼よぶ。
• オランダでは、赤あかい色いろのクロスグリ味あじのソフトドリンクをカシスと呼よぶ。
• イギリスのグラクソ・スミスクライン社しゃは「ライビーナ」という商品しょうひん名めいのクロスグリのコーディアルを生産せいさんしている。ライビーナはイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、香港ほんこんなどで販売はんばいされており、とても甘あまいが、主おもに子供こども向むけの「健康けんこう飲料いんりょう」として販売はんばいされている。

アガサ・クリスティの創作そうさくしたベルギー人じんの名めい探偵たんていエルキュール・ポアロは、しばしばクロスグリのシロップを飲のんでいる。

成分せいぶん

4-メトキシ-2-メチル-2-ブタンチオールの構造こうぞう式しき

• 果実かじつ以外いがいの植物しょくぶつの性質せいしつはフサスグリによく似にているが、両者りょうしゃは明確めいかくに見分みわけることができる。クロスグリの葉はや茎くきは、カシスのジャムのような強烈きょうれつな臭においがする。葉は芽めからはこの臭においのする精油せいゆが得えられ、香水こうすいなどにアクセントとして使用しようされている。この臭においの成分せいぶんは、4-メトキシ-2-メチル-2-ブタンチオール、4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン、ギ酸ぎさん3-メルカプト-3-メチルブチルなどが知しられている。
• クロスグリの種子しゅし油ゆ（カシスオイル）は、必須ひっす脂肪酸しぼうさんであるγがんま-リノレン酸さん (GLA) を多量たりょうに含ふくむ。
• マウスでの動物どうぶつ実験じっけんでは、A型がたインフルエンザウイルスに対たいし抗こうインフルエンザウイルス作用さようが示唆しさされる。
• かつて、（クロスグリに限かぎらず）ベリーはデザイナーフーズ計画けいかくのピラミッドで3群ぐんに属ぞくしていた。3群ぐんの中なかではローズマリー、セージ、大麦おおむぎ、ジャガイモと共ともに最下位さいかいに属ぞくするが、癌がん予防よぼう効果こうかのある食材しょくざいであると位置いちづけられていた。
• 4種類しゅるいのアントシアニンが含ふくまれている。特とくに2種類しゅるいのアントシアニンはクロスグリ特有とくゆうの成分せいぶんでブルーベリーやビルベリーなどには含ふくまれていない。

関連かんれん項目こうもく

• クレーム・ド・カシス - クロスグリのリキュール
• フサスグリ
• 五ご葉ようマツ類るい発疹はっしんさび病びょう

外部がいぶリンク

• “日本にっぽんカシス協会きょうかい”. 2012年ねん8月がつ21日にち閲覧えつらん。
• カシス、ブラックカラント、クロフサスグリ(黒くろ房ぼう酸塊すぐり)、クロスグリ(黒くろ酸塊すぐり) - 素材そざい情報じょうほうデータベース＜有効ゆうこう性せい情報じょうほう＞（国立こくりつ健康けんこう・栄養えいよう研究所けんきゅうじょ）
• “Black currants could relieve stress” (2010年ねん7月がつ28日にち). 2012年ねん8月がつ21日にち閲覧えつらん。