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サライキ

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サライキ
はなされるくに パキスタンの旗 パキスタン
インドの旗 インド
アフガニスタンの旗 アフガニスタン
話者わしゃすう 1,390まんにん
言語げんご系統けいとう
表記ひょうき体系たいけい ペルシア文字もじグルムキー文字もじデーヴァナーガリー
言語げんごコード
ISO 639-3 skr
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サライキ(サライキご、英語えいご: Saraikiペルシア文字もじ: سرائیکی)はインドぞくする言語げんごである。サラーエキーサラーイキーシライキーシラーイキーともばれる。英語えいごつづりとしては、Seraiki、Siraiki などがある。

分布ぶんぷ地位ちい

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サライキパキスタンのパンジャーブしゅう南西なんせいはなされている言語げんごで、ムルターンバハーワルプル中心ちゅうしんとする。この地域ちいきシンドしゅう地理ちりてきにも歴史れきしてきにもちかく、その言語げんごもパンジャーブ州都しゅうとラホールパンジャーブとはおおきくことなっているが、サライキ公式こうしきにはパンジャーブ方言ほうげんとみなされてきた。

20世紀せいきはじめ、ジョージ・エイブラハム・グリアソンはインド言語げんご調査ちょうさにおいて、パンジャーブしゅう西部せいぶ言語げんごラフンダーという名前なまえをつけ、パンジャーブとはべつ言語げんごとした。サライキはラフンダー南部なんぶ方言ほうげん相当そうとうする。

だい世界せかい大戦たいせん公用こうようウルドゥーとなり、サライキ文化ぶんかとしての地位ちいはきわめてひくかった。また、ラホール中心ちゅうしん主義しゅぎたいする反発はんぱつもあり、1960ねんごろからサライキ独立どくりつした言語げんごとしてみとめさせようとする政治せいじ運動うんどうきた。運動うんどうのおきたおも原因げんいんは、たんなる言語げんご問題もんだいではなく、ラホールにくらべて開発かいはつがたちおくれていることにあった[1]。1970ねんにはサライキのラジオ放送ほうそうがはじまり、1971ねんにはサライキ国勢調査こくせいちょうさ言語げんごらんけるように要請ようせいしたが却下きゃっかされた[2]。パンジャーブをパンジャーブしゅう全体ぜんたい初等しょとう教育きょういくおしえることがまると、これに反発はんぱつして1975ねんぜんパキスタン・サライキ文学ぶんがく会議かいぎ開催かいさいされた[3]。1981ねんにはじめてサライキ国勢調査こくせいちょうさ対象たいしょうとしての独立どくりつした言語げんごみとめられた[4]。サライキけん独立どくりつしたしゅうにする政治せいじ運動うんどうおこなわれ、1983ねんには「サライキスタン」というかり名前なまえがつけられた[5]

音声おんせい

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母音ぼいん

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サライキ母音ぼいん体系たいけいにはヒンディーパンジャーブことなって /ɔ/ がなく、9母音ぼいんからなる(/ə ɪ ʊ a i u e ɛ o/[6]南端なんたん方言ほうげんでは /ɛ/ もなくなって 8母音ぼいんになっているという[7]

子音しいん

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パンジャーブ北部ほくぶのラフンダーではゆう声帯せいたいおん消滅しょうめつしているが[8]、サライキにはのこっている。鼻音びおんりゅうおんにもおびおんがある。またシンド同様どうようにゅうやぶおとがある[9]おおくの鼻音びおん音韻おんいんてき区別くべつする。全体ぜんたいとして、サライキ子音しいん体系たいけいは、シンドとほぼおなじになっている。

パンジャーブ特徴とくちょうである声調せいちょうは、サライキには存在そんざいしない。

りょう唇音しんおん
くちびる歯音しおん
歯音しおん
歯茎はぐきおん
そりしたおん かた口蓋こうがいおん 軟口蓋なんこうがいおん 声門せいもんおん
破裂はれつおん
やぶおと
無声音むせいおん [p pʰ] [t̪ t̪ʰ] [ʈ ʈʰ] [t͡ʃ t͡ʃʰ] [k kʰ]
有声音ゆうせいおん [b bʱ] [d̪ d̪ʱ] [ɖ ɖʱ] [d͡ʒ d͡ʒʱ] [ɡ ɡʱ]
にゅうやぶおと [ɓ] [ɗ] [ʄ] [ɠ]
鼻音びおん [m mʱ] [n nʱ] [ɳ ɳʱ] [ɲ] [ŋ]
摩擦音まさつおん 無声音むせいおん [f] [s] [ʃ] [x]
有声音ゆうせいおん [z] [ɣ] [ɦ]
はじきおん [r rʱ] [ɽ ɽʱ]
側面そくめんおん [l lʱ]
半母音はんぼいん [v vʱ] [j]

文字もじ

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パキスタンでは、ペルシア文字もじけい文字もじ使用しようする。基本きほんてきにはウルドゥー文字もじおなじだが、ウルドゥーにないいれやぶおとあらわすためにおもにシンドからりた文字もじ使用しようする。ただし、追加ついか文字もじ字形じけいはかならずしも統一とういつされていない[10][ɗ] (または )のための ݙ と、[ɳ] のための ݨを Unicode に追加ついかする提案ていあんがなされ[11]、これらの文字もじUnicode 4.1 (2005) で追加ついかされた。

ほかにランダー文字もじ系統けいとう文字もじ使つかわれ、この文字もじを「ムルターニー文字もじ」として Unicode にふくめるための提案ていあんがなされた[12]。ムルターニー文字もじは Unicode 8.0 で追加ついかされた[13]

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Javaid (2004) p.50
  2. ^ Shackle (1977) p.397
  3. ^ Shackle (1977) p.398
  4. ^ Javaid (2004) p.46
  5. ^ Javaid (2004) p.51
  6. ^ Masica (1993) p.110
  7. ^ Shackle (2007) p.588
  8. ^ Masica (1993) p.102
  9. ^ Masica (1993) p.104
  10. ^ Shackle (2007) p.596 にさまざまなせる
  11. ^ N2598: Proposal to encode additional Arabic-script characters”. pp. 22,25 (2003ねん7がつ10日とおか). 2015ねん9がつ10日とおか閲覧えつらん
  12. ^ Anshuman Pandey (2012ねん9がつ25にち). “N4159: Proposal to Encode the Multani Script in ISO/IEC 10646”. 2015ねん9がつ10日とおか閲覧えつらん
  13. ^ Unicode 8.0.0”. The Unicode Consortium (2015ねん6がつ17にち). 2015ねん9がつ11にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Javaid, Umbreen (2004). “Saraiki political movement: its impact in south Punjab”. Journal of Research (Humanities) (Faculty of Arts and Humanities, University of the Punjab) 40 (2): 45–55. http://pu.edu.pk/images/journal/english/Online_contents/Vol.%20XL%20No.2%20JRH%20July%202004.pdf. 
  • Masica, Colin (1993) [1991]. The Indo-Aryan languages (paperback ed.). Cambridge University Press. ISBN 0521299446 
  • Shackle, Christopher (1977). “Siraiki: A Language Movement in Pakistan”. Modern Asian Studies 11 (3): 379-403. JSTOR 311504. 
  • Shackle, Christopher (2007) [2003]. “Panjabi”. In George Cardona; Dhanesh Jain. The Indo-Aryan Languages. Routledge. pp. 581-621. ISBN 9780415772945 

関連かんれん文献ぶんけん

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  • Balfour, Edward. 1885. The cyclopædia of India and of Eastern and Southern Asia: commercial, industrial and scientific, products of the mineral, vegetable, and animal kingdoms, useful arts and manufactures. Volume 3; Entry on "Multani Writing". London: B. Quaritch. Google Books view.
  • Gardezi, Hassan N. (1996). Saraiki Language and its poetics: An Introduction. London: Sangat Publishers 
  • Grierson, George A. 1919. Linguistic survey of India. vol. VIII, Part 1. Calcutta. Reprinted 1968 by Motilal Banarsidass, Delhi.
  • Rahman, Tariq. 1997. Language and Ethnicity in Pakistan. Asian Survey, 1997 Sep., 37(9):833-839.
  • Rahman, Tariq. 1999. Language, education, and culture. Islamabad : Sustainable Development Policy Institute ; Karachi : Oxford University Press.
  • Shackle, Christopher 1976. The Siraiki language of central Pakistan: a reference grammar. London:School of Oriental and African Studies (SOAS).
  • Wagha, Ahsan (1990). The Saraiki Language: Its Growth and Development. Islamabad: Dderawar Publications 

外部がいぶリンク

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