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ジンギス

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ジンギス(Genghis)は、MITロボット工学こうがく教授きょうじゅロドニー・ブルックスが1991ねん開発かいはつした体長たいちょう35cm、重量じゅうりょう1.2kg、秒速びょうそく15cmのろくほんあしロボットである。日本にっぽんでは Genghis のつづりから「ゲンギス」と表記ひょうきされることもあるが、チンギス・カン(ジンギス・カン)の英語えいご表記ひょうき Genghis Khan に由来ゆらいするもので、iRobotしゃ日本語にほんごばん公式こうしきサイトにおけるカタカナ表記ひょうきは「ジンギス」となっている。

特徴とくちょう

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ジンギスはいわゆる従来じゅうらいがたのうたず、「神経しんけいネットワーク」のみで環境かんきょうから学習がくしゅうする包摂ほうせつアーキテクチャ(Subsumption Architecture; SA)とばれる行動こうどうがたシステムを採用さいようしている。

のうたないにもかかわらず、ジンギスは従来じゅうらいがた人工じんこう知能ちのう(Artificial Intelligence; AI)を搭載とうさいしたロボットよりも素早すばや行動こうどうする。またプログラムのサイズも従来じゅうらいがた人工じんこう知能ちのう搭載とうさいがたロボットのやく1/1000であり、ソフトウェアの変更へんこう追加ついか容易よういで、CPUやメモリーなどのハードウェアも最小限さいしょうげん構成こうせいむという特色とくしょくゆうする。

評価ひょうか

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従来じゅうらいがた知性ちせい主体しゅたいいたAI研究けんきゅうこうから否定ひていする設計せっけい哲学てつがくであったためにロドニー・ブルックスはAI研究けんきゅう先駆せんくしゃからは批判ひはんびたが、ジンギスの成功せいこうから支持しじしゃおおい。

オリジナルのジンギスは1992ねんあき米国べいこくワシントンしゅうスミソニアン航空こうくう博物館はくぶつかんSmithsonian Air and Space Museum)に収蔵しゅうぞうされた。

由来ゆらい

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ジンギスは元々もともと、アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく(NASA)の火星かせい探査たんさロボットの原型げんけいとして設計せっけいされた。きゅうソビエト連邦れんぽう月面げつめんしゃ(ルノホート)は月面げつめん岩石がんせき土壌どじょう地球ちきゅうかえるサンプルリターンに成功せいこうしているが、これは地球ちきゅうつき距離きょり比較的ひかくてきちかく、電波でんぱ無線むせん操縦そうじゅう可能かのうだったことが理由りゆうである。だが、火星かせい地球ちきゅう距離きょり最短さいたんでもやく8000まんkmであり地球ちきゅうから火星かせいへのダイレクトな電波でんぱ無線むせん操縦そうじゅう不可能ふかのうであるため自律じりつせいゆうした火星かせい探査たんさロボットが必要ひつようとされた。

発展はってん

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ジンギスにより確立かくりつされた包摂ほうせつアーキテクチャ設計せっけい思想しそういくつものロボット製造せいぞうされている。身近みぢか製品せいひんとしては、iRobotしゃ自動じどう掃除そうじルンバげられる。 ほかにもちゅううごきを真似まね子供こどもよう玩具おもちゃバイオ・メカニカル・バグズ(B.I.O. Mechanical Bugs)が、2001ねん9がつべいハスブロしゃより$40という廉価れんか発売はつばいされた。これはソニーのロボットけんアイボやく1/10の値段ねだんである。 iRobotしゃが1997ねんNASA依頼いらいによりデザインした火星かせい探査たんさロボットや、軍用ぐんようばくだん処理しょりロボットパックボットもジンギスに包摂ほうせつアーキテクチャ設計せっけい思想しそう原点げんてんとなっている。 宇宙うちゅう航空こうくう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこうJAXAのMUSES-C(はやぶさ)プロジェクト、小惑星しょうわくせい探査たんさロボットミネルバなどにもジンギスの研究けんきゅう応用おうようされている。

問題もんだいてん

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ロドニー・ブルックスは、包摂ほうせつアーキテクチャ哲学てつがくもとづいて、所謂いわゆる知性ちせい”をったロボットの創造そうぞう目指めざMITコンピュータ科学かがく人工じんこう知能ちのう研究所けんきゅうじょにて人間にんげんがたロボット(Cognitive robot; Cog)の研究けんきゅうつづけているがいま成功せいこういたっていない。現在げんざい人工じんこう知能ちのうAI研究けんきゅういては、従来じゅうらいがたの“かんがえる”人工じんこう知能ちのうAIと反射はんしゃ行動こうどうがた包摂ほうせつアーキテクチャSAを融合ゆうごうさせたかたちでなければ“知性ちせい”をったロボット創造そうぞう困難こんなんであるとかんがえられている。

外部がいぶリンク

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