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シャーベット

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ソルベから転送てんそう
イチゴあじのシャーベット

シャーベットえい: sherbet)は、糖類とうるいのほか果汁かじゅうさんなどをくわえて凍結とうけつさせた冷菓れいか[1]。これにはちち脂肪しぼうぶんちち固形こけいぶんふく場合ばあいもある[1]

英語えいごけんではsherbetと表記ひょうきするが、多義たぎてきであり、氷菓ひょうか(ひょうか)(アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく)あるいははじけるキャンディー(イギリスニュージーランドオーストラリア)のことをいう。オーストラリアニュージーランドではシャーバートsherbert)とばれることがあり、しばしばアメリカでもシャーバートと誤認ごにんされている。シャーベットは、ふるくは発泡はっぽうせいまたはこおりやしたフルーツがベースの飲料いんりょうであったが、イギリス、アメリカ、オセアニアことなるものを意味いみするように変化へんかしていくにれ、その意味いみおよびスペルと発音はつおん)は、みっつの英語えいごけんくにあいだ分離ぶんりしていった。

イギリスでは、アメリカふうのシャーベットにちか氷菓ひょうかフランス語ふらんすごからの借用しゃくようもちソルベsorbet)とぶ。

派生はせいしゅとして、アイススラリーがある。こまかいこおり粒子りゅうし液体えきたい分散ぶんさんしたもので、通常つうじょうかたまりこおりくらべて体内たいない温度おんど調整ちょうせいによる流動りゅうどうせいつよいもので、スポーツドリンク栄養えいようドリンクで、その成分せいぶん含有がんゆうのものが販売はんばいされている[2]

語源ごげん起源きげん

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シャーベットおよびソルベはどちらも、果物くだものなどからつくったシロップみずうすめ、くだいたこおりれてやした飲料いんりょう意味いみするアラビア(どう)名詞めいし شربة(sharbah ないしは sharba, シャルバ, 「いちみ」「もの飲料いんりょう」の)またはアラビアにおける語末ごまつター・マルブータ(ة)をひらいたター(ت)にえたペルシアやトルコでの表記ひょうき شربت由来ゆらいするトルコ: şerbat(「シェルバット」)を起源きげんとしており[3][4]、「シャルバット英語えいごばん」の由来ゆらいともなっている。

シャーベットはアイスクリームのルーツにもなった冷菓れいかで、すでにいん時代じだい中国ちゅうごく古代こだいエジプトには存在そんざいした[5]古代こだいには貴族きぞくそう富裕ふゆうそうもの一種いっしゅ健康けんこう食品しょくひんとしても利用りようされ、古代こだいギリシャ、古代こだいローマ、アラブ世界せかい中国ちゅうごくなどに様々さまざま形態けいたいのものがあった[5]

マ帝国まていこく皇帝こうていだったネロはアルプスから万年雪まんねんゆきはこばせ、このゆきにバラやスミレのみつ果汁かじゅう蜂蜜はちみつ樹液じゅえきなどで味付あじつけしたもの(ドルチェ・ビータ)をくえしたとわれている[5]。また、『せん一夜いちや物語ものがたり』にはつめたいものであるシャルバート(アラビアشربات, sharabāt(シャラバート)ないしはsharbāt(シャルバート))の記述きじゅつがある[5]9世紀せいきシチリア征服せいふくしたアラブじんんだシャルバートが氷菓ひょうかグラニタ原型げんけいになったのではないかとかんがえられているが、古代こだいギリシア古代こだいローマにはすでに、高山たかやまから採集さいしゅうしたゆきワインやす習慣しゅうかんがあった。

一方いっぽうひがしアジアにもふるくから氷菓ひょうかたのしむ習慣しゅうかんがあり、『東方とうほう見聞けんぶんろく』に氷菓ひょうか登場とうじょうすることから、マルコ・ポーロ中国ちゅうごくからソルベに氷菓ひょうかかえったともいわれている。アラビア文化ぶんかけんの「シャルバート」がシルクロードて、中国ちゅうごくにもたらされたというもと記録きろくがある。だいもと帝国ていこく建国けんこくしたクビライあせ12151294ねん)は、かつてちちやまいいやしたイスラム妙薬みょうやくもとめ、それがサマルカンドの「しゃさとはち」で、各種かくしゅ果汁かじゅう砂糖さとうぜ、バラのかおりをけたみず龍涎香りゅうぜんこうなどでふう味付あじつけしゆきこおりやしたものだった。クビライは「しゃさとはち」のあまりのおいしさに驚嘆きょうたんしたとつたえられ、調合ちょうごうした医師いしサルギスを仕官しかんさせ厚遇こうぐうしたとう(「しゃさとはち」は「シャルバート」の漢字かんじやく)。

1533ねんフィレンツェカテリーナ・デ・メディチオルレアンこうアンリ・ド・ヴァロワのもとに輿入こしいれしたとき同行どうこうしたイタリア料理人りょうりにんなかシチリアひと氷菓ひょうか職人しょくにんがおり、フランス宮廷きゅうてい氷菓ひょうかつたわったといわれる。しかしニューヨーク大学だいがくのローラ・ワイスは、このはなしには根拠こんきょがないとべている[6]

16世紀せいき初頭しょとうにはパドヴァ大学だいがく教授きょうじゅだったマルク・アントニウス・ジマラみず多量たりょう硝石しょうせきかすと吸熱反応はんのうしめし、みず温度おんどげることができることを発見はっけんした[5]。この原理げんり利用りようすることで従来じゅうらいのようにゆきこおり使用しようしなくてもシャーベットのような食品しょくひん人工じんこうてき凍結とうけつさせることが可能かのうとなった[5]17世紀せいきすえまでにはソルベがパリ町中まちなかられるようになり、ヨーロッパなかひろがっていった。

英語えいごけんでの多義たぎせい

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米国べいこく

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シャーベットはあまくしたフルーツジュースまたはフルーツのピューレこおらせてつく氷菓ひょうかである。普通ふつうはシャーベットはソルベよりも材料ざいりょうおおく、普通ふつう牛乳ぎゅうにゅう卵白らんぱくおよびゼラチンのようなものをふくんでいる。米国べいこくうシャーベットはちち脂肪しぼうぶんを1ないし2パーセントふくんでいなければならない。また、アイスクリームよりも甘味あまみりょうがわずかにおおふくまれていなければならない。もしそうでなければ、ちち脂肪しぼうぶんおおいか甘味あまみりょうすくなければアイスクリーム、ちち脂肪しぼうぶん甘味あまみりょうすくなければアイスミルク、もしくは牛乳ぎゅうにゅうがまったくふくまれていないならばソルベとして販売はんばいされなければならない。米国べいこくのシャーベットはすくなくとも1ガロンたり6ポンド(720 g/L)の密度みつどがあり、フルーツなどのあじがついている。

普通ふつうはシャーベットもソルベも、レシピとしてはえることができるが、シャーベットには牛乳ぎゅうにゅうはいっているため、こおるのもけるのもおそい。ソルベはフランスで完成かんせいされた氷菓ひょうかであり、米国べいこく有名ゆうめいになったのはわり最近さいきんのことである。ソルベのつイメージにはシャーベットに高級こうきゅうかんがあるため、高級こうきゅうレストランのメニューにソルベはあってもシャーベットはまずい。

ソルベをつく過程かていで、ソルベが完全かんぜんこおまえたまごてい脂肪しぼうちちくわえるとシャーベットができる。

シャーベットはしばしば、てい脂肪しぼうせい代替だいたいぶつとしてアイスクリームとべてられている。

英国えいこく、オーストラリアおよびカナダ

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英国えいこくでのシャーベットは、はじけるパウダーの一種いっしゅである。日本にっぽん駄菓子だがしとしてられている「こなジュース」にちかい。

重曹じゅうそう酒石酸しゅせきさん砂糖さとうなどからできていて、通常つうじょうはクリームソーダあじかフルーツあじがついており、ジュース唾液だえき水分すいぶん反応はんのうしてさん塩基えんき反応はんのうこす。市販しはんひん炭酸たんさん飲料いんりょううよりもいえつくることがおおかったころは、粉末ふんまつレモネードからレモネードをつくるのとおな方法ほうほうでさまざまなものぜて炭酸たんさん飲料いんりょうつくるのにシャーベットが使つかわれた。

シャーベットをル紙るがみつつれ、リコリス菓子かしでできたストローえたものはリコリスフォンテインという名前なまえられている。シャーベットのこなをリコリス菓子かしのストローでうことを想定そうていしているのだが実際じっさいにはうまくかないため、シャーベットをくちながんでおいて、リコリス菓子かしべつべることがおおい。

ふくろ密封みっぷうされたぼうキャンディーにシャーベットの小袋こぶくろがついてくるシャーベットディップもよくられている。ぼうきキャンディーをめたらそれをシャーベットのなかけ、シャーベットをるようになっている。ぼうきキャンディーにシャーベットをせてくちはこんでもよい。小袋こぶくろが3つか4つの部分ぶぶんかれていて、小袋こぶくろのひとつにキャンディーでできたべられるぼうのこりの小袋こぶくろイチゴあじオレンジあじコーラあじなどちがあじのシャーベットがはいっているシャーベットディップもあり、あじちがうシャーベットがいちたのしめる。

シャーベットをべるときにくしゃみをすると、シャーベットがはなはいっていたおもいをしたり、シャーベットの粉末ふんまつ部屋へやちゅうらされるため、注意ちゅうい必要ひつようである。

シャーベットは駄菓子だがしわせられることもある。れいをあげれば、あめなかものとして使つかわれたり(シャーベットレモンなど)、べられる容器ようきつつまれたもの(フライングソーサーなど)がある。

英国えいこく、オーストラリア、カナダ通常つうじょうしゅはい氷菓ひょうかは、アイスクリーム、フローズンヨーグルト、およびソルベである。米国べいこくでシャーベットとばれるものは、ソルベの一種いっしゅかんがえられている。

スラング

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ビールまたはアルコール飲料いんりょう

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英国えいこくおよびオーストラリアの一部いちぶではシャーベットはアルコール飲料いんりょうとくビールスラングとして使つかわれてきた。シャーベットはフルーツジュースでつくったひえやす東洋とうようもの名前なまえで、これのヨーロッパばんのものの名前なまえでもある。ヨーロッパのものは、しばしばシャーベット粉末ふんまつぜて発泡はっぽうせいにした。

ビールをすスラングとしての使用しようは、1890年代ねんだい初期しょきのスラング辞典じてんしるされているが、今日きょうでもスラングの一覧いちらんっている(とくにオーストラリアのスラングの一覧いちらんとして)

麻薬まやく

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ショービズシャーベットとえば、英国えいこくのスラングではコカインす。

タクシー

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1990年代ねんだいロンドンでは、シャーベットまたはシャーベットダブ(sherbet dab)が、タクシー(cab)を押韻おういんスラング(Cockney Rhyming Slang)として使つかわれはじめた。(押韻おういんスラングについては、「コックニー」のぺーじ参照さんしょう。)

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ a b うえ野川のがわおさむいち へん『ミルクの事典じてん』p.127、朝倉書店あさくらしょてん、2009ねん
  2. ^ ポカリスウェット・アイススラリー
  3. ^ sherbet | Etymology of sherbet by etymonline” (英語えいご). www.etymonline.com. 2024ねん4がつ24にち閲覧えつらん
  4. ^ (英語えいご) sherbet, (2024-01-15), https://en.wiktionary.org/w/index.php?title=sherbet&oldid=77633241 2024ねん4がつ24にち閲覧えつらん 
  5. ^ a b c d e f うえ野川のがわおさむいち へん『ミルクの事典じてん』p.126、朝倉書店あさくらしょてん、2009ねん
  6. ^ ローラ・ワイス ちょ竹田たけだえん やく『アイスクリームの歴史れきし物語ものがたりはら書房しょぼう〈お菓子かし図書館としょかん〉、2012ねんISBN 978-4562047857 

関連かんれん項目こうもく

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