ボラン

ボラン(BH₃)の球たま棒ぼうモデル。

ボラン（英えい: borane）は、ホウ素ほうその水素すいそ化合かごう物ぶつ（水素すいそ化かホウ素ほうそ）の総称そうしょうで、炭化たんか水素すいそのアルカンにちなみ命名めいめいされた。狭義きょうぎにはモノボラン (BH₃) およびジボラン (B₂H₆) を指さす。

構造こうぞう

モノボランは不安定ふあんていで、二に量りょう体からだであるジボランの形かたちで存在そんざいする。このとき、水素すいそ－ホウ素ほうそ間あいだの4個この電子でんしのうち2個こは通常つうじょうとは異ことなる半はん結合けつごうの形かたちになっている。ホウ素ほうそ－水素すいそ－ホウ素ほうその結合けつごうは、水素すいそ－ホウ素ほうそ間あいだのσしぐま結合けつごうではなく、ホウ素ほうその空そら軌道きどうを使つかっている。水素すいそ－ホウ素ほうそ結合けつごうで結むすびついている4個この水素すいそ原子げんしと2個このホウ素ほうそ原子げんしは同どう一いち平面へいめん上じょうに位置いちするが、ホウ素ほうそ－水素すいそ－ホウ素ほうその結合けつごうの中間ちゅうかんに位置いちする2つの水素すいそ原子げんしは平面へいめんの上下じょうげにある。

このような結合けつごうを三さん中心ちゅうしん二に電子でんし結合けつごうと呼よぶ。2個この電子でんしで3個この原子げんしが結合けつごうしているからである。三さん中心ちゅうしん二に電子でんし結合けつごうを含ふくむ化合かごう物ぶつとして他ほかに Al₂Cl₆ がある。なお、通常つうじょうの化学かがく結合けつごうは二に中心ちゅうしん二に電子でんし結合けつごうである。

ボランの水素すいそをハロゲン元素げんそで置換ちかんした化合かごう物ぶつでは三さん中心ちゅうしん二に電子でんし結合けつごうは起おこらず、二に量りょう体たいにはならない。4個この原子げんしは同どう一いち平面へいめんに位置いちする。

ジボランについては、ジボランの記事きじを参照さんしょう。

用途ようと

モノボランは単独たんどくでは不安定ふあんていだが、ルイス塩基えんきと錯体さくたいを作つくらせることによって安定あんていになる。これらは還元かんげん力りょくがあるため、有機ゆうき合成ごうせいにおいてカルボニル基もとや不ふ飽和ほうわ結合けつごうに対たいする還元かんげん剤ざいとして用もちい、いくつかは試薬しやくとして市販しはんされている。THFやジメチルスルフィドとの錯体さくたいは還元かんげん力りょくが強つよいのでカルボン酸さんなどの還元かんげん、ヒドロホウ素もと化か反応はんのうに用もちいる。ピリジン錯体さくたいは還元かんげん力りょくが弱よわいもののプロトン酸さんに対たいして比較的ひかくてき安定あんていであるので、酸性さんせい条件下じょうけんかイミンの還元かんげんなどに用もちいられる。

種類しゅるい

ボランの構造こうぞうには以下いかの2種類しゅるいがある。

• ニドボラン類るい (nidoboranes, B_nH_n+4) — ジボランなど
• アラクノボラン類るい (arachnoboranes, B_nH_n+6) — テトラボラン (B₄H₁₀) など

関連かんれん項目こうもく

• ウェイド則そく
• ヒドロホウ素もと化か