マイヨ・アルカンシエル

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2020ねん世界せかい選手権せんしゅけん女子じょしオムニアム覇者はしゃ梶原かじはらゆうどう大会たいかいにて。
2006ねん(2007ねん)の男子だんしエリートロード世界せかい選手権せんしゅけんものパオロ・ベッティーニ。2007ねんジロ・デ・イタリアにて。
2006ねん, 2007ねん, 2009ねん, 2010ねん男子だんしエリートロードタイムトライアル世界せかい選手権せんしゅけん覇者はしゃファビアン・カンチェラーラ。2007ねんツール・ド・スイスにて。

マイヨ・アルカンシエル (ふつ: Maillot arc-en-ciel) は世界せかい選手権せんしゅけん自転車じてんしゃ競技きょうぎ大会たいかい優勝ゆうしょうしゃあたえられるジャージである。日本にっぽんでは、マイヨ・アルカンシェル表記ひょうきされることがおおいが、フランス語ふらんすごによるこれらの呼称こしょう一般いっぱんてきである。いつつの大陸たいりくあらわみどりくろあかあおのストライプ(にじ=アルカンシエル)がえりそで胴回どうまわりにあしらわれたジャージ(マイヨ)であることから、このがある。ちなみに英語えいごでは「レインボージャージ (Rainbow jersey)」、イタリアでは「マリア・イリダータ (Maglia iridata)」とばれる。

解説かいせつ[編集へんしゅう]

チャンピオンとなった選手せんしゅは、よく年度ねんど世界せかい選手権せんしゅけん大会たいかい開催かいさい前日ぜんじつまでのあいだおこなわれる当該とうがい種目しゅもく大会たいかいにおいてこのジャージを着用ちゃくようして競技きょうぎすることがみとめられる。たとえば個人こじんロードレース優勝ゆうしょうしゃは、UCIワールドツアーツール・ド・フランスなどのグランツールなどでこのジャージの着用ちゃくようすることができる。同様どうよう個人こじんロードタイムトライアルの優勝ゆうしょうしゃは、ステージレースにふくまれるタイムトライアルステージや、単発たんぱつのタイムトライアル大会たいかい実施じっしにジャージの着用ちゃくよう可能かのうである。

またげんチャンピオンでなくなった以降いこうも、当該とうがい種目しゅもくにおいてえり袖口そでぐち虹色にじいろ縁取へりとりしたジャージを着用ちゃくようすることなどが生涯しょうがいゆるされる。

アルカンシエルののろ[編集へんしゅう]

世界せかい選手権せんしゅけんとく男子だんしエリートロードレース)で優勝ゆうしょうした選手せんしゅが、翌年よくねんにはおおきく成績せいせきとすというケースがすくなくないほか、なぜかレースちゅうの落車事故じこやメカトラブルが頻発ひんぱつしたり、歴代れきだい優勝ゆうしょうしゃ私生活しせいかつ家庭かてい不和ふわきる、事故じこ遭遇そうぐう病気びょうき罹患りかんするなどのトラブルに見舞みまわれていることなどから、ぞく自転車じてんしゃ業界ぎょうかいでは「アルカンシエルののろ英語えいご: Curse of the rainbow jerseyフランス語ふらんすご: Malédiction du maillot arc-en-ciel)」というジンクスがまことしやかにうわさされている[1]

優勝ゆうしょうしゃ世界せかい戦後せんごの1年間ねんかん、アルカンシエルを着用ちゃくようしてすべてのレースに出場しゅつじょうすることがゆるされるため、クラシックレースなどのワンデイレースではアルカンシエル着用ちゃくようしゃもっと目立めだ存在そんざいとなるほか、グランツールなどのビッグレースにおいても総合そうごう首位しゅいマイヨ・ジョーヌマリア・ローザマイヨ・ロホ)、ポイントしょう山岳さんがくしょうなどかくしょうジャージの着用ちゃくようしゃ存在そんざいかんしめすことになる。そのため当然とうぜんのようにチームからは実力じつりょくしゃとみなされてきびしいマークにいやすくなるうえ、そのレースの成績せいせき関係かんけいなしにマスコミから格好かっこうの「標的ひょうてき」とされるケースがままあり、その結果けっか、アルカンシエルの重圧じゅうあつれなくなって調子ちょうしとす場合ばあいおおい。このことが「アルカンシエルののろい」に一定いってい説得せっとくりょくあたえている[1]

もちろん「アルカンシエルののろい」そのものにはなん根拠こんきょもないため、「のろい」の影響えいきょうとされるもののほとんどはたんなる偶然ぐうぜん調子ちょうしなみとして片付かたづけられるべきものだが、自転車じてんしゃロードレースの選手せんしゅ関係かんけいしゃやファンのあいだで「のろい」はあるしゅ都市とし伝説でんせつとして定着ていちゃくしている[2]。その注目ちゅうもくたかさから世界せかいだい医学いがく雑誌ざっしひとつであるBMJ(British Medical Journal)では2015ねんのクリスマス論文ろんぶん「アルカンシエルののろいをく」でこの問題もんだいげており、1963ねんから2013ねん優勝ゆうしょうしゃについて解析かいせきしたところ、「いままで提唱ていしょうされたスポットライト効果こうか仮説かせつやマークされやすくなるためてなくなるといったmarked man仮説かせつ否定ひていてきであり、たんなる平均へいきんへの回帰かいきもっと実際じっさい結果けっか説明せつめいしていた」と結論けつろんしている[3]

その活躍かつやく[編集へんしゅう]

世界せかい選手権せんしゅけん優勝ゆうしょうしゃのその活躍かつやくおもれいしめす。

エリート個人こじんロードレースのおもれい[編集へんしゅう]

そのれい[編集へんしゅう]

  • 中野なかの浩一こういち……1977ねんにプロ・スクラッチ(げん スプリント)はつ制覇せいは。そのどう種目しゅもく10連覇れんぱ達成たっせいしたほか、日本にっぽんプロスポーツ選手せんしゅ史上しじょうはつ年間ねんかん獲得かくとく賞金しょうきんがく1おくえんなどを達成たっせい
  • マイケル・ロジャース……2003ねんにタイムトライアル部門ぶもんはつ制覇せいはし、翌年よくねん翌々年よくよくねん勝利しょうりして、どう種目しゅもくさん連覇れんぱ偉業いぎょう達成たっせい
  • ファビアン・カンチェラーラ……2006ねんにエリートタイムトライアルを制覇せいは、そのままのいきおいで2007ねんエリートタイムトライアルにて連覇れんぱかざり、2008ねんはいってもティレーノ〜アドリアティコ制覇せいは北京ぺきんオリンピックエリートロードぎん、タイムトライアルきん好調こうちょうつづく。さすがに2008ねん終盤しゅうばんから2009ねんにかけてのろわれるもののツール・ド・スイスから復活ふっかつ国内こくない選手権せんしゅけんエリートロードをせいし、ツールでマイヨ・ジョーヌ、ブエルタでマイヨ・オロを着用ちゃくようするだけでなく、2010ねん以降いこういてもはるのクラシック、グランツール、世界せかい選手権せんしゅけんとう活躍かつやくしている。

国内こくない最優秀さいゆうしゅうスポーツ選手せんしゅへの選出せんしゅつれい[編集へんしゅう]

アルカンシエル獲得かくとくにより自国じこく最優秀さいゆうしゅうスポーツ選手せんしゅえらばれるケースもある。以下いかおもれいげる。

日本にっぽんプロスポーツ大賞たいしょう
オランダ スポーツマンオブザイヤー
ベルギー スポーツマンオブザイヤー
BBC・スポーツ・パーソナリティ・オブ・ザ・イヤーしょう
ドイツ スポーツパーソナリティオブザイヤー
  • ルディ・アルティヒ西にしドイツ)……1966ねん、プロ個人こじんロードレース優勝ゆうしょう
  • ロター・トムスひがしドイツ)……1981ねん、アマ1kmTT優勝ゆうしょう
スイス スポーツパーソナリティオブザイヤー
スヴァンスカ・タブブラデト・ゴールドメダル(スウェーデンの年間ねんかん最優秀さいゆうしゅう選手せんしゅしょう
ノルウェー スポーツパーソンオブザイヤー

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 「アルカンシェルののろい」は存在そんざいするのか?! - cyclingtime.com・2010ねん10がつ2にち
  2. ^ コンタドール たい 都市とし伝説でんせつ? - 栗村くりむらおさむBLOG・2010ねん6がつ14にち
  3. ^ Debunking the curse of the rainbow jersey: historical cohort study - BMJ 2015;351:h6304

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]