世界せかい選手権せんしゅけん自転車じてんしゃ競技きょうぎ大会たいかいトラックレース

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世界せかい選手権せんしゅけん自転車じてんしゃ競技きょうぎ大会たいかいトラックレース(せかいせんしゅけんじてんしゃきょうぎたいかいトラックレース、UCI Track cycling World Championships)は、例年れいねん2がつないし3がつおこなわれる世界せかい選手権せんしゅけん自転車じてんしゃ競技きょうぎ大会たいかい世界せかい自転車じてんしゃ選手権せんしゅけん)のトラックレース部門ぶもん大会たいかいである。「UCIトラック世界せかい選手権せんしゅけん大会たいかい」「UCIトラックサイクリング世界せかい選手権せんしゅけん」「UCIトラックサイクリングワールドチャンピオンシップス」ともばれる。 現在げんざい開催かいさい種目しゅもくタイムトライアルケイリン個人こじんパシュートチームパシュートポイントレーススクラッチスプリントチームスプリントオムニアムマディソン

概要がいよう[編集へんしゅう]

1893ねんシカゴ万国博覧会ばんこくはくらんかい開催かいさいちゅうあわせて、だい1かい大会たいかい同地どうちおこなわれた。だい1かい実施じっし種目しゅもくはスクラッチ(現在げんざい個人こじんスプリント)、ドミフォン、10 kmの3種目しゅもくであった。1894ねんまではアマチュアの種目しゅもくのみ実施じっしされたが、1895ねんより、プロの種目しゅもく実施じっしされるようになった。

1900ねんより国際こくさい自転車じてんしゃ競技きょうぎ連合れんごう (UCI) 主催しゅさいとなり、優勝ゆうしょうしゃマイヨ・アルカンシエルというジャージが贈呈ぞうていされるようになった。なお、世界せかい自転車じてんしゃ選手権せんしゅけんでは1920ねんまで、トラックレースのみが実施じっしされ、1921ねんよりロードレース実施じっしされるようになったが、1995ねんまで一部いちぶとしのぞきトラックレースとロードレースの包括ほうかつ開催かいさいつづいた。また、スクラッチ(現在げんざい個人こじんスプリント)とドミフォンしか実施じっしされない期間きかんだい世界せかい大戦たいせんによる中断ちゅうだん直前ちょくぜんまでつづいた。しかし、どう大戦たいせん終了しゅうりょう最初さいしょ開催かいさいとなった1946ねんにプロとアマの個人こじんつい抜が実施じっしされるようになってから徐々じょじょ種目しゅもくすうえていった。

1958ねん開催かいさいより、女子じょし種目しゅもく現在げんざい個人こじんスプリントと個人こじんつい抜の2種目しゅもく)もおこなわれるようになり、またすでオリンピック実施じっしされていた男子だんしアマ・団体だんたいつい抜(1962ねん)、男子だんしアマ・1000mタイムトライアル(1966ねん)と男子だんしアマ・タンデム(1966ねん1994ねん)が実施じっしされるようになると、オリンピックで実施じっしされる種目しゅもくすうとほとんどわらなくなった。一方いっぽう、1972ねんから1992ねんまで、オリンピック開催かいさいねんにおいては、オリンピックで実施じっしされる種目しゅもく(つまりは一部いちぶのアマチュア種目しゅもく)については、とう大会たいかいでは実施じっしされなかった。また男子だんしアマでは1977ねんから、男子だんしプロでは1980ねん女子じょし1988ねんからポイントレースが実施じっしされることになった。そして、日本にっぽん自転車じてんしゃ競技きょうぎ関係かんけいしゃのたっての希望きぼうかない、1980ねんより、男子だんしプロ・ケイリンが開始かいしされた。

1996ねんアトランタオリンピックより、プロ、アマの垣根かきねはらわれ、オープンすることが決定けっていしたことをけ、1993ねん大会たいかいよりオリンピックにさきがけてオープン実施じっしした。しかし一方いっぽうで、タンデムスプリントとドミフォンについては、オープン対応たいおうできる見通みとおしがたないとして、1994ねん大会たいかいをもって廃止はいしされることになった。その男子だんしチームスプリント・男子だんしマディソン・女子じょし500mタイムトライアル(いずれも1995ねんより開始かいし)、男女だんじょスクラッチ・女子じょしケイリン(2002ねん)、男女だんじょオムニアム・女子じょしチームスプリント(2007ねん)、女子じょし団体だんたいつい抜(2008ねん)というかたちで、続々ぞくぞくしん種目しゅもく実施じっしされるようになり、2011ねん現在げんざい男子だんし10種目しゅもく女子じょし9種目しゅもくおこなわれている。

ロードレースとの分離ぶんり開催かいさいおこなわれるようになった1996ねん以降いこうおおむね9がつないし10がつ開催かいさいされていたが、2004ねんについては、アテネオリンピック選考せんこう大会たいかい意味合いみあいもねて5がつ実施じっし。さらによく2005ねんからは、UCIのトラックレース振興しんこうさくけ、現在げんざい開催かいさい時期じき移行いこうすることになった。

なお、ジュニア部門ぶもんについてはジュニア世界せかい選手権せんしゅけん自転車じてんしゃ競技きょうぎ大会たいかい、マスターズ部門ぶもんについてはマスターズ世界せかい選手権せんしゅけん自転車じてんしゃ競技きょうぎ大会たいかいにてそれぞれおこなわれており、とう大会たいかいでは実施じっしされない。

歴代れきだい優勝ゆうしょうしゃ上位じょうい入賞にゅうしょうしゃ[編集へんしゅう]

種別しゅべつ 参照さんしょう項目こうもく
男子だんしスプリント
男子だんしチームスプリント
男子だんしケイリン
男子だんし個人こじんパシュート
男子だんしチームパシュート
男子だんしポイントレース
男子だんしマディソン
男子だんし1Kmタイムトライアル
男子だんしスクラッチ
男子だんしオムニアム
女子じょし

きんメダル獲得かくとくすうランキング[編集へんしゅう]

男子だんし[編集へんしゅう]

選手せんしゅめい 国籍こくせき メダル獲得かくとく
初年度しょねんど
メダル獲得かくとく
最終さいしゅう年度ねんど
きむ ぎん どう 合計ごうけい 種目しゅもく
1 アルノー・トゥルナン フランスの旗 フランス 1997 2008 14 3 2 19 TSP、1kmTT、スプリント、ケイリン
2 クリス・ホイ イギリスの旗 イギリス 1999 2011 10 6 7 23 TSP、1kmTT、スプリント、ケイリン
3 フロリアン・ルソー フランスの旗 フランス 1993 2002 10 2 4 16 TSP、1kmTT、スプリント、
4 ウース・フローラー スイスの旗 スイス 1978 1989 10 0 4 14 ポイント、ケイリン
5 中野なかの浩一こういち 日本の旗 日本にっぽん 1977 1986 10 0 0 10 スプリント
6 ダニエル・モレロン フランスの旗 フランス 1964 1980 8 3 5 16 スプリント、タンデム、ケイリン
7 グレゴリー・ボジェ フランスの旗 フランス 2006 2011 8 2 0 10 スプリント、TSP
8 ミカエル・ヒュープナー ドイツの旗 ドイツ 1983 1996 7 7 2 16 スプリント、ケイリン、TSP
9 ローラン・ガネ フランスの旗 フランス 1996 2004 7 5 3 15 スプリント、ケイリン、TSP
10 ホアン・リャネラス スペインの旗 スペイン 1996 2007 7 3 2 12 ポイント、マディソン

女子じょし[編集へんしゅう]

選手せんしゅめい 国籍こくせき メダル獲得かくとく
初年度しょねんど
メダル獲得かくとく
最終さいしゅう年度ねんど
きむ ぎん どう 合計ごうけい 種目しゅもく
1 フェリシア・バランジェ フランスの旗 フランス 1994 1999 10 1 0 11 スプリント、500mTT
2 ヴィクトリア・ペンドルトン イギリスの旗 イギリス 2005 2011 8 5 2 15 スプリント、TSP、ケイリン、500mTT
3 ナタリア・ツィリンスカヤ  ベラルーシ 2000 2007 8 1 1 10 スプリント、500mTT
4 アンナ・メアーズ オーストラリアの旗 オーストラリア 2003 2011 7 5 4 16 スプリント、TSP、ケイリン、500mTT
5 オルガ・スリュサレヴァ ロシアの旗 ロシア 1995 2006 6 6 6 18 スプリント、ポイント、個人こじんつい抜、スクラッチ
6 ガリナ・エルモラエヴァ ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦れんぽう 1958 1975 6 5 4 15 スプリント
7 ガリナ・ツァレヴァ ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦れんぽう 1969 1980 6 1 1 8 スプリント
8 タマラ・ガルクチナ ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦れんぽう 1967 1974 6 1 0 7 個人こじんつい
レベッカ・トゥイッグ アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 1982 1995 6 1 0 7 個人こじんつい
10 ベリル・バートン イギリスの旗 イギリス 1959 1973 5 3 3 11 個人こじんつい

日本人にっぽんじん選手せんしゅおも記録きろく[編集へんしゅう]

日本人にっぽんじん選手せんしゅはじめてとう大会たいかい参加さんかしたのは、1936ねんのチューリッヒ大会たいかい。しかしその勃発ぼっぱつしただい世界せかい大戦たいせん影響えいきょうにより、その参加さんかするのは21ねん1957ねんとなった。同年どうねんにはアマチュアのほか競輪けいりん選手せんしゅである中井なかい光雄みつお中野なかのやすしまん2人ふたりがプロ部門ぶもん参加さんか以後いご一部いちぶとしのぞき、毎年まいとしかさず参加さんかしている。

1968ねん、プロ選手せんしゅだん平間ひらま誠記もとき事故死じこしけて参加さんか見送みおくったのにたいしてアマ選手せんしゅだん参加さんかすることになったが、男子だんしタンデムスプリントにおいて、井上いのうえ三次みつじ班目まだらめ隆雄たかおのコンビがとう大会たいかい史上しじょう日本人にっぽんじん選手せんしゅとしてはじめてのどうメダルを獲得かくとくした。その、1975ねん阿部あべ良二りょうじがプロ・スクラッチ(現在げんざい個人こじんスプリント)において、競輪けいりん選手せんしゅとしてはじめてどうメダルを獲得かくとく。さらには承知しょうちとおり、1977ねんから1986ねんまで、中野なかの浩一こういちがプロ・スクラッチ(のちにプロ・スプリントと名称めいしょう変更へんこう)で10連覇れんぱ達成たっせいすることになる。このあいだ競輪けいりん選手せんしゅとう大会たいかいにおいて15ねん連続れんぞくでメダル獲得かくとく、さらには1990ねん自国じこく前橋まえばしにおけるタンデムスプリントのぎんメダル獲得かくとくふくめると、じつに16ねん連続れんぞくでメダル獲得かくとくたした。

そのしばらくメダル獲得かくとくができないという低迷ていめいがあったものの、日本人にっぽんじん選手せんしゅからると、大変たいへんのゲンのいい大会たいかいであるということがいえる。

2015ねん大会たいかいでは、上野うえのみなみ女子じょしポイントレース決勝けっしょうせん2ちゃくとなりぎんメダルを獲得かくとく日本人にっぽんじん女子じょしとしてははつのメダリストとなった。

2020ねん大会たいかいでは、梶原かじはらゆう女子じょしオムニアム優勝ゆうしょうし、日本人にっぽんじん女子じょしとしてははつマイヨ・アルカンシエル獲得かくとくした。

2021ねん大会たいかいでは、佐藤さとう水菜みずな女子じょしケイリン決勝けっしょうせん2ちゃくとなりぎんメダルを獲得かくとく日本人にっぽんじん女子じょしとしてははつ短距離たんきょり種目しゅもく(ケイリン)でメダリストとなった。

2022ねん大会たいかいでは、佐藤さとう未菜みな女子じょしケイリンで決勝けっしょうせん2ちゃくとなり2ねん連続れんぞくぎんメダルを獲得かくとくした。また、窪木くぼき一茂かずしげ男子だんしスクラッチ決勝けっしょうせん2ちゃくとなり、どう種目しゅもくでは日本人にっぽんじんとして12ねんぶりのメダリスト、また日本人にっぽんじんはつぎんメダルを獲得かくとく

2023ねん大会たいかいでは、窪木くぼき一茂かずしげ男子だんしスクラッチにて2ねん連続れんぞくぎんメダルを獲得かくとくしたほか、男子だんしオムニアムで今村いまむら駿介しゅんすけ決勝けっしょうせん3ちゃくとなり、どう種目しゅもくでは日本人にっぽんじんはつとなるメダリストとなった。女子じょしでは内野ないやつや女子じょしポイントレースで決勝けっしょうせん3ちゃくとなりどうメダルを獲得かくとくどう種目しゅもくでは8ねんぶりの日本人にっぽんじん女子じょしメダリストとなった。

とう大会たいかいのメダリスト一覧いちらん太字ふとじきんメダル)
とし 選手せんしゅめい メダル 種目しゅもく
1968 井上いのうえ三次みつじ
班目まだらめ隆雄たかお
どう アマ・タンデムスプリント
1975 阿部あべ良二りょうじ どう プロ・スクラッチ
1976 菅田すげたじゅん どう プロ・スクラッチ
1977 中野なかの浩一こういち きむ プロ・スクラッチ
菅田すげたじゅん ぎん
1978 中野なかの浩一こういち(2) きむ プロ・スクラッチ
菅野かんの良信よしのぶ どう
1979 中野なかの浩一こういち(3) きむ プロ・スクラッチ
1980 中野なかの浩一こういち(4) きむ プロ・スクラッチ
尾崎おざき雅彦まさひこ ぎん
1981 中野なかの浩一こういち(5) きむ プロ・スクラッチ
高橋たかはし健二けんじ どう
久保くぼ千代志ちよし どう プロ・ケイリン
1982 中野なかの浩一こういち(6) きむ プロ・スクラッチ
北村きたむらとおる どう プロ・ケイリン
1983 中野なかの浩一こういち(7) きむ プロ・スクラッチ
1984 中野なかの浩一こういち(8) きむ プロ・スクラッチ
1985 中野なかの浩一こういち'(9) きむ プロ・スプリント
松枝まつえだ義幸よしゆき ぎん
滝澤たきざわただしこう どう プロ・ケイリン
1986 中野なかの浩一こういち(10) きむ プロ・スプリント
松井まつい英幸ひでゆき ぎん
たわら信之のぶゆき どう
1987 たわら信之のぶゆき きむ プロ・スプリント
松井まつい英幸ひでゆき ぎん
本田ほんだ晴美はるみ きむ プロ・ケイリン
井上いのうえ茂徳しげのり どう
1988 たわら信之のぶゆき どう プロ・スプリント
1989 神山かみやま雄一郎ゆういちろう ぎん プロ・スプリント
松井まつい英幸ひでゆき どう
佐古さこ雅俊まさとし どう プロ・ケイリン
1990 稲村いなむらしげるひろし
齋藤さいとうのぼり志信しのぶ
ぎん アマ・タンデムスプリント
1993 吉岡よしおかみのるしん どう ケイリン
2010 もり一大いちだい どう 男子だんしスクラッチ
2015 上野うえのみなみ ぎん 女子じょしポイントレース
2018 河端かわばた朋之ともゆき ぎん 男子だんしケイリン
2019 新田にったゆうだい ぎん 男子だんしケイリン
2020 脇本わきもと雄太ゆうた ぎん 男子だんしケイリン
梶原かじはらゆう きむ 女子じょしオムニアム
2021 佐藤さとう水菜みずな ぎん 女子じょしケイリン
2022 窪木くぼき一茂かずしげ ぎん 男子だんしスクラッチ
佐藤さとう水菜みずな ぎん 女子じょしケイリン
2023 窪木くぼき一茂かずしげ ぎん 男子だんしスクラッチ
今村いまむら駿介しゅんすけ どう 男子だんしオムニアム
内野ないやつや どう 女子じょしポイントレース

歴代れきだい開催かいさい[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]