(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ヤリタナゴ - Wikipedia コンテンツにスキップ

ヤリタナゴ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヤリタナゴ
ヤリタナゴ Tanakia lanceolata
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
: コイ Cypriniformes
: コイ Cyprinidae
: タナゴ
Acheilognathinae
ぞく : アブラボテぞく Tanakia
たね : ヤリタナゴ T. lanceolata
学名がくめい
Tanakia lanceolata
(Temminck & Schlegel, 1846)
和名わみょう
ヤリタナゴ
英名えいめい
Slender bitterling

ヤリタナゴやり鱮、Tanakia lanceolata )は、タナゴアブラボテぞく分類ぶんるいされる淡水魚たんすいぎょ一種いっしゅたね小名しょうみょう lanceolataは「ちいさなやりをもった」の[1]で、和名わみょうとほぼ同義どうぎである。

ヤリタナゴ

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

朝鮮半島ちょうせんはんとう西部せいぶ中国ちゅうごく一部いちぶ日本にっぽん(自然しぜん分布ぶんぷとしては山梨やまなしけん北海道ほっかいどう九州きゅうしゅう南部なんぶ南西諸島なんせいしょとうのぞ地方ちほう)に分布ぶんぷする。日本にっぽんさんタナゴるいとしては、日本にっぽん国内こくないにおける分布ぶんぷいきもっと広範こうはんしゅである[1]

しかし、東北とうほく地方ちほう太平洋たいへいようがわおよ関東かんとう地方ちほう(茨城いばらきけん霞ヶ浦かすみがうら水系すいけい久慈川くじがわ水系すいけい那珂川なかがわ水系すいけい埼玉さいたまけん東京とうきょう荒川あらかわ水系すいけい千葉ちばけん利根川とねがわ水系すいけい)などでは19世紀せいき-20世紀せいき初頭しょとう時点じてんではすで記録きろくがあり、江戸えどのタナゴるいにおいてほんたねがターゲットとされたが、現在げんざいではかく地点ちてんでも西日本にしにほんおよ東海とうかい地方ちほう系統けいとうしかつからず、在来ざいらいのものは移入いにゅうされた系統けいとうわってしまったものとかんがえられている。九州きゅうしゅう南部なんぶ北海道ほっかいどうでもつかっているが移入いにゅうである。

形態けいたい[編集へんしゅう]

遺伝いでんてきに7系統けいとうからなる。[1]体長たいちょう10-13cm。体形たいけいがわひらたし、タナゴるいとしては体高たいこうひくく、きんえんしゅとされるアブラボテくら前後ぜんこう細長ほそながい。からだしょくぎん白色はくしょくで、かたくらむらはいらず、体側たいそくめんにある緑色みどりいろたてたいほそ不鮮明ふせんめい

側線そくせん完全かんぜんで、側線そくせんうろこすうは36-39まい側線そくせん上方かみがた横列おうれつうろこすうは4-5まい側線そくせん下方かほう横列おうれつうろこすうは4-5まい背鰭せびれ分岐ぶんき軟条が3ほん分岐ぶんき軟条が8-9ほんしりひれ分岐ぶんき軟条が3ほん分岐ぶんき軟条な8-10ほんである。口角こうかくに1ついながくちひげがある。背鰭せびれじょうあいだまくには、アブラボテぞく特徴とくちょうとして紡錘ぼうすいがた暗色あんしょくはんはいる。分布ぶんぷきわめてひろいため地域ちいきによって形態けいたい差異さいがみられる。九州きゅうしゅうさん朝鮮半島ちょうせんはんとうのものは背鰭せびれじょうすう本州ほんしゅうさんのそれよりも1-2ほんおおいためかつてはT.intermediaとされ、現在げんざい韓国かんこくでもこの学名がくめい使用しようされる場合ばあいがあるが学術がくじゅつてきにはみとめられていない。

オス婚姻こんいんしょく産地さんちにより多少たしょう差異さいがみられる。からだしょく胸部きょうぶあざやかな紅色こうしょくに、そのあわりょくあおまる。背鰭せびれぜんえんしりひれえん尾鰭おびれ中央ちゅうおうはし朱色しゅいろ発色はっしょくし、関東かんとうさん個体こたい成熟せいじゅくともにオレンジしょくから次第しだい朱色しゅいろ変化へんかするとされる。下腹部かふくぶおよびはらひれしりひれ下部かぶくろくなる。琵琶湖びわこ九州きゅうしゅうさんにおいて黒点こくてんびょうにかかった個体こたい体側たいそくうろこ所々ところどころ銀色ぎんいろになり、銀鱗ぎんりんばれる。

メスにはあわいオレンジしょくみじか産卵さんらんかんあらわれる。

生態せいたい[編集へんしゅう]

おもながれのある水草みずくさ豊富ほうふ河川かせん用水路ようすいろひとし生息せいそくする。きわめてながれのはや環境かんきょうでも繁殖はんしょく出来できるが、ためいけのような閉鎖へいさてきとめ水域すいいきでは繁殖はんしょく出来できない。しょくせい雑食ざっしょくで、小型こがた水生すいせい昆虫こんちゅう甲殻こうかくるい藻類そうるいひとしべる。寿命じゅみょうは3ねん[1]

繁殖はんしょく形態けいたい卵生らんせいで、3-8がつドブガイマツカサガイニセマツカサガイひとしイシガイ淡水たんすいせい二枚貝にまいがい紡錘形ぼうすいけいたまごむ。孵化ふかしたぎょはそのままははかいない成長せいちょうし、1ヶ月かげつほどでははかいから浮出うきだする。1ねん成熟せいじゅくし、寿命じゅみょうは2-3ねんである。琵琶湖びわこにおいてはオトコタテボシガイ産卵さんらんははかいとして利用りようする。

保全ほぜん状態じょうたい評価ひょうか[編集へんしゅう]

じゅん絶滅ぜつめつ危惧きぐ(NT)環境省かんきょうしょうレッドリスト

[2]

在来ざいらいタナゴるいなかではまだ個体こたいすうおおいものとされるが、開発かいはつによる生息せいそく破壊はかいとそれにともな二枚貝にまいがいるい減少げんしょうブラックバスブルーギル食害しょくがいとうにより生息せいそくすう減少げんしょうしている。霞ヶ浦かすみがうらではオオタナゴによる競合きょうごう駆逐くちく問題もんだいとなっている。2007ねんには環境省かんきょうしょうレッドリストじゅん絶滅ぜつめつ危惧きぐカテゴリに記載きさいされた。東京とうきょう神奈川かながわけんでは絶滅ぜつめつした[2]静岡しずおかけんでは生息せいそく年々ねんねんつづけ、現在げんざい生息せいそくは2かしょ程度ていどしかないため、静岡しずおかけん指定してい希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ指定していされており警察けいさつにより密漁みつりょう監視かんしがされている。[3]。また、群馬ぐんまけん藤岡ふじおかでは天然記念物てんねんきねんぶつに、三重みえけん一部いちぶ水域すいいきでも採集さいしゅうきんじられている。

人間にんげんとの関係かんけい[編集へんしゅう]

食味しょくみにが小骨こぼねおおいため一般いっぱんてきではないものの、佃煮つくだにすずめとう食用しょくようきょうされることもある。かん吸虫ひとし寄生虫きせいちゅう保持ほじする可能かのうせいがあるので生食なましょくけたほうがよく、加熱かねつ調理ちょうり必要ひつようである。

飼育しいく対象たいしょうぎょとなることもある。丈夫じょうふ人工じんこう環境かんきょうにもれやすく飼育しいく容易よういである。飼育しいくでの繁殖はんしょくほうとしては、二枚貝にまいがい同居どうきょさせ自然しぜん産卵さんらんさせる方法ほうほうと、繁殖はんしょく雌雄しゆうからたまご精子せいししぼ人工じんこう受精じゅせいさせる方法ほうほうがあるが、どちらも管理かんりむずかしい。観賞かんしょうぎょとしてペットショップひとしでも販売はんばいされているが、日本にっぽんひろ分布ぶんぷするしゅとはいえ遺伝子いでんし汚染おせん病気びょうき伝播でんぱとうかんがえられるので、野外やがい遺棄いきしてはならない。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d 北村きたむら内山うちやま(2020).
  2. ^ a b ヤリタナゴ”. 日本にっぽんのレッドデータ検索けんさくシステム. 野生やせい生物せいぶつ調査ちょうさ協会きょうかい・Envision環境かんきょう保全ほぜん事務所じむしょ. 2020ねん11月8にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2023ねん2がつ21にち閲覧えつらん
  3. ^ 静岡しずおかけん指定してい希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつ”. 静岡しずおかけん (2023ねん2がつ16にち). 2023ねん2がつ21にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2023ねん2がつ21にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 原色げんしょくワイド図鑑ずかん5 ぎょかい学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、1984ねん、11ぺーじ
  • 小学館しょうがくかん図鑑ずかんNEO ぎょ小学館しょうがくかん、2003ねん、13ぺーじ
  • 赤井あかいひろし秋山あきやま信彦のぶひこ鈴木すずき伸洋のぶひろ増田ますだおさむ『タナゴのすべて』エムピージェー、2004ねん、pp. 10,144ぺーじISBN 4-89512-529-7 
  • 北村きたむら淳一じゅんいち内山うちやまりゅう『日本にっぽんのタナゴ』やま渓谷社けいこくしゃ、2020ねん、21ぺーじISBN 978-4-635-06289-3 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]