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パートナーシップ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

パートナーシップ(partnership)は、えいべいほうにおいて2めい以上いじょうもの(パートナー)が金銭きんせん役務えきむなどを出資しゅっしして共同きょうどうして事業じぎょういとな関係かんけいをいう。当該とうがい関係かんけいもとづくパートナーの総体そうたいすこともあるが、英国えいこくではこれを「ファーム(firm)」とび、契約けいやく関係かんけいすパートナーシップとは区別くべつする。パートナーシップは「組合くみあい」と、パートナーは「組合くみあいいん」とやくされることもある。

一般いっぱんにパートナーシップは、事業じぎょうたいそのものが法人ほうじん課税かぜいけることはなく、収益しゅうえき損失そんしつかくパートナーにたいしてその持分もちぶんおうじて配分はいぶんされ、かくパートナーの収益しゅうえき損失そんしつとして課税かぜいされる。いわゆるじゅう課税かぜい回避かいひ効果こうかゆうするのが通常つうじょうであり、この効果こうかパススルー課税かぜいPass-through Tax)とぶ。

歴史れきし

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伝統でんとうてきには、中世ちゅうせいより、無限むげん責任せきにん組合くみあいいん(パートナー)のみから構成こうせいされるパートナーシップ類型るいけいとの区別くべつのため、ジェネラル・パートナーシップともいう)がコモン・ローによりみとめられていた。これは、大陸たいりくほうのコンパーニア(合名ごうめい会社かいしゃ)と類似るいじする企業きぎょう形態けいたいで、機能きのう資本しほん継続けいぞくてき結合けつごうする企業きぎょう形態けいたいである。

のちに、大陸たいりくほう合資ごうし会社かいしゃ影響えいきょうけて、19世紀せいきはじめのアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく各州かくしゅう20世紀せいきはじめのイギリスにおいて、大陸たいりくほう合資ごうし会社かいしゃならって、無限むげん責任せきにん組合くみあいいんジェネラル・パートナー)と有限ゆうげん責任せきにん組合くみあいいんリミテッド・パートナー)から構成こうせいされるリミテッド・パートナーシップ制定せいていほうによって導入どうにゅうされた。

さらに、20世紀せいきまつ以降いこうアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく各州かくしゅうにおいて、一定いってい債務さいむ組合くみあいいん過失かしつによる損害そんがい賠償ばいしょう責任せきにんなど)については組合くみあいいん責任せきにん限定げんていされたリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ(ジェネラル・パートナーシップのいち形態けいたい。)またはリミテッド・ライアビリティ・リミテッド・パートナーシップ(リミテッド・パートナーシップのいち形態けいたい)も制定せいていほうにより導入どうにゅうされている。

また、ぜん社員しゃいん有限ゆうげん責任せきにんのパートナーシップ類似るいじ形態けいたいとしては、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくではリミテッド・ライアビリティ・カンパニーが、イギリスではリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップが、それぞれ制定せいていほうにより導入どうにゅうされている。

パートナーシップの種類しゅるい

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(ジェネラル・)パートナーシップ((general) partnership)
一般いっぱんてきなパートナーシップ。2人ふたり以上いじょうのパートナーからなる。すべてのパートナーが無限むげん責任せきにん(Personal Liability)をつ。
米国べいこくでは、改訂かいてい統一とういつパートナーシップほう(Revised Uniform Partnership Act)にもとづく各州かくしゅう法律ほうりつによって規律きりつされる。改定かいていまえのパートナーがこした通常つうじょう損失そんしつ以外いがい損失そんしつについては、不法ふほう行為こうい(Tort)によるもののみが連帯れんたい責任せきにんであったが、改訂かいてい契約けいやく違反いはん(Breach of Contract)もふくまれるようになった。
リミテッド・パートナーシップ(limited partnership)
無限むげん責任せきにんのジェネラル・パートナー(general partner)と有限ゆうげん責任せきにんのリミテッド・パートナー(limited partnesr)の2種類しゅるいから構成こうせいされる。ジェネラル・パートナーが最低さいていでも1人ひとりはいなくてはならず、かつ2人ふたり以上いじょうのパートナーがなければならない。たとえば唯一ゆいいつのジェネラル・パートナーが死亡しぼうまたは破産はさんした場合ばあい、リミテッド・パートナーシップはただちに解散かいさんとなる。米国べいこくでは、改訂かいてい統一とういつリミテッド・パートナーシップほう(Revised Uniform Limited Partnership Act)にもとづく各州かくしゅう法律ほうりつによって規律きりつされる。
リミテッド・パートナーシップの成立せいりつには登記とうき必要ひつようで、かならぜんジェネラル・パートナーが登録とうろくされなければならない。ジェネラル・パートナーの新規しんき加入かにゅうにはリミテッド・パートナーの賛同さんどう必要ひつようなく、ジェネラル・パートナー全員ぜんいん許可きょかがあればよい。リミテッド・パートナーの新規しんき加入かにゅうにはぜんパートナーの許可きょか必要ひつようである。
リミテッド・パートナーはパートナーシップの重大じゅうだい経営けいえい戦略せんりゃく直接ちょくせつかかわってはならない。リミテッド・パートナーが経営けいえいかかわっているために外部がいぶからはジェネラル・パートナーであるかのようにえる場合ばあい無限むげん責任せきにんわされる場合ばあいもありうる。
リミテッド・ライアビリティー・パートナーシップ(LLP; limited liability partnership)
米国べいこくにおけるジェネラル・パートナーシップの一種いっしゅすべてのパートナーが通常つうじょう損失そんしつについては同様どうよう無限むげん責任せきにん連帯れんたいてきつ。また、パートナーシップの名義めいぎおこなわれる契約けいやくについても同様どうよう無限むげん責任せきにんつ。ただし、のパートナーがこした不法ふほう行為こうい(Tort)については、有限ゆうげん責任せきにんである。つまり、あるパートナーの違法いほう行為こういによる金銭きんせんてき損失そんしつは、のパートナーには有限ゆうげん責任せきにんである、ということである。弁護士べんごしなどの専門せんもんしょく事業じぎょうたいとして利用りようされる。
リミテッド・ライアビリティ・リミテッド・パートナーシップ(LLLP; limited liability limited partnership)
米国べいこくにおけるリミテッド・パートナーシップの一種いっしゅ。ジェネラル・パートナーについてLLPと同様どうよう責任せきにん制限せいげんがある。一部いちぶしゅうでしかほう施行しこうされていない。

パートナーシップの税法ぜいほうてき特徴とくちょう

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以下いかアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける税法ぜいほうもとべる。

税法ぜいほうじょう、パートナーシップは単一たんいつ企業きぎょうたい(entity)とされる。そのめんでは、株式会社かぶしきがいしゃなどのC法人ほうじん(C corporation)や合同ごうどう会社かいしゃなど人的じんてき法人ほうじんであるS法人ほうじん(S corporation)と同一どういつである。しかし、パートナーシップでは、S法人ほうじん同様どうように、フロー・スルー(パス・スルーともいう。)とばれる特徴とくちょうてき課税かぜい方法ほうほうおこなわれている。(これらの企業きぎょうたい総称そうしょうして、「フロー・スルー・エンティティ」flow-through entity (FTE) という。)

パートナーシップは前述ぜんじゅつとおり「フロー・スルー」課税かぜい対象たいしょうであり、具体ぐたいてきにはパートナーシップの収益しゅうえきたいし、企業きぎょうたい自体じたい法人ほうじんぜいまたは所得しょとくぜいをかけるのでなく、費用ひよう収入しゅうにゅう直接ちょくせつかくパートナーの所得しょとく直接ちょくせつ分配ぶんぱいし、パートナーたる個人こじんまたは法人ほうじん単位たんい所得しょとく申告しんこくすることになる。

ところで、アメリカにおける所得しょとく税法ぜいほうでは、株式かぶしきによる配当はいとう(dividend)も通常つうじょう収入しゅうにゅうとして課税かぜいされる。したがって、通常つうじょうのC法人ほうじんにおいては、一度いちどC法人ほうじん所得しょとくぜいおさめ、その税引ぜいび収入しゅうにゅう配当はいとうしたうえでさらに個人こじんのレベルで課税かぜいされるため、株主かぶぬしへの配当はいとう会社かいしゃ所得しょとくじゅう課税かぜいされてしまう。これにたいし、パートナーシップ、有限ゆうげん責任せきにん事業じぎょう組合くみあい(limited liability partnership)、合同ごうどう会社かいしゃ(limited liability company)、日本にっぽんきゅう有限ゆうげん会社かいしゃほうによる有限ゆうげん会社かいしゃ、ジョイント・ベンチャー(Joint Venture)などはすべてフロー・スルー税法ぜいほう対象たいしょうとなるため、S法人ほうじん出資しゅっししゃ社員しゃいん国籍こくせき納税のうぜいによっては、納税のうぜいにおいて有利ゆうりなことがある。

Appleアマゾン(2016ねん5がつ1にち以降いこう)、西友せいゆうウォルマート)、シスコシステムズなど米国べいこく企業きぎょう日本にっぽん現地げんち法人ほうじん合同ごうどう会社かいしゃ形態けいたいをとることがおおいが、これらの合同ごうどう会社かいしゃは、本国ほんごく税法ぜいほうじょうすべてS法人ほうじんである。

配分はいぶんりつ(Share)

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かくパートナーは、パートナーシップの損益そんえき一定いってい割合わりあい分配ぶんぱいする。一般いっぱんてきには収益しゅうえき損失そんしつ同一どういつであるが、収益しゅうえき損失そんしつをそれぞれべつ割合わりあいにしてもかまわない。

れい1:ABCパートナーシップは、アラン、ブラウン、カーリーがそれぞれ損益そんえきの1/3を分配ぶんぱいする。もしもある年度ねんどに$3,600の収益しゅうえきがある場合ばあいはそれぞれ$1.200ずつ分配ぶんぱいされる。かくパートナーはこの損益そんえき個人こじん納税のうぜい申告しんこくくわえる。
れい2:D&Eパートナーシップにおいて、ドナルドは収益しゅうえきを40%、損失そんしつを55%、エルガーは収益しゅうえきを60%、損失そんしつを45%配分はいぶんされる。
20x1年度ねんどにパートナーは$20,000の収益しゅうえきがあった。ドナルドは$8,000、エルガーは$12,000の収入しゅうにゅう分配ぶんぱいされる。
20x2年度ねんどにパートナーは$1,000の損失そんしつがあった。ドナルドは$550、エルガーは$450の損失そんしつ配分はいぶんされる。

パートナーシップの負債ふさいは、パートナーの負債ふさい同義どうぎである。パートナーシップの負債ふさい配分はいぶんりつ分配ぶんぱいされる。たとえば2人ふたりのパートナーが50%ずつの配分はいぶんりつ場合ばあい、$30,000のパートナーシップの負債ふさいかくパートナーが$15,000ずつ分配ぶんぱいされていることになる。

もしも配分はいぶんりつとくめていない場合ばあいは、ジェネラル・パートナーシップの場合ばあいはパートナーの人数にんずう頭割あたまわりとなる(パートナーが5にんならば20%ずつ)が、リミテッド・パートナーシップの場合ばあい出資しゅっし比率ひりつおうじて分配ぶんぱいされる。ただし、これは配分はいぶんりつめていない場合ばあい措置そちであり、パートナーシップは自由じゆう配分はいぶんりつをパートナーの合意ごういめることができ、またから変更へんこう可能かのうである。

配分はいぶん例外れいがいとして、家族かぞくないパートナーシップがある。もしも構成こうせいするパートナー全員ぜんいん家族かぞくないのみであるならば、実質じっしつてき貢献こうけんぶんをまず分配ぶんぱいしなければならず、その残余ざんよ配分はいぶんりつしたがって分配ぶんぱいすることになる。

れいちち兄妹きょうだいの3にんがパートナーシップを構成こうせいしている。それぞれ1/3ずつの配分はいぶんりつっている。20X9年度ねんどのパートナーシップの収入しゅうにゅうは$6,000であった。ただし、ちちが$2,000、あには$1,000の貢献こうけんをしているがいもうとなん貢献こうけんもしていない。この場合ばあい、まずちちあににそれぞれ$2,000と$1,000の配分はいぶんがまずなされ、のこりの$3,000がさん等分とうぶんされる。つまり、ちちは$3,000、あには$2,000、いもうとに$1,000の利益りえき配分はいぶんおこなわれる。

持分もちぶん(Tax Basis)

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パートナーの税法ぜいほうじょう基準きじゅんとなるのが持分もちぶんである。持分もちぶんは、資本しほん(Capital Account)と負債ふさいからなる。持分もちぶん前提ぜんていとして、$0未満みまんにはかならずならない。

持分もちぶん増加ぞうかする条件じょうけん
(a-1)資本しほん提供ていきょうした場合ばあい
(a-2)パートナーシップの収益しゅうえき配分はいぶんされたとき
(a-3)パートナーシップが負債ふさいったとき
持分もちぶん減少げんしょうする条件じょうけん
(b-1)パートナーシップの資産しさん分配ぶんぱいされたとき
(b-2)パートナーシップの損失そんしつ配分はいぶんされたとき
(b-3)パートナーシップの負債ふさい返済へんさいされたとき

a-1資本しほん提供ていきょうは、基本きほんてき非課税ひかぜいであり、損益そんえき発生はっせいしない。そのため、金銭きんせん以外いがい不動産ふどうさんふく物品ぶっぴん提供ていきょうおこなわれた場合ばあい、その物品ぶっぴん修正しゅうせいベーシス(Adjusted Basis)といわれる、入手にゅうしゅのコストをもとにした価格かかく使用しようする。納税のうぜいしゃ通常つうじょうはこの修正しゅうせいベーシスと譲渡じょうと時価じか(FMV:Fair Market Value)とを比較ひかくしてキャピタル・ゲイン/ロスを認識にんしきし、ゲインにたいしては課税かぜいされる。しかしパートナーシップへの資本しほん提供ていきょうにおいては、パートナーシップへ修正しゅうせいベーシスががれるため、その時点じてんではゲイン/ロスが発生はっせいしない。これは譲渡じょうとおこなうと利益りえき確定かくていしてしまうために資本しほん投資とうしひかえることをふせぐとともに、パートナーシップの譲渡じょうと利用りようして損益そんえき調整ちょうせいして節税せつぜいおこなうのをふせいでいる。 パートナーシップへ提供ていきょうされた物品ぶっぴん第三者だいさんしゃ譲渡ゆずりわたされる場合ばあい譲渡じょうと時価じか比較ひかくしてキャピタル・ゲイン/ロスが発生はっせいするが、これを提供ていきょうしたパートナーが認識にんしきする。この物品ぶっぴん保有ほゆう期間きかんは、提供ていきょうもとのパートナーが入手にゅうしゅした時点じてんから換算かんさんする。

れい:あるパートナーの修正しゅうせいベーシス$400の物品ぶっぴんがパートナーシップに提供ていきょうされた場合ばあい時価じかが$600になっている場合ばあい損益そんえき発生はっせい一切いっさいこらない。そして時価じかでなくベーシスの$400だけ提供ていきょうしたパートナーの持分もちぶん(Tax Basis)が増加ぞうかする。その物品ぶっぴん第三者だいさんしゃ譲渡ゆずりわたされた場合ばあい売却ばいきゃくがくが$550の場合ばあい、$150のキャピタル・ゲインが提供ていきょうもとのパートナーにかかる。

資本しほん提供ていきょうとして労務ろうむ(Service)を提供ていきょうする場合ばあいは、その時価じか労務ろうむおこなうパートナーの持分もちぶんくわえる。

れい:3にんのパートナーがそれぞれ現金げんきん$3,000、修正しゅうせいベーシス$4,000(時価じか$5,000)の不動産ふどうさん修正しゅうせいベーシス$1,500(時価じか$1,000)の動産どうさん労務ろうむ、を提供ていきょうする場合ばあい、パートナーシップの時価じかが$10,000ならば、現金げんきん物品ぶっぴん時価じか合計ごうけいは$9,000であるため、労務ろうむ時価じか$1,000となり、それぞれのパートナーの持分もちぶんは$3,000、$4,000、$2,000だけ増加ぞうかする。労務ろうむ時価じか算出さんしゅつには物品ぶっぴん時価じか利用りようしているが、物品ぶっぴん提供ていきょうによる持分もちぶん増加ぞうかはベーシスをもとにすることに注意ちゅうい

b-1資産しさん配分はいぶんは、おもに2種類しゅるいある。ひとつは完全かんぜん解散かいさん(Complete Liquidation)における分配ぶんぱいであり、もうひとつは解散かいさん分配ぶんぱい(Non-Complete Liquidation)である。

完全かんぜん解散かいさんにおける分配ぶんぱいでは、すべての資産しさん配分はいぶんりつもとづき資産しさん分配ぶんぱいする。この場合ばあい不動産ふどうさんふく物品ぶっぴん時価じかもと計算けいさんされて配分はいぶんされるが、税法ぜいほうじょうった物品ぶっぴんのベーシスは時価じかもとにしない。持分もちぶんから配分はいぶんされた現金げんきんいたものが、配分はいぶんされた物品ぶっぴん合計ごうけいベーシスになる。例外れいがいのぞき、損益そんえき発生はっせいしない。持分もちぶんえる現金げんきんった場合ばあいのみ、差分さぶんがキャピタル・ゲインとなる。すべてのパートナーの持分もちぶんが$0になり、資産しさんときには負債ふさいふくむ)が完全かんぜん分配ぶんぱいされ、パートナーシップは解散かいさんする。

れい:あるパートナーが完全かんぜん解散かいさん分配ぶんぱいにおいて現金げんきん$2,000と土地とち修正しゅうせいベーシス$4,000、時価じか$5,000)と在庫ざいこ商品しょうひん修正しゅうせいベーシス$4,000、時価じか$2,500)をる。

持分もちぶんが$5,000の場合ばあい現金げんきん$2,000をいた$3,000が土地とち在庫ざいこ商品しょうひん合計ごうけいベーシスとなり、時価じか比例ひれい配分はいぶんして土地とちのベーシスが$2,000、在庫ざいこ商品しょうひんのベーシスが$1,000となる。 持分もちぶんが$1,500の場合ばあい現金げんきん配分はいぶん持分もちぶん上回うわまわるため、$500のキャピタルゲインが発生はっせいする。土地とち在庫ざいこ商品しょうひんのベーシスはそれぞれ$0となる。

解散かいさん分配ぶんぱい場合ばあい基本きほんてき配分はいぶんされた資産しさん修正しゅうせいベーシスぶんだけ持分もちぶん減少げんしょうする。ただし、配分はいぶんされた資産しさん修正しゅうせいベーシスが持分もちぶんえる場合ばあい資産しさんのベーシスが現在げんざい持分もちぶんどうあたいとなり、ベーシスが0にげられる。

資産しさん配分はいぶんは、基本きほんてき無税むぜいであることに注意ちゅうい。これは、資産しさん配分はいぶん持分もちぶん基本きほんにしておこなわれるが、持分もちぶん増加ぞうかぶんはパス・スルーによりいちパートナーが納税のうぜいおこなっているからである。つまり、非課税ひかぜい利益りえきおよ課税かぜい利益りえきのうち、パートナーに配分はいぶんされていないものが持分もちぶんであるからである。

a-2:パートナーシップの収入しゅうにゅうから経費けいひ後述こうじゅつする保証ほしょう支払しはらい(Guranteed Payment)をいたものがパートナーシップの損益そんえきである。この損益そんえきはそのまま配分はいぶんりつにしたがってパス・スルーされる。 このとき、パートナーシップの収入しゅうにゅうには、いくつかの種類しゅるいがあり、税率ぜいりつ控除こうじょなどがことなるが、これらの性格せいかくもそのままかくパートナーにわたしされる。ただし、これらの配分はいぶんされるそう利益りえきがそのまま持分もちぶんされる。パートナーシップの収益しゅうえき所得しょとく税法ぜいほうじょうかくパートナーにわたされたことになり課税かぜいされるが、実際じっさい配分はいぶんされた収益しゅうえき持分もちぶん増減ぞうげんかたちあらわされ、実際じっさい配分はいぶんはb-1でべた配分はいぶんかたちおこなわれるのである。したがって、b-1における配分はいぶん課税かぜい収益しゅうえきであるため、非課税ひかぜいなのである。

れい:パートナーシップは以下いか収入しゅうにゅうた。
通常つうじょう収益しゅうえき(Ordinary Income) $5,000
非課税ひかぜい収益しゅうえき(Tax-exempt income) $200
長期ちょうきキャピタル・ロス(Long-term Capital Loss) ($400)
短期たんきキャピタル・ゲイン(Short-term Capital Gain) $1,000
あるパートナーの配分はいぶんりつが30%の場合ばあい通常つうじょう収益しゅうえき$1,500、非課税ひかぜい収益しゅうえき$60、長期ちょうきキャピタルロス($120)、短期たんきキャピタルゲイン$300がそのパートナーの収入しゅうにゅうくわえられる。通常つうじょう収益しゅうえきはForm1065の別表べっぴょうE(Supplemental Income)において修正しゅうせいそう収入しゅうにゅう(Adjusted Gross Income)にくわえられ、非課税ひかぜい収益しゅうえきそう収入しゅうにゅうにはくわえられない。キャピタル・ゲインとロスはそののキャピタル・ゲイン/ロスと順次じゅんじ相殺そうさいされ、課税かぜいまたは控除こうじょおこなわれる。
個人こじん税法ぜいほう処理しょりかかわらず、パートナーの持分もちぶんたん配分はいぶんされた合計ごうけいの$1,740だけ増加ぞうかする。

b-2損失そんしつ場合ばあい、そのぶん持分もちぶん減少げんしょうすると同時どうじに、減少げんしょうしたぶん持分もちぶんだけパートナーの通常つうじょう収入しゅうにゅう(Ordinary Income)からくことが出来できる。持分もちぶんえるさい課税かぜいがされているため、持分もちぶんさいには控除こうじょ使つかえるわけである。 持分もちぶんは$0以下いかにならないのがだい原則げんそくであるため、配分はいぶんされる損失そんしつ持分もちぶんえる場合ばあいは、簿がいにおかれ、無限むげん期間きかんしができる(Carry Forward)。このぶんは、将来しょうらい利益りえき場合ばあい使用しようし、控除こうじょ利用りようできる。ぎゃくえば、持分もちぶんえるぶん控除こうじょおこなえない。

れい:あるパートナーシップは通常つうじょう損失そんしつ$5,000とキャピタル・ゲイン$1,000をた。パートナーの一人ひとりであるチャーリーは50%の配分はいぶんりつをもち、パートナーシップの課税かぜい申告しんこく持分もちぶんは$1,000である。またパートナーシップ以外いがいから$5,000の収入しゅうにゅうている。チャーリーの持分もちぶんはキャピタル・ゲインの配分はいぶんである$500をくわえて$1,500になるが、通常つうじょう損失そんしつ配分はいぶんは$2,500である。$1,000は簿がいかれ、将来しょうらいせる。持分もちぶんの$1,500だけ控除こうじょできるので、パートナーシップ以外いがい収入しゅうにゅう$5,000から$1,500をいた$3,500が課税かぜい申告しんこく対象たいしょうとなる。持分もちぶんは$0である。
翌年よくねん、パートナーシップが$20,000の収入しゅうにゅう場合ばあい、$10,000がチャーリーに配分はいぶんされて持分もちぶん増加ぞうかするため、された$1,000をこのとし控除こうじょのために使用しようできる。

a-3 & b-3:パートナーシップが負債ふさいうことは、無限むげん責任せきにんつパートナーが負債ふさいうこととおな意味いみがある。したがって、負債ふさい増加ぞうか持分もちぶん増加ぞうか意味いみする。ぎゃく負債ふさい減少げんしょうはパートナーの負債ふさいからの解放かいほう意味いみし、持分もちぶん減少げんしょうする。

れい:S&Tパートナーシップにおいて、パートナーの一人ひとりであるシャロン(配分はいぶんりつ60%)が土地とち(ベーシス$3,500、時価じか4,500)をパートナーシップに提供ていきょうしたが、この土地とちは$1,500の借金しゃっきん担保たんぽ(Mortgage)となっていた。この借金しゃっきんはパートナーシップがけることになった。
この場合ばあい、シャロンの持分もちぶんはベーシスぶんの$3,500増加ぞうかするが、一方いっぽう借金しゃっきんぶんの($1,500)ぶんだけ減少げんしょうするため、結局けっきょくき$2,000の増加ぞうかとなる。この借金しゃっきんはもう一人ひとりのパートナーのトーマス(配分はいぶんりつ40%)と分配ぶんぱいするので、シャロンは($900)、トーマスは($600)の配分はいぶんとなる。そのため、最終さいしゅうてきにはシャロンは持分もちぶんが$2,900だけ増加ぞうかし、トーマスは持分もちぶんが$600増加ぞうかする。

パートナーへの保証ほしょう支払しはらい(Guaranteed Payment)

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パートナーシップの損益そんえきおうじて配分はいぶんりつもとづき配分はいぶんされる利益りえきとはべつに、パートナーシップは一部いちぶまたは全部ぜんぶのパートナーにそれぞれ特定とくてい支払しはらい金額きんがく設定せっていできる。これを保証ほしょう支払しはらいぶ。この金額きんがく損益そんえき関係かんけいなくおこなわれるもので、固定こていきゅうちかいものである。したがって、この保証ほしょう支払しはらいはパートナーの申告しんこくには別表べっぴょうE(Supplemental Income)の項目こうもくでなく、別表べっぴょうC(Trade & Business Income)の項目こうもく申告しんこくされる。保証ほしょう支払しはらいは実際じっさい現金げんきん支払しはらいがなされるため、課税かぜいされたものの分配ぶんぱいのパートナーシップない資産しさんであるパートナーの持分もちぶん増減ぞうげんをもたらさない。 保証ほしょう支払しはらいはのパートナーシップない控除こうじょできる経費けいひ同様どうよう収入しゅうにゅうからく。その損益そんえきがパートナーに分配ぶんぱいされることになる。かりにパートナーシップが損失そんしつしていても、保証ほしょう支払しはらいはなされる。

申告しんこく

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パートナーシップの申告しんこくにはForm1065を使用しようする。パートナーそれ自体じたいには課税かぜいがなされないが、課税かぜい年度ねんどさだめられ、申告しんこくおこなわれる。Form1065にしめされた情報じょうほう別表べっぴょうKにおいてパートナーに分配ぶんぱいされるべきかく項目こうもく損益そんえきがくしめされ、別表べっぴょうk-1において、かくパートナーが実際じっさい配分はいぶんりつもとづいてかく項目こうもく損益そんえき計算けいさんされる。

パートナーシップの決算けっさん個人こじん決算けっさんことなる場合ばあい個人こじん課税かぜい年度内ねんどない決算けっさんされたパートナーへの配分はいぶん使用しようされる。

れい:パートナーシップの決算けっさんが3/31、あるパートナーの個人こじん決算けっさんが12/31の場合ばあい、20x9ねん3がつ31にち決算けっさんにおける損益そんえきを20x9ねん12月31にち個人こじん申告しんこく使用しようする。

パートナーシップの決算けっさん(Fiscal Year)は、合計ごうけいまたは単独たんどく過半数かはんすう配分はいぶんりつつパートナーの決算けっさんわせなければならない。両者りょうしゃのズレが3ヶ月かげつ以内いないまでならば、内国ないこく歳入さいにゅうちょう(IRS)に申告しんこくすることで変更へんこうできる。

パートナーシップの結成けっせい解散かいさん加入かにゅう譲渡じょうと脱退だったい

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以下いかアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく場合ばあいしめす。

リミテッド・パートナーシップをのぞき、パートナーの結成けっせいには登記とうき必要ひつようない。前述ぜんじゅつとおかくパートナーが金銭きんせん物品ぶっぴん労務ろうむ提供ていきょうまたは提供ていきょう約束やくそくおこない、結成けっせいおこなわれる。

パートナーシップは合意ごういによる解散かいさんくわえ、以下いか場合ばあい強制きょうせいてき解散かいさんされる。

  1. パートナーが1人ひとりになった場合ばあい。ただし、パートナーの死亡しぼう場合ばあい遺産いさん(Estate)が参加さんか継続けいぞくすることにより、解散かいさんしなくてもよい。
  2. 12ヶ月かげつ以内いないに50%ちょう持分もちぶん移動いどうした場合ばあいには強制きょうせいてき解散かいさんとなる。
  3. パートナーシップの事業じぎょう終了しゅうりょうした場合ばあい解散かいさんとなる。

パートナーシップの持分もちぶん取引とりひき対象たいしょうとなる。つまり、パートナーがパートナーシップに参加さんかしながら、その収益しゅうえき配分はいぶんりつ一部いちぶまたは全部ぜんぶ第三者だいさんしゃ譲渡じょうとしてもかまわない。これにはのパートナーの許可きょか必要ひつようないが、譲渡じょうとされた人物じんぶつはパートナーになるわけではなく、損益そんえきにのみかかわることになる。かり配分はいぶんすべ他者たしゃわたしたとしても、個人こじん責任せきにんはパートナーにかえしたままである。

パートナーとして加入かにゅうする場合ばあいは、現在げんざいのパートナーの総意そうい必要ひつようである。

パートナーが脱退だったいすることもできる、持分もちぶんえにパートナーシップから金銭きんせんてき支払しはらいがおこなわれる場合ばあいは、そのパートナーは完全かんぜん分配ぶんぱいかたちる。支払しはらいが最終さいしゅうてき終了しゅうりょうするまではそのパートナーはパートナーシップの一員いちいんである。 売却ばいきゃくかたちになる場合ばあい、キャピタル・ゲイン/ロスが発生はっせいする。持分もちぶん(Tax Basis)と売却ばいきゃくがく差分さぶん損益そんえきとなる。ただし、認識にんしき売掛金うりかけきん(Unrealized Recievables)と在庫ざいこ(Inventories)ぶん相当そうとうする部分ぶぶんはキャピタルゲインでなく通常つうじょう収入しゅうにゅう(Ordinary Income)あつかいとなる。

年度ねんど途中とちゅう売却ばいきゃくおこなわれる場合ばあい損益そんえき明確めいかく時期じき認識にんしきできる場合ばあい売却ばいきゃく以前いぜん損益そんえきが、明確めいかく時期じき認識にんしき出来できない場合ばあい日割ひわりの損益そんえき売却ばいきゃくおこなうパートナーの持分もちぶんくわえられる。

日本にっぽんにおける類似るいじ形態けいたい

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日本にっぽんほうでは、ジェネラル・パートナーシップに類似るいじするものとして民法みんぽううえ組合くみあい任意にんい組合くみあい)と合名ごうめい会社かいしゃが、リミテッド・パートナーシップに類似るいじするものとしては匿名とくめい組合くみあい投資とうし事業じぎょう有限ゆうげん責任せきにん組合くみあい合資ごうし会社かいしゃがある。英国えいこくのリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップに相当そうとうするものとしては、有限ゆうげん責任せきにん事業じぎょう組合くみあい合同ごうどう会社かいしゃがある。

符号ふごう位置いち

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記号きごう Unicode JIS X 0213 文字もじ参照さんしょう 名称めいしょう
U+3250 - ㉐
㉐
パートナーシップ
PARTNERSHIP SIGN

関連かんれん項目こうもく

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