兵科へいか大将たいしょう

兵科へいか大将たいしょう(へいかたいしょう、ドイツ語ご: General der Truppengattung、ロシア語ご: Генерал рода войск)は、軍隊ぐんたいの階級かいきゅうの一ひとつ。主おもに三ツ星みつぼしの中将ちゅうじょうや四よんツ星ぼしの大将たいしょうが、それぞれの兵科へいかごとの名なを階級かいきゅう名めいに冠かんして使用しようした。

どこの兵科へいかに属ぞくする将官しょうかんであるのかを明確めいかくにするため使用しようされていたが、単たんに名誉めいよ称号しょうごうとして扱あつかわれることもあった。

主おもにゲルマン圏けん、スラブ圏けんで用もちいられる。

主おもな国くにの兵科へいか大将たいしょう

近代きんだいの陸軍りくぐんでは歩兵ほへい・騎兵きへい・砲兵ほうへいが中心ちゅうしんとなって軍ぐんを組織そしきしていたため、兵科へいか大将たいしょうを設置せっちしていた国くにの多おおくは歩兵ほへい大将たいしょう・騎兵きへい大将たいしょう・砲兵ほうへい大将たいしょうに分わかれていた。しかし、戦術せんじゅつや戦法せんぽうが大おおきく変かわってしまった現在げんざい、兵科へいか大将たいしょうを設置せっちしている軍隊ぐんたいはごく僅わずかに限かぎられる。

オーストリア＝ハンガリー

オーストリア＝ハンガリーの兵科へいか大将たいしょう肩章けんしょう

オーストリア＝ハンガリー帝国ていこく陸軍りくぐんでは3種類しゅるいの兵科へいか大将たいしょうが存在そんざいした。

• 歩兵ほへい大将たいしょう (オーストリア) (General der Infanterie)
• 騎兵きへい大将たいしょう (オーストリア) (General der Kavallerie)
• 砲兵ほうへい大将たいしょう (オーストリア) (Feldzeugmeister)

オーストリア＝ハンガリー帝国ていこくにおいて、砲兵ほうへい大将たいしょうのみ厳密げんみつには中将ちゅうじょうと等ひとしい階級かいきゅうであった。

ブルガリア

ブルガリアでは1878年ねんより将官しょうかんの階級かいきゅうが設定せっていされ、1897年ねんには3種類しゅるいの兵科へいか大将たいしょうが設置せっちされた。

• 歩兵ほへい大将たいしょう (ブルガリア) (генерал от пехотата)
• 騎兵きへい大将たいしょう (ブルガリア) (генерал от кавалерията)
• 砲兵ほうへい大将たいしょう (ブルガリア) (генерал от артилерията)

二に度どにわたる世界せかい大戦たいせんの末すえ、ソビエト連邦れんぽうの衛星えいせい国こくとなってからは兵科へいか大将たいしょうが廃止はいしされ、大将たいしょうに統一とういつされた。

フィンランド

フィンランドでは、兵科へいか大将たいしょうは4種類しゅるいに分わかれる。

• 歩兵ほへい大将たいしょう (フィンランド) (jalkaväenkenraali)
• 騎兵きへい大将たいしょう (フィンランド) (ratsuväenkenraali)
• 砲兵ほうへい大将たいしょう (フィンランド) (tykistönkenraali)
• 猟りょう兵へい大将たいしょう (フィンランド) (jääkärikenraali)

現在げんざいでもフィンランド国防こくぼう軍ぐんでは兵科へいか大将たいしょうが設置せっちされているが、あくまで名誉めいよ称号しょうごうとしての扱あつかいである。

ドイツ

兵科へいか大将たいしょう 肩章けんしょう及および襟章えりしょう
	陸軍りくぐん	空軍くうぐん	武装ぶそう親衛隊しんえいたい

ナチス・ドイツ時代じだいの、ドイツ国防こくぼう軍ぐんの兵科へいか大将たいしょうについて述のべる。

陸軍りくぐん

陸軍りくぐんでは7種類しゅるいの兵科へいか大将たいしょうに分わかれていた。軍団ぐんだん長ちょう（軍団ぐんだん司令しれい官かん）には、通常つうじょうは兵科へいか大将たいしょうが充あてられた。

• 歩兵ほへい大将たいしょう (General der Infanterie)
• 騎兵きへい大将たいしょう (General der Kavallerie)
• 砲兵ほうへい大将たいしょう (General der Artillerie)
• 工兵こうへい大将たいしょう (General der Pioniere)
• 山岳さんがく兵へい大将たいしょう (General der Gebirgstruppe)
• 通信つうしん兵へい大将たいしょう (General der Nachrichtentruppe)
• 装甲そうこう兵へい大将たいしょう (General der Panzertruppe)

衛生えいせい部ぶ（軍医ぐんい）将校しょうこう、獣医じゅうい部ぶ将校しょうこう、法務ほうむ部ぶ将校しょうこうの最高さいこう階級かいきゅうは、それぞれGeneraloberstabsarzt（軍医ぐんい大将たいしょう）、Generaloberstabsveterinär（獣医じゅうい大将たいしょう）、Generaloberstabsrichter（法務ほうむ大将たいしょう）であり、兵科へいか大将たいしょうに相当そうとうした（上級じょうきゅう大将たいしょう、元帥げんすいに相当そうとうする階級かいきゅうはなかった）。

→「en:Ranks and insignia of the German Army (1935–1945)#General officers and marshals (Generäle)」を参照さんしょう

また1940年ねん以降いこう、武装ぶそう親衛隊しんえいたいの将官しょうかんにも陸軍りくぐんと同様どうようの階級かいきゅうが適用てきようされるようになり、General der Waffen-SS（武装ぶそう親衛隊しんえいたい大将たいしょう）が、兵科へいか大将たいしょうに相当そうとうする階級かいきゅうであった。

空軍くうぐん

空軍くうぐんでは5種類しゅるいの兵科へいか大将たいしょうに分わかれていた。

• 空軍くうぐん大将たいしょう (General der Luftwaffe)
• 航空こうくう兵へい大将たいしょう (General der Flieger)
• 降下こうか猟りょう兵へい大将たいしょう (General der Fallschirmtruppe)
• 対空たいくう砲兵ほうへい大将たいしょう (General der Flakartillerie)
• 航空こうくう通信つうしん兵へい大将たいしょう (General der Luftnachrichtentruppe)

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ご

ナチス・ドイツの敗戦はいせんとドイツ国防こくぼう軍ぐんの解体かいたい後ごに再建さいけんされた、ドイツ連邦れんぽう軍ぐん（西にしドイツ軍ぐん）および国家こっか人民じんみん軍ぐん（東ひがしドイツ軍ぐん）では階級かいきゅうとしての兵科へいか大将たいしょうが廃止はいしされ、陸軍りくぐん・空軍くうぐん大将たいしょうの呼称こしょうはドイツ連邦れんぽう軍ぐんではGeneral、国家こっか人民じんみん軍ぐんではGeneraloberstに統一とういつされた。 一方いっぽうでドイツ連邦れんぽう軍ぐんでは、各かく兵科へいかにおいて部隊ぶたいの訓練くんれんと装備そうびに責任せきにんを負おう将官しょうかんの役職やくしょくとして兵科へいか大将たいしょうが設置せっちされた。通常つうじょうは准じゅん将しょうが充あてられる。こちらの兵科へいか大将たいしょうは、それぞれの兵科へいかの学校がっこうの校長こうちょうの地位ちいと関係かんけいしている。この場合ばあい、「兵科へいか大将たいしょう」は階級かいきゅうではなく地位ちいを指さすので、時ときには大佐たいさが自身じしんの兵科へいかの「大将たいしょう」になることもある。敬称けいしょうは Herr General あるいは Herr Oberst であり、Herr General der ～ とするのは階級かいきゅうを意味いみしないので正ただしくない。

ロシア

ロシア帝国ていこくの兵科へいか大将たいしょう肩章けんしょう

ロシア帝国ていこくでは、1699年ねんにピョートル大帝たいていによって2種類しゅるいの兵科へいか大将たいしょうが設置せっちされた。

• 歩兵ほへい大将たいしょう (ロシア) (Генера́л от инфанте́рии)
• 騎兵きへい大将たいしょう (ロシア) (Генерал от кавалерии)

また、ソビエト連邦れんぽうでは兵科へいか大将たいしょう以外いがいにも、兵科へいか総そう元帥げんすい・兵科へいか元帥げんすい・兵科へいか中将ちゅうじょう・兵科へいか少将しょうしょうが設置せっちされていた。

関連かんれん項目こうもく

• 第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん参戦さんせん国こくの階級かいきゅう一覧いちらん
• 第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん参戦さんせん国こくの階級かいきゅう一覧いちらん