国鉄こくてつ動力どうりょく車しゃ労働ろうどう組合くみあい

国鉄こくてつ動力どうりょく車しゃ労働ろうどう組合くみあい

Nihon National Raliway Motive Power Union
略称りゃくしょう	NRMW, 動労どうろう
前身ぜんしん	日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう機関きかん車しゃ労働ろうどう組合くみあい（1959年ねん7月がつ24日にち設立せつりつ）
設立せつりつ	1951年ねん5月がつ24日にち
設立せつりつ地ち	京都きょうと市し労働ろうどう会館かいかんにて日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう機関きかん車しゃ労働ろうどう組合くみあいとして結成けっせい大会たいかい
種類しゅるい	日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどうの動力どうりょく車しゃに関係かんけいあるもので組織そしき
法的ほうてき地位ちい	労働ろうどう組合くみあい
目的もくてき	組合くみあい員いんの労働ろうどう条件じょうけんの維持いじ改善かいぜんを図はかり、経済けいざい的てき社会しゃかい的てき地位ちいを向上こうじょうし、運輸うんゆ産業さんぎょうを通つうじて民主みんしゅ的てき国家こっか経済けいざいの興隆こうりゅうに寄与きよする
本部ほんぶ	東京とうきょう都と品川しながわ区く上大崎かみおおさき　機関きかん車しゃ会館かいかん
加盟かめい	日本にっぽん労働ろうどう組合くみあい総そう評議ひょうぎ会かい, 国際こくさい運輸労連うんゆろうれん（ITF）

国鉄こくてつ動力どうりょく車しゃ労働ろうどう組合くみあい（こくてつどうりょくしゃろうどうくみあい、英えい称しょう：National Railway Motive Power Union, NRMU）は、旧きゅう日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう（国鉄こくてつ）の機関きかん士し（動力どうりょく車しゃ操縦そうじゅう者しゃ）を中心ちゅうしんとした労働ろうどう組合くみあいの連合体れんごうたい。略称りゃくしょうは動労どうろう（どうろう）。

日本にっぽん労働ろうどう組合くみあい総そう評議ひょうぎ会かい（総評そうひょう）、国際こくさい運輸労連うんゆろうれん（ITF）に加盟かめいした。

歴史れきし

「機き労ろう」結成けっせい

1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）に国鉄こくてつ労働ろうどう組合くみあい（国労こくろう）の機関きかん士し待遇たいぐうをめぐる運動うんどう方針ほうしんへの反発はんぱつから、国労こくろう機関きかん車しゃ協議きょうぎ会かいを母体ぼたいとした日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう機関きかん車しゃ労働ろうどう組合くみあい（機き労ろう）が、1951年ねん5月がつ24日にちに結成けっせいされた。この背景はいけいには、蒸気じょうき機関きかん車しゃの運転うんてんには、熟練じゅくれんを要ようする技術ぎじゅつや罐かん焚たきと呼よばれる機関きかん車しゃを操作そうさできる状態じょうたいにしておくまでの準備じゅんびに手間てまがかかることから、「一般いっぱんの駅員えきいんより機関きかん士しや運転うんてん士しの方ほうが格かく上じょう」という現場げんばでの運転うんてん士し達たちの自負じふ心しん・エリート意識いしきがあったとされる。さらに、機き労ろう結成けっせいにおいて国鉄こくてつ本社ほんしゃ運転うんてん局きょくが積極せっきょく的てきに動うごいたとされている。事実じじつ、機き労ろうの強つよかった現業げんぎょう機関きかんは運転うんてん局きょくの影響えいきょう力りょくが強つよかった北海道ほっかいどう等ひとしの地方ちほうの管理かんり局きょくに多おおかった。しかし、運転うんてん局きょくとの密接みっせつな関係かんけいは、逆ぎゃくに職員しょくいん局きょくとの対立たいりつを生うんだため、労使ろうし関係かんけい全般ぜんぱんが蜜月みつげつとは言いえなかった。この運転うんてん局きょくとの特別とくべつな関係かんけいは国鉄こくてつ終焉しゅうえん時じまで続つづいただけでなく、運転うんてん局きょく出身しゅっしん者しゃが経営けいえいに強つよく関与かんよしたJR東日本ひがしにっぽんの労使ろうし関係かんけいにも影響えいきょうを与あたえた。組合くみあい名称めいしょうの通とおり、機関きかん車しゃ乗務じょうむ員いん中心ちゅうしんの労組ろうそであり、首都しゅと圏けんや大阪おおさか地区ちくの国電こくでん運転うんてん士しは大半たいはんが国労こくろうに留とどまった。機関きかん車しゃ乗務じょうむ員いんであっても、旅客りょかく列車れっしゃ乗務じょうむを主おもとする機関きかん士しは国労こくろうに留とまる傾向けいこうがあり、機き労ろうの中核ちゅうかくはD51やEF15等ひとしの貨物かもつ用よう機関きかん車しゃに乗務じょうむする機関きかん士したちであった。この傾向けいこうも国鉄こくてつ終焉しゅうえん時じまで続つづいた。組合くみあい旗きにも蒸気じょうき機関きかん車しゃのボックス動輪どうりんがデザインされていた。機き労ろう結成けっせいから動労どうろう解散かいさんに至いたるまで機関きかん区く出身しゅっしん者しゃが組合くみあい指導しどう者しゃの大半たいはんを占しめた。1978年ねん（昭和しょうわ53年ねん）の動労どうろうによって突如とつじょ出だされた貨物かもつ安定あんてい宣言せんげんには、この労組ろうその持もつ組織そしき事情じじょうが色濃いろこく反映はんえいされていた。首都しゅと圏けんの国電こくでん運転うんてん士しの大半たいはんを動労どうろうが占しめるのは国鉄こくてつ終焉しゅうえん時じになってからであり、北海道ほっかいどうからの乗務じょうむ員いん広域こういき移動いどうの結果けっかであった。

1951年ねん（昭和しょうわ26年ねん）には機関きかん車しゃ会館かいかんとして、本部ほんぶビルを建設けんせつした。1958年ねん（昭和しょうわ33年ねん）7月がつには、国際こくさい運輸労連うんゆろうれん（ITF）に加盟かめいした。

「鬼おにの動労どうろう」へ

1959年ねん（昭和しょうわ34年ねん）には、機き労ろうは組合くみあい名称めいしょうを国鉄こくてつ動力どうりょく車しゃ労働ろうどう組合くみあいと改称かいしょうした。この改称かいしょうには機関きかん車しゃ乗務じょうむ員いん中心ちゅうしんの狭せまい職能しょくのう組合くみあいから、電車でんしゃ運転うんてん士しも含ふくむ動力どうりょく車しゃ操縦そうじゅう者しゃ全すべてを網羅もうらする心算しんさんがあったとされている。1960年ねん（昭和しょうわ35年ねん）7月がつには、日本にっぽん労働ろうどう組合くみあい総そう評議ひょうぎ会かい（総評そうひょう）に加盟かめいした。

結成けっせい当初とうしょは非ひ政治せいじ的てきで穏健おんけんな職能しょくのう組合くみあいだったが、養成ようせいに数すう年ねんかかる機関きかん士し、運転うんてん士しで構成こうせいされる組織そしき構成こうせい上じょう、勢力せいりょく拡大かくだいに制約せいやくが伴ともなうことから、やがて組織そしき維持いじ・拡大かくだいのため内部ないぶ規律きりつ、団結だんけつを強つよめ、活動かつどうも先鋭せんえい化かした。1960年代ねんだい - 1970年代ねんだいには、国労こくろう以上いじょうに先鋭せんえい的てきな労働ろうどう運動うんどうを展開てんかい、「泣なく子こも黙だまる 鬼おにの動労どうろう」と呼よばれる存在そんざいとなった。その後ごもマル生せい運動うんどう反対はんたい闘争とうそう・スト権けんストなどを国労こくろうと共ともに主導しゅどうした。職場しょくば闘争とうそうにおいて白地しろじに鉢巻はちまき状じょう青あお線せんに「動力どうりょく車しゃ」の文字もじの入はいったヘルメットを被こうむり参加さんかする組合くみあい員いんもいた。

北海道ほっかいどうや東京とうきょうの上野うえの駅えき発はつの東北本線とうほくほんせん、高崎線たかさきせん、常磐線じょうばんせんはとりわけ、動労どうろうが強つよかった。上野うえのから高崎たかさき、黒磯くろいそ、水戸みとまでの国電こくでん以外いがいの115系けい電車でんしゃや415系けい電車でんしゃによる中距離ちゅうきょり普通ふつう列車れっしゃ、165系けい電車でんしゃや455系けい電車でんしゃによる急行きゅうこう列車れっしゃ、EF57やEF58が牽引けんいんする客車きゃくしゃ急行きゅうこう、485系けい電車でんしゃ特急とっきゅうや583系けい寝台しんだい電車でんしゃ特急とっきゅう、EF65やEF80が牽引けんいんする夜行やこう寝台しんだい特急とっきゅうの全すべては動労どうろう組合くみあい員いんが運転うんてんしていた。この組織そしき力りょくはこの地域ちいきの機関きかん士しや電車でんしゃ運転うんてん士しが動労どうろうのイデオロギーに共鳴きょうめいした結果けっかではなく、北海道ほっかいどう各局かくきょく、東京とうきょう北きた局きょく（国電こくでんを除のぞく）、高崎たかさき、水戸みとの管理かんり局きょくの乗務じょうむ員いんが貨物かもつ用よう機関きかん車しゃが多おおく配置はいちされていた機関きかん区く出身しゅっしん者しゃ、もしくは機関きかん区く出身しゅっしん者しゃによって発足ほっそくした運転うんてん区く、電車でんしゃ区く出身しゅっしんの電車でんしゃ運転うんてん士しだったことから来きていた。順法じゅんぽう闘争とうそう時どきにおいて高崎線たかさきせんで上尾あげお事件じけんが起おこった背景はいけいに、北関東きたかんとう地区ちくにおける国鉄こくてつ線せんの運転うんてんが組合くみあいの指令しれいに忠実ちゅうじつな動労どうろう組合くみあい員いんに占しめられていたため、他たの地区ちくよりもひどい遅延ちえんが慢性まんせい的てきに発生はっせいしていたことも理由りゆうとして挙あげられる。

組合くみあい内ない派閥はばつと組織そしき分裂ぶんれつ

1959年ねん（昭和しょうわ34年ねん）7月がつ、国鉄こくてつ動力どうりょく車しゃ労働ろうどう組合くみあいと改称かいしょうし再さいスタートし、機関きかん車しゃ乗務じょうむ員いん以外いがいの職場しょくばへの拡大かくだいをめざしたが、組合くみあい役員やくいん選挙せんきょにおいて派閥はばつ活動かつどうが顕在けんざい化かした。当初とうしょの主流しゅりゅう派はは同志どうし会かい（後のちに労ろう運うん研けん）と呼よばれ、秋田あきた、仙台せんだい、千葉ちば、金沢かなざわ、広島ひろしま、四国しこく、門司もじ地本じもとがその基盤きばんだった。同志どうし会かいは昔むかしながらの機関きかん士し気質きしつを保持ほじし、穏健おんけんな路線ろせんを進すすめようとした。この派閥はばつの代表だいひょう的てき人物じんぶつは仙台せんだい地本じもと（地方ちほう本部ほんぶ）出身しゅっしんの目黒めぐろ今いま朝次郎あさじろう委員いいん長ちょうであった。

それに対たいして反はん主流しゅりゅうとして政策せいさく研究けんきゅう会かい（政せい研けん派は）と呼よばれる派閥はばつが結成けっせいされた。政せい研けん派はの基盤きばんは釧路くしろ、旭川あさひかわ、青函せいかん、盛岡もりおか、高崎たかさき、東京とうきょう、名古屋なごや、大阪おおさか、岡山おかやま、新幹線しんかんせん地ち本ほんであった。この派閥はばつを代表だいひょうする人物じんぶつは大阪おおさか地本じもと出身しゅっしんの林はやし大だい鳳おおとり委員いいん長ちょうであった。

当初とうしょは人脈じんみゃく、地縁ちえん上うえの対立たいりつであったが、次第しだいに政策せいさく上じょうの違ちがいが出でてきた。特とくに政せい研けん派はは左派さはとしての傾向けいこうを顕あらわにし始はじめた。新あらたに結成けっせいされた青年せいねん部ぶが政せい研けん派はの強つよい影響えいきょう力りょくを受うけるようになり、次第しだいに反はん主流しゅりゅう派はだった政せい研けん派はが全国ぜんこくに影響えいきょう力りょくを及およぼすようになった。初代しょだい青年せいねん部長ぶちょうに就任しゅうにんしたのが東京とうきょう地本じもと出身しゅっしんの松崎まつざき明あきらであり、彼かれは革マル派かくまるはの最高さいこう幹部かんぶだった。松崎まつざきは全国ぜんこくの青年せいねん部ぶ組織そしきを完全かんぜんに把握はあくし（中核ちゅうかく派はの影響えいきょう下かにあった千葉ちば地本じもとは例外れいがい）、彼かれの後任こうにんの青年せいねん部長ぶちょうを輩出はいしゅつした青函せいかん、釧路くしろ、旭川あさひかわ地本じもとにまず強つよい支持しじ勢力せいりょくを得えた。同時どうじに革マル派かくまるはに属ぞくさない政せい研けん派はの幹部かんぶとも関係かんけいを維持いじし、彼かれらを役職やくしょくに就つけることによって政せい研けん派は内ないの支持しじを広ひろげていった。

政せい研けん派はの勢力せいりょく伸張しんちょうは松崎まつざきと青年せいねん部ぶの力ちからだけではなく、国鉄こくてつ本社ほんしゃ運転うんてん局きょく幹部かんぶとの密接みっせつな関係かんけいによって助たすけられていた。1968年ねん（昭和しょうわ43年ねん）10月がつ1日にちのいわゆるヨンサントオダイヤ改正かいせいや昭和しょうわ47年ねんダイヤ改正かいせい等ひとしにおいて、特急とっきゅう車両しゃりょうが政せい研けん派はの強つよい運転うんてん所しょに集中しゅうちゅう的てきに新しん製せい配置はいちされている。特急とっきゅう列車れっしゃの運転うんてん業務ぎょうむに関かんしても、北海道ほっかいどう等とうでは政せい研けん派はの強つよい車両しゃりょう基地きちの乗務じょうむ員いんが中心ちゅうしんを担になった。北海道ほっかいどう地区ちくではキハ80系けい気動車きどうしゃが政せい研けん派はの強つよい青函せいかん局きょくの函館はこだて運転うんてん所しょに優先ゆうせん的てきに配置はいちされた。L特急とっきゅう「いしかり」を運転うんてんするため485系けい電車でんしゃが全ぜん国鉄こくてつ動力どうりょく車しゃ労働ろうどう組合くみあい（全ぜん動労どうろう）の運転うんてん士しもいた札幌さっぽろ運転うんてん所しょに配置はいちされたが、L特急とっきゅう「いしかり」運転うんてん業務ぎょうむの大半たいはんは政せい研けん派はの強つよい旭川あさひかわ機関きかん区くの運転うんてん士しが担当たんとうした。東北とうほく地区ちくで485系けい電車でんしゃや583系けい寝台しんだい電車でんしゃが同志どうし会かいの強つよい仙台せんだい運転うんてん所しょではなく、政せい研けん派はの強つよい盛岡もりおか局きょくの青森あおもり運転うんてん所しょに優先ゆうせん的てきに新しん製せい投入とうにゅうされた。青森あおもり運転うんてん所しょに集中しゅうちゅう配置はいちされた485系けい電車でんしゃは大阪おおさかから青森あおもりまで広域こういきにわたる複雑ふくざつな運用うんようをおこなった。上野うえのから仙台せんだいまでの特急とっきゅう「ひばり」にまで青森あおもり運転うんてん所しょの車両しゃりょうが投入とうにゅうされるほどであった。労使ろうし関係かんけいを重視じゅうしして運転うんてん管理かんり部門ぶもんが特定とくていの現業げんぎょう機関きかんに車両しゃりょうを集中しゅうちゅう配置はいちする方策ほうさくは、JR東日本ひがしにっぽんにおいても踏襲とうしゅうされている。

革マル派かくまるはと関係かんけいが深ふかかった政せい研けん派はが動労どうろうの主導しゅどう権けんを握にぎると、政治せいじセクト・政党せいとう支持しじをめぐって内部ないぶ対立たいりつが起おこり、1974年ねん（昭和しょうわ49年ねん）には日本にっぽん共産党きょうさんとう系けいの全ぜん国鉄こくてつ動力どうりょく車しゃ労働ろうどう組合くみあい連合れんごう会かい（全ぜん動労どうろう）が札幌さっぽろ地本じもとを中心ちゅうしんとして結成けっせいされた。全ぜん国鉄こくてつ動力どうりょく車しゃ労働ろうどう組合くみあい連合れんごう会かい（全ぜん動労どうろう）結成けっせいにおいて、北海道ほっかいどうの室蘭本線むろらんほんせんの追分おいわけ機関きかん区くで激はげしい組織そしき対立たいりつが起おきた。1979年ねん（昭和しょうわ54年ねん）には三里塚さんりづか闘争とうそうをめぐる対立たいりつから中核ちゅうかく派は系けいの国鉄こくてつ千葉ちば動力どうりょく車しゃ労働ろうどう組合くみあい（動労どうろう千葉ちば）が、1984年ねん（昭和しょうわ59年ねん）に国鉄こくてつ分割ぶんかつ民営みんえい化かを巡めぐって、全ぜん東北とうほく鉄道てつどう産業さんぎょう労働ろうどう組合くみあい（現在げんざいの鉄道てつどう産業さんぎょう労働ろうどう組合くみあい［鉄てつ産さん労ろう］）がそれぞれ分裂ぶんれつしている。

国鉄こくてつ分割ぶんかつ民営みんえい化か

鬼おにの動労どうろうと呼よばれた動労どうろうも、1975年ねん（昭和しょうわ50年ねん）のスト権けんストの敗北はいぼくによってストライキ戦術せんじゅつがもはや効果こうか的てきでないと判断はんだん、国労こくろうと内々うちうちに協議きょうぎしストライキ戦術せんじゅつの放棄ほうきを決きめる。「まず動労どうろうが決きめないと国労こくろうは意見いけんがまとまらない」との国労こくろう側がわの声こえで先さきにストライキ放棄ほうきを宣言せんげんしたが、国労こくろう内部ないぶでは意見いけんが分裂ぶんれつし、方針ほうしんを決きめることができなかった。国労こくろうに梯子はしごを外はずされた格好かっこうの動労どうろうは激怒げきどし、両者りょうしゃの路線ろせん対立たいりつは決定的けっていてきとなる。

貨物かもつ列車れっしゃの衰退すいたいがトラックへの移行いこうで著いちじるしくなる中なか、職場しょくばを守まもるため1978年ねん（昭和しょうわ53年ねん）には貨物かもつ列車れっしゃに関かんするストを行おこなわない旨むねを決定けっていする（ゴーサントオ改正かいせいにあわせたもので、「貨物かもつ安定あんてい宣言せんげん」としてその旨むねを宣言せんげんした。また、ストライキによって貨物かもつ輸送ゆそうが減へったという批判ひはんに対たいし、反論はんろんするためという理由りゆうもあった）。1982年ねん（昭和しょうわ57年ねん）から1984年ねん（昭和しょうわ59年ねん）頃ごろには、外部がいぶからの批判ひはんによって国鉄こくてつの職場しょくば荒廃こうはい（カラ出張からしゅっちょう、ヤミ休暇きゅうかなど）への改善かいぜん運動うんどうが実施じっしされたが、動労どうろうはこれにも国労こくろうと比較ひかくすれば協力きょうりょくする姿勢しせいをとっている。

国鉄こくてつ分割ぶんかつ民営みんえい化かにあたっては国労こくろうが徹底てってい抗戦こうせんの構かまえを見みせる一方いっぽう、動労どうろうは松崎まつざき明あきら委員いいん長ちょうの下した、組合くみあい員いんの雇用こようを絶対ぜったいに守まもるという方針ほうしんから民営みんえい化か賛成さんせいに転換てんかんし、1986年ねん（昭和しょうわ61年ねん）1月がつ、鉄てつ労ろう、全ぜん施ほどこせ労ろうとともに国鉄こくてつ当局とうきょくと「労使ろうし共同きょうどう宣言せんげん」を締結ていけつ、国労こくろうと共ともに分割ぶんかつ民営みんえい化か反対はんたいを唱となえていた総評そうひょうを脱退だったいしている。

その結果けっか、ほとんど不ふ採用さいよう者しゃ・脱落だつらく者しゃを出だすことなく新しん会社かいしゃに採用さいようされたが、組合くみあい員いん個人こじんの意思いしに反はんした広域こういき配転はいてん（北海道ほっかいどう・九州きゅうしゅう→首都しゅと圏けんへなど）が行おこなわれたり、50歳さい以上いじょうの組合くみあい員いんに対たいしては採用さいようが手控てびかえられ一律いちりつに勧奨かんしょう退職たいしょくの対象たいしょうとなるなど、結果けっか的てきに国鉄こくてつを追おわれる形かたちで辞やめた組合くみあい員いんは多おおい。また一部いちぶに不ふ採用さいようとなった動労どうろう役員やくいんがいたが、民営みんえい化か後ごに子会社こがいしゃ役員やくいんに招聘しょうへいされるなど、見みせかけだけの「不ふ採用さいよう」は、予定よてい調和ちょうわだったとされている。

その後ご鉄てつ労ろうなどと国鉄こくてつ改革かいかく労組ろうそ協議きょうぎ会かいを組織そしきし、それを母体ぼたいに民営みんえい化か後ごのJRでは統合とうごうして全日本ぜんにほん鉄道てつどう労働ろうどう組合くみあい総そう連合れんごう会かい（鉄道てつどう労連ろうれん、のちJR総連そうれん）を結成けっせい、民営みんえい化かされた新しん会社かいしゃにおける労働ろうどう運動うんどうで主導しゅどう権けんを握にぎった。

組織そしき内ない議員ぎいん

• 中村なかむら順じゅん造づくり（元もと参議院さんぎいん議員ぎいん、日本にっぽん社会党しゃかいとう）
• 目黒めぐろ今いま朝次郎あさじろう（元もと参議院さんぎいん議員ぎいん、社会しゃかい民主党みんしゅとう顧問こもん）

参考さんこう文献ぶんけん

• 動労どうろう30年ねん史し編纂へんさん委員いいん会かい編へん『動労どうろう三さん十じゅう年ねん史し（上うえ・下巻げかんと別巻べっかん）』国鉄こくてつ動力どうりょく車しゃ労働ろうどう組合くみあい、1982-83年ねん。
• 松崎まつざき明あきら、谷たに恭介きょうすけ『国鉄こくてつ動力どうりょく車しゃ　順法じゅんぽう闘争とうそうと労働ろうどう運動うんどう』 三さん一いち書房しょぼう<三さん一いち新書しんしょ>、1972年ねん。 ISBN 978-4380720123
• 国鉄こくてつ動力どうりょく車しゃ労働ろうどう組合くみあい名古屋なごや地方ちほう本部ほんぶ稲沢いなざわ第だい二に支部しぶ編へん『動力どうりょく車しゃ・ドキュメント 労働ろうどう者しゃ運動うんどうと日本にっぽん共産党きょうさんとう』 三さん一いち書房しょぼう<三さん一いち新書しんしょ>、1975年ねん。
• 動力どうりょく車しゃ運動うんどう史し編纂へんさん委員いいん会かい『動力どうりょく車しゃ運動うんどう史し 本編ほんぺん』国鉄こくてつ動力どうりょく車しゃ労働ろうどう組合くみあい、1962年ねん。doi:10.11501/3043207。 

関連かんれん項目こうもく

• 亀井かめい貫一かんいち郎ろう
• 遵法じゅんぽう闘争とうそう
• アジ電車でんしゃ