択捉えとろふ型がた海防かいぼう艦かん

択捉えとろふ型がた海防かいぼう艦かん
択捉えとろふ型がた1番ばん艦かん「択捉えとろふ」（1943年ねん）
基本きほん情報じょうほう
艦かん種しゅ	海防かいぼう艦かん
命名めいめい基準きじゅん	島名しまな
運用うんよう者しゃ	大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐん
建造けんぞう期間きかん	1943年ねん - 1944年ねん
建造けんぞう数すう	14隻せき
前まえ級きゅう	占うらない守もり型がた海防かいぼう艦かん
次つぎ級きゅう	御蔵おぐら型がた海防かいぼう艦かん
要目ようもく
基準きじゅん排水はいすい量りょう	870 t
全長ぜんちょう	77.70 m
水線すいせん長ちょう	76.20 m
最大さいだい幅はば	9.1 m
吃水きっすい	3.0 m
主おも機き	22号ごう10型がたディーゼル 2基き2軸じく
出力しゅつりょく	4,200馬力ばりき
最大さいだい速力そくりょく	19.7ノット（36.48km/h）
航続こうぞく距離きょり	16ノットで8,000海うみ里さと
燃料ねんりょう	重油じゅうゆ
乗員じょういん	150名めい
兵へい装そう	三さん年ねん式しき45口径こうけい12センチ単たん装そう平射へいしゃ砲ほうx3基き 25mm連装れんそう機銃きじゅうx2基き 九きゅう四よん式しき爆雷ばくらい投射とうしゃ機きx1基き 爆雷ばくらい投下とうか台だいx6基き 爆雷ばくらいx36個こ 掃海そうかい具ぐ

択捉えとろふ型がた海防かいぼう艦かん（えとろふがたかいぼうかん）は、日本にっぽん海軍かいぐんが第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんにおいて運用うんようした海防かいぼう艦かんである。占うらない守もり型がた海防かいぼう艦かんを原型げんけいとし、南方なんぽう航路こうろの船団せんだん護衛ごえいに用もちいられた。計画けいかく名めいは占うらない守もり型がたとおなじく甲かぶと型がたであり、艦艇かんてい類別るいべつ等級とうきゅう別表べっぴょうにおける公式こうしき類別るいべつ上じょうは占うらない守もり型がたに属ぞくするが、基本きほん計画けいかく番号ばんごうはE19と異ことなる。1943年ねんから1944年ねんにかけて同型どうけい艦かん14隻せきが就役しゅうえきしている。

概要がいよう

太平洋戦争たいへいようせんそうの開戦かいせんをにらみ、日本にっぽんは緒戦しょせんで占領せんりょう予定よていの南方なんぽう地域ちいきからの資源しげん輸送ゆそうについて、その航路こうろ護衛ごえい兵力へいりょくが不足ふそくしていることに気きが付ついた。そのため、長大ちょうだいな航続こうぞく距離きょりをもつ占うらない守もり型がた海防かいぼう艦かんを新規しんき護衛ごえい艦かんの原型げんけいとすることに決定けっていし、昭和しょうわ16年度ねんど戦時せんじ建造けんぞう計画けいかく（マル急きゅう計画けいかく）において30隻せきの建造けんぞうが計画けいかくされた。択捉えとろふ型がたの基本きほん設計せっけいは1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）10月がつ10日とおかに決定けっていされ、建造けんぞうが開始かいしされた。うち、1942年ねん2月がつ14日にちの海防かいぼう艦かん乙おつ型がたの設計せっけい完了かんりょうにより16隻せきが海防かいぼう艦かん乙おつ型がた（御蔵おぐら型がた）として建造けんぞうされることになり、さらにそのうち1943年ねん7月がつ5日にちの海防かいぼう艦かん改あらため乙おつ型がた（日ひ振ふ型かた、鵜う来らい型がた）の設計せっけい完了かんりょうにより8隻せきが海防かいぼう艦かん改あらため乙おつ型がたとして建造けんぞうされることになる。

占うらない守もり型がたをわずかに簡易かんい化かしただけのものであり、戦時せんじに必要ひつようである設計せっけいの簡素かんそ化か・工期こうきの短縮たんしゅくはほとんど行おこなわれなかった。占うらない守もり型がたとの相違そうい点てんは、爆雷ばくらい搭載とうさい数すうの増加ぞうか（18個こ→36個こ）、舵かじおよび艦かん首くびの簡易かんい化か・直線ちょくせん化か、軍艦ぐんかん籍せきでないことによる居住きょじゅう設備せつびの簡略かんりゃく化かなどである。しかし、南方みなかた航路こうろへの投入とうにゅうが計画けいかくされていたにもかかわらず、暖房だんぼう用ようの補助ほじょ缶かんは搭載とうさいされたままであった。工期こうきは、平均へいきん11ヶ月かげつであった。

本ほん型がたの評価ひょうかは、本来ほんらいの目的もくてきであった戦時せんじ急造きゅうぞうが行おこなえなかった事ことと、初期しょきの設計せっけいでは対たい潜せん・対空たいくう兵へい装そうが不足ふそくしていたことから、必かならずしも高たかいものではない。

同型どうけい艦かん

• 択捉えとろふ（えとろふ） - 仮称かしょう第だい310号ごう艦かん。艦かん名めいは北海道ほっかいどうの千島ちしま列島れっとうの一いち島とう、択捉島えとろふとうにちなむ。1943年ねん5月15日にち、日立造船ひたちぞうせん桜島さくらじま造船ぞうせん所しょで竣工しゅんこう。稚内わっかないにて終戦しゅうせん。復員ふくいん輸送ゆそう艦かんとして使用しようされた後のち、1947年ねん8月がつ、賠償ばいしょう艦かんとしてアメリカへ引渡ひきわたし後ご、解体かいたいされた。
• 松まつ輪わ（まつわ） - 仮称かしょう第だい311号ごう艦かん。艦かん名めいは千島ちしま列島れっとうの一いち島とう、松まつ輪島わじまにちなむ。1943年ねん3月23日にち、三井造船みついぞうせん玉野たまの造船ぞうせん所しょで竣工しゅんこう。1944年ねん8月がつ22日にち、ヒ71船団せんだんの護衛ごえい中ちゅう、アメリカの潜水せんすい艦かん「ハーダー」の雷撃らいげきにより、マニラ沖おきにて喪失そうしつ。
• 佐渡さわたり（さど） - 仮称かしょう第だい312号ごう艦かん。艦かん名めいは新潟にいがた県けんの佐渡さど島とうにちなむ。1943年ねん3月27日にち、日本鋼管にほんこうかん鶴見つるみ造船ぞうせん所しょで竣工しゅんこう。1944年ねん8月がつ22日にち、ヒ71船団せんだんの護衛ごえい中ちゅう、アメリカの潜水せんすい艦かん「ハッド」の雷撃らいげきにより、マニラ沖おきにて喪失そうしつ。
• 隠岐おき（おき） - 仮称かしょう第だい313号ごう艦かん。艦かん名めいは島根しまね県けんの隠岐島おきのしまにちなむ。1943年ねん3月28日にち、浦賀うらが船渠せんきょで竣工しゅんこう。プサンにて終戦しゅうせん。復員ふくいん輸送ゆそう艦かんとして使用しようされた後のち、1947年ねん8月がつ、賠償ばいしょう艦かんとして中華民国ちゅうかみんこくへ引渡ひきわたし、固かた安やす（Gu-An）に改称かいしょう。1949年ねん4月がつ、青島ちんたおにて中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくに鹵獲ろかくされ、長ちょう白しろ（Chang-Pai）に改称かいしょう。後のちに敷設ふせつ艇ていに改造かいぞう。1982年ねん除籍じょせき・解体かいたいされた。
• 六ろく連れん（むつれ） - 仮称かしょう第だい314号ごう艦かん。艦かん名めいは山口やまぐち県けんの六連島むつれじまにちなむ。1943年ねん7月がつ31日にち、日立造船ひたちぞうせん桜島さくらじま造船ぞうせん所しょで竣工しゅんこう。1943年ねん9月2日にち、アメリカの潜水せんすい艦かん「スナッパー」の雷撃らいげきにより、トラック島とう北方ほっぽうにて喪失そうしつ。
• 壱岐いき（いき） - 仮称かしょう第だい315号ごう艦かん。艦かん名めいは長崎ながさき県けんの壱岐島いきしまにちなむ。1943年ねん5月31日にち、三井造船みついぞうせん玉野たまの造船ぞうせん所しょで竣工しゅんこう。1944年ねん5月24日にち、アメリカの潜水せんすい艦かん「レイトン」の雷撃らいげきにより、ボルネオ島とう西方せいほうにて喪失そうしつ。
• 対馬つしま（つしま） - 仮称かしょう第だい316号ごう艦かん。艦かん名めいは長崎ながさき県けんの対馬つしまにちなむ。1943年ねん7月がつ28日にち、日本鋼管にほんこうかん鶴見つるみ造船ぞうせん所しょで竣工しゅんこう。佐世保させぼにて終戦しゅうせん。1947年ねん7月がつ、賠償ばいしょう艦かんとして中華民国ちゅうかみんこくへ引渡ひきわたし、臨安（Lin-An）に改称かいしょう。後のちに敷設ふせつ艇ていに改造かいぞう。1963年ねん除籍じょせき・解体かいたいされた。
• 若宮わかみや（わかみや） - 仮称かしょう第だい317号ごう艦かん。艦かん名めいは長崎ながさき県けんの若宮島わかみやじまにちなむ。1943年ねん8月がつ10日とおか、三井造船みついぞうせん玉野たまの造船ぞうせん所しょで竣工しゅんこう。1943年ねん11月23日にち、アメリカの潜水せんすい艦かん「ガジョン」の雷撃らいげきにより、上海しゃんはい東方とうほうにて喪失そうしつ。
• 平戸ひらど（ひらと） - 仮称かしょう第だい318号ごう艦かん。艦かん名めいは長崎ながさき県けんの平戸島ひらどしまにちなむ。1943年ねん9月28日にち、日立造船ひたちぞうせん桜島さくらじま造船ぞうせん所しょで竣工しゅんこう。1944年ねん9月12日にち、ヒ72船団せんだん旗艦きかんとして行動こうどう中ちゅう、アメリカの潜水せんすい艦かん「グロウラー」の雷撃らいげきにより、海南かいなん島とう東方とうほうにて喪失そうしつ。
• 福江ふくえ（ふかえ） - 仮称かしょう第だい319号ごう艦かん。艦かん名めいは長崎ながさき県けんの五島列島ごとうれっとうの一いち島とう、福江島ふくえじまにちなむ。1943年ねん6月28日にち、浦賀うらが船渠せんきょで竣工しゅんこう。復員ふくいん輸送ゆそう艦かんとして使用しようされた後のち、1947年ねん7月がつ、賠償ばいしょう艦かんとしてイギリスへ引渡ひきわたし後ご、解体かいたいされた。
• 天草あまくさ（あまくさ） - 仮称かしょう第だい321号ごう艦かん。艦かん名めいは熊本くまもと県けんの天草諸島あまくさしょとうにちなむ。1943年ねん11月20日にち、日立造船ひたちぞうせん桜島さくらじま造船ぞうせん所しょで竣工しゅんこう。1945年ねん8月がつ9日にち、イギリスの空母くうぼ「フォーミダブル」艦載かんさい機きの攻撃こうげきにより、女川湾おながわわんにて喪失そうしつ。
• 満まん珠たま（まんじゅ） - 仮称かしょう第だい323号ごう艦かん。艦かん名めいは山口やまぐち県けんの満珠島まんじゅじまにちなむ。1943年ねん11月30日にち、三井造船みついぞうせん玉野たまの造船ぞうせん所しょで竣工しゅんこう。1945年ねん4月がつ3日にち、香港ほんこんで爆ばく撃げきを受うけ大破たいは・擱座かくざ。浮揚ふようのうえ終戦しゅうせん時じは同地どうちで修理しゅうり中ちゅうだったが、1947年ねんに解体かいたいされたとされていた。実際じっさいはその後ご、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくに鹵獲ろかくされ、南みなみ寧やすし（Nan Ning）に改称かいしょう。修復しゅうふくの後のち、中国ちゅうごく人民じんみん解放かいほう軍ぐん南海なんかい艦隊かんたいの旗艦きかんとなり、1979年ねん除籍じょせき・解体かいたいされた。
• 干ひ珠たま（かんじゅ） - 仮称かしょう第だい325号ごう艦かん。艦かん名めいは山口やまぐち県けんの干珠島かんじゅじまにちなむ。1943年ねん10月30日にち、浦賀うらが船渠せんきょで竣工しゅんこう。1945年ねん8月がつ15日にち、ソ連それん機きの敷設ふせつした機雷きらいにより大破たいはのため、自沈じちん処分しょぶんされた。
• 笠かさ戸ど（かさど） - 仮称かしょう第だい330号ごう艦かん。艦かん名めいは山口やまぐち県けんの笠戸島かさどしまにちなむ。1944年ねん2月がつ27日にち、浦賀うらが船渠せんきょで竣工しゅんこう。小樽おたるにて終戦しゅうせん。1948年ねんに解体かいたいされた。

参考さんこう文献ぶんけん

• 海軍かいぐん歴史れきし保存ほぞん会かい『日本にっぽん海軍かいぐん史し』第だい7巻かん、第だい9巻かん、第一法規出版だいいちほうきしゅっぱん、1995年ねん。
• アジア歴史れきし資料しりょうセンター（公式こうしき）
  • レファレンスコード：C12070118900 『海軍かいぐん大臣だいじん達たち「５月がつ（３）」』(昭和しょうわ18年ねん5月がつ)
  • 『昭和しょうわ１８年ねん１月がつ～８月がつ　達いたる(防衛ぼうえい省しょう防衛ぼうえい研究所けんきゅうじょ)』。Ref.C12070118200。 

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