笞むち罪ざい

笞むち罪ざい（ちざい）、笞むち刑けい（ちけい）とは、体刑たいけいの一ひとつで、笞むち（むち）を打うつことによるもの。鞭打むちうち刑けい。

唐とうの律令りつりょう法ほうでは、笞むち刑けい・杖つえ刑けい・徒刑とけい・流刑りゅうけい・死刑しけいがあり、これらを五ご刑けいと呼よんだ。日本にっぽんや朝鮮半島ちょうせんはんとうなどの周辺しゅうへん諸国しょこくでも受容じゅようされ、日本にっぽんでは大宝たいほう律令りつりょう・養老ようろう律令りつりょうにおいて笞むち罪ざい・杖つえ罪ざい・徒と罪ざい・流罪るざい・死罪しざいが定さだめられていた。

日本にっぽん

鞭むち打うちを刑罰けいばつとして課かす事ことは大和やまと朝廷ちょうていの頃ころから行おこなわれていたと考かんがえられている（『日本書紀にほんしょき』に敏さとし達たち天皇てんのうの時代じだいに仏教ぶっきょう弾圧だんあつを進すすめた物部守屋もののべのもりやが尼あまを鞭むちで打うったとある）が、刑罰けいばつとして法的ほうてきに整備せいびされたものは大化たいかの改新かいしんから天武天皇てんむてんのうの時代じだいに導入どうにゅうされたと推定すいていされており、大宝たいほう・養老ようろう両りょう律令りつりょうにおいては単たんに笞むち（ち）と称しょうされ、笞むち罪ざい（ちざい）と呼よばれる場合ばあいもあった。和訓わくんは「之これ毛もう度ど（しもと）」。最もっとも軽かるい刑罰けいばつであり、木製もくせいの笞むち杖つえによって臀部でんぶを打うった。笞むち杖つえの大おおきさは手元てもとで3分ふん（約やく9ミリ）、先端せんたんは2分ふん（約やく6ミリ）、長ながさは3尺しゃく5寸すん（約やく1メートル5センチ）と定さだめられ、受刑じゅけい者しゃの皮膚ひふを破やぶらないように節目ふしめなどの凹凸おうとつは削けずられたものが使用しようされた。

笞むちは一番いちばん軽かるい刑けいであり、杖つえ罪ざい以上いじょうの刑罰けいばつの様ように罪人ざいにんを獄ごくに囚しゅう禁きんする必要ひつようはなかった。また、規定きていの笞むち杖つえに違反いはんした場合ばあいや受刑じゅけい者しゃに対たいして重傷じゅうしょうを負おわせたり死しに至いたらしめた場合ばあいには執行しっこう者しゃが処罰しょばつされることもあった。回数かいすうは罪つみの重おもさによって10回かいから50回かいまでの5段階だんかいに分わかれていた。笞むちは郡司ぐんじによる専断せんだんによる処分しょぶんが認みとめられていた（杖つえ罪ざい以上いじょうの刑罰けいばつの場合ばあいは国司こくし・中央ちゅうおうの許可きょかを要ようした）。また、10回かいあたり銅どうを1斤きん納付のうふすることで罪つみを免めんじられる贖銅の制せいもあり、貴族きぞくなどの富裕ふゆう者しゃは実刑じっけいを受うけないこともあった。

14世紀せいきの『徒然草つれづれぐさ』第だい204談だんに、「笞むち打うちの際さい、拷器に引ひき寄よせて縛しばり付つけるが、拷器の構造こうぞうも、縛しばり付つける仕方しかたも、今いまは知しってわきまえている人ひともないという」とあり、律令制りつりょうせいにおける笞むち刑けいを具体ぐたい的てきに、どのように行おこなうかが忘わすれ去さられている様さまが記述きじゅつされている。

江戸えど時代じだいに入はいり、非公式ひこうしきな組織そしき内ない刑罰けいばつだった鞭打むちうちが、徳川とくがわ吉宗よしむねによって、公式こうしきの刑罰けいばつとして復活ふっかつした。総称そうしょうして敲たたきと呼よび、回数かいすうによって、50回かいのものを軽けい敲、100回かいの、いわゆる百ひゃく叩はたきを重じゅう敲と呼よぶ。盗ぬすみや喧嘩けんかなどの軽犯罪けいはんざいを対象たいしょうとしており、一揆いっきにおける便乗びんじょう犯はんにも、この刑罰けいばつが加くわえられた。箒ほうき尻しりとよばれる竹たけ製せいの鞭むちが使つかわれ、背せから、尻しり・太ふとももなどを左右さゆうに分わけて叩たたく。武士ぶしには執行しっこうされなかったが、浪人ろうにんには執行しっこうされた。そして、江戸えどにおいては、小伝馬こでんま町まち牢ろう屋敷やしき門前もんぜんで敲刑受刑じゅけい者しゃの身元みもと引受ひきうけ人じんを含ふくめた大勢おおぜいの見物人けんぶつにんが見みている前まえで、公開こうかい執行しっこうされていた。

また、平松ひらまつ義郎よしおによれば、1862年ねん（文久ぶんきゅう2年ねん）～1865年ねん（慶応けいおう元年がんねん）の期間きかんにおける江戸えどにおいて、伝馬てんま町まち牢ろう屋敷やしきに収容しゅうようされた者ものの約やく73%が、入墨いれずみ・敲刑（追放ついほう刑けいが併科へいかされた者ものを除のぞく）に処しょされ、入牢にゅうろう者しゃに最もっとも多おおく処しょされた刑罰けいばつと言いわれている。場所ばしょと期間きかんが限定げんていされるが、江戸えどや大坂おおさか町奉行まちぶぎょうが管轄かんかつしている地域ちいき、及およびそれ以外いがいにおいての入墨いれずみ・敲刑が科か刑けいされた者ものの統計とうけいが以下いかの表ひょうとなる。入墨いれずみ刑けいも計上けいじょうしているのは、敲刑と併科へいかして行おこなわれているためである。但ただし、これらの表ひょうでは、追放ついほう刑けいと併科へいかされた者ものは含ふくまれない。

江戸えど庶民しょみんの追放ついほう刑けいと併科へいかされた入墨いれずみ・敲刑科か刑けい者しゃについては「日本にっぽんにおける追放ついほう刑けい#近世きんせい」を参照さんしょう

15歳さい以上いじょうの男性だんせい江戸えど庶民しょみん（武士ぶし・公家くげ・僧侶そうりょ神職しんしょく・被ひ差別さべつ部落ぶらく民みんを除のぞく）への入墨いれずみ・敲刑科か刑けい者しゃ数すうの種類しゅるい別べつと加か役やく方かた人足ひとあし寄場よせば収容しゅうよう有無うむ別べつとその割合わりあい

年とし	入墨いれずみ重じゅう敲		入墨いれずみ敲		入墨いれずみ		重じゅう敲		敲		入墨いれずみ・敲刑 科か刑けい者しゃ数すう	内うち、人足ひとあし寄場よせば 収容しゅうよう者しゃ数すう	人足ひとあし寄場よせば 収容しゅうよう率りつ(%)
	人足ひとあし寄場よせば 収容しゅうようあり	人足ひとあし寄場よせば 収容しゅうようなし	人足ひとあし寄場よせば 収容しゅうようあり	人足ひとあし寄場よせば 収容しゅうようなし	人足ひとあし寄場よせば 収容しゅうようあり	人足ひとあし寄場よせば 収容しゅうようなし	人足ひとあし寄場よせば 収容しゅうようあり	人足ひとあし寄場よせば 収容しゅうようなし	人足ひとあし寄場よせば 収容しゅうようあり	人足ひとあし寄場よせば 収容しゅうようなし
1862年ねん（文久ぶんきゅう2年ねん）	104	250	16	99	1	28	64	192	21	234	1009	206	20.4
1863年ねん（文久ぶんきゅう3年ねん）	98	176	15	74	2	12	45	185	31	193	831	191	23.0
1864年ねん（元治もとはる元年がんねん）	66	179	20	89	5	31	42	221	18	217	888	151	17.0
1865年ねん（慶応けいおう元年がんねん）5～12月がつ	72	281	10	105	1	12	47	266	22	281	1097	152	13.9
入墨いれずみ・敲刑種類しゅるい別べつ (人足ひとあし寄場よせば収容しゅうよう有無うむ)総計そうけい	340	886	61	367	9	83	198	834	92	925	3795	700	18.4
入墨いれずみ・敲刑 種類しゅるい別べつ総計そうけい	1226		428		92		1032		1017				-
入墨いれずみ・敲刑 種類しゅるい別べつ割合わりあい(%)	32.1		11.2		2.4		27.2		26.6		100.0	-	-
入墨いれずみ・敲刑 種類しゅるい別べつ 人足ひとあし寄よせ収容しゅうよう率りつ(%)	27.7		14.3		9.8		19.2		9.0		-	-	18.4

• 上記じょうきの表ひょうには、15歳さい未満みまん少年しょうねんと女性じょせいは含ふくまれていない。15歳さい未満みまん少年しょうねんと女性じょせいの場合ばあい、敲刑の代かわりに、過怠かたい牢舎ろうしゃ（敲に該当がいとうする罪つみを犯おかした場合ばあい、1敲たたき1日にち計算けいさんで牢ろう屋敷やしきに牢舎ろうしゃさせる。）が科か刑けいされた。
  この期間きかん中ちゅうに15歳さい未満みまんは29人にん、女性じょせいは入墨いれずみ刑けいが付加ふかされた者ものが48人にん、付加ふかされない者ものが29人にんである。その内うち、加か役やく方かた人足ひとあし寄場よせばに収容しゅうようされた女性じょせいは7人にんおり、全員ぜんいん15歳さい以上いじょうである。

大坂おおさか町奉行まちぶぎょうにおける15歳さい以上いじょう男性だんせい庶民しょみん（武士ぶし・公家くげ・僧侶そうりょ神職しんしょく
・被ひ差別さべつ部落ぶらく民みんを除のぞく）への入墨いれずみ・敲刑科か刑けい者しゃ数すうの種類しゅるい別べつとその割合わりあい

年とし	入墨いれずみ・敲刑	入墨いれずみ	敲刑	入墨いれずみ・敲刑科か刑けい者しゃ数すう
1781年ねん（天明てんめい2年ねん）	32	6	31	69
1782年ねん（天明てんめい3年ねん）	112	6	101	219
1783年ねん（天明てんめい4年ねん）	77	6	75	158
1784年ねん（天明てんめい5年ねん）	84	2	50	136
1785年ねん（天明てんめい6年ねん）	48	5	35	88
入墨いれずみ・敲刑 種類しゅるい別べつ総計そうけい	353	25	292	670
入墨いれずみ・敲刑 種類しゅるい別べつ割合わりあい(%)	52.7	3.7	43.6	100.0

江戸えどと大坂おおさか町奉行まちぶぎょう以外いがいにおける15歳さい以上いじょうの男性だんせい庶民しょみん（武士ぶし・公家くげ・僧侶そうりょ神職しんしょく・被ひ差別さべつ部落ぶらく民みんを除のぞく）
への入墨いれずみ・敲刑科か刑けい者しゃ数すう

奉行ぶぎょう所しょ・代官だいかん所しょ・郡代ぐんだい名めい	年とし	入墨いれずみ重じゅう敲	入墨いれずみ敲	入墨いれずみ	重じゅう敲	敲	入墨いれずみ・敲刑科か刑けい者しゃ数すう
奈良なら奉行ぶぎょう所しょ	1811（文化ぶんか8年ねん）	29		0	40		69
備中びっちゅう・倉敷くらしき代官だいかん所しょ	1789（寛永かんえい9年ねん）	0	0	0	0	1	1
西国さいごく郡代ぐんだい	1845（弘ひろし化か2年ねん）	0	0	0	3	2	5
飛騨ひだ郡ぐん代だい	1866（慶応けいおう2年ねん）	1	0	0	0	0	1

上記じょうきの江戸えどの表ひょうより、加か役やく方かた人足ひとあし寄場よせば収容しゅうよう率りつは、全ぜん期間きかんを通とおすと約やく18%であり、残のこりの約やく82%近ちかくの者ものが収容しゅうようされてないことが分わかる。更さらに、重じゅう敲の科か刑けい有無うむによって収容しゅうよう率りつが変かわり、科か刑けいされた者ものは約やく24%が収容しゅうようされたのに対たいして、科か刑けいされなかった者ものは約やく11%と2倍ばい以上いじょうの差さがある。そして収容しゅうよう率りつが最もっとも多おおい入墨いれずみ重じゅう敲でも、約やく28%と、所ところ払はらい以外いがいの追放ついほう刑けいに処しょされた者もの（59.3～89.4%）と比くらべて、低ひくい。

大阪おおさか町まち奉行ぶぎょうの場合ばあい、1781年ねん（天明てんめい2年ねん）～1785年ねん（天明てんめい6年ねん）の期間きかんに大阪おおさか松屋まつや町まち牢屋ろうやに入牢にゅうろうされ科か刑けいされた者もの（1,431人にん）の内うち、約やく47%（670人にん）が入墨いれずみ・敲刑に処しょされている。平松ひらまつ義郎よしおによれば、同どう時期じきの江戸えど（約やく37%）に比くらべて、この刑けいに科かされる割合わりあいが高たかく、その理由りゆうを大阪おおさかが「天下てんかの台所だいどころ」と後のちに言いわれる程ほどの商都しょうと故ゆえに、窃盗せっとう罪ざいを主おもとする財産ざいさん犯罪はんざい（窃盗せっとう罪ざいの1つであるスリは、明治めいじ以前いぜんは大阪おおさかが本場ほんばであった。）が多おおく、その犯罪はんざいに対たいして科か刑けいされることが多おおかったためと言いわれている。

明治めいじ時代じだいの初期しょきまでは公式こうしきの刑罰けいばつであり、1868（明治めいじ元年がんねん）に定さだめた仮かり刑けい律りつにも笞むち刑けいとして回数かいすうを10から100までを十じゅう等とうに分わけ（同年どうねん11月がつより回数かいすうを100、50、20の3種類しゅるいに変更へんこうしている）、1870年ねん（明治めいじ3年ねん）10月がつに発布はっぷされた新しん律りつ綱領こうりょうでは、「笞むち」は10から50まで，「杖つえ」は60から100までをそれぞれ五ご等とうに分わけて、大政奉還たいせいほうかん以後いごも継続けいぞくしていた。
しかし文明開化ぶんめいかいか政策せいさくにより、1873年ねん（明治めいじ6年ねん）6月がつに発布はっぷされた改定かいてい律りつ例れいにより、五ご刑けいのうち笞むち罪ざい、杖つえ罪ざいが懲役ちょうえきに置おき換かえられ、国くにが定さだめた刑罰けいばつとしては廃止はいしされる。但ただし、予定よてい通どおりに置おき換かえたい司法省しほうしょうと置おき換かえによる費用ひようが嵩かさんでしまうため見送みおくりたい大蔵省おおくらしょうとの争あらそいの末すえ、妥協だきょう策さくとして懲役ちょうえき日数にっすうに換算かんさんして懲役ちょうえき100日にち以下いかの男性だんせいに対たいしては、各かく地方ちほうで100日にち以下いかの懲役ちょうえきにするか従来じゅうらいの笞むち罪ざい・杖つえ罪ざいで行おこなわれるか地方ちほうに判断はんだんが委ゆだねられることとなった。そのため、多おおくの府県ふけんで継続けいぞくされることななり、札幌さっぽろ市しでは1878年ねん（明治めいじ11年ねん）4月がつまで主おもに賭博とばく等とうの軽犯罪けいはんざいを犯おかした男性だんせいに対たいして行おこなわれ、兵庫ひょうご県けんは1880年ねん（明治めいじ13年ねん）まで刑罰けいばつとして存続そんぞくした。更さらに、受刑じゅけい者しゃ増加ぞうかを理由りゆうに懲役ちょうえき刑けいの一時いちじ的てきな代替だいたい刑けいとして導入どうにゅうする県けんも現あらわれ、埼玉さいたま県けんにおいては1877年ねん（明治めいじ10年ねん）4月がつから翌年よくねんに掛かけて2,737人にんが科か刑けいされるなど、笞むち刑けい・杖つえ刑けいが刑罰けいばつとして残のこっていき、完全かんぜんなる廃止はいしは1882年ねん（明治めいじ15年ねん）1月がつ1日にち施行しこうの旧きゅう刑法けいほうまで待またねばならなかった。

以下いかは、改定かいてい律りつ例れい発布はっぷから旧きゅう刑法けいほう施行しこう前まえまでの笞むち・杖つえ刑けいの科か刑けい者しゃ数すうである。

1873年ねん（明治めいじ6年ねん）～1882年ねん（明治めいじ15年ねん）6月がつの間あいだで執行しっこうされた笞むち杖つえ刑けい科か刑けい者しゃ数すう

年とし	一般刑法犯笞杖刑科刑者数				旧きゅう陸軍りくぐん 笞むち杖つえ刑けい 科か刑けい者しゃ数すう	旧きゅう海軍かいぐん 笞むち杖つえ刑けい 科か刑けい者しゃ数すう	全ぜん男性だんせい科か刑けい者しゃ に占しめる 笞むち杖つえ刑けい科か刑けい者しゃ の割合わりあい	旧きゅう陸軍りくぐん科か刑けい者しゃ に占しめる 笞むち杖つえ刑けい科か刑けい者しゃ の割合わりあい	旧きゅう海軍かいぐん科か刑けい者しゃ に占しめる 笞むち杖つえ刑けい科か刑けい者しゃ の割合わりあい	備考びこう
	全体ぜんたい数すう	内うち、地方ちほう監獄かんごくにて 科か刑けいされた者もの	内うち、 除じょ族ぞく	内うち、贖罪しょくざい収おさむ贖 者もので、罰金ばっきんが払はらえず 笞むち杖つえで換かわ刑けいされた者もの
1873年ねん(明治めいじ6)年ねん	-	-	-	-	160	10	-	40.1	23.8	この年としの1月がつ25日にちに東京とうきょう府ふは、笞むち杖つえ刑けいを懲役ちょうえき刑けいに換かわ刑けい。以降いこう、笞むち杖つえ刑けいは執行しっこうされていない。また、埼玉さいたま県けんはこの年としから受刑じゅけい者しゃ増加ぞうかによる1877年ねん（明治めいじ10年ねん）4月がつの一時いちじ復活ふっかつまで執行しっこうされなくなる。
1874年ねん(明治めいじ7年ねん)	-	-	-	-	193	24	-	46.5	26.1
1875年ねん(明治めいじ8)年ねん7月がつ-1876年ねん(明治めいじ9年ねん)6月がつ (一般いっぱん刑法けいほう犯はんの全体ぜんたい者しゃ数すうは、1875年ねん(明治めいじ8)年ねん1月がつ-12月)	-	19,513	-	-	682	71	-	47.4	38.6	長崎ながさき県けんは1875年ねん（明治めいじ8年ねん）を 最後さいごに笞むち杖つえ刑けいが執行しっこうされなくなる。
1876年ねん(明治めいじ9年ねん)7月がつ-1877年ねん(明治めいじ10年ねん)6月がつ (一般いっぱん刑法けいほう犯はんの全体ぜんたい者しゃ数すうは、1876年ねん(明治めいじ9)年ねん1月がつ-12月)	17,825	17,098	-	743	834	81	17.3	62.3	50.0
1877年ねん(明治めいじ10年ねん)7月がつ-1878年ねん(明治めいじ11年ねん)6月がつ (一般いっぱん刑法けいほう犯はんの全体ぜんたい者しゃ数すうは、1877年ねん(明治めいじ10)年ねん1月がつ-12月)	23,376	27,656	-	225	1,169	121	28.7	69.2	54.8
1878年ねん(明治めいじ11年ねん)7月がつ- 1879年ねん(明治めいじ12年ねん)6月がつ (一般いっぱん刑法けいほう犯はんの全体ぜんたい者しゃ数すうは、1878年ねん(明治めいじ11)年ねん1月がつ-12月。 司法省しほうしょう第だい四よん刑事けいじ統計とうけい年報ねんぽうの数値すうちと埼玉さいたま県けん科か刑けい者しゃ数すうを合あわせた 数値すうちである。)	29,670	24,156	325	23	1,442	138	30.7	54.4	55.4	司法省しほうしょう年報ねんぽうで確認かくにんできる限かぎり、千葉ちば県けん・栃木とちぎ県けん・茨城いばらき県けん・群馬ぐんま県けん・静岡しずおか県けん・山梨やまなし県けん・新潟にいがた県けん・福岡ふくおか県けんは、1880年ねん（明治めいじ11年ねん）以降いこう笞むち杖つえ刑けいが執行しっこうされていない。そして、埼玉さいたま県けんは、受刑じゅけい者しゃ増加ぞうかによる1877年ねん（明治めいじ10年ねん）4月がつから行おこなわれた笞むち杖つえ刑けい一いち時じ復活ふっかつを1878年ねん（明治めいじ11年ねん）8月がつに停止ていしして以降いこう執行しっこうされなくなる。
1879年ねん(明治めいじ12年ねん)7月がつ- 1880年ねん(明治めいじ13年ねん)6月がつ (一般いっぱん刑法けいほう犯はんの全体ぜんたい者しゃ数すうは、1879年ねん(明治めいじ12)年ねん1月がつ-12月)	33,082	30,043	378	24	1,433	235	30.7	57.2	66.2	島根しまね県けんと兵庫ひょうご県けんでは、1879年ねん（明治めいじ12年ねん）を最後さいごに笞むち杖つえ刑けいが執行しっこうされなくなる。
1880年ねん(明治めいじ13年ねん)7月がつ-1881年ねん(明治めいじ14年ねん)6月がつ (一般いっぱん刑法けいほう犯はんの全体ぜんたい者しゃ数すうは、1880年ねん(明治めいじ13)年ねん1月がつ-12月)	28,606	25,741	201	18	-	219	26.4	-	67.8	神奈川かながわ県けんは1880年ねん（明治めいじ13年ねん）を最後さいごに、笞むち杖つえ刑けいが執行しっこうされなくなる。
1881年ねん(明治めいじ14年ねん)7月がつ－1882年ねん(明治めいじ15年ねん)6月がつ (一般いっぱん刑法けいほう犯はんの全体ぜんたい者しゃ数すうは、1881年ねん(明治めいじ14)年ねん1月がつ-12月、 地方ちほう監獄かんごくで執行しっこうされた者ものは、1881年ねん(明治めいじ14)年ねん7月がつ-12月 )	25,980	10,948	292	3	1,006	127	23.9	35.5	50.8
年とし	全体ぜんたい数すう	内うち、地方ちほう監獄かんごくにて 科か刑けいされた者もの	内うち、除じょ族ぞく	内うち、贖罪しょくざい収おさむ贖者で、 罰金ばっきんが払はらえず 笞むち杖つえで換かわ刑けいされた者もの	旧きゅう陸軍りくぐん 笞むち杖つえ刑けい 科か刑けい者しゃ数すう	旧きゅう海軍かいぐん 笞むち杖つえ刑けい 科か刑けい者しゃ数すう	全ぜん男性だんせい科か刑けい者しゃ に占しめる 笞むち杖つえ刑けい科か刑けい者しゃ の割合わりあい	旧きゅう陸軍りくぐん科か刑けい者しゃ に占しめる 笞むち杖つえ刑けい科か刑けい者しゃ の割合わりあい	旧きゅう海軍かいぐん科か刑けい者しゃ に占しめる 笞むち杖つえ刑けい科か刑けい者しゃ の割合わりあい	備考びこう
	一般刑法犯笞杖刑科刑者数

また、以降いこうの事例じれいは違法いほうなリンチや拷問ごうもんの類るいである。日本にっぽん海軍かいぐんにおいては、バッターや海軍かいぐん精神せいしん注入ちゅうにゅう棒ぼうと呼よばれた木きの棒ぼうで、水兵すいへいの尻しりをフルスイングで打うちのめす懲罰ちょうばつ(いわゆるケツバット)が存在そんざいした。

朝鮮半島ちょうせんはんとうの笞むち刑けい

笞むち刑けい
各種かくしゅ表記ひょうき
ハングル：	태형
漢字かんじ：	笞むち刑けい
発音はつおん：	テヒョン
ロろーマ字まじ：	whipping

朝鮮ちょうせん王朝おうちょう・大韓たいかん帝国ていこくにおいて、刑法けいほうは明あかりの法典ほうてん『大明だいめい律りつ』（1397年ねん）と『経国けいこく大典たいてん』（1460年ねん以降いこう。以後いご『続ぞく大典たいてん』、『大典たいてん通どおり編へん』、『大典たいてん会かい通どおり』と名なを変かえる）を併用へいようしていたが、その中なかに刑罰けいばつとして笞むち刑けい（ちけい）があった。1905年ねんに近代きんだい的てき法律ほうりつの形式けいしきを整ととのえた刑法けいほう大全たいぜん（全ぜん680条じょう）が施行しこうされたが、その内容ないようは従前じゅうぜんの大明だいめい律りつ・大典たいてん会かい通どおりとあまり変かわることがなく、笞むち刑けいも存続そんぞくした。

1910年ねんの日にち韓かん併合へいごう後ごの1912年ねんに施行しこうされた刑法けいほう大全たいぜんに替かわる朝鮮ちょうせん刑事けいじ令れいで、笞むち刑けいは選択せんたく刑けいとなり、朝鮮ちょうせん笞むち刑けい令れいが公布こうふされた。 朝鮮ちょうせん笞むち刑けい令れいは1920年ねんの朝鮮ちょうせん笞むち刑けい令れい廃止はいし制令せいれい(大正たいしょう9年ねん4月がつ1日にち)で廃止はいしされた。 （笞むち刑けいに関かんする刑けい令れいの詳細しょうさいは外部がいぶリンクを参照さんしょう）

なお、朝鮮ちょうせん王朝おうちょう時代じだいは『大明だいめい律りつ』を依よ用ようした『経国けいこく大典たいてん』巻まき之の五ご（刑けい典てん）に杖つえ刑けいを含ふくめて概略がいりゃくが記載きさいされていた。

朝鮮ちょうせん笞むち刑けい令れいの概要がいよう

朝鮮ちょうせん笞むち刑けい令れい及および朝鮮ちょうせん笞むち刑けい令れい施行しこう規則きそくによれば、以下いかのような実施じっし方法ほうほうであった。朝鮮ちょうせん人じんのみに適用てきよう、日本人にっぽんじんには適用てきようされなかった。

• 適用てきよう対象たいしょう刑けいと計算けいさん方法ほうほう
  1. 3ヶ月かげつ以下いかの懲役ちょうえきまたは拘留こうりゅうすべき者もののうち情状じょうじょうを配慮はいりょするべき場合ばあい
  2. 100円えん以下いかの罰金ばっきん科料かりょうで情状じょうじょうを配慮はいりょし、朝鮮ちょうせん内ないの定住ていじゅう者しゃまたは無む資産しさん者しゃ
  3. 1円えんの罰金ばっきん科料かりょう、1日にちの拘留こうりゅうを1回かいの笞むちと計算けいさん、1日にち30回かい以下いか。
• 対象たいしょう者しゃと範囲はんい
  1. 16歳さい以上いじょう60歳さい以下いかの朝鮮ちょうせん人じん男子だんし
  2. 臀部でんぶに対たいする笞むち打だ
• プライバシーへの配慮はいりょ
  1. 監獄かんごく又または即決そっけつ官署かんしょに於おいて秘密ひみつに行おこなう。
  2. 笞むち刑けい時じ以外いがいは通常つうじょうの日常にちじょう生活せいかつをおくることができる。（特とくに脱走だっそうの虞おそれがあるときは拘留こうりゅうする）
• 身体しんたい状況じょうきょうの確認かくにん
  1. 刑けい実施じっしの前まえに医師いしによる健康けんこうを確認かくにん(朝鮮ちょうせん笞むち刑けい令れい施行しこう規則きそく(明治めいじ45年ねん朝鮮ちょうせん総督そうとく府ふ令れい第だい32号ごう) 1条じょう）
  2. 笞むち刑けい実施じっし時じ、実施じっし中ちゅうに受刑じゅけい者しゃの身体しんたいに異常いじょうがあれば医師いしの診断しんだんを行おこなう(同どう 3条じょう)

東南とうなんアジアにおける笞むち刑けい

シンガポール、マレーシア、ブルネイにおいては現在げんざいも刑罰けいばつの一種いっしゅとして笞むち刑けいが運用うんようされている。

関連かんれん項目こうもく

• 鞭打むちうち

外部がいぶリンク

• 鞭打むちうち
• 朝鮮ちょうせん笞むち刑けい令れい(1912年ねん)明治めいじ45年ねん3月がつ18日にち公布こうふ、同どう4月がつ1日にち施行しこう - ウェイバックマシン（2019年ねん1月がつ1日にちアーカイブ分ぶん）
• 朝鮮ちょうせん笞むち刑けい令れい施行しこう規則きそく - ウェイバックマシン（2019年ねん1月がつ1日にちアーカイブ分ぶん）
• 笞むち罪ざい(1)