水筒すいとう

水筒すいとう（すいとう、英えい: water bottleやwater bag）は、水みずなどの飲料いんりょうを携帯けいたいするための携行けいこう用ようの飲料いんりょう用よう容器ようき^[1]。

なお基本きほん的てきには、携行けいこうできないような巨大きょだいな据置すえおき型がたの容器ようき、酒さけ専用せんようの瓶びんの類るい、蓋ぶたのできない容器ようきなどは水筒すいとうとは呼よばない。

概説がいせつ

水筒すいとうはあくまで「携行けいこう用ようの液体えきたい容器ようき」という意味いみなので、水みず「筒つつ」と言いっても、実際じっさいにはシルクロードの隊商たいしょうが使つかっていたような水みず袋ぶくろの説明せつめいも併あわせてすることは多おおい^{[要よう出典しゅってん]}。

また「"水すい" 筒とう」と言いっても、水みずだけでなく、さまざまな飲料いんりょうを入いれる場合ばあいがあり、特とくにヨーロッパでは酒さけに強つよい人ひとが多おおいので酒類しゅるいを持もち歩あるいている人ひとはかなりいる^{[要よう出典しゅってん]}。

^{[要よう出典しゅってん]}英語えいご圏けんでは水みずの携行けいこう容器ようきをWater bottle（水みず-瓶びん）やWaterskin（水みず-革かわ）といった表現ひょうげんで呼よぶのに対たいし、日本にっぽんでは「水みず-筒つつ」と呼よぶのは、竹たけ筒つつを用もちいるのが一般いっぱん的てきであったからだと言いわれている^{[誰だれによって?]}。

昨今さっこんでは^[いつ?]健康けんこう上じょうの観点かんてんから、多量たりょうの糖分とうぶんが含ふくまれているスポーツドリンクや食品しょくひん添加てんか物ぶつの入はいったお茶ちゃなどのペットボトル飲料いんりょうを避さけ、水筒すいとうに自前じまえの水みずやお茶ちゃを入いれて持もち歩あるく人ひとも増ふえてきている^{[要よう出典しゅってん]}。また、外出がいしゅつ先さきで安易あんいに飲のみ物ものを買かってペットボトルや缶かんなどの資源しげんを消費しょうひするのではなく、昔むかしのように自分じぶんの水筒すいとう（マイボトル）に飲のみ物ものを詰つめて持もっていくことの意義いぎが再さい認識にんしきされつつある^{[要よう出典しゅってん]}。

樹脂じゅし製せいの水筒すいとう
魔法瓶まほうびん（左ひだり）と、分解ぶんかいされた魔法瓶まほうびん（右みぎ）
ステンレス製せい水筒すいとう（英えい: Vacuum bottle）
UVライトが内蔵ないぞうされた、殺菌さっきん機能きのう付つきの水筒すいとう

断熱だんねつ型がたの水筒すいとうの保温ほおんのメカニズムは、エントロピーの増大ぞうだい則そくに逆さからって外そとの外気がいきの温度おんどと内側うちがわの液体えきたいの温度おんど差さを保たもつことにある。保温ほおんと保冷ほれいを比較ひかくした場合ばあい、外気がいきとの温度おんど差さの大おおきい高温こうおんの液体えきたいを保温ほおんすることは、保冷ほれいよりより敷居しきいが高たかくなる。したがって、外界がいかいの気温きおんとの差さが大おおきい状態じょうたいで液体えきたいを長時間ちょうじかん高温こうおん状態じょうたいに保たもつことが要求ようきゅうされる登山とざん向むけ製品せいひんの場合ばあい、簡易かんいなワンタッチ式しきの中なか栓せんを採用さいようせずに、利便りべん性せいを犠牲ぎせいにしてもあえて断熱だんねつ性せいの高たかい古典こてん的てきなスクリュータイプの栓せんを採用さいようしている場合ばあいがある^[2]。

歴史れきし

人類じんるいは、昔むかしは身みの回まわりにある素材そざい、植物しょくぶつ性せい素材そざいや動物どうぶつ性せい素材そざいで水筒すいとうを作つくった。世界せかい各地かくちでそれぞれ、液体えきたいを携行けいこうするための数々かずかずの工夫くふうが行おこなわれていた。

ペルシアでは、おそらく5千せん年ねんほど前まえから、羊ひつじやヤギや子こ牛うしなどの革かわで作つくった袋ふくろが使つかわれた。中東ちゅうとうのさまざまな言語げんごでそれぞれの呼よび方かたがあるが、たとえばペルシア語ごでは「 خیک カーク（カック）」と呼よばれる（ペルシア語ご版ばんの記事きじ　fa:خیک　も参照さんしょう可能かのう）。（なお古代こだいアッシリアの壁画へきがには、そのような袋ふくろを、水みず袋ぶくろとしてだけでなく、中なかに空気くうきをためておいて泳およぐ際さいの浮袋うきぶくろとしても使つかっている図ずが残のこされている。）　中東ちゅうとうでは、こうした水みず袋ぶくろの利用りようが広ひろまった。普通ふつうの革かわ（表皮ひょうひ）で作つくった袋ふくろでは毛穴けあなや縫ぬい目めから水みずがしみ出でるので、耐たい水性すいせいを持もたせやすく、もともと袋ふくろの形状けいじょうをした胃袋いぶくろや膀胱ぼうこうを利用りようして袋ふくろを作つくることは多おおく、さらにそうした素材そざいで「内うち袋ぶくろ」を作つくっておいて、その外側そとがわに毛皮けがわの袋ふくろを縫ぬって「外そと袋ぶくろ」を作つくり、二に重じゅう構造こうぞうの丈夫じょうぶな水筒すいとうを製作せいさくすることもあった。なおこの「水みず袋ぶくろ」で携行けいこうした液体えきたいは水みずに限かぎらず、酒類しゅるいや油あぶら類るいなど、水みず以外いがいの液体えきたいもこの袋ふくろで携行けいこうした。羊ひつじの胃袋いぶくろで作つくった水筒すいとうに水みずではなく乳ちちを入いれて運はこんだところ、中なかの乳ちちが凝固ぎょうこしてチーズが偶然ぐうぜん生うまれたという説せつはよく知しられている。

イスラエルの遺跡いせきで出土しゅつどした、紀元前きげんぜん1世紀せいき-紀元前きげんぜん2世紀せいきころの革かわ製せいの水筒すいとう
スペインでbotaと呼よばれる、伝統でんとう的てきな革かわ製せいの水筒すいとう。主おもにワインを入いれて持もち歩あるき、たっぷり飲のむ。「直ちょく飲のみ」はしない。先端せんたんがとがっていて、液体えきたいの出口でぐちの穴あなが小ちいさく作つくってあり、口くちの数すうセンチほど上うえに掲かかげて、袋ふくろに手てで圧力あつりょくをかけて、ワインの細ほそい流ながれを口くちにめがけて「飛とばす」。こういう使つかい方かたをするので、ノズル部分ぶぶんがいつも清潔せいけつに保たもたれる。

たとえば、植物しょくぶつ性せいの素材そざいで作つくった水筒すいとうとしては、アジアでは竹筒たけづつの水筒すいとう（竹たけの適度てきどな長ながさに切きり節ぶし（ふし）を利用りようして水密すいみつ容器ようきとして使つかい、小ちいさな穴あなをあけ、小ちいさな栓せんをつけたもの）やヒョウタン（瓢箪ひょうたん）の水筒すいとう（ひょうたんの上端じょうたんを切きり、水みずにひたして何なん日にちも放置ほうちし中身なかみを腐くさらせてから、中身なかみを棒状ぼうじょうのもので取とり出だして容器ようきにしたもの）に木製もくせいの栓せんをつけたもの）があった。（アフリカ原産げんさんとされるヒョウタン類るいが栽培さいばい植物しょくぶつとして世界せかい各地かくちに広ひろまったのは、食用しょくようとしてよりもヒョウタンの耐水たいすい容器ようきとしての有用ゆうよう性せいが高たかかったからである。）

木製もくせいの水筒すいとう（小樽おたる類るい）- 木材もくざいの接合せつごう部ぶを蜜蝋みつろうや膠にかわで密閉みっぺいしたり、漆うるしや柿渋かきしぶなどの塗装とそうによって水みず漏もれを防ふせいだ。

紙かみ製せいの漆うるし塗ぬり - 漆うるしを塗布とふすることで耐たい水性すいせいを持もたせた漆器しっき製せいの水筒すいとう。^{[要よう出典しゅってん]}

他た

中国ちゅうごくなどでは陶磁器とうじきの水筒すいとうというものもあった。

モンゴルの陶器とうき製せいの水筒すいとう。
中国ちゅうごく製せいの瓢箪ひょうたんの水筒すいとう。酒さけを入いれて持もち歩あるいた。「おちょこ」とセット。18世紀せいき-19世紀せいきのもの。

軍用ぐんよう水筒すいとう

各国かっこくの軍隊ぐんたいで様々さまざまなスタイルの水筒すいとうが採用さいようされてきた歴史れきしがある。

近きん・現代げんだいの軍用ぐんよう水筒すいとうは金属きんぞく製せいが一般いっぱん的てきである。金属きんぞく製せい水筒すいとうは頑丈がんじょうであることに加くわえ、緊急きんきゅう時じには直接ちょくせつ火ひにかけてお湯ゆを沸わかすことも可能かのうで「サバイバル」装備そうびとしても適てきしており、中なかの水みずや茶ちゃを煮沸しゃふつ消毒しょうどくもできるということになる。ブリキ製せい、後のちにはアルミニウム製せいの水筒すいとうが主流しゅりゅうとなり、キャンバスのカバーで覆おおわれた金属きんぞく製せいの水筒すいとうを肩かたや腰こしから下さげるスタイルは、ごく一般いっぱん的てきな兵士へいしの装備そうびであった。液体えきたいを移うつして加熱かねつできるキャンティーンカップ（英語えいご版ばん）が外装がいそうされているタイプもある。中なかにはお湯ゆを沸わかしやすいよう、水平すいへいに置おいた時ときにやかんの形状けいじょうになるように工夫くふうされた水筒すいとうや、専用せんようカップと固形こけい燃料ねんりょう用ようの燃焼ねんしょう台だいなどがセットになった水筒すいとうなどもある。

近年きんねんでは^[いつ?]軍用ぐんよう水筒すいとうも徐々じょじょにプラスチック製品せいひんへと移行いこうしつつあるが、長年ながねんの実績じっせきと、火ひにかけられるというメリットを持もつ金属きんぞく製せい水筒すいとうもいまだ健在けんざいである。

1882年ねんから1885年ねんころのイギリス軍ぐんの水筒すいとう
1898年ねんころのニュージーランドのイギリス軍ぐんの標準ひょうじゅん的てきな水筒すいとう
第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん中なかのイギリス軍ぐんの水筒すいとう
第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なかのイギリス軍ぐんの水筒すいとう
韓国かんこく軍ぐんの水筒すいとう
現代げんだいの樹脂じゅし製せいの軍用ぐんよう水筒すいとう

日本にっぽんの水筒すいとう

日本にっぽんでは、江戸えど時代じだいでは竹筒たけづつやヒョウタンで作つくった水筒すいとうが使つかわれていた。

大日本帝国だいにっぽんていこく軍ぐんの水筒すいとう

大日本帝国だいにっぽんていこく陸軍りくぐんでは、准じゅん士官しかん以上いじょう用ようと下士かし兵へい用ようとがあった。前者ぜんしゃは大正たいしょう元年がんねん9月がつ制定せいていで、筒つつ（アルミニウム。口金くちがねは白銅はくどう）、口くち栓せん（アルミニウム。下部かぶはコルク）、水呑みずのみ（白銀はくぎん）、筒つつ覆くつがえ（茶褐色ちゃかっしょく厚あつ毛織けおり）、紐ひもなどから成なった。下士かし兵へい用ようは明治めいじ31年ねん10月がつ制定せいていで、筒つつは茶ちゃ褐塗アルミニウムで、コルク口こう栓せん、紐ひもが付ついた。携帯けいたい法ほうは、騎兵きへいの場合ばあいにはサーベルを振ふり回まわすときに干渉かんしょうしないように右肩みぎかたから左ひだり脇わきに掛かけ、その他たはこの反対はんたいで左肩ひだりかたから右みぎ脇わきに掛かけ、同様どうように掛かけた雑嚢ざつのうの上うえに重かさねた。実際じっさいには、雑嚢ざつのうを右みぎ脇わき、水筒すいとうを左ひだり脇わきに掛かけて携行けいこうする事例じれいは多数たすうにのぼった。昭和しょうわ5年ねんには容量ようりょうを約やく二に倍ばいとした水筒すいとうが採用さいようされた。

太平洋戦争たいへいようせんそうころ（戦前せんぜん・戦後せんご直後ちょくご）の日本にっぽんでは、軍ぐん用品ようひんやその派生はせい商品しょうひんを、普通ふつうの市民しみんが日常にちじょう的てきに水筒すいとうとして利用りようすることも一般いっぱん的てきであった時代じだいがあった。

戦後せんご、日本にっぽんは比較的ひかくてき平和へいわになってゆき、高度こうど成長せいちょう期きにもなり、昭和しょうわ30年代ねんだいや40年代ねんだいには保温ほおん・保冷ほれい機能きのうを持もつ魔法瓶まほうびんタイプのもの（ガラス製せいの二に重じゅう真空しんくう構造こうぞうの内うち瓶びんで、カラフルな樹脂じゅし製せいまたは金属きんぞく製せいの外装がいそうを組くみ合あわせたもの）が広ひろまり、遠足えんそくやピクニック・外出がいしゅつ等とうによく用もちいられるようになった。

平成へいせい時代じだいころから、（昭和しょうわ風ふうの樹脂じゅし製せいの外装がいそうは廃すたれるようになり）銀色ぎんいろのオールステンレスの魔法瓶まほうびんタイプが一般いっぱん的てきになっていった。

現代げんだいの水筒すいとう

現代げんだいの水筒すいとうの素材そざいは多様たよう化かしているが、たとえば次つぎのような素材そざいで作つくられている。

ペットボトルの影響えいきょう

日本にっぽんでは自動じどう販売はんばい機きとコンビニエンスストアの販売はんばい網もう拡大かくだいに伴ともない、1990年代ねんだい後半こうはんからペットボトル入いりの飲料いんりょうの販売はんばいが増ふえたことで、10代から30代だいの若者わかものを中心ちゅうしんに水筒すいとうは持もたず出先でさきでペットボトル飲料いんりょうを購入こうにゅうして、その1日にちはそれを携行けいこうして済すませるという行動こうどうパターンが増ふえ、専用せんようの水筒すいとうが使用しようされることは減少げんしょうしている。ペットボトルを携帯けいたいする際さいには、別売べつばいの専用せんようストラップに吊つり下さげて携帯けいたいしたり、ペットボトルカバーやタオルなどに包つつませて保温ほおん性せい（保冷ほれい性せい）を高たかめて使用しようすることがあり、ペットボトルを水筒すいとうの代かわりとして利用りようする事ことを前提ぜんていとした関連かんれん商品しょうひんも多数たすう開発かいはつ・販売はんばいされている。

ペットボトルに似にせた水筒すいとうの登場とうじょう

また、逆ぎゃくにペットボトルに馴染なじんだ年齢ねんれい層そうに向むけ、あえて外観がいかんをペットボトルと似にせた「直ちょく飲のみボトル」と呼よばれる魔法瓶まほうびんタイプの水筒すいとうも販売はんばいされている。これは、従来じゅうらいの魔法瓶まほうびんのように一旦いったんカップなどに中身なかみを移うつして飲のむのではなく、普通ふつうの水筒すいとうやペットボトルのように直接ちょくせつ口くちを付つけて飲のみやすいように作つくられていることから来きた名称めいしょうである。なお、ペットボトルを範はんとした直ちょく飲のみタイプの魔法瓶まほうびん水筒すいとうが「コールドドリンク専用せんよう」となっているのは、使用しようしているプラスチック部品ぶひんの耐たい熱ねつ温度おんどよりも、誤あやまって熱あつい飲のみ物ものを直接ちょくせつのどに流ながし込こんで口腔こうくう内ないを火傷かしょうする危険きけんを避さけるためである。このため、ホットドリンク兼用けんようの直ちょく飲いん型がた魔法瓶まほうびん水筒すいとうは、口くちにくわえるタイプの飲のみ口こうは付つけずに縁えんから飲のむマグカップタイプとしていることが普通ふつうである。なおペットボトルとサイズを共通きょうつう化かした水筒すいとうは、自動車じどうしゃ用ようのドリンクホルダーなど、さまざまな小道具こどうぐをペットボトルと水筒すいとうで統一とういつ化かできるというメリットがある。

脱水だっすい症しょう予防よぼうと水筒すいとう

近年きんねんでは、医師いしなどが、脱水だっすい症状しょうじょうや熱中ねっちゅう症しょうを避さけるために、（たとえ本人ほんにんには「渇かわき」の自覚じかくがなくても）こまめに（つまり数すう十じゅう分ふんから1時じ間あいだ強きょうごとに、1回かいあたりは少量しょうりょうづつ）水分すいぶん補給ほきゅうをするべきだと指摘してきしており、飲料いんりょうを携帯けいたいするための水筒すいとうの重要じゅうよう性せいが見直みなおされるようになった。

学校がっこうの教育きょういく現場げんばでも、生徒せいとを脱水だっすい症しょうのリスクから護まもるために、こまめに水分すいぶん補給ほきゅうを配慮はいりょをするようになっていて、学校がっこうの水道すいどうで水みずを飲のむことも、水筒すいとうを持参じさんすることも奨励しょうれいするようになっている。

スポーツの現場げんば

市民しみんマラソンなどのスポーツイベントの場ばにおいては、片手かたてに自前じまえの水筒すいとう（スポーツボトルなどと呼よばれる）を持もちながら走はしっているランナーの姿すがたを多おおく見みることができる。

ペットボトルを水筒すいとうとして使つかう人ひとも多おおい。なかにはストラップやカバーなどをとりつける人ひともいる。

かつては、学校がっこうでの遠足えんそくやピクニック・外出がいしゅつなどでは水筒すいとうをぶら下さげながら使用しようする光景こうけいが一般いっぱん的てきであったが、先述せんじゅつした通とおり主ぬしに

自転車じてんしゃのロードレースなどでは断続だんぞく的てきに小こまめな水分すいぶん補給ほきゅうが必要ひつようになるため、自転車じてんしゃフレームにボトルケージを取とり付つけるためのねじ穴あなが予あらかじめ開あけられており、走行そうこうしながら開閉かいへいし飲のみやすく工夫くふうされた複数ふくすうの小ちいさなボトルを携行けいこうする。

同様どうように長距離ちょうきょりを走はしるサイクリング等ひとしでも利用りようされるが、公道こうどうにおいて走行そうこう中ちゅうの水分すいぶん補給ほきゅうが片手かたて運転うんてんになる場合ばあいは日本にっぽんの法律ほうりつに触ふれるため、信号しんごう等とうで停車ていしゃ中ちゅうに素早すばやく補給ほきゅうを済すませる為ために利用りようされる。

また、1990年代ねんだい頃ごろより登場とうじょうした、プラティパスに代表だいひょうされるフィルム状じょうの柔軟じゅうなんな高性能こうせいのうプラスチックで作成さくせいされた水筒すいとうは、かつての「水みず袋ぶくろ」や「ビニール袋ぶくろ」のイメージとは異い次元じげんの物ものであり、柔軟じゅうなんでありながら強度きょうども高たかく、滅多めったなことではパンクしない。しかも高温こうおんにも強つよく、消毒しょうどくなどのために煮沸しゃふつもできる。使用しようしない時ときには平たいらに潰つぶしたり折おり畳たたんだりしてコンパクトに運はこぶことができ、非常ひじょうに軽量けいりょうでもあるため、登山とざんなど装備そうびの小型こがた軽量けいりょう化かを重視じゅうしするアウトドアスポーツでは瞬またたく間まに主流しゅりゅうとなった。

さらに、これらの柔軟じゅうなんなプラスチックフィルムの大だい容量ようりょう水筒すいとうを背中せなかのバックパックの中なかに収おさめ、口元くちもとまで伸のびるドリンキング・チューブを装着そうちゃくすることで重おもい水みずを運はこぶ負荷ふかを軽減けいげんさせ、かつ動うごきながらでもチューブを口くちに咥くわえれば即座そくざに水みずを飲のめるというハイドレーションシステムへと進化しんかしており、トレイルランニングのように長時間ちょうじかんにわたって運動うんどう量りょうの高たかいスポーツでは多おおく利用りようされている。

「直ちょく飲のみ」の危険きけん性せい

もともと水筒すいとうというものは基本きほん的てきには「直ちょく飲のみ」はせず、「おちょこ」状じょうや"カップ" 状じょうのものにうつしてから飲のむことが一般いっぱん的てきであった。平成へいせい期き以降いこう、若者わかものの間あいだでペットボトルの「直ちょく飲のみ」が一般いっぱん化かしたことで、「あれも、これも直ちょく飲のみで、翌日よくじつも飲のむ」習慣しゅうかんの若者わかものが増ふえ、それを水筒すいとうでまで行おこなうようになり、食中毒しょくちゅうどくを招まねく危あぶない状況じょうきょうが生うまれている。

特とくにキャップの内部ないぶ形状けいじょうが複雑ふくざつな魔法瓶まほうびん型がたの水筒すいとうは、「直ちょく飲のみ」はしてはいけない。コップ部分ぶぶん（蓋ぶた部分ぶぶん）に移うつしてから飲のみ、コップ部分ぶぶんは飲のんだあとにしっかりと洗浄せんじょうすべきである。昭和しょうわ期きまでは、魔法瓶まほうびん型がたの蓋ぶた（コップ）に移うつして飲のむ場合ばあいも、飲のみ終おえたら、蓋ぶたのネジの部分ぶぶんをできるだけ洗あらったものだった。ともかく、口くちの内部ないぶの細菌さいきんが、間接かんせつ的てきや段階だんかい的てきであれ、魔法瓶まほうびんの本体ほんたいの内部ないぶにまで侵入しんにゅうしないように、細心さいしんの注意ちゅういを払はらったほうが良よい。

甘あまいドリンクや麦茶むぎちゃ（麦茶むぎちゃには殺菌さっきん力りょくが無ない）などの「直ちょく飲のみ」は、ペットボトルでも水筒すいとうでも、細菌さいきんにとっては増殖ぞうしょくに適てきした培地ばいちのような環境かんきょうにもなりうる。特とくに砂糖さとうが入はいった甘あまいドリンクはまさに「培地ばいち」であり、10時じ間あいだ〜15時じ間あいだほどで数すう万まん倍ばいに細菌さいきんが増ふえる。

なお通常つうじょう、緑茶りょくちゃ（あくまで砂糖さとうを入いれないもの）はカテキンが殺菌さっきん力りょくをもっているため、10時じ間あいだ〜15時じ間あいだ程度ていどならば細菌さいきんは増ふえず、全然ぜんぜん問題もんだいにならない。実験じっけんによると、砂糖さとうを入いれない緑茶りょくちゃだけはカテキンの殺菌さっきん効果こうかで、「室温しつおんで、2日にち目めですら大丈夫だいじょうぶ」と、数々かずかずの実験じっけんで明あきらかになっている。（ただし、東南とうなんアジアのように緑茶りょくちゃに砂糖さとうを入いれて飲のむ習慣しゅうかんの地域ちいきがあり、そういう砂糖さとう入いりの緑茶りょくちゃでは、カテキンの殺菌さっきん力りょくよりも栄養素えいようそが原因げんいんで増ます細菌さいきんの増殖ぞうしょく力りょくが勝まさり、菌きんが増殖ぞうしょくしてしまう。）

麦茶むぎちゃは殺菌さっきん力りょくが無ないので、「直ちょく飲のみ」だと半日はんにちもすると細菌さいきんが猛烈もうれつに増ふえ、水筒すいとう（専用せんようの水筒すいとうでも、ペットボトル内ないでも）腐くさりやすい。砂糖さとうの入はいった甘あまいドリンク等とうは非常ひじょうに危あぶなく、10時じ間あいだ〜15時じ間あいだほどで細菌さいきんが数すう百ひゃく万まん個こから数すう千せん万まん個こほどに増殖ぞうしょくする。

したがって水筒すいとうに純じゅん水みず以外いがいを入いれる場合ばあい、細菌さいきんの繁殖はんしょくを防ふせぐために細菌さいきんが繁殖はんしょくしにくい温度おんど、つまり、もし冷温れいおんなら5度ど以下いかや10度ど以下いか程度ていど（氷こおりが残のこっていることを目安めやすとする）で、高温こうおんならアツアツの高温こうおん（60度ど以上いじょうが目安めやす）で保温ほおんすることが望のぞましい。つまり魔法瓶まほうびんタイプで低温ていおんならしっかりと低温ていおんに保たもち、高温こうおんならしっかりと高温こうおんに保たもつことが望のぞましい。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

出典しゅってん

^ 意匠いしょう分類ぶんるい定義ていぎカード（C5）特許庁とっきょちょう
^ 『山やまと渓谷けいこく』2019年ねん12月がつ号ごう (PDF)