湿度しつどけい

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湿度しつどけい表示ひょうじ

湿度しつどけい(しつどけい)は、湿度しつど測定そくていする器具きぐ

いぬいだま温度おんど湿しめたま温度おんど温度おんどからひょうによりもとめる乾湿かんしつけいや、吸湿きゅうしつざい電気でんき特性とくせい変化へんかセンサー測定そくていする電気でんきしき湿度しつどけいがある。また精密せいみつ観測かんそくようには、露点ろてんけいもちいられる。毛髪もうはつ性質せいしつ利用りようした毛髪もうはつ湿度しつどけいなど、伸縮しんしゅくせい素材そざいもちいた湿度しつどけいもあるが、誤差ごさ時間じかんおおきいのが欠点けってんである。

測定そくてい原理げんりは、相対そうたい湿度しつど感知かんち物性ぶっせい形状けいじょう変化へんかとして検出けんしゅつするものと、大気たいき温度おんど水蒸気すいじょうきあつとを測定そくていすることによって間接かんせつてき算出さんしゅつする(気圧きあつによる補正ほせい必要ひつよう)ものとに大別たいべつされる。一般いっぱんてきには後者こうしゃのほうが精度せいどたか観測かんそく可能かのうであるとされ、こと乾湿かんしつしき湿度しつどけいは、湿度しつどけい校正こうせいする基準きじゅんとしての性格せいかくつ。

日本にっぽんでは、気象きしょう業務ぎょうむほうおよびその下位かい法令ほうれいにより、公共こうきょうてき気象きしょう観測かんそくには、検定けんてい合格ごうかくした乾湿かんしつしき湿度しつどけい毛髪もうはつせい湿度しつどけい露点ろてんしき湿度しつどけいまた電気でんきしき湿度しつどけいもちいることとされている。

もっとふる湿度しつどけいは、初期しょきルネサンスの人文じんぶん主義しゅぎしゃ建築けんちく理論りろん建築けんちくであるレオン・バッティスタ・アルベルティによるものとされている。それは1452ねんに「建築けんちくろん(De re aedificatoria libri decem)」のなかしるされたもので、海綿かいめん(スポンジ)が湿しめるとおもさがわることを利用りようしたものである[1]

伸縮しんしゅくしき湿度しつどけい[編集へんしゅう]

毛髪もうはつせい湿度しつどけいしき

伸縮しんしゅくしき湿度しつどけいは、ぴんとったヒトや動物どうぶつ・ナイロンいと湿度しつど変化へんかによる伸縮しんしゅく利用りようしたものである。構造こうぞう簡単かんたん相対そうたい湿度しつど直読ちょくどくでき連続れんぞく測定そくてい可能かのうである。しかし、指示しじおくれや誤差ごさ(5~20℃で5%程度ていど)がおおきくなることをけられないのが短所たんしょである。気象きしょう観測かんそくようとして毛髪もうはつせい湿度しつどけい許容きょようされるうつわは、湿度しつど5%である。

伸縮しんしゅくしき湿度しつどけいには、指針ししん目盛めもりばんによって湿度しつど直接ちょくせつ表示ひょうじするもののほか、指針ししんわりに記録きろくペンを駆動くどうし、ゼンマイひとし動力どうりょく回転かいてんするドラムにかれた記録きろく湿度しつどとき系列けいれつ自動的じどうてき記録きろくする自記じき湿度しつどけいがある。近年きんねんは、自動じどう観測かんそくよう電子でんしてき伸縮しんしゅく検出けんしゅつするものもつくられている。

公共こうきょうてき気象きしょう観測かんそくもちいられる毛髪もうはつせい湿度しつどけいは、かん脱脂だっしとう処理しょりをした毛髪もうはつもちいた伸縮しんしゅくしき湿度しつどけいである。応答おうとうせいほそさ)と耐久たいきゅうせい弾力だんりょく)にすぐれることから、白人はくじん女性じょせい金髪きんぱつとくにフランスや北欧ほくおうわか女性じょせいのものが最適さいてきであるとされており、このことは、気象庁きしょうちょうもとはかうつわ課長かちょうでもある新田にった次郎じろうの『毛髪もうはつ湿度しつどけい』という作品さくひんのモチーフにもなっている。

バイメタルしき湿度しつどけい[編集へんしゅう]

バイメタルしき湿度しつどけい内部ないぶ

測定そくてい部分ぶぶんは、塩分えんぶんみこませた濾紙こしがみかんじ湿しめざいとして金属きんぞく真鍮しんちゅう)の薄板うすいたりあわせ、ゼンマイかたちのコイルじょういたものである。湿度しつどがるとかみ吸湿きゅうしつして膨張ぼうちょうし、いっぽう真鍮しんちゅうびないためコイルが変形へんけいして、ゼンマイがきあげられ先端せんたん指針ししんうごかす。構造こうぞう単純たんじゅん安価あんかなため家庭かていようとしてひろ普及ふきゅうしているが、誤差ごさが10%以上いじょうしょうじる場合ばあいがあるなど精度せいどたかくない。またすうねんでコイルが劣化れっかして寿命じゅみょうとなる。

乾湿かんしつけい[編集へんしゅう]

いぬいだま温度おんど湿しめたま温度おんどとを同時どうじ測定そくていすることによる湿度しつどけい

電気でんきしき湿度しつどけい[編集へんしゅう]

電気でんきしき湿度しつどけいは、半導体はんどうたいひとしもちいたセンサーかんじとする。機器ききへの組込くみこみが容易よういなことから、空気くうき調和ちょうわ設備せつび自動じどう制御せいぎょ電子でんししき記録きろく表示ひょうじ装置そうち接続せつぞくしてもちいられることもおおい。

もっと一般いっぱんてき電子でんしセンサーは、公共こうきょうてき気象きしょう観測かんそくもちいられる容量ようりょうせいおよ抵抗ていこうせいのものである。これらはともにかんじ湿しめからだとして多孔たこうしつセラミックスまた吸湿きゅうしつせい高分子こうぶんしまくもちいるものである。

容量ようりょうせいセンサーは、かんじ湿しめからだはさむ2つのいたじょう電極でんきょくあいだ交流こうりゅう電圧でんあつ印加いんかすることによって、かんじ湿しめからだ水分すいぶん吸収きゅうしゅうともな誘電ゆうでんりつ変化へんかがもたらす電極でんきょくあいだせいでん容量ようりょう変化へんかから湿度しつど測定そくていする。抵抗ていこうせいセンサーは、かんじ湿しめからだ水分すいぶん吸収きゅうしゅうともなしるべでんせい変化へんか利用りようする。これらによってられた計測けいそく普通ふつう計量けいりょう容量ようりょうけい抵抗ていこうけい)やデータ収集しゅうしゅうボード(data acquisition board)によって可視かしされる。

測定そくてい原理げんり性質せいしつじょう温度おんど変化へんかによる誤差ごさけられず、気象きしょう観測かんそくようとしては、これを温度おんど変化へんか1℃につき湿度しつど0.2%以内いないおさえなければならないため、実際じっさい製品せいひんでは温度おんどセンサーをもちいた補正ほせい機構きこうつことがおおい。また、かんじ湿しめからだにフィルターを装着そうちゃくしているとはいえ、表面ひょうめん汚損おそんとうによる経時きょうじ変化へんかけられないため、定期ていきてき整備せいび校正こうせいとが必要ひつようである。

気象きしょう観測かんそくようとして許容きょようされるうつわは、湿度しつど±5%(ラジオゾンデよう場合ばあい湿度しつど10%)である。

露点ろてんけい[編集へんしゅう]

露点ろてんけいは、露点ろてん温度おんど測定そくていすることにより湿度しつどもとめるものである。

しずかでん容量ようりょうしき露点ろてんけい[編集へんしゅう]

しずかでん容量ようりょうしき高分子こうぶんしセンサは、原理げんりてきにはある気体きたい反応はんのうする誘電ゆうでんたいそうをもつコンデンサである。理想りそうてきには、誘電ゆうでんたいまく周囲しゅうい存在そんざいするある気体きたいりょうおな比率ひりつでその気体きたい吸収きゅうしゅうする。

冷却れいきゃくしき露点ろてんけい[編集へんしゅう]

冷却れいきゃくしき露点ろてんけいは、観測かんそくめん冷却れいきゃくしていき、結露けつろしょうじたとき温度おんど測定そくていするものである。てい湿度しつど測定そくていてきする。冷却れいきゃくには、冷凍れいとうペルチェ効果こうかによる電子でんし冷却れいきゃくドライアイス液体えきたい窒素ちっそひとしもちいられる。温度おんど測定そくていには、ねつでんたい抵抗ていこう温度おんどけいとうもちいられる。

  • 肉眼にくがん判定はんていしき露点ろてんけいかがみ表面ひょうめん結露けつろ出現しゅつげん消失しょうしつてん肉眼にくがん確認かくにんするもの。過渡かと現象げんしょうであるためばらつきがおおきくなる。
  • 自動じどう平衡へいこうしき露点ろてんけい観察かんさつめん付着ふちゃくりょう増減ぞうげんがない平衡へいこう状態じょうたい温度おんど測定そくていするもの。平衡へいこう状態じょうたい測定そくていするため精度せいどたかい。しもりょうは、表面ひょうめん反射はんしゃこうひかりセンサーもちいる)、α線あるふぁせん吸収きゅうしゅうりょう電離でんりばこもちいる)・共振きょうしん周波数しゅうはすう水晶すいしょう振動しんどうもちいる)の変化へんかとう利用りようして測定そくていする。

塩化えんかリチウム露点ろてんけい[編集へんしゅう]

露点ろてんしき湿度しつどけいかんである塩化えんかリチウム露点ろてんけいは、塩化えんかリチウム水溶液すいようえき塗布とふしたまく表面ひょうめんにおける水蒸気すいじょうきあつ周囲しゅうい気体きたい水蒸気すいじょうきあつひとしくなる温度おんど測定そくていするものである。

グラスウールでおおった金属きんぞくかんに、1つい加熱かねつよう電熱でんねつせんき、そのうえから塩化えんかリチウム水溶液すいようえき塗布とふする。これに交流こうりゅう電圧でんあつ印加いんかして温度おんど上昇じょうしょうさせていくと、水分すいぶん蒸発じょうはつにともなってグラスウールないイオン減少げんしょうしていき、電流でんりゅうがほとんどながれなくなる(通電つうでんをやめると、吸湿きゅうしつせいたか塩化えんかリチウムはふたたイオン化いおんかし、電流でんりゅうながれるようになる)。このとき、グラスウール表面ひょうめん水蒸気すいじょうきあつ周囲しゅうい気体きたい水蒸気すいじょうきあつとがひとしくなっていることを利用りようして露点ろてんもとめる。温度おんど測定そくていには電気でんきしき温度おんどけいもちいるが、気温きおん測定そくてい場合ばあいことなり、抵抗ていこうたいには白金はっきんのほかにニッケル使用しようすることもできる。

気象きしょう観測かんそくようとして許容きょようされるうつわは、湿度しつど5%(かんのみについて湿度しつど3%)である。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ つつみさとし. (2018). 気象きしょうがく気象きしょう予報よほう発達はったつ さまざまな湿度しつど測定そくてい発達はったつ. 丸善まるぜん出版しゅっぱん. ISBN 978-4-621-30335-1. OCLC 1061226259. http://worldcat.org/oclc/1061226259 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]