精進揚しょうじんあげ

精進揚しょうじんあげ（しょうじんあげ）は、日本にっぽんの精進しょうじん料理りょうりで使つかわれる揚あげ物ものの一種いっしゅ。単たんに野菜やさいの天てんぷらを言いうこともある。関西かんさいでは、単たんにつけ揚あげ、衣ころも揚あげと呼よばれる。古ふるくは胡麻ごま揚あげとも呼よばれた。普通ふつうの天てんぷらとは異ことなり、動物どうぶつ性せいの食材しょくざいを使つかわないことに特徴とくちょうがある。

歴史れきし

現在げんざいの調理ちょうり方法ほうほうは通常つうじょうの天てんぷらと類似るいじしているが、歴史れきし的てきには別べつの料理りょうりである。ポルトガルから伝つたわった天てんぷらに対たいし、精進揚しょうじんあげは中国ちゅうごくで生うまれた精進しょうじん料理りょうりが起源きげんとなっている。

精進しょうじんとは、仏道ぶつどうを究きわめることを意味いみし、殺生せっしょうを好このまない仏教ぶっきょうの価値かち観かんから生うまれた植物しょくぶつ性せいの料理りょうりだけを食たべる「素もと食しょく」が精進しょうじん料理りょうりである。精進しょうじん料理りょうりは、中国ちゅうごくで生うまれ、仏教ぶっきょうとともに日本にっぽんに伝来でんらいした。鎌倉かまくら時代ときよから室町むろまち時代ときよにかけて全国ぜんこくに精進しょうじん料理りょうりが広ひろまるにつれて細こまかい料理りょうりの種類しゅるいが整備せいびされ、精進揚しょうじんあげが生うまれた。

食材しょくざい

精進しょうじん料理りょうりの制限せいげんから通常つうじょうの天てんぷらとは異ことなり魚介ぎょかい類るいなどを使つかうことはできず、野菜やさいを中心ちゅうしんにした植物しょくぶつ性せいの食材しょくざいに限かぎられる。実際じっさいに使つかわれる食材しょくざいは、サツマイモ、ニンジン、シイタケ、ナス、タケノコ、ゴボウ、インゲンマメ、ミツバ、シュンギク、レンコン、アスパラガス、ピーマン、オクラなどである。

なお、数種類すうしゅるいの食材しょくざいを合あわせて揚あげる場合ばあいは五ご色揚いろあげと呼よぶ。

調理ちょうり方法ほうほう

基本きほん的てきな手順てじゅんは普通ふつうの天てんぷらと同様どうようである。ただし、動物どうぶつ性せいの食品しょくひんを避さけるため、天てんぷらとは異ことなり卵たまごを使用しようせずに小麦粉こむぎこと水みずだけで衣ころもを作つくり、出汁だしにもカツオではなくコンブを使用しようする。

文化ぶんか

精進揚しょうじんあげを食たべることも仏教ぶっきょうの修行しゅぎょうの一ひとつである。

仏教ぶっきょうの行事ぎょうじと関連付かんれんづけて、主おもに忌中きちゅうとなる四よん十じゅう九きゅう日にちまでの期間きかんに食たべられる。