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コンブ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
コンブ
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
階級かいきゅうなし : ディアフォレティケス Diaphoretickes
階級かいきゅうなし : SARスーパーグループ Sar
階級かいきゅうなし : ストラメノパイル Stramenopiles
階級かいきゅうなし : Gyrista
階級かいきゅうなし : オクロ植物しょくぶつ Heterokontophyta
階級かいきゅうなし : Chrysista
つな : 褐藻かっそうつな Phaeophyceae
: コンブ Laminariales
: コンブ Laminariaceae
学名がくめい
Laminariaceae Bory, 1827
和名わみょう
コンブ
りしりこんぶ 素干すぼ[1]
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 577 kJ (138 kcal)
56.5 g
食物しょくもつ繊維せんい 31.4 g
2.0 g
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん (0.51) g
一価いっか飽和ほうわ (0.45) g
あたい飽和ほうわ (0.47) g
8.0 g
ビタミン
ビタミンA相当そうとうりょう
(9%)
71 µg
(8%)
850 µg
チアミン (B1)
(70%)
0.80 mg
リボフラビン (B2)
(29%)
0.35 mg
ナイアシン (B3)
(13%)
2.0 mg
パントテンさん (B5)
(5%)
0.24 mg
ビタミンB6
(2%)
0.02 mg
葉酸ようさん (B9)
(43%)
170 µg
ビタミンC
(18%)
15 mg
ビタミンE
(7%)
1.0 mg
ビタミンK
(105%)
110 µg
ミネラル
ナトリウム
(180%)
2700 mg
カリウム
(113%)
5300 mg
カルシウム
(76%)
760 mg
マグネシウム
(152%)
540 mg
リン
(34%)
240 mg
鉄分てつぶん
(18%)
2.4 mg
亜鉛あえん
(11%)
1.0 mg
どう
(3%)
0.05 mg
成分せいぶん
水分すいぶん 13.2 g

ビタミンEはαあるふぁ─トコフェロールのみをしめした[2]。エネルギー: 暫定ざんてい
%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい
乾物かんぶつ100 gちゅう食物しょくもつ繊維せんい[3]
項目こうもく 分量ぶんりょう
食物しょくもつ繊維せんい総量そうりょう 36.5 g
水溶すいようせい食物しょくもつ繊維せんい 7.4 g
不溶性ふようせい食物しょくもつ繊維せんい 29.1 g

コンブ昆布こぶ)は、オクロ植物しょくぶつ褐藻かっそうつなコンブコンブ学名がくめいLaminariaceae )にぞくするすうしゅ海藻かいそう一般いっぱんてき名称めいしょうである。生物せいぶつがくまれる以前いぜんからの名称めいしょうであるため、厳密げんみつ定義ていぎはできないが、ながほそ食用しょくようたねがコンブとばれる傾向けいこうがある。コンブぞくする海藻かいそうでも、オオウキモ通常つうじょう、コンブとはばれない。

生物せいぶつがくではカタカナきの「コンブ」が使つかわれるものの、たんなる「コンブ」としゅ存在そんざいせず、マコンブリシリコンブミツイシコンブなどのように、コンブ植物しょくぶつたね標準ひょうじゅん和名わみょうもちいる。他方たほう食品しょくひんなど日常にちじょうてきには昆布こぶこんぶ(こぶ)表記ひょうき使つかわれる。ウェブスター辞典じてんなどにもそのままkombuとして記載きさいされている[4]

分類ぶんるい生態せいたい

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海岸かいがんげられたカラフトコンブ (Saccharina latissima)

コンブLaminariaceae Bory de Saint-Vincentにはつぎの13ぞくがあり[5]マコンブなどがぞくするカラフトコンブぞくネコアシコンブなどがぞくするネコアシコンブぞく[6]や、カナダからチリに分布ぶんぷするジャイアントケルプぞくするMacrocystis ぞくなどがある[7][8]

  • Arthrothamnus Ruprecht ネコアシコンブぞく[9]
  • Costulariella Petrov & Gussarova
  • Cymathere J.Agardh[5] ミスジコンブぞく[10]
  • Feditia Yu.Petrov & I.Gusarova
  • Laminaria J.V.Lamouroux コンブぞく[11](ゴヘイコンブぞく[12]
  • Macrocystis C.Agardh
  • Nereocystis Postels & Ruprecht
  • Pelagophycus Areschoug
  • Phyllariella Y.E.Petrov & Vozzhinskaja
  • Postelsia Ruprecht
  • Pseudolessonia G.Y.Cho, N.G.Klochkova, T.N.Krupnova & Boo
  • Saccharina Stackhouse[5] カラフトコンブぞく[13](コンブぞく[12]
  • Streptophyllopsis Kajimura[5] クロシオメぞく[14]

コンブ海藻かいそうは、日本にっぽん列島れっとうでは北海道ほっかいどう沿岸えんがん中心ちゅうしん三陸海岸さんりくかいがんなどにも分布ぶんぷし、寒流かんりゅう親潮おやしお海域かいいき代表だいひょうする海藻かいそうであり、また重要じゅうよう食用しょくよう海藻かいそうであるだけでなく、おおきなじょう形成けいせい多様たよう生態せいたいけいたもはたらきもある。

コンブは胞子ほうしによって増殖ぞうしょくする。コンブの胞子ほうしおおきさは5 µm程度ていどであり、2ほんむちち、海中かいちゅうおよげるので、とくに「ゆうはし(ゆうそうし)」とばれる。ゆうはしはコンブの表面ひょうめんから放出ほうしゅつされ、海中かいちゅういわなどに着生ちゃくせいする。着生ちゃくせいしたゆうはし発芽はつがして「配偶はいぐうたい」という微小びしょう植物しょくぶつたいになる。1個いっこゆうはしから1個体こたい配偶はいぐうたいができ、ゆうめす配偶はいぐうたいがある。雌雄しゆう配偶はいぐうたいそれぞれにたまご精子せいしつくられる。このたまご精子せいし受精じゅせいし、受精卵じゅせいらん生長せいちょうすると巨視的きょしてきな「胞子ほうしたい」、つまりコンブとなる。

きんえんしゅ

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コンブおなコンブぞくするきんえんたねとしては、ワカメなどがぞくするアイヌワカメ[15](チガイソ[12])や、コンブの原始げんしてきかたちわれるツルモがあり[16][17]、また、アラメカジメなどがぞくするレッソニアげられる[12][18]

漁業ぎょぎょう

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日本にっぽんのコンブ生産せいさんりょうやく7まん6せんトン(2021年度ねんど せい重量じゅうりょう)。生産せいさんりょう全体ぜんたいめる養殖ようしょくぶつ割合わりあいやく40%(2021年度ねんど)。天然てんねんぶつ生産せいさんりょうの95%以上いじょう養殖ようしょくぶつの75%を北海道ほっかいどうめる(2021年度ねんど[19]輸出入ゆしゅつにゅう乾燥かんそう昆布こぶ輸出ゆしゅつおこなわれているが、輸入ゆにゅう割当わりあてはあるが実際じっさいおこなわれてない[20][21]。また、中国ちゅうごくでも80まんトン前後ぜんこう養殖ようしょくされている[よう出典しゅってん]

北海道ほっかいどう函館はこだて沿岸えんがんではマコンブの養殖ようしょくさかんにおこなわれている。マコンブは2年生ねんせいのため、その養殖ようしょくには2ねん時間じかん手間てま必要ひつようであり、2ねん栽培さいばいものちかしつ目指めざした1ねん促成そくせい栽培さいばいもある。また、産業さんぎょうじょう重要じゅうようしゅであるミツイシコンブ、リシリコンブ、オニコンブにかんしても、その養殖ようしょくほう確立かくりつされている。そのたねかんしては天然てんねん現存げんそんりょうおおい、もしくは前述ぜんじゅつたねより利用りよう価値かちひくいことから、養殖ようしょくほう確立かくりつされていない。

収穫しゅうかく加工かこう

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コンブの収穫しゅうかくは、小舟こぶねからはこメガネなどで海中かいちゅうながら昆布こぶ根元ねもと竿ざおけてねじり[22]。コンブりょうもちいられるさき二股ふたまたになったぼうは「マッカ」などとばれる[22]。また、ロープのさきかぎけたものふねうわがんからげて収穫しゅうかくする方法ほうほうもある(マッケき)[23]。このほかには、海岸かいがんへとせてきたコンブを、海岸かいがんひろったり、かぎでたぐりせる方法ほうほうもある。

こうして収穫しゅうかくしたコンブを、小石こいしめた干場ほしばはこならべてす。1〜2かい裏返うらがえしにし、まんべんなく乾燥かんそうさせる。乾燥かんそうぎるとれやすくなるため、加減かげん必要ひつようである。乾燥かんそう時間じかん半日はんにち程度ていどだが、このあいだあめたると商品しょうひん価値かちくなるので、天気てんき予報よほうあめ確実かくじつ出漁しゅつぎょ見合みあわせることもある。天日てんじつではなく乾燥かんそう方法ほうほうもあり、品質ひんしつちるが、濃霧のうむ日照ひでり不足ふそくなどの理由りゆう乾燥かんそう使用しよう頻度ひんどおお地域ちいきもある。コンブしは最適さいてき天候てんこうに、手早てばやく、かつなん表裏ひょうりかえし、適切てきせつ必要ひつようがあるため、かたせんもんアルバイト募集ぼしゅうされるほか、コンブ漁場ぎょじょうちかくに番屋ばんや寝泊ねとまりする地域ちいきもある[24]。また、したのちも、専用せんようくらにて「かせ」(熟成じゅくせい)の過程かていが1〜3ねん上級じょうきゅうひんでは5〜10ねんほど必要ひつようであり、大変たいへん手間てまがかかる[25]

産地さんち種類しゅるい

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コンブの乾燥かんそう風景ふうけい利尻島りしりとう

日本にっぽんにおけるコンブ有用ゆうようしゅはその有用ゆうようからて、水産物すいさんぶつとして価値かちたか重要じゅうようたねにマコンブ(昆布こぶ)、オニコンブ(羅臼らうす昆布こぶ)、リシリコンブ(利尻りしり昆布こぶ)、ホソメコンブ、ミツイシコンブ(日高ひだか昆布こぶ)、ナガコンブ(ちょう昆布こぶ)、ガッガラコンブおよびガゴメコンブがげられ、補助ほじょてきたねとしてはチヂミコンブカラフトトロロコンブトロロコンブアツバスジコンブおよネコアシコンブがあり、さらに地域ちいきてき利用りようされているたねとしてエナガコンブがある[26]。なお、日本にっぽんにおけるコンブのおも産地さんち北海道ほっかいどうであり、とく昆布こぶ羅臼らうす昆布こぶ利尻りしり昆布こぶ日高ひだか昆布こぶさんせき昆布こぶ)、ちょう昆布こぶなどがられる。

マコンブ Saccharina japonica[27]昆布こぶ
おも津軽海峡つがるかいきょう噴火湾ふんかわん沿岸えんがんれるみちみなみさんのコンブ。昆布こぶさい高級こうきゅうひんとされることもある。非常ひじょうおおくの銘柄めいがら格付かくづけがあり、きゅう南茅部みなみかやべまち周辺しゅうへん現在げんざい函館はこだて)にさんする昆布こぶさい高級こうきゅうひんとされ、「白口しらくちはま」と銘柄めいがらばれる。そのきゅう恵山えさんまち周辺しゅうへんさんする「くろこうはま」、津軽海峡つがるかいきょうの「本場ほんばおり」、それ以外いがい海域かいいきれたものを「たがえおり」などの銘柄めいがらける。市場いちば価値かちもおおよそこの順番じゅんばんとなるが、銘柄めいがらないでも品質ひんしつによりすう段階だんかい等級とうきゅうけられる。だしじる上品じょうひんとおっていて、独特どくとく甘味あまみがある。大阪おおさかではこのあじこのまれ、だし昆布こぶえば、大抵たいていこの昆布こぶもちい、取扱とりあつかいりょう日本にっぽん国内こくないの90%におよび、大阪おおさかなどではもっと価格かかくたかい。また、用途ようととして、おぼろ昆布こぶ白髪はくはつ昆布こぶなどのうすけずった加工かこうひんや、代表だいひょうてき大阪おおさか寿司ずしであるバッテラもちいる白板しらいた昆布こぶがある。現在げんざい分類ぶんるいにおいては、オニコンブ、リシリコンブ、ホソメコンブはほんしゅ変種へんしゅとされている。
オニコンブ Saccharina japonica var. diabolica[27]羅臼らうす昆布こぶ
昆布こぶなら昆布こぶさい高級こうきゅうひん濃厚のうこうあじのため、関東かんとう地方ちほう北陸ほくりく地方ちほうなどではだし昆布こぶとして、この羅臼らうす昆布こぶこのまれ、料亭りょうていなどで使用しようされるさい高級こうきゅうひんとなっている。関西かんさいでも消費しょうひりょうおおいが、使用しようされはじめたのは明治めいじ時代じだいと、マコンブなどと比較ひかくして歴史れきしあさい。おも用途ようとはうどんだし、おでん、鍋物なべもの味付あじつけ、佃煮つくだになどである。また、食用しょくようにもてきしており、北陸ほくりく地方ちほうとく富山とやまけん一大いちだい消費しょうひである。
リシリコンブ Saccharina japonica var. ochotensis[27]利尻りしり昆布こぶ
昆布こぶ羅臼らうす昆布こぶならさい高級こうきゅうひんで、生産せいさん利尻島りしりとう礼文島れぶんとうおよ稚内わっかない沿岸えんがんであり、礼文れぶんとう香深かふかものさい高級こうきゅうひんとされる。あじ前者ぜんしゃよりうすいが、んでおり、やや塩気しおけのあるだしがれる。素材そざいいろあじえないため、懐石かいせき料理りょうり煮物にもの重宝ちょうほうされる。また、京都きょうとではもっと高級こうきゅう、かつ一般いっぱんてきなだし昆布こぶでもあり、千枚漬せんまいづけ湯豆腐ゆどうふなど用途ようとひろく、料亭りょうていなどでは、上質じょうしつなだしをるために1ねん以上いじょうかせた「ひねぶつ」をもちいるみせもある。また、肉質にくしつかたいため、高級こうきゅうおぼろ昆布こぶやとろろ昆布こんぶ材料ざいりょうにもなる。だし昆布こぶかぎってえば、生産せいさんりょうやく7%は福岡ふくおかのうどんてんチェーンまきのうどん消費しょうひされる[28]
ホソメコンブ Saccharina japonica var. religiosa[27]細目ほそめ昆布こぶ
渡島ととう半島はんとう松前まさき道北みちきた留萌るもい主体しゅたいとした日本海にほんかい沿岸えんがんれる昆布こぶ昆布こぶことなり寿命じゅみょうが1ねんであるため、1ねんられる。くちがどの昆布こぶよりもしろいために、おぼろ昆布こぶ、とろろ昆布こんぶ加工かこうされることがおおい。以上いじょうの4しゅ分布ぶんぷいき連続れんぞくしており、遺伝いでんてき距離きょり非常ひじょうちかたねあいだ交雑こうざつ可能かのうである。
ミツイシコンブ Saccharina angustata[27]日高ひだか昆布こぶさんせき昆布こぶ
太平洋たいへいようきし日高ひだか地方ちほうれる。繊維せんいしつおおいため、はやえ、非常ひじょうやわらかくなるので、昆布こぶき、佃煮つくだに、おでんしゅなど、昆布こぶそのものをべる料理りょうりてきしている。また、関東かんとうでの消費しょうひりょうおおく、一般いっぱんてきなだしよう昆布こぶとしてもちいられる。
ナガコンブ Saccharina longissima[27]ちょう昆布こぶ浜中はまなか昆布こぶ
釧路くしろ地方ちほうおおれるコンブ。全長ぜんちょう15 mにもおよぶ。生産せいさんりょうもっとおおいが、旨味うまみ成分せいぶんすくないために、廉価れんかひんとしてきされる。日高ひだか昆布こぶ同様どうようやわらかいために一般いっぱんでは昆布こぶきなどにもちいられる。沖縄おきなわけん周辺しゅうへん島嶼とうしょぐんでは大陸たいりく輸出ゆしゅつおこなっていた歴史れきしもあって市場いちば流通りゅうつうおおもっと一般いっぱんてき昆布こぶであり、ふるくから野菜やさいわりに重宝ちょうほうされ、きざんだものをそのままサラダ感覚かんかくべたりするほかに、豚肉ぶたにくとの相性あいしょう非常ひじょういため、いたぶつにしたりする。とくざおぜん昆布こぶばれる、成熟せいじゅくまえやわらかいちょう昆布こぶこのまれた。ミツイシコンブと遺伝いでんてき距離きょりちかく、ほんたねをミツイシコンブの変種へんしゅとするせつもある[29]
ガッガラコンブ Saccharina coriacea[27]あつ昆布こぶ
釧路くしろ地方ちほうおおれるコンブで、がっがらともぶ。ナガコンブとおな海域かいいき生息せいそくするが、ナガコンブとことなって、なみおだやかな場所ばしょこのむ。表面ひょうめん白粉おしろい(マンニット)をびており、独特どくとく刺激しげき苦味にがみがある。おも用途ようと加工かこうようで、佃煮つくだにしお吹昆ぬのばってらなどに利用りようされる。
ネコアシコンブ Arthrothamnus bifidus[27]猫足ねこあし昆布こぶ
分布ぶんぷ釧路くしろ沿岸えんがんから千島ちしま列島れっとう。コンブ褐藻かっそうだが、のコンブのようにコンブぞくではなく、ネコアシコンブぞくぞくする。ながさは2 mから4 m程度ていどで、基部きぶりょうえんみみがた突起とっきができる。部分ぶぶんねこあしていることから「猫足ねこあし」とばれるようになった。昆布こぶ比較ひかくすると、ねばりと甘味あまみつよてん特徴とくちょうで、おもにとろろ昆布こんぶ、おぼろ昆布こぶ材料ざいりょうになる。その医薬品いやくひん試薬しやくかせない沃化ようかカリウム原料げんりょうとしてもられていた。養殖ようしょくほう確立かくりつされていないうえに、しもじゅつのガゴメと同様どうよう、フコイダンという粘性ねんせい糖類とうるいおお含有がんゆうされていることから、価格かかく急騰きゅうとうし、入手にゅうしゅ困難こんなんになってきている。
ガゴメコンブ(ガゴメ) Saccharina sculpera[27]かご昆布こぶシノニムKjellmaniella crassifolia, Saccharina crassifolia[12]
正確せいかくには葉状ようじょうという)の表面ひょうめんかごのようなりゅうもんじょう凹凸おうとつ紋様もんようがあることからこのつ。北海道ほっかいどう函館はこだて津軽海峡つがるかいきょう沿岸えんがん亀田半島かめだはんとう沿岸えんがんきゅう南茅部みなみかやべまち)〜室蘭むろらん周辺しゅうへん噴火ふんかわんのぞく)、青森あおもりけん三厩みんまや岩屋いわや岩手いわてけん宮古みやふる重茂おもえ樺太からふと南西なんせい沿海州えんかいしゅう朝鮮半島ちょうせんはんとう東北とうほく生育せいいくする。水深すいしん10 mから25 m付近ふきん生育せいいくすることがおおく、あさがわではマコンブとじって分布ぶんぷするため、むかしざつ海藻かいそうなされていた。最大さいだいながさ2 m程度ていど成長せいちょうし、寿命じゅみょうは3ねんから5ねんかんがえられている。ダシを用途ようとには使つかわれないため、おもにとろろ昆布こんぶ納豆なっとう昆布こぶ松前まさきづけなどの加工かこうひんなどにもちいられた。そのため、昆布こぶ比較ひかくして価格かかくひくかったが、「フコイダン」という粘性ねんせい糖類とうるいのコンブよりも多量たりょうふくまれ、それがいわゆる機能きのうせい成分せいぶんとして作用さようするらしいことがかり、価格かかく急騰きゅうとうした。これまではもっぱら天然てんねん分布ぶんぷするもの採取さいしゅされていたが、生産せいさんりょう一時期いちじきの10ぶんの1までんだ。しかし、現在げんざいでは栽培さいばい方法ほうほう確立かくりつされており、ガゴメの栽培さいばい従事じゅうじする漁業ぎょぎょうしゃえ、生産せいさんりょう安定あんていしてきている。

おも陸揚りくあ都道府県とどうふけん

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  • 2019年度ねんど
    全国ぜんこく — 46,543t
    • だい1 - 北海道ほっかいどう 91.1%(根室ねむろ浜中はまなかまち、えりもまち) — 44,711t
    • だい2 - 青森あおもりけん 2.4%(ろくヶ所かしょむら東通ひがしどおりむら大間だいままち) — 1,118t
    • だい3 - 岩手いわてけん 1.5%(宮古みやふる久慈くじようまち) — 714t

利用りよう

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食材しょくざいとしての利用りよう

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昆布こぶ主要しゅよう材料ざいりょうとしてつくられた佃煮つくだに
様々さまざま昆布こぶアメ

コンブはふるくから日本にっぽん各地かくちべられており、おも乾燥かんそうさせて出汁だしるために日本にっぽん料理りょうりでは幅広はばひろ使つかわれる。さらに食材しょくざいとしても利用りようされ、むす昆布こぶ昆布こぶきなどにもちいられるざおぜん昆布こぶは「はや昆布こぶ」ともばれ、漁期ぎょきまえ採取さいしゅされた成熟せいじゅくうす昆布こぶを、てからした加工かこうひんである[30]。コンブを食材しょくざいとしてもちいた料理りょうり日本にっぽん各地かくちられ、たとえば昆布こぶ富山とやまけん昆布こぶきニシンは山形やまがたけん松前まさき北海道ほっかいどう郷土きょうど料理りょうりの1つとしてられる。さらに北海道ほっかいどうでは、湯通ゆどおししたわか昆布こぶ刺身さしみ昆布こぶとしてべる習慣しゅうかんもあった。ほかにも、コンブを細長ほそながきざんできざ昆布こぶ(そうめん昆布こぶ)にも加工かこうされ昆布こぶ佃煮つくだにつくられ、おにぎりなどにも使つかわれる。また、表面ひょうめんうすけずってとろろ昆布こんぶおぼろ昆布こぶ(こちらは糸状いとじょうではなくうす帯状おびじょうけずった製品せいひん)にするほか昆布こぶやおしゃぶり昆布こぶとしてお茶請ちゃうけ・おやつにももちいられる。

ロシアでコンブは「うみのキャベツ(морская капуста)」とばれ、サラダもちいられる場合ばあいもあるが、ものとしてはそれほどよくられていない。

日本にっぽん統計とうけいきょく家計調査かけいちょうさによると、青森あおもり盛岡もりおか富山とやま[31]昆布こぶ消費しょうひりょうおお都市とし(2003〜2005ねん平均へいきん:1世帯せたいたり)で、日本にっぽん平均へいきんの1.4〜1.8ばい消費しょうひしている。沖縄おきなわけん那覇なはは7日本にっぽん平均へいきんの1.1ばい)である。沖縄おきなわけんはかつて日本にっぽんさん昆布こぶ中国ちゅうごく輸出ゆしゅつするための中継ちゅうけい地点ちてんであったことから、昆布こぶ利用りようするしょく文化ぶんかまれ昆布こぶ消費しょうひりょうおおかったものの、近年きんねん若者わかもの伝統でんとうしょくばなれで消費しょうひ減少げんしょうしている。昆布こぶ佃煮つくだに消費しょうひりょうおお都市としは、福井ふくい大津おおつ富山とやまで、これに京都きょうと奈良ならなど近畿きんき地方ちほう都市としつづく。近畿きんき地方ちほうではふるくから北前きたまえせんによって昆布こぶおお流通りゅうつうし、独特どくとく昆布こぶ消費しょうひ文化ぶんか加工かこう技術ぎじゅつ存在そんざいするため、佃煮つくだに消費しょうひりょうおおい。

コンブの比較的ひかくてきあたらしい利用りようほうとしては、コンブを醗酵はっこうさせて利用りようすることがげられる。元来がんらい、コンブには硫酸りゅうさんもと物質ぶっしつふくまれており、きん繁殖はんしょくさまたげていたのだが、この硫酸りゅうさんもと影響えいきょうけずに昆布こぶ醗酵はっこうさせるきん海底かいてい生物せいぶつからつかったことで、醗酵はっこうしお昆布こぶ開発かいはつ拍車はくしゃがかかった。2004ねんにはこうはら本店ほんてん大阪府立大学おおさかふりつだいがく提携ていけいし、発酵はっこうしお昆布こぶ発売はつばいされた[32]。なお、コンブを醗酵はっこうさせる技術ぎじゅつは、宝酒造たからしゅぞう協和発酵きょうわはっこうキリンなどがそれぞれ独自どくじ技術ぎじゅつゆうする。

栄養素えいようそ

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コンブはとく豊富ほうふ食物しょくもつ繊維せんい鉄分てつぶんカルシウムなどがふくまれており健康けんこう食品しょくひんとして人気にんきたかい。1908ねん池田いけだ菊苗きくなえが、日本にっぽんでは古来こらいから食材しょくざいなどとして使つかわれてきた昆布こぶうま成分せいぶんグルタミン酸ぐるたみんさんであることを発見はっけんし、これがうま調味ちょうみりょうあじもととなった。ほかにも、昆布こぶにはヒトにとっての必須ひっす元素げんそであるヨウもと多量たりょう含有がんゆうしている。

食品しょくひん1グラムたりのヨウ含有がんゆうりょう[33]
食品しょくひん 含有がんゆうりょう (μみゅーg/g)
昆布こぶ(素干すぼし) 2100-2400
昆布こぶ(きざ昆布こぶ) 2300
昆布こぶ(佃煮つくだに) 110
カットわかめ 85
昆布こぶだし(液体えきたい) 19-82 [33][34]

厚生こうせい労働省ろうどうしょう発表はっぴょうした「日本人にっぽんじん食事しょくじ摂取せっしゅ基準きじゅん(2010年版ねんばん)」によると、ヨウもと推奨すいしょうりょう成人せいじんやく130 µg/にち、ヨウもとたいよう上限じょうげんりょうやく2.2 mg/にちとしている[35]。コンブは大量たいりょうにヨウもとふくみ、素干すぼしコンブ1 gでヨウもとたいよう上限じょうげんりょうやく2.2 mg/にちたっする。北海道ほっかいどうられた海岸かいがんせい甲状腺こうじょうせんしゅは、ヨウもと過剰かじょう摂取せっしゅ原因げんいんであるとかんがえられている。半面はんめん、ヨウもとこう腫瘍しゅよう作用さよう利用りようするため、すくなくとも3 mg/摂取せっしゅすべきとのせつ存在そんざいする[36]

調理ちょうり

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コンブの表面ひょうめん付着ふちゃくしているしろこなあじみなもととなっているグルタミン酸ぐるたみんさんマンニトールで、調理ちょうりまえ水洗みずあらいをするとながされてしまう。

調理ちょうりさいだしじるいろくことがある。このうち、緑色みどりいろクロロフィル色素しきそで、茶褐色ちゃかっしょくカロテンいろである。あお紫色むらさきいろへの変色へんしょくは、水道すいどうすいふくまれる塩化えんかぶつイオンにより、コンブのヨウもとし、たとえばボウルやなべなどに付着ふちゃくしていたデンプンとが、適度てきど温度おんどヨウデンプン反応はんのうこした結果けっかであり、このいろ加熱かねつすることによりえる。昆布こぶからのグルタミン酸ぐるたみんさん抽出ちゅうしゅつにはみずふくまれるミネラル悪影響あくえいきょうおよぼすので軟水なんすい使用しようのぞましい[37][38][39]

医療いりょうでの利用りよう

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乾燥かんそうしたコンブは水分すいぶん吸収きゅうしゅうすると膨張ぼうちょうするという性質せいしつつ。この性質せいしつ利用りようして、医療いりょうよう拡張かくちょう原材料げんざいりょうとしてコンブ海藻かいそう利用りようされる。子宮しきゅう頸管ひとし拡張かくちょうもちいられるラミナリアがそれである。原材料げんざいりょうおもLaminaria digitataくきである[40][41]

工業こうぎょう製品せいひんとしての利用りよう

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コンブにふくまれるアルギン酸あるぎんさん繊維せんいさせたものを、スピーカー音響おんきょう装置そうち利用りようする場合ばあいがある[42][43]

語源ごげん

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和語わごではふるくは、食用しょくよう海草かいそう一般いっぱんとくにワカメをして)を「め」とんでいた。漢字かんじでは、ふるくは「ぐんぬの」(万葉集まんようしゅう藤原ふじわらきょう木簡もっかん)、「海布」(古事記こじき)、「海藻かいそう」(平城京へいじょうきょう木簡もっかん風土記ふどきせいくらいん文書ぶんしょ)、「和布わかめ」(いろるいしょう)などとてられていた。『本草ほんぞう和名わみょう』(9世紀せいき初頭しょとう)には「昆布こぶいちめい綸布。和名わみょうりょおんないちめいころも須女」とあるように、とりわけ昆布こぶしては「ひろめ」とか「えびすめ」とんでいた。「ひろめ」ははばひろいことに(すなわちこうぬの)、「えびすめ」は蝦夷えぞからたことに(すなわちえびすぬの由来ゆらいするとかんがえられる。「コンブ」にちか名称めいしょうはやや時代じだいくだり、『いろるいしょう』(1177-81ねん)に「コンフ」、『伊呂波いろはるいしょう』に「コフ」というくん確認かくにんできる。

「コンブ」の語源ごげんには諸説しょせつあるが、とくつぎの2せつ有力ゆうりょくである。

1つは、かんめい昆布こぶ」の音読おんよみであるとするせつである(和訓わくんしおり)。このかんめい自体じたいは、日本にっぽんではすでにせいくらいん文書ぶんしょや『ぞく日本にっぽん』(797ねん)に確認かくにんでき、さらにふるくは中国ちゅうごく本草ほんぞうしょひろし本草ほんぞう』(3世紀せいき前半ぜんはん)にまでさかのぼることができる。めずらしの『本草ほんぞう綱目こうもく』(1596ねん)にはつぎのようにある。

かんがえてみると、『ひろし本草ほんぞう』には「綸布、またの昆布こぶ」とある。ならば、『しかみやび』でわれている「綸(という発音はつおんばれているもの)は綸にている。これは東海とうかいにある」というものは昆布こぶのことである。「綸」の発音はつおんは「せき (gūan)」で、「あおいとの綬(ひも)」を意味いみするが、なまって「こん (kūn)」となった。 — すももめずらし本草ほんぞう綱目こうもくくさはち[44]

ただし、中国ちゅうごくう「昆布こぶ」は、文献ぶんけんによって様々さまざま記述きじゅつされており、実際じっさいにはどの海藻かいそうしていたのか同定どうていむずかしい。たとえばひねぞうは「昆布こぶ南海なんかい産出さんしゅつし、そののようで、おおきさはすすきススキ)やあしほど、あか紫色むらさきいろをしている。そのほそいものが海藻かいそうである」[44]しるしており、アラメ、カジメ、ワカメ、クロメといった様々さまざま海藻かいそう想起そうきさせる。昆布こぶは、すくなくとも当時とうじは、東海とうかい東シナ海ひがししなかい)でも南海なんかい南シナ海みなみしなかい)でもれるものではなかった。また、ちんてのひら禹錫(11世紀せいき)にならい、「昆布こぶ」と「うみたい」(後者こうしゃは、現代げんだい中国語ちゅうごくご昆布こぶす)を別種べっしゅものとして記述きじゅつしている[44]

もう1つは、アイヌ昆布こぶす kompu の音訳おんやくとするせつである(大言たいげんうみ)。このアイヌは、さき中国ちゅうごく「綸布 (gūanbù)」または「昆布こぶ (kūnbù)」と酷似こくじしており、一方いっぽう他方たほう借用しゃくようである可能かのうせいがある。

歴史れきし

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しかみやび』(紀元前きげんぜん3世紀せいき〜2世紀せいきころ)には、『綸似綸,くみぐみ東海とうかいゆうこれ。』「綸(という発音はつおんばれているもの)は綸にている。くみ(という発音はつおんばれているもの)はくみている。これは東海とうかいにある」[45]かれており、『ひろし本草ほんぞう』(3世紀せいき前半ぜんはん中葉ちゅうよう)には綸布の別名べつめい昆布こぶであるとする。また、とうひろしけい(456-536ねん)は、「昆布こぶ」がべられることをしるしている[44]。ただし、前述ぜんじゅつのように、この「昆布こぶ」が日本にっぽん昆布こぶおなじものなのかはさだかでない。

日本にっぽんでは、ふるくから昆布こぶべられてきた。縄文じょうもん時代じだい遺跡いせきからは、ワカメなどの海藻かいそう植物しょくぶつのこそんたいつかっており[46]、コンブもまた、この時代じだいからしょくされていたかもしれない。文字もじ資料しりょうのこっているものとしては、前述ぜんじゅつの「ぐんぬの(め)」は、おとから推測すいそくして、コンブであった可能かのうせいがある。ぞく日本にっぽん(797ねん)のれいかめ元年がんねん(715ねん)じゅうがつちょううしじょうには、蝦夷えぞ大和やまと朝廷ちょうていぞくさない東北とうほくじん一般いっぱんとするせつと、アイヌじんせつがある)の須賀すかあさとめが「先祖せんぞ代々だいだい朝廷ちょうてい献上けんじょうしている昆布こぶはこのれるもので、毎年まいとしけっかしたことがない」とった、とある。平安へいあん時代じだい延喜えんぎしき(927ねん)にも、陸奥みちのくからみつぎおさめされていたことがしるされている。安土あづち桃山ももやま時代じだいにはしろ建築けんちくさいいしすべらせるための材料ざいりょうとして使用しようしていた。安土あづちじょうだい坂城さかきでもこの工法こうほう使つかわれている。

戦国せんごく時代じだいには、陣中じんちゅうしょくとして昆布こぶ使用しようされていた[47]江戸えど中期ちゅうきには、敦賀つるが昆布こぶ唯一ゆいいつ中継ちゅうけいとなり、ひろしはいってから江戸えど大坂おおさか各地かくちひろがっていく。とく大坂おおさかにおいては問屋とんや発展はってんした。蝦夷えぞ北海道ほっかいどう)の開発かいはつさかんになると、北前きたまえせんによる「昆布こぶロード」などの航路こうろ整備せいび出荷しゅっかりょう増加ぞうかなどにより全国ぜんこくひろまっていくことになる。とりわけ琉球りゅうきゅう王朝おうちょう時代じだい昆布こぶ中国ちゅうごくへの朝貢ちょうこうひん主要しゅよう産物さんぶつとしていて、朝貢ちょうこうにはてきさない半端はんぱモノや下等かとうきゅうひんをやむなく工夫くふうして自家じか消費しょうひしたことから、のちに伝統でんとう料理りょうりする沖縄おきなわ料理りょうりにはよくもちいられる。

上方かみがたしょく文化ぶんかにおける昆布こぶ

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包装ほうそうされた日高ひだか昆布こぶ

乾燥かんそうさせた昆布こぶ湿気しっけおお大阪おおさか倉庫そうこかせておくと、熟成じゅくせいすることで昆布こぶしぶみがくなりあまみがてくる。大阪おおさか昆布こぶひろまったのはしょう用船ようせん日本海にほんかい航路こうろ北前きたまえせん)をとおって下関しものせき経由けいゆ大阪おおさかはこばれるようになってからである。安土あづち桃山ももやま時代じだいのう乾物かんぶつ一大いちだい集積しゅうせきであった大阪おおさか多湿たしつ気候きこう乾物かんぶつ昆布こぶ旨味うまみ熟成じゅくせいさせ、江戸えど時代じだいにはこれらは大阪おおさかあじともされた。

大阪おおさか農産物のうさんぶつ交換こうかん蝦夷えぞからはこばれた乾物かんぶつは、昆布こぶほかに、帆立貝ほたてがいぼうだら身欠みがきにしんなどがある。おも商用しょうようせん太平洋たいへいようがわけて日本海にほんかい航路こうろはこばれるようになったことから、大阪おおさかより敦賀つるが小浜おばま昆布こぶ消費しょうひおお傾向けいこうられる。

また刃物はものまちであるさかい職人しょくにんにより、乾燥かんそう昆布こぶ甘酢あまずひた表面ひょうめんけずった「おぼろ昆布こぶ」がまれた。昆布こぶ表面ひょうめんくろ部分ぶぶん甘酢あまずがよくみていることから、酸味さんみおおくろい「おぼろ昆布こぶ」(くろおぼろ)になる。なかでも表面ひょうめんうすけずってゆくと、内側うちがわしろ部分ぶぶんてくる。ここはひたっておらず、昆布こぶ本来ほんらいあまみがある。この昆布こぶは「太白たいはくおぼろ」とばれる。最後さいごのこった昆布こぶしん部分ぶぶんはばってら寿司ずし寿司ずし使つかわれるばってら昆布こぶ白板しらいた昆布こぶ)になる。うすけずるには職人しょくにんによる高等こうとう技術ぎじゅつ必要ひつようとされる。

上記じょうきさかいでも「おぼろ昆布こぶ」が発達はったつし、また北前きたまえせん集積しゅうせきでもある敦賀つるがでも「おぼろ昆布こぶ技術ぎじゅつ発達はったつした。おぼろをけずったヘタの部分ぶぶんつま昆布こぶばれ、お菓子かしとしてべられることがある。また、つま昆布こぶ煮込にこむとコンブ特有とくゆうねばりがつよることから、煮物にものなどの調理ちょうりさい煮汁にじるともれ、そのねばりを利用りようして表面ひょうめんいた灰汁あくりを容易よういにするといった使つかかたもなされた。その昆布こぶ加工かこうひんえば、しお昆布こぶ日高ひだか昆布こぶ)が連想れんそうされるが、戦国せんごく時代じだい出陣しゅつじんさいぐりよろこぶなどの縁起えんぎかついだ出陣しゅつじんしき醤油じょうゆかれたしお昆布こぶは、細目ほそめ昆布こぶ醤油じょうゆ煮込にこんだものであったおもわれる。

醤油じょうゆかれたしお昆布こぶ火鉢ひばちあみうえならべて乾燥かんそうさせては醤油じょうゆけ、あみうえで3かい乾燥かんそうさせたものを「しお昆布こぶ」と昭和しょうわ20年代ねんだいはじめてつくされ商品しょうひんされた。こな表面ひょうめんいているようにえるが、これは昆布こぶ旨味うまみ成分せいぶん結晶けっしょうしたものである。しかし現在げんざいでは、イノシンさん昆布こぶのグルタミン成分せいぶんなどの調味ちょうみりょうをまぶす場合ばあいもある。

江戸えどにおける昆布こぶ

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北前きたまえせん蝦夷えぞからはこばれた昆布こぶ上方かみがたでそのおおくが消費しょうひされ、上質じょうしつなものは上方かみがた消費しょうひされたので江戸えどまわったぶんはそののこりで、りょうおおかった日高ひだか昆布こぶがほとんどであった[48]。また、江戸えど水質すいしつ上方かみがたより硬水こうすいりで、昆布こぶのダシがにくい水質すいしつであったために、ダシの材料ざいりょうとして「鰹節かつおぶし」がおお使つかわれていた[49]

江戸えど時代じだい江戸えどつくだとうでは、昆布こぶなどの海藻かいそうなどを醤油じょうゆなどでしめた料理りょうりおおつくられ「佃煮つくだに」とばれるようになり、郷土きょうど料理りょうりとなっている。

シーボルトの『江戸えど参府さんぷ紀行きこう』によると、最上もがみ徳内とくないサガレン(樺太からふと)に滞在たいざいしたときに105にんちゅう53にん寒冷かんれい影響えいきょう死亡しぼうしたが、徳内とくない大量たいりょう昆布こぶべることで、すこぶる健康けんこうであったと記載きさいされている[50]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 文部もんぶ科学かがくしょう日本にっぽん食品しょくひん標準ひょうじゅん成分せいぶんひょう2015年版ねんばんななてい
  2. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょう日本人にっぽんじん食事しょくじ摂取せっしゅ基準きじゅん(2015年版ねんばん
  3. ^ 吉江よしえ由美子ゆみこ、「海藻かいそう食物しょくもつ繊維せんいかんする食品しょくひん栄養えいようがくてき研究けんきゅう」 『日本水産にっぽんすいさん学会がっかい』 2001ねん 67かん 4ごう p.619-622, doi:10.2331/suisan.67.619
  4. ^ べいはら万里ばんり旅行りょこうしゃ朝食ちょうしょく』にはソビエト連邦れんぽう深刻しんこく食料しょくりょうひん不足ふそくときですらだれにもわれず商品しょうひんだなたしていた缶詰かんづめに「昆布こぶのトマト」というものがあったといてある。
  5. ^ a b c d Guiry, M.D. & Guiry, G.M. (2013ねん). “Family:Laminariaceae”. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. 2013ねん6がつ6にち閲覧えつらん
  6. ^ コンブ BISMaL (Biological Information System for Marine Life) 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう構築こうちく 2013ねん6がつ7にち閲覧えつらん
  7. ^ 大野おおの正夫まさお 「16 世界せかい海藻かいそう資源しげん概観がいかん」『有用ゆうよう海藻かいそう大野おおの正夫まさお へん内田うちだろうづる圃、2004ねん初版しょはんISBN 4-7536-4048-5、pp.318-319.
  8. ^ Guiry, M.D. & Guiry, G.M. (2013ねん). “Macrocystis C.Agardh, 1820: 46”. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. 2013ねん6がつ6にち閲覧えつらん
  9. ^ ネコアシコンブぞく BISMaL (Biological Information System for Marine Life) 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう構築こうちく 2013ねん6がつ9にち閲覧えつらん
  10. ^ ミスジコンブぞく BISMaL (Biological Information System for Marine Life) 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう構築こうちく 2013ねん6がつ9にち閲覧えつらん
  11. ^ コンブぞく BISMaL (Biological Information System for Marine Life) 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう構築こうちく 2013ねん6がつ9にち閲覧えつらん
  12. ^ a b c d e 吉田よしだ忠生ただお吉永よしなが一男かずお (2010) 日本にっぽんさん海藻かいそう目録もくろく(2010ねん改訂かいていばん), 藻類そうるい Jpn.J.Phycol. (Sorui) 58:69-122, 2010 2013ねん6がつ9にち閲覧えつらん
  13. ^ カラフトコンブぞく BISMaL (Biological Information System for Marine Life) 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう構築こうちく 2013ねん6がつ9にち閲覧えつらん
  14. ^ クロシオメぞく BISMaL (Biological Information System for Marine Life) 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう構築こうちく 2013ねん6がつ9にち閲覧えつらん
  15. ^ ワカメ BISMaL (Biological Information System for Marine Life) 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう構築こうちく 2013ねん6がつ9にち閲覧えつらん
  16. ^ コンブ BISMaL (Biological Information System for Marine Life) 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう構築こうちく 2013ねん6がつ7にち閲覧えつらん
  17. ^ 川井かわい浩史こうじうみもりをつくる海藻かいそう, コンブるいのはなし」『プランタ』だい82ごうけんしげるしゃ、2002ねん7がつ、55-62ぺーじNAID 40005535422 
  18. ^ レッソニア BISMaL (Biological Information System for Marine Life) 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう構築こうちく 2013ねん6がつ9にち閲覧えつらん
  19. ^ https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kaimen_gyosei/
  20. ^ https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/03_import/04_suisan/download/20220726_02.pdf
  21. ^ https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kokusai/index.html#r
  22. ^ a b 羅臼らうす天然てんねんコンブ 霧中むちゅうはつ水揚みずあげ 「流氷りゅうひょう影響えいきょうそれほどない」”. 北海道新聞ほっかいどうしんぶん (北海道新聞社ほっかいどうしんぶんしゃ). (2014ねん7がつ15にち). http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/551355.html 
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  31. ^ 総務そうむしょう統計とうけいきょく家計調査かけいちょうさ2人ふたり以上いじょう世帯せたい品目ひんもくべつ都道府県とどうふけんちょう所在しょざいおよ政令せいれい指定してい都市とし(※)ランキング(平成へいせい23ねん(2011ねん)~25ねん(2013ねん平均へいきん)で消費しょうひ金額きんがくでは富山とやまが2205えん消費しょうひりょうでは青森あおもりが668 gで1だった。
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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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