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さく発射はっしゃじゅう

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さく投擲とうてきじゅうから転送てんそう
さく発射はっしゃじゅうかまえるUSS カール・ヴィンソン乗組のりくみいん(2011ねん)

さく発射はっしゃじゅう(さくはっしゃじゅう)とは、はなれた場所ばしょさくロープ)をとうてきするため道具どうぐである。

さく発射はっしゃじゅうなが歴史れきしゆうしており、様々さまざま局面きょくめんでそれぞれことなる形態けいたい使用しようされている。

概要がいよう

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HMAS アンザック (FF 150)艦上かんじょうよりHMAS トブルク (L 50)英語えいごばんけて舫(係留けいりゅうさく)をげるオーストラリア海軍かいぐんへいなわ(舫り)は水兵すいへい船員せんいん基礎きそてき技能ぎのうひとつであるが、その距離きょり正確せいかくせい個人こじんおおきい。(2008ねん)

船舶せんぱく岸壁がんぺき埠頭ふとうひとし係留けいりゅう施設しせつ接岸せつがんするさいや、海軍かいぐん軍艦ぐんかんタンカー補給ほきゅうかんから洋上ようじょう補給ほきゅうけるさいあるいは陸上りくじょうにて高所こうしょかぎなわ設置せっちするさいなどには、古来こらいなわ要領ようりょう人力じんりきでロープをげることおこなわれてきたが、その最大さいだい距離きょり正確せいかくせいなわしゅ個人こじん技量ぎりょう体力たいりょく左右さゆうされることおおく、その技術ぎじゅつ向上こうじょうには一定いってい限界げんかい存在そんざいしている。さく発射はっしゃじゅう代表だいひょうされるとうてき道具どうぐはこうした人力じんりきによるなわ限界げんかい克服こくふくし、荒天こうてん時化しけなどの悪条件あくじょうけんでも安定あんていした距離きょり確保かくほ目的もくてき開発かいはつされてきたものである。

英語えいごではライン・スローワー(Line thrower)とばれることおおいが、日本にっぽんでは運用うんよう機関きかんにより様々さまざま名付なづけられており、きゅう日本にっぽんぐんではさく投擲とうてきじゅう(さくとうてきじゅう)[1]海上保安庁かいじょうほあんちょうでは舫銃(もやいじゅう)[2]消防しょうぼうでは救命きゅうめいさく発射はっしゃじゅう(きゅうめいさくはっしゃじゅう)[3]建設けんせつぎょうさかいでは鋼索こうさく発射はっしゃじゅう(こうさくはっしゃじゅう)[4]などとばれているが、税関ぜいかんによる貿易ぼうえき統計とうけいじょうはこれらすべてがさく発射はっしゃじゅうとして分類ぶんるいされている[5]

その形態けいたい小銃しょうじゅう散弾さんだんじゅうなどのように運用うんようしゃ携行けいこうして発射はっしゃするものや、大砲たいほうのように地面じめんけて発射はっしゃするものまで様々さまざまであり、最初さいしょからさく発射はっしゃじゅうとして専用せんよう設計せっけいされたものだけでなく、既存きそんマスケットじゅう[6]小銃しょうじゅう[7]散弾さんだんじゅう[8]拳銃けんじゅう[9]などを改造かいぞうしてさく発射はっしゃ機能きのうたせたものや[10]、カップがたライフルグレネード形態けいたい突撃とつげきじゅう自動じどう小銃しょうじゅうこうけされるもの[11]なども軍事ぐんじ分野ぶんやではひろもちいられている。

さく発射はっしゃじゅう様々さまざま動力どうりょくもちいてさくとうてきするが、とく火薬かやくもちいるものは産業さんぎょうよう銃砲じゅうほう英語えいごばんとして、信号しんごう拳銃けんじゅうびょうじゅう英語えいごばん屠殺とさつじゅう英語えいごばん麻酔ますいじゅうひとしとも銃砲じゅうほう刀剣とうけんるい所持しょじとう取締とりしまりほうにおける所持しょじ規制きせい対象たいしょうとなるため[12]近年きんねんでは動力どうりょくげん圧縮あっしゅく空気くうきもちいるものが主流しゅりゅうとなっている。

きゅう日本にっぽんぐん

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大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐんでは、(以下いか,帝国ていこく陸軍りくぐん海軍かいぐんとする)帝国ていこく陸軍りくぐんより退役たいえきしたかぶとごう擲弾じゅうゆずけて改造かいぞうしたものや、黎明れいめい海兵かいへいたい制式せいしき小銃しょうじゅう英語えいごばんとして配備はいびされたマルティニ・ヘンリーじゅう(ヘンリマルチニーじゅう)の構造こうぞうもとにした小銃しょうじゅうがたさく発射はっしゃじゅうさく投擲とうてきじゅう[13]として採用さいようし、萱場かやば製作所せいさくしょ川口かわぐちりん銃砲じゅうほう火薬かやくてん(KFC)に製造せいぞうおこなわせていた[1]。なお、米国べいこく在住ざいじゅう日本にっぽんせい銃器じゅうきコレクターであるテリー・ジェーン・ブライアントは、帝国ていこく海軍かいぐんさく投擲とうてきじゅう英国えいこくバーミンガム・スモール・アームズ(BSA)のライン・スローイングガン[14]形態けいたいきわめて酷似こくじしていること指摘してきしている[15][16]

一方いっぽう大日本帝国だいにっぽんていこく陸軍りくぐんでは兵員へいいん輸送ゆそうおよ敵前てきぜん上陸じょうりくおも任務にんむとする船舶せんぱく司令しれい隷下れいか陸軍りくぐん船舶せんぱく部隊ぶたい(あかつき部隊ぶたい)けに村田むらたじゅう有坂ありさかじゅうもとにした独自どくじさく投擲とうてきじゅう配備はいびしていたが、帝国ていこく海軍かいぐんさく投擲とうてきじゅうことなり欧米おうべいのライン・スローワーにがた外観がいかんゆうしていた。帝国ていこく陸軍りくぐんさく投擲とうてきじゅう欧米おうべいのコレクターのあいだでは村田むらたじゅうベースのものがMark A有坂ありさかじゅうベースのものがMark B[17]として保存ほぞんおこなわれている[18]が、須川すがわかおるゆうは「帝国ていこく陸軍りくぐんさく投擲とうてきじゅう製造元せいぞうもと不明ふめい」としている[1]

帝国ていこく海軍かいぐん帝国ていこく陸軍りくぐんさく投擲とうてきじゅうとも発射はっしゃやく黒色こくしょく火薬かやくもちいており[1]帝国ていこく海軍かいぐんのものはヘンリマルチニーじゅうでももちいられた.577/450マルティニ・ヘンリーだん空包くうほう帝国ていこく陸軍りくぐんのものはじゅうさんねんしき村田むらた単発たんぱつじゅう以来いらいもちいられていた11mm村田むらただん英語えいごばん改造かいぞう30ばんみち英語えいごばん相当そうとう真鍮しんちゅう薬莢やっきょうもちいていた[17]

日本にっぽん製造せいぞうメーカー

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歴史れきし

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1791ねん英国えいこくのジョン・ベルが接岸せつがんするふねけてロープを発射はっしゃする装置そうち発明はつめいしたが、実際じっさい使つかわれることかった[23][24]。しかし、19世紀せいき初頭しょとうには海岸かいがん設置せっちして使用しようする様々さまざまさく発射はっしゃ装置そうち座礁ざしょうした船舶せんぱくから船員せんいん救助きゅうじょする用途ようと配備はいびされた。さく発射はっしゃ装置そうち近代きんだいてき通信つうしん装置そうち航法こうほう装置そうち誕生たんじょうする以前いぜん時代じだい英語えいごばんにおいては、船舶せんぱくしょうじた深刻しんこく問題もんだいたいする重要じゅうよう器材きざいであった。

19世紀せいき開発かいはつされたもののいちれいとしては、

などがげられる。

大砲たいほうがたやロケットがたのライン・スローワーは最大さいだいで700ヤード(やく640m)ほど射程しゃていがあったが、装置そうち巨大きょだいであったため陸上りくじょうから座礁ざしょうせんけて発射はっしゃする運用うんよう形態けいたい主体しゅたいであった。そのためW.W.グリーナー英語えいごばんひとしいくつかの散弾さんだんじゅうメーカーは、船上せんじょう運用うんよう可能かのう最大さいだい150ヤード(やく137m)程度ていど射程しゃてい小銃しょうじゅうがたのライン・スローワーを開発かいはつしたが、その反動はんどうつよさから射程しゃてい向上こうじょうには一定いってい以上いじょう制約せいやくけられなかった。こうした状況じょうきょう劇的げきてき改善かいぜんされるのは、1927ねん英国えいこくのウィリアム・シャムリーが「銃器じゅうき火薬かやくのガス圧力あつりょくもちいて、弾丸だんがんではなくロケットを発射はっしゃする」というアイデアにもとづいたシャムリー・ロケット・ピストル・アパラタス(SRPA)を発明はつめいして以降いこうである。SRPAは最大さいだいで300ヤード(やく274m)前後ぜんこう射程しゃてい[26]ちながらも反動はんどう非常ひじょうすくなく、100ヤード(やく91m)程度ていど近距離きんきょりではボクサー・ロケットなどのロケットがたライン・スローワーとくらべてよりせい確度かくど精度せいどゆうしており、1928ねんには排水はいすいりょう500トン以上いじょう英国えいこくせき船舶せんぱくすべてにSRPAまたはSRPA兼用けんよう信号しんごう拳銃けんじゅう[27]搭載とうさい義務付ぎむづけられることとなった[28]

近代きんだいてきなシステム

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近代きんだいてきなロケットがたさく発射はっしゃ装置そうちは、海上かいじょうにおける人命じんめい安全あんぜんのための国際こくさい条約じょうやく(SOLAS条約じょうやく)への適合てきごうためおおくの船舶せんぱく共通きょうつうして採用さいようされているが[29]1980年代ねんだい後半こうはんになるとそらあつしきさく発射はっしゃじゅう英語えいごばん発明はつめいされ、かた射撃しゃげき可能かのうことからひろ普及ふきゅうした。こうしたそらあつしき著名ちょめいなものは、英国えいこくアイルランド特殊とくしゅ部隊ぶたいにてかぎなわとうてきする目的もくてきもちいられているプルメット AL-52英語えいごばんであろう[30]製品せいひん構造こうぞうなどにもよるが、そらあつしき最大さいだい射程しゃていやく120m[19]から230m程度ていど[31]火薬かやくしきくらべれば距離きょりおとるが、などの特殊とくしゅだん(浮環だん)の発射はっしゃ可能かのうとなったことから、海難かいなん事故じこのみならず洪水こうずいなどの水害すいがいにおける水難すいなん救助きゅうじょ山岳さんがく救助きゅうじょ都市としがたレスキューなどにおける重要じゅうよう機材きざいひとつとなっている[32]日本にっぽん消防しょうぼう採用さいようしているそらあつしき救命きゅうめいさく発射はっしゃじゅう射程しゃていは、ロープきゴムだんやく90m、浮環だんやく80mとされる[33]

そらあつしき発射はっしゃおんがほとんどしないことから、人質ひとじち救出きゅうしゅつ作戦さくせんなどにおいて建物たてもの高所こうしょから迅速じんそく特殊とくしゅ部隊ぶたいいん侵入しんにゅうさせるための機材きざいとしてももちいられている[34]

単純たんじゅん高所こうしょさくとうてきする目的もくてきではそらあつしきより安価あんか簡便かんべん運用うんよう可能かのうなシステムとしてスリングショットかたのものも登場とうじょうしている[35]

ギャラリー

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d 信号しんごうじゅうさく投擲とうてきじゅう -Japanease Weapons.net(須川すがわかおるつよし)
  2. ^ 曳航えいこう訓練くんれん - 巡視じゅんしせんきいのページ
  3. ^ 消防しょうぼう防災ぼうさい最前線さいぜんせん 救助きゅうじょ活動かつどうへん災害さいがい現場げんば必需ひつじゅひん だいだん! 救命きゅうめいさく発射はっしゃじゅう - 舞鶴まいづる消防しょうぼう本部ほんぶ
  4. ^ 銃砲じゅうほう刀剣とうけんるい所持しょじとう取締とりしまりほう - MWCホールディング
  5. ^ 輸出ゆしゅつ統計とうけい品目ひんもくひょう(2012ねん1がつばんだい19 武器ぶきおよ銃砲じゅうほうだんならびにこれらの部分ぶぶんひんおよ附属ふぞくひん - 税関ぜいかん Japan Customs
  6. ^ Springfield 1884 Carbine Line Throwing Gun - Lighthouse Antiques, Lenses, Nautical Museum。(スプリングフィールドM1884英語えいごばんがベース)
  7. ^ Silenced Enfield Obrez…? Uh, no. - WeaponsMan。(SMLE MK.IIIがベースで、ユニバーサル・キャリアにて運用うんようされたもの)
  8. ^ Bridger Shoulder Line Gun Kit - Naval Company。(.45-70だん英語えいごばん仕様しようもとおりしき単発たんぱつ単身たんしんじゅうをベースとしたもの)
  9. ^ Smith and Wesson MODEL 270 INTERNATIONAL SIGNAL - GunsAmerica
  10. ^ 洋上ようじょう補給ほきゅうかせないじゅう「ラインガン」とは? - HB-PLAZA
  11. ^ line throwing guns - Survival Monkey Forums]
  12. ^ 銃砲じゅうほう刀剣とうけんるいかんする申請しんせい手続てつづき - 埼玉さいたまけん警察けいさつ
  13. ^ value on a KFC line throwing gun - Wehrmacht-Awards.com Militaria Forums
  14. ^ B.S.A. Line Throwing gun - ビクトリア州立しゅうりつ図書館としょかん
  15. ^ Japanese Naval Marked Martini Henry Line Throwing Gun(BSA pattern) - Nambu World
  16. ^ Japanese Naval Marked Martini Henry Line Throwing Gun (Update) - Nambu World
  17. ^ a b WW1 Japanese Line throwing cartridge info needed (Mark B Grenade Rifle variant) - International Ammunition Association Web Forum
  18. ^ Imperial Japanese Grenade Launchers - リンクれ、[1](Archive.isによるウェブアーカイブ)
  19. ^ a b 救命きゅうめい用品ようひん救命きゅうめいさく発射はっしゃじゅう - 株式会社かぶしきがいしゃミロク精機せいき製作所せいさくしょ
  20. ^ 救命きゅうめいさく発射はっしゃ装置そうち レスキューマックス帝国繊維ていこくせんい株式会社かぶしきがいしゃ
  21. ^ 救命きゅうめいさく発射はっしゃ - 興亜こうあ化工かこう株式会社かぶしきがいしゃ
  22. ^ 製品せいひん案内あんない - 国際こくさい化工かこう株式会社かぶしきがいしゃ
  23. ^ Parl. Papers, 1810–11 vol. xi, No. 215, 1814 xi.417–51
  24. ^ Trans. Soc. of Arts, 1807, vol. xxv
  25. ^ "Rocket and Rocket Launcher", "Rocket shed brochure"
  26. ^ The Biography of WILLIAM SCHERMULY and THE HISTORY OF THE SCHERMULY PISTOL ROCKET APPARATUS LTD. - Pyrobin
  27. ^ Deactivated WWI & WWII Era Schermuly Flare / Line Thrower Pistol - Arundel Militaria
  28. ^ Line Throwing Gun - Firearms History, Technology & Development
  29. ^ Most Dangerous Object in the Office: The Rocket-Propelled Ikaros Line Thrower - WIRED
  30. ^ Plumett Ltd - Airlaunchers - Smith and Jewell
  31. ^ PLT PNEUMATIC LINE THROWERS - Restech Norway
  32. ^ The ResQmax™ line throwers represent the best performing devices for maritime, urban, industrial and rescue communities by shattering the boundaries of timeworn pyrotechnic line guns. - ResQmax.com
  33. ^ 消防しょうぼう防災ぼうさい最前線さいぜんせん 救助きゅうじょ活動かつどうへん災害さいがい現場げんば必需ひつじゅひん だいだん! 救命きゅうめいさく発射はっしゃじゅう - 舞鶴まいづる消防しょうぼう本部ほんぶ
  34. ^ Shoulder-Fired Launcher used for Vessel Stopping (RGES), Urban Method of Entry, or Vessel Boarding - ResQmax.com
  35. ^ Big Shot Pro Sling Shot Product Reviews - eHam.net

関連かんれん項目こうもく

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