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細菌さいきん学がく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』

細菌さいきん学がく（さいきんがく、英語えいご：bacteriology）とは、

  1. 微生物びせいぶつ全般ぜんぱんの中なかで、特とくに病原びょうげん性せいを持もつ微生物びせいぶつに対たいして適用てきようされる学問がくもん（＝病原びょうげん微生物びせいぶつ学がく[1][2][3]）
  2. 細菌さいきん（真正しんしょう細菌さいきん）と、かつて細菌さいきんの一部いちぶとされていた古こ細菌さいきんの2つを含ふくむ、原核げんかく生物せいぶつを対象たいしょうに研究けんきゅうする学問がくもん（＝狭義きょうぎの細菌さいきん学がく）
  3. 上記じょうき(2)のうち古こ細菌さいきんを除のぞいた、細菌さいきん（真正しんしょう細菌さいきん）を対象たいしょうに研究けんきゅうする学問がくもん（真正しんしょう細菌さいきん学がく）
  4. 細菌さいきんを含ふくめた微生物びせいぶつ全般ぜんぱん（真ま菌きん、ウイルスなどを含ふくむ）を扱あつかう学問がくもん（＝微生物びせいぶつ学がく[4][5]）
  5. 病原びょうげん微生物びせいぶつのうち、特とくに細菌さいきんに対たいして適用てきようされる学問がくもん（＝病原びょうげん細菌さいきん学がく[6]）

以上いじょうのような学問がくもん分野ぶんやを意味いみするものとして扱あつかわれる。日本にっぽんの専門せんもん学校がっこうや大学だいがくなどでは、医学いがく・歯学しがく・薬学やくがく・看護かんご学がく・栄養えいよう学がく・調理ちょうり科学かがく・農学のうがく・理学りがく、生物せいぶつ学がく、生命せいめい科学かがくなどの分野ぶんやで専門せんもん教科きょうかの一ひとつとして扱あつかわれることが多おおい。2005年ねん現在げんざい、これらの専門せんもん教育きょういくの課程かていでは、しばしば上記じょうきのうち、1（病原びょうげん微生物びせいぶつ学がく）または5（病原びょうげん細菌さいきん学がく）を指さすことが多おおいが、研究けんきゅうの場ばでは2（狭義きょうぎの細菌さいきん学がく）または3（真正しんしょう細菌さいきん学がく）の意味いみで扱あつかわれることも多おおい。

概要がいよう

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細菌さいきん学がくという分野ぶんやが指さす領域りょういきが複数ふくすうに亘わたっている理由りゆうは、その成立せいりつした過程かていによる。

ロベルト・コッホによる炭疽たんそ菌きんの発見はっけんからはじまった、病原びょうげん体たいとしての細菌さいきん研究けんきゅうの黎明れいめい期きから[7]、日本人にっぽんじんはその研究けんきゅうに従事じゅうじ・貢献こうけんして北里きたさと柴しば三郎さぶろうや志賀しが潔きよしなどの細菌さいきん学者がくしゃを輩出はいしゅつしてきた[8]。この関係かんけいから、日本にっぽん国内こくないにおいては細菌さいきん学がくという学問がくもんが病原びょうげん体たいを扱あつかう分野ぶんやとして成長せいちょうを遂とげてきた。その後ご、細菌さいきん以外いがいの病原びょうげん体たいであるウイルスの発見はっけんや、分類ぶんるい学がくの発達はったつによって細菌さいきんと真ま菌きんの違ちがいや真正しんせい細菌さいきんと古こ細菌さいきんの違ちがいが明確めいかく化かされたことなどから、これらを「細菌さいきん学がく」に含ふくめて、対象たいしょうとして扱あつかうことには齟齬そごが生しょうじたため、より適てきした名称めいしょうとして「微生物びせいぶつ学がく」が用もちいることが主流しゅりゅうになり、今日きょうに至いたっている。しかしながら、古ふるくから続つづいている学会がっかい（日本にっぽん細菌さいきん学会がっかい）や、研究けんきゅう機関きかん、書籍しょせきにおいては、未いまだに微生物びせいぶつ学がくを表あらわすもの（上記じょうきの4）として細菌さいきん学がくを用もちいているものも見みられる。

口腔こうくう細菌さいきん学がく

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詳細しょうさいは「口腔こうくう細菌さいきん学がく」を参照さんしょう

また、歯学しがく分野ぶんやでは、口腔こうくう細菌さいきん学がくという口腔こうくう領域りょういきの研究けんきゅう分野ぶんやが存在そんざいし、多おおくの歯科しか医師いし、感染かんせん症しょう専門医せんもんい、インフェクションコントロールドクター、理学りがく・農学のうがく研究けんきゅう者しゃが研究けんきゅうに従事じゅうじしている。

他た分野ぶんやとの関連かんれん

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細菌さいきんや微生物びせいぶつについては、その病原びょうげん体たいとしての重要じゅうよう性せいとヒトとの関かかわりの深ふかさから医学いがく領域りょういきからの研究けんきゅうがもっとも進すすんでいる。このため、ヒトに対たいして病原びょうげん性せいのあるものについての研究けんきゅうが数多かずおおく、古こ細菌さいきんなど非ひ病原びょうげん性せいのものについての研究けんきゅうは比較的ひかくてき少すくない。このことから細菌さいきん学がく全般ぜんぱんとしても、細菌さいきんや微生物びせいぶつの病原びょうげん性せいに関かんするテーマが扱あつかわれることが多おおく、上述じょうじゅつの1や5の意味いみで用もちいられることが多おおい。この傾向けいこうは、特とくに医学いがく関連かんれんの専門せんもん教育きょういくの分野ぶんやで顕著けんちょである。また細菌さいきん学がくに関連かんれんする事象じしょうとして、感染かんせん症しょう学がく全般ぜんぱんや免疫めんえき学がく、遺伝いでん学がくなどについても触ふれられることがある。

しかしながら、細菌さいきん学がくには細菌さいきんや微生物びせいぶつを生態せいたい学がく的てきに扱あつかう立場たちばも含ふくまれており、発酵はっこうや醸造じょうぞうなど微生物びせいぶつの有効ゆうこう利用りようや、分子生物学ぶんしせいぶつがく的てきな研究けんきゅう・応用おうようもまた、細菌さいきん学がくで扱あつかうテーマの一ひとつである。

関連かんれん用語ようご

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 病原びょうげん微生物びせいぶつ学がく―基礎きそと臨床りんしょう、荒川あらかわ宜むべ親おや、柳やなぎ雄介ゆうすけ、神谷かみや茂しげる (編へん)、 東京とうきょう化学かがく同人どうじん (2014/12/1)
  2. ^ 病原びょうげん微生物びせいぶつ学がく、矢野やの郁也いくや、熊沢くまさわ義雄よしお、内山うちやま竹彦たけひこ (編へん)、東京とうきょう化学かがく同人どうじん (2002/11/25)
  3. ^ 基礎きそ病原びょうげん微生物びせいぶつ学がく、檀だん原はら宏文ひろふみ、田口たぐち文章ふみあき (著ちょ)、広川ひろかわ書店しょてん (2005/8/25)
  4. ^ シンプル微生物びせいぶつ学がく(改訂かいてい第だい6版はん)、小熊こぐま惠二けいじ、堀田ほった博ひろし、若宮わかみや伸しん隆たかし (編へん)、南江堂なんこうどう (2018/2/27)
  5. ^ 標準ひょうじゅん微生物びせいぶつ学がく 第だい14版はん、神谷かみや茂しげる (監修かんしゅう)、錫すず谷たに達夫たつお、松本まつもと哲哉てつや (編へん)、医学書院いがくしょいん (2021/3/22)
  6. ^ 病原びょうげん細菌さいきん学がく〈1〉総論そうろん、小林こばやし英一ひでかず (著ちょ)、桜さくら楓かえで社しゃ (1980/10/1)
  7. ^ Blevins, Steve M.; Bronze, Michael S. (2010). “Robert Koch and the 'golden age' of bacteriology”. International Journal of Infectious Diseases 14 (9): e744–751. doi:10.1016/j.ijid.2009.12.003. PMID 20413340. 
  8. ^ 上山うえやま明博あきひろ『北里きたさと柴しば三郎さぶろう 感染かんせん症しょうと闘たたかいつづけた男おとこ』青土おうづち社しゃ、2021年ねん（ ISBN 9784791774128）

外部がいぶリンク

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