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茶筅ちゃせん

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ちゃせんから転送てんそう
茶筅ちゃせんいちれい
茶筅ちゃせん使用しようれい

茶筅ちゃせん(ちゃせん)または茶筌ちゃせんとは、茶道さどうにおいて抹茶まっちゃてるのに使用しようする茶道具ちゃどうぐのひとつで、くわえた抹茶まっちゃ茶碗ちゃわんなかぜるための道具どうぐ[1]たけせいのものがほとんどだが流派りゅうはにより使用しようするたけ種類しゅるいいろことなる[1]

流派りゅうはによっては薄茶うすちゃ点前てまえさいあわをたっぷりとてる場合ばあいがあるため、あわだてうつわ一種いっしゅ理解りかいされることもおおいが、本来ほんらいは攪拌のための道具どうぐである。現代げんだいではアウトドアなどの用途ようとけに金属きんぞくせい・プラスチックせい製品せいひんもある。

形状けいじょう[編集へんしゅう]

たけ一端いったんほそき、うすけずった先端せんたん内側うちがわやわらかくカーブさせたものが一般いっぱんてきである。普通ふつうは3すん7ふん(12cmじゃく)ほどのおおきさであるが、おおきなものとして西大寺さいだいじだいちゃもりもちいられるたかさ1しゃく2すんやく36cm)のものが有名ゆうめいである。かたち流派りゅうは用途ようとによってさまざまである。ぎゃくたけになっていて、たけ根本こんぽんがわ穂先ほさき加工かこうする。

すう名称めいしょう
すう 名称めいしょう
16 たいらみのる
32 あらみのる
48 中荒なかあら
64 つねなみ
68~74 かずしげる
75~80 はちじゅう本立ほんたて
81~95 ひゃく本立ほんたて
96~120 ひゃくじゅう本立ほんたて

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用途ようとによってかずは16ほんから120ほんまであるが、64ほん標準ひょうじゅんかんがえられている。このかずそと本数ほんすうで、64ほんならそとうちわせれば128ほんになる。すうすくなければふとこしつよ茶筅ちゃせんになり、すうおおければきめこまかな茶筅ちゃせんになる。そこで一般いっぱんちゃ場合ばあいにはすうすくないものを、薄茶うすちゃてるときにはすうおおいものをもちいる。

すうおおいものほど製作せいさく技術ぎじゅつようするためかくたか茶筅ちゃせんとされ、明治維新めいじいしん以前いぜんは80ほん以上いじょうすう大名だいみょう以上いじょう貴人きじんよう、120ほん将軍しょうぐんようとされていた。大名だいみょうちゃ場合ばあいには、すうおおくかつふとくするためふとたけ茶筅ちゃせんつくり、これをたから莱とんだ。すうすくない茶筅ちゃせん薄茶うすちゃてるには技量ぎりょう必要ひつようとするため、ぎゃくすうおお茶筅ちゃせんもちいることでみずからの未熟みじゅくしめして謙遜けんそんする意味合いみあいもあった。78ほん茶筅ちゃせんもちいるのはこの意味合いみあい。

いと[編集へんしゅう]

からみいと、かがりいとなどとばれている。通常つうじょうくろいともちいるが、流派りゅうは趣向しゅこうによってしろあかいともちいることがある。あかいと茶筅ちゃせん代表だいひょうてきなものが長寿ちょうじゅのいわいごともちいられるしゅく茶筅ちゃせんで、還暦かんれき古希こきではもとふし喜寿きじゅ米寿べいじゅではふししとする。

製法せいほう[編集へんしゅう]

原材料げんざいりょう[編集へんしゅう]

たけさむし、生駒いこま高山たかやままちにて

おもハチクPhyllostachys nigra)を原材料げんざいりょうとするが、通常つうじょう淡竹はちく(はちく)のほか紫竹しちく(しちく)などいろづく品種ひんしゅもちいられている。通常つうじょうは3ねんふゆ伐採ばっさいし、煮沸しゃふつしてあぶらいてから露天ろてんしにしてしろちくにし、そのしばらく(数ヶ月すうかげつすうねんかせてから加工かこうする。正月しょうがつよう天日てんじつにさらさず青竹あおだけのまま加工かこうする場合ばあいがあり、また流派りゅうは趣向しゅこうおうじて煤竹すすたけ長年ながねんいぶされたざい)をもちいることもある。

加工かこう[編集へんしゅう]

  1. コロ
    ふしはさむようにって円筒えんとうがたの「コロ」にする。ながさは3すん7ふん(12cmじゃく)が標準ひょうじゅんてき
  2. かわむき
    穂先ほさきとなる部分ぶぶん根本こんぽんがわ)のかわうすくむく。吸収きゅうしゅうはやくすることで穂先ほさきれにくくする効果こうかがある。
  3. だい
    根本こんぽんがわからふしちかくまで16等分とうぶんる。かたたけふとさやつくかずによって12~24等分とうぶん変化へんかする。
  4. 片木かたぎ
    等分とうぶんしたそれぞれを外側そとがわにこじあげて、たけにくはずかわだけのこす。
  5. 小割こわ
    目的もくてきとするすうっていく。はちじゅう本立ほんたてなら16等分とうぶんしたそれぞれを5等分とうぶんし、さらに均等きんとうに2つにる。
  6. あじけず
    ひたしてやわらかくしてから、内側うちがわをこするようにいでうすくする。
  7. 面取めんと
    そと面取めんとりをする。てるときに抹茶まっちゃ付着ふちゃくしないようにする効果こうかがある。
  8. しもみ・うえ
    いとんでそとひろげる。
  9. 仕上しあ
    穂先ほさきをしごいてかたちととのえる。

由来ゆらい[編集へんしゅう]

茶筅ちゃせんはもともとなべなどのきをとす道具どうぐ、筅(ささら)から由来ゆらいしている。 芸術げいじゅつまでたかめられた高山たかやま奈良ならけん生駒いこま高山たかやままちさん茶筅ちゃせんでは「筌」の使つかうことが通例つうれいである。

茶筅ちゃせんどお[編集へんしゅう]

点前てまえちゃてる前後ぜんごに、茶碗ちゃわんまたはみずって穂先ほさきったり、茶筅ちゃせん茶碗ちゃわん目前もくぜんあいだげしたりする所作しょさ茶筅ちゃせんどおしとぶ。ちゃてるまえかならもちい、茶碗ちゃわんあたためると同時どうじ穂先ほさき馴染なじませやわらかくしてれにくくする効果こうかがある。一方いっぽうちゃてたのちみずまたはもちい、茶碗ちゃわん茶筅ちゃせん同時どうじにすすぐことになる。そこで、てるまえを「茶筅ちゃせんじ」、てたのちを「茶筅ちゃせんすすぎ」とんで区別くべつすることもある。事前じぜん水屋みずや確認かくにんみの茶筅ちゃせんたいして茶筅ちゃせんどおしをおこなうのは、穂先ほさききゃくいのしたあらためて、れやよごれのないことを再度さいどたしかめる意味いみがある。茶筅ちゃせん茶碗ちゃわんえんいてえながら上下じょうげかえし、茶筅ちゃせんぜんしゅうすうかいけて検分けんぶんする。茶筅ちゃせんえるたびに、茶碗ちゃわんえんへあずけるようにててかるおとてるならいになっており、真言しんごん密教みっきょうの灑水(しゃすい)のれい由来ゆらいしたきよしめの意味いみがあるとされる[よう出典しゅってん]

茶筅ちゃせん供養くよう[編集へんしゅう]

茶筅ちゃせんかずある茶道具ちゃどうぐなかでも代替だいたいかないもので、技術ぎじゅついき精魂せいこんとをめてつくられる工芸こうげいひんである。しかしほそられたたけ水分すいぶんにさらすという用途ようとであり、穂先ほさき茶碗ちゃわん内面ないめん接触せっしょくすることもけられないため必然ひつぜんてき消耗しょうもうひんである。本来ほんらいならば1かい使つかて、大事だいじもちいてもすうじゅうかい使つかえば穂先ほさきれてしまう。そこで使つかえた茶筅ちゃせんげて感謝かんしゃしめすのが茶人ちゃじんならいとなっており、針供養はりくようふで供養くようなどと同様どうよう茶筅ちゃせん供養くようばれている。この目的もくてき建立こんりゅうされるのが茶筅ちゃせんづかで、現在げんざいでは全国ぜんこく各地かくちられるが、これは大正たいしょうから昭和しょうわにかけてひろまった比較的ひかくてきあたらしい習慣しゅうかんらしい[よう出典しゅってん]

派生はせいした言葉ことば[編集へんしゅう]

  • 茶筅ちゃせんまげ(ちゃせんまげ) - うしがみこう位置いちみじか髪型かみがた形状けいじょう茶筅ちゃせんているところから。
  • 茶筅ちゃせんり - 料理りょうり使つかナスかたひとつ。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 内山うちやま一元いちげん 『茶筌ちゃせん博物はくぶつ東京とうきょう書房しょぼうしゃ、1974ねん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

生駒いこま高山たかやままち伝統でんとう工芸こうげいひん高山たかやま茶筌ちゃせん産地さんち日本にっぽん茶筅ちゃせん生産せいさんりょうの8わり~9わりめる(外部がいぶリンク参照さんしょう)。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]