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資源しげんのろ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

資源しげんのろ(しげんののろい、えい: resource curse)とは、鉱物こうぶつ石油せきゆなど再生さいせい自然しぜん資源しげん豊富ほうふ地域ちいきにおける経済けいざい用語ようごである。こうした地域ちいきでは、資源しげん豊富ほうふさに反比例はんぴれいして工業こうぎょう経済けいざい成長せいちょう資源しげんすくないくによりもおそいとされる。このことから豊富ほうふさの逆説ぎゃくせつ (paradox of plenty) ともいう。

この仮説かせつはいくつかのことなった論拠ろんきょからきている。オランダびょうとしてもられる、天然てんねん資源しげん輸出ゆしゅつにより製造せいぞうぎょう衰退すいたいし、失業しつぎょうりつたかまる現象げんしょうもその理由りゆうひとつにはいっている。また、国際こくさいてき天然てんねん資源しげん相場そうば価格かかく不安定ふあんていさがこれらの地域ちいき経済けいざい直接ちょくせつ影響えいきょうおよぼすため、不安定ふあんてい経済けいざい体制たいせいになってしまっていることもその要因よういんひとつである。

この資源しげんのろいは、資源しげん豊富ほうふくにかならられる現象げんしょうというわけではないが、おおくのくにについててはまっているとされる[1][2]

概要がいよう

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天然てんねん資源しげん経済けいざいかんして祝福しゅくふくというよりむしろのろいだとするかんがかたは、1980年代ねんだいから注目ちゅうもくされはじめた。用語ようごとしてはじめてもちいられたのは、1993ねんにリチャード・アウティの「資源しげんのろいという命題めいだい (resource curse thesis)」である。直感ちょっかんはんして、資源しげん豊富ほうふ国々くにぐに資源しげん経済けいざい成長せいちょう推進すいしんのために使つかうことがいかにできていないか、そしてそうした国々くにぐに資源しげん豊富ほうふでないくによりも経済けいざい成長せいちょうしにくいということについてべられている[3]

この問題もんだいについては多数たすう研究けんきゅうがあり、そのひとつは、ジェフリー・サックスとアンドリュー・ワーナーによるもので、自然しぜん資源しげん豊富ほうふさと、まずしい経済けいざい成長せいちょう関係かんけいしめしている[4]

自然しぜん資源しげん豊富ほうふさと経済けいざい成長せいちょうとのつながりのさは、石油せきゆ産出さんしゅつこくれいることができる。1965ねんから1998ねんOPEC諸国しょこく一人ひとりあたりGNP成長せいちょうりつは、とし平均へいきんで1.3%ほど減少げんしょうしている。一方いっぽうその世界せかい国々くにぐに毎年まいとし平均へいきんで2.2%の成長せいちょうげている[5]

経済けいざい成長せいちょうすすまない原因げんいん

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豊富ほうふ資源しげん経済けいざい発展はってんむすびつかない原因げんいんとして、イギリスの経済けいざい学者がくしゃリチャード・アウティ以下いかのような事例じれいがあるとした。

  • 資源しげん依存いぞんし、産業さんぎょうそだたない。
  • 資源しげん確保かくほため過度かど開発かいはつすすみ、土地とち荒廃こうはいする。
  • 資源しげん確保かくほをめぐる内戦ないせん政治せいじ腐敗ふはい進行しんこう
  • 資源しげんとみ宗主そうしゅこく吸収きゅうしゅうされる。

紛争ふんそうリスク

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あるくにGDPのうちいちばんおおきな割合わりあいめる輸出ゆしゅつひんについて、輸出ゆしゅつがく占有せんゆうりつが5%程度ていどならばそのくに紛争ふんそうきるリスクは6%ほどだが、25%になると紛争ふんそうきるリスクが33%まで上昇じょうしょうするという研究けんきゅうがある[6][7]

資源しげんのろいからうご

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このような傾向けいこうおちいらないよう、資源しげんこくではそれを回避かいひする政策せいさくられている。たとえばカザフスタンではソブリン・ウエルス・ファンド設立せつりつし、資源しげんからとみ積極せっきょくてき投資とうしまわし、資源しげん依存いぞんしない収入しゅうにゅうげんとしている。このようなうごきは、ノルウェーモーリタニアイランでもおこなわれているが、一方いっぽうベネズエラナウルひとしではいまだに資源しげん依存いぞんしたモノカルチャー経済けいざいとなっており、脱却だっきゃく課題かだいとなっている。

出典しゅってん

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  1. ^ http://www.cmi.no/file/?825[リンク]
  2. ^ 資源しげんのろ”. cs2.toray.co.jp. 株式会社かぶしきがいしゃとう経営けいえい研究所けんきゅうじょ (2014ねん12月8にち). 2022ねん9がつ17にち閲覧えつらん
  3. ^ Auty, Richard M. (1993). Sustaining Development in Mineral Economies: The Resource Curse Thesis. London: Routledge 
  4. ^ Sachs, Jeffrey D; Warner, Andrew M (1995-02-02), NBER Working Paper 5398: Natural resource abundance and economic growth, http://ideas.repec.org/p/nbr/nberwo/5398.html 2009ねん6がつ29にち閲覧えつらん 
  5. ^ Gylfason, T (2001), “Natural resources, education, and economic development”, European Economic Review (Elsevier) 45 (4-6): 847–59, doi:10.1016/s0014-2921(01)00127-1, http://www.hi.is/~gylfason/pdf/dp2594.pdf 
  6. ^ Natural resources and violent conflict: options and actions. Bannon, Ian and Collier, Paul (eds), (2003) World Bank,
  7. ^ Collier, Paul (2003) "Natural Resources, Development and Conflict: Channels of causation and Policy Interventions," World Bank.

関連かんれん項目こうもく

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