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経済成長の黄金律 - Wikipedia コンテンツにスキップ

経済けいざい成長せいちょう黄金おうごんりつ

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出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
成長率一定で消費が最も多いのが黄金律
黄金おうごんりつのイメージ

経済けいざい成長せいちょう黄金おうごんりつ(けいざいせいちょうのおうごんりつ)は、一定いってい成長せいちょうりつすす経済けいざい成長せいちょうのうちで、消費しょうひもっとおお経済けいざい成長せいちょうである[1]黄金おうごんのりともやく[2]

エドムンド・フェルプス寓話ぐうわは、むかしむかしソロヴィア王国おうこく百姓ひゃくしょうオイコ・ノモスが黄金おうごんりつおもいつきました、という筋書すじがきだが[3]本当ほんとう1960年代ねんだいはじめにフェルプスをふくむすうにん経済けいざい学者がくしゃがそれぞれ独自どくじ黄金おうごんりつ発案はつあんした[4]。フェルプスらの定理ていりによると、利子りしりつ成長せいちょうりつひとしいのが黄金おうごんりつである[5]

黄金おうごんりつでは資本しほんかせいだ収益しゅうえきすべ投資とうしして蓄積ちくせきする。このことを蓄積ちくせき黄金おうごんりつ[6]とも資本しほん蓄積ちくせき黄金おうごんりつ[7]ともいう。黄金おうごんりつでは資本しほん収益しゅうえきすべさい投資とうししないといけないので、資本しほん所有しょゆうするだけの不労所得ふろうしょとく生活せいかつしゃなに消費しょうひできない[8]黄金おうごんりつ実現じつげん経済けいざい成熟せいじゅくしめ[9]

黄金おうごんりつ単純たんじゅんなのでかりやすい[10]最適さいてき成長せいちょう理論りろん基本きほんちゅう基本きほんとされる[9]政策せいさく当局とうきょく黄金おうごんりつせられて、黄金おうごんりつをめざしたいとおもうことがあるという[10]

概要がいよう[編集へんしゅう]

均斉きんせい成長せいちょう黄金おうごん時代じだい[編集へんしゅう]

1961ねん黄金おうごんりつ提唱ていしょうしたフェルプスは、すべての経済けいざい変数へんすうがそれぞれ一定いってい成長せいちょうりつびてゆく経済けいざい成長せいちょう黄金おうごん時代じだいとよんだ[11]

ジョーン・ロビンソンの肖像(1920年代)
1920年代ねんだいのジョーン。これよりおよそ30ねん黄金おうごん時代じだい定義ていぎする。

この黄金おうごん時代じだい概念がいねん1956ねんジョーン・ロビンソン定義ていぎした[12]現実げんじつには経済けいざい厳密げんみつ一定いっていりつ成長せいちょうしつづけることはないので、黄金おうごん時代じだいという言葉ことばには「実現じつげんしそうにない神話しんわてき状態じょうたい」という意味いみがこめられていた[13]。もともと黄金おうごん時代じだいギリシア神話しんわうえ時代じだい区分くぶんのひとつであり、もっとふるながくつづいた時代じだいであったとされる[14]。フェルプスが黄金おうごんりつ提唱ていしょうしたときの寓話ぐうわは、古代こだいギリシアふう架空かくう王国おうこく舞台ぶたいとし、その主人公しゅじんこう古代こだいギリシアの「経済けいざい」をモジったオイコ・ノモスというであった[3]

黄金おうごんりつ提唱ていしょうされた当時とうじ経済けいざいがく黄金おうごん時代じだいという言葉ことばがつかわれていた[15]現在げんざい経済けいざいがく黄金おうごん時代じだいという言葉ことばをつかうことはほとんどなく、そのかわりに均斉きんせい成長せいちょうという[16]。これを恒常こうじょう状態じょうたいともいうが[17]経済けいざい学者がくしゃによっては成長せいちょうりつがゼロの場合ばあいかぎってこれを恒常こうじょう状態じょうたいとよぶことがあるというのでをつける[18]

黄金おうごんりつ提唱ていしょうされるすこまえニコラス・カルドア経済けいざい統計とうけい観察かんさつし、現実げんじつ経済けいざい成長せいちょうがおおむね均斉きんせい成長せいちょうであるという事実じじつ発見はっけんした[19]。カルドアはこれを定型ていけいされた事実じじつ英語えいごばんとよび、黄金おうごんりつ提唱ていしょうされたとしおなじ1961ねん公表こうひょうした[20]現代げんだい経済けいざい成長せいちょう理論りろんでも、均斉きんせい成長せいちょう現実げんじつ要約ようやくして記述きじゅつする概念がいねんとして有益ゆうえきであるとかんがえられている[21]

均斉きんせい成長せいちょうにおける技術ぎじゅつ進歩しんぽ資本しほん生産せいさん効率こうりつたかめずに労働ろうどう生産せいさん効率こうりつたかめるかのようなかたちになる[22]。これを労働ろうどう拡張かくちょうがた技術ぎじゅつ進歩しんぽという。このことは、1961ねん宇沢うざわ弘文ひろふみ発表はっぴょうした論文ろんぶん証明しょうめいされた(宇沢うざわ定理ていり)。これとおなじ1961ねん黄金おうごんりつ提唱ていしょうしたフェルプスは、はじめこのことにづいていなかったが、1965ねんだい論文ろんぶんでこれをりいれた[23]

黄金おうごんりつ[編集へんしゅう]

均斉きんせい成長せいちょう黄金おうごん時代じだい)は成長せいちょうりつ一定いっていであるというだけで、それ自体じたいのぞましいというわけではない。一方いっぽう、フェルプスは、黄金おうごん時代じだいゴールデン・エイジ)でのぞましいルール黄金おうごんりつゴールデン・ルール)とよんだ[3]黄金おうごんりつ消費しょうひ最大さいだいする黄金おうごん時代じだい均斉きんせい成長せいちょう)と定義ていぎされる[4]

黄金おうごんりつ最大さいだいされるのは消費しょうひであって、生産せいさん所得しょとく最大さいだいされるわけではない。政策せいさく評価ひょうか経済けいざい分析ぶんせき実務じつむでは国内こくないそう生産せいさん国民こくみん所得しょとくゆたかさをはかるが、経済けいざいがくでは消費しょうひゆたかさを評価ひょうかする[24]

エドムンド・フェルプスの肖像(1984年)
1984ねんのフェルプス。この23ねんまえ黄金おうごんりつ提唱ていしょうした。

黄金おうごんりつ定理ていりによると、資本しほん収益しゅうえきりつ利子りしりつ)が成長せいちょうりつひとしくなる均斉きんせい成長せいちょう存在そんざいする場合ばあい、その均斉きんせい成長せいちょう消費しょうひ最大さいだいする黄金おうごんりつである[4]。この定理ていり言葉ことば説明せつめいするとつぎのとおりである。資本しほんやしたうえで成長せいちょうりつ一定いってい均斉きんせい成長せいちょうをたもつと、資本しほんえたことで生産せいさんえて消費しょうひえるが、その一方いっぽうで、均斉きんせい成長せいちょうをたもつには資本しほんへのさい投資とうしやさないといけないので、そのさい投資とうしぶんだけ消費しょうひってしまう。すると、増産ぞうさん消費しょうひえるぶんと、さい投資とうし消費しょうひわかとがバランスするところがあれば、そこで消費しょうひ最大さいだいされる。そして、資本しほんえたぶん資本しほん収益しゅうえきりつをかけたぶんだけ生産せいさんえ、また、資本しほんえたぶん成長せいちょうりつをかけたぶんだけさい投資とうししないと均斉きんせい成長せいちょうをたもてないことがわかっている。これらをかんがえあわせると、資本しほん収益しゅうえきりつ成長せいちょうりつがバランスするところが、増産ぞうさん消費しょうひえるわかさい投資とうし消費しょうひぶんがバランスするところであり、そこが消費しょうひ最大さいだいする黄金おうごんりつである。つまり資本しほん収益しゅうえきりつ成長せいちょうりつひとしくなるところが黄金おうごんりつである。以上いじょうについて数式すうしきをもちいた説明せつめい黄金おうごんりつ定理ていりふし参照さんしょう

黄金おうごんりつのアイデアは1947ねんモーリス・アレフランス語ふらんすごあらわしたほんにさかのぼるといわれるが、黄金おうごんりつひろられるようになったは、1961ねんにフェルプスが寓話ぐうわのかたちのペーパー[3]アメリカン・エコノミック・レビュー発表はっぴょうしてからである[25]。そのフェルプスは1965ねん同誌どうしだい論文ろんぶん[4]発表はっぴょうし、1966ねん著書ちょしょ経済けいざい成長せいちょう黄金おうごんりつ[26]刊行かんこうした。このあいだ黄金おうごんりつ同様どうようのアイデアは、モーリス・アレやジョーン・ロビンソン、トレイヴァー・スワン英語えいごばんカール・クリスティアン・フォン・ヴァイツゼッカードイツばんジャック・デルソーフランス語ふらんすごばんによっても発表はっぴょうされた[27]

2006ねんフェルプスがノーベル経済けいざいがくしょう受賞じゅしょうしたさい、フェルプスの業績ぎょうせきひとつに黄金おうごんりつかんする研究けんきゅうげられた[25]

黄金おうごんりつ貯蓄ちょちくりつ[編集へんしゅう]

フェルプスの寓話ぐうわはソロヴィア王国おうこく舞台ぶたいとする[3]。ソロヴィア王国おうこくという国名こくめいはフェルプスの同僚どうりょう学者がくしゃロバート・ソローせいをモジったものであり、ソローの成長せいちょうモデルは貯蓄ちょちくりつ s一定いってい仮定かていするモデルであった[28]。フェルプスがはじめて黄金おうごんりつ提唱ていしょうしたとき、ソロヴィア王国おうこくひとびとは単純たんじゅんなので生産せいさんぶつ一定いってい割合わりあい s蓄積ちくせきするものと仮定かていして、sなかから消費しょうひ最大さいだいする黄金おうごんりつをえらぶというかんがかたをしていた[3]。このかんがかたによると、黄金おうごんりつでは、資本しほん収益しゅうえき所得しょとくめる割合わりあいと s がひとしくなるという関係かんけいりたつ[3]。この関係かんけいをフェルプスは蓄積ちくせき黄金おうごんりつとよんだ[6]資本しほん蓄積ちくせき黄金おうごんりつともよばれる[7]

このように s一定いってい仮定かていしてみちびいた黄金おうごんりつs黄金おうごんりつ貯蓄ちょちくりつという[29]。フェルプスは1965ねんだい論文ろんぶん以降いこうs一定いってい仮定かていすることはなく、均斉きんせい成長せいちょう結果けっかとして s一定いっていになることをみちびいている[4]

最適さいてき成長せいちょう理論りろん[編集へんしゅう]

世界銀行せかいぎんこうレポート『黄金おうごん成長せいちょう』によると、黄金おうごんりつ最適さいてき成長せいちょう理論りろんもっと基本きほんてき命題めいだいであるといまおおくの経済けいざい学者がくしゃかんがえているという[9]。また、ある学術がくじゅつ博士はかせブログで、最適さいてき成長せいちょう理論りろん無限むげん未来みらい消費しょうひ最大さいだいする、これが黄金おうごんりつなのだ、というようなことをいている[30]。しかし、以下いかべるように、最適さいてき成長せいちょう理論りろんにおける黄金おうごんりつ位置いちづけはそれほど簡単かんたんなものではない。

黄金おうごんりつかうみちすじ[編集へんしゅう]

2008ねん時点じてんのフェルプスは黄金おうごんりつ目指めざすのが最適さいてきといえないとみとめているが[31]、1961ねん黄金おうごんりつ提唱ていしょうした当初とうしょのフェルプスは黄金おうごんりつのぞましいものとしてあつかっていた[3]。この場合ばあい、すでに黄金おうごんりつたっしているときは黄金おうごんりつをたもてばいいが、黄金おうごんりつからはずれているときはどのようなみちすじで黄金おうごんりつかえばいいかという問題もんだいがある。この問題もんだいについてフェルプスは、寓話ぐうわ主人公しゅじんこうオイコ・ノモスにつぎのように主張しゅちょうさせている[32]意訳いやく)。

なにとしてでも今後こんごずっと確実かくじつ黄金おうごんりつみちすじをすすむべきです。黄金おうごんりつでは資本しほん生産せいさん比率ひりつまっています。いま資本しほん生産せいさん比率ひりつ黄金おうごんりつよりひくければ、その不足ふそくぶんがなくなるまで消費しょうひ先送さきおくりすべきです。いま資本しほん生産せいさん比率ひりつ黄金おうごんりつえていれば、そのちょう過分かぶんがなくなるまで消費しょうひ前倒まえだおしすべきです。ひとたび黄金おうごんりつ到達とうたつしたら、そのあとは黄金おうごんりつ投資とうしすることをみなちかわなくてはいけません。黄金おうごんりつにしたがって投資とうし比率ひりつ収益しゅうえき比率ひりつ一致いっちさせてゆけば、あとやむことにならないでしょう。こうして最適さいてきじゅんじる社会しゃかい投資とうし政策せいさく基礎きそができあがるのです。

いそいで黄金おうごんりつ達成たっせいすべきだというのがオイコ・ノモスの主張しゅちょうだが、最後さいごで「最適さいてきじゅんじる」とかたらせているあたり、この主張しゅちょうあまさをフェルプス自身じしんみとめていることをあらわしている[33]厳密げんみつ理論りろん構成こうせいするためには、なに最適さいてきであるかを厳密げんみつさだめる必要ひつようがある[33]。フェルプスの寓話ぐうわ筋書すじがきは、数学すうがくしゃたちが最適さいてきをもとめてきょく問題もんだいひろし函数かんすうハミルトニアンりくみました、しかし実現じつげんできるこたえをせませんでした、そこでおおがかりな最適さいてき問題もんだいわすれて単純たんじゅんかんがえることになりました、そしてかしこ百姓ひゃくしょうオイコ・ノモスが黄金おうごんりつおもいつきました、というはなしであった[34]経済けいざい成長せいちょう最適さいてき問題もんだいは、フェルプスが寓話ぐうわ発表はっぴょうしたあと、つぎべる最適さいてき成長せいちょうモデルでかれる。

最適さいてき成長せいちょうモデル[編集へんしゅう]

最適成長モデルの位相図では均斉成長の消費が黄金律より少ない。
最適さいてき成長せいちょうモデルの位相いそうあおせん均斉きんせい成長せいちょうかう最適さいてきみちすじをしめ鞍点あんてん経路けいろである。kとcのあいだには、しん古典こてん成長せいちょうモデルのふししめ関係かんけいがあり、時間じかん経過けいかとともに矢印やじるし方向ほうこう変化へんかする。k不変ふへん曲線きょくせんじょうのcの最大さいだいてん黄金おうごんりつ均斉きんせい成長せいちょうのcやkは黄金おうごんりつよりひくい。

1960年代ねんだい、フェルプスらの黄金おうごんりつ研究けんきゅう並行へいこうして、デイヴィッド・キャスチャリング・クープマンス最適さいてき成長せいちょうモデルをつくりあげた[35]最適さいてき成長せいちょうモデルは経済けいざいすすむべきのぞましいみちすじを一本いっぽんえらぶ。その結果けっかは、のぞましいみちすじのさきにある均斉きんせい成長せいちょうにおいて、資本しほん収益しゅうえきりつ成長せいちょうりつうえまわり、消費しょうひ黄金おうごんりつよりすくなくなる。

最適さいてき成長せいちょうモデルが黄金おうごんりつたっしないわけは、黄金おうごんりつたっすると社会しゃかい厚生こうせい英語えいごばん無限むげんになってしまって都合つごうがわるいからである[36]。このことを説明せつめいするとつぎのとおりである。最適さいてき成長せいちょうモデルは、人々ひとびと日々ひび消費しょうひ数値すうち評価ひょうかし、その数値すうち無限むげん未来みらいまでみあげて社会しゃかい厚生こうせい計算けいさんし、その社会しゃかい厚生こうせい最大さいだいにするように、経済けいざいすすむべきみちすじを一本いっぽんえらぶ。日々ひび消費しょうひ評価ひょうかするにあたっては、未来みらいさきにゆけばゆくほど日々ひび消費しょうひいて評価ひょうかする。これは、目先めさき消費しょうひ優先ゆうせんして、さきゆきの消費しょうひ犠牲ぎせいにする傾向けいこうがあるということなので、ながでみると消費しょうひ黄金おうごんりつよりすくなくなる。さきゆきの消費しょうひをあまりかないようにすればながでみて消費しょうひえるが、そうして消費しょうひやして黄金おうごんりつちかづけてゆくと、社会しゃかい厚生こうせい無限むげんだいになってしまう。社会しゃかい厚生こうせい無限むげんだいというのは素晴すばらしいことのようにおもえるが、無限むげんだいのまわりどれも無限むげんだいなので、一本いっぽんみちすじをえらべない。みちすじをいちほんえらべるようにすると黄金おうごんりつたっしない。いいかえると、みちすじを一本いっぽんえらぶ最適さいてき成長せいちょうモデルは黄金おうごんりつをえらばない。

どうがく効率こうりつせい[編集へんしゅう]

黄金おうごんりつ最適さいてき成長せいちょうモデルでえらばれないというてんかんして、フェルプスは、その場合ばあいでも黄金おうごんりつどうがく効率こうりつせい境界きょうかいせんとして規範きはんてき意義いぎをもつと主張しゅちょうした[4]どうがく効率こうりつせいというのは、消費しょうひ一方いっぽうてきやせる機会きかいがあるのに、その機会きかいかしていないという意味いみ無駄むだのある状況じょうきょうをいう。資本しほん黄金おうごんりつえるほど余分よぶん蓄積ちくせきされ、資本しほん収益しゅうえきりつ成長せいちょうりつしたまわるほど低下ていかするとどうがく効率こうりつにおちいる。

現代げんだい経済けいざい成長せいちょう理論りろんにおいて黄金おうごんりつ貯蓄ちょちくりつは、きちんと定義ていぎされた選好せんこうからみちびかれたものではないので最適さいてきせい観点かんてんからみると過去かこ遺物いぶつとみなされるが、そうであってもどうがく効率こうりつせい議論ぎろんやくつとされる[37]どうがく効率こうりつせい文脈ぶんみゃくにおいて「蓄積ちくせき黄金おうごんりついま最適さいてき成長せいちょう理論りろんもっと基本きほん命題めいだいである」といわれる[38]

たとえばグレゴリー・マンキュートマ・ピケティ21世紀せいき資本しほん』を批判ひはんするペーパーで、どうがく効率こうりつせい境界きょうかいせんとして黄金おうごんりつ言及げんきゅうしている[39]批判ひはんされたピケティもじつは『21世紀せいき資本しほん』の目立めだたない場所ばしょ黄金おうごんりつどうがく効率こうりつせい境界きょうかいせんになることをろんじていた[40]。ピケティは歴史れきしデータをもとに資本しほん収益しゅうえきりつ r経済けいざい成長せいちょうりつ g平均へいきんてきうえまわるという不等式ふとうしき r > gいだし、それを根拠こんきょにして、現実げんじつ経済けいざいどうがく効率こうりつせい否定ひていした[41]。かつてマンキューは、もっと緻密ちみつ実証じっしょう方法ほうほう先進せんしんこくどうがく効率こうりつせい否定ひていする結果けっかをえたことがあった[42]

市場いちば経済けいざい黄金おうごんりつ[編集へんしゅう]

修正しゅうせい黄金おうごんりつ[編集へんしゅう]

もともと最適さいてき成長せいちょうモデルはのぞましい経済けいざい成長せいちょうをえらぶためのものであったが、いまはこれを市場いちば経済けいざいカリカチュア使つかいまわす[43]。これをしん古典こてん成長せいちょうモデル[44]とか標準ひょうじゅんてきしん古典こてんモデル[43]、あるいはラムゼイ・モデル[45]という。

しん古典こてん成長せいちょうモデルは、均斉きんせい成長せいちょう利子りしりつ成長せいちょうりつうえまわり、消費しょうひ黄金おうごんりつよりすくなくなる[46]しん古典こてん成長せいちょうモデルが黄金おうごんりつたっしないことを修正しゅうせい黄金おうごんりつということがある[47]。また、均斉きんせい成長せいちょう利子りしりつ決定けっていする数式すうしき修正しゅうせい黄金おうごんりつということがある[48]。これを変形へんけい黄金おうごんそくやくすこともある[49]

しん古典こてん成長せいちょうモデルが黄金おうごんりつたっしないわけは、黄金おうごんりつたっするようにすると家計かけい効用こうよう無限むげんだいになってしまって都合つごうがわるいからである[50]。このことを言葉ことば説明せつめいすると、最適さいてき成長せいちょうモデルのときの説明せつめいをほぼりかえすことになるが、つぎのとおりである。しん古典こてん成長せいちょうモデルでは、永久えいきゅう存続そんぞくする家計かけい無限むげん未来みらいとおして、日々ひび消費しょうひ数値すうち評価ひょうかして、これを無限むげん未来みらいまでみあげて家計かけい効用こうよう計算けいさんし、その家計かけい効用こうよう最大さいだいにするように消費しょうひ行動こうどうをえらぶ。日々ひび消費しょうひ評価ひょうかするにあたっては、未来みらいさきにゆけばゆくほど日々ひび消費しょうひいて評価ひょうかする。これは、目先めさき消費しょうひ優先ゆうせんして、さきゆきの消費しょうひ犠牲ぎせいにするということなので、ながでみると消費しょうひ黄金おうごんりつよりすくなくなる。さきゆきの消費しょうひをあまりかないようにしてゆけばながでみて消費しょうひえるが、そうして消費しょうひやしていって黄金おうごんりつちかづけてゆくと、家計かけい効用こうよう無限むげんだいになってしまう。無限むげんだいにならない程度ていどにきつくくようにする必要ひつようがあるが、そうすると黄金おうごんりつたっしない。以上いじょうについて数式すうしきをもちいた説明せつめいしん古典こてん成長せいちょうモデルのふし参照さんしょうされたい。

国債こくさい発行はっこう[編集へんしゅう]

ピーター・ダイアモンドの肖像(2010年)
2010ねんのダイアモンド。この45ねんまえ国債こくさい発行はっこう黄金おうごんりつ達成たっせいする理論りろんしめした。

資本しほん黄金おうごんりつえて蓄積ちくせきされて消費しょうひ黄金おうごんりつよりすくなくなる場合ばあい政府せいふ国債こくさい十分じゅうぶん発行はっこうすることで黄金おうごんりつ達成たっせいできる[51]。そのわけはつぎのとおりである。現役げんえき世代せだい老後ろうごにそなえて貯蓄ちょちくし、老後ろうご貯蓄ちょちくくずして消費しょうひするという世代せだい重複じゅうふくモデル英語えいごばんかんがえる。現役げんえき世代せだい老後ろうご生活せいかつ心配しんぱいするあまり貯蓄ちょちくしすぎると、資本しほん黄金おうごんりつえるほど余分よぶん蓄積ちくせきされる場合ばあいがある。その場合ばあい政府せいふ国債こくさい十分じゅうぶん発行はっこうし、現役げんえき世代せだい国債こくさい貯蓄ちょちくすれば、貯蓄ちょちく余分よぶん資本しほん蓄積ちくせきにまわらなくなり、そのぶん消費しょうひえて黄金おうごんりつ達成たっせいされる。

この理論りろんは1947ねんにモーリス・アレがフランス語ふらんすごあらわしたほんにさかのぼるといわれるが、アレとはべつピーター・ダイアモンドが1965ねんアメリカン・エコノミック・レビュー発表はっぴょうした[52]。このことはダイアモンドがノーベル経済けいざいがくしょう受賞じゅしょうしたさい、その業績ぎょうせきひとつにかぞえられている[52]

合理ごうりてきバブル[編集へんしゅう]

ティロールの肖像(2007年)
2007ねんのティロール。この22ねんまえにバブル均衡きんこう黄金おうごんりつりたつ理論りろんしめした。

資本しほん黄金おうごんりつえて蓄積ちくせきされて消費しょうひ黄金おうごんりつよりすくなくなる場合ばあい合理ごうりてきバブル発生はっせいする可能かのうせいがあり、合理ごうりてきバブルが均斉きんせい成長せいちょう存続そんぞくすると黄金おうごんりつ達成たっせいされる[53]。そのロジックは、ダイアモンドの世代せだい重複じゅうふくモデルにおける国債こくさい合理ごうりてきバブルにおきかえたものであり、つぎのようにかんがえる。

  1. 資本しほん黄金おうごんりつえるほど余分よぶん蓄積ちくせきされ、資本しほん収益しゅうえきりつ成長せいちょうりつしたまわるほど低下ていかすると、てい収益しゅうえき資本しほん投資とうしするぐらいならバブルにけてみるのが合理ごうりてきになる。そうして発生はっせいする合理ごうりてきバブルの収益しゅうえきりつ資本しほん収益しゅうえきりつ一致いっちする。そのわけは、バブルの収益しゅうえきりつ資本しほん収益しゅうえきりつよりひくければバブルをって資本しほんえばもうかるし、バブルの収益しゅうえきりつ資本しほん収益しゅうえきりつよりたかければ資本しほんってバブルをえばもうかるが、こうした裁定さいてい取引とりひき十分じゅうぶんおこなわれると収益しゅうえきりつちがいがなくなるからである。
  2. バブルというのは、本来ほんらい無用むようものでありながら、ただ値上ねあがりするからわれ、ただわれるから値上ねあがりする。その性質せいしつじょう、バブルの膨張ぼうちょうりつはそのままバブルの収益しゅうえきりつになる。
  3. バブルがうまい具合ぐあい存続そんぞくするような均斉きんせい成長せいちょうバブル均衡きんこうという。バブル均衡きんこうでバブルは経済けいざい成長せいちょうりつおなりつ膨張ぼうちょうする。

まとめると、1.資本しほん収益しゅうえきりつ裁定さいてい取引とりひきによりバブル収益しゅうえきりつ一致いっちし、2.バブル収益しゅうえきりつ性質せいしつじょうバブル膨張ぼうちょうりつ一致いっちし、3.バブル膨張ぼうちょうりつはバブル均衡きんこう経済けいざい成長せいちょうりつ一致いっちする。つまりバブル均衡きんこう資本しほん収益しゅうえきりつ成長せいちょうりつ一致いっちする。このことはバブル均衡きんこう黄金おうごんりつであることをしめす。

この合理ごうりてきバブルの理論りろんは1985ねんジャン・ティロールエコノメトリカ発表はっぴょうした[53]。この理論りろんはティロールがノーベル記念きねん経済けいざいがくしょう受賞じゅしょうしたさい、その業績ぎょうせきひとつにかぞえられている[54]

近年きんねん論調ろんちょう[編集へんしゅう]

世界銀行せかいぎんこう黄金おうごん成長せいちょう[編集へんしゅう]

世界銀行せかいぎんこうが2012ねん発行はっこうしたレポート『黄金おうごん成長せいちょう:ヨーロッパ経済けいざいモデルのかがやきをりもどす』は、黄金おうごんりつにインスピレーションをてタイトルをつけ、黄金おうごんりつにもとづいて政策せいさく提言ていげんをおこなっている[9]

このレポートによると、黄金おうごんりつ最適さいてき成長せいちょう理論りろんもっと基本きほんてき命題めいだいであるといまおおくの経済けいざい学者がくしゃかんがえている[9]黄金おうごんりつをたもつことは経済けいざい成熟せいじゅくをしめす[9]黄金おうごんりつ単純たんじゅんなのでかりやすく、政策せいさく当局とうきょく黄金おうごんりつせられてこれをめざしたいとおもうことがあるという[10]

ピケティ『21世紀せいき資本しほん[編集へんしゅう]

ピケティの肖像(2015年)
2015ねんのピケティ。黄金おうごんりつ否定ひていてき

トマ・ピケティは、2013ねんフランス語ふらんすごあらわし2014ねん日本語にほんご翻訳ほんやくされた『21世紀せいき資本しほん』で、黄金おうごんりつについてつぎのような自説じせつ展開てんかいしている。およそ黄金おうごんりつたいして否定ひていてきである。

  • 歴史れきしデータをみると資本しほん収益しゅうえきりつ成長せいちょうりつよりずっとたかいので、現実げんじつ資本しほん黄金おうごんりつよりずっとすくない[55]現実げんじつ経済けいざい黄金おうごんりつほどの資本しほん蓄積ちくせきするとはかんがえにくい[56]黄金おうごんりつ抽象ちゅうしょう理論りろんにすぎず実際じっさい問題もんだいであまりやくにたない[56]
  • 黄金おうごんりつにおいて、資本しほん所有しょゆうする不労所得ふろうしょとく生活せいかつしゃは、資本しほん収益しゅうえきすべてをさい投資とうししないと自分じぶん地位ちいたもてないので、なに消費しょうひできない[56]。したがって黄金おうごんりつ実現じつげん不労所得ふろうしょとく生活せいかつしゃ支配しはいわらせる[57]。しかし黄金おうごんりつ無理むり実現じつげんする必要ひつようはなく、そうするよりも不労所得ふろうしょとく生活せいかつしゃ課税かぜいするほうがずっと簡単かんたん効果こうかてき[57]
  • 黄金おうごんりつ資本しほん上限じょうげん設定せっていするだけのものであって、黄金おうごんりつ到達とうたつするのがのぞましいという主張しゅちょうみちびすものではない[57]目先めさき消費しょうひ犠牲ぎせいにしてまでさきゆきの黄金おうごんりつをめざすのが適切てきせつとはかぎらない[58]

なお、以上いじょうのような議論ぎろんでピケティは均斉きんせい成長せいちょう基準きじゅんかんがえている[59]均斉きんせい成長せいちょうでは資本しほん生産せいさんおなりつ成長せいちょうすることがられる[22]宇沢うざわ定理ていり)。一方いっぽう、ピケティは『21世紀せいき資本しほん』の「おわりに」で資本しほん生産せいさんよりはやきゅう成長せいちょうすると主張しゅちょうしている[60]グレゴリー・マンキューはこれを批判ひはんして、ピケティのいうような成長せいちょう均斉きんせい成長せいちょうからはずれてゆくが、標準ひょうじゅんてき成長せいちょう理論りろん均斉きんせい成長せいちょう基準きじゅんにしてかんがえるので、ピケティのかんがえは標準ひょうじゅんてき理論りろんからはずれていると指摘してきした[39]

語源ごげんせつ[編集へんしゅう]

経済けいざい成長せいちょう黄金おうごんりつ聖書せいしょ黄金おうごんりつ由来ゆらいするというせつがある。このせつによると、経済けいざい成長せいちょう黄金おうごんりつ語源ごげんは、新約しんやく聖書せいしょマタイでんにある黄金おうごんりつひとにしてもらいたいとおもうことは、あなたがたもひとにしなさい」に由来ゆらいし、これを経済けいざい用語ようごにおきかえると「現代げんだい世代せだいにも未来みらい世代せだいにもおなじだけ消費しょうひさせる場合ばあい、あるいは、未来みらい世代せだい消費しょうひ自分じぶんたちの消費しょうひよりすくなくしない場合ばあい一人ひとりたり消費しょうひ最大さいだいりょう黄金おうごんりつである」と解釈かいしゃくできるから、黄金おうごんりつづけられたのだという[61]。また一説いっせつには、新約しんやく聖書せいしょルカでんだい6しょう31せつにある黄金おうごんりつ世代せだいあいだ関係かんけい拡張かくちょうしたものなのだともいう[62]

もっとも、フェルプスが黄金おうごんりつ命名めいめいしたとき、黄金おうごん時代じだいゴールデン・エイジ)のルール黄金おうごんりつゴールデン・ルール)とづけたのであって、語源ごげん聖書せいしょ黄金おうごんりつもとめていない[3]のちにフェルプスはつぎのようにかたっている[31]

黄金おうごんりつという言葉ことばはダジャレ(a play on words)であった。ロビンソン夫人ふじん定常ていじょう成長せいちょう状態じょうたい黄金おうごん時代じだい命名めいめいしたので、黄金おうごん時代じだい選択せんたくかんする命題めいだい黄金おうごんりつぶのは当然とうぜんであった。これにくわえて、この言葉ことばうら聖書せいしょ黄金おうごんりつ「あなたが他人たにんにしてほしいことを他人たにんにしなさい」をほのめかした。

そしてフェルプスは、聖書せいしょ黄金おうごんりつについて、他人たにん権利けんり要求ようきゅうするものおな権利けんり他人たにんあたえなければならないという意味いみ解釈かいしゃくする。この意味いみでの黄金おうごんりつにしたがうと、かく世代せだいまえ世代せだい要求ようきゅうする貯蓄ちょちく政策せいさく次世代じせだいのためにみずか実践じっせんしなければならない。世代せだいをまたいだ貯蓄ちょちく政策せいさくえらぶにあたっては、生産せいさん資本しほん収益しゅうえきなどにたいして一定いってい線形せんけい関係かんけいのかたちであらわされる貯蓄ちょちく政策せいさくなかからえら必要ひつようがある。さもなければ、かく世代せだいまえ世代せだい貯蓄ちょちく要求ようきゅうする一方いっぽうで、自分じぶん貯蓄ちょちくらしてしまう、という[31]

数式すうしきをもちいた説明せつめい[編集へんしゅう]

宇沢うざわ定理ていり[編集へんしゅう]

変数へんすうがそれぞれ一定いっていりつ成長せいちょうする均斉きんせい成長せいちょうにおいて、技術ぎじゅつ進歩しんぽ労働ろうどう拡張かくちょうがたである。この定理ていりはじめジョーン・ロビンソンが図示ずし[63]、1961ねん宇沢うざわ弘文ひろふみ証明しょうめいした[64]。これを宇沢うざわ定理ていりという[65]

宇沢うざわ定理ていりについて、証明しょうめい方法ほうほう簡素かんそした Schlicht (2006)にもとづいて数式すうしきをつかってしめすと以下いかのとおりである[66]

宇沢うざわ定理ていりでは、つぎのような経済けいざい構造こうぞうかんがえる。

  1.  …時点じてん 生産せいさんぶつ 生産せいさん関数かんすう をつうじて資本しほん 労働ろうどう投入とうにゅう によってつくられる。関数かんすう 資本しほん 有効ゆうこう労働ろうどう かんして1どうつぎ関数かんすうとする(規模きぼかんして収穫しゅうかく一定いってい)。関数かんすうちゅう最後さいごこう」は時点じてん すすむにしたがって生産せいさん関数かんすう変化へんかすることをしめす。
  2.  …生産せいさんぶつ 消費しょうひ にあてられるか投資とうし にあてられる。
  3.  …資本しほん 投資とうし によってえるが、一定いってい減耗げんもうりつ る。

以上いじょう経済けいざい構造こうぞうのもとで、について、かく変数へんすう一定いっていりつ 成長せいちょうする、すなわちとする。これを時間じかん微分びぶんするとである。

均斉きんせい成長せいちょう生産せいさん資本しほん成長せいちょうりつ一致いっちすることを以下いかのとおりしめす。

まず、つぎのようにみちびく。をもちいて、つぎしき1の時間じかん微分びぶんからしき2をて、またその時間じかん微分びぶんからしき3をる。

これらを適宜てきぎ代入だいにゅうして

る。であるから

  1. または 、かつ
  2. または

である。ここで仮定かていすると、上記じょうき1から 上記じょうき2から になるので、になるが、これは仮定かてい矛盾むじゅんする。背理法はいりほうによりであることがわかる。

また、つぎのようにみちびく。代入だいにゅうしてつぎしき1をて、またその時間じかん微分びぶんからつぎしき2をる。

これらから 消去しょうきょしてる。であるからである。

以上いじょうにより、であり、生産せいさん成長せいちょうりつ資本しほん成長せいちょうりつ一致いっちすることがしめされた。一致いっちする成長せいちょうりつあらわす。

生産せいさん成長せいちょうりつ資本しほん成長せいちょうりつ一致いっちすることをふまえ、技術ぎじゅつ進歩しんぽ労働ろうどう拡張かくちょうがたになることを以下いかのとおりしめす。

0てんではつぎしき1であり、またであるから、しき1はしき2のようにける。関数かんすうの1どうつぎせいからしき2はしき3になる。定義ていぎすると、しき4をる。

関数かんすうがた変化へんかしめ最終さいしゅうこうがゼロで固定こていされることは関数かんすうがた変化へんかしないことを意味いみする。最後さいごしき4の関数かんすうのなかで 一定いっていりつ成長せいちょうし、労働ろうどう 拡張かくちょうするかのようなかたちになっているので、これを労働ろうどう拡張かくちょうがた技術ぎじゅつ進歩しんぽという。また 有効ゆうこう労働ろうどうという。有効ゆうこう労働ろうどう は、生産せいさん 資本しほん おなりつ 成長せいちょうする。

黄金おうごんりつ定理ていり[編集へんしゅう]

資本しほん収益しゅうえきりつ利子りしりつ)が成長せいちょうりつひとしくなる均斉きんせい成長せいちょう存在そんざいする場合ばあい、その均斉きんせい成長せいちょう黄金おうごんりつである[4]。このことをロビンソンはしん古典こてん定理ていりとよんだ[67]。フェルプスは、黄金おうごん時代じだいにおける消費しょうひ最大さいだいかんする定理ていりとよんだ[68]のちにフェルプスはこれを黄金おうごんりつ定理ていりとよんでいる[69]

この定理ていりをPhelps(1965)にもとづいて数式すうしきをつかってしめすとつぎのとおりである。

経済けいざい構造こうぞうつぎの3つのしきであらわされるものとする。

  1.  …時点じてん 生産せいさんぶつ 生産せいさん関数かんすう をつうじて資本しほん 有効ゆうこう労働ろうどう によってつくられる。生産せいさん関数かんすう は1どうつぎ関数かんすうとする(規模きぼかんして収穫しゅうかく一定いってい)。有効ゆうこう労働ろうどう は、技術ぎじゅつ 労働ろうどう わせたものであり、まとめて定率ていりつ そとせいてき増加ぞうかするものとする(労働ろうどう拡張かくちょうがた技術ぎじゅつ進歩しんぽ前述ぜんじゅつ)。
  2.  …生産せいさんぶつ 消費しょうひ にあてられるか投資とうし にあてられる。
  3.  …資本しほん 投資とうし によってえるが、一定いってい減耗げんもうりつ る。

以上いじょうみっつの経済けいざい構造こうぞうしき資本しほん微分びぶん方程式ほうていしきのかたちにまとめるとつぎしきる。

そとせい変数へんすうである有効ゆうこう労働ろうどう 資本しほん 消費しょうひ って基準きじゅんし、それぞれを小文字こもじ であらわす。規模きぼかんする収穫しゅうかく一定いってい仮定かていした定義ていぎすると、上記じょうき微分びぶん方程式ほうていしきから 消去しょうきょできる。

均斉きんせい成長せいちょう資本しほん 消費しょうひ 有効ゆうこう労働ろうどう 同率どうりつ成長せいちょうするので、有効ゆうこう労働ろうどう 基準きじゅんされた資本しほん水準すいじゅん 消費しょうひ水準すいじゅん 均斉きんせい成長せいちょう一定いっていになる。一定いっていになる資本しほん水準すいじゅん消費しょうひ水準すいじゅんあらわすと、上記じょうきしきつぎのようになる。

そして消費しょうひ水準すいじゅん 最大さいだいする黄金おうごんりつ資本しほん をもとめる。まず、均斉きんせい成長せいちょう消費しょうひがプラスになるの領域りょういきがないとプラスの黄金おうごんりつ存在そんざいしないので、消費しょうひがプラスになる領域りょういきがあることにしよう。生産せいさん関数かんすうが2かい微分びぶん可能かのうであり、その1かい微分びぶんせいで2かい微分びぶんまけである場合ばあい 消費しょうひ水準すいじゅん 最大さいだいする黄金おうごんりつ資本しほん は、上記じょうきしき微分びぶんしてゼロとなるてんである。

資本しほんじゅん収益しゅうえきりつであり、これを利子りしりつ あらわす。黄金おうごんりつ利子りしりつ もちいてつぎしきる。

これにより利子りしりつ成長せいちょうりつひとしい均斉きんせい成長せいちょう存在そんざいし、それが黄金おうごんりつになることがしめされた。

微分びぶん不能ふのうてんのあるハロッド・ドーマーがた生産せいさん関数かんすう場合ばあいも、黄金おうごんりつしめすことができる。Golden Rule savings rate

しん古典こてん成長せいちょうモデル[編集へんしゅう]

もともとデイヴィッド・キャスチャリング・クープマンスのモデルは社会しゃかい計画けいかくのための最適さいてき成長せいちょうモデルであったが、のちにこれを市場いちば経済けいざいにおける家計かけい最適さいてき問題もんだいにおきかえてどうがく一般いっぱん均衡きんこうモデルとしてもちいるようになった[43]。このたねどうがく一般いっぱん均衡きんこうモデルをしん古典こてん成長せいちょうモデルなどという[44]

しん古典こてん成長せいちょうモデルでは、均斉きんせい成長せいちょう利子りしりつ成長せいちょうりつうえまわり、消費しょうひ黄金おうごんりつよりすくなくなる[46]黄金おうごんりつたっするほど時間じかん選好せんこうりつひく設定せっていすると、家計かけい効用こうよう無限むげんだい発散はっさんするからである[50]。このことを以下いかしめす。

まず企業きぎょうかんがえる。企業きぎょうについてつぎのように想定そうていする[70]

  • 企業きぎょう多数たすう存在そんざいし、どれもおな構造こうぞうをもつ。
  • 企業きぎょう競争きょうそう市場いちば労働ろうどうしゃ やと資本しほん 生産せいさんぶつ る。
  • 生産せいさん技術ぎじゅつ りつ そとせいてき上昇じょうしょうする。
  • 企業きぎょう生産せいさん関数かんすう 生産せいさんおこなう。
  • 企業きぎょう利潤りじゅん最大さいだいし、しょうじた利潤りじゅんすべ家計かけい配当はいとうする。

生産せいさん関数かんすうについてつぎのように仮定かていする。

  • は1どうつぎ関数かんすうとする(規模きぼかんする収穫しゅうかく一定いってい[71]
  • は2かい微分びぶん可能かのうとする[71]
  • とする(稲田いなだ条件じょうけん[72]

有効ゆうこう労働ろうどうあたりの資本しほん定義ていぎすると、資本しほん限界げんかい生産せいさんりょくあらわされる[73]競争きょうそう市場いちばであるから資本しほんレンタルりょう資本しほん限界げんかい生産せいさんりょく一致いっちし、また、市場いちば利子りしりつ 資本しほんレンタルりょうから資本しほん減耗げんもうりつ 控除こうじょしたぶんひとしくなる[74]

有効ゆうこう労働ろうどう限界げんかい生産せいさんぶつあらわされ、競争きょうそう市場いちばのもとでそれは有効ゆうこう労働ろうどうあたりの実質じっしつ賃金ちんぎん ひとしくなる[75]

つぎ家計かけいかんがえる。家計かけいについてつぎのように想定そうていする[70]

  • 家計かけい多数たすう存在そんざいし、どれもおな構造こうぞうをもつ。
  • かく家計かけい構成こうせい人数にんずうりつ える。
  • 各人かくじんかく時点じてん労働ろうどうを1単位たんい供給きょうきゅうする。
  • 家計かけい資本しほん保有ほゆう企業きぎょうす。初期しょき時点じてんでどの家計かけいおなじだけ資本しほん保有ほゆうする。
  • 家計かけい生涯しょうがい効用こうよう最大さいだいするように、所得しょとく消費しょうひ貯蓄ちょちく分配ぶんぱいする

家計かけい生涯しょうがい効用こうようつぎのように定義ていぎされる[76]

消費しょうひ総量そうりょうそう人口じんこう家計かけい総数そうすうであり、したがって一人ひとりあたり消費しょうひかく家計かけい構成こうせい人数にんずうである[70]関数かんすう 各人かくじんかく時点じてん効用こうようしめし、それにその時点じてん家計かけい構成こうせい人数にんずうじょうじたかく家計かけいかく時点じてん効用こうようあらわす[70]主観しゅかんてき割引わりびきりつであり、たかいほど家計かけい目先めさき重視じゅうし先行さきゆきを軽視けいしする[70]

関数かんすう つぎのようなかたち仮定かていする[73]

有効ゆうこう労働ろうどうあたりの消費しょうひ有効ゆうこう労働ろうどう成長せいちょうりつ もちいて家計かけい生涯しょうがい効用こうようあらわすとつぎのとおりである[77]

またつぎのように仮定かていする[73]

  • 技術ぎじゅつ進歩しんぽともな割引わりびき仮定かてい[78]

この条件じょうけん追加ついかすることで家計かけい効用こうよう無限むげんだい発散はっさんしないことが保証ほしょうされる[73]。この条件じょうけんたされないと、家計かけい効用こうよう無限むげんだいになり家計かけい最大さいだい問題もんだい適切てきせつ設定せっていされない[73]。この仮定かてい本節ほんぶし目的もくてきのために重要じゅうようであり、あとふたた登場とうじょうする。

代表だいひょうてき家計かけいは、 所与しょよかんがえる[75]家計かけい予算よさん制約せいやくは、生涯しょうがいにわたる消費しょうひ現在げんざい価値かちが、生涯しょうがいにわたる労働ろうどう所得しょとく現在げんざい価値かちと、ゼロてん財産ざいさんえないことである[75]割引わりびき因子いんし

定義ていぎすると、かく家計かけい消費しょうひ であり、労働ろうどう所得しょとくであるので、家計かけい予算よさん制約せいやくつぎしきのとおりあらわされる[79]

これを有効ゆうこう労働ろうどうあたりであらわすとつぎのとおりである[80]

以上いじょうをまとめて家計かけい最適さいてき問題もんだい設定せっていするためラグランジュ関数かんすうつぎのように定義ていぎする[81]

かく 時点じてん についての1かい条件じょうけんつぎのとおり[82]効用こうよう関数かんすう 定義ていぎをつかう)。

このしき対数たいすうをとって時間じかん微分びぶんして整理せいりするとつぎオイラー方程式ほうていしき[83]割引わりびき因子いんし 定義ていぎをつかう)。

また、資本しほん蓄積ちくせきつぎしきあたえられる[84]

以上いじょうをまとめるとつぎの3つのしきによりこの経済けいざいモデルは記述きじゅつされることになる。

  1.   (オイラー方程式ほうていしき
  2.   (均衡きんこう実質じっしつ利子りしりつ
  3.   (資本しほん蓄積ちくせきしき

均斉きんせい成長せいちょうにおけるなしであらわす。均斉きんせい成長せいちょうではつぎ[85]

また、均斉きんせい成長せいちょうでは成長せいちょうりつ有効ゆうこう労働ろうどう成長せいちょうりつ決定けっていされる[85]。そして、さき仮定かていした「技術ぎじゅつ進歩しんぽともな割引わりびき仮定かてい」の不等式ふとうしきに、上記じょうきしき1代入だいにゅうすると る。すなわち均斉きんせい成長せいちょう利子りしりつ成長せいちょうりつうえまわる。このことは、仮定かていによって保証ほしょうされる[85]さきべたように、この仮定かていたされないと家計かけい効用こうよう無限むげんだい発散はっさん家計かけい最適さいてき問題もんだい適切てきせつ設定せっていできなくなる[73]

しん古典こてん成長せいちょうモデルの均斉きんせい成長せいちょう黄金おうごんりつ 水準すいじゅんたっしないことを意味いみする。このようにしん古典こてん成長せいちょうモデルが黄金おうごんりつたっしないことを修正しゅうせい黄金おうごんりつという[86]。また上記じょうきしき1 修正しゅうせい黄金おうごんりつということがある[87]。これを変形へんけい黄金おうごんそくやくすこともある[88]

なお、1989ねんオリヴィエ・ブランシャールスタンレー・フィッシャーによって出版しゅっぱんされた『マクロ経済けいざいがく講義こうぎ』では修正しゅうせい黄金おうごんりつ定義ていぎすこことなっている[89]。ブランシャールらは最適さいてき問題もんだい目的もくてき関数かんすう定義ていぎ人口じんこうじょうじず、また技術ぎじゅつ進歩しんぽかんがえない。すると、上記じょうきしき1はというかたちになる。ブランシャールらはこの数式すうしき、すなわち均斉きんせい成長せいちょう利子りしりつ時間じかん選好せんこうりつ人口じんこう増加ぞうかりつ決定けっていされるという数式すうしき修正しゅうせい黄金おうごんりつんでいる[89]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Phelps (1965)またはPhelps (1966)経済けいざい成長せいちょう黄金おうごんりつという表現ひょうげんPhelps (1966)のタイトル"Golden Rules of Economic Growth"による。
  2. ^ ピケティ (2014) 山形やまがたひろしせいらのわけ
  3. ^ a b c d e f g h i Phelps (1961)
  4. ^ a b c d e f g Phelps (1965)
  5. ^ Phelps (1965)。ここでは大雑把おおざっぱないいまわしをした。くわしくは黄金おうごんりつふし黄金おうごんりつ定理ていりふし参照さんしょう
  6. ^ a b Phelps (1961)の"the Golden Rule of Accumulation"。
  7. ^ a b たとえばBarro and Sala-i-Martin (2004)35ぺーじの"the golden rule of capital accumulation"。
  8. ^ ピケティ (2014)593-594ぺーじ
  9. ^ a b c d e f Gill and Raiser (2012)Vol.1 Overview 2ぺーじどうVol.2 Main Report 2ぺーじにもどうぶん
  10. ^ a b c Gill and Raiser (2012)Vol.2 Main Report 433ぺーじ
  11. ^ Phelps (1961)の"a golden age"。
  12. ^ Phelps (2008)はロビンソン夫人ふじん黄金おうごん時代じだい命名めいめいしたとべている。Phelps (1961)参考さんこう文献ぶんけんを3つげており、そのうちひとつが Robinson (1956)である。Robinson (1956)黄金おうごん時代じだい定義ていぎしたけんについてはGibson (2005)20ぺーじ参照さんしょう
  13. ^ Robinson (1956)99ぺーじGibson (2005)106ぺーじ参照さんしょう
  14. ^ ヘシオドス仕事しごと日々ひび』。
  15. ^ Phelps (1961)などのほか、世代せだい重複じゅうふくモデルの古典こてんとしてられるDiamond (1965)なども黄金おうごん時代じだいという用語ようごをつかっていた。
  16. ^ Barro and Sala-i-Martin (2004)大住おおすみ圭介けいすけやく均斉きんせい成長せいちょう原語げんごbalanced growth 。これは均整きんせい成長せいちょう(たとえばあさげん照雄てるお均整きんせい成長せいちょう理論りろん均整きんせい成長せいちょう理論りろん』エコノミクス、九州産業大学きゅうしゅうさんぎょうだいがく、2006ねん)とも均衡きんこう成長せいちょう(たとえばジョーンズ『経済けいざい成長せいちょう理論りろん入門にゅうもん香西こうざいやすし監訳かんやく日本経済新聞にほんけいざいしんぶん出版しゅっぱんしゃ、1998ねん)ともやくす。
  17. ^ Solow (2000)福岡ふくおか正夫まさおやく恒常こうじょう状態じょうたい原語げんごsteady state。これは持続じぞく状態じょうたいBarro and Sala-i-Martin (2004) 大住おおすみ圭介けいすけやく)とも定常ていじょう状態じょうたい(ジョーンズ『経済けいざい成長せいちょう理論りろん入門にゅうもん香西こうざいやすし監訳かんやく日本経済新聞にほんけいざいしんぶん出版しゅっぱんしゃ1998ねん)ともやくす。
  18. ^ Barro and Sala-i-Martin (2004)34ぺーじ脚注きゃくちゅう11。
  19. ^ Acemoglu (2009)57ぺーじ原典げんてんKaldor (1961)
  20. ^ Kaldor (1961)。「定型ていけいされた事実じじつ」は経済けいざい学者がくしゃからは「カルドアの事実じじつ」ともよばれる(Acemoglu (2009)57ぺーじなど)。
  21. ^ Solow (2000)福岡ふくおか正夫まさおやく158ぺーじ
  22. ^ a b Uzawa (1961)Schlicht (2006)
  23. ^ Phelps (1965)
  24. ^ 齊藤さいとうまこと(2006)『成長せいちょう信仰しんこう桎梏しっこく消費しょうひ重視じゅうしのマクロ経済けいざいがく』勁草書房しょぼう
  25. ^ a b The Royal Swedish Academy of Sciences. “Edmund Phelps’s Contributions to Macroeconomics” (PDF). Advanced information on Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel. Nobelprize.org. Nobel Media AB. 2015ねん10がつ15にち閲覧えつらん
  26. ^ Phelps (1966)
  27. ^ Phelps (1965)によるリストアップ。Phelps (2008)はジャック・デルソーをはずしている。
  28. ^ Boianovsky and Hoover (2014)
  29. ^ たとえばAcemoglu (2009)42ぺーじ
  30. ^ 池田いけだ信夫しのぶ. “池田いけだ信夫しのぶ blog : 資本しほん収益しゅうえきりつはどこで安定あんていするのか”. ライブドア・ブログ. 2015ねん10がつ29にち閲覧えつらん
  31. ^ a b c Phelps (2008)
  32. ^ Phelps (1961)642ぺーじ
  33. ^ a b 大住おおすみ (2003)86-87ぺーじ
  34. ^ Phelps (1961)639ぺーじ
  35. ^ Cass (1965)Koopmans (1965)
  36. ^ Phelps (1966)技術ぎじゅつ進歩しんぽのないケースはCass (1965)参照さんしょう
  37. ^ Acemoglu (2009)70ぺーじ
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  39. ^ a b Mankiw (2015)
  40. ^ ピケティ (2014)だい16しょうちゅう42、専門せんもん補遺ほい57ぺーじ山形やまがたらのわけでは「黄金おうごんそく」「動的どうてき効率こうりつ」である
  41. ^ ピケティ (2014)専門せんもん補遺ほい57ぺーじ山形やまがたらのわけでは「黄金おうごんそく」「動的どうてき効率こうりつ」である。
  42. ^ Abel, Mankiw, Summers and Zeckhauser (1989)
  43. ^ a b c Solow (2000)福岡ふくおか正夫まさおやくだい7しょう 標準ひょうじゅんモデル再論さいろん」による。
  44. ^ a b Acemoglu (2009)Chapter 8, "The Neoclassical Growth Model"。
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  47. ^ Solow (2000)福岡ふくおか正夫まさおやく167ぺーじAcemoglu (2009)300ぺーじ
  48. ^ Barro and Sala-i-Martin (2004)101ぺーじ
  49. ^ ピケティ (2014)専門せんもん補遺ほい57ぺーじ
  50. ^ a b Barro and Sala-i-Martin (2004)101ぺーじAcemoglu (2009)310-311ぺーじ
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  57. ^ a b c ピケティ (2014)594ぺーじ
  58. ^ ピケティ (2014)595ぺーじ
  59. ^ たとえばピケティ (2014)373~376ぺーじ時間じかん選好せんこう問題もんだい」、どう592~595ぺーじ「21世紀せいきにおける政府せいふ資本しほん蓄積ちくせき」などのほか、同書どうしょ専門せんもん増補ぞうほ全般ぜんぱん
  60. ^ ピケティ (2014)602ぺーじ
  61. ^ Barro and Sala-i-Martin (2004)35ぺーじ
  62. ^ 大住おおすみ(2003)86ぺーじちゅう2。
  63. ^ Robinson (1938)
  64. ^ Uzawa (1961)
  65. ^ Schlicht (2006)
  66. ^ Schlicht (2006)のほか、Jones and Scrimgeour (2008)Acemoglu (2009)参照さんしょう
  67. ^ Robinson (1962)、A Neo-Classical Theorem。
  68. ^ Phelps (1965)の a theorem on maximal consumption in a golden age 。
  69. ^ Phelps (2008)
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  71. ^ a b Acemoglu (2009)28ぺーじ、Assumption 1 参照さんしょう
  72. ^ Acemoglu (2009)33ぺーじ、Assumption 2 参照さんしょう
  73. ^ a b c d e f ローマー (1998)47ぺーじ
  74. ^ Acemoglu (2009)296ぺーじしき8.27参照さんしょう
  75. ^ a b c ローマー (1998)48ぺーじ
  76. ^ ローマー (1998)46ぺーじしき2.1参照さんしょう
  77. ^ ローマー (1998)50ぺーじしき2.14参照さんしょう
  78. ^ 仮定かてい名称めいしょうは、Acemoglu (2009)310ぺーじ、Assumption 4 に由来ゆらいする。
  79. ^ ローマー (1998)48ぺーじしき2.5参照さんしょう
  80. ^ ローマー (1998)49ぺーじしき2.7参照さんしょう
  81. ^ ローマー (1998)50ぺーじしき2.15参照さんしょう
  82. ^ ローマー (1998)51ぺーじしき2.16参照さんしょう
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関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]