黄金 おうごん 律 りつ のイメージ
経済 けいざい 成長 せいちょう の黄金 おうごん 律 りつ (けいざいせいちょうのおうごんりつ)は、一定 いってい の成長 せいちょう 率 りつ で進 すす む経済 けいざい 成長 せいちょう のうちで、消費 しょうひ が最 もっと も多 おお い経済 けいざい 成長 せいちょう である[1] 。黄金 おうごん 則 のり とも訳 やく す[2] 。
エドムンド・フェルプス の寓話 ぐうわ は、むかしむかしソロヴィア王国 おうこく の百姓 ひゃくしょう オイコ・ノモスが黄金 おうごん 律 りつ を思 おも いつきました、という筋書 すじが きだが[3] 、本当 ほんとう は1960年代 ねんだい の初 はじ めにフェルプスをふくむ数 すう 人 にん の経済 けいざい 学者 がくしゃ がそれぞれ独自 どくじ に黄金 おうごん 律 りつ を発案 はつあん した[4] 。フェルプスらの定理 ていり によると、利子 りし 率 りつ が成長 せいちょう 率 りつ に等 ひと しい のが黄金 おうごん 律 りつ である[5] 。
黄金 おうごん 律 りつ では資本 しほん が稼 かせ いだ収益 しゅうえき を全 すべ て投資 とうし して蓄積 ちくせき する。このことを蓄積 ちくせき の黄金 おうごん 律 りつ [6] とも資本 しほん 蓄積 ちくせき の黄金 おうごん 律 りつ [7] ともいう。黄金 おうごん 律 りつ では資本 しほん 収益 しゅうえき を全 すべ て再 さい 投資 とうし しないといけないので、資本 しほん を所有 しょゆう するだけの不労所得 ふろうしょとく 生活 せいかつ 者 しゃ は何 なに も消費 しょうひ できない[8] 。黄金 おうごん 律 りつ の実現 じつげん は経済 けいざい の成熟 せいじゅく を示 しめ す[9] 。
黄金 おうごん 律 りつ は単純 たんじゅん なので分 わ かりやすい[10] 。最適 さいてき 成長 せいちょう 理論 りろん の基本 きほん 中 ちゅう の基本 きほん とされる[9] 。政策 せいさく 当局 とうきょく は黄金 おうごん 律 りつ に魅 み せられて、黄金 おうごん 律 りつ をめざしたいと思 おも うことがあるという[10] 。
均斉 きんせい 成長 せいちょう (黄金 おうごん 時代 じだい )[ 編集 へんしゅう ]
1961年 ねん に黄金 おうごん 律 りつ を提唱 ていしょう したフェルプスは、全 すべ ての経済 けいざい 変数 へんすう がそれぞれ一定 いってい の成長 せいちょう 率 りつ で伸 の びてゆく経済 けいざい 成長 せいちょう を黄金 おうごん 時代 じだい とよんだ[11] 。
1920年代 ねんだい のジョーン。これよりおよそ30年 ねん 後 ご に黄金 おうごん 時代 じだい を定義 ていぎ する。
この黄金 おうごん 時代 じだい の概念 がいねん は1956年 ねん にジョーン・ロビンソン が定義 ていぎ した[12] 。現実 げんじつ には経済 けいざい が厳密 げんみつ に一定 いってい の伸 の び率 りつ で成長 せいちょう しつづけることはないので、黄金 おうごん 時代 じだい という言葉 ことば には「実現 じつげん しそうにない神話 しんわ 的 てき な状態 じょうたい 」という意味 いみ がこめられていた[13] 。もともと黄金 おうごん 時代 じだい はギリシア神話 しんわ 上 うえ の時代 じだい 区分 くぶん のひとつであり、最 もっと も古 ふる く長 なが くつづいた時代 じだい であったとされる[14] 。フェルプスが黄金 おうごん 律 りつ を提唱 ていしょう したときの寓話 ぐうわ は、古代 こだい ギリシア風 ふう の架空 かくう の王国 おうこく を舞台 ぶたい とし、その主人公 しゅじんこう は古代 こだい ギリシア語 ご の「経済 けいざい 」をモジったオイコ・ノモスという名 な であった[3] 。
黄金 おうごん 律 りつ が提唱 ていしょう された当時 とうじ は経済 けいざい 学 がく で黄金 おうごん 時代 じだい という言葉 ことば がつかわれていた[15] 。現在 げんざい は経済 けいざい 学 がく で黄金 おうごん 時代 じだい という言葉 ことば をつかうことはほとんどなく、そのかわりに均斉 きんせい 成長 せいちょう という[16] 。これを恒常 こうじょう 状態 じょうたい ともいうが[17] 、経済 けいざい 学者 がくしゃ によっては成長 せいちょう 率 りつ がゼロの場合 ばあい に限 かぎ ってこれを恒常 こうじょう 状態 じょうたい とよぶことがあるというので気 き をつける[18] 。
黄金 おうごん 律 りつ が提唱 ていしょう される少 すこ し前 まえ 、ニコラス・カルドア は経済 けいざい 統計 とうけい を観察 かんさつ し、現実 げんじつ の経済 けいざい 成長 せいちょう がおおむね均斉 きんせい 成長 せいちょう であるという事実 じじつ を発見 はっけん した[19] 。カルドアはこれを定型 ていけい 化 か された事実 じじつ (英語 えいご 版 ばん ) とよび、黄金 おうごん 律 りつ が提唱 ていしょう された年 とし と同 おな じ1961年 ねん に公表 こうひょう した[20] 。現代 げんだい の経済 けいざい 成長 せいちょう 理論 りろん でも、均斉 きんせい 成長 せいちょう は現実 げんじつ を要約 ようやく して記述 きじゅつ する概念 がいねん として有益 ゆうえき であると考 かんが えられている[21] 。
均斉 きんせい 成長 せいちょう における技術 ぎじゅつ 進歩 しんぽ は資本 しほん の生産 せいさん 効率 こうりつ を高 たか めずに労働 ろうどう の生産 せいさん 効率 こうりつ を高 たか めるかのようなかたちになる[22] 。これを労働 ろうどう 拡張 かくちょう 型 がた 技術 ぎじゅつ 進歩 しんぽ という。このことは、1961年 ねん に宇沢 うざわ 弘文 ひろふみ が発表 はっぴょう した論文 ろんぶん で証明 しょうめい された(宇沢 うざわ の定理 ていり )。これと同 おな じ1961年 ねん に黄金 おうごん 律 りつ を提唱 ていしょう したフェルプスは、初 はじ めこのことに気 き づいていなかったが、1965年 ねん の第 だい 二 に 論文 ろんぶん でこれを取 と りいれた[23] 。
均斉 きんせい 成長 せいちょう (黄金 おうごん 時代 じだい )は成長 せいちょう 率 りつ が一定 いってい であるというだけで、それ自体 じたい が望 のぞ ましいというわけではない。一方 いっぽう 、フェルプスは、黄金 おうごん 時代 じだい (ゴールデン ・エイジ)で望 のぞ ましいルール を黄金 おうごん 律 りつ (ゴールデン・ルール )とよんだ[3] 。黄金 おうごん 律 りつ は消費 しょうひ を最大 さいだい 化 か する黄金 おうごん 時代 じだい (均斉 きんせい 成長 せいちょう )と定義 ていぎ される[4] 。
黄金 おうごん 律 りつ で最大 さいだい 化 か されるのは消費 しょうひ であって、生産 せいさん や所得 しょとく が最大 さいだい 化 か されるわけではない。政策 せいさく 評価 ひょうか や経済 けいざい 分析 ぶんせき の実務 じつむ では国内 こくない 総 そう 生産 せいさん や国民 こくみん 所得 しょとく で豊 ゆた かさを測 はか るが、経済 けいざい 学 がく では消費 しょうひ で豊 ゆた かさを評価 ひょうか する[24] 。
1984年 ねん のフェルプス。この23年 ねん 前 まえ に黄金 おうごん 律 りつ を提唱 ていしょう した。
黄金 おうごん 律 りつ の定理 ていり によると、資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ (利子 りし 率 りつ )が成長 せいちょう 率 りつ に等 ひと しくなる均斉 きんせい 成長 せいちょう が存在 そんざい する場合 ばあい 、その均斉 きんせい 成長 せいちょう が消費 しょうひ を最大 さいだい 化 か する黄金 おうごん 律 りつ である[4] 。この定理 ていり を言葉 ことば で説明 せつめい すると次 つぎ のとおりである。資本 しほん を増 ふ やしたうえで成長 せいちょう 率 りつ 一定 いってい の均斉 きんせい 成長 せいちょう をたもつと、資本 しほん が増 ふ えたことで生産 せいさん が増 ふ えて消費 しょうひ が増 ふ えるが、その一方 いっぽう で、均斉 きんせい 成長 せいちょう をたもつには資本 しほん への再 さい 投資 とうし を増 ふ やさないといけないので、その再 さい 投資 とうし の分 ぶん だけ消費 しょうひ が減 へ ってしまう。すると、増産 ぞうさん で消費 しょうひ の増 ふ える分 ぶん と、再 さい 投資 とうし で消費 しょうひ の減 へ る分 わか とがバランスするところがあれば、そこで消費 しょうひ が最大 さいだい 化 か される。そして、資本 しほん の増 ふ えた分 ぶん に資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ をかけた分 ぶん だけ生産 せいさん が増 ふ え、また、資本 しほん の増 ふ えた分 ぶん に成長 せいちょう 率 りつ をかけた分 ぶん だけ再 さい 投資 とうし しないと均斉 きんせい 成長 せいちょう をたもてないことがわかっている。これらを考 かんが えあわせると、資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ と成長 せいちょう 率 りつ がバランスするところが、増産 ぞうさん で消費 しょうひ の増 ふ える分 わか と再 さい 投資 とうし で消費 しょうひ の減 へ る分 ぶん がバランスするところであり、そこが消費 しょうひ を最大 さいだい 化 か する黄金 おうごん 律 りつ である。つまり資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ と成長 せいちょう 率 りつ が等 ひと しくなるところが黄金 おうごん 律 りつ である。以上 いじょう について数式 すうしき をもちいた説明 せつめい は黄金 おうごん 律 りつ の定理 ていり の節 ふし を参照 さんしょう 。
黄金 おうごん 律 りつ のアイデアは1947年 ねん にモーリス・アレ がフランス語 ふらんすご で著 あらわ した本 ほん にさかのぼるといわれるが、黄金 おうごん 律 りつ の名 な で広 ひろ く知 し られるようになったは、1961年 ねん にフェルプスが寓話 ぐうわ のかたちのペーパー[3] をアメリカン・エコノミック・レビュー 誌 し で発表 はっぴょう してからである[25] 。その後 ご フェルプスは1965年 ねん に同誌 どうし で第 だい 二 に 論文 ろんぶん [4] を発表 はっぴょう し、1966年 ねん に著書 ちょしょ 『経済 けいざい 成長 せいちょう の黄金 おうごん 律 りつ 』[26] を刊行 かんこう した。この間 あいだ 、黄金 おうごん 律 りつ と同様 どうよう のアイデアは、モーリス・アレやジョーン・ロビンソン、トレイヴァー・スワン (英語 えいご 版 ばん ) 、カール・クリスティアン・フォン・ヴァイツゼッカー (ドイツ語 ご 版 ばん ) 、ジャック・デルソー (フランス語 ふらんすご 版 ばん ) によっても発表 はっぴょう された[27] 。
2006年 ねん フェルプスがノーベル経済 けいざい 学 がく 賞 しょう を受賞 じゅしょう した際 さい 、フェルプスの業績 ぎょうせき の一 ひと つに黄金 おうごん 律 りつ に関 かん する研究 けんきゅう が挙 あ げられた[25] 。
黄金 おうごん 律 りつ 貯蓄 ちょちく 率 りつ [ 編集 へんしゅう ]
フェルプスの寓話 ぐうわ はソロヴィア王国 おうこく を舞台 ぶたい とする[3] 。ソロヴィア王国 おうこく という国名 こくめい はフェルプスの同僚 どうりょう 学者 がくしゃ ロバート・ソロー の姓 せい をモジったものであり、ソローの成長 せいちょう モデルは貯蓄 ちょちく 率 りつ s を一定 いってい と仮定 かてい するモデルであった[28] 。フェルプスが初 はじ めて黄金 おうごん 律 りつ を提唱 ていしょう したとき、ソロヴィア王国 おうこく の人 ひと びとは単純 たんじゅん なので生産 せいさん 物 ぶつ の一定 いってい 割合 わりあい s を蓄積 ちくせき するものと仮定 かてい して、s の中 なか から消費 しょうひ を最大 さいだい 化 か する黄金 おうごん 律 りつ をえらぶという考 かんが え方 かた をしていた[3] 。この考 かんが え方 かた によると、黄金 おうごん 律 りつ では、資本 しほん 収益 しゅうえき の所得 しょとく に占 し める割合 わりあい と s が等 ひと しくなるという関係 かんけい が成 な りたつ[3] 。この関係 かんけい をフェルプスは蓄積 ちくせき の黄金 おうごん 律 りつ とよんだ[6] 。資本 しほん 蓄積 ちくせき の黄金 おうごん 律 りつ ともよばれる[7] 。
このように s を一定 いってい と仮定 かてい して導 みちび いた黄金 おうごん 律 りつ の s を黄金 おうごん 律 りつ 貯蓄 ちょちく 率 りつ という[29] 。フェルプスは1965年 ねん の第 だい 二 に 論文 ろんぶん 以降 いこう 、s を一定 いってい を仮定 かてい することはなく、均斉 きんせい 成長 せいちょう で結果 けっか として s が一定 いってい になることを導 みちび いている[4] 。
最適 さいてき 成長 せいちょう 理論 りろん [ 編集 へんしゅう ]
世界銀行 せかいぎんこう レポート『黄金 おうごん 成長 せいちょう 』によると、黄金 おうごん 律 りつ は最適 さいてき 成長 せいちょう 理論 りろん で最 もっと も基本 きほん 的 てき な命題 めいだい であると今 いま も多 おお くの経済 けいざい 学者 がくしゃ が考 かんが えているという[9] 。また、ある学術 がくじゅつ 博士 はかせ はブログ で、最適 さいてき 成長 せいちょう 理論 りろん は無限 むげん の未来 みらい の消費 しょうひ を最大 さいだい 化 か する、これが黄金 おうごん 律 りつ なのだ、というようなことを書 か いている[30] 。しかし、以下 いか で述 の べるように、最適 さいてき 成長 せいちょう 理論 りろん における黄金 おうごん 律 りつ の位置 いち づけはそれほど簡単 かんたん なものではない。
黄金 おうごん 律 りつ に向 む かう道 みち すじ[ 編集 へんしゅう ]
2008年 ねん 時点 じてん のフェルプスは黄金 おうごん 律 りつ を目指 めざ すのが最適 さいてき といえないと認 みと めているが[31] 、1961年 ねん に黄金 おうごん 律 りつ を提唱 ていしょう した当初 とうしょ のフェルプスは黄金 おうごん 律 りつ を望 のぞ ましいものとして扱 あつか っていた[3] 。この場合 ばあい 、すでに黄金 おうごん 律 りつ に達 たっ しているときは黄金 おうごん 律 りつ をたもてばいいが、黄金 おうごん 律 りつ から外 はず れているときはどのような道 みち すじで黄金 おうごん 律 りつ に向 む かえばいいかという問題 もんだい がある。この問題 もんだい についてフェルプスは、寓話 ぐうわ の主人公 しゅじんこう オイコ・ノモスに次 つぎ のように主張 しゅちょう させている[32] (意訳 いやく )。
何 なに としてでも今後 こんご ずっと確実 かくじつ に黄金 おうごん 律 りつ の道 みち すじを進 すす むべきです。黄金 おうごん 律 りつ では資本 しほん と生産 せいさん の比率 ひりつ が決 き まっています。今 いま の資本 しほん 生産 せいさん 比率 ひりつ が黄金 おうごん 律 りつ より低 ひく ければ、その不足 ふそく 分 ぶん がなくなるまで消費 しょうひ を先送 さきおく りすべきです。今 いま の資本 しほん 生産 せいさん 比率 ひりつ が黄金 おうごん 律 りつ を超 こ えていれば、その超 ちょう 過分 かぶん がなくなるまで消費 しょうひ を前倒 まえだお しすべきです。ひとたび黄金 おうごん 律 りつ に到達 とうたつ したら、そのあとは黄金 おうごん 律 りつ で投資 とうし することを皆 みな で誓 ちか わなくてはいけません。黄金 おうごん 律 りつ にしたがって投資 とうし 比率 ひりつ を収益 しゅうえき 比率 ひりつ と一致 いっち させてゆけば、後 あと で悔 く やむことにならないでしょう。こうして最適 さいてき に準 じゅん じる社会 しゃかい 投資 とうし 政策 せいさく の基礎 きそ ができあがるのです。
いそいで黄金 おうごん 律 りつ を達成 たっせい すべきだというのがオイコ・ノモスの主張 しゅちょう だが、最後 さいご で「最適 さいてき に準 じゅん じる」と語 かた らせているあたり、この主張 しゅちょう の甘 あま さをフェルプス自身 じしん が認 みと めていることを表 あら わしている[33] 。厳密 げんみつ な理論 りろん を構成 こうせい するためには、何 なに が最適 さいてき であるかを厳密 げんみつ に定 さだ める必要 ひつよう がある[33] 。フェルプスの寓話 ぐうわ の筋書 すじが きは、数学 すうがく 者 しゃ たちが最適 さいてき をもとめて極 きょく 値 ち 問題 もんだい や汎 ひろし 函数 かんすう やハミルトニアン に取 と りくみました、しかし実現 じつげん できる答 こた えを出 だ せませんでした、そこで大 おお がかりな最適 さいてき 化 か 問題 もんだい を忘 わす れて単純 たんじゅん に考 かんが えることになりました、そして賢 かしこ い百姓 ひゃくしょう オイコ・ノモスが黄金 おうごん 律 りつ を思 おも いつきました、という話 はな しであった[34] 。経済 けいざい 成長 せいちょう の最適 さいてき 化 か 問題 もんだい は、フェルプスが寓話 ぐうわ を発表 はっぴょう したあと、次 つぎ に述 の べる最適 さいてき 成長 せいちょう モデルで解 と かれる。
最適 さいてき 成長 せいちょう モデル[ 編集 へんしゅう ]
最適 さいてき 成長 せいちょう モデルの位相 いそう 図 ず 。青 あお い線 せん が均斉 きんせい 成長 せいちょう に向 む かう最適 さいてき な道 みち すじを示 しめ す鞍点 あんてん 経路 けいろ である。kとcの間 あいだ には、新 しん 古典 こてん 派 は 成長 せいちょう モデルの節 ふし で示 しめ す関係 かんけい があり、時間 じかん の経過 けいか とともに矢印 やじるし の方向 ほうこう に変化 へんか する。k不変 ふへん の曲線 きょくせん 上 じょう のcの最大 さいだい 点 てん が黄金 おうごん 律 りつ 。均斉 きんせい 成長 せいちょう のcやkは黄金 おうごん 律 りつ より低 ひく い。
1960年代 ねんだい 、フェルプスらの黄金 おうごん 律 りつ の研究 けんきゅう と並行 へいこう して、デイヴィッド・キャス やチャリング・クープマンス が最適 さいてき 成長 せいちょう モデル をつくりあげた[35] 。最適 さいてき 成長 せいちょう モデルは経済 けいざい の進 すす むべき望 のぞ ましい道 みち すじを一本 いっぽん えらぶ。その結果 けっか は、望 のぞ ましい道 みち すじの先 さき にある均斉 きんせい 成長 せいちょう において、資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ が成長 せいちょう 率 りつ を上 うえ まわり、消費 しょうひ が黄金 おうごん 律 りつ より少 すく なくなる。
最適 さいてき 成長 せいちょう モデルが黄金 おうごん 律 りつ に達 たっ しないわけは、黄金 おうごん 律 りつ に達 たっ すると社会 しゃかい 厚生 こうせい (英語 えいご 版 ばん ) が無限 むげん になってしまって都合 つごう がわるいからである[36] 。このことを説明 せつめい すると次 つぎ のとおりである。最適 さいてき 成長 せいちょう モデルは、人々 ひとびと の日々 ひび の消費 しょうひ を数値 すうち で評価 ひょうか し、その数値 すうち を無限 むげん の未来 みらい まで積 つ みあげて社会 しゃかい 厚生 こうせい を計算 けいさん し、その社会 しゃかい 厚生 こうせい を最大 さいだい にするように、経済 けいざい の進 すす むべき道 みち すじを一本 いっぽん えらぶ。日々 ひび の消費 しょうひ を評価 ひょうか するにあたっては、未来 みらい を先 さき にゆけばゆくほど日々 ひび の消費 しょうひ を割 わ り引 び いて評価 ひょうか する。これは、目先 めさき の消費 しょうひ を優先 ゆうせん して、先 さき ゆきの消費 しょうひ を犠牲 ぎせい にする傾向 けいこう があるということなので、長 なが い目 め でみると消費 しょうひ が黄金 おうごん 律 りつ より少 すく なくなる。先 さき ゆきの消費 しょうひ をあまり割 わ り引 び かないようにすれば長 なが い目 め でみて消費 しょうひ は増 ふ えるが、そうして消費 しょうひ を増 ふ やして黄金 おうごん 律 りつ に近 ちか づけてゆくと、社会 しゃかい 厚生 こうせい が無限 むげん 大 だい になってしまう。社会 しゃかい 厚生 こうせい が無限 むげん 大 だい というのは素晴 すば らしいことのように思 おも えるが、無限 むげん 大 だい のまわりどれも無限 むげん 大 だい なので、一本 いっぽん の道 みち すじをえらべない。道 みち すじを一 いち 本 ほん えらべるようにすると黄金 おうごん 律 りつ に達 たっ しない。いいかえると、道 みち すじを一本 いっぽん えらぶ最適 さいてき 成長 せいちょう モデルは黄金 おうごん 律 りつ をえらばない。
動 どう 学 がく 非 ひ 効率 こうりつ 性 せい [ 編集 へんしゅう ]
黄金 おうごん 律 りつ が最適 さいてき 成長 せいちょう モデルでえらばれないという点 てん に関 かん して、フェルプスは、その場合 ばあい でも黄金 おうごん 律 りつ は動 どう 学 がく 非 ひ 効率 こうりつ 性 せい の境界 きょうかい 線 せん として規範 きはん 的 てき な意義 いぎ をもつと主張 しゅちょう した[4] 。動 どう 学 がく 非 ひ 効率 こうりつ 性 せい というのは、消費 しょうひ を一方 いっぽう 的 てき に増 ふ やせる機会 きかい があるのに、その機会 きかい を活 い かしていないという意味 いみ で無駄 むだ のある状況 じょうきょう をいう。資本 しほん が黄金 おうごん 律 りつ を超 こ えるほど余分 よぶん に蓄積 ちくせき され、資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ が成長 せいちょう 率 りつ を下 した まわるほど低下 ていか すると動 どう 学 がく 非 ひ 効率 こうりつ におちいる。
現代 げんだい の経済 けいざい 成長 せいちょう 理論 りろん において黄金 おうごん 律 りつ 貯蓄 ちょちく 率 りつ は、きちんと定義 ていぎ された選好 せんこう から導 みちび かれたものではないので最適 さいてき 性 せい の観点 かんてん からみると過去 かこ の遺物 いぶつ とみなされるが、そうであっても動 どう 学 がく 効率 こうりつ 性 せい の議論 ぎろん で役 やく に立 た つとされる[37] 。動 どう 学 がく 非 ひ 効率 こうりつ 性 せい の文脈 ぶんみゃく において「蓄積 ちくせき の黄金 おうごん 律 りつ は今 いま も最適 さいてき 成長 せいちょう 理論 りろん で最 もっと も基本 きほん の命題 めいだい である」といわれる[38] 。
たとえばグレゴリー・マンキュー はトマ・ピケティ 『21世紀 せいき の資本 しほん 』を批判 ひはん するペーパーで、動 どう 学 がく 非 ひ 効率 こうりつ 性 せい の境界 きょうかい 線 せん として黄金 おうごん 律 りつ に言及 げんきゅう している[39] 。批判 ひはん されたピケティも実 じつ は『21世紀 せいき の資本 しほん 』の目立 めだ たない場所 ばしょ で黄金 おうごん 律 りつ が動 どう 学 がく 非 ひ 効率 こうりつ 性 せい の境界 きょうかい 線 せん になることを論 ろん じていた[40] 。ピケティは歴史 れきし データをもとに資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ r が経済 けいざい 成長 せいちょう 率 りつ g を平均 へいきん 的 てき に上 うえ まわるという不等式 ふとうしき r > g を見 み いだし、それを根拠 こんきょ にして、現実 げんじつ 経済 けいざい の動 どう 学 がく 非 ひ 効率 こうりつ 性 せい を否定 ひてい した[41] 。かつてマンキューは、もっと緻密 ちみつ な実証 じっしょう 方法 ほうほう で先進 せんしん 国 こく の動 どう 学 がく 非 ひ 効率 こうりつ 性 せい を否定 ひてい する結果 けっか をえたことがあった[42] 。
市場 いちば 経済 けいざい と黄金 おうごん 律 りつ [ 編集 へんしゅう ]
修正 しゅうせい 黄金 おうごん 律 りつ [ 編集 へんしゅう ]
もともと最適 さいてき 成長 せいちょう モデルは望 のぞ ましい経済 けいざい 成長 せいちょう をえらぶためのものであったが、今 いま はこれを市場 いちば 経済 けいざい のカリカチュア に使 つか いまわす[43] 。これを新 しん 古典 こてん 派 は 成長 せいちょう モデル[44] とか標準 ひょうじゅん 的 てき 新 しん 古典 こてん 派 は モデル[43] 、あるいはラムゼイ・モデル [45] という。
新 しん 古典 こてん 派 は 成長 せいちょう モデルは、均斉 きんせい 成長 せいちょう で利子 りし 率 りつ が成長 せいちょう 率 りつ を上 うえ まわり、消費 しょうひ が黄金 おうごん 律 りつ より少 すく なくなる[46] 。新 しん 古典 こてん 派 は 成長 せいちょう モデルが黄金 おうごん 律 りつ に達 たっ しないことを修正 しゅうせい 黄金 おうごん 律 りつ ということがある[47] 。また、均斉 きんせい 成長 せいちょう の利子 りし 率 りつ を決定 けってい する数式 すうしき を修正 しゅうせい 黄金 おうごん 律 りつ ということがある[48] 。これを変形 へんけい 黄金 おうごん 則 そく と訳 やく すこともある[49] 。
新 しん 古典 こてん 派 は 成長 せいちょう モデルが黄金 おうごん 律 りつ に達 たっ しないわけは、黄金 おうごん 律 りつ に達 たっ するようにすると家計 かけい 効用 こうよう が無限 むげん 大 だい になってしまって都合 つごう がわるいからである[50] 。このことを言葉 ことば で説明 せつめい すると、最適 さいてき 成長 せいちょう モデルのときの説明 せつめい をほぼ繰 く りかえすことになるが、次 つぎ のとおりである。新 しん 古典 こてん 派 は 成長 せいちょう モデルでは、永久 えいきゅう に存続 そんぞく する家計 かけい が無限 むげん の未来 みらい を見 み とおして、日々 ひび の消費 しょうひ を数値 すうち で評価 ひょうか して、これを無限 むげん の未来 みらい まで積 つ みあげて家計 かけい 効用 こうよう を計算 けいさん し、その家計 かけい 効用 こうよう を最大 さいだい にするように消費 しょうひ 行動 こうどう をえらぶ。日々 ひび の消費 しょうひ を評価 ひょうか するにあたっては、未来 みらい を先 さき にゆけばゆくほど日々 ひび の消費 しょうひ を割 わ り引 び いて評価 ひょうか する。これは、目先 めさき の消費 しょうひ を優先 ゆうせん して、先 さき ゆきの消費 しょうひ を犠牲 ぎせい にするということなので、長 なが い目 め でみると消費 しょうひ が黄金 おうごん 律 りつ より少 すく なくなる。先 さき ゆきの消費 しょうひ をあまり割 わ り引 び かないようにしてゆけば長 なが い目 め でみて消費 しょうひ は増 ふ えるが、そうして消費 しょうひ を増 ふ やしていって黄金 おうごん 律 りつ に近 ちか づけてゆくと、家計 かけい 効用 こうよう が無限 むげん 大 だい になってしまう。無限 むげん 大 だい にならない程度 ていど にきつく割 わ り引 び くようにする必要 ひつよう があるが、そうすると黄金 おうごん 律 りつ に達 たっ しない。以上 いじょう について数式 すうしき をもちいた説明 せつめい は新 しん 古典 こてん 派 は 成長 せいちょう モデルの節 ふし を参照 さんしょう されたい。
2010年 ねん のダイアモンド。この45年 ねん 前 まえ 、国債 こくさい 発行 はっこう で黄金 おうごん 律 りつ を達成 たっせい する理論 りろん を示 しめ した。
資本 しほん が黄金 おうごん 律 りつ を超 こ えて蓄積 ちくせき されて消費 しょうひ が黄金 おうごん 律 りつ より少 すく なくなる場合 ばあい 、政府 せいふ は国債 こくさい を十分 じゅうぶん に発行 はっこう することで黄金 おうごん 律 りつ を達成 たっせい できる[51] 。そのわけは次 つぎ のとおりである。現役 げんえき 世代 せだい は老後 ろうご にそなえて貯蓄 ちょちく し、老後 ろうご は貯蓄 ちょちく を取 と り崩 くず して消費 しょうひ するという世代 せだい 重複 じゅうふく モデル(英語 えいご 版 ばん ) を考 かんが える。現役 げんえき 世代 せだい が老後 ろうご の生活 せいかつ を心配 しんぱい するあまり貯蓄 ちょちく しすぎると、資本 しほん が黄金 おうごん 律 りつ を超 こ えるほど余分 よぶん に蓄積 ちくせき される場合 ばあい がある。その場合 ばあい 、政府 せいふ が国債 こくさい を十分 じゅうぶん に発行 はっこう し、現役 げんえき 世代 せだい が国債 こくさい で貯蓄 ちょちく すれば、貯蓄 ちょちく が余分 よぶん な資本 しほん 蓄積 ちくせき にまわらなくなり、その分 ぶん 消費 しょうひ が増 ふ えて黄金 おうごん 律 りつ が達成 たっせい される。
この理論 りろん は1947年 ねん にモーリス・アレがフランス語 ふらんすご で著 あらわ した本 ほん にさかのぼるといわれるが、アレとは別 べつ にピーター・ダイアモンド が1965年 ねん にアメリカン・エコノミック・レビュー 誌 し で発表 はっぴょう した[52] 。このことはダイアモンドがノーベル経済 けいざい 学 がく 賞 しょう を受賞 じゅしょう した際 さい 、その業績 ぎょうせき の一 ひと つに数 かぞ えられている[52] 。
2007年 ねん のティロール。この22年 ねん 前 まえ にバブル均衡 きんこう で黄金 おうごん 律 りつ が成 な りたつ理論 りろん を示 しめ した。
資本 しほん が黄金 おうごん 律 りつ を超 こ えて蓄積 ちくせき されて消費 しょうひ が黄金 おうごん 律 りつ より少 すく なくなる場合 ばあい 、合理 ごうり 的 てき バブル が発生 はっせい する可能 かのう 性 せい があり、合理 ごうり 的 てき バブルが均斉 きんせい 成長 せいちょう で存続 そんぞく すると黄金 おうごん 律 りつ が達成 たっせい される[53] 。そのロジックは、ダイアモンドの世代 せだい 重複 じゅうふく モデルにおける国債 こくさい を合理 ごうり 的 てき バブルにおきかえたものであり、次 つぎ のように考 かんが える。
資本 しほん が黄金 おうごん 律 りつ を超 こ えるほど余分 よぶん に蓄積 ちくせき され、資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ が成長 せいちょう 率 りつ を下 した まわるほど低下 ていか すると、低 てい 収益 しゅうえき の資本 しほん に投資 とうし するぐらいならバブルに賭 か けてみるのが合理 ごうり 的 てき になる。そうして発生 はっせい する合理 ごうり 的 てき バブルの収益 しゅうえき 率 りつ は資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ と一致 いっち する。そのわけは、バブルの収益 しゅうえき 率 りつ が資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ より低 ひく ければバブルを売 う って資本 しほん を買 か えば儲 もう かるし、バブルの収益 しゅうえき 率 りつ が資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ より高 たか ければ資本 しほん を売 う ってバブルを買 か えば儲 もう かるが、こうした裁定 さいてい 取引 とりひき が十分 じゅうぶん に行 おこな われると収益 しゅうえき 率 りつ の違 ちが いがなくなるからである。
バブルというのは、本来 ほんらい 無用 むよう の物 もの でありながら、ただ値上 ねあ がりするから買 か われ、ただ買 か われるから値上 ねあ がりする。その性質 せいしつ 上 じょう 、バブルの膨張 ぼうちょう 率 りつ はそのままバブルの収益 しゅうえき 率 りつ になる。
バブルがうまい具合 ぐあい に存続 そんぞく するような均斉 きんせい 成長 せいちょう をバブル均衡 きんこう という。バブル均衡 きんこう でバブルは経済 けいざい 成長 せいちょう 率 りつ と同 おな じ伸 の び率 りつ で膨張 ぼうちょう する。
まとめると、1.資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ は裁定 さいてい 取引 とりひき によりバブル収益 しゅうえき 率 りつ と一致 いっち し、2.バブル収益 しゅうえき 率 りつ は性質 せいしつ 上 じょう バブル膨張 ぼうちょう 率 りつ に一致 いっち し、3.バブル膨張 ぼうちょう 率 りつ はバブル均衡 きんこう で経済 けいざい 成長 せいちょう 率 りつ と一致 いっち する。つまりバブル均衡 きんこう で資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ と成長 せいちょう 率 りつ が一致 いっち する。このことはバブル均衡 きんこう が黄金 おうごん 律 りつ であることを示 しめ す。
この合理 ごうり 的 てき バブルの理論 りろん は1985年 ねん にジャン・ティロール がエコノメトリカ 誌 し で発表 はっぴょう した[53] 。この理論 りろん はティロールがノーベル記念 きねん 経済 けいざい 学 がく 賞 しょう を受賞 じゅしょう した際 さい 、その業績 ぎょうせき の一 ひと つに数 かぞ えられている[54]
近年 きんねん の論調 ろんちょう [ 編集 へんしゅう ]
世界銀行 せかいぎんこう 『黄金 おうごん 成長 せいちょう 』[ 編集 へんしゅう ]
世界銀行 せかいぎんこう が2012年 ねん に発行 はっこう したレポート『黄金 おうごん 成長 せいちょう :ヨーロッパ経済 けいざい モデルの輝 かがや きを取 と りもどす』は、黄金 おうごん 律 りつ にインスピレーションを得 え てタイトルをつけ、黄金 おうごん 律 りつ にもとづいて政策 せいさく 提言 ていげん をおこなっている[9] 。
このレポートによると、黄金 おうごん 律 りつ は最適 さいてき 成長 せいちょう 理論 りろん で最 もっと も基本 きほん 的 てき な命題 めいだい であると今 いま も多 おお くの経済 けいざい 学者 がくしゃ が考 かんが えている[9] 。黄金 おうごん 律 りつ をたもつことは経済 けいざい の成熟 せいじゅく をしめす[9] 。黄金 おうごん 律 りつ は単純 たんじゅん なので分 わ かりやすく、政策 せいさく 当局 とうきょく は黄金 おうごん 律 りつ に魅 み せられてこれをめざしたいと思 おも うことがあるという[10] 。
ピケティ『21世紀 せいき の資本 しほん 』 [ 編集 へんしゅう ]
2015年 ねん のピケティ。黄金 おうごん 律 りつ に否定 ひてい 的 てき 。
トマ・ピケティ は、2013年 ねん にフランス語 ふらんすご で著 あらわ し2014年 ねん に日本語 にほんご に翻訳 ほんやく された『21世紀 せいき の資本 しほん 』で、黄金 おうごん 律 りつ について次 つぎ のような自説 じせつ を展開 てんかい している。およそ黄金 おうごん 律 りつ に対 たい して否定 ひてい 的 てき である。
歴史 れきし データをみると資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ が成長 せいちょう 率 りつ よりずっと高 たか いので、現実 げんじつ の資本 しほん は黄金 おうごん 律 りつ よりずっと少 すく ない[55] 。現実 げんじつ 経済 けいざい が黄金 おうごん 律 りつ ほどの資本 しほん を蓄積 ちくせき するとは考 かんが えにくい[56] 。黄金 おうごん 律 りつ は抽象 ちゅうしょう 理論 りろん にすぎず実際 じっさい 問題 もんだい であまり役 やく にたない[56] 。
黄金 おうごん 律 りつ において、資本 しほん を所有 しょゆう する不労所得 ふろうしょとく 生活 せいかつ 者 しゃ は、資本 しほん の収益 しゅうえき の全 すべ てを再 さい 投資 とうし しないと自分 じぶん の地位 ちい を保 たも てないので、何 なに も消費 しょうひ できない[56] 。したがって黄金 おうごん 律 りつ の実現 じつげん は不労所得 ふろうしょとく 生活 せいかつ 者 しゃ の支配 しはい を終 お わらせる[57] 。しかし黄金 おうごん 律 りつ を無理 むり に実現 じつげん する必要 ひつよう はなく、そうするよりも不労所得 ふろうしょとく 生活 せいかつ 者 しゃ に課税 かぜい するほうがずっと簡単 かんたん で効果 こうか 的 てき だ[57] 。
黄金 おうごん 律 りつ は資本 しほん の上限 じょうげん を設定 せってい するだけのものであって、黄金 おうごん 律 りつ に到達 とうたつ するのが望 のぞ ましいという主張 しゅちょう を導 みちび き出 だ すものではない[57] 。目先 めさき の消費 しょうひ を犠牲 ぎせい にしてまで先 さき ゆきの黄金 おうごん 律 りつ をめざすのが適切 てきせつ とは限 かぎ らない[58] 。
なお、以上 いじょう のような議論 ぎろん でピケティは均斉 きんせい 成長 せいちょう を基準 きじゅん に考 かんが えている[59] 。均斉 きんせい 成長 せいちょう では資本 しほん と生産 せいさん が同 おな じ伸 の び率 りつ で成長 せいちょう することが知 し られる[22] (宇沢 うざわ の定理 ていり )。一方 いっぽう 、ピケティは『21世紀 せいき の資本 しほん 』の「おわりに」で資本 しほん が生産 せいさん より速 はや く急 きゅう 成長 せいちょう すると主張 しゅちょう している[60] 。グレゴリー・マンキュー はこれを批判 ひはん して、ピケティのいうような成長 せいちょう は均斉 きんせい 成長 せいちょう から外 はず れてゆくが、標準 ひょうじゅん 的 てき な成長 せいちょう 理論 りろん は均斉 きんせい 成長 せいちょう を基準 きじゅん にして考 かんが えるので、ピケティの考 かんが えは標準 ひょうじゅん 的 てき 理論 りろん から外 はず れていると指摘 してき した[39] 。
経済 けいざい 成長 せいちょう の黄金 おうごん 律 りつ は聖書 せいしょ の黄金 おうごん 律 りつ に由来 ゆらい するという説 せつ がある。この説 せつ によると、経済 けいざい 成長 せいちょう の黄金 おうごん 律 りつ の語源 ごげん は、新約 しんやく 聖書 せいしょ マタイ伝 でん にある黄金 おうごん 律 りつ 「人 ひと にしてもらいたいと思 おも うことは、あなたがたも人 ひと にしなさい」に由来 ゆらい し、これを経済 けいざい 用語 ようご におきかえると「現代 げんだい の世代 せだい にも未来 みらい の世代 せだい にも同 おな じだけ消費 しょうひ させる場合 ばあい 、あるいは、未来 みらい の世代 せだい の消費 しょうひ を自分 じぶん たちの消費 しょうひ より少 すく なくしない場合 ばあい 、一人 ひとり 当 あ たり消費 しょうひ の最大 さいだい 量 りょう は黄金 おうごん 律 りつ である」と解釈 かいしゃく できるから、黄金 おうごん 律 りつ と名 な づけられたのだという[61] 。また一説 いっせつ には、新約 しんやく 聖書 せいしょ ルカ伝 でん 第 だい 6章 しょう 31節 せつ にある黄金 おうごん 律 りつ を世代 せだい 間 あいだ の関係 かんけい に拡張 かくちょう したものなのだともいう[62] 。
もっとも、フェルプスが黄金 おうごん 律 りつ を命名 めいめい したとき、黄金 おうごん 時代 じだい (ゴールデン ・エイジ)のルール を黄金 おうごん 律 りつ (ゴールデン・ルール )と名 な づけたのであって、語源 ごげん を聖書 せいしょ の黄金 おうごん 律 りつ に求 もと めていない[3] 。後 のち にフェルプスは次 つぎ のように語 かた っている[31] 。
黄金 おうごん 律 りつ という言葉 ことば はダジャレ(a play on words)であった。ロビンソン夫人 ふじん が定常 ていじょう 成長 せいちょう の状態 じょうたい を黄金 おうごん 時代 じだい と命名 めいめい したので、黄金 おうごん 時代 じだい の選択 せんたく に関 かん する命題 めいだい を黄金 おうごん 律 りつ と呼 よ ぶのは当然 とうぜん であった。これにくわえて、この言葉 ことば の裏 うら に聖書 せいしょ の黄金 おうごん 律 りつ 「あなたが他人 たにん にしてほしいことを他人 たにん にしなさい」をほのめかした。
そしてフェルプスは、聖書 せいしょ の黄金 おうごん 律 りつ について、他人 たにん に権利 けんり を要求 ようきゅう する者 もの は同 おな じ権利 けんり を他人 たにん に与 あた えなければならないという意味 いみ と解釈 かいしゃく する。この意味 いみ での黄金 おうごん 律 りつ にしたがうと、各 かく 世代 せだい は前 まえ の世代 せだい に要求 ようきゅう する貯蓄 ちょちく 政策 せいさく を次世代 じせだい のために自 みずか ら実践 じっせん しなければならない。世代 せだい をまたいだ貯蓄 ちょちく 政策 せいさく を選 えら ぶにあたっては、生産 せいさん や資本 しほん 収益 しゅうえき などに対 たい して一定 いってい の線形 せんけい 関係 かんけい のかたちであらわされる貯蓄 ちょちく 政策 せいさく の中 なか から選 えら ぶ必要 ひつよう がある。さもなければ、各 かく 世代 せだい は前 まえ の世代 せだい に貯蓄 ちょちく を要求 ようきゅう する一方 いっぽう で、自分 じぶん は貯蓄 ちょちく を減 へ らしてしまう、という[31] 。
数式 すうしき をもちいた説明 せつめい [ 編集 へんしゅう ]
変数 へんすう がそれぞれ一定 いってい の伸 の び率 りつ で成長 せいちょう する均斉 きんせい 成長 せいちょう において、技術 ぎじゅつ 進歩 しんぽ は労働 ろうどう 拡張 かくちょう 型 がた である。この定理 ていり は初 はじ めジョーン・ロビンソンが図示 ずし し[63] 、1961年 ねん に宇沢 うざわ 弘文 ひろふみ が証明 しょうめい した[64] 。これを宇沢 うざわ の定理 ていり という[65] 。
宇沢 うざわ の定理 ていり について、証明 しょうめい 方法 ほうほう を簡素 かんそ 化 か した Schlicht (2006) にもとづいて数式 すうしき をつかって示 しめ すと以下 いか のとおりである[66] 。
宇沢 うざわ の定理 ていり では、次 つぎ のような経済 けいざい 構造 こうぞう を考 かんが える。
Y
t
=
F
(
K
t
,
L
t
;
t
)
{\displaystyle Y_{t}=F(K_{t},L_{t};t)}
…時点 じてん
t
{\displaystyle t}
の生産 せいさん 物 ぶつ
Y
t
{\displaystyle Y_{t}}
は生産 せいさん 関数 かんすう
F
{\displaystyle F}
をつうじて資本 しほん
K
t
{\displaystyle K_{t}}
と労働 ろうどう 投入 とうにゅう
L
t
{\displaystyle L_{t}}
によってつくられる。関数 かんすう
F
{\displaystyle F}
は資本 しほん
K
t
{\displaystyle K_{t}}
と有効 ゆうこう 労働 ろうどう
L
t
{\displaystyle L_{t}}
に関 かん して1次 じ 同 どう 次 つぎ 関数 かんすう とする(規模 きぼ に関 かん して収穫 しゅうかく 一定 いってい )。関数 かんすう 中 ちゅう の最後 さいご の項 こう 「
;
t
{\displaystyle ;t}
」は時点 じてん
t
{\displaystyle t}
が進 すす むにしたがって生産 せいさん 関数 かんすう が変化 へんか することを示 しめ す。
Y
t
=
C
t
+
I
t
{\displaystyle Y_{t}=C_{t}+I_{t}}
…生産 せいさん 物 ぶつ
Y
t
{\displaystyle Y_{t}}
は消費 しょうひ
C
t
{\displaystyle C_{t}}
にあてられるか投資 とうし
I
t
{\displaystyle I_{t}}
にあてられる。
K
t
˙
=
I
t
−
δ でるた
K
t
{\displaystyle {\dot {K_{t}}}=I_{t}-\delta K_{t}}
…資本 しほん
K
t
{\displaystyle K_{t}}
は投資 とうし
I
t
{\displaystyle I_{t}}
によって増 ふ えるが、一定 いってい の減耗 げんもう 率 りつ
δ でるた
{\displaystyle \delta }
で減 へ る。
以上 いじょう の経済 けいざい 構造 こうぞう のもとで、
X
∈
{
Y
,
K
,
L
,
C
,
I
}
{\displaystyle X\in \{Y,K,L,C,I\}}
について、各 かく 変数 へんすう
X
t
>
0
{\displaystyle X_{t}>0}
は一定 いってい の率 りつ
g
X
{\displaystyle g_{X}}
で成長 せいちょう する、すなわち
X
t
=
X
0
e
g
X
t
{\displaystyle X_{t}=X_{0}e^{g_{X}t}}
とする。これを時間 じかん 微分 びぶん すると
X
t
˙
=
g
X
X
t
{\displaystyle {\dot {X_{t}}}=g_{X}X_{t}}
である。
均斉 きんせい 成長 せいちょう で生産 せいさん と資本 しほん の成長 せいちょう 率 りつ が一致 いっち することを以下 いか のとおり示 しめ す。
まず、
g
Y
=
g
I
{\displaystyle g_{Y}=g_{I}}
を次 つぎ のように導 みちび く。
X
t
˙
=
g
X
X
t
{\displaystyle {\dot {X_{t}}}=g_{X}X_{t}}
をもちいて、次 つぎ の式 しき 1の時間 じかん 微分 びぶん から式 しき 2を得 え て、またその時間 じかん 微分 びぶん から式 しき 3を得 え る。
Y
t
=
C
t
+
I
t
{\displaystyle Y_{t}=C_{t}+I_{t}}
g
Y
Y
t
=
g
C
C
t
+
g
I
I
t
{\displaystyle g_{Y}Y_{t}=g_{C}C_{t}+g_{I}I_{t}}
g
Y
2
Y
t
=
g
C
2
C
t
+
g
I
2
I
t
{\displaystyle g_{Y}^{2}Y_{t}=g_{C}^{2}C_{t}+g_{I}^{2}I_{t}}
これらを適宜 てきぎ 代入 だいにゅう して
(
g
Y
−
g
I
)
(
g
Y
−
g
C
)
Y
t
=
0
{\displaystyle (g_{Y}-g_{I})(g_{Y}-g_{C})Y_{t}=0}
(
g
Y
−
g
I
)
(
g
C
−
g
I
)
I
t
=
0
{\displaystyle (g_{Y}-g_{I})(g_{C}-g_{I})I_{t}=0}
を得 え る。
Y
t
>
0
,
I
t
>
0
{\displaystyle Y_{t}>0,I_{t}>0}
であるから
g
Y
=
g
I
{\displaystyle g_{Y}=g_{I}}
または
g
Y
=
g
C
{\displaystyle g_{Y}=g_{C}}
、かつ
g
Y
=
g
I
{\displaystyle g_{Y}=g_{I}}
または
g
C
=
g
I
{\displaystyle g_{C}=g_{I}}
である。ここで
g
Y
≠
g
I
{\displaystyle g_{Y}\neq g_{I}}
を仮定 かてい すると、上記 じょうき 1から
g
Y
=
g
C
{\displaystyle g_{Y}=g_{C}}
、上記 じょうき 2から
g
C
=
g
I
{\displaystyle g_{C}=g_{I}}
になるので、
g
Y
=
g
C
=
g
I
{\displaystyle g_{Y}=g_{C}=g_{I}}
になるが、これは
g
Y
≠
g
I
{\displaystyle g_{Y}\neq g_{I}}
の仮定 かてい と矛盾 むじゅん する。背理法 はいりほう により
g
Y
=
g
I
{\displaystyle g_{Y}=g_{I}}
であることがわかる。
また、
g
I
=
g
K
{\displaystyle g_{I}=g_{K}}
を次 つぎ のように導 みちび く。
K
t
˙
=
g
K
K
t
{\displaystyle {\dot {K_{t}}}=g_{K}K_{t}}
を
K
t
˙
=
I
t
−
δ でるた
K
t
{\displaystyle {\dot {K_{t}}}=I_{t}-{\delta }K_{t}}
に代入 だいにゅう して次 つぎ の式 しき 1を得 え て、またその時間 じかん 微分 びぶん から次 つぎ の式 しき 2を得 え る。
g
K
K
t
=
I
t
−
δ でるた
K
t
{\displaystyle g_{K}K_{t}=I_{t}-{\delta }K_{t}}
g
K
2
K
t
=
g
I
I
t
−
g
K
δ でるた
K
t
{\displaystyle g_{K}^{2}K_{t}=g_{I}I_{t}-g_{K}{\delta }K_{t}}
これらから
K
t
{\displaystyle K_{t}}
を消去 しょうきょ して
(
g
I
−
g
K
)
I
I
=
0
{\displaystyle (g_{I}-g_{K})I_{I}=0}
を得 え る。
I
t
>
0
{\displaystyle I_{t}>0}
であるから
g
I
=
g
K
{\displaystyle g_{I}=g_{K}}
である。
以上 いじょう により、
g
Y
=
g
I
=
g
K
{\displaystyle g_{Y}=g_{I}=g_{K}}
であり、生産 せいさん の成長 せいちょう 率 りつ と資本 しほん の成長 せいちょう 率 りつ が一致 いっち することが示 しめ された。一致 いっち する成長 せいちょう 率 りつ を
g
{\displaystyle g}
と表 あらわ す。
生産 せいさん の成長 せいちょう 率 りつ と資本 しほん の成長 せいちょう 率 りつ が一致 いっち することをふまえ、技術 ぎじゅつ 進歩 しんぽ が労働 ろうどう 拡張 かくちょう 型 がた になることを以下 いか のとおり示 しめ す。
0時 じ 点 てん では次 つぎ の式 しき 1であり、また
Y
t
=
Y
0
e
g
t
{\displaystyle Y_{t}=Y_{0}e^{gt}}
、
K
t
=
K
0
e
g
t
{\displaystyle K_{t}=K_{0}e^{gt}}
、
L
t
=
L
0
e
g
L
t
{\displaystyle L_{t}=L_{0}e^{g_{L}t}}
であるから、式 しき 1は式 しき 2のように書 か ける。関数 かんすう の1次 じ 同 どう 次 つぎ 性 せい から式 しき 2は式 しき 3になる。
A
t
≡
e
(
g
−
g
L
)
t
{\displaystyle A_{t}\equiv e^{(g-g_{L})t}}
と定義 ていぎ すると、式 しき 4を得 え る。
Y
0
=
F
(
K
0
,
L
0
;
0
)
{\displaystyle Y_{0}=F(K_{0},L_{0};0)}
Y
t
e
−
g
t
=
F
(
K
t
e
−
g
t
,
L
t
e
−
g
L
t
;
0
)
{\displaystyle Y_{t}e^{-gt}=F(K_{t}e^{-gt},L_{t}e^{-g_{L}t};0)}
Y
t
=
F
(
K
t
,
L
t
e
(
g
−
g
L
)
t
;
0
)
{\displaystyle Y_{t}=F(K_{t},L_{t}e^{(g-g_{L})t};0)}
Y
t
=
F
(
K
t
,
A
t
L
t
;
0
)
{\displaystyle Y_{t}=F(K_{t},A_{t}L_{t};0)}
関数 かんすう 形 がた の変化 へんか を示 しめ す最終 さいしゅう 項 こう がゼロで固定 こてい されることは関数 かんすう 形 がた が変化 へんか しないことを意味 いみ する。最後 さいご の式 しき 4の関数 かんすう のなかで
A
t
{\displaystyle A_{t}}
は一定 いってい の率 りつ で成長 せいちょう し、労働 ろうどう
L
t
{\displaystyle L_{t}}
を拡張 かくちょう するかのような形 かたち になっているので、これを労働 ろうどう 拡張 かくちょう 型 がた 技術 ぎじゅつ 進歩 しんぽ という。また
A
t
L
t
{\displaystyle A_{t}L_{t}}
を有効 ゆうこう 労働 ろうどう という。有効 ゆうこう 労働 ろうどう
A
t
L
t
{\displaystyle A_{t}L_{t}}
は、生産 せいさん
Y
t
{\displaystyle Y_{t}}
や資本 しほん
K
t
{\displaystyle K_{t}}
と同 おな じ率 りつ
g
{\displaystyle g}
で成長 せいちょう する。
黄金 おうごん 律 りつ の定理 ていり [ 編集 へんしゅう ]
資本 しほん の収益 しゅうえき 率 りつ (利子 りし 率 りつ )が成長 せいちょう 率 りつ に等 ひと しくなる均斉 きんせい 成長 せいちょう が存在 そんざい する場合 ばあい 、その均斉 きんせい 成長 せいちょう が黄金 おうごん 律 りつ である[4] 。このことをロビンソンは新 しん 古典 こてん 派 は 定理 ていり とよんだ[67] 。フェルプスは、黄金 おうごん 時代 じだい における消費 しょうひ 最大 さいだい 化 か に関 かん する定理 ていり とよんだ[68] 。後 のち にフェルプスはこれを黄金 おうごん 律 りつ の定理 ていり とよんでいる[69] 。
この定理 ていり をPhelps(1965)にもとづいて数式 すうしき をつかって示 しめ すと次 つぎ のとおりである。
経済 けいざい 構造 こうぞう は次 つぎ の3つの式 しき であらわされるものとする。
Y
t
=
F
(
K
t
,
A
t
L
t
)
{\displaystyle Y_{t}=F(K_{t},A_{t}L_{t})}
…時点 じてん
t
{\displaystyle t}
の生産 せいさん 物 ぶつ
Y
t
{\displaystyle Y_{t}}
は生産 せいさん 関数 かんすう
F
{\displaystyle F}
をつうじて資本 しほん
K
t
{\displaystyle K_{t}}
と有効 ゆうこう 労働 ろうどう
A
t
L
t
{\displaystyle A_{t}L_{t}}
によってつくられる。生産 せいさん 関数 かんすう
F
{\displaystyle F}
は1次 じ 同 どう 次 つぎ 関数 かんすう とする(規模 きぼ に関 かん して収穫 しゅうかく 一定 いってい )。有効 ゆうこう 労働 ろうどう
A
t
L
t
{\displaystyle A_{t}L_{t}}
は、技術 ぎじゅつ
A
t
{\displaystyle A_{t}}
と労働 ろうどう
L
t
{\displaystyle L_{t}}
を掛 か け合 あ わせたものであり、まとめて定率 ていりつ
g
{\displaystyle {g}}
で外 そと 生 せい 的 てき に増加 ぞうか するものとする(労働 ろうどう 拡張 かくちょう 型 がた 技術 ぎじゅつ 進歩 しんぽ 、前述 ぜんじゅつ )。
Y
t
=
C
t
+
I
t
{\displaystyle Y_{t}=C_{t}+I_{t}}
…生産 せいさん 物 ぶつ
Y
t
{\displaystyle Y_{t}}
は消費 しょうひ
C
t
{\displaystyle C_{t}}
にあてられるか投資 とうし
I
t
{\displaystyle I_{t}}
にあてられる。
K
t
˙
=
I
t
−
δ でるた
K
t
{\displaystyle {\dot {K_{t}}}=I_{t}-\delta K_{t}}
…資本 しほん
K
t
{\displaystyle K_{t}}
は投資 とうし
I
t
{\displaystyle I_{t}}
によって増 ふ えるが、一定 いってい の減耗 げんもう 率 りつ
δ でるた
{\displaystyle \delta }
で減 へ る。
以上 いじょう 3 みっ つの経済 けいざい 構造 こうぞう 式 しき を資本 しほん の微分 びぶん 方程式 ほうていしき のかたちにまとめると次 つぎ 式 しき を得 え る。
K
t
˙
=
F
(
K
t
,
A
t
L
t
)
−
δ でるた
K
t
−
C
t
{\displaystyle {\dot {K_{t}}}=F(K_{t},A_{t}L_{t})-{\delta }K_{t}-C_{t}}
外 そと 生 せい 変数 へんすう である有効 ゆうこう 労働 ろうどう
A
t
L
t
{\displaystyle A_{t}L_{t}}
で資本 しほん
K
t
{\displaystyle K_{t}}
と消費 しょうひ
C
t
{\displaystyle C_{t}}
を割 わ って基準 きじゅん 化 か し、それぞれを小文字 こもじ
k
t
{\displaystyle k_{t}}
と
c
t
{\displaystyle c_{t}}
であらわす。規模 きぼ に関 かん する収穫 しゅうかく 一定 いってい の仮定 かてい の下 した で
f
(
k
)
≡
F
(
k
,
1
)
{\displaystyle f(k)\equiv F(k,1)}
と定義 ていぎ すると、上記 じょうき の微分 びぶん 方程式 ほうていしき から
A
t
L
t
{\displaystyle A_{t}L_{t}}
を消去 しょうきょ できる。
k
t
˙
+
g
k
t
=
f
(
k
t
)
−
δ でるた
k
t
−
c
t
{\displaystyle {\dot {k_{t}}}+gk_{t}=f(k_{t})-{\delta }k_{t}-c_{t}}
均斉 きんせい 成長 せいちょう で資本 しほん
K
t
{\displaystyle K_{t}}
と消費 しょうひ
C
t
{\displaystyle C_{t}}
は有効 ゆうこう 労働 ろうどう
A
t
L
t
{\displaystyle A_{t}L_{t}}
と同率 どうりつ で成長 せいちょう するので、有効 ゆうこう 労働 ろうどう
A
t
L
t
{\displaystyle A_{t}L_{t}}
で基準 きじゅん 化 か された資本 しほん 水準 すいじゅん
k
t
{\displaystyle k_{t}}
と消費 しょうひ 水準 すいじゅん
c
t
{\displaystyle c_{t}}
は均斉 きんせい 成長 せいちょう で一定 いってい になる。一定 いってい になる資本 しほん 水準 すいじゅん を
k
{\displaystyle {k}}
、消費 しょうひ 水準 すいじゅん を
c
{\displaystyle {c}}
と表 あらわ すと、上記 じょうき の式 しき で次 つぎ のようになる。
c
=
f
(
k
)
−
(
δ でるた
+
g
)
k
{\displaystyle c=f(k)-(\delta +g)k}
そして消費 しょうひ 水準 すいじゅん
c
{\displaystyle c}
を最大 さいだい 化 か する黄金 おうごん 律 りつ 資本 しほん
k
∗
{\displaystyle k^{*}}
をもとめる。まず、均斉 きんせい 成長 せいちょう で消費 しょうひ がプラスになるの領域 りょういき がないとプラスの黄金 おうごん 律 りつ は存在 そんざい しないので、消費 しょうひ がプラスになる領域 りょういき があることにしよう。生産 せいさん 関数 かんすう が2回 かい 微分 びぶん 可能 かのう であり、その1回 かい 微分 びぶん が正 せい で2回 かい 微分 びぶん が負 まけ である場合 ばあい
(
f
′
>
0
,
f
″
<
0
)
{\displaystyle (f'>0,f''<0)}
、消費 しょうひ 水準 すいじゅん
c
{\displaystyle c}
を最大 さいだい 化 か する黄金 おうごん 律 りつ 資本 しほん
k
∗
{\displaystyle k^{*}}
は、上記 じょうき の式 しき で
c
{\displaystyle c}
を
k
{\displaystyle k}
で微分 びぶん してゼロとなる点 てん である。
f
′
(
k
∗
)
−
δ でるた
−
g
=
0
{\displaystyle f'(k^{*})-\delta -g=0}
f
′
(
k
)
−
δ でるた
{\displaystyle f'(k)-\delta }
は資本 しほん の純 じゅん 収益 しゅうえき 率 りつ であり、これを利子 りし 率 りつ
r
{\displaystyle r}
と表 あらわ す。黄金 おうごん 律 りつ 利子 りし 率 りつ
r
∗
≡
f
′
(
k
∗
)
−
δ でるた
{\displaystyle r^{*}{\equiv }f'(k^{*})-\delta }
を用 もち いて次 つぎ 式 しき を得 え る。
r
∗
=
g
{\displaystyle r^{*}=g}
これにより利子 りし 率 りつ が成長 せいちょう 率 りつ に等 ひと しい均斉 きんせい 成長 せいちょう が存在 そんざい し、それが黄金 おうごん 律 りつ になることが示 しめ された。
微分 びぶん 不能 ふのう な点 てん のあるハロッド・ドーマー型 がた 生産 せいさん 関数 かんすう の場合 ばあい も、黄金 おうごん 律 りつ を示 しめ すことができる。Golden Rule savings rate
新 しん 古典 こてん 派 は 成長 せいちょう モデル[ 編集 へんしゅう ]
もともとデイヴィッド・キャス やチャリング・クープマンス のモデルは社会 しゃかい 計画 けいかく のための最適 さいてき 成長 せいちょう モデルであったが、後 のち にこれを市場 いちば 経済 けいざい における家計 かけい の最適 さいてき 化 か 問題 もんだい におきかえて動 どう 学 がく 一般 いっぱん 均衡 きんこう モデル として用 もち いるようになった[43] 。この種 たね の動 どう 学 がく 一般 いっぱん 均衡 きんこう モデルを新 しん 古典 こてん 派 は 成長 せいちょう モデル などという[44] 。
新 しん 古典 こてん 派 は 成長 せいちょう モデルでは、均斉 きんせい 成長 せいちょう で利子 りし 率 りつ が成長 せいちょう 率 りつ を上 うえ まわり、消費 しょうひ が黄金 おうごん 律 りつ より少 すく なくなる[46] 。黄金 おうごん 律 りつ に達 たっ するほど時間 じかん 選好 せんこう 率 りつ を低 ひく く設定 せってい すると、家計 かけい 効用 こうよう が無限 むげん 大 だい に発散 はっさん するからである[50] 。このことを以下 いか に示 しめ す。
まず企業 きぎょう を考 かんが える。企業 きぎょう について次 つぎ のように想定 そうてい する[70] 。
企業 きぎょう は多数 たすう 存在 そんざい し、どれも同 おな じ構造 こうぞう をもつ。
企業 きぎょう は競争 きょうそう 市場 いちば で労働 ろうどう 者 しゃ
N
t
{\displaystyle N_{t}}
を雇 やと い資本 しほん
K
t
{\displaystyle K_{t}}
を借 か り生産 せいさん 物 ぶつ
Y
t
{\displaystyle Y_{t}}
を売 う る。
生産 せいさん 技術 ぎじゅつ
A
t
{\displaystyle A_{t}}
は伸 の び率 りつ
a
{\displaystyle a}
で外 そと 生 せい 的 てき に上昇 じょうしょう する。
企業 きぎょう は生産 せいさん 関数 かんすう
Y
t
=
F
(
K
t
,
A
t
N
t
)
{\displaystyle Y_{t}=F(K_{t},A_{t}N_{t})}
で生産 せいさん を行 おこな う。
企業 きぎょう は利潤 りじゅん を最大 さいだい 化 か し、生 しょう じた利潤 りじゅん を全 すべ て家計 かけい に配当 はいとう する。
生産 せいさん 関数 かんすう について次 つぎ のように仮定 かてい する。
F
{\displaystyle F}
は1次 じ 同 どう 次 つぎ 関数 かんすう とする(規模 きぼ に関 かん する収穫 しゅうかく 一定 いってい )[71] 。
f
(
k
)
≡
F
(
k
,
1
)
{\displaystyle f(k)\equiv F(k,1)}
は2回 かい 微分 びぶん 可能 かのう で
f
′
(
k
)
>
0
,
f
″
(
k
)
<
0
{\displaystyle f'(k)>0,f''(k)<0}
とする[71] 。
lim
k
→
0
f
′
(
k
)
=
∞
,
lim
k
→
∞
f
′
(
k
)
=
0
{\displaystyle \lim _{k\to 0}f'(k)=\infty ,\lim _{k\to \infty }f'(k)=0}
とする(稲田 いなだ の条件 じょうけん )[72] 。
有効 ゆうこう 労働 ろうどう
A
t
N
t
{\displaystyle A_{t}N_{t}}
あたりの資本 しほん を
k
t
≡
K
t
/
A
t
N
t
{\displaystyle k_{t}\equiv K_{t}/A_{t}N_{t}}
と定義 ていぎ すると、資本 しほん の限界 げんかい 生産 せいさん 力 りょく は
f
′
(
k
t
)
{\displaystyle f'(k_{t})}
と表 あらわ される[73] 。競争 きょうそう 市場 いちば であるから資本 しほん レンタル料 りょう は資本 しほん の限界 げんかい 生産 せいさん 力 りょく と一致 いっち し、また、市場 いちば 利子 りし 率 りつ
r
t
{\displaystyle r_{t}}
は資本 しほん レンタル料 りょう から資本 しほん 減耗 げんもう 率 りつ
δ でるた
{\displaystyle \delta }
を控除 こうじょ した分 ぶん に等 ひと しくなる[74] 。
r
t
=
f
′
(
k
t
)
−
δ でるた
{\displaystyle r_{t}=f'(k_{t})-\delta }
有効 ゆうこう 労働 ろうどう の限界 げんかい 生産 せいさん 物 ぶつ は
f
(
k
t
)
−
f
′
(
k
t
)
k
t
{\displaystyle f(k_{t})-f^{\prime }(k_{t})k_{t}}
で表 あらわ され、競争 きょうそう 市場 いちば のもとでそれは有効 ゆうこう 労働 ろうどう あたりの実質 じっしつ 賃金 ちんぎん
w
t
{\displaystyle w_{t}}
と等 ひと しくなる[75] 。
w
t
=
f
(
k
t
)
−
f
′
(
k
t
)
k
t
{\displaystyle w_{t}=f(k_{t})-f^{\prime }(k_{t})k_{t}}
次 つぎ に家計 かけい を考 かんが える。家計 かけい について次 つぎ のように想定 そうてい する[70] 。
家計 かけい は多数 たすう 存在 そんざい し、どれも同 おな じ構造 こうぞう をもつ。
各 かく 家計 かけい の構成 こうせい 人数 にんずう は伸 の び率 りつ
n
{\displaystyle n}
で増 ふ える。
各人 かくじん は各 かく 時点 じてん で労働 ろうどう を1単位 たんい 供給 きょうきゅう する。
家計 かけい は資本 しほん を保有 ほゆう し企業 きぎょう に貸 か す。初期 しょき 時点 じてん でどの家計 かけい も同 おな じだけ資本 しほん を保有 ほゆう する。
家計 かけい は生涯 しょうがい の効用 こうよう を最大 さいだい 化 か するように、所得 しょとく を消費 しょうひ と貯蓄 ちょちく に分配 ぶんぱい する
家計 かけい の生涯 しょうがい 効用 こうよう は次 つぎ のように定義 ていぎ される[76] 。
U
=
∫
0
∞
e
−
ρ ろー
t
u
(
C
t
N
t
)
N
t
H
d
t
{\displaystyle U=\int _{0}^{\infty }e^{-\rho t}u({\frac {C_{t}}{N_{t}}}){\frac {N_{t}}{H}}dt}
C
t
{\displaystyle C_{t}}
は消費 しょうひ の総量 そうりょう 、
N
t
{\displaystyle N_{t}}
は総 そう 人口 じんこう 、
H
{\displaystyle H}
は家計 かけい の総数 そうすう であり、したがって
C
t
/
N
t
{\displaystyle C_{t}/N_{t}}
は一人 ひとり あたり消費 しょうひ 、
N
t
/
H
{\displaystyle N_{t}/H}
は各 かく 家計 かけい の構成 こうせい 人数 にんずう である[70] 。関数 かんすう
u
{\displaystyle u}
は各人 かくじん の各 かく 時点 じてん の効用 こうよう を示 しめ し、それにその時点 じてん の家計 かけい 構成 こうせい 人数 にんずう を乗 じょう じた
u
(
C
t
/
N
t
)
N
t
/
H
{\displaystyle u(C_{t}/N_{t})N_{t}/H}
は各 かく 家計 かけい の各 かく 時点 じてん の効用 こうよう を表 あら わす[70] 。
ρ ろー
{\displaystyle \rho }
は主観 しゅかん 的 てき な割引 わりびき 率 りつ であり、
ρ ろー
{\displaystyle \rho }
が高 たか いほど家計 かけい は目先 めさき を重視 じゅうし し先行 さきゆ きを軽視 けいし する[70] 。
関数 かんすう
u
{\displaystyle u}
は次 つぎ のような形 かたち を仮定 かてい する[73] 。
u
(
c
)
=
{
c
1
−
θ しーた
1
−
θ しーた
θ しーた
≠
1
,
θ しーた
>
0
log
(
c
)
θ しーた
=
1
{\displaystyle u(c)={\begin{cases}{\dfrac {c^{1-\theta }}{1-\theta }}&\theta \neq 1,\theta >0\\\log(c)&\theta =1\end{cases}}}
有効 ゆうこう 労働 ろうどう あたりの消費 しょうひ
c
t
≡
C
t
/
A
t
N
t
{\displaystyle c_{t}\equiv C_{t}/A_{t}N_{t}}
と有効 ゆうこう 労働 ろうどう の成長 せいちょう 率 りつ
g
≡
a
+
n
{\displaystyle g\equiv a+n}
を用 もち いて家計 かけい の生涯 しょうがい 効用 こうよう を表 あらわ すと次 つぎ のとおりである[77] 。
U
=
A
0
1
−
θ しーた
L
0
H
∫
0
∞
e
−
(
ρ ろー
+
θ しーた
a
−
g
)
t
u
(
c
t
)
d
t
{\displaystyle U={\frac {A_{0}^{1-\theta }L_{0}}{H}}\int _{0}^{\infty }e^{-(\rho +\theta a-g)t}u(c_{t})dt}
また次 つぎ のように仮定 かてい する[73] 。
技術 ぎじゅつ 進歩 しんぽ を伴 ともな う割引 わりびき の仮定 かてい [78] :
ρ ろー
>
(
1
−
θ しーた
)
a
+
n
{\displaystyle \rho >(1-\theta )a+n}
この条件 じょうけん を追加 ついか することで家計 かけい 効用 こうよう が無限 むげん 大 だい に発散 はっさん しないことが保証 ほしょう される[73] 。この条件 じょうけん が満 み たされないと、家計 かけい 効用 こうよう が無限 むげん 大 だい になり家計 かけい の最大 さいだい 化 か 問題 もんだい が適切 てきせつ に設定 せってい されない[73] 。この仮定 かてい は本節 ほんぶし の目的 もくてき のために重要 じゅうよう であり、後 あと で再 ふたた び登場 とうじょう する。
代表 だいひょう 的 てき な家計 かけい は、
r
t
{\displaystyle r_{t}}
や
w
t
{\displaystyle w_{t}}
を所与 しょよ と考 かんが える[75] 。家計 かけい の予算 よさん 制約 せいやく は、生涯 しょうがい にわたる消費 しょうひ の現在 げんざい 価値 かち が、生涯 しょうがい にわたる労働 ろうどう 所得 しょとく の現在 げんざい 価値 かち と、ゼロ時 じ 点 てん の財産 ざいさん の和 わ を超 こ えないことである[75] 。割引 わりびき 因子 いんし を
δ でるた
t
≡
e
−
∫
0
t
r
s
d
s
{\displaystyle \delta _{t}\equiv e^{-\int _{0}^{t}r_{s}ds}}
と定義 ていぎ すると、各 かく 家計 かけい の消費 しょうひ は
C
t
/
H
{\displaystyle C_{t}/H}
であり、労働 ろうどう 所得 しょとく は
w
t
A
t
N
t
/
H
{\displaystyle w_{t}A_{t}N_{t}/H}
であるので、家計 かけい の予算 よさん 制約 せいやく は次 つぎ 式 しき のとおり表 あら わされる[79] 。
∫
0
∞
δ でるた
t
C
t
H
d
t
≤
K
0
H
+
∫
0
∞
δ でるた
t
w
t
A
t
N
t
H
d
t
{\displaystyle \int _{0}^{\infty }\delta _{t}{\frac {C_{t}}{H}}dt\leq {\frac {K_{0}}{H}}+\int _{0}^{\infty }\delta _{t}w_{t}{\frac {A_{t}N_{t}}{H}}dt}
これを有効 ゆうこう 労働 ろうどう あたりで表 あらわ すと次 つぎ のとおりである[80] 。
∫
0
∞
δ でるた
t
e
g
t
c
t
d
t
≤
k
0
+
∫
0
∞
δ でるた
t
e
g
t
w
t
d
t
{\displaystyle \int _{0}^{\infty }\delta _{t}e^{gt}c_{t}dt\leq k_{0}+\int _{0}^{\infty }\delta _{t}e^{gt}w_{t}dt}
以上 いじょう をまとめて家計 かけい の最適 さいてき 化 か 問題 もんだい を設定 せってい するためラグランジュ関数 かんすう を次 つぎ のように定義 ていぎ する[81] 。
L
=
∫
0
∞
e
−
(
ρ ろー
+
θ しーた
a
−
g
)
t
u
(
c
t
)
d
t
{\displaystyle L=\int _{0}^{\infty }e^{-(\rho +\theta a-g)t}u(c_{t})dt}
+
λ らむだ
[
k
0
+
∫
0
∞
δ でるた
t
e
g
t
w
t
d
t
−
∫
0
∞
δ でるた
t
e
g
t
c
t
d
t
]
{\displaystyle +\lambda {\bigg [}k_{0}+\int _{0}^{\infty }\delta _{t}e^{gt}w_{t}dt-\int _{0}^{\infty }\delta _{t}e^{gt}c_{t}dt{\bigg ]}}
各 かく
t
{\displaystyle t}
時点 じてん の
c
t
{\displaystyle c_{t}}
についての1階 かい の条件 じょうけん は次 つぎ のとおり[82] (効用 こうよう 関数 かんすう
u
{\displaystyle u}
の定義 ていぎ をつかう)。
e
−
(
ρ ろー
+
θ しーた
a
−
g
)
t
c
t
−
θ しーた
=
λ らむだ
δ でるた
t
e
g
t
{\displaystyle e^{-(\rho +\theta a-g)t}c_{t}^{-\theta }=\lambda \delta _{t}e^{gt}}
この式 しき の対数 たいすう をとって時間 じかん 微分 びぶん して整理 せいり すると次 つぎ のオイラー方程式 ほうていしき を得 え る[83] (割引 わりびき 因子 いんし
δ でるた
t
{\displaystyle \delta _{t}}
の定義 ていぎ をつかう)。
c
t
˙
/
c
t
=
(
r
t
−
ρ ろー
−
θ しーた
a
)
θ しーた
−
1
{\displaystyle {\dot {c_{t}}}/{c_{t}}=(r_{t}-\rho -\theta a)\theta ^{-1}}
また、資本 しほん 蓄積 ちくせき は次 つぎ 式 しき で与 あた えられる[84] 。
k
t
˙
=
f
(
k
t
)
−
(
g
+
δ でるた
)
k
t
−
c
t
{\displaystyle {\dot {k_{t}}}=f(k_{t})-(g+{\delta })k_{t}-c_{t}}
以上 いじょう をまとめると次 つぎ の3つの式 しき によりこの経済 けいざい モデルは記述 きじゅつ されることになる。
c
t
˙
=
(
r
t
−
ρ ろー
−
θ しーた
a
)
θ しーた
−
1
c
t
{\displaystyle {\dot {c_{t}}}=(r_{t}-\rho -\theta a)\theta ^{-1}c_{t}}
(オイラー方程式 ほうていしき )
r
t
=
f
′
(
k
t
)
−
δ でるた
{\displaystyle r_{t}=f'(k_{t})-\delta }
(均衡 きんこう 実質 じっしつ 利子 りし 率 りつ )
k
t
˙
=
f
(
k
t
)
−
(
g
+
δ でるた
)
k
t
−
c
t
{\displaystyle {\dot {k_{t}}}=f(k_{t})-(g+{\delta })k_{t}-c_{t}}
(資本 しほん 蓄積 ちくせき 式 しき )
均斉 きんせい 成長 せいちょう における値 ね を添 そ え字 じ なしで表 あら わす。均斉 きんせい 成長 せいちょう では次 つぎ が成 な り立 た つ[85] 。
r
=
ρ ろー
+
θ しーた
a
{\displaystyle r=\rho +\theta a}
k
=
f
′
−
1
(
r
+
δ でるた
)
{\displaystyle k=f'^{-1}(r+\delta )}
c
=
f
(
k
)
−
(
g
+
δ でるた
)
k
{\displaystyle c=f(k)-(g+{\delta })k}
また、均斉 きんせい 成長 せいちょう では成長 せいちょう 率 りつ が有効 ゆうこう 労働 ろうどう の成長 せいちょう 率 りつ
g
=
a
+
n
{\displaystyle g=a+n}
で決定 けってい される[85] 。そして、先 さき に仮定 かてい した「技術 ぎじゅつ 進歩 しんぽ を伴 ともな う割引 わりびき の仮定 かてい 」の不等式 ふとうしき
ρ ろー
>
(
1
−
θ しーた
)
a
+
n
{\displaystyle \rho >(1-\theta )a+n}
に、
g
=
a
+
n
{\displaystyle g=a+n}
と上記 じょうき の式 しき 1
r
=
ρ ろー
+
θ しーた
a
{\displaystyle r=\rho +\theta a}
を代入 だいにゅう すると
r
>
g
{\displaystyle r>g}
を得 え る。すなわち均斉 きんせい 成長 せいちょう で利子 りし 率 りつ が成長 せいちょう 率 りつ を上 うえ まわる。このことは、
ρ ろー
>
(
1
−
θ しーた
)
a
+
n
{\displaystyle \rho >(1-\theta )a+n}
の仮定 かてい によって保証 ほしょう される[85] 。先 さき に述 の べたように、この仮定 かてい が満 み たされないと家計 かけい 効用 こうよう が無限 むげん 大 だい に発散 はっさん し家計 かけい の最適 さいてき 化 か 問題 もんだい を適切 てきせつ に設定 せってい できなくなる[73] 。
r
>
g
{\displaystyle r>g}
は新 しん 古典 こてん 派 は 成長 せいちょう モデルの均斉 きんせい 成長 せいちょう が黄金 おうごん 律 りつ
r
=
g
{\displaystyle r=g}
の水準 すいじゅん に達 たっ しないことを意味 いみ する。このように新 しん 古典 こてん 派 は 成長 せいちょう モデルが黄金 おうごん 律 りつ に達 たっ しないことを修正 しゅうせい 黄金 おうごん 律 りつ という[86] 。また上記 じょうき の式 しき 1
r
=
ρ ろー
+
θ しーた
a
{\displaystyle r=\rho +\theta a}
を修正 しゅうせい 黄金 おうごん 律 りつ ということがある[87] 。これを変形 へんけい 黄金 おうごん 則 そく と訳 やく すこともある[88] 。
なお、1989年 ねん にオリヴィエ・ブランシャール とスタンレー・フィッシャー によって出版 しゅっぱん された『マクロ経済 けいざい 学 がく 講義 こうぎ 』では修正 しゅうせい 黄金 おうごん 律 りつ の定義 ていぎ が少 すこ し異 こと なっている[89] 。ブランシャールらは最適 さいてき 化 か 問題 もんだい の目的 もくてき 関数 かんすう の定義 ていぎ で人口 じんこう を乗 じょう じず、また技術 ぎじゅつ 進歩 しんぽ を考 かんが えない。すると、上記 じょうき の式 しき 1は
r
=
ρ ろー
+
n
{\displaystyle r=\rho +n}
という形 かたち になる。ブランシャールらはこの数式 すうしき 、すなわち均斉 きんせい 成長 せいちょう で利子 りし 率 りつ が時間 じかん 選好 せんこう 率 りつ と人口 じんこう 増加 ぞうか 率 りつ の和 わ で決定 けってい されるという数式 すうしき を修正 しゅうせい 黄金 おうごん 律 りつ と呼 よ んでいる[89] 。
Abel, Andrew B.; N. Gregory Mankiw; Lawrence H. Summers; Richard J. Zeckhauser (1989). “Assessing Dynamic Efficiency: Theory and Evidence” . The Review of Economic Studies 56 (1): 1-19. JSTOR 2297746 . http://isites.harvard.edu/fs/docs/icb.topic500592.files/abel%20mankiw%20summers%20zeckhauser.pdf .
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(日本語 にほんご 訳 やく )大住 おおすみ 圭介 けいすけ 訳 やく 『内 うち 生 せい 的 てき 経済 けいざい 成長 せいちょう 理論 りろん 』(第 だい 2版 はん )九州大学 きゅうしゅうだいがく 出版 しゅっぱん 会 かい 、2006年 ねん 。
Blanchard, Olivier J.; Stanley Fischer (1989). Lectures on Macroeconomics . The MIT Press
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