「除 じょ 」はこの項目 こうもく へ転送 てんそう されています。輪中 わじゅう 地帯 ちたい における堤防 ていぼう より低 ひく い土手 どて については「輪中 わじゅう #除 じょ 」をご覧 らん ください。
20 個 こ のりんごを 4 つに等分 とうぶん 配 はい したとき、それぞれのグループにはりんごが 5 個 こ ある。20÷4=5
除法 じょほう (じょほう、英 えい : division )とは、乗法 じょうほう の逆 ぎゃく 演算 えんざん であり四則 しそく 演算 えんざん のひとつに数 かぞ えられる二 に 項 こう 演算 えんざん の一種 いっしゅ である。除算 じょざん (じょさん、じょざん)、割 わ り算 ざん (わりざん)とも呼 よ ばれる。
除法 じょほう は ÷ (日本 にっぽん で一般 いっぱん 的 てき ) や / (世界 せかい 的 てき に優勢 ゆうせい )、: (ドイツ・フランス)、及 およ び⟌ (筆算 ひっさん の場合 ばあい )などといった記号 きごう を使 つか って表 あらわ される(#記号 きごう について も参照 さんしょう )。除算 じょざん する2つの数 かず のうち一方 いっぽう の項 こう を被除数 ひじょすう (ひじょすう、英 えい : dividend ) と呼 よ び、他方 たほう を除数 じょすう (英 えい : divisor ) と呼 よ ぶ。有理数 ゆうりすう の除法 じょほう について、その演算 えんざん 結果 けっか は被除数 ひじょすう と除数 じょすう の比 ひ を与 あた え、分数 ぶんすう を用 もち いて表 あらわ せられる。このとき被除数 ひじょすう は分子 ぶんし (英 えい : numerator )、除数 じょすう は分母 ぶんぼ (英 えい : denominator ) に対応 たいおう する。被除数 ひじょすう と除数 じょすう は、被除数 ひじょすう の右側 みぎがわ に除数 じょすう を置 お いて以下 いか のように表 あらわ される。
被除数 ひじょすう ÷ 除数 じょすう
除算 じょざん は商 しょう (英 えい : quotient ) と剰余 じょうよ (英 えい : remainder ) の2つの数 かず を与 あた え、商 しょう と除数 じょすう の積 せき に剰余 じょうよ を足 た したものは元 もと の被除数 ひじょすう に等 ひと しい。
商 しょう × 除数 じょすう + 剰余 じょうよ = 被除数 ひじょすう
剰余 じょうよ は余 あま り とも呼 よ ばれ、除算 じょざん によって「割 わ り切 き れない 」部分 ぶぶん を表 あらわ す。剰余 じょうよ が0である場合 ばあい 、「被除数 ひじょすう は除数 じょすう を割 わ り切 き れる 」と表現 ひょうげん され、このとき商 しょう と除数 じょすう の積 せき は被除数 ひじょすう に等 ひと しい。剰余 じょうよ を具体 ぐたい 的 てき に決定 けってい する方法 ほうほう にはいくつかあるが、自然 しぜん 数 すう の除法 じょほう については、剰余 じょうよ は除数 じょすう より小 ちい さくなるように取 と られる。たとえば、13 を 4 で割 わ った余 あま りは 1 、商 しょう は3 となる。これらの商 しょう および剰余 じょうよ を求 もと める最 もっと も原始 げんし 的 てき な方法 ほうほう は、引 ひ けるだけ引 ひ き算 ざん を行 おこな うことである。つまり13 を4 で割 わ る例 れい では、13 から4 を1回 かい ずつ引 ひ いていき(13 − 4 = 9, 9 − 4 = 5, 5 − 4 = 1 < 4 )、引 ひ かれる数 かず が4 より小 ちい さくなるまで引 ひ き算 ざん を行 おこな ったら、その結果 けっか を剰余 じょうよ 、引 ひ き算 ざん した回数 かいすう を商 しょう とする。これは自然 しぜん 数 すう の乗法 じょうほう を足 た し算 ざん によって行 おこな うことと逆 ぎゃく の関係 かんけい にある。
剰余 じょうよ を与 あた える演算 えんざん に % などの記号 きごう を用 もち いる場合 ばあい がある。
剰余 じょうよ = 被除数 ひじょすう % 除数 じょすう
除数 じょすう が0 である場合 ばあい 、除数 じょすう と商 しょう の積 せき は必 かなら ず0 になるため商 しょう を一意 いちい に定 さだ めることができない。従 したが って0 を除数 じょすう とする除法 じょほう の商 しょう は未定義 みていぎ となる(ゼロ除算 じょざん を参照 さんしょう )。
有理数 ゆうりすう やそれを拡張 かくちょう した実数 じっすう 、複素数 ふくそすう における除法 じょほう では、整数 せいすう や自然 しぜん 数 すう の除法 じょほう と違 ちが って剰余 じょうよ は使 つか われず、
商 しょう × 除数 じょすう = 被除数 ひじょすう
という関係 かんけい が除数 じょすう が0の場合 ばあい を除 のぞ き常 つね に成 な り立 た つ。この関係 かんけい は次 つぎ のようにも表 あらわ される。
被除数 ひじょすう ÷ 除数 じょすう = 商 しょう
実数 じっすう などにおける定義 ていぎ から離 はな れると、除法 じょほう は乗法 じょうほう を持 も つ代数 だいすう 的 てき 構造 こうぞう について「乗法 じょうほう の逆 ぎゃく 元 もと を掛 か けること 」として一般 いっぱん 化 か できる。一般 いっぱん の乗法 じょうほう は交換 こうかん 法則 ほうそく が必 かなら ずしも成 な りたないため、除法 じょほう も左右 さゆう 2通 とお り考 かんが えられる。
日本 にっぽん では除算 じょざん 記号 きごう として「÷」が広 ひろ く用 もち いられるが、日本 にっぽん 以外 いがい で「÷」が広 ひろ く用 もち いられている国 くに はアメリカ 、イギリス 、韓国 かんこく 、中国 ちゅうごく 、タイ など限 かぎ られた国 こく しかない。世界 せかい 的 てき には除算 じょざん 記号 きごう としては「/(スラッシュ )」が優勢 ゆうせい であり、コンピュータープログラミング においても半角 はんかく の「/」を用 もち いるのが一般 いっぱん 的 てき である。他 た にはドイツ やフランス では除算 じょざん 記号 きごう として「:(コロン )」が使用 しよう されている[1] 。また一般 いっぱん に除算 じょざん の筆算 ひっさん では「÷」や「/」等 とう を使 つか うのではなく、記号 きごう 「⟌」を用 もち いてその右 みぎ 下 か に被除数 ひじょすう 、左 ひだり に除数 じょすう を書 か く形 かたち で書 か き表 あらわ し、その上 うえ で商 しょう を「⟌」の上 うえ に書 か いて乗算 じょうざん と減算 げんざん の組 く み合 あ わせにより計算 けいさん する(長 ちょう 除法 じょほう 。詳細 しょうさい は筆算 ひっさん #筆算 ひっさん による除算 じょざん を参照 さんしょう )。また素因数 そいんすう 分解 ぶんかい や進 すすむ 法 ほう 変換 へんかん など連続 れんぞく して除算 じょざん を行 おこな う場合 ばあい などには、その「⟌」を上下 じょうげ 反転 はんてん させたような記号 きごう を使 つか い、その右 みぎ 上 じょう に被除数 ひじょすう 、左 ひだり に除数 じょすう 、下 した に商 しょう を書 か く形 かたち で書 か き表 あらわ すことがある(短 たん 除法 じょほう )。
整数 せいすう m と n に対 たい して、
m = qn
を満 み たす整数 せいすう q が唯 ただ 一 ひと つ定 さだ まるとき、m ÷ n = q によって除算 じょざん を定 さだ める。m は被除数 ひじょすう (ひじょすう、英 えい : dividend )あるいは実 み (じつ)と呼 よ ばれ、n は除数 じょすう (じょすう、英 えい : divisor )あるいは法 ほう (ほう、英 えい : modulus )と呼 よ ばれる。また q は m を n で割 わ った商 しょう (しょう、英 えい : quotient )と呼 よ ばれる。商 しょう q は他 た に「m の n を法 ほう とする商 しょう 」「法 ほう n に関 かん する商 しょう (英 えい : quotient modulo n )」 などとも言 い う。
またこのとき、m は n で整除 せいじょ (せいじょ)される、割 わ り切 き れる (わりきれる、英 えい : divisible )あるいは n は m を整除 せいじょ する、割 わ り切 き るなどと表現 ひょうげん される。このことはしばしば記号 きごう 的 てき に n ∣ m と書 か き表 あらわ される。
除数 じょすう n が 0 である場合 ばあい を考 かんが えると、除数 じょすう 0 と任意 にんい の整数 せいすう q の積 せき は 0 となり、被除数 ひじょすう m が 0 なら任意 にんい の整数 せいすう q が方程式 ほうていしき を満 み たすため、商 しょう は一意 いちい に定 さだ まらない。同様 どうよう に被除数 ひじょすう m が 0 以外 いがい の場合 ばあい にはどのような整数 せいすう q も方程式 ほうていしき を満 み たさないため、商 しょう は定 さだ まらない。
整数 せいすう の範囲 はんい では上述 じょうじゅつ のような整数 せいすう q が定 さだ まる保証 ほしょう はなく、たとえば被除数 ひじょすう m が 7 の場合 ばあい を考 かんが えると除数 じょすう n が 1, 7, −1, −7 のいずれかでない限 かぎ り商 しょう q は整数 せいすう の範囲 はんい で定 さだ まらない。整数 せいすう の範囲 はんい で商 しょう が必 かなら ず定 さだ まるようにするには、剰余 じょうよ (じょうよ、英 えい : remainder , residue )を導入 どうにゅう して除法 じょほう を拡張 かくちょう する必要 ひつよう がある。つまり、方程式 ほうていしき
m = qn + r
を満 み たすような q , r をそれぞれ商 しょう と剰余 じょうよ として与 あた える。このような方程式 ほうていしき を満 み たす整数 せいすう q , r は複数 ふくすう 存在 そんざい するが(たとえばある q , r に対 たい して q − 1 と n + r の組 くみ は同様 どうよう に上記 じょうき の方程式 ほうていしき を満 み たす)、剰余 じょうよ r の取 と り得 え る値 ね に制限 せいげん を与 あた えて一意 いちい に商 しょう q と剰余 じょうよ r の組 くみ を定 さだ めることができる。よく用 もち いられる方法 ほうほう は剰余 じょうよ r を除数 じょすう n より絶対 ぜったい 値 ち が小 ちい さな非負 ひふ の数 かず と定 さだ めることである。このような除法 じょほう はユークリッド除法 じょほう と呼 よ ばれる。
m = qn + r かつ0 ≤ r < |n |
これは、感覚 かんかく 的 てき には被除数 ひじょすう から除数 じょすう を引 ひ けるだけ引 ひ いた残 のこ りを剰余 じょうよ と定 さだ めているということである。こうして定 さだ められる剰余 じょうよ はしばしば「m の n を法 ほう とする剰余 じょうよ 」「m の法 ほう n に関 かん する剰余 じょうよ (英 えい : residue modulo "n " ) 」などとい表 いあらわ される。
剰余 じょうよ r が0 でないことはしばしば「m はn で割 わ り切 き れない 」と表 あらわ され、記号 きごう 的 てき に n ∤ m と表 あらわ される。
ユークリッド除法 じょほう による計算 けいさん 例 れい は以下 いか の通 とお りである。以下 いか では除数 じょすう を 4, −4 , 被除数 ひじょすう を 22, −22 としている。
22 = 5 × 4 + 2 :商 しょう 5 , 剰余 じょうよ 2
22 = (−5) × (−4) + 2 :商 しょう −5 , 剰余 じょうよ 2
−22 = (−6) × 4 + 2 :商 しょう −6 , 剰余 じょうよ 2
−22 = 6 × (−4) + 2 :商 しょう 6 , 剰余 じょうよ 2
「割 わ り切 き れない」という用語 ようご はしばしば「小数点 しょうすうてん 以下 いか が無限 むげん に続 つづ く」の意 い で不適切 ふてきせつ に用 もち いられることがあるが、「割 わ り切 き れない」からといってそうであるとは限 かぎ らない(たとえば上記 じょうき の例 れい では、「22は4で割 わ り切 き れない」が、その有理数 ゆうりすう 除算 じょざん における商 しょう は「5.5」であり小数 しょうすう 第 だい 一 いち 位 い までで表 あらわ すことが出来 でき る)。
他 た の剰余 じょうよ に対 たい する制限 せいげん 方法 ほうほう として、剰余 じょうよ の絶対 ぜったい 値 ち が最小 さいしょう となるよう商 しょう を定 さだ める方法 ほうほう がある。この方法 ほうほう では、
−|n | / 2 < r ≤ |n | / 2
あるいは
−|n | / 2 ≤ r < |n | / 2
の範囲 はんい に剰余 じょうよ r が含 ふく まれる。この場合 ばあい 、ユークリッド除法 じょほう と違 ちが い r は負 まけ の値 ね を取 と り得 え る。このように定 さだ められる剰余 じょうよ を絶対 ぜったい 的 てき 最小 さいしょう 剰余 じょうよ (絶対 ぜったい 値 ち 最小 さいしょう 剰余 じょうよ とも。英 えい : least absolute remainder, absolutely least residue, minimal residue ) と呼 よ ぶ。
絶対 ぜったい 的 てき 最小 さいしょう 剰余 じょうよ を用 もち いる場合 ばあい の計算 けいさん 例 れい は以下 いか の通 とお りである。以下 いか では除数 じょすう を 4, −4 , 被除数 ひじょすう を 22, −22 としている。
22 = 5 × 4 + 2 :商 しょう 5 , 剰余 じょうよ 2
22 = (−5) × (−4) + 2 :商 しょう −5 , 剰余 じょうよ 2
−22 = (−6) × 4 + 2 :商 しょう −6 , 剰余 じょうよ 2
−22 = 6 × (−4) + 2 :商 しょう 6 , 剰余 じょうよ 2
22 = 6 × 4 − 2 :商 しょう 6 , 剰余 じょうよ −2
22 = (−6) × (−4) − 2 :商 しょう −6 , 剰余 じょうよ −2
−22 = (−5) × 4 − 2 :商 しょう −5 , 剰余 じょうよ −2
−22 = 5 × (−4) − 2 :商 しょう 5 , 剰余 じょうよ −2
いずれの方法 ほうほう であっても、除数 じょすう n が0 の場合 ばあい 、剰余 じょうよ r は0 でなければならず、被除数 ひじょすう m がどんな数 かず であっても商 しょう q を一意 いちい に定 さだ めることはできない。
絶対 ぜったい 的 てき 最小 さいしょう 剰余 じょうよ とユークリッド除法 じょほう によって定 さだ められる最小 さいしょう 非負 ひふ 剰余 じょうよ 、あるいは別 べつ の方法 ほうほう のいずれを用 もち いるかは自由 じゆう であり、与 あた えられる剰余 じょうよ がそのいずれかであるかは予 あらかじ め決 き められた規約 きやく に従 したが う。この規約 きやく は、計算 けいさん する対象 たいしょう や計算 けいさん 機 き の機種 きしゅ 、あるいはプログラミング言語 げんご により、まちまちである。簡単 かんたん な分析 ぶんせき とサーベイが "Division and Modulus for Computer Scientists" という文献 ぶんけん にまとめられている[2] 。
整数 せいすう の除法 じょほう では、考 かんが えている数 かず (自然 しぜん 数 すう または整数 せいすう )の範囲 はんい 内 ない で商 しょう を取 と り直 なお して剰余 じょうよ を定義 ていぎ することで、除法 じょほう をその数 かず の範囲 はんい 全体 ぜんたい で定義 ていぎ できることを述 の べた。さらに、よく知 し られているように、数 かず の範囲 はんい を有理数 ゆうりすう まで拡張 かくちょう し、商 しょう に有理数 ゆうりすう を許 ゆる すことによって、剰余 じょうよ の概念 がいねん は不要 ふよう となり、有理数 ゆうりすう の全体 ぜんたい で四則 しそく 演算 えんざん が自由 じゆう に行 おこな えるようになる。
任意 にんい の被除数 ひじょすう a の 0 でない除数 じょすう b による除算 じょざん は、有理数 ゆうりすう c をただ一 ひと つ与 あた える。
a
÷
b
=
c
{\displaystyle a\div b=c}
この有理数 ゆうりすう c は
c
×
b
=
b
×
c
=
a
{\displaystyle c\times b=b\times c=a}
を満 み たす。また、除算 じょざん は、除数 じょすう の逆数 ぎゃくすう の乗算 じょうざん に置 お き換 か えることができる。
a
÷
b
=
a
×
1
b
{\displaystyle a\div b=a\times {\frac {1}{b}}}
したがって、除算 じょざん および乗算 じょうざん の順序 じゅんじょ は入 い れ替 か えることができる。
(
a
÷
b
)
×
c
=
(
a
×
1
b
)
×
c
=
(
a
×
c
)
×
1
b
=
(
a
×
c
)
÷
b
,
(
a
÷
b
)
÷
c
=
(
a
×
1
b
)
×
1
c
=
(
a
×
1
c
)
×
1
b
=
(
a
÷
c
)
÷
b
{\displaystyle {\begin{aligned}(a\div b)\times c&=\left(a\times {\frac {1}{b}}\right)\times c=(a\times c)\times {\frac {1}{b}}=(a\times c)\div b,\\(a\div b)\div c&=\left(a\times {\frac {1}{b}}\right)\times {\frac {1}{c}}=\left(a\times {\frac {1}{c}}\right)\times {\frac {1}{b}}=(a\div c)\div b\end{aligned}}}
また、2つの除算 じょざん は乗算 じょうざん を用 もち いてまとめることができる。
(
a
÷
b
)
÷
c
=
a
÷
(
b
×
c
)
{\displaystyle (a\div b)\div c=a\div (b\times c)}
しかし、除数 じょすう と被除数 ひじょすう とを入 い れ替 か えることはできない 。
a
÷
b
≠
b
÷
a
{\displaystyle a\div b\neq b\div a}
(
a
÷
b
)
÷
c
≠
a
÷
(
b
÷
c
)
{\displaystyle (a\div b)\div c\neq a\div (b\div c)}
2番目 ばんめ の例 れい のように括弧 かっこ の位置 いち を変 か えると計算 けいさん 結果 けっか が変 か わってしまうので、
a
÷
b
÷
c
{\displaystyle a\div b\div c}
と書 か かれた場合 ばあい には特別 とくべつ な解釈 かいしゃく を与 あた える必要 ひつよう がある。一般 いっぱん 的 てき には左側 ひだりがわ の演算 えんざん が優先 ゆうせん され、次 つぎ 式 しき の右辺 うへん の意味 いみ に解釈 かいしゃく される。
a
÷
b
÷
c
=
(
a
÷
b
)
÷
c
{\displaystyle a\div b\div c=(a\div b)\div c}
有理数 ゆうりすう の除算 じょざん について、除数 じょすう を被除数 ひじょすう に対 たい して分配 ぶんぱい することができる。
(
a
+
b
)
÷
c
=
a
÷
c
+
b
÷
c
{\displaystyle (a+b)\div c=a\div c+b\div c}
ただし、被除数 ひじょすう を除数 じょすう に対 たい して分配 ぶんぱい することはできない 。
a
÷
(
b
+
c
)
≠
a
÷
b
+
a
÷
c
{\displaystyle a\div (b+c)\neq a\div b+a\div c}
有理数 ゆうりすう の除算 じょざん の結果 けっか は、分数 ぶんすう を用 もち いて表 あらわ すことができる。
a
÷
b
=
a
b
{\displaystyle a\div b={\frac {a}{b}}}
ある有理数 ゆうりすう に対応 たいおう する分数 ぶんすう の表 あらわ し方 かた は無数 むすう に存在 そんざい する。たとえば 0 でない有理数 ゆうりすう c を用 もち いて、
a
÷
b
=
a
c
b
c
=
a
c
b
c
{\displaystyle a\div b={\frac {ac}{bc}}={\frac {\frac {a}{c}}{\frac {b}{c}}}}
と表 あらわ してもよい。
また、有理数 ゆうりすう は分母 ぶんぼ と分子 ぶんし がともに整数 せいすう である分数 ぶんすう を用 もち いて表 あらわ すことができる。2つの有理数 ゆうりすう a , b をそれぞれ整数 せいすう p , q , r , s を用 もち いて分数 ぶんすう 表記 ひょうき する。
a
=
p
q
,
b
=
r
s
{\displaystyle a={\frac {p}{q}},\quad b={\frac {r}{s}}}
すると、それらの除算 じょざん は次 つぎ のように計算 けいさん することができる。
p
q
÷
r
s
=
p
q
×
s
r
=
p
×
s
q
×
r
=
p
s
q
r
{\displaystyle {\frac {p}{q}}\div {\frac {r}{s}}={\frac {p}{q}}\times {\frac {s}{r}}={\frac {p\times s}{q\times r}}={\frac {ps}{qr}}}
この表示 ひょうじ から明 あき らかなように、有理数 ゆうりすう を有理数 ゆうりすう で割 わ った商 しょう はまた有理数 ゆうりすう である。次 つぎ のように計算 けいさん してもよい。
p
q
÷
r
s
=
p
÷
r
q
÷
s
=
p
r
q
s
{\displaystyle {\frac {p}{q}}\div {\frac {r}{s}}={\frac {p\div r}{q\div s}}={\frac {\frac {p}{r}}{\frac {q}{s}}}}
このような意味 いみ で、四則 しそく 演算 えんざん が自由 じゆう に行 おこな える集合 しゅうごう の抽象 ちゅうしょう 化 か として体 からだ の概念 がいねん が現 あらわ れる。すなわち、有理数 ゆうりすう の全体 ぜんたい が作 つく る集合 しゅうごう Q は体 からだ である。
実数 じっすう は有理数 ゆうりすう の極限 きょくげん として表 あらわ され、それによって有理数 ゆうりすう の演算 えんざん から実数 じっすう の演算 えんざん が矛盾 むじゅん なく定義 ていぎ される。すなわち、任意 にんい の実数 じっすう x , y (y ≠ 0) に対 たい し xn → x , yn → y (n → ∞) を満 み たす有理数 ゆうりすう の列 れつ {x n }n ∈ N , {y n }n ∈ N (例 たと えば、x , y の小 しょう 数表示 すうひょうじ を第 だい n 桁 けた までで打 う ち切 き ったものを x n , y n とするような数列 すうれつ )が与 あた えられたとき
x
/
y
:=
lim
n
→
∞
x
n
/
y
n
{\displaystyle x/y:=\lim _{n\to \infty }x_{n}/y_{n}}
と定 さだ めると、この値 ね は極限 きょくげん 値 ち が x , y である限 かぎ りにおいて数列 すうれつ のとり方 かた によらずに一定 いってい の値 ね をとる。これを実数 じっすう の商 しょう として定 さだ めるのである。
実数 じっすう の除法 じょほう を用 もち いれば複素数 ふくそすう の除法 じょほう が、被除数 ひじょすう が 0 の場合 ばあい を除 のぞ いた任意 にんい の 2 つの複素数 ふくそすう について定義 ていぎ できる。
2 つの複素数 ふくそすう z , w について、w の共役 きょうやく 複素数 ふくそすう w を用 もち いれば、複素数 ふくそすう の除法 じょほう z /w は次 つぎ のように計算 けいさん できる(ただし除数 じょすう w は 0 でないとする)。
z
w
=
z
w
w
¯
w
¯
=
z
w
¯
|
w
|
2
.
{\displaystyle {\frac {z}{w}}={\frac {z}{w}}{\frac {\overline {w}}{\overline {w}}}={\frac {z{\overline {w}}}{\left|w\right|^{2}}}.}
また、複素数 ふくそすう z , w の実 み 部 ぶ と虚 きょ 部 ぶ を 4 つの実数 じっすう Re z , Im z , Re w , Im w を用 もち いて z = Re z + i Im z , w = Re w + i Im w と表 あらわ せば、複素数 ふくそすう の除法 じょほう z /w は次 つぎ のように表 あらわ せる。
z
w
=
Re
z
+
i
Im
z
Re
w
+
i
Im
w
=
Re
z
Re
w
+
Im
z
Im
w
(
Re
w
)
2
+
(
Im
w
)
2
+
i
Re
z
Im
w
−
Im
z
Re
w
(
Re
w
)
2
+
(
Im
w
)
2
.
{\displaystyle {\frac {z}{w}}={\frac {\operatorname {Re} z+i\operatorname {Im} z}{\operatorname {Re} w+i\operatorname {Im} w}}={\frac {\operatorname {Re} z\operatorname {Re} w+\operatorname {Im} z\operatorname {Im} w}{(\operatorname {Re} w)^{2}+(\operatorname {Im} w)^{2}}}+i\,{\frac {\operatorname {Re} z\operatorname {Im} w-\operatorname {Im} z\operatorname {Re} w}{(\operatorname {Re} w)^{2}+(\operatorname {Im} w)^{2}}}.}
極 ごく 形式 けいしき では
z
w
=
|
z
|
e
i
arg
z
|
w
|
e
i
arg
w
=
|
z
|
|
w
|
e
i
(
arg
z
−
arg
w
)
{\displaystyle {\frac {z}{w}}={\frac {|z|e^{i\arg z}}{|w|e^{i\arg w}}}={\frac {|z|}{|w|}}e^{i(\arg z-\arg w)}}
と書 か ける。やはり |w | = 0 つまり w = 0 のところでは定義 ていぎ できない。
代数 だいすう 的 てき には、除法 じょほう は乗法 じょうほう の逆 ぎゃく の演算 えんざん として定義 ていぎ される。つまり a を b で割 わ るという除法 じょほう は
a
÷
b
=
x
⟺
a
=
b
×
x
{\displaystyle a\div b=x\iff a=b\times x}
を満 み たす唯 ただ 一 ひと つの x を与 あた える演算 えんざん でなければならない。ここで、唯 ただ 一 ひと つというのは簡約 かんやく 律 りつ
b
x
=
b
y
⇒
x
=
y
{\displaystyle bx=by\Rightarrow x=y}
が成立 せいりつ するということを意味 いみ する。この簡約 かんやく 律 りつ が成立 せいりつ しないということは、bx = by という条件 じょうけん だけからは x = y という情報 じょうほう を得 え たことにはならないということであり、そのような条件下 じょうけんか で強 つよ いて除法 じょほう を定義 ていぎ したとしても益 えき が無 な いのである。
実数 じっすう の乗法 じょうほう において、簡約 かんやく が不能 ふのう な一 ひと つの特徴 とくちょう 的 てき な例 れい として b = 0 である場合 ばあい 、つまり「0 で割 わ る」という操作 そうさ を挙 あ げることができる。実際 じっさい 、b = 0 であるとき a = bx によって除法 じょほう a ÷ b を定 さだ めようとすると、もちろん a = 0 である場合 ばあい に限 かぎ られるが、いかなる x , y についても 0x = 0 = 0y が成立 せいりつ してしまって x の値 ね は定 さだ まらない。無論 むろん 、a ≠ 0 ならば a = 0x なる x は存在 そんざい せず a ÷ b は定義 ていぎ 出来 でき ない。つまり、実数 じっすう の持 も つ代数 だいすう 的 てき な構造 こうぞう と0 による 除算 じょざん は両立 りょうりつ しない。
珠算 しゅざん における除法 じょほう では、古 ふる くは江戸 えど 時代 じだい から昭和 しょうわ 戦前 せんぜん まで「二 に 一天 いってん 作 さく 五 ご 」(10÷2=5に相当 そうとう し、そろばん の操作 そうさ 法 ほう は割 わ られる桁 けた の1を5に変 か えて商 しょう とする)に代表 だいひょう される割 わ り算 ざん 九 きゅう 九 きゅう (割 わ り声 ごえ ・九 きゅう 帰 き 法 ほう ・八 はち 算 さん ・見 み 一 いち )を用 もち いた帰 かえり 除法 じょほう が用 もち いられてきたが、昭和 しょうわ 戦後 せんご からは掛 か け算 ざん 九 きゅう 九 きゅう を逆 ぎゃく に使 つか う商 しょう 除法 じょほう が標準 ひょうじゅん 的 てき となっている。
割算 わりざん 天下一 てんかいち を名乗 なの った毛利 もうり 重能 しげよし の著書 ちょしょ 「割算 わりざん 書 しょ 」によれば、割算 わりざん の起源 きげん は以下 いか のように記 しる されている。