黄色きいろいベスト運動うんどう

黄色きいろいベスト運動うんどう Mouvement des Gilets jaunes
東ひがしフランスのヴズールにおけるデモ
日時にちじ	2018年ねん11月17日にち - 継続けいぞく中ちゅう
場所ばしょ	フランス（レユニオン含ふくむ） 他たの国くに:  ベルギー  イタリア  オランダ  ドイツ  ブルガリア
原因げんいん	燃料ねんりょう税ぜい引ひき上あげ 高額こうがくな燃料ねんりょう税ぜいと自動車じどうしゃ税ぜい 速度そくど違反いはん自動じどう取締とりしまり装置そうち 移民いみん 緊縮きんしゅく財政ざいせい政策せいさくへの不満ふまん 新しん自由じゆう主義しゅぎ
目的もくてき	燃料ねんりょう税ぜいと自動車じどうしゃ税ぜいの引ひき下さげ 最低さいてい賃金ちんぎんの引ひき上あげ 生活せいかつ水準すいじゅんの改善かいぜん 農村のうそん部ぶの行政ぎょうせいサービスの改善かいぜん マクロン政権せいけんの退陣たいじん 緊縮きんしゅく財政ざいせい政策せいさくの中止ちゅうし 政治せいじの透明とうめい化かと国民こくみんに対たいする説明せつめい責任せきにん
手段しゅだん	抗議こうぎ、市民しみん的てき不ふ服従ふくじゅう、バリケード、交通こうつう遮断しゃだん、速度そくど違反いはん自動じどう取締とりしまり装置そうちの無力むりょく化か、暴動ぼうどう, ヴァンダリズム、放火ほうか、略奪りゃくだつ
現況げんきょう	継続けいぞく中ちゅう（暴動ぼうどうは鎮圧ちんあつ傾向けいこう、デモは継続けいぞく中ちゅう）
人数にんずう
ピーク時じで287,710人にん（フランス内務省ないむしょうによる）
死傷ししょう者しゃ数すう
死者ししゃ	一般いっぱん市民しみん10人にん（フランス、2018年ねん12月22日にち時点じてん）
負傷ふしょう者しゃ	1843人にん以上いじょうの市民しみん、1048人にん以上いじょうの警察官けいさつかん

運動うんどうのシンボルとなった黄色きいろいベスト。

黄色きいろいベスト運動うんどう（きいろいベストうんどう、フランス語ふらんすご: (Le) Mouvement des Gilets jaunes）とは、2018年ねん11月17日にち（土曜日どようび）から断続だんぞく的てきに行おこなわれているフランス政府せいふへの抗議こうぎ運動うんどう。ジレ・ジョーヌ（仏ふつ: Gilets jaunes、黄色きいろいベスト）や黄色きいろいジャケット運動うんどうとも呼よばれる。

概要がいよう

2018年ねん5月がつにオンラインで開始かいしされ、2018年ねん11月17日にち（土曜日どようび）にフランスにて開始かいし。第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん以後いごに、フランスで起おきた最もっとも長期間ちょうきかんにわたるデモ活動かつどうとなっており、毎週まいしゅう土曜日どようびに行おこなわれている。2008年ねん以降いこう、フランスでの運転うんてんは、高たかい視覚しかく認識にんしき性せいを持もつ「蛍光けいこう色しょく」のベストを自動車じどうしゃ内うちに常備じょうびすることが法律ほうりつで義務ぎむづけられた（安全あんぜん対策たいさくとして、運転うんてん手しゅが路肩ろかたで車両しゃりょうを離はなれる場合ばあい、それを着用ちゃくようする義務ぎむがある）。その結果けっか、黄色きいろい反射はんしゃチョッキは広ひろく利用りようされ、安価あんかで入手にゅうしゅ可能かのうとなったため、運動うんどうのシンボルとして選えらばれた。

2018年ねん12月がつ初はじめ、シンボルはヨーロッパからイラクに至いたる諸国しょこくにおいて、より共通きょうつうのものとなった。異ことなる国家こっかの異ことなる集団しゅうだんが、自分じぶん達たちの主張しゅちょうに注目ちゅうもくさせるため、このヴィジュアリックで目めを惹ひくベストを着用ちゃくようした。

抗議こうぎ者しゃ（農村のうそん部ぶや都市とし部ぶ周辺しゅうへんの人々ひとびと）は、「燃料ねんりょう価格かかくの上昇じょうしょう」「生活せいかつ費ひの高騰こうとう」「政府せいふの税制ぜいせい改革かいかくの負担ふたんが労働ろうどう者しゃや中産ちゅうさん階級かいきゅうに及およんでいること」を主張しゅちょうしている。彼かれらは「燃料ねんりょう税ぜいの削減さくげん」「富裕ふゆう層そうに対たいする連帯れんたい税ぜい（solidarity tax）の再さい導入どうにゅう」「最低さいてい賃金ちんぎんの引ひき上あげ」、そして「マクロン大統領だいとうりょうの辞任じにん」を要求ようきゅうしている。

背景はいけい

「地球ちきゅう温暖おんだん化かへの対策たいさく」、「温室おんしつ効果こうかガス」、「脱だつ炭素たんそ」、および「低てい炭素たんそ社会しゃかい」も参照さんしょう

ディーゼル

1950年代ねんだいから、フランス政府せいふはディーゼルエンジンの生産せいさんに補助ほじょ金きんを出だしてきた。特とくに1980年ねん以来いらい、プジョーはディーゼル技術ぎじゅつの最前線さいぜんせんにいる。大量たいりょう購入こうにゅうする法人ほうじんに対たいする付加ふか価値かち税ぜい（VAT）の引ひき下さげは、フランスにおけるディーゼル車しゃの普及ふきゅうを加速かそくさせた。

燃料ねんりょう価格かかく

原油げんゆ価格かかくは、2018年ねん1月がつのリットルあたり1.4682ユーロから11月の最後さいごの週しゅうには1.4305ユーロへと減少げんしょうした。ガソリンとディーゼル（軽油けいゆ）の価格かかくは、2017年ねん10月がつから2018年ねん10月がつの間あいだにそれぞれ15％と23％上昇じょうしょうした。卸売おろしうり業者ぎょうしゃ向むけガソリンの世界せかい市場いちば購入こうにゅう価格かかくは前年度ぜんねんど比ひで28％上昇じょうしょうした。ディーゼルの場合ばあいは35％増加ぞうかし、流通りゅうつう費ひは40％増加ぞうかした。 付加ふか価値かち税ぜい（VAT）を含ふくめ、ディーゼル税ぜいは1年間ねんかんで14％、ガソリン税ぜいは7.5％増加ぞうかした。増税ぞうぜいは2018年度ねんどにディーゼルで7.6セント、2018年ねんにはガソリンで3.9セント、さらに2019年ねん1月がつ1日にちにディーゼルで6.5セント、ガソリンで2.9セントの増加ぞうかが予定よていされている。

燃料ねんりょうの売却ばいきゃく時じに徴収ちょうしゅうされる税金ぜいきんは以下いかの通とおりである。

フランスにおけるエネルギー製品せいひん消費しょうひ税ぜい（TICPE）は石油せきゆ価格かかくに基もとづくのではなく、むしろ固定こてい価格かかく（fixed rate）の量りょうから算出さんしゅつされる。この税金ぜいきんの一部いちぶは、地方ちほう政府せいふに送おくられ、また他たの一部いちぶは中央ちゅうおう政府せいふに送おくられる。 2014年ねん以降いこう、この税ぜいには毎年まいとし増加ぞうかする炭素たんそへの取とり組くみ、化石かせき燃料ねんりょうの消費しょうひ削減さくげんが含ふくまれている。ディーゼル燃料ねんりょう用ようTICPEは、2017年ねんと2018年ねんに急激きゅうげきに上あげられ、ガソリンに対たいする税金ぜいきんと同おなじ水準すいじゅんまで引ひき上あげられた。一方いっぽうで、付加ふか価値かち税ぜい（VAT）は税ぜいを除のぞく価格かかくとTICPEの合計ごうけいで計算けいさんされる。 2000年ねんから2014年ねんの間あいだに19.6％に達たっした後のち、2014年ねん以降いこう20％で安定あんていしている。

黄色きいろいベスト運動うんどう抗議こうぎ者しゃの多おおくの職業しょくぎょう及および活動かつどうはTICPEの一部いちぶまたは全面ぜんめん的てきな免除めんじょを要求ようきゅうしており、主おもに個人こじんに関係かんけいしている。

抗議こうぎ者しゃは第だい二に次じエドゥアール・フィリップ内閣ないかくを炭素たんそ税ぜい（carbon tax）の大だい部分ぶぶんを個人こじんに負担ふたんさせていると批判ひはんしている。炭素たんそ税ぜいはエコロジー的てきな目標もくひょうを達成たっせいするため増加ぞうかしており、市街地しがいち外がい（車くるまが不可欠ふかけつな場所ばしょ）に家庭かてい用よう化石かせき燃料ねんりょうを使用しようした暖房だんぼうを持もつ多おおくの住民じゅうみんにとっては大おおきな負担ふたんとなっている。マクロン大統領だいとうりょうは、2018年ねん11月がつ初旬しょじゅんにこれらの懸念けねんを払拭ふっしょくしようと試こころみ、特別とくべつ補助ほじょ金きんとインセンティブを提供ていきょうした。

今回こんかい問題もんだいとなっているディーゼル（軽油けいゆ）

フランスのディーゼル燃料ねんりょう価格かかくは2018年ねんに16％上昇じょうしょうし、同時どうじにガソリン、ディーゼルの両方りょうほうの税ぜいが増加ぞうかした。2019年ねんにはさらなる増税ぞうぜいが計画けいかくされており、ディーゼル燃料ねんりょうはガソリン並なみに高価こうかなものとなっている。 マクロン大統領だいとうりょうは、オランド政権せいけん下したで施行しこうされた政策せいさくの延長えんちょうから抗議こうぎ者しゃの怒いかりに曝さらされることとなった。

経済けいざい改革かいかく

抗議こうぎ者しゃは燃料ねんりょう税ぜい（fuel tax）は大だい企業きぎょうのための減税げんぜいの資金しきん調達ちょうたつを意図いとしていると主張しゅちょうしているが、一部いちぶの批評ひひょう家かは、代かわりに支出ししゅつを削減さくげんすべきだと主張しゅちょうしている。 マクロン大統領だいとうりょうは経済けいざい改革かいかくプログラムの目標もくひょうは世界せかい経済けいざいにおけるフランスの競争きょうそう力りょくを高たかめることであり、燃料ねんりょう税ぜいは化石かせき燃料ねんりょうの使用しようを阻止そし（décourager）することを意図いとしていると語かたった。

黄色きいろいベスト運動うんどうの抗議こうぎ者しゃの多おおくは、主おもに低てい給与きゅうよと高こうエネルギー価格かかくによる経済けいざい的てき困難こんなんによって動機どうきづけられている。彼かれらは気候きこう変動へんどうとは闘たたかいたいが、多た国籍こくせき企業きぎょうが引ひき起おこした環境かんきょう問題もんだいに対たいする労働ろうどう者しゃ階級かいきゅうと貧困ひんこん層そうの負担ふたんに対たいしては反対はんたいしている。

黄色おうしょくベスト運動うんどうの参加さんか者しゃの動画どうが（フランス語ふらんすご）

制限せいげん速度そくどの引ひき下さげ

政府せいふは、死亡しぼう事故じこの3分ぶんの1（32パーセント）が過剰かじょうまたは不適切ふてきせつな速度そくどだったという調査ちょうさ結果けっかを受うけて、交通こうつう事故死じこし者しゃを年間ねんかんあたり200人にん減へらすことを目的もくてきとして、2017年ねんに、2018年ねん7月がつ1日にちから田舎道いなかみちの制限せいげん速度そくどを90km/hから80km/hへと引ひき下さげることを決定けっていした。この決定けっていは反発はんぱつを生うみ、黄色きいろいベスト運動うんどうが台頭たいとうする要因よういんとなった。これは、速度そくど違反いはんの通知つうちを使用しようした「もう一ひとつの税金ぜいきん」と見みなされ、自動車じどうしゃに完全かんぜんに依存いぞんしている田舎いなかの住民じゅうみんの自動車じどうしゃの必要ひつよう性せいを理解りかいしていないと見みなされた。黄色きいろいベスト運動うんどうが始はじまってから速度そくど違反いはん自動じどう取締とりしまり装置そうちの破壊はかいが著いちじるしく増加ぞうかした。

起源きげんと組織そしき

2018年ねん5月がつ、セーヌ＝エ＝マルヌ県けんの女性じょせいがChange.org（外部がいぶリンク）のウェブサイトで10月がつ中旬ちゅうじゅんを期限きげんに30万まん件けんの署名しょめいを申請しんせいした。さらに11月17日にち、同おなじ県けんの2人ふたりの男性だんせいがFacebook上じょうで「すべての道路どうろをブロックする」イベントを企画きかくした。彼かれらは燃料ねんりょう価格かかくの値上ねあがりが過度かどだとして抗議こうぎを始はじめた。このグループが撮影さつえいした拡散かくさん動画どうがの一ひとつ、「黄色きいろいベスト」を使用しようするというアイデアがあった。

フランスの学者がくしゃベアトリス・ギブリン（英語えいご版ばん）は、黄色きいろいベスト運動うんどうと2013年ねんの抗議こうぎ運動うんどう「ボネ・ルージュ（英語えいご版ばん）」を比較ひかくして、ボネルージュ運動うんどうは「カレ＝プルゲール市長しちょうやブルターニュのボスなど、実際じっさいの指導しどう者しゃたちが手てを取とりあっていた」と述のべたが、これは黄色きいろいベスト運動うんどうには当あてはまらない。黄色きいろいベスト運動うんどうは「リーダーレス」で横向よこむきに編成へんせいされている。非公式ひこうしきの指導しどう者しゃが現あらわれ、すぐに拒絶きょぜつされる。ジョン・リッチフィールドによれば、運動うんどうの中なかには政治せいじ家かに対たいする憎にくしみを抱いだく者ものもおり、彼かれらは自分じぶんの階級かいきゅうから現あらわれた政治せいじ家かにさえも憎にくしみを抱いだく。また黄色きいろいベスト運動うんどうは、特定とくていの政党せいとうや労働ろうどう組合くみあいと関係かんけいしておらず、ソーシャルメディア上うえで急速きゅうそくに拡散かくさんした。

フランス労働ろうどう組合くみあいの歴史れきし専門せんもん家かであるステファン・シロット（フランス語ふらんすご版ばん）は、黄色きいろいベスト運動うんどうには伝統でんとう的てきな労働ろうどう組合くみあいが代表だいひょうしていない労働ろうどう者しゃ（ビジネスオーナーや自営業じえいぎょう者しゃ）が含ふくまれており、フランスの労働ろうどう組合くみあいは共同きょうどう歩調ほちょうを取とることを躊躇ちゅうちょし、彼かれらとは交渉こうしょうしたくない人ひとたちも存在そんざいしていると述のべる。運動うんどうの中なかの極右きょくうの要素ようその存在そんざいはCGTの参加さんかを思おもいとどまらせた。

運動うんどうに関かんして多おおくの誤解ごかいを与あたえかねないイメージや情報じょうほうがソーシャルメディアで閲覧えつらんされており、パスカル・フロサァは、リーダーシップのない水平すいへい方向ほうこうの動うごきは、誰だれもソーシャルメディアでの制限せいげんを加くわえないため、誤あやままったイメージやフェイクニュースを拡散かくさんさせていると指摘してきする。

他たの運動うんどうとの比較ひかく

プラカードを掲かかげた運動うんどうの参加さんか者しゃの一人ひとり

火ひを放はなたれた後のちの車くるまの残骸ざんがい

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの著述ちょじゅつ家かアダム・ゴピック（英語えいご版ばん）は黄色きいろいベスト運動うんどうは、少すくなくとも1995年ねんのストライキからの一連いちれんの「フランスの街頭がいとう抗議こうぎシリーズ」の一部いちぶとして見みることができると書かく。彼かれは、歴史れきし家かのヘーリック・チャップマン（英語えいご版ばん）を引用いんようし、フランスの第だい五ご共和きょうわ政せい創設そうせつ時じ、街頭がいとう抗議こうぎがこそ唯一ゆいいつの「政府せいふ政策せいさくのダイナミックな代替だいたい」とされ、それが今いまに引ひき続つづいているとする。

1968年ねんの五月ごがつ危機きき、フランス革命かくめい、オーヴァニズムなどと比較ひかくする記事きじもある。

フランスの首都しゅとパリに拠点きょてんを置おくベテラン・ジャーナリストのジョン・リッチフィールドは、1968年ねんの五ご月がつ危機ききの時とき、パリの通とおりにはそのような暴力ぼうりょくはなく、そこには喜よろこびがあったと述のべた。喜よろこびの部分ぶぶんは黄色きいろいベスト運動うんどうには不在ふざいのように見みえると評ひょうしている。リッチフィールドはまた指導しどう者しゃがいないという点てんで2005年ねんパリ郊外こうがい暴動ぼうどう事件じけんと類似るいじしていると指摘してきした。

特とくにこの運動うんどうにおいて、伝統でんとう的てきな左派さは対たい右派うはの対立たいりつではなく、反はんエスタブリッシュメント・反はんグローバリゼーションに基もとづく点てんは他たの運動うんどうとの大おおきな違ちがいである。実際じっさいにフランスの世論せろん調査ちょうさ会社かいしゃとフランス研究けんきゅう者しゃの田中たなか友義ともよしによると、この運動うんどうの支持しじ者しゃの多おおくは欧州おうしゅう議会ぎかい議員ぎいん選挙せんきょで極右きょくうポピュリズム政党せいとうの国民こくみん連合れんごうに投票とうひょうした一方いっぽう、極左きょくさポピュリズム政党せいとうも躍進やくしんした。

タイムライン

2018年ねん11月17日にち第だい一いち週しゅう―「アクトⅠ」

2018年ねん11月17日にちに抗議こうぎは始はじまり、フランス全土ぜんどでおよそ30万まん人にんもの人ひとが参加さんかし、抗議こうぎ者しゃがバリケードを設置せっちして道路どうろを閉鎖へいさした。その光景こうけいを目撃もくげきしたジャーナリストのジョン・リッチフィールドによれば、これらのデモは抗議こうぎではなく、「暴動ぼうどう（insurrection）」であったとする。

道路どうろにくわえて、抗議こうぎ者しゃは最大さいだい十じゅうか所しょもの燃料ねんりょう貯蔵ちょぞう所しょを閉鎖へいさした。その結果けっか、11月21日にちまでに585人にんの市民しみんが負傷ふしょうし16人にんが重傷じゅうしょう、115人にんの警察官けいさつかんが負傷ふしょう、3人にんが重傷じゅうしょうを負おった。

抗議こうぎはまたインド洋いんどように浮うかぶフランスの海外かいがい県けんレユニオン島とうでも発生はっせいし、状況じょうきょうは略奪りゃくだつと暴動ぼうどうにまで悪化あっかした。抗議こうぎ者しゃが道路どうろへのアクセスを遮断しゃだんし、島しまにある学校がっこうは3日間にちかん閉鎖へいさされた。 11月21日にち、マクロン大統領だいとうりょうは暴力ぼうりょくの緩和かんわ処置しょちとして島しまに軍隊ぐんたいを配備はいびするよう命めいじた。

2018年ねん11月24日にち第だい二に週しゅう―「アクトⅡ」

前まえの週しゅうにパリでの抗議こうぎ運動うんどうで緊張きんちょうが高たかまったため、内務省ないむしょうは11月24日にちにシャン・ド・マルス公園こうえんでの集会しゅうかいを許可きょかすることに合意ごういした。抗議こうぎ行動こうどうはフランス全土ぜんどで106,000人にんを集あつめた。パリでは抗議こうぎが激はげしさを増ました。抗議こうぎ者しゃは街頭がいとうで火ひを焚たき、標識ひょうしきを破壊はかいし、バリケードを建たて、石畳いしだたみを引ひきはがした。警察けいさつは、催涙さいるいガスと高こう圧あつ放水ほうすい砲ほうを使つかって、抗議こうぎ者しゃを分散ぶんさんさせた。11月26日にち、当局とうきょく者しゃは2日間にちかんに渡わたるパリ暴動ぼうどうで最大さいだい150万まんユーロの損害そんがいを被こうむったと推定すいていした。清掃せいそうと修理しゅうり作業さぎょうを支援しえんするため200人にんの追加ついか労働ろうどう者しゃが割わり当あてられた。

2018年ねん12月1日にち第だい三さん週しゅう―「アクトⅢ」

12月1日にちの「ACT Ⅲ」に伴ともなう暴動ぼうどう後ごのパリの落書らくがき

12月1日にち、「ActⅢ-Macron Quits（マクロン終了しゅうりょう）」と呼よばれる抗議こうぎが組織そしきされた。

黄色きいろいベストたちはナントアトランティック空港くうこうの滑走かっそう路ろを占領せんりょうし、ニース・コートダジュール空港くうこうへのアクセスを阻止そしした。 道路どうろ会社かいしゃヴァンシ（Vinci Autoroutes）の報告ほうこくではフランス全土ぜんどの主要しゅような料金りょうきん所しょの20ヶ所かしょがブロックされた。

南仏なんふつマルセイユでは11月5日にち以来いらい、抗議こうぎデモが頻繁ひんぱんに行おこなわれ、周辺しゅうへん住民じゅうみんの避難ひなんが行おこなわれている。シャッターを閉しめようとしていた80歳さいのアルジェリア人じん女性じょせいが警察けいさつの放はなった催涙さいるいガス弾だんの破片はへんに被弾ひだんし、手術しゅじゅつ中ちゅうに亡なくなった。アルル郡ぐんで走行そうこう中ちゅうのバンがバイパスのトラックのバリケードに衝突しょうとつし、運転うんてん手しゅが3週しゅう目めの週末しゅうまつに亡なくなった。

12月1日にちの抗議こうぎ中ちゅうにパリで100台だい以上いじょうの車くるまが燃もやされ、凱旋がいせん門もんが破壊はかいされた。次つぎの月曜日げつようび、パリ市長しちょうは損害そんがいを300万まんから400万まんユーロと推定すいていした。

2018年ねん12月8日にち第だい四よん週しゅう―「アクトⅣ」

抗議こうぎ活動かつどうはル・ピュイ=アン=ヴレイの2週しゅう連続れんぞくで激はげしくなった。市民しみんの不安ふあんはリヨンとサン＝テティエンヌの両方りょうほうで催もよおされていた「光ひかりの祭典さいてん（Fête des lumières）」を陰かげらせた。 A6高速こうそく道路どうろは再ふたたび北きたリヨンのヴィルフランシュ=シュル=ソーヌで閉鎖へいさされた。

パリは4週間しゅうかん連続れんぞくで抗議こうぎ活動かつどうが起おきた。ルーヴル美術館びじゅつかん、エッフェル塔えっふぇるとう、パリオペラ座ざも閉鎖へいさされ、多おおくの店みせが襲撃しゅうげきを予想よそうして、店みせに板いたを打うち付つけた。警察けいさつはエリゼ宮えりぜきゅう殿どの（大統領だいとうりょう官邸かんてい）の周まわりに鉄柵てっさくを立たて、暴力ぼうりょくを抑制よくせいするために路上ろじょうに装甲車そうこうしゃを配備はいびした。

2018年ねん12月がつ10日とおか「マクロンのTVスピーチ」

12月10日にち、マクロンは抗議こうぎに応こたえるためにテレビで演説えんぜつし、2019年ねんの最低さいてい賃金ちんぎんの100ユーロ/月つきの増加ぞうか、2019年ねんの残業ざんぎょう時間じかん、年末ねんまつボーナスからの課税かぜいの除外じょがい、総額そうがく100億おくユーロに上のぼる手当てあてを約束やくそくした。また、毎月まいつきの年金ねんきん額がくが2千せんユーロ（約やく26万まん円えん）未満みまんの退職たいしょく者しゃには、社会しゃかい保障ほしょう税ぜい（CSG）の増税ぞうぜいから除外じょがいするとした。しかし就任しゅうにん時じに廃止はいしした富裕ふゆう税ぜいを復活ふっかつさせることは拒こばんだ。

2018年ねん12月11日にち「ストラスブール銃じゅう乱射らんしゃ事件じけん」

12月11日にちの夜よる、ストラスブールで銃じゅう乱射らんしゃ事件じけんが発生はっせいした。クリスマスマーケットで賑にぎわう街まちの市民しみんを男おとこが銃撃じゅうげき、5人にんが死亡しぼう、11人にんが負傷ふしょうし、男おとこはタクシーで逃亡とうぼうした。この襲撃しゅうげき者しゃは過去かこに複数ふくすうの犯罪はんざい歴れきを持もつイスラム過激かげき派はの疑うたがいのあるシェリフ・シェカット容疑ようぎ者しゃであった。シェカット容疑ようぎ者しゃは総勢そうぜい700人にんによる追跡ついせきの後のち、12月13日にちの夜よる、フランス警察けいさつとの銃撃じゅうげき戦せんによって射殺しゃさつされた。

2018年ねん12月15日にち第だい五ご週しゅう―「アクトⅤ」

ストラスブール銃じゅう乱射らんしゃ事件じけんの後のち、政府せいふは抗議こうぎ者しゃに街路がいろから離はなれるように要請ようせいした。パリ警視庁けいしちょうの推定すいていによるとパリではおよそ2,200人にんのデモ参加さんか者しゃと8000人にんの警察官けいさつかんが街路がいろに出でた。 フランス内務省ないむしょうは12月15日にち、フランス全土ぜんどでおよそ6万まん6000人にんが抗議こうぎデモに参加さんかしたと推定すいていした。ボルドー、トゥールーズ、マルセイユ、リヨン、パリで衝突しょうとつが起おきた。

15日にちの終おわり、内務ないむ大臣だいじんクリストフ・カスタネールは11月17日にち以来いらいの占拠せんきょされていた円形えんけい交差点こうさてんは解放かいほうされるだろうと述のべた。またリチャード・フェラン国会こっかい議長ぎちょうはデモ隊たいの減少げんしょうによる動員どういんの削減さくげんを歓迎かんげいし、「対話たいわの時ときは来きた」と語かたった。

2018年ねん12月22日にち第だい六ろく週しゅう―「アクトⅥ」

規模きぼこそ小ちいさくなったものの、デモは全国ぜんこく各地かくちで続つづいた。 内務省ないむしょうは15日にちのほぼ半分はんぶんの参加さんか人数にんずうを発表はっぴょうした。警察庁けいさつちょうの発表はっぴょうによると、フランス全土ぜんどで38,600人にんがデモに参加さんかし、そのうち2,000人にんはパリで行進こうしんした。予防よぼう措置そちとして、ヴェルサイユ宮殿きゅうでんが閉鎖へいさされた。

抗議こうぎ者しゃはラ・クリューズ＝エ＝ミジューでスイスへの国境こっきょう通過つうかを阻止そしした。 1時じ間あいだ後ご、彼かれらは警察けいさつによって解散かいさんさせられた。スペイン、イタリア、ドイツ、ベルギーの国境こっきょうでも同様どうようのブロックが行おこなわれた。モンテマールでは、イージーディスとアマゾンの2つの配信はいしんプラットフォームがブロックされた。

全体ぜんたいでは、パリでの142人にんを含ふくむ少すくなくとも220人にんが逮捕たいほされた。 12月21日にち、運転うんてん手しゅがフランス南部なんぶペルピニャンの封鎖ふうさで停止ていししていたトラックに衝突しょうとつし、運動うんどうを通つうじて10人にん目めの死亡しぼう者しゃが出でた。

2018年ねん12月29日にち第だい七なな週しゅう―「アクトⅦ」

クリスマスシーズンもあってか最初さいしょの数すう週間しゅうかんのフランス全土ぜんどでの運動うんどう規模きぼに比くらべると、はるかに静しずかなものとなった。ノルマンディー地方ちほうのルーアンではフランス銀行ぎんこう支店してんの前まえに火ひが放はなたれた後のち、バリケードが築きずかれ、警察けいさつとの間あいだで対立たいりつが起おきた。

パリでは、抗議こうぎ者しゃたちがリベラシオン（Libération）やBFM TV、フランス・テレビジョン（France Télévisions）などのテレビメディア本社ほんしゃの前まえでデモを行おこなった。ビクター・グラッドは、国民こくみんの主導しゅどうによる国民こくみん投票とうひょうを動機付どうきづけることと同様どうようの危機ききが、伝統でんとう的てきなメディアに対たいする黄色きいろいベストたちの批判ひはんの背後はいごにあることを指摘してきした。

2019年ねん1月がつ5日にち第だい八はち週しゅう―「アクトⅧ」

2019年ねん1月がつ5日にち、装備そうびしたフランス共和きょうわ国こく保安ほあん機動きどう隊たい（CRS）

隊列たいれつを組くんで、デモ隊たいを待まつフランス共和きょうわ国こく保安ほあん機動きどう隊たい（CRS）

催涙さいるい弾だんに顔かおを覆おおう参加さんか者しゃたち

「ACT-Ⅷ」のデモに参加さんかする黄色きいろいベスト着用ちゃくよう者しゃ。胸むねには「Révolte（革命かくめい）」のシールが貼はられている。

2019年ねんの最初さいしょのデモは、パリ左岸さがん、グルネル通どおり沿ぞいの政府せいふ省庁しょうちょうビルへの襲撃しゅうげきによって開始かいしされた。政府せいふスポークスマン、ベンジャミン・グリヴォー（フランス語ふらんすご版ばん）は、黄色きいろいベストの抗議こうぎ者しゃたちと破壊はかい集団しゅうだん「カセウルス（フランス語ふらんすご版ばん）」が建物たてもののドアを壊こわし、建設けんせつ車両しゃりょうをハイジャックしたと発表はっぴょうした。レンヌの市庁舎しちょうしゃの建物たてものの扉とびらも破壊はかいされた。

フランス全土ぜんどで、先週せんしゅう29日にちを大おおきく上回うわまわる約やく50,000人にんもの抗議こうぎ者しゃがデモに参加さんかしたと内務省ないむしょうは発表はっぴょうした。フランス国内こくないでの暴力ぼうりょく事件じけんの発生はっせいにもかかわらず、依然いぜんとして国民こくみんのデモに対たいする高たかい支持しじがある。

円形えんけい交差点こうさてんにてコミュニケーションを図はかるという女性じょせいたちの運動うんどうが始はじまった。彼女かのじょたちはパリ、トゥールーズとカーンで別べつのデモを組織そしきした。主催しゅさい者しゃの一人ひとりによると、その目標もくひょうは「暴力ぼうりょく以外いがいのコミュニケーション手段しゅだん」を持もつことだと言いう。

内務ないむ大臣だいじんは、国内こくない道路どうろに備そなえられた自動じどうレーダーとスピード監視かんし用ようカメラの60％以上いじょうが破壊はかいされたと発表はっぴょうした。 これは12月上旬じょうじゅんの推定すいてい50％から上昇じょうしょうした。

2019年ねん1月がつ12日にち第だい九きゅう週しゅう―「アクトⅨ」

パリ北部ほくぶのパン屋やでガス漏もれによって引ひき起おこされた「大だい規模きぼ爆発ばくはつ」により、現場げんばにいた2人ふたりの消防しょうぼう士しを含ふくむ4人にんが死亡しぼうし、さらに十じゅう数すう名めいが負傷ふしょうした。爆発ばくはつは土曜日どようびの早はやい時間じかんに起おこり、その日ひのデモの警戒けいかいを強つよめている最中さいちゅうでの事故じことなった。

パリで約やく8,000人にん、ブールジュで約やく5,000人にん、ストラスブールでの約やく2,000人にんを含ふくむフランス全土ぜんどでおよそ84,000人にんもの参加さんか者しゃが、のべ9週間しゅうかん続つづく週末しゅうまつの抗議こうぎ運動うんどうに参加さんかした。抗議こうぎ者しゃは「経済けいざい政策せいさくの改善かいぜん」を要求ようきゅうした。政府せいふは全国ぜんこくに8万まん人にんの治安ちあん部隊ぶたいを派遣はけんし、暴力ぼうりょくに対たいする「寛容かんようなし（zero tolerance）」を誓ちかった。パリの路上ろじょうで、フランスの国歌こっか『ラ・マルセイエーズ』を歌うたいながら、行進こうしんする抗議こうぎ者しゃたちに5000人にんの機動きどう隊員たいいん、装甲車そうこうしゃ両りょうおよびバリケードが設置せっちされた。少数しょうすうグループが指定していされた抗議こうぎルートを離はなれ、警察けいさつに投石とうせきをした。凱旋がいせん門もんの周まわりで機動きどう隊たいは石いしやペンキによる襲撃しゅうげきを受うけ、高水たかみず圧あつ砲ほうと催涙さいるいガスで対応たいおうした。この12日にち、パリでの156人にんをはじめとし、フランス全土ぜんどで244人にんが逮捕たいほされた。

フランスの内務ないむ大臣だいじんはメディアに、「政府せいふは対立たいりつを乗のり越こえ勝利しょうり」し、抗議こうぎ者しゃたちは「大おおきな事件じけんなく」パリを行進こうしんしたと語かたった。

2019年ねん1月がつ19日にち第だい十じゅう週しゅう―「アクトⅩ」

先週せんしゅうとほぼ同様どうように、警察けいさつはトゥールーズのピーク時じに1万まん人にん、パリで7,000人にん（左岸さがんで初はじめてデモが行おこなわれた）、ボルドーで4,000人にん、アンジェとマルセイユの2500人にんを含ふくむおよそ84,000人にんがフランス全土ぜんどでデモを行おこなったと推定すいていした。19日にちの抗議こうぎ行動こうどうは、エマニュエル・マクロン大統領だいとうりょうによる「大だい国民こくみん討論とうろん会かい」の発足ほっそく後ごに初はじめて起おきたものであり、その鎮静ちんせい効果こうかは限定げんてい的てきであったことを示唆しさするものとなった。

2019年ねん1月がつ26日にち第だい十じゅう一いち週しゅう―「アクトⅪ」

全国ぜんこく的てきなデモが11週しゅう連続れんぞくで続つづけられ、内務省ないむしょうはフランス全土ぜんどで69,000人にんの参加さんか者しゃ、地元じもとの警察けいさつはパリで4,000人にんを見積みつもった。自称じしょう平和へいわ主義しゅぎ者しゃで抗議こうぎ運動うんどうのリーダーの一人ひとりであるジェローム・ロドリゲスはバスティーユ広場ひろばで警察けいさつから暴動ぼうどう鎮圧ちんあつ用ようゴム弾だん「LBD(フランス語ふらんすご版ばん）」を顔面がんめんに撃うたれ右目みぎめを失うしなった。同様どうように抗議こうぎ行動こうどう中ちゅう、何なん十じゅう名めいもの人々ひとびとが負傷ふしょうした。「私わたしは意図いと的てきに標的ひょうてきにされました。少すくなくともパリの抗議こうぎ行動こうどうにおいて私わたしは運動うんどうの象徴しょうちょうであり、警察けいさつは以前いぜんのデモのあいだ何なん度ども指ゆびをむけていたので、彼かれらは誰だれを撃うっていたのかがよくわかっていたと思おもいます」とロドリゲスはメディアに語かたった。翌日よくじつ、黄色きいろいベスト運動うんどうに対たいして「赤あかいスカーフ」を巻まいた約やく一いち万まん人にんもの反対はんたい派はが暴力ぼうりょく行為こういをやめるように促うながすプラカードを掲かかげパリを行進こうしんした。

2019年ねん2月がつ2日にち第だい十じゅう二に週しゅう―「アクトⅫ」

デモ前日ぜんじつの2月がつ1日にち、エドゥアール・フィリップ首相しゅしょうは南西なんせい部ぶの都市としボルドーへと向むかい、各週かくしゅう毎ごとに渡わたるデモによって生しょうじた保険ほけんの損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうを単一たんいつのものとして請求せいきゅうできることを合意ごういしたと業者ぎょうしゃに知しらせた。フィリップ首相しゅしょうはまた、ボルドーも含ふくむ被害ひがいを受うけた10都市としに30万まんユーロの手当てあてを支給しきゅうすると発表はっぴょうした。東部とうぶ都市としヴァランスのショッピングエリアでは自衛じえい用ように板いたが打うちつけられ、ゴミ箱ごみばこ、公園こうえんのベンチ、保護ほご柵しがらみなど障害しょうがい物ぶつになるもの取とり除のぞかれた。舗装ほそう石せきは投石とうせきを防ふせぐため、タールが塗ぬられた。

2月がつ2日にち、およそ1万まん人にんもの人々ひとびとがパリのデモに参加さんかしし、トゥール、ヴァランス、マルセイユ、ボルドー、トゥールーズおよび他たのフランスの都市としで計けい58,600人にんもの人々ひとびとが抗議こうぎに参加さんかした。

「アクトXII」では、先週せんしゅうのロドリゲスの負傷ふしょうを受うけて、これまでのデモでの警察けいさつの鎮圧ちんあつによる負傷ふしょう者しゃ数すうを非難ひなんすることに焦点しょうてんが当あてられた。フランス政府せいふによれば、これまでに4人にんの眼めの重傷じゅうしょうを含ふくむ約やく2,000人にんの一般いっぱん市民しみんが抗議こうぎ行動こうどう中ちゅうに負傷ふしょうしている。警察けいさつ暴力ぼうりょくを調査ちょうさする政府せいふ機関きかんは、抗議こうぎ行動こうどう中ちゅうに116件けんもの調査ちょうさを開始かいししたが、そのうち10件けんは抗議こうぎ者しゃの眼めの負傷ふしょうに関かんするものだった。 59人にんの弁護士べんごしのグループが、抗議こうぎ者しゃの処遇しょぐうを裁判所さいばんしょで非難ひなんする公開こうかい書簡しょかんを発表はっぴょうした。これは警察けいさつ自身じしんの暴力ぼうりょく報告ほうこくに対たいする遅おそいペースの調査ちょうさとは対照たいしょう的てきだった。

週しゅう初はじめ、フランスの最高さいこう裁判所さいばんしょは、多おおくの負傷ふしょう者しゃを出だしていると非難ひなんが高たかまっている警察けいさつによる直径ちょっけい40ミリメートルのゴム弾だん「LBD(フランス語ふらんすご版ばん）」の使用しよう禁止きんしの要求ようきゅうを却下きゃっかした。内務ないむ大臣だいじんクリストフ・カスタネールは、メディアとのインタビューに答こたえ、この武器ぶきは黄色きいろいベストデモが始はじまって以来いらい9,000回かい以上いじょう使用しようされており、怪我けがをする可能かのう性せいがあることを認みとめた。

それでも「アクトXII」の前日ぜんじつ、政府せいふは警察けいさつがデモ隊たいによる暴力ぼうりょく鎮圧ちんあつのためにランチャーを使用しようすることを躊躇ちゅうちょしないと警告けいこくした。これを受うけてパリでは数すう千せん人にんが武器ぶきの使用しよう禁止きんしを求もとめる「負傷ふしょう者しゃの行進こうしん」に参加さんかした。負傷ふしょうした抗議こうぎ者しゃが行進こうしんし、そのうち何なん名めいかは銃撃じゅうげきの目標もくひょうとなるようにターゲットサインを付つけたアイパッチを着用ちゃくようしていた。先週せんしゅうのデモで片目かためを失うしなった運動うんどうのリーダー、ジェローム・ロドリゲーズは、群衆ぐんしゅうから拍手はくしゅを浴あび、歓迎かんげいされた。

先週せんしゅうと同様どうよう、パリでの5,000人にんを含ふくむ80,000人にんの警備けいび職員しょくいんが動員どういんされた。パリでは、警察けいさつは市内しない中心ちゅうしん部ぶのレピュブリック広場ひろばで催涙さいるいガスと高圧こうあつ放水ほうすい砲ほうを使用しようしデモ隊たいと衝突しょうとつし、デモ隊たいを押おし戻もどした。マスクをしフードをかぶった何なん名めいかがゴミ箱ごみばことスクーターに火ひを放はなった。メディアは「運動うんどうは先週せんしゅう末まつとくらべると、比較的ひかくてき落おち着ついたものとなった」と報ほうじた。

フランス議会ぎかいは、マクロンの党とうが提案ていあんする抗議こうぎ者しゃの権利けんりを制限せいげんする新あたらしい法律ほうりつの検討けんとうに入はいった。提案ていあんされた法案ほうあんでは、路上ろじょうデモでの顔かおの覆おおい隠かくし（ヘルメット、仮面かめん、スカーフを問とわず）を違法いほうとし、15,000ユーロの罰金ばっきんまたは懲役ちょうえき刑けいにより処罰しょばつされる。さらに地元じもと警察けいさつが街頭がいとうデモに参加さんかを許ゆるされない者もののブラックリスト作成さくせいを許可きょかする。提案ていあんされた法律ほうりつは何人なんにんかの党内とうない外がいの国会こっかい議員ぎいんから反対はんたいを受うけた。

2019年ねん2月がつ9日にち第だい十じゅう三さん週しゅう―「アクトⅩⅢ」

2月がつ9日にちのデモで道路どうろに放はなたれた炎ほのお

2月がつ9日にちのデモ参加さんか者しゃ

2月がつ7日にち、マクロン大統領だいとうりょうはアンチエスタブリッシュ（五いつつ星ぼし運動うんどう）で知しられるイタリアの副ふく首相しゅしょうルイジ・ディマイオが黄色きいろいベスト運動うんどうのリーダーと面談めんだんしたことを受うけて、在ざいイタリア大使たいしの召還しょうかんを発表はっぴょうした。これにより両国りょうこくの関係かんけいは第だい二に次じ大戦たいせん以後いご最悪さいあくなものとなった。ディマイオは「新あたらしいヨーロッパは黄色きいろいベストから生うまれる」と述のべ、フランス政府せいふはこれは「挑発ちょうはつ」であり、受うけ入いれることは出来できないとした。

13週しゅう目めの抗議こうぎ活動かつどうではシャンゼリゼ通どおりから市内しないの国会こっかい議事堂ぎじどうまでのデモ行進こうしんが行おこなわれた。一部いちぶの暴徒ぼうとが防御ぼうぎょ壁かべを取とり壊こわし、警察けいさつに投なげつけた。警察けいさつは催涙さいるいガスとゴム入いり手榴弾しゅりゅうだんでこれに対応たいおうした。抗議こうぎ者しゃの一人ひとりがゴム入いり手榴弾しゅりゅうだんを拾ひろい、暴発ぼうはつした弾たまに指ゆびを飛とばされた。

フランス政府せいふの発表はっぴょうによると、およそ51,400人にんが抗議こうぎに参加さんか、そのうち4,000人にんがパリで抗議こうぎした。先週せんしゅうに比くらべると参加さんか者しゃはやや減少げんしょうした。

マクロン大統領だいとうりょうと親したしい国会こっかい議長ぎちょうリチャード・フェランの自宅じたくへの放火ほうか攻撃こうげきが起おき、政治せいじ家かたちは共同きょうどうで非難ひなんした。フェランは放火ほうかによって焦こげ付ついた居間いまの写真しゃしんをTwitter上うえにアップし、「選えらばれた共和きょうわ国こくの議員ぎいんに対たいする脅迫きょうはくや暴力ぼうりょくを正当せいとう化かするものはなにもない」とツイートした。

2019年ねん2月がつ16日にち第だい十じゅう四よん週しゅう―「アクトⅩⅣ」

2月がつ16日にちのデモで批判ひはんと攻撃こうげきの矢面やおもてに立たたされたユダヤ人じん思想家しそうかアラン・フィンケルクロート

マクロン大統領だいとうりょうはツイッタ―上うえで運動うんどうの反はんユダヤ主義しゅぎ的てきヘイト・スピーチを非難ひなんする声明せいめいを出だした（後述こうじゅつの「反はんユダヤ主義しゅぎの再燃さいねん」参照さんしょう）。ユダヤ人じん思想家しそうかアラン・フィンケルクロートが攻撃こうげきの対象たいしょうとなり、抗議こうぎ者しゃは「汚きたないユダヤ主義しゅぎ」「汚きたない人種じんしゅ」などと罵ののしった。これに対たいしてフィンケルクロートは「わたしは強つよい憤いきどおりを感かんじた。そして残念ざんねんながらこれは最初さいしょのことではない」と述のべた。フィンケルクロートは黄色きいろいベストを支持しじする姿勢しせいを打うち出だしていたものの、『ル・フィガロ』紙しのインタビューで運動うんどうのリーダーを「傲慢ごうまん」だとして非難ひなんし反発はんぱつを招まねいた。

最近さいきんの調査ちょうさでは半数はんすう以上いじょうのフランス人じんが運動うんどうの「終息しゅうそく」を望のぞんでおり、現在げんざいの抗議こうぎは運動うんどう初期しょきの要求ようきゅうを反映はんえいしていないと感かんじていることが明あきらかとなった。

フランスの内務省ないむしょうは「アクトⅩⅣ」にフランス全土ぜんどで、およそ41,500人にん（パリ約やく5,000人にん）が参加さんかしたと発表はっぴょうした。

運動うんどうはイギリスの首都しゅとロンドンにも飛とび火ひして、反はん緊縮きんしゅく主義しゅぎと親おやブレクジットの抗議こうぎ者しゃら、およそ100名めいがイギリスのユニオンジャック（イギリスの国旗こっき）を掲かかげ、イギリスの欧州おうしゅう連合れんごう（EU）からの離脱りだつを求もとめて街まちを行進こうしんした。先週せんしゅうも似にたような運動うんどうがおこり、議事堂ぎじどう周辺しゅうへんの道路どうろを封鎖ふうさしていたが、今週こんしゅうも引ひき続つづいた。のちに運動うんどうを主宰しゅさいしたジェームス・ゴダードは警察けいさつにより拘束こうそくされた。さらに警官けいかんと臨時りんじ職員しょくいんを襲撃しゅうげきしたとして6人にんが告訴こくそされた。

2019年ねん2月がつ23日にち第だい十じゅう五ご週しゅう―「アクトⅩⅤ」

12月の激はげしい抗議こうぎの最中さいちゅうに急激きゅうげきに低下ていかしていたマクロン大統領だいとうりょうの支持しじ率りつは、フランス各地かくちでの一連いちれんの対話たいわと討論とうろん（全国ぜんこく討論とうろん大会たいかい）、とりわけ農村のうそん地帯ちたいで有権者ゆうけんしゃとの交流こうりゅうなどから回復かいふく基調きちょうに変かわった。23日にち土曜日どようび、うら若わかき大統領だいとうりょうはパリで毎年まいとし催もよおされている恒例こうれいの農場のうじょうショーに参加さんかし、大だい歓迎かんげいを受うけた。それから大統領だいとうりょうは人ひとと動物どうぶつたちの間あいだを何なん時じ間あいだも散歩さんぽしながら、応おうじられるままにスマートフォンでセルフィー写真しゃしんをとり、農場のうじょう主ぬしらと気軽きがるにおしゃべりをした。

内務省ないむしょうによると、首都しゅとパリでの5,800人にんを含ふくむ約やく46,600人にんが全国ぜんこくで抗議こうぎ運動うんどうに参加さんかした。先週せんしゅうの41,500人にんからやや増加ぞうかした。警察けいさつの発表はっぴょうでは28人にんがパリで逮捕たいほされた。抗議こうぎ者しゃたちは首都しゅとパリの裕福ゆうふくな地域ちいきを、警察けいさつに周囲しゅういを取とり囲かこまれながら行進こうしんした。フランス中央ちゅうおうの都市としクレルモン＝フェランではおよそ18人にんの人々ひとびとが逮捕たいほされ、危険きけんと見みなされた物品ぶっぴんが押収おうしゅうされた。さらに西部せいぶレンヌでは18人にんが逮捕たいほされ、6人にんの警官けいかんが軽傷けいしょうを負おい、6人にんの抗議こうぎ者しゃが警察けいさつが発砲はっぽうした暴動ぼうどう鎮圧ちんあつ用ようゴム弾だん（LBD）により負傷ふしょうした。

欧州おうしゅう連合れんごう当局とうきょくは反はん政府せいふデモの取とり扱あつかいに対たいして、フランス当局とうきょくを非難ひなんし、より「人権じんけんを尊重そんちょうするように求もとめた」と言いう。とりわけ焦眉しょうびとなっているのはフランスのみが使用しようしているとされる暴動ぼうどう鎮圧ちんあつ弾だんであり、出来できるだけ早急そうきゅうの見直みなおしが望のぞましいとした。また抗議こうぎ者しゃの拘留こうりゅうについても懸念けねんを表明ひょうめいしている。

黄色きいろいベスト運動うんどうは来きたる3月がつ16日にちを「決定的けっていてきなデモ」にすると宣言せんげんしたという報道ほうどうが流ながされた。

2019年ねん3月がつ2日にち第だい十じゅう六ろく週しゅう―「アクトⅩⅥ」

プロテクションを装着そうちゃくした鎮圧ちんあつ部隊ぶたい

戦後せんごフランスのデモのなかでもっとも長ながい期間きかんに及およぶこととなった「黄色きいろいベスト運動うんどう」は3月がつにはいり、第だい16週しゅう目めへと突入とつにゅうした。

「Yellow Vests Acte 16：Insurrection（暴動ぼうどう）」と名付なづけられたこの週しゅう、フェイスブックを通つうじて運動うんどう者しゃに呼よびかけられたのは、デモが継続けいぞくしてゆくなかで薄うすれがちとなった「原点げんてん回帰かいき」であり、11月、12月の「自発じはつ的てき」な勢いきおいを取とりもどそうと試こころみた。マルセイユ、ニース、ボルドー、ストラスブール、ナント、トゥールーズといったフランスの都市としのみならずベルギーやドイツなどの近隣きんりん諸国しょこくでも、市内しないに集あつまるようにイエローベストたちに呼よびかけた。 「戦たたかいは国際こくさい的てきだ」とイベントページ上じょうで声明せいめいを出だした。

内務省ないむしょうによれば、2日にち土曜日どようび、およそ39,300人にんのイエローベストたちがフランス全土ぜんどでデモを行おこない、そのうち首都しゅとではおよそ4,000人にんを数かぞえた。先週せんしゅうの46,600人にんを下回したまわるものとなったが、内務省ないむしょうの公式こうしきの数字すうじは、運動うんどう者しゃの抗議こうぎにより論争ろんそうが起おきた。また、首都しゅとではフェイスブック上じょうで「Act 16: Yellow Vests united: We will not give up（イエローベストの団結だんけつ、わたしたちは諦あきらめない）」と名付なづけられた運動うんどうがおよそ2,000人にんもの人々ひとびとの注目ちゅうもくを集あつめたという。

南東なんとう部ぶの都市としリヨンのオーガナイザーは「黒くろの行進こうしん」を計画けいかくした。 それは、「反はん―啓蒙けいもう主義しゅぎ者しゃ」となることが運命うんめいづけられている仮想かそうの未来みらいに対たいして警告けいこくするため、「喪もの象徴しょうちょう」として黒くろい服ふくを着きて行進こうしんをし、2月がつ16日にちに問題もんだいとなったような「軽蔑けいべつ」を目的もくてきとする運動うんどう者しゃとは一緒いっしょに行動こうどうをしないというものだった。

3月1日にち金曜日きんようび、マクロン大統領だいとうりょうは運動うんどうによる「容認ようにんしがたい」暴力ぼうりょくを非難ひなんし、「平静へいせいに戻もどる」ことを求もとめた。しかしながら、最新さいしんの世論せろん調査ちょうさによると、フランス人じんの85％が大統領だいとうりょうは人々ひとびとの懸念けねんにもっと注意ちゅういを向むけるべきだと考かんがえていることを明あきらかにした。また、調査ちょうさはフランス人じんの大だい多数たすうは、大統領だいとうりょうがそのアプローチをイエローベスト運動うんどうに適応てきおうさせていないと考かんがえていることも示しめした。

2019年ねん3月がつ9日にち第だい十じゅう七なな週しゅう―「アクトⅩⅦ」

週しゅう初はじめ、マクロン大統領だいとうりょうは直前ちょくぜんに迫せまった英国えいこくのブレクジットをEUに対たいする脅威きょういとし、ナショナリズムやポピュリズムを非難ひなん、EUを保護ほごするという姿勢しせいを明確めいかくにした。「EUは平和へいわ同様どうように自明じめいなものではない。EUは分裂ぶんれつと孤立こりつに抗こうする新あたらしいルネッサンスの時ときを今いま迎むかえる」と言いう。これは、元もとベルギー首相しゅしょうで欧州おうしゅう自由じゆう民主みんしゅ同盟どうめい（ALDE）議長ぎちょうヒー・フェルホフスタットが著あらわしたような「ナショナリズムによる危機きき」「ポピュリズムによる悪夢あくむ」にEUが直面ちょくめんしているという認識にんしきを背景はいけいとしている。

デモは初期しょきの燃料ねんりょう税ぜいへの不満ふまんから拡大かくだいして、富裕ふゆう層そうへの攻撃こうげき、そしてマクロン政権せいけんの是非ぜひを問とう国民こくみん投票とうひょうの実施じっしの要求ようきゅうへと移うつり変かわった。政府せいふの100億おくユーロ規模きぼでの財政ざいせい出動しゅつどうもあってか、デモへの参加さんか者しゃは減少げんしょう傾向けいこうにあり、内務省ないむしょうの発表はっぴょうによればフランス全土ぜんどで28,600人にんが参加さんかした。首都しゅとパリではおよそ7000人にんが参加さんか、6日にちの国際こくさい女性じょせいデーの後のちということもあわせて、女性じょせいが平等びょうどうな権利けんりと平等びょうどうな給与きゅうよを主張しゅちょうして行進こうしんした。また失業しつぎょう補助ほじょ金きん改革かいかくに反対はんたいする女性じょせいたちがピンクのベスト、ピンクの衣装いしょう、ピンクの風船ふうせんを携たずさえて行進こうしんをおこなった。シャンゼリゼ大通おおどおりのデモ隊たいに高こう圧あつ水すい砲ほうが使用しようされ、19人にんもの逮捕たいほ者しゃをだしたものの、抗議こうぎ行動こうどうはほぼ平和へいわ裡うらに終了しゅうりょうした。また、リヨン、ボルドー、トゥールーズなどの都市としでは警察けいさつとの散発さんぱつ的てきな衝突しょうとつが発生はっせいした。

3月7日にちと8日にちにオンラインニュースサイトAtlanticoで行おこなわれた世論せろん調査ちょうさでは、54％が「黄色きいろいベスト」に共感きょうかんを示しめした。これは2月がつ中旬ちゅうじゅんの50％から上昇じょうしょうしたが、ピークの72％のピークからは低下ていかした。

2019年ねん3月がつ16日にち第だい十じゅう八はち週しゅう―「アクトⅩⅧ」

路上ろじょうに転ころがる発煙はつえん弾だん

ひきつづく参加さんか人数にんずうの減少げんしょうと以前いぜんの大だい規模きぼデモの予告よこくを踏ふまえて、主催しゅさい者しゃはソーシャルメディア上じょうで人々ひとびとに参加さんか要請ようせいを強化きょうかした。リーダーの一人ひとり、エリック・ドローエはYouTube上じょうに声明せいめいを発表はっぴょうし、16日にちは黄色きいろいベストとは別べつの環境かんきょう問題もんだいデモと、100万まん人にん規模きぼで起おきたアルジェリアの大統領だいとうりょう退陣たいじんデモともリンクして、フランスの歴史れきし上じょうでもユニークな抗議こうぎの日ひとなると述のべた。またこの日ひは11月17日にちにはじまったデモの4カ月かげつ記念きねん日び、さらにマクロン大統領だいとうりょうの全国ぜんこく討論とうろん大会たいかいの最終さいしゅう日びの翌日よくじつにあたり、反はん＝マクロンの抗議こうぎ者しゃは大統領だいとうりょうの討論とうろん大会たいかいは「失敗しっぱい」だったと主張しゅちょうした。

フランス内務省ないむしょうは、「アクトⅩⅧ」ではフランス全土ぜんどでおよそ32,300人にん、首都しゅとパリでおよそ10,000人にんの参加さんか者しゃ、そのうち1,500人にんの「超ちょう過激かげき破壊はかい者しゃ」を含ふくんでいたと発表はっぴょうした。以前いぜんから唱となえられていた「原点げんてん回帰かいき」の姿勢しせいがあらわれ、街まちの中心ちゅうしんシャンゼリゼ通どおりに火ひが放はなたれ、母子ぼしがビルの炎ほのおと煙けむりから辛かろうじて命いのちを救すくわれた。高級こうきゅう品ひんを扱あつかう資本しほん主義しゅぎのシンボルが狙ねらい撃うちされ、ファッション、ハンドバッグ店てん、ニューススタンド、老舗しにせカフェとして知しられる「フーケッツ」のガラスが割わられ、破壊はかい・略奪りゃくだつされ、銀行ぎんこうには火ひが放はなたれた。凱旋がいせん門もん近ちかくではデモ鎮圧ちんあつ部隊ぶたいとデモ隊たいとが衝突しょうとつした。ドイツから参加さんかした43歳さいの工場こうじょう労働ろうどう者しゃは彼かれ自身じしんが「世界せかい最大さいだいの問題もんだい」と考かんがえる銀行ぎんこうの放火ほうかに同意どういしたとコメントした。また２児じの母ははである他ほかの女性じょせいは「暴漢ぼうかんがいるのは嬉うれしいわ。だって、もし彼かれらがいなかったら、わたしたちの行動こうどうは何なんの注目ちゅうもくも受うけられないでしょうから。わたしたちの声こえを広ひろめるためには暴力ぼうりょくが必要ひつようなんです」と語かたった。

同時どうじにパリではこの日ひ45,000人にん規模きぼで環境かんきょう問題もんだいのデモが起おこり、フランス政府せいふに二酸化炭素にさんかたんその排出はいしゅつ量りょう削減さくげんの公約こうやくを守まもるよう要求ようきゅうした。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょうドナルド・トランプはツィッタ―上うえで、パリ協定きょうていに対たいするマクロン大統領だいとうりょうの姿勢しせいを揶揄やゆするツィートを飛とばした。

「フランスでパリ協定きょうていはうまくいってるのか？18週しゅうつづく黄色きいろいベストの後のちでわたしにはそううまくいってないように思おもわれる。その間あいだにアメリカでは環境かんきょう問題もんだいはリストのトップになっている」

マクロン大統領だいとうりょうはスキー休暇きゅうかを切きり上あげ、閣僚かくりょうとの対策たいさく会議かいぎのため16日にち夜よるパリに戻もどった。マクロンは警察けいさつの準備じゅんびが十分じゅうぶんではなかったと非難ひなんを受うけ、「わたしたちは憲法けんぽう上じょうの権利けんりにこだわっているが、どうしても共和きょうわ国こくを壊こわし、モノを破壊はかいし、人々ひとびとを殺ころすというリスクを冒おかしたい人々ひとびとがいる」と語かたった。パリ警察けいさつは192人にんがパリで逮捕たいほされ、60人にんが負傷ふしょうし、うち18人にんが警察けいさつと消防しょうぼう士しだったと発表はっぴょうした。

フランス政府せいふは3月18日にち、デモの対応たいおうで不手際ふてぎわがあったとしてパリ警視庁けいしちょうの警視総監けいしそうかんを更迭こうてつした。

2019年ねん3月がつ23日にち第だい十じゅう九きゅう週しゅう―「アクトⅩⅨ」

先週せんしゅうのパリ襲撃しゅうげきのさなか、大統領だいとうりょうはスキ―休暇きゅうか、内務ないむ大臣だいじんクリストフ・カスタネールはディスコでダンスをしていた事ことが明あきらかとなり、マクロン政権せいけんは強つよい批判ひはんと警備けいび強化きょうか要請ようせいの圧力あつりょくを受うけた。新あたらしく就任しゅうにんしたパリ警視総監けいしそうかんディディエール・ラルマンは、暴力ぼうりょくにより迅速じんそくに対応たいおうするための部隊ぶたい設立せつりつを発表はっぴょうした。主要しゅようエリアに兵士へいしが初はじめて投入とうにゅうされ、シャンゼリゼ通どおりを含ふくむパリ市内しない西部せいぶの広ひろい地域ちいきでのデモ活動かつどうが禁止きんしされた。装甲車そうこうしゃ、高こう圧あつ放水ほうすい砲ほう、そして何なん十じゅう台だいもの警察けいさつ車両しゃりょうが凱旋がいせん門もんを囲かこみ、警官けいかんたちは店頭てんとうを巡回じゅんかいした。これらの動うごきは野党やとうと市民しみんによって、非難ひなんにさらされた。「いつから兵士へいしが民衆みんしゅうと対面たいめんするようになったんだ？わたしたちはフランスにいる。これじゃあ北朝鮮きたちょうせんか中国ちゅうごくにいるのとおんなじだ。こんなもの見みたことがない」と運動うんどう参加さんか者しゃの一人ひとりは不満ふまんを述のべた。左派さはUnbowed党とうの党首とうしゅは「それは無謀むぼうで危険きけんな決断けつだんであり、非常ひじょうに危険きけんな結果けっかになる可能かのう性せいがある」と述のべ「兵士へいしの仕事しごとは警官けいかんの仕事しごとではない」と付つけ加くわえた。 また、政府せいふは許可きょかされていない抗議こうぎ行動こうどうに参加さんかした際さいの罰金ばっきんを38ユーロから135ユーロへと引ひき上あげた。

23日にち夜よる、内務ないむ大臣だいじんクリストフ・カスタネールは首都しゅとで5,000人にん、フランス全土ぜんどで40,500人にんがデモに参加さんかしたと発表はっぴょうした。全土ぜんどに65,000人にんの警官けいかんと憲兵けんぺいが配備はいびされ、233人にんが逮捕たいほされた。

パリの「アクトⅩⅨ」は伝統でんとう的てきなフランスの抗議こうぎ運動うんどうを踏襲とうしゅうした。晴天せいてんの太陽たいようが燦然さんぜんと輝かがやくなか、フランス国歌こっかを歌うたい、マクロン大統領だいとうりょう辞任じにんを強つよく訴うったえた。デモ隊たいは観光かんこう客きゃくの多おおいモンマルトル地区ちくからサクレ・クール寺院じいんまでをおおむね平和へいわに行進こうしんした。リラックスした雰囲気ふんいきに満みち、春色しゅんしょくの濃こい3月がつ終おわりの土曜日どようびを観光かんこう客きゃくさながらセルフィーした。デモ隊たいと警察けいさつは南みなみフランスのニースとモンペリエの都市としで衝突しょうとつした。中国ちゅうごくの習近平ひらた国家こっか主席しゅせき（総そう書記しょき）がフランス訪問ほうもんの一環いっかんとして滞在たいざいすると予定よていされたニースでは高たかい警備けいび体制たいせいが敷しかれた。

2019年ねん3月がつ30日にち第だい二に十じゅう週しゅう―「アクトⅩⅩ」

この週しゅう、中国ちゅうごくの習近平ひら国家こっか主席しゅせき（総そう書記しょき）がパリを訪おとずれ、マクロン大統領だいとうりょうはドイツのアンゲラ・メルケル首相しゅしょうと、EUのジャン＝クロード・ユンケル|欧州おうしゅう委員いいん会かい委員いいん長ちょうをパリに招まねくというこれまで前例ぜんれいのない出迎でむかえをおこなった。フランス政府せいふは「多国たこく間あいだ主義しゅぎの課題かだいに関かんするハイレベル会合かいごう」と呼よび、のちの記者きしゃ会見かいけんでは互たがいがライバルであることを認みとめながらも、4人にんの首脳しゅのう全員ぜんいんがEUと中国ちゅうごくのさらなる協力きょうりょくの願ねがいを強調きょうちょうした。また大統領だいとうりょうは相互そうご貿易ぼうえきのためにより平等びょうどうな競争きょうそう条件じょうけんを作つくり出だしながら、中国ちゅうごくとのEU関係かんけいを深ふかめたいと考かんがえていることを表明ひょうめいした。

先週せんしゅうから続つづく警戒けいかい強化きょうかのため、当局とうきょくはパリのシャンゼリゼ大通おおどおり、国会こっかい周辺しゅうへん、そしてボルドーの中心ちゅうしんを含ふくむ特定とくていの地域ちいきでのデモを禁止きんしした。フランス内務省ないむしょうはパリ4,000人にんを含ふくむフランス全土ぜんどで約やく33,700人にんの抗議こうぎ者しゃが参加さんかしたと発表はっぴょうした。パリ警察けいさつは32人にんを逮捕たいほし、21人にんに罰金ばっきん刑けいが科かせれたとした。

南みなみフランスのアヴィニョンでは、警察けいさつが抗議こうぎ者しゃを市内しない中心ちゅうしん部ぶの狭せまい通とおりから追おい出だしたため、衝突しょうとつがおきた。南西なんせい部ぶボルドーでは、抗議こうぎ者しゃが建設けんせつ現場げんばの廃材はいざいに火ひをつけ、警察けいさつが催涙さいるいガスでこれに対抗たいこうした。パリの抗議こうぎデモの参加さんか者しゃのひとりは「わたしたちは11月17日にち（運動うんどう初日しょにち）と同おなじ理由りゆうで来きている。わたしたちはなにも得えられなかった...」と述のべた。フランス北部ほくぶからパリの抗議こうぎ行動こうどうにやってきた女性じょせいは、特とくに大統領だいとうりょうが年配ねんぱいの女性じょせいはニースでの抗議こうぎ行動こうどうに参加さんかしないように「知恵ちえ」を持もたなければならないと新聞しんぶんに語かたったことを受うけて、 「誰だれもが言いうべきことを持もっています、なぜそれを黙だまらせようとするのでしょうか？それは民主みんしゅ主義しゅぎではありません」と答こたえた。

2019年ねん4月がつ6日にち第だい二に十じゅう一いち週しゅう―「アクトⅩⅩⅠ」

黄色きいろいベストに参加さんかするパリジェンヌの女性じょせい

黄色きいろいベストに対たいする説得せっとくも含ふくめる形かたちで、1月がつに始はじまった大だい討論とうろん大会たいかいは、公式こうしきには3月がつ15日にちで終了しゅうりょうしたはずだったが、実際じっさいはさらに数すう週間しゅうかん延長えんちょうした。大統領だいとうりょうとの直接的ちょくせつてきな討論とうろんに加くわえ、全国ぜんこく10,000以上いじょうの地元じもと会合かいごうで構成こうせいされた大会たいかいには合計ごうけいおよそ50万まん人にんものフランス人じんが参加さんかした。最終さいしゅうとなるコルシカ島とうでの討論とうろんでは、コルシカのナショナリストたちが大会たいかいをボイコットした。木曜日もくようび、フランスの憲法けんぽう評議ひょうぎ会かいは、「反はん暴動ぼうどう防止ぼうし法ほう」を違憲いけんであると宣言せんげんすることにより、マクロン大統領だいとうりょうのイニシアティブの一ひとつを否定ひていした。憲法けんぽう評議ひょうぎ会かいは「これらの条項じょうこうは、政権せいけんに対たいする思想しそうおよび意見いけんの集団しゅうだん的てき表現ひょうげんの権利けんりを市民しみんから奪うばう力ちからを与あたえる」とし、「禁止きんしを正当せいとう化かする理由りゆうへの過度かどのマージンである」と述のべた。

黄色きいろいベストは大だい討論とうろん大会たいかいの終了しゅうりょうにあわせて、21週しゅう目めのデモを行おこなった。北きたのルーアン、南東なんとうのリヨン、そして首都しゅとパリでマクロン大統領だいとうりょうを非難ひなんする旗はたやバーナーを掲かかげて通とおりにでた。西部せいぶではフランスとドイツの活動かつどう家かたちが国境こっきょうで合流ごうりゅうした。 内務省ないむしょうはパリで3,500人にん、フランス全土ぜんどで22,300人にんの参加さんかを発表はっぴょうした。内務省ないむしょうの数字すうじは低ひくく見積みつもりすぎだとして抗議こうぎされている。

来週らいしゅう、フランス政府せいふは一連いちれんの「大だい討論とうろん大会たいかい」の結果けっかを発表はっぴょうし、運動うんどうによって逸はぐれた大統領だいとうりょうの軌道きどうを従来じゅうらいのものに戻もどしたいとした。いっぽうで木曜日もくようびDelabreがおこなった世論せろん調査ちょうさでは、市民しみんが討論とうろん大会たいかいに納得なっとくできなかったことが示唆しさされた。調査ちょうさした1,002人にんのうち、68％が人々ひとびとの意見いけんが考慮こうりょに入いれられているとは思おもえず、 79％が現在げんざいの政治せいじ危機ききを解決かいけつできるとは考かんがえていないことが明あきらかとなった。

2019年ねん4月がつ13日にち第だい二に十じゅう二に週しゅう―「アクトⅩⅩⅡ」

フランスの首相しゅしょうエドゥアール・フィリップは、黄色きいろいベストたちの不満ふまんに焦点しょうてんを当あてた全国ぜんこく討論とうろんに応おうじて、「議論ぎろんはわたしたちの向むかうべき方向ほうこう性せいを明確めいかくに示しめしている。わたしたちは減税げんぜいする必要ひつようがある」とし、「減税げんぜい」が優先ゆうせん事項じこうでなければならないと述のべた。現在げんざい、フランスは先進せんしん国こくの中なかで最高さいこうの課税かぜい率りつが課かせられている。2017年ねんのOECDの経済けいざいシンクタンクからのデータによると、GDPの46.2％に相当そうとうする税金ぜいきんでトップがフランス、デンマークが2位い（46％）、スウェーデンが3位い（44％）となっている。いっぽうでフランスは支出ししゅつの面めんでも世界せかい最さい高水準こうすいじゅんであり、2018年ねん対たいGDP比ひで31.2％、 2位いはベルギー（28.9％）、3位いはフィンランド（28.7％）だった。また、フィリップ首相しゅしょうは、「都市としと地域ちいきのバランスを取とり戻もどさなければならない」とし、それは都市とし部ぶと農村のうそん部ぶの間あいだの連携れんけいを改善かいぜんを含ふくむとした。

フランス内務省ないむしょうはパリでの5,000人にん、トゥールーズでの6,000人にんを含ふくむフランス全土ぜんどで31,000人にんの抗議こうぎ者しゃの参加さんかを発表はっぴょうした。この週しゅうは黄色きいろいベストの「首都しゅと」としてトゥルーズが選えらばれ、憲法けんぽう評議ひょうぎ会かいによって議論ぎろんのわかれた「反はん暴動ぼうどう防止ぼうし法ほう」が初はじめて施行しこうされた週しゅうとなった。防止ぼうし法ほうによれば、公おおやけ秩序ちつじょを乱みだす行為こういやまたはその近ちかくにいる場合ばあい、最大さいだい1年ねん投獄とうごくされ、15,000ユーロの罰金ばっきんを課かせられる。警察けいさつによる任意にんいでのスーツケースや車くるまの検査けんさが許可きょかされ、自分じぶんの顔かおを隠かくすことが禁きんじられた。しかし参加さんか者しゃはそれを無視むし、防ぼう煙けむりマスクを装着そうちゃくして行進こうしんをした。

ソーシャルネットワークを通つうじて、およそ6,000人にんもの人々ひとびとが「首都しゅと」トゥールーズの街まちに集あつまり、行進こうしんが繁華はんか街がいに出でようとしたときに23人にんが逮捕たいほされた。抗議こうぎ者しゃたちは催涙さいるいガスを投とうじる警察けいさつに石いし、ボトル、爆ばく竹ちくで応おうじ、いくつかの通とおりが封鎖ふうさされ、群衆ぐんしゅうを解散かいさんさせるために高こう圧あつ水すい砲ほうが使用しようされた。いっぽうでほとんどのデモは平和へいわにとりおこなわれ、ひとりの通行人つうこうにんはその模様もようを「怒いかりよりも陽気ようきさ」とツィートした。

2019年ねん4月がつ20日はつか第だい二に十じゅう三さん週しゅう―「アクトⅩⅩⅢ」

黄色きいろいベストを窓まどに飾かざる部屋へや（ベルギー）

4月がつ15日にちに起おきたノートルダム大だい聖堂せいどうの火災かさいに直面ちょくめんしたマクロン大統領だいとうりょうは予定よていされていた討論とうろん大会たいかいの統括とうかつを先送さきおくりした。あるアナリストは火災かさいは国民こくみんを団結だんけつさせるためのチャンスだと述のべた。大統領だいとうりょうは「歴史れきし、文学ぶんがく、わたしたちのの中心ちゅうしん、すべてのフランス人じんの大だい聖堂せいどう」とツィートし、大だい聖堂せいどうの再建さいけんを約束やくそく、 「それはわたしたちの歴史れきしに値あたいするものであり、運命うんめいです」とした。ルイ・ヴィトンやグッチ、イヴ・サンローラン、バレンシアガといった有名ゆうめい企業きぎょうの株主かぶぬしらが総額そうがくでおよそ10億おくユーロの巨額きょがくの寄付きふを申もうし出で、大統領だいとうりょうは「５年ねん以内いないに再建さいけんしたい」と希望きぼうを述のべた。

フランス内務省ないむしょうはパリでの9,000人にんを含ふくむフランス国内こくないで27,900人にん以上いじょうがイエローベストの行進こうしんに参加さんかしたと発表はっぴょうした。警察けいさつは土曜日どようびに200人にん以上いじょうの参加さんか者しゃを拘束こうそく、またデモの前まえ、抗議こうぎのために首都しゅとに入にゅうろうとした17,000人にん以上いじょうへの手荷物てにもつの「予防よぼう検査けんさ」が実施じっしされた。厳戒げんかい態勢たいせいが引ひき続つづき、シャンゼリゼ通どおりやノートルダム聖堂せいどう周辺しゅうへんを含ふくむ道路どうろや地下鉄ちかてつが封鎖ふうさされ、約やく6万まん人にんの警官けいかんが動員どういんされた。それでも散発さんぱつ的てきな衝突しょうとつは起おき、催涙さいるいガスの幔幕まんまくが立たちこめ、路肩ろかたの車くるま、バイク、バリケードが燃もやされた。

多おおくの抗議こうぎ者しゃは火災かさいに深ふかく悲かなしんでいたが、同時どうじにフランス富裕ふゆう層そうのノートルダム大だい聖堂せいどう再建さいけんへの巨額きょがく寄付きふに怒いかりの表情ひょうじょうを見みせた。「ノートルダムで起おこったことは大おおきな悲劇ひげきだと思おもうが、人間にんげんは石いしよりも重要じゅうようであるべきだ」と参加さんか者しゃのひとりは述のべた。 別べつの参加さんか者しゃは「巨額きょがくの寄付きふはノートルダム、わたしたち貧乏人びんぼうにんには？」「10億おくユーロを黄色きいろいベストのために」と訴うったえるバナーを掲かかげて行進こうしんした。また、ノートルダムを舞台ぶたいとしたヒューマニズムな小説しょうせつを描えがいたヴィクトル・ユーゴーよろしく、ホームレスの活動かつどう家かたちが聖堂せいどう前まえで「教会きょうかいには屋根やねが必要ひつようだが、おれらにも屋根やねが必要ひつようだ」とプラカードで訴うったえた。これを受うけて、パリ大司教だいしきょうミシェル・オーペットは「貧まずしい人々ひとびとのための場所ばしょを作つくるべき」とした上うえで、「ここは貧まずしい人ひととホームレスの家いえとなる。教会きょうかいにはいつでも来きて体からだを暖あたためることができるし、彼かれらは追おい出だされることがないことをわかっている」と付つけ加くわえた。

マクロン大統領だいとうりょうは今週こんしゅう木曜日もくようびに討論とうろん大会たいかいの統括とうかつを発表はっぴょうするとしている。

2019年ねん4月がつ27日にち第だい二に十じゅう四よん週しゅう―「アクトⅩⅩⅣ」

4月がつ23日にち、日本にっぽんの安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうが、G20の大阪おおさかサミットを前まえにした意見いけん調整ちょうせいのためフランスを訪おとずれ、マクロン大統領だいとうりょうと面談めんだんした。安倍あべはノートルダム大だい聖堂せいどう火災かさいへのお見舞みまいを述のべ、両者りょうしゃはスリランカ連続れんぞく爆破ばくはテロ事件じけんへの対応たいおうや自由じゆう貿易ぼうえきの価値かち共有きょうゆうなどを強調きょうちょうした。会談かいだんののち、マクロンは日本語にほんごで「日本にっぽんと共ともに、我々われわれは多た極きょく主義しゅぎへの信頼しんらいを再さい構築こうちくするという同おなじ野心やしんを有ゆうする。幾多いくたの障害しょうがいや緊張きんちょうや閉塞へいそく状じょう況きょうが存在そんざいすることは分わかっているが、日本にっぽんもフランスもそれで諦あきらめてしまうような習性しゅうせいは持もっていない」と、ツイートを飛とばした。

4月がつ25日にち、マクロン大統領だいとうりょうは大統領だいとうりょうになって初はつの記者きしゃ会見かいけんを行おこない、予定よていされていた討論とうろん大会たいかいの統括とうかつと対策たいさく案あんを発表はっぴょうした。このなかで大統領だいとうりょうは低てい所得しょとく者しゃや平均へいきん的てきな所得しょとく者しゃへ総額そうがく50億おくユーロ規模きぼの所得しょとく税ぜい削減さくげんと年金ねんきんの増額ぞうがくを約束やくそくし、任期にんき中ちゅうのさらなる学校がっこう、病院びょういんの閉鎖へいさはないとした。さらに自身じしんも卒業そつぎょうしたフランスのエリート校こうフランス国立こくりつ行政ぎょうせい学院がくいん（ENA）の閉鎖へいさを約束やくそく（貧困ひんこん家庭かていから学生がくせいを募集ぼしゅうしないためここ数すう十じゅう年来ねんらい、批判ひはんにさらされてきた）し、フランスの統治とうちシステムは変かわるべきだと述のべた。マクロンは自みずからの施政しせいを「後悔こうかい」しているとも言いい、より「ヒューマン」な政治せいじを誓ちかったが、運動うんどうのなかでおきたユダヤ人じんや同性愛どうせいあいに対たいする憎悪ぞうおや暴力ぼうりょくを「道徳どうとく」と「教育きょういく」の衰退すいたいだと表現ひょうげんし、全力ぜんりょくで戦たたかうとした。会見かいけんに対たいして、オンライン上じょうで運動うんどうのリーダーたちはすぐさま反論はんろんを述のべた。エリック・ドローエは会見かいけんを「くちゃくちゃぺらぺら」と呼よび、マキシム・ニコルは政治せいじ的てきに「煙けむりに巻まく」の最悪さいあくの事例じれいだとした。ニコルはAFPに対たいし、「（マクロン大統領だいとうりょうは）過去かこ5ヶ月かげつ間あいだは路上ろじょうで言いわれてきたことに耳みみを傾かたむけていない」と述のべた。

第だい24週しゅう目めの黄色きいろいベストの行進こうしんは、内務省ないむしょう発表はっぴょうでおよそ23,600人にん（パリ2,600人にん）の動員どういんが推定すいていされた。これは抗議こうぎ行動こうどうが11月に始はじまって以来いらい、2番目ばんめに低ひくい数字すうじだった。パリでは労働ろうどう組合くみあい（CGT）と活動かつどう家かたちが発表はっぴょうされた対策たいさく案あんに対たいし、「団結だんけつ」を示しめせするため黄色きいろいベストとともに行進こうしんした。大統領だいとうりょうの批評ひひょう家かたちは対策たいさく案あんは小ちいさすぎ、遅おそすぎ、さらに高こう所得しょとく者しゃへの「富裕ふゆう税ぜい」には手てがつけられていないと批判ひはんしている。パリ警察けいさつはいくつかの地下鉄ちかてつ駅えきの閉鎖へいさを命めいじ、パリ交通こうつう公団こうだん（RATP）は、9つの駅えきが土曜日どようびの午前ごぜん8時じから閉鎖へいさされることを発表はっぴょうした。およそ2000人にんが参加さんかしたストラスブールでは警察けいさつが主要しゅよう機関きかんへのアクセスを封鎖ふうさしたにもかかわらず、デモ参加さんか者しゃは欧州おうしゅう議会ぎかいビルへの進路しんろを取とり、警察けいさつとのあいだで衝突しょうとつが発生はっせいした。何人なんにんかは石いしと瓶びんを投なげて、応戦おうせんした。

5月1日にちのメーデーと重かさなることから、次つぎの黄色きいろいベストは静しずかなものになる可能かのう性せいがあると予測よそくされた。

2019年ねん5月がつ4日にち第だい二に十じゅう五ご週しゅう―「アクトⅩⅩⅤ」

5月1日にちのメーデーで、仏ふつ内務省ないむしょうはおよそ164,000人にんがフランス全土ぜんどで集会しゅうかいに参加さんかしたと発表はっぴょうした。このうち28,000人にんがパリで行進こうしんし、2人ふたりの抗議こうぎ者しゃと14人にんの警察官けいさつかんが負傷ふしょうしたとした。フランスの報道ほうどう機関きかんOccurrenceはパリで4万まん人にん、労働ろうどう組合くみあいCGTは8万まん人にんの参加さんか者しゃを主張しゅちょうしている。7,400人にんもの警察官けいさつかんが配置はいちされ、15,300人にんの手荷物てにもつの「予防よぼう検査けんさ」が実施じっしされ、330人にんの逮捕たいほ者しゃを出だした。警察けいさつは抗議こうぎルート上じょうにあたるる580以上いじょうのショップ、レストラン、カフェの閉鎖へいさを命めいじ、多おおくの地下鉄ちかてつ駅えきが閉鎖へいさされた。黄色きいろいベストでの活動かつどうで有名ゆうめいになったアナーキストの反はん資本しほん主義しゅぎ破壊はかいグループ「ブラック・ブロック」が参加さんかし、旧きゅうソビエトの鎌かまと鎚づちと五ご芒すすき星ぼしの赤旗あかはたを振ふり、ジュリアン・アサンジと（ユダヤではなく）パレスチナ人じんを支持しじするプラカードを掲かかげ、警察けいさつと激はげしい衝突しょうとつを繰くり広ひろげた。またこの日ひ、ロシアでは労働ろうどう組合くみあいが主催しゅさいする首都しゅとモスクワ中心ちゅうしん部ぶでのメーデー集会しゅうかいに約やく10万まん人にんもの人々ひとびとが参加さんかしたと発表はっぴょうされた。

5月4日にちの黄色きいろいベストの行進こうしんはパリでの1,460人にんを含ふくむ18,900人にんの抗議こうぎ者しゃの参加さんかが発表はっぴょうされた。メーデーへの参加さんか者しゃの分散ぶんさんもあってか、25週しゅうにわたる抗議こうぎ運動うんどうを通つうじて最もっとも少すくない参加さんか者しゃとなった。参加さんか者しゃの一人ひとりは「多おおくの人ひとがメーデーでの（警察けいさつの）抑圧よくあつにショックを受うけた」と語かたった。

黄色きいろいベスト運動うんどうへの支持しじを表明ひょうめいした女優じょゆうジュリエット・ビノッシュ

いっぽうで女優じょゆうジュリエット・ビノシュを含ふくむ50人にん以上いじょうの俳優はいゆう、作家さっか、音楽家おんがくか、映画えいが製作せいさく者しゃのグループは、フランスの新聞しんぶん『リベラシオン』紙しのウェブサイトに「黄色きいろいベスト―わたしたちはだまされない！」と題だいされる運動うんどうを支持しじする声明せいめいを発表はっぴょうした。同どうグループは黄色きいろいベストを「反はん・エコロジスト、過激かげき派は、人種じんしゅ差別さべつ主義しゅぎ者しゃ、窃盗せっとう犯はん」と呼よび、運動うんどうの価値かちを損そこなおうとする政府せいふの一連いちれんの姿勢しせいを非難ひなんした。声明せいめいは「抑圧よくあつの犠牲ぎせいは毎週まいしゅう悪化あっかしています」とし、4月がつ19日にちの時点じてんで1名めいの死亡しぼう者しゃ、248名めいの頭部とうぶ外傷がいしょう、23名めいの重度じゅうどの眼め外傷がいしょう、そして5名めいの手ての重傷じゅうしょうを挙あげ、「こうした抑圧よくあつに直面ちょくめんし、どのようにデモをする権利けんりを行使こうししたらよいのでしょうか？」と問とうた。「わたしたちはだまされてはいけません。もっとも脅迫きょうはく的てきな暴力ぼうりょくは経済けいざい的てきおよび社会しゃかい的てきなものです。すべてを犠牲ぎせいにして少数しょうすうの利益りえきを守まもるのがこの政権せいけんです」と、その手紙てがみはつづけた。

2019年ねん5月がつ11日にち第だい二に十じゅう六ろく週しゅう―「アクトⅩⅩⅥ」

引びきつづくパリ中心ちゅうしん部ぶでの抗議こうぎ活動かつどうの禁止きんしを受うけ、主催しゅさい者しゃはリヨンとナントの街まちで「全国ぜんこく的てき」な集会しゅうかいを開催かいさいするとした。２ふたつの街まちではマスクをつけた抗議こうぎ者しゃがバリケード設置せっちを試こころみ、催涙さいるいガスで分散ぶんさんさせられた。

警察けいさつは首都しゅとパリの1,200人にんを含ふくむおよそ18,600人にんの参加さんか者しゃを発表はっぴょうした。参加さんか者しゃ数すうは先週せんしゅうに続つづいて、最低さいていの参加さんか者しゃ数すうを更新こうしんした。

「警察けいさつの暴力ぼうりょくへの恐怖きょうふ、それからちょっと疲つかれたね」と、参加さんか者しゃの一人ひとりは言いう。「あとは経済けいざい的てき要因よういん。パリなどの街まちで抗議こうぎするのは高たかくつく」。また運動うんどうのリーダーの一人ひとりで、1月がつにゴム弾だん（LBD）で右目みぎめを失うしなったジェローム・ロドリゲスはリヨンで「わたしはヨーロッパのみんなにマクロン大統領だいとうりょうへの対抗たいこう投票とうひょうをするよう呼よびかけている。（その結果けっか）もし2位いになったら、彼かれを地位ちいからひき降おろし、金持かねもちにかわってわたしたちに仕つかえさせることができる」と述のべた。

抗議こうぎ者しゃのなかの何なん名めいかは今月こんげつ末まつの欧州おうしゅう議会ぎかい議員ぎいん選挙せんきょへの出馬しゅつばを計画けいかくしており、運動うんどうを持続じぞく的てきな政治せいじ勢力せいりょくに変かえることを望のぞんでいる。しかし、運動うんどうの常連じょうれん参加さんか者しゃは出馬しゅつば者しゃを「政治せいじ的てきな日和見ひよりみ主義しゅぎ」と見みなし、世論せろん調査ちょうさは彼かれらへの支持しじが微妙びみょうであることを示唆しさしている。

2019年ねん5月がつ18日にち第だい二に十じゅう七なな週しゅう―「アクトⅩⅩⅦ」

およそ半年はんとしにわたる運動うんどうも長期間ちょうきかん続つづいたことへの「疲つかれ」と財政ざいせい出動しゅつどう、主要しゅよう都市としでの警備けいび強化きょうかの影響えいきょうを受うけて、鎮静ちんせい化かの傾向けいこうにあり、主催しゅさい者しゃは南西なんせい部ぶの都市としボルドーでの運動うんどうをモンサント社しゃの遺伝子いでんし組ぐみ換かえ食品しょくひんへの抗議こうぎデモを結むすび付つけようと試こころみた。

内務省ないむしょうは首都しゅとパリでの1,600人にんを含ふくむ15,500人にんの参加さんか者しゃを推定すいていした、先週せんしゅうの18,600人にんにつづいて3週しゅう連続れんぞくで参加さんか者しゃは最低さいてい数すうとなった。北部ほくぶ都市としランスではラジオ局きょくFrance Bleuの窓まどが割わられ、地元じもと当局とうきょく者しゃはブラックブロックのメンバーを含ふくむ約やく100人にんのハードコア活動かつどう家かが暴力ぼうりょくに加くわわったと報告ほうこくした。運動うんどうの首都しゅとトゥールーズではおよそ2,000人にんが行進こうしんした。「政府せいふはおそらくこのラウンドで勝利しょうりするだろうが、わたしたちは種たねを蒔まいた」と参加さんか者しゃの30代だい男性だんせいは語かたった。「運動うんどうはマクロン政権せいけんが権威けんい主義しゅぎ的てきであることを明あきらかにし、海外かいがいでのイメージを傷きずつけた」と言いう。国連こくれん人権じんけん責任せきにん者しゃミシェル・バチェレなど国際こくさい機関きかんが仏ふつ警察けいさつによる暴力ぼうりょく行為こういに関かんする調査ちょうさを求もとめている。何なんヶ月かげつもの間あいだ、黄色きいろいベストの活動かつどう家かたちは、警察けいさつが集会しゅうかいして抗議こうぎする権利けんりを抑圧よくあつしていることを非難ひなんしてきた。

2019年ねん5月がつ25日にち第だい二に十じゅう八はち週しゅう―「アクトⅩⅩⅧ」

24日にち、南東なんとう部ぶの都市としリヨンの路上ろじょうで13人にんが負傷ふしょうする爆ばく弾だんテロがおこり、警察けいさつは市し中心ちゅうしん部ぶの路上ろじょうから離はなれるように警告けいこくを出だした。

フランス内務省ないむしょうは全土ぜんどで12,500人にんのデモ参加さんか者しゃを発表はっぴょうした。今週こんしゅうも最低さいてい数すうを更新こうしんした。鎮静ちんせい化か傾向けいこうと参加さんか者しゃの減少げんしょうを受うけて、主催しゅさい者しゃはマクロン大統領だいとうりょうの生うまれ故郷こきょうであるソンム県けんアミアンで「大統領だいとうりょうを家いえに帰きす」デモを企画きかくし、ソンメ県けんによると合計ごうけい1,200人にんが参加さんかした。デモは投射とうしゃ物ぶつや催涙さいるいガスの応戦おうせんがあったものの全体ぜんたいとしてはお祭まつり気分きぶんだった。トゥールーズでは、約やく2,000人にんの抗議こうぎ者しゃが中心ちゅうしん街がいを歩あるき回まわり、今いまや伝統でんとうになった反はん＝マクロンの歌うたをうたった。「聞きく耳みみをもたない大統領だいとうりょうなので、わたしたちの抗議こうぎ行動こうどうですぐには何なにも変かわらないことはわかっています、しかし長期ちょうき的てきにわたしたちの魂たましいを示しめしつづけます」と参加さんか者しゃの一人ひとりは述のべた。

パリでは、エリック・ドローエなどのリーダーの呼よびかけからおよそ100人にんが黄色きいろいベストなしで行進こうしんし、催涙さいるいガスを放はなつ警察けいさつと応戦おうせんした。モンペリエではおよそ950人にんが静しずかに行進こうしんし、ストラスブールでは850人にんの黄色きいろいベスト参加さんか者しゃが環境かんきょう問題もんだいのデモに加くわわり、そのうちの一人ひとりはマイクで翌日よくじつの欧州おうしゅう議会ぎかい選挙せんきょを非難ひなんした。同おなじようにリヨンでは黄色きいろいベストと環境かんきょう活動かつどう家かとが合流ごうりゅうした。

2019年ねん6月がつ1日にち第だい二に十じゅう九きゅう週しゅう―「アクトⅩⅩⅨ」

この週しゅうはパリで「負傷ふしょう者しゃの行進こうしん」が企画きかくされ、3～400人にんもの参加さんか者しゃが運動うんどうを通つうじて負傷ふしょうした人ひとを悼いたみ、ゴム弾だん（LBD）とスタン擲弾の使用しようとを非難ひなんした。フランス政府せいふは人道的じんどうてき見地けんちからデモに対たいする抑圧よくあつ方法ほうほうに関連かんれんして、強つよい批判ひはんを受うけていた。これに対たいして、内務ないむ次官じかんローラン・ヌネスは「公おおやけの秩序ちつじょと安全あんぜんを守まもった方法ほうほうについて後悔こうかいはしていない」と語かたった。ヌエスはこの運動うんどうを戦後せんごフランス社会しゃかいが直面ちょくめんしたことのない「前例ぜんれいのない危機きき」と表現ひょうげんし、「全体ぜんたいとして今いままでのところはうまくいっている」と付つけ加くわえた。

検察官けんさつかんレミ・ハイッツは『ル・パリジャン』紙し（Le Parisien）に不当ふとうな暴力ぼうりょくに関与かんよした警察官けいさつかんは、年内ねんないに裁判さいばんにかけられると語かたった。ハイッツによると、170件けん以上いじょうの警察けいさつによる暴力ぼうりょく事件じけんが再さい調査ちょうさされ、そのうち57件けんが完了かんりょうし、訴訟そしょうか否ひかの決定けっていを待まっているという。ヌエス次官じかんは少数しょうすうの警察官けいさつかんが捜査そうさ中ちゅうであり、さらに少数しょうすうのみが起訴きそされて裁判所さいばんしょにかけられると述のべている。

仏ふつ内務省ないむしょうは「アクトⅩⅩⅨ」の参加さんか者しゃを全土ぜんどでおよそ9,500人にん、パリ1,500人にんと発表はっぴょうした。運動うんどうは鎮静ちんせい化かへ向むかい、参加さんか者しゃは減へり続つづけている。

政府せいふが、黄色きいろいベスト運動うんどうのため、今いままで延期えんきしてきた電力でんりょく料金りょうきん5.9％の値上ねあげが土曜日どようびに発効はっこうされた。

2019年ねん6月がつ8日にち第だい三さん十じゅう週しゅう―「アクトⅩⅩⅩ」

三さん十じゅう週しゅうを迎むかえたデモは小規模しょうきぼだが、衝突しょうとつを続つづけた。内務省ないむしょうは先週せんしゅうの9,500人にんからわずかに増ふえた10,300人にんが全土ぜんどでデモを行おこなったと述のべた。パリ郊外こうがいの街まちドランシーでは警察けいさつと一部いちぶデモ隊たいとが衝突しょうとつした。南部なんぶの街まちモンペリエではデモ鎮圧ちんあつに際さいして、催涙さいるいガスと高圧こうあつ水すい砲ほうが使用しようされた。またディジョンでも警察けいさつと参加さんか者しゃとの間あいだで激はげしい衝突しょうとつが見みられた。

2019年ねん6月がつ15日にち第だい三さん十じゅう一いち週しゅう―「アクトⅩⅩⅩⅠ」

運動うんどうの鎮静ちんせい化かを受うけて、マクロン大統領だいとうりょうはのべ7カ月かげつに渡わたった黄色きいろいベスト運動うんどうを振ふりかえり、その対処たいしょにおいて「根本こんぽん的てきな誤あやまり」を犯おかしたと述のべた上うえで、逆風ぎゃくふうに晒さらされてきた改革かいかく運動うんどうの一環いっかんとして、高こう所得しょとく者しゃの失業しつぎょう手当てあての削減さくげん、法定ほうてい定年ていねん年齢ねんれいの引ひき上あげを発表はっぴょうした。また、自身じしんの支持しじ率りつが回復かいふくの兆きざしをみせているため、運動うんどう中ちゅうに失速しっそくしていた改革かいかくを推進すいしんする意向いこうを明あきらかにした。

内務省ないむしょうは全土ぜんどで7,000人にんの運動うんどう参加さんか者しゃを発表はっぴょうした。「運動うんどうはすでに本質ほんしつを失うしなっている」と、ブルターニュ出身しゅっしんの参加さんか者しゃは語かたった。実際じっさい、有名ゆうめいな抗議こうぎ者しゃたちが互たがいに反発はんぱつしあうことで運動うんどうは「自身じしんを焼やき」（内部ないぶ分裂ぶんれつ）、市民しみんの怒いかりを政治せいじに投影とうえいすることを困難こんなんにした「リーダーシップの欠如けつじょ」へと繋つながった。「5月がつ末まつの欧州おうしゅう議会ぎかい選挙せんきょの立候補りっこうほは明あきらかな失敗しっぱいだった」と元もと参加さんか者しゃたちは言いう。欧州おうしゅうで新あらたな政治せいじ的てき勢力せいりょくとなることを望のぞんだ瞬間しゅんかん、運動うんどうはその脆弱ぜいじゃく性せいを明あきらかにした。黄色きいろいベスト候補者こうほしゃは投票とうひょうの1％未満みまんしか獲得かくとくできなかった。

労働ろうどう市場いちば規則きそくの緩和かんわなどマクロン政権せいけんの初期しょきの改革かいかくが経済けいざいを押おし上あげ始はじめたという兆候ちょうこうもある。国家こっか統計とうけい局きょくによると、先月せんげつ、失業しつぎょう率りつは10年ねんぶりの最低さいてい水準すいじゅんに落おち込こんだ。運動うんどうにより傷きずつけられた消費しょうひ者しゃの信頼しんらい感かんは、年としの初はじめから著いちじるしく回復かいふくした。

運動うんどう自体じたいは小規模しょうきぼに続つづいているものの、「運動うんどうをはじめたときに忘わすれていた右左みぎひだりの間あいだの古ふるい緊張きんちょう感かんが再さい浮上ふじょう」しており、その雰囲気ふんいきは悪化あっかしていると21歳さいの参加さんか者しゃは言いう。別べつの参加さんか者しゃは、哲学てつがく的てき見解けんかいを述のべた。

「もはや紙吹雪かみふぶきしか残のこっていませんが、紙吹雪かみふぶきは通とおりから一掃いっそうするのが難むずかしい場合ばあいがあります」

運動うんどうにより得えた譲歩じょうほ

2018年ねん12月がつ10日とおかのテレビ演説えんぜつでマクロン大統領だいとうりょうは抗議こうぎに応こたえるため、2019年ねんの最低さいてい賃金ちんぎんの100ユーロ/月つきの増加ぞうか、2019年ねんの残業ざんぎょう時間じかん、年末ねんまつボーナスからの課税かぜいの除外じょがいなど総額そうがく100億おくユーロに上のぼる手当てあてを約束やくそくした。また、毎月まいつきの年金ねんきん額がくが2千せんユーロ（約やく26万まん円えん）未満みまんの退職たいしょく者しゃには、社会しゃかい保障ほしょう税ぜい（CSG）の増税ぞうぜいから除外じょがいするとした。

2019年ねん4月がつ25日にち、マクロン大統領だいとうりょうは大だい討論とうろん大会たいかいの総括そうかつを行おこない、低てい所得しょとく者しゃや平均へいきん的てきな所得しょとく者しゃへ総額そうがく50億おくユーロ規模きぼの所得しょとく税ぜい削減さくげんと年金ねんきんの増額ぞうがくを約束やくそくし、自身じしんも卒業そつぎょうしたエリート校こうフランス国立こくりつ行政ぎょうせい学院がくいん（ENA）の閉鎖へいさを約束やくそくした。

4月がつ30日にち、ブリュノ・ル・メール財務ざいむ相しょうは数ヶ月すうかげつに及およぶ運動うんどうに対たいする減税げんぜいおよび支出ししゅつの総額そうがくが170億おくユーロ（およそ2兆ちょう9000億おく円えん）にのぼることと発表はっぴょうした。 ル・メール財務ざいむ相しょうによれば、財政ざいせい援助えんじょは主おもに14％と30％の最低さいてい課税かぜい範囲はんい内ないの人々ひとびとに適用てきようされ、1世帯せたい当あたりの年間ねんかん平均へいきん180～350ユーロ削減さくげんされる見通みとおしだという。4月29日にち、エドゥアール・フィリップ首相しゅしょうは会議かいぎで、フランスに無数むすうあるとされる法人ほうじん税ぜいの抜ぬけ穴あな対策たいさくにより費用ひようを賄まかなうことを確認かくにんした。ビジネスリーダーや一部いちぶのエコノミストは経済けいざいが改善かいぜんの兆きざしをほとんど示しめしていないことから、対策たいさくのコストに警戒けいかい感かんを強つよめている。

5月、エドゥアール・フィリップ首相しゅしょうは、交通こうつう事故死じこし者しゃを減へらすための主要しゅような政策せいさくを転換てんかんし、90km/hの制限せいげん速度そくどを認みとめ、地方ちほうの道路どうろの制限せいげん速度そくどを首相しゅしょうではなく地方ちほう（département）が設定せっていすることに同意どういした。

反はん＝中心ちゅうしん、アンチ＝エスタブリッシュメント

「資本しほん主義しゅぎを殺ころせ！」と落書らくがきされたシャンゼリゼ通どおりのショップ

左右さゆうではなく上下じょうげの運動うんどう

欧州おうしゅう連合れんごう（EU）が成立せいりつし、シェンゲン協定きょうていが施行しこうされ、人ひとと資本しほんの往来おうらいが盛さかんになった結果けっか、フランスのみならず主要しゅようEU各国かっこくで「持もつ者もの」と「持もたざる者もの」の格差かくさが拡大かくだいした。富とみは一部いちぶの「持もつ者もの」に集中しゅうちゅうし、「持もたざる者もの」は周辺しゅうへんに据すえ置おかれた。運動うんどうの思想しそう的てきな背景はいけいである陰謀いんぼう論ろん的てきな反はんユダヤ主義しゅぎの高たかまりは金融きんゆう資本しほん主義しゅぎへのフランスに古ふるくからある嫌悪けんお感かんの再さい昂揚こうようを示しめしている。

運動うんどうにおいては従来じゅうらいの右左みぎひだりの対立たいりつではなく、「上下じょうげの対立たいりつ」がメッセージとして強つよく強調きょうちょうされており、ここにトランプ大統領だいとうりょうの米国べいこくや、五いつつ星ぼし運動うんどうのイタリア、マクロンと対立たいりつする国民こくみん戦線せんせんのルペンといった周辺しゅうへんの動うごきが火ひに油あぶらを注そそぎ、運動うんどうを激はげしく炎上えんじょうさせることとなった。

郊外こうがいの反乱はんらん

少すくなくともその前半ぜんはんにおいては、黄色きいろいベスト運動うんどうは首都しゅとパリが運動うんどうの舞台ぶたいの一角いっかくとはなっているものの、そのメインステージではなかった。メインステージは、むしろマージナルな郊外こうがいの円形えんけい交差点こうさてん(rond point)の占拠せんきょにあり、中心ちゅうしん都市とし（パリやストラスブール、マルセイユ）はメディアによってショーアップされた破壊はかいと略奪りゃくだつの舞台ぶたいとなった。これは都市としの資本しほんや富とみの集中しゅうちゅうに対たいする郊外こうがいからの反はん応おうであり、その意味いみで郊外こうがい生活せいかつ者しゃが都市としで進行しんこうする資本しほんシステムの結果けっかとしてもたらされる「格差かくさ社会しゃかいへアンチテーゼ」を突つきつけた側面そくめんがあった。また、学生がくせいが先導せんどうし、メディア的てきにも運動うんどう的てきにもパリを主おもな舞台ぶたいとしたちょうど50年ねん前まえ、1968年ねんの、五月ごがつ危機ききとはその意味いみで異ことなっている。都市としは組くみ込こまれているが、都市とし中心ちゅうしんの運動うんどうではなかった。

2016年ねん、米国べいこくでトランプ政権せいけんを誕生たんじょうさせた原動力げんどうりょくとなったのは、グローバリゼーションによる豊ゆたかさの恩恵おんけいにあずかれなかったマージナルな人々ひとびとの支持しじであったといわれているが、「周辺しゅうへんからの中心ちゅうしんへの反発はんぱつ」というコンテキストにおいて、この米国べいこくの動うごきとの共通きょうつう性せいが見みられる。黄色きいろいベスト運動うんどうは、ブリュッセルやマクロンに代表だいひょうされる記名きめい性せいや署名しょめい性せい、個人こじんによって機能きのうするエリート官僚かんりょう主義しゅぎ的てきな中心ちゅうしんではなく、無む記名きめいでアノニマスで集団しゅうだん主義しゅぎ的てき、すなわち、より各自かくじ各々おのおのの民衆みんしゅうに身近みぢかな周辺しゅうへんの運動うんどうであり、資本しほんの進行しんこうをより民衆みんしゅうに引ひき寄よせようとしている（ベルギーで運動うんどうの中心ちゅうしんがブリュッセルではなく南部なんぶのワロン地域ちいきだったことは象徴しょうちょう的てきであり、ブレクジットもその成否せいひ如何いかをさておけば、同おなじようなコンテキストに支ささえられている）。マスメディアの変化へんか（テレビからソーシャルメディア）に伴ともない、これらの運動うんどうは中心ちゅうしんをより多おおくの場所ばしょにしようとしている（究極きゅうきょく的てきにはソーシャルメディアの「いいね！」や「♡」ボタンを介かいした、個人こじんになる）。

かつて、アンチ＝エスタブリッシュメントが「ソフト・パワー」として、世界せかい変革へんかくのうねりとなるまでに高たかまったのは、1960年代ねんだいのベトナム戦争せんそう下かの米国べいこくだった。彼かれらは中国ちゅうごくの人民公社じんみんこうしゃ=パブリック・コミューンを引用いんようしながら、闘争とうそうよりも「平和へいわ」を重おもんじる独自どくじのコミュニティ形成けいせい（ヒッピー）を試こころみ、試こころみはやがてオルタナティブな価値かちに結実けつじつし、エスタブリッシュメントに対たいする「もうひとつの価値かち（カウンターカルチャー）」を用意よういした。運動うんどうはそういったアンチ＝エスタブリッシュメントの流ながれの、分岐ぶんきしたより性急せいきゅうかつ暴力ぼうりょく的てきな側面そくめんの強つよいものとして見みることもできる。

脱だつ炭素たんそ社会しゃかいの蹉跌さてつ

2015年ねん12月、パリで採択さいたくされた、気候きこう変動へんどう抑制よくせいに関かんする多国たこく間あいだの国際こくさい的てきな協定きょうてい（パリ協定きょうてい）を経へて、フランスは「脱だつ炭素たんそ社会しゃかい」を掲かかげるリーダー的てきな存在そんざいだった。マクロンは米国べいこくが抜ぬけた世界せかい的てきな環境かんきょう会議かいぎにおいて各国かっこく企業きぎょうや識者しきしゃと供託きょうたくし、2030年ねんまでに温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつ量りょうを国内こくないで少すくなくとも40％削減さくげんする目標もくひょうを掲かかげ、「脱だつ炭素たんそ化か」を推進すいしんした。反面はんめんではフランス民衆みんしゅうに対たいする配慮はいりょが不足ふそくしていた面めんは否いなめず、今回こんかいの運動うんどうはこの環境かんきょう汚染おせん意識いしきに端はしを発はっする「脱だつ炭素たんそ社会しゃかい」への躓つまずきとなった。

経済けいざい格差かくさ問題もんだい

テキサス大学だいがくの経済けいざい学者がくしゃジェームス・K・ギャルブレイス（英語えいご版ばん）によれば、黄色きいろいベスト運動うんどうの背景はいけいにはブレクジット同様どうようの経済けいざい的てきな危機きき意識いしきがあるという。ギャルブレイスは「ヨーロッパの現状げんじょうは持続じぞく可能かのうではない」「われわれが目めにしているのは、雇用こよう基盤きばんを衰おとろえさせてきた一連いちれんの緊縮きんしゅく政策せいさくによって、収入しゅうにゅうを低下ていかさせ積つもり積つもった人々ひとびとの不満ふまんの反乱はんらんである」と述のべている。

フランス国外こくがいの反応はんのう

黄色きいろいベスト運動うんどうのブリュッセルで抗議こうぎ（2018年ねん12月8日にち）

英国えいこく『ガーディアン』紙しのキム・ウィルサーによると、黄色きいろいベスト運動うんどうはイタリアで「親おやイタリア運動うんどう」に模倣もほうされており、イタリアのオーガナイザーは「黄色きいろいベストに触発しょくはつされている（...中略ちゅうりゃく...）しかしながら私わたしたちは他たの問題もんだいに動機どうきづけられている。 私わたしたちはフランス人じんと違ちがって、私わたしたちの政府せいふを支ささえている。 私わたしたちが抗議こうぎするのはヨーロッパだ。 欧州おうしゅうがイタリアの政治せいじに干渉かんしょうしないようにしたい」と述のべたという。

2018年ねん11月30日にち、ベルギーの首都しゅとブリュッセルの暴動ぼうどうで警察けいさつはビリヤードボールや街路がいろ石せきの投石とうせきを受うけ、高こう圧あつ放水ほうすい砲ほうで対応たいおうした。治安ちあんを乱みだしたとして60人にんが逮捕たいほされた。ブリュッセルでロシアのルクオイル社しゃの貯蔵ちょぞう所しょに対たいする抗議こうぎ者しゃの試こころみは速すみやかに警察けいさつにより阻止そしされたが、11月16日にち、ワロン地域ちいきでいくつかの油田ゆでんがブロックされた。この運動うんどうは現在げんざい、2019年ねんのベルギーの選挙せんきょのため、「Mouvement citoyen belge」という名なの党とうをつくろうとしている。12月8日にち、シャルル・ミシェル首相しゅしょうの辞任じにんを求もとめる抗議こうぎ者しゃがバリケードをつくろうとした時とき、警察けいさつは催涙さいるいガス弾だんと高圧こうあつ放水ほうすい砲ほうを使つかってデモ隊たいを解散かいさんさせた。抗議こうぎ者しゃは、警察けいさつに石いしや火ひなどを投なげつけ、結局けっきょく約やく100人にんが逮捕たいほされた。

12月1日にち、オランダの都市としで少数しょうすうの「黄色きいろいベスト」のデモンストレーターたちが抗議こうぎした。さらなるデモは12月8日にちに行おこなわれ、平和へいわな抗議こうぎ者しゃがロッテルダムを行進こうしんした。

12月4日にち、セルビアの右派うはDveri党首とうしゅのリーダーであるBoškoObradovićは12月8日にちに高騰こうとうする燃料ねんりょう価格かかくに対たいする抗議こうぎデモを求もとめた。

ドイツでは「西洋せいようのイスラム化かに反対はんたいする欧州おうしゅう愛国あいこく者しゃ」を含ふくむ「反はん移民いみん団体だんたい」が黄色きいろいベストをシンボルとして採用さいようした。

12月5日にち、イラクで黄色きいろいベスト運動うんどうに触発しょくはつされた抗議こうぎ者しゃが、より多おおくの雇用こよう機会きかいとより良よいサービスを求もとめ、バスラでデモを起おこした。

リビアでは、リビア国民こくみん軍ぐん（元もとリビア軍ぐん将校しょうこうであるハリファ・ハフタルが主導しゅどうするリビア東部とうぶを支配しはい下かに置おく軍事ぐんじ組織そしき、2019年ねん4月がつ中ちゅうには国連こくれんからの支持しじを獲得かくとくし、国際こくさい的てきに承認しょうにんされているリビア国民こくみん合意ごうい政府せいふの本部ほんぶがある首都しゅとのトリポリを掌握しょうあくしようと進行しんこうを始はじめたが、国民こくみん合意ごうい政府せいふからの空爆くうばくなどの大だい規模きぼ攻撃こうげきを受うけ、世界せかい保健ほけん機関きかん（WHO）は死者ししゃが最低さいていでも213人にん以上いじょう、負傷ふしょう者しゃが1000人にん以上いじょう、国際こくさい移住いじゅう機関きかん（IOM）は避難ひなんの強制きょうせいをされた人ひとが25,000人にん以上いじょう出でたことを発表はっぴょうしていた）の進行しんこうをフランス政府せいふが支持しじしているとして、リビア国民こくみん合意ごうい政府せいふ内相ないしょうのファティ・バシャハが2019年ねん4月がつ19日にち、「犯罪はんざい者しゃハフタル」を支持しじする国家こっかとしてフランスを批判ひはんすると共ともにフランス政府せいふとの防衛ぼうえい連携れんけいを解除かいじょする考かんがえを示しめした。また、翌よく4月がつ20日はつかにはフランスのジレ・ジョーヌ運動うんどうと同様どうように黄色きいろいベストを着つけた人々ひとびとがトリポリでデモ隊たいを編成へんせいして抗議こうぎ活動かつどうを行おこなった。これに対たいし、フランス外務省がいむしょうは、リビア国民こくみん合意ごうい政府せいふによる主張しゅちょうのような事実じじつはないとし、大統領だいとうりょうのエマニュエル・マクロンもフランスは暫定ざんてい首相しゅしょうのファイズ・シラージュが主導しゅどうする「正統せいとうな政府せいふ」と、リビアにおける包括ほうかつ的てきな政治せいじ解決かいけつを目指めざした国連こくれんの仲介ちゅうかいを支持しじしていることを文書ぶんしょで発表はっぴょうした。

フランス国内こくないの反応はんのう

2018年ねん11月がつ下旬げじゅんの世論せろん調査ちょうさでは、この動うごきがフランスで広範こうはんに支持しじされていることが示しめされた（73％から84％に及およぶ）。12月1日にち、抗議こうぎ後ごに実施じっしされた世論せろん調査ちょうさでは、フランス人じんの72％が「黄色きいろいベスト」を支持しじし、85％がパリでの暴力ぼうりょくに反対はんたいしていることが分わかった。

トラック運転うんてん手しゅは、抗議こうぎ者しゃの標的ひょうてきにされ、業界ぎょうかいは公開こうかい書簡しょかんで政府せいふに不満ふまんを訴うったえた。2つの労働ろうどう組合くみあい（CGTとFO）は次つぎの日曜日にちようびにストライキを開始かいしするようにトラック運転うんてん手しゅに呼よびかけたが、政府せいふと組合くみあい員いんに相談そうだんした後のち、12月7日にちに呼よびかけを撤回てっかいした。

11月には政党せいとうの一ひとつである「人民じんみん共和きょうわ連合れんごう」が、フランス共和きょうわ国こく憲法けんぽう68条じょうを根拠こんきょにマクロン大統領だいとうりょうを免職めんしょくすることを呼よびかけている。

内務ないむ大臣だいじんのクリストフ・カスタネールは政敵せいてきの国民こくみん連合れんごう党首とうしゅマリーヌ・ル・ペンが11月24日にちにシャンゼリゼ通どおりへ行いくように抗議こうぎ者しゃたちを促うながしたとして批難ひなんした。これを受うけてル・ペンは、シャンゼリゼで人々ひとびとを集あつめることは政府せいふの責任せきにんであり、内務ないむ大臣だいじんが運動うんどうを信用しんようせず緊張きんちょうを高たかめようとしていると逆ぎゃくに非難ひなんし返がえした。

当初とうしょ、マクロン大統領だいとうりょうは燃料ねんりょう税ぜいの引ひき上あげが計画けいかく通どおりに進すすむと主張しゅちょうしていたが、2018年ねん12月4日にち、政府せいふは税金ぜいきんの引ひき上あげが保留ほりゅうになると発表はっぴょうした。エドゥアール・フィリップ首相しゅしょうは「国くにの統一とういつを危あやうくする税金ぜいきんはない」と述のべた。12月9日にち、エリザ宮みやに労働ろうどう組合くみあいや雇用こよう者しゃ団体だんたいの代表だいひょう者しゃを招まねき、12月10日にち、マクロン大統領だいとうりょうはテレビ演説えんぜつを行おこない、予定よていする措置そちを国民こくみんに告つげることが出来できた。演説えんぜつの中なかでマクロンは暴力ぼうりょくを非難ひなんしたが、抗議こうぎ者しゃの怒いかりを「深ふかく、そして多おおくの点てんで合法ごうほうである」と認みとめた。

12月13日にち、野党やとうがフィリップ内閣ないかくの対応たいおうを批判ひはんしフランス国民こくみん議会ぎかい（下院かいん）に不信任ふしんにん決議けつぎ案あんを提出ていしゅつしたが、採決さいけつの結果けっかは賛成さんせい70票ひょうにとどまり、可決かけつに必要ひつような289票ひょうに届とどかず否決ひけつされた。

アムネスティ・インターナショナルは、警察けいさつに「フランスの抗議こうぎ者しゃおよび高校生こうこうせいに対たいする過度かどの武力ぶりょく行使こうしの終結しゅうけつ」を求もとめた。

12月20日にちに締結ていけつされた協定きょうていにより警察けいさつの給与きゅうよは、他たの公共こうきょう機関きかん職員しょくいんとは異ことなり、月額げつがく120〜150ユーロ引ひき上あげられた。また、法ほう改正かいせい案あんの可決かけつにより年間ねんかん300ユーロのボーナスを受うけ取とった。 外交がいこう官かんニコラス・シャピュイ（フランス語ふらんすご版ばん）はル・モンド紙しに寄稿きこうし、これはおそらく最近さいきんの警察けいさつ組合くみあい選挙せんきょの85％の投票とうひょう率りつと（デモ対応たいおうのための）過重かじゅう勤務きんむによるものであると述のべた。

王おう党派とうはの参加さんか

複数ふくすうの派閥はばつ（レジティミスト、オルレアニスト）の王おう党派とうはの人間にんげん合計ごうけい200人にん近ちかくがこの黄色きいろいベスト運動うんどうに参画さんかくしている。

学生がくせいたちの運動うんどう

マクロンの教育きょういく改革かいかくと中学ちゅうがく卒業そつぎょう試験しけんバカロレア（baccalauréat）変更へんこうプランに怒おこる学生がくせいは、フランス全土ぜんどの都市としで抗議こうぎした。学生がくせいはこれらの改革かいかくが都市とし、都市とし近郊きんこう、農村のうそん地域ちいきの学生がくせい間あいだの高等こうとう教育きょういくへのアクセスの不平等ふびょうどうをさらに深刻しんこく化かさせることに懸念けねんを表明ひょうめいした。大学生だいがくせいからの報告ほうこくによれば、非ひEU諸国しょこくからの留学生りゅうがくせいの授業じゅぎょう料りょう引ひき上あげの計画けいかくを非難ひなんして、運動うんどうに加くわわった学生がくせいもいるという。

2018年ねん12月6日にち、マント＝ラ＝ジョリーの学校がっこうの外そとで140人にん以上いじょうもの学生がくせいが逮捕たいほされた。大量たいりょう逮捕たいほのビデオでは背後はいごに手てで組くみ、跪ひざまずかされた学生がくせいが映うつし出だされている。教育きょういく大臣だいじんジャン・ミシェル・ブランカール（Jean-Michel Blanquer）は、場面ばめんに「ショックを受うけた」が、それは「文脈ぶんみゃくの中なかで」見みる必要ひつようがあると述のべた。同日どうじつ、ラジオ局きょくFrance Bleuはフランス東部とうぶの町まちサン＝テティエンヌが「包囲ほういされている」と放送ほうそうした。このような状況じょうきょうのなか、サン＝テティエンヌ市長しちょうは、リヨン近郊きんこうでの「光ひかりの祭典さいてん（Fête des lumières）」が中止ちゅうしされ、地域ちいきの警察けいさつが警備けいびから解放かいほうされることをツイートした。

赤あかいスカーフ

2019年ねん1月がつ27日にち、パリでは「赤あかいスカーフ（フランス語ふらんすごではFoulards Rouges）」と呼よばれる黄色おうしょくのベストに対たいするカウンターデモが行おこなわれた。「赤あかいスカーフ」は他たのグループと共同きょうどうで「わたしたちは黄色きいろいベスト運動うんどうにより引ひき起おこされた暴力ぼうりょく的てきな空気くうきを非難ひなんします。わたしたちはまた絶たえ間まない言葉ことばの濫用らんようと脅おどしを拒絶きょぜつします」との声明せいめいを発表はっぴょうした。

反はんユダヤ主義しゅぎの再燃さいねん

2019年ねん2月がつ、フランス内務省ないむしょうは2018年ねんの反はんユダヤ主義しゅぎ関連かんれんの事件じけんが2017年ねんの311件けんから541件けんに74％増加ぞうかしたと発表はっぴょうした。マクロン大統領だいとうりょうはこの傾向けいこうを「容認ようにんできない」と非難ひなんし、「共和きょうわ国こくとその価値かち観かんの否定ひてい」だと閣僚かくりょうに語かたった。 反はんユダヤ主義しゅぎは黄色きいろいベスト運動うんどうの前まえから増加ぞうか傾向けいこうにあったが、アンチ・エスタブリッシュを標榜ひょうぼうし、金かねの価値かち観かんを否定ひていする運動うんどう者しゃによって、さらに増幅ぞうふくされたとみられている。

マクロン大統領だいとうりょう自身じしん、以前いぜんの経歴けいれき（ロスチャイルド銀行ぎんこう）を含ふくめて運動うんどうの標的ひょうてきとなっている。 最近さいきんの世論せろん調査ちょうさでは、「シオニスト・プロット（ユダヤ人じん陰謀いんぼう論ろん）」を信しんじている抗議こうぎ者しゃは全体ぜんたいのほぼ半分はんぶんにも上のぼることが示しめされた。

観光かんこうへの影響えいきょう

観光かんこう当局とうきょくは黄色きいろいベストが主要しゅよう都市としに及およぼす影響えいきょうを懸念けねんしていた。2018年ねん12月、パリ国際こくさい空港くうこうへ到着とうちゃくした乗客じょうきゃくは15〜10％減少げんしょうし、2019年ねんにはいってもチケットの予約よやく数すうが減少げんしょうを続つづけていた。統計とうけい事務所じむしょInseeは、フランス全土ぜんどでの宿泊しゅくはく数すうが第だい1四半期しはんきに2.5％、パリを中心ちゅうしんとしたイル＝ド＝フランス地域ちいき圏けんでは4.8％減少げんしょうしたと報告ほうこくした。「2019年ねん第だい1四半期しはんきに「黄色きいろいベスト」の影響えいきょうが出でた」と、ジャン＝バティスト・ルモワン観光かんこう大臣だいじんはジャーナリストに語かたった。しかし、それにもかかわらず観光かんこう収入しゅうにゅうは1月と2月がつとで増加ぞうかし続つづけていたとも述のべた。実際じっさい、運動うんどうの影響えいきょうにもかかわらず、2018年ねんフランスの観光かんこう客数きゃくすうは過去かこ最高さいこうを記録きろくした。

ドキュメンタリー映画えいが

黄色きいろいベスト運動うんどうに取材しゅざいしたドキュメンタリー映画えいが『暴力ぼうりょくをめぐる対話たいわ』が制作せいさくされた。

関連かんれん項目こうもく

• 五月ごがつ危機きき - 1968年ねんに起おきたフランスの大衆たいしゅう運動うんどう
• ニュイ・ドゥブ -2016年ねん4月がつに起おきたフランスの大衆たいしゅう運動うんどう
• 2005年ねんパリ郊外こうがい暴動ぼうどう事件じけん
• フランス革命かくめい

外部がいぶリンク

• demosphere - デモの予定よてい掲載けいさいサイト（フランス語ふらんすご）
• フランス：燃料ねんりょう価格かかく高騰こうとう等とうに対たいするデモ「黄色きいろいベスト運動うんどう」に関かんする注意ちゅうい喚起かんき - 外務省がいむしょう 海外かいがい安全あんぜんホームページ