AIM-9L。第 だい 3世代 せだい のサイドワインダー
QF-9J 標的 ひょうてき 機 き を
直撃 ちょくげき するAIM-9L
サイドワインダー (英語 えいご : Sidewinder )は、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく で開発 かいはつ された空 そら 対空 たいくう ミサイル 。アメリカ軍 ぐん での制式 せいしき 符号 ふごう はAIM-9 [注 ちゅう 1] 。
西側 にしがわ 諸国 しょこく の代表 だいひょう 的 てき な短距離 たんきょり 空 そら 対空 たいくう ミサイル として、広 ひろ く配備 はいび されている。なお「サイドワインダー」というニックネームは、発射 はっしゃ すると独特 どくとく の蛇行 だこう した軌跡 きせき を描 えが きながら飛行 ひこう する様子 ようす と、赤外線 せきがいせん を探知 たんち して攻撃 こうげき することから、ヨコバイガラガラヘビ にちなんで名 な づけられた。
AIM-9 サイドワインダーを発射 はっしゃ するF-16C
本 ほん ミサイルはアメリカ海軍 かいぐん の海軍 かいぐん 兵器 へいき 実験 じっけん ステーション (NOTS ) で開発 かいはつ されたが、海軍 かいぐん が開発 かいはつ を指示 しじ ・要請 ようせい したわけではなく、科学 かがく 者 しゃ たちが行 おこな っていた独自 どくじ の研究 けんきゅう ・開発 かいはつ 活動 かつどう に由来 ゆらい する。このために使 つか える予算 よさん は少 すく なく、また軍 ぐん の上層 じょうそう 部 ぶ に認 みと められるまでには時間 じかん がかかったが、潤沢 じゅんたく な資源 しげん を投入 とうにゅう して開発 かいはつ された重量 じゅうりょう 級 きゅう のミサイルよりも優 すぐ れていることが認知 にんち され、開発 かいはつ ・配備 はいび は加速 かそく されていった。
誘導 ゆうどう 方式 ほうしき は、基本 きほん 的 てき にはレティクル追尾 ついび 方式 ほうしき の赤外線 せきがいせん 誘導 ゆうどう を用 もち いている。AIM-9L型 がた の前 まえ は高温 こうおん のエンジン 部品 ぶひん から発 はっ せられる赤外線 せきがいせん を捉 とら えて誘導 ゆうどう する方式 ほうしき であったため、敵 てき 後方 こうほう からのロックオン しかできなかった。また、単純 たんじゅん に高温 こうおん の目標 もくひょう に対 たい して誘導 ゆうどう されるため、フレア を撒 ま いたり太陽 たいよう に向 む かって飛行 ひこう することによって回避 かいひ される可能 かのう 性 せい が高 たか かった。しかしL型 がた 以降 いこう は全 ぜん 方位 ほうい からのロックオンが可能 かのう となり、フレアなどによって回避 かいひ される可能 かのう 性 せい も下 さ がった。またその後 ご 、AIM-9Xでは赤外線 せきがいせん 画像 がぞう 誘導 ゆうどう に移行 いこう した。また、空 そら 対空 たいくう 型 がた の他 ほか にも、地 ち 対空 たいくう 、艦 かん 対空 たいくう という派生 はせい 型 がた も作 つく られた。
AIM-9Bのローレロン
熱 ねつ 誘導 ゆうどう ロケット計画 けいかく [ 編集 へんしゅう ]
本 ほん ミサイルは、1945年 ねん にチャイナ・レイクの海軍 かいぐん 兵器 へいき 実験 じっけん ステーション (NOTS ) のウィリアム・マクリーン 博士 はかせ が行 おこな っていた、空 そら 対空 たいくう ロケット弾 だん の火器 かき 管制 かんせい についての研究 けんきゅう を端緒 たんしょ とする。マクリーン博士 はかせ はかつてカリフォルニア工科 こうか 大学 だいがく でBAT など精密 せいみつ 誘導 ゆうどう 兵器 へいき の開発 かいはつ に携 たずさ わっており、その経験 けいけん を踏 ふ まえて、ロケットを照準 しょうじゅん して発射 はっしゃ するよりも、むしろ自 みずか ら目標 もくひょう に向 む けて誘導 ゆうどう するミサイルを志向 しこう するようになった。1947年 ねん 11月には既 すで に概念 がいねん 案 あん が作成 さくせい されており、この時点 じてん で既 すで に、赤外線 せきがいせん 誘導 ゆうどう とジャイロ安定 あんてい 化 か という、後 ご のサイドワインダーの特徴 とくちょう が確立 かくりつ されていた。しかしマクリーン博士 はかせ は火器 かき 管制 かんせい 装置 そうち の担当 たんとう であって、ミサイルの開発 かいはつ は本務 ほんむ とはされていなかったために、使 つか える資源 しげん は限 かぎ られていた。1948年 ねん 1月 がつ には、NOTSを所管 しょかん する武器 ぶき 局 きょく (BuOrd ) から1万 まん 3000ドルの予算 よさん が配分 はいぶん されたものの、これはあっという間 ま に使 つか い果 は たされ、開発 かいはつ 作業 さぎょう は主 おも に科学 かがく 者 しゃ ・技術 ぎじゅつ 者 しゃ のボランティアに頼 たよ っていた。
1949年 ねん 6月 がつ 、マクリーン博士 はかせ は「熱 ねつ 誘導 ゆうどう ロケット」(Heat homing rocket )として正式 せいしき な提案 ていあん 書 しょ を作成 さくせい した。NOTSを所管 しょかん する武器 ぶき 局 きょく (BuOrd ) のショッフェル局長 きょくちょう とパーソンズ副 ふく 局長 きょくちょう はこの計画 けいかく を支援 しえん することにしたが、誘導 ゆうどう ミサイルの開発 かいはつ 部門 ぶもん が予算 よさん を手放 てばな さなかったために、ミサイルではなく知能 ちのう 化 か 信管 しんかん であるという理屈 りくつ をつけて、信管 しんかん の開発 かいはつ 部門 ぶもん から予算 よさん を流用 りゅうよう して充当 じゅうとう した。しかし、当時 とうじ 、信管 しんかん の機密 きみつ 保持 ほじ は極 きわ めて厳 いかめ しかったために、熱 ねつ 誘導 ゆうどう ロケット計画 けいかく について知 し ることができる人 ひと が減 へ ってしまうという問題 もんだい もあった。当時 とうじ 、NOTSでは、BuOrdの所管 しょかん 下 か でテリア およびタロス 艦 かん 対空 たいくう ミサイル 、航空局 こうくうきょく (BuAer ) の所管 しょかん 下 か でスパロー 空 そら 対空 たいくう ミサイル の開発 かいはつ が進 すす められており、マクリーン博士 はかせ は、これらの正式 せいしき な計画 けいかく が潤沢 じゅんたく に資源 しげん を消費 しょうひ しているのを横目 よこめ に開発 かいはつ を進 すす めていった。
サイドワインダー計画 けいかく [ 編集 へんしゅう ]
1950年 ねん 11月27日 にち 、熱 ねつ 誘導 ゆうどう ロケットは、サイドワインダー計画 けいかく として正式 せいしき に発足 ほっそく した。1951年 ねん 5月 がつ 、マクリーン博士 はかせ は、艦隊 かんたい 配備 はいび に向 む けてサイドワインダーを開発 かいはつ 段階 だんかい に移行 いこう させるよう海軍 かいぐん に訴 うった えたが、不首尾 ふしゅび におわった。しかし同年 どうねん 10月 がつ 、当初 とうしょ から計画 けいかく を後援 こうえん してきたBuOrd副 ふく 局長 きょくちょう パーソンズ少将 しょうしょう は、計画 けいかく の進捗 しんちょく 状 じょう 況 きょう を自 みずか ら確認 かくにん して、開発 かいはつ 段階 だんかい への移行 いこう を承認 しょうにん するとともに、同 どう 年度 ねんど で350万 まん ドルの予算 よさん を配分 はいぶん した。この巨額 きょがく の予算 よさん 配分 はいぶん で、計画 けいかく は一気 いっき に加速 かそく された。
しかしその後 ご も、NOTS外部 がいぶ の後援 こうえん 者 しゃ が乏 とぼ しいために、計画 けいかく は度々 たびたび 逆風 ぎゃくふう に晒 さら された。1952年 ねん 12月には、アメリカのミサイル開発 かいはつ の統括 とうかつ 責任 せきにん 者 しゃ だったケラー によって開発 かいはつ 中止 ちゅうし が決定 けってい される一幕 ひとまく もあったが、幸 さいわ いにも説得 せっとく を受 う け入 い れて、48時間 じかん 以内 いない に決定 けってい は撤回 てっかい された。1953年 ねん 9月11日 にち には最初 さいしょ の標的 ひょうてき 機 き 撃墜 げきつい を記録 きろく した。
1955年 ねん 7月 がつ から12月 がつ にかけて行 おこな われたBuOrdによる評価 ひょうか 試験 しけん を合格 ごうかく したのち、1956年 ねん 1月 がつ より、艦隊 かんたい 配備 はいび に向 む けた試験 しけん が開始 かいし された。そして1956年 ねん 7月 がつ 14日 にち 、F9F-8を運用 うんよう する第 だい 46飛行 ひこう 隊 たい (VA-46 ) が、サイドワインダーの運用 うんよう 能力 のうりょく を有 ゆう する最初 さいしょ の部隊 ぶたい となった。また空軍 くうぐん も、ファルコン 空 そら 対空 たいくう ミサイルの赤外線 せきがいせん 誘導 ゆうどう 版 ばん の開発 かいはつ が難航 なんこう していたことから、サイドワインダーの導入 どうにゅう を検討 けんとう するようになった[注 ちゅう 2] 。空軍 くうぐん 独自 どくじ の追加 ついか 試験 しけん を経 へ て、1956年 ねん 末 まつ までに、空軍 くうぐん もサイドワインダーを実戦 じっせん 配備 はいび した。
なお製造元 せいぞうもと としては、当初 とうしょ からフィルコ 社 しゃ が担当 たんとう してきたほか、海軍 かいぐん が保安 ほあん 上 じょう の理由 りゆう から複数 ふくすう 製造元 せいぞうもと からの調達 ちょうたつ を要望 ようぼう したため、1956年 ねん よりゼネラル・エレクトリック も参入 さんにゅう した。またその後 ご 、1964年 ねん からはレイセオン 社 しゃ も参入 さんにゅう した。
第 だい 1世代 せだい (AIM-9A/B)[ 編集 へんしゅう ]
試験 しけん に供 きょう されていた先行 せんこう 生産 せいさん 型 がた はサイドワインダー1 と称 しょう されており、約 やく 3,500発 はつ が生産 せいさん された。その後 ご 、1957年 ねん より改良 かいりょう 型 がた のサイドワインダー1A の生産 せいさん が開始 かいし された。
開発 かいはつ 予算 よさん が限 かぎ られていたこともあって、サイドワインダー1は、ロケットモーターを含 ふく む弾 たま 体 たい の基本 きほん 設計 せっけい の多 おお くをHPAG (High Performance Air-to-Ground Rockets )から導入 どうにゅう している。しかし一方 いっぽう で、非 ひ 誘導 ゆうどう ロケット弾 だん ではなく誘導 ゆうどう ミサイルであることから、誘導 ゆうどう 装置 そうち や動 どう 翼 つばさ 、トルクバランス式 しき サーボ機構 きこう など、原型 げんけい にはない要素 ようそ も多 おお く組 く み込 こ まれた。サイドワインダー1の誘導 ゆうどう 装置 そうち では、硫化 りゅうか 鉛 なまり (PbS)フォトレジスタ による非 ひ 冷却 れいきゃく 型 がた の赤外線 せきがいせん センサ を採用 さいよう しており、交戦 こうせん エンベロープは目標 もくひょう の後方 こうほう に限 かぎ られた。
なお動 どう 翼 つばさ は前 ぜん 翼 つばさ として組 く み込 こ まれたが、これは、サイドワインダーを分解 ぶんかい した状態 じょうたい で空母 くうぼ の弾薬 だんやく 庫 こ に収容 しゅうよう することを想定 そうてい した措置 そち であった。当時 とうじ の空母 くうぼ の弾薬 だんやく ホイストが長 なが さ76インチ (1.9 m)までの弾薬 だんやく しか扱 あつか えず、全長 ぜんちょう 108インチ (2.7 m)になる予定 よてい のサイドワインダーは少 すく なくとも2つに分解 ぶんかい する必要 ひつよう があった。従 したが って、もし動 どう 翼 つばさ を尾翼 びよく として組 く み込 こ んだ場合 ばあい 、ミサイルを分解 ぶんかい ・再 さい 組 く み立 た てするたびにミサイル先端 せんたん 部 ぶ の誘導 ゆうどう 装置 そうち から動 どう 翼 つばさ までの配線 はいせん をつなぎ直 なお さねばならず、信頼 しんらい 性 せい の面 めん で不安 ふあん があった。一方 いっぽう 、前 ぜん 翼 つばさ としておけば、誘導 ゆうどう 装置 そうち と同 おな じブロックに組 く み込 こ めるため、この手間 てま を省 はぶ くことができた。
また後部 こうぶ 安定 あんてい 翼 つばさ には、「ローレロン 」(rolleron)と呼 よ ばれる新 あたら しい工夫 くふう が盛 も り込 こ まれた。これは、固定 こてい 式 しき の後部 こうぶ 安定 あんてい 翼 つばさ の翼 つばさ 端 はし に設 もう けられた回転 かいてん 体 たい とその動 どう 翼 つばさ 機構 きこう であり、気流 きりゅう によって回転 かいてん 体 たい が高速 こうそく 回転 かいてん した状態 じょうたい でミサイルがロールするとその動 うご きに応 おう じて動 どう 翼 つばさ がジャイロ効果 こうか により動 うご き、ロールを修正 しゅうせい してミサイルの姿勢 しせい を保持 ほじ するように働 はたら く。
またサイドワインダー1Aは、ジンバルやローレロンなどをアップグレードするとともに、誘導 ゆうどう 時間 じかん を倍増 ばいぞう させ、高 こう 高度 こうど での性能 せいのう を向上 こうじょう させている。本 ほん 機 き で搭載 とうさい されたチオコール Mk.17固体 こたい 燃料 ねんりょう ロケット は、2.2秒間 びょうかん 燃焼 ねんしょう して、36,475ニュートン秒 びょう (8,200 lb-sec)の力 ちから 積 せき を生 しょう じることができた。高 こう 高度 こうど であればマッハ 1.6で2.6海里 かいり (4.8 km)飛翔 ひしょう することができたが、低 てい 高度 こうど での飛 ひ 距離 きょり は4,000フィート (1,200 m)まで短縮 たんしゅく した。
サイドワインダー1Aは、アメリカ海軍 かいぐん ではAAM-N-7、空軍 くうぐん ではGAR-8として制式 せいしき 化 か された。また1963年 ねん に命名 めいめい 規則 きそく が改訂 かいてい されると、サイドワインダー1はAIM-9A 、1AはAIM-9B と称 しょう されるようになった。
また1956年 ねん に台湾 たいわん (中華民国 ちゅうかみんこく )に提供 ていきょう されたのを端緒 たんしょ として、同盟 どうめい 国 こく への提供 ていきょう も開始 かいし された。台湾 たいわん 空軍 くうぐん は約 やく 360発 はつ のサイドワインダーの提供 ていきょう を受 う けて、100機 き のF-86F にこれを搭載 とうさい できるよう改修 かいしゅう を施 ほどこ した。金 きむ 門 もん 砲戦 ほうせん (第 だい 2次 じ 台湾 たいわん 海峡 かいきょう 危機 きき )のさなかの1958年 ねん 9月 がつ 24日 にち に発生 はっせい した、台湾 たいわん 空軍 くうぐん の38機 き のF-86Fと中国 ちゅうごく 空軍 くうぐん の53機 き のMiG-17 が激突 げきとつ した「9・24温州 うんしゅう 湾 わん 空戦 くうせん 」においてこれらは実戦 じっせん 投入 とうにゅう され、6発 はつ 発射 はっしゃ されたサイドワインダー1Aが4機 き のMiG-17を撃墜 げきつい した[13] 。
最終 さいしゅう 的 てき に、95,000発 はつ 以上 いじょう のAIM-9Bが生産 せいさん された。内訳 うちわけ は約 やく 40,000発 はつ がフィルコ社 しゃ 、約 やく 40,000発 はつ がゼネラル・エレクトリック社 しゃ 、そして約 やく 15,000発 はつ が西 にし ドイツのBGT社 しゃ であった。
またAIM-9Bはいくつかの国 くに で模倣 もほう された。イスラエル のシャフリル 1 や、日本 にっぽん の69式 しき 空 そら 対空 たいくう 誘導 ゆうどう 弾 だん (AAM-1)が一 いち 例 れい である。このほか、特 とく に有名 ゆうめい なのがソビエト連邦 れんぽう のR-3 (AA-2「アトール」)である。一説 いっせつ には、金 きむ 門 もん 砲戦 ほうせん の最中 さいちゅう に人民 じんみん 解放 かいほう 軍機 ぐんき に命中 めいちゅう したサイドワインダーの不発 ふはつ 弾 だん が人民 じんみん 解放 かいほう 軍 ぐん に回収 かいしゅう され、ソビエト連邦 れんぽう に提供 ていきょう されてリバースエンジニアリング に供 きょう されたとも言 い われる。ただし旧 きゅう ソ連 それん (リトアニア)の航空 こうくう 評論 ひょうろん 家 か であるエフィーム・ゴードン (英語 えいご 版 ばん ) は、中国 ちゅうごく を領空 りょうくう 侵犯 しんぱん して撃墜 げきつい されたアメリカ海軍 かいぐん 機 き の残骸 ざんがい から引 ひ き揚 あ げられたとする説 せつ を採用 さいよう している。
AIM-9B(最 さい 上段 じょうだん )、AIM-9D(中段 ちゅうだん )、AIM-9C(最 さい 下段 げだん )
サイドワインダー1A(AIM-9B)は、サイドワインダー1(AIM-9A)と比 くら べて長足 ちょうそく の進歩 しんぽ を遂 と げ、同 どう 時期 じき のファルコンやスパローより明 あき らかに優 すぐ れているとはいっても、一義的 いちぎてき には対 たい 爆撃 ばくげき 機 き 用 よう の兵器 へいき であって、ドッグファイト での使用 しよう はあくまで二義的 にぎてき なものにすぎなかった。このことから、アメリカ海軍 かいぐん と空軍 くうぐん 向 む けに、それぞれ、第 だい 2世代 せだい のサイドワインダーの開発 かいはつ が開始 かいし された。
アメリカ海軍 かいぐん (-9C/D/G/H) [ 編集 へんしゅう ]
海軍 かいぐん 向 む けに開発 かいはつ されたのがサイドワインダー-IC であった。サイドワインダー-ICでは誘導 ゆうどう 方式 ほうしき が再 さい 検討 けんとう され、赤外線 せきがいせん 誘導 ゆうどう 装置 そうち の改良 かいりょう 型 がた (infrared alternative head, IRAH )とともに、セミアクティブ・レーダー・ホーミング 装置 そうち (semiactive radar alternative head, SARAH )も開発 かいはつ された。IRAHを搭載 とうさい したモデルはAIM-9D 、SARAHを搭載 とうさい したモデルはAIM-9C として制式 せいしき 化 か されており、誘導 ゆうどう 装置 そうち 以外 いがい は基本 きほん 的 てき に同一 どういつ の設計 せっけい であった。
AIM-9Dでは、当初 とうしょ はセレン化 か 鉛 なまり (PbSe)を用 もち いた赤外線 せきがいせん センサに移行 いこう する予定 よてい だったが、開発 かいはつ に失敗 しっぱい したことから、結局 けっきょく は、AIM-9Bと同様 どうよう の硫化 りゅうか 鉛 なまり 素子 そし を用 もち いつつも、窒素 ちっそ を冷媒 れいばい としたジュール=トムソン効果 こうか による冷却 れいきゃく 装置 そうち を導入 どうにゅう した改良 かいりょう 型 がた となった。これによって熱 ねつ 雑音 ざつおん を低減 ていげん して感度 かんど を向上 こうじょう させ、更 さら に検知 けんち 波長 はちょう もやや長波 ちょうは 長 ちょう 化 か された。またレティクルの回転 かいてん 速度 そくど を-9Bの70ヘルツから125ヘルツに向上 こうじょう させているほか、センサー窓 まど の素材 そざい は、ガラスからフッ化 か マグネシウム に変更 へんこう された。なお空気 くうき 抵抗 ていこう を低減 ていげん するために先端 せんたん をオジーブ状 じょう (丸 まる みを帯 お びた円錐 えんすい 形 がた )に変更 へんこう した。
一方 いっぽう 、AIM-9Cは、サイドワインダーに全天候 ぜんてんこう ・全 ぜん 方位 ほうい 交戦 こうせん 能力 のうりょく を付与 ふよ する試 こころ みであった。当時 とうじ 、艦隊 かんたい にはまだエセックス級 きゅう 航空 こうくう 母艦 ぼかん が残 のこ っていたが、同級 どうきゅう の艦上 かんじょう 戦闘 せんとう 機 き として搭載 とうさい されていたF-8 は、空 そら 対空 たいくう ミサイルとしてはサイドワインダーしか搭載 とうさい できなかったことから、交戦 こうせん エンベロープの拡大 かくだい が求 もと められたものであった。その後 ご 、エセックス級 きゅう ・F-8艦上 かんじょう 戦闘 せんとう 機 き の退役 たいえき とともにAIM-9Cの運用 うんよう も終了 しゅうりょう したが、射 い 耗されずに残 のこ ったミサイルは、後 のち にサイドアーム対 たい レーダーミサイル に改修 かいしゅう されている。
またAIM-9C/Dでは、このような誘導 ゆうどう 装置 そうち の改良 かいりょう に加 くわ えて、より強力 きょうりょく なMk.36固体 こたい 燃料 ねんりょう ロケット を採用 さいよう して動 どう 翼 つばさ を大型 おおがた 化 か するとともに、弾頭 だんとう も重量 じゅうりょう 25ポンド、コンティニュアス・ロッド型 がた で危害 きがい 半径 はんけい 17フィート (5.2 m)のものに変更 へんこう された。これによって射程 しゃてい は11.5海里 かいり (21.3 km)に延伸 えんしん され、また特 とく に誘導 ゆうどう 装置 そうち の改良 かいりょう と動 どう 翼 つばさ の大型 おおがた 化 か によって交戦 こうせん エンベロープが拡大 かくだい されたことで、ドッグファイトでの有用 ゆうよう 性 せい が一気 いっき に向上 こうじょう した。
AIM-9Dは5,000発 はつ 生産 せいさん される予定 よてい だったが、実際 じっさい には1,850発 はつ が生産 せいさん されたところで改良 かいりょう 型 がた のAIM-9G に切 き り替 か えられた。これはSEAM(Sidewinder Expanded Acquisition Mode )を実装 じっそう しており、ミサイルのシーカーを、戦闘 せんとう 機 き の火器 かき 管制 かんせい レーダーに追従 ついしょう させて動 うご かすことができる。
またAIM-9Gは部分 ぶぶん 的 てき に半導体 はんどうたい 素子 そし 化 か されていたが、1972年 ねん には、更 さら にその範囲 はんい を拡大 かくだい したAIM-9H の艦隊 かんたい 配備 はいび が開始 かいし された。このモデルでは、翼 つばさ をダブルデルタ化 か するとともに、シーカーの追尾 ついび 角速度 かくそくど も増強 ぞうきょう した。なおAIM-9Hでは、アンチモン 化 か インジウム (InSb)を用 もち いた赤外線 せきがいせん センサの導入 どうにゅう も検討 けんとう されたものの、これはあまりに冒険 ぼうけん 的 てき であると判断 はんだん されたために見送 みおく られ、後 ご のAIM-9L を待 ま つことになった。
アメリカ空軍 くうぐん (-9E/J/N) [ 編集 へんしゅう ]
アメリカ空軍 くうぐん は、海軍 かいぐん と同 おな じミサイルを導入 どうにゅう することを良 い しとせず、フィルコ-フォード社 しゃ に独自 どくじ の改良 かいりょう 型 がた を発注 はっちゅう した。これは弾 たま 体 たい の基本 きほん 設計 せっけい やロケットモーター、弾頭 だんとう はAIM-9Bのものを踏襲 とうしゅう しつつ、新 あたら しい誘導 ゆうどう 装置 そうち と動 どう 翼 つばさ を組 く み込 こ んだもので、AIM-9E として制式 せいしき 化 か された。
AIM-9Eは、赤外線 せきがいせん センサの冷却 れいきゃく 措置 そち を導入 どうにゅう したという点 てん ではAIM-9Dと同様 どうよう だが、こちらではペルティエ素子 そし による冷却 れいきゃく が採用 さいよう された。また、シーカーの追尾 ついび 角速度 かくそくど も16.5度 ど /秒 びょう に増強 ぞうきょう されている。AIM-9Eは、5,000発 はつ 以上 いじょう が-9Bから改修 かいしゅう された。
また1972年 ねん からは小 しょう 改正 かいせい 型 がた のAIM-9J の配備 はいび が開始 かいし された。これは海軍 かいぐん のAIM-9Hと同様 どうよう に半導体 はんどうたい 素子 そし 化 か を進 すす めるとともに動 どう 翼 つばさ のアクチュエータを強化 きょうか し、ロケットモータの燃焼 ねんしょう 時間 じかん を延長 えんちょう したもので、-9B/Eからの改修 かいしゅう 分 ぶん と合 あ わせて、約 やく 6,700発 はつ が生産 せいさん された。更 さら に1973年 ねん からは、シーカーの動作 どうさ を改善 かいぜん するプリント基板 きばん 回路 かいろ を導入 どうにゅう したAIM-9N (AIM-9J-1とも)が開発 かいはつ され、約 やく 7,000発 はつ が生産 せいさん された。
ただしこれらの空軍 くうぐん 版 ばん サイドワインダーの成績 せいせき は、必 かなら ずしも良好 りょうこう ではなかった。第 だい 7空軍 くうぐん では海軍 かいぐん から借用 しゃくよう したAIM-9Gの導入 どうにゅう を検討 けんとう したものの、赤外線 せきがいせん センサの冷却 れいきゃく 方式 ほうしき が異 こと なるためにランチャーの互換 ごかん 性 せい がなく、実現 じつげん しなかった。
アメリカ国外 こくがい (-9F) [ 編集 へんしゅう ]
西 にし ドイツ のBGT 社 しゃ によって開発 かいはつ された改良 かいりょう 型 がた が、AIM-9F (AIM-9B FGW.2とも)である。これは、アメリカ海軍 かいぐん のAIM-9Dと同様 どうよう にジュール=トムソン効果 こうか による赤外線 せきがいせん センサの冷却 れいきゃく 措置 そち を導入 どうにゅう しているが、こちらでは、冷媒 れいばい として二酸化炭素 にさんかたんそ が採用 さいよう されている。AIM-9Fは1969年 ねん より運用 うんよう を開始 かいし し、延 の べ15,000発 はつ が生産 せいさん された。ヨーロッパ で運用 うんよう されていたAIM-9Bの大半 たいはん が-9F仕様 しよう に改装 かいそう されたとされている。
諸 しょ 元 もと 表 ひょう
AIM-9D
AIM-9E
AIM-9J
画像 がぞう
全長 ぜんちょう
2.87m(113in)
3.00m(118in)
3.05m(120in)
直径 ちょっけい
12.7 cm(5in)
翼 つばさ 幅 はば
0.63m(24.8in)
0.56m(22in)
0.58m(22.8in)
重量 じゅうりょう
88 kg(195 lb)
74 kg(164 lb)
77 kg(170 lb)
射程 しゃてい
18 km(9.7 nm)
4.2 km(2.3 nm)
18 km(9.7 nm)
速度 そくど
マッハ2.5+
弾頭 だんとう
11 kg(25 lb)MK 48
4.5 kg(10 lb)
Mk.36 ロケット・モーター [ 編集 へんしゅう ]
出典 しゅってん :ATKランチ・システムズ公式 こうしき サイト[17]
型式 けいしき :Mk.36(オール・ブースト・スラスト・プロファイル)
製造 せいぞう 者 しゃ :ATKランチ・システムズ・グループ (旧 きゅう チオコール )社 しゃ
全長 ぜんちょう :1.80m(71.0in)
直径 ちょっけい :0.127m(5.0in)
重量 じゅうりょう :44.91 kg(99 lb)
推進 すいしん 剤 ざい :低 てい 煙 けむり HTPB
ケース材質 ざいしつ :4130スチール
絶縁 ぜつえん 器 き :R-184
ノズル:グラス・フェノール
点火 てんか 装置 そうち :発熱 はつねつ 原 ばら
運用 うんよう 温度 おんど :−65°F - 160°F
保管 ほかん 温度 おんど :−65°F - 160°F
第 だい 3世代 せだい サイドワインダーの開発 かいはつ は、ベトナム戦争 せんそう での航空 こうくう 戦 せん の分析 ぶんせき を土台 どだい として着手 ちゃくしゅ された。上記 じょうき のように、空軍 くうぐん は自 みずか らのサイドワインダーに不満足 ふまんぞく だったこともあって、追尾 ついび 角 かく の広角 こうかく 化 か やヘッドマウントディスプレイ 、推力 すいりょく 偏向 へんこう などといった新 あたら しい技術 ぎじゅつ の導入 どうにゅう を志向 しこう した。サイドワインダー系列 けいれつ では、当時 とうじ 設計 せっけい されていたAIM-9Kで追尾 ついび 角 かく の広角 こうかく 化 か を試 こころ みていた程度 ていど だったことから、空軍 くうぐん は、これらの技術 ぎじゅつ の一部 いちぶ を導入 どうにゅう した極 きわ めて革新 かくしん 的 てき な空 そら 対空 たいくう ミサイルであるAIM-82 の開発 かいはつ に着手 ちゃくしゅ した。
一方 いっぽう 、海軍 かいぐん も、これらの新 しん 技術 ぎじゅつ のほとんどを導入 どうにゅう したAIM-95 の開発 かいはつ を試 こころ みる一方 いっぽう 、より漸進 ぜんしん 的 てき な施策 しさく として、第 だい 2世代 せだい サイドワインダーの最終 さいしゅう 発達 はったつ 型 がた にあたるAIM-9Hを発展 はってん させたAIM-9H PIP(Product Improvement Program)の開発 かいはつ を進 すす めていた。これは、AIM-9Hの開発 かいはつ 段階 だんかい で検討 けんとう されていたようにアンチモン化 か インジウム (InSb)検知 けんち 器 き を導入 どうにゅう することで、全 ぜん 方位 ほうい 交戦 こうせん 能力 のうりょく (all-aspect capability, ALASCA)を獲得 かくとく することを主眼 しゅがん としたものであった。
その後 ご 、AIM-82・95で検討 けんとう されていたような先進 せんしん 的 てき な技術 ぎじゅつ はあまりに冒険 ぼうけん 的 てき であると判断 はんだん され、また海軍 かいぐん ・空軍 くうぐん のミサイルの統合 とうごう 化 か が望 のぞ まれていたこともあって、1975年 ねん 1月 がつ より、AIM-9H PIPから発展 はってん したAIM-9L について海軍 かいぐん ・空軍 くうぐん 合同 ごうどう での評価 ひょうか 試験 しけん が開始 かいし された。
AIM-9L(上段 じょうだん )とAIM-9M(下段 げだん )
InSb素子 そし を用 もち いた量子 りょうし 型 がた 検知 けんち 器 き は、第 だい 1・2世代 せだい サイドワインダーで使 つか われてきたPbS素子 そし による熱型 ねっけい 検知 けんち 器 き よりも波長 はちょう が長 なが い中 なか 波長 はちょう 赤 あか 外 がい (MWIR)帯域 たいいき を検知 けんち することができた。当初 とうしょ の計画 けいかく では、断熱 だんねつ 圧縮 あっしゅく で加熱 かねつ された機首 きしゅ 部 ぶ を検知 けんち できるものと期待 きたい されていたが、検討 けんとう の結果 けっか 、それよりも、むしろエンジンからの排気 はいき (プルーム)を検知 けんち して、その前方 ぜんぽう を狙 ねら うように誘導 ゆうどう するほうが有望 ゆうぼう であると判断 はんだん された。
このような誘導 ゆうどう 方式 ほうしき の開発 かいはつ には困難 こんなん が伴 ともな い、試射 ししゃ の際 さい に標的 ひょうてき 機 き の前方 ぜんぽう を横切 よこぎ ってしまう事態 じたい も発生 はっせい したが、やや先行 せんこう してスティンガー を開発 かいはつ した際 さい に同 おな じ問題 もんだい に直面 ちょくめん し、克服 こくふく していたジェネラル・ダイナミクス 社 しゃ の技術 ぎじゅつ 陣 じん からの情報 じょうほう 提供 ていきょう も受 う けて、解決 かいけつ された。またレティクル方式 ほうしき も変更 へんこう されて、周波数 しゅうはすう 変調 へんちょう (FM)信号 しんごう も取 と り出 だ せる形式 けいしき となった。
熱型 ねっけい 検知 けんち 器 き は冷却 れいきゃく せずとも動作 どうさ は可能 かのう だが、量子 りょうし 型 がた 検知 けんち 器 き では冷却 れいきゃく が必須 ひっす である。冷却 れいきゃく 方式 ほうしき はAIM-9Hと同様 どうよう にジュール=トムソン効果 こうか を利用 りよう したものだが、冷媒 れいばい はアルゴン に変更 へんこう された。この赤外線 せきがいせん センサを中核 ちゅうかく とした誘導 ゆうどう ・制御 せいぎょ ユニットはDSQ-29と称 しょう されている。
弾頭 だんとう としては、より強力 きょうりょく な重量 じゅうりょう 9.4kgのWDU-17 ABF(環状 かんじょう 爆風 ばくふう 破片 はへん 弾頭 だんとう )が採用 さいよう されたほか、DSU-21によるレーザー近接 きんせつ 信管 しんかん により、危害 きがい 半径 はんけい はさらに拡大 かくだい した。推進 すいしん 装置 そうち は、AIM-9Hと同 おな じMk.36 シリーズの固体 こたい ロケットで、改良 かいりょう 型 がた のMod.7または8を採用 さいよう している。AIM-9Hで採用 さいよう されたダブルデルタ型 がた の動 どう 翼 つばさ の効果 こうか と相 あい まって、実 じつ に35Gでの機動 きどう が可能 かのう となった。
上記 じょうき のように誘導 ゆうどう 装置 そうち の開発 かいはつ に難渋 なんじゅう したこともあったが、これらの問題 もんだい が解決 かいけつ されると、本 ほん ミサイルは「並外 なみはず れて殺傷 さっしょう 力 りょく が強 つよ い」と評 ひょう されるようになり、開発 かいはつ 者 しゃ の一人 ひとり であるトーマス・アムリーは端 はし 的 てき に殺人 さつじん 光線 こうせん と述 の べた。海軍 かいぐん のシミュレーションでは、単発 たんぱつ 撃破 げきは 確 かく 率 りつ (SSKP) は0.50と見積 みつ もられた[注 ちゅう 3] 。
生産 せいさん は1976年 ねん から開始 かいし され、アメリカ のフィルコ・フォード社 しゃ 、レイセオン 社 しゃ の他 ほか に、日本 にっぽん の三菱重工業 みつびしじゅうこうぎょう 、ヨーロッパ のBGT社 しゃ (西 にし ドイツのほか、イギリスとノルウェーも生産 せいさん に参加 さんか した)でも行 おこな われて、合計 ごうけい 5,500発 はつ 以上 いじょう が生産 せいさん された。アメリカ生産 せいさん 分 ぶん の一部 いちぶ は1982年 ねん のフォークランド紛争 ふんそう でイギリス軍 ぐん に提供 ていきょう され、87%という高 たか い命中 めいちゅう 率 りつ を記録 きろく している。
AIM-9Lは極 きわ めて優 すぐ れたミサイルではあったが、上記 じょうき の経緯 けいい のために急 いそ いで計画 けいかく を推進 すいしん した部分 ぶぶん があった。このため、まもなく小 しょう 改正 かいせい 型 がた (AIM-9L PIP)の計画 けいかく がスタートし、後 のち にAIM-9M となった。これはクラッター抑制 よくせい 能力 のうりょく とIRCCM能力 のうりょく を強化 きょうか するとともに、冷却 れいきゃく 装置 そうち をスターリング式 しき に変更 へんこう し、ロケット・モーターも低 てい 排煙 はいえん 型 がた に変更 へんこう したものであった。生産 せいさん は1981年 ねん から開始 かいし されており、後 のち にIRCCM能力 のうりょく を更 さら に強化 きょうか したAIM-9Lプラス(AIM-9M-8/9)への改修 かいしゅう キットも調達 ちょうたつ された。
AIM-9Mの小 しょう 改正 かいせい 型 がた (AIM-9M PIP)として、CCDイメージセンサ による可視 かし 光画 こうが 像 ぞう 誘導 ゆうどう 装置 そうち の導入 どうにゅう を図 はか って開発 かいはつ されたのがAIM-9R であった。これは極 きわ めて意欲 いよく 的 てき な設計 せっけい であったが、プロジェクト管理 かんり の失敗 しっぱい によるコスト上昇 じょうしょう 、また可視 かし 光 こう を使用 しよう するために夜間 やかん には使 つか えないことなどが問題 もんだい 視 し されて、1991年 ねん 12月に計画 けいかく は中止 ちゅうし された。
逆 ぎゃく にAIM-9Mのダウングレード版 ばん として開発 かいはつ されたのがAIM-9S であり、もともとはAIM-9MXと称 しょう されていた。1990年 ねん 1月 がつ に、トルコに310発 はつ を売却 ばいきゃく する旨 むね の発表 はっぴょう があった。
AIM-9J/Nを基 もと に、AIM-9L/Mの技術 ぎじゅつ をバックフィットして開発 かいはつ されたのがAIM-9P である。-9L/Mよりも安価 あんか な第 だい 3世代 せだい サイドワインダーと位置付 いちづ けられている。基本 きほん 的 てき には輸出 ゆしゅつ 用 よう モデルとして開発 かいはつ されたが、アメリカ空軍 くうぐん も採用 さいよう した。
-9P-1
DSU-15/B AOTDを導入 どうにゅう したモデル。
-9P-2
低 てい 排煙 はいえん 型 がた のSR.116ロケット・モーターを導入 どうにゅう したモデル。
-9P-3
低 てい 排煙 はいえん 型 がた のSR.116ロケット・モーターを導入 どうにゅう するとともに、誘導 ゆうどう ・操舵 そうだ 装置 そうち に改良 かいりょう を加 くわ えたモデル。
-9P-4
全 ぜん 方位 ほうい 交戦 こうせん 能力 のうりょく が付与 ふよ されたモデル。-9Lの技術 ぎじゅつ を採用 さいよう した赤外線 せきがいせん センサを搭載 とうさい している。また、新型 しんがた のMk.8弾頭 だんとう とDSU-21 AOTD信管 しんかん も導入 どうにゅう された。
-9P-5
-9P-4を基 もと に、赤外線 せきがいせん 妨害 ぼうがい 技術 ぎじゅつ に対 たい する抗 こう 堪 こらえ 性 せい (IRCCM)を向上 こうじょう させたモデル。
AIM-9M
AIM-9P
画像 がぞう
全長 ぜんちょう
287 cm
307 cm
直径 ちょっけい
12.7 cm(5in)
翼 つばさ 幅 はば
63.5 cm(25in)(後部 こうぶ 固定 こてい 翼 つばさ ) 56.64 cm(22.3in)(前部 ぜんぶ 動 どう 翼 つばさ )
56 cm
重量 じゅうりょう
86.2 kg(190 lb)
78 kg
射程 しゃてい
18 km(9.7 nm)
18 km(9.7 nm)
速度 そくど
マッハ2.5+
弾頭 だんとう
9.4 kg(20.8 lb)WDU-17/B
当初 とうしょ 、サイドワインダーの開発 かいはつ は第 だい 3世代 せだい で終了 しゅうりょう し、その後継 こうけい としては、北大西洋 きたたいせいよう 条約 じょうやく 機構 きこう (NATO)諸国 しょこく で共同 きょうどう 開発 かいはつ したASRAAM が採用 さいよう される計画 けいかく であった。しかしアメリカは1980年代 ねんだい のうちにこの計画 けいかく から脱退 だったい し、サイドワインダーの最終 さいしゅう 発達 はったつ 型 がた をその代役 だいやく とすることにした。これがAIM-9X であり、1986年 ねん より、秘密裏 ひみつり に開発 かいはつ が開始 かいし されていたとされている。
AIM-9Xは、弾 たま 体 たい 設計 せっけい から一新 いっしん され、操 みさお 向 こう 性能 せいのう 向上 こうじょう のために大 おお きな変更 へんこう が行 おこな われた。操舵 そうだ 翼 つばさ は前 ぜん 翼 つばさ から後 こう 翼 つばさ に変更 へんこう され、固定 こてい 化 か された前 ぜん 翼 つばさ に代 か わって小型 こがた 化 か された後部 こうぶ 翼 つばさ で操舵 そうだ を行 おこな う。このため、後部 こうぶ の操舵 そうだ 装置 そうち への配線 はいせん を通 とお すため、弾 たま 体 たい の下部 かぶ にカバーが設置 せっち された。また、XAAM-N-7に用 もち いて以来 いらい 、AIM-9Mに至 いた るまで採用 さいよう されていたローレロンが廃 はい されている。推力 すいりょく 偏向 へんこう 制御 せいぎょ 方式 ほうしき も導入 どうにゅう された。また、最大 さいだい 射程 しゃてい は40km程度 ていど まで延伸 えんしん されている。
赤外線 せきがいせん センサの受光 じゅこう 素子 そし は第 だい 3世代 せだい サイドワインダーと同 おな じアンチモン化 か インジウム(InSb)だが、AIM-9Xでは面 めん 素子 そし (focal-plane array, FPA ) とされており、赤外線 せきがいせん 画像 がぞう (IIR)誘導 ゆうどう 方式 ほうしき となる。このFPA型 がた 赤外線 せきがいせん センサの解像度 かいぞうど は128x128ピクセルであり、感度 かんど はAIM-9Mのそれと比 ひ して400倍 ばい に向上 こうじょう しているとされる。赤外線 せきがいせん センサの冷却 れいきゃく 機構 きこう には、第 だい 3世代 せだい 機 き のジュール=トムソン効果 こうか から、-9Xではクライオエンジンと呼 よ ばれるスターリング冷凍 れいとう 機 き に変更 へんこう されているため、ガスタンクを必要 ひつよう とせず電力 でんりょく 供給 きょうきゅう のみでシーカー部 ぶ の冷却 れいきゃく が行 おこな えるようになり、冷却 れいきゃく 時間 じかん による制約 せいやく を受 う けることが無 な くなった。なお、この赤外線 せきがいせん センサはヒューズ社 しゃ によって開発 かいはつ されたものであり、基本 きほん 的 てき に、同社 どうしゃ がASRAAM に提供 ていきょう しているものと同 おな じ技術 ぎじゅつ に基 もと づいている。
また、赤外線 せきがいせん センサーの追尾 ついび 可能 かのう 角 かく を大幅 おおはば に拡大 かくだい するとともに中間 ちゅうかん 慣性 かんせい 誘導 ゆうどう (INS) も導入 どうにゅう し、限定 げんてい 的 てき な発射 はっしゃ 後 ご ロックオン(LOAL) およびオフボアサイト発射 はっしゃ 機能 きのう を備 そな えている[18] 。ヘッドマウントディスプレイ によってロックオンするシステム(JHMCS :Joint Helmet Mounted Cueing System)を使用 しよう することによって真横 まよこ を飛行 ひこう する敵 てき をロックオンすることが可能 かのう となった。
性能 せいのう を最大限 さいだいげん 生 い かすには、MIL-STD-1553B デジタルデータバスが必要 ひつよう となるが、それを持 も たない旧式 きゅうしき の機体 きたい でもAIM-9Mとして認識 にんしき され使用 しよう 可能 かのう である。
赤外線 せきがいせん 画像 がぞう 誘導 ゆうどう によってフレアに強 つよ くなったとされるAIM-9Xであるが、2017年 ねん のシリアにおいて、F/A-18EがSu-22に向 む けて約 やく 2.4Kmの距離 きょり から放 はな ったAIM-9Xがフレアによって回避 かいひ されるという事例 じれい が確認 かくにん されている。[1]
AIM-9X-2(AIM-9XブロックII) [ 編集 へんしゅう ]
改良 かいりょう 型 がた 。信管 しんかん をDSU-41Bに換 かわ 装 そう 、固体 こたい 燃料 ねんりょう ロケット の点火 てんか 用 よう バッテリーを新 あら たに装備 そうび し、点火 てんか 安全 あんぜん 装置 そうち も新 あたら しくして自動 じどう 化 か した。処理 しょり プロセッサが新 あたら しくなり、ブロック1では限定 げんてい 的 てき だった発射 はっしゃ 後 ご ロックオン(LOAL) が拡張 かくちょう されてフルに使 つか えるようになった[18] 。また、母 はは 機 き からミサイルに対 たい するデータリンク(AIM-120D に装備 そうび されたものと同 おな じもの)が装備 そうび されており[19] 、レーダーで誘導 ゆうどう が行 おこな える。射程 しゃてい は約 やく 2倍 ばい に延伸 えんしん されており、ほぼBVR兵器 へいき といえる[20] 。しかし、ブロックIと比 くら べHMD を使 つか わないときのオフボアサイト能力 のうりょく が低下 ていか しているとされており、ソフトウェアのクリーンアップが計画 けいかく されている[21] 。2008年 ねん にテストが行 おこな われ、2014年 ねん にIOCを獲得 かくとく 、2015年 ねん 8月 がつ 17日 にち に完全 かんぜん 量産 りょうさん に移行 いこう した[22] 。また、レイセオンではブロックIIにブロックIの空 そら 対地 たいち 能力 のうりょく 付与 ふよ ソフトウェアの追加 ついか を行 おこな うことを検討 けんとう している[23] 。
左右 さゆう 180度 ど 、真後 まうし ろの敵 てき もロックすることができる。
AIM-9X-3(AIM-9XブロックIII) [ 編集 へんしゅう ]
研究 けんきゅう が進 すす められていた改良 かいりょう 型 がた 。PBXN-122弾頭 だんとう と新型 しんがた ロケットモーターの装備 そうび により、射程 しゃてい の60%延伸 えんしん と破壊 はかい 力 りょく 向上 こうじょう を図 はか る。2016年 ねん にエンジニアリングと製造 せいぞう 開発 かいはつ (EMD)、2018年 ねん に運用 うんよう テストを行 おこな い、2022年 ねん の初期 しょき 作戦 さくせん 能力 のうりょく 獲得 かくとく を目指 めざ していたが[24] [25] 、2015年 ねん 2月 がつ 3日 にち にキャンセルが発表 はっぴょう された。ただし、ブロック3が装備 そうび する弾頭 だんとう の研究 けんきゅう は継続 けいぞく される[26] 。
MIM-72/M48 チャパラル
AIM-9Dをベースにした短距離 たんきょり 防空 ぼうくう ミサイル・システム
RIM-92 シーチャパラル
MIM-72Cをベースにした個 こ 艦 かん 防空 ぼうくう ミサイル・システム
AGM-122 サイドアーム
AIM-9Cの誘導 ゆうどう 部 ぶ を改造 かいぞう した対 たい レーダー 空 そら 対地 たいち ミサイル
RIM-116 RAM
AIM-9の弾 たま 体 たい をベースに開発 かいはつ された近接 きんせつ 防空 ぼうくう ミサイル 。
登場 とうじょう 作品 さくひん [ 編集 へんしゅう ]
『インデペンデンス・デイ 』
F/A-18 ホーネット を中心 ちゅうしん とする人類 じんるい 側 がわ の戦闘 せんとう 機 き に搭載 とうさい されたものが、エイリアン のシティ・デストロイヤー に対 たい して使用 しよう される。
『ゴジラシリーズ 』
『ゴジラvsキングギドラ 』
第 だい 2航空 こうくう 団 だん 所属 しょぞく のF-15J イーグル に搭載 とうさい されたものが、襟裳岬 えりもみさき 上空 じょうくう を飛行 ひこう するキングギドラ に対 たい して使用 しよう されるが、全 まった く効果 こうか がなかった。
『GODZILLA 』
アメリカ軍 ぐん のAH-64 アパッチ に搭載 とうさい されたものが、マンハッタン に上陸 じょうりく したゴジラ に対 たい して使用 しよう されるが、ゴジラの体温 たいおん が周 まわ りのビル より低 ひく かった為 ため に赤外線 せきがいせん 誘導 ゆうどう システムが上手 うま く働 はたら かず、ゴジラの後方 こうほう にあったクライスラー・ビル を直撃 ちょくげき し、破壊 はかい してしまう。
『ターミネーター4 』
A-10 に搭載 とうさい されており、中盤 ちゅうばん の空中 くうちゅう 戦 せん においてハンターキラー・エリアルに対 たい し発射 はっしゃ 。推進 すいしん ノズル部分 ぶぶん に直撃 ちょくげき し一 いち 機 き を撃墜 げきつい する。
『トゥルーライズ 』
終盤 しゅうばん にて、主人公 しゅじんこう のハリー・タスカーがアメリカ海兵 かいへい 隊 たい から借 か りたAV-8B ハリアー II の左端 ひだりはし のハードポイント に搭載 とうさい されたものに、テログループ 「真紅 しんく のジハード」のリーダーであるサリム・アブ・アジズが機体 きたい から転 ころ げ落 お ちたことで引 ひ っかかり、その後 ご 、主人公 しゅじんこう はちょうど前方 ぜんぽう を通過 つうか していた「真紅 しんく のジハード」のヘリコプター に対 たい してこれを発射 はっしゃ 。ミサイルは命中 めいちゅう し、アジズごと爆発 ばくはつ する。
『トップガン 』
アメリカ海軍 かいぐん のF-14 トムキャット に搭載 とうさい されたものが、襲来 しゅうらい するMiG-28 に対 たい して使用 しよう される。
『ファイナル・カウントダウン 』
第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 時 とき にタイムスリップ したニミッツ級 きゅう 航空 こうくう 母艦 ぼかん 「ニミッツ 」の艦載 かんさい 機 き であるF-14に搭載 とうさい されたものが、日本 にっぽん 海軍 かいぐん の零 れい 戦 せん (に扮 ふん したT-6 テキサン )に対 たい して使用 しよう される。
『ゲート 自衛隊 じえいたい 彼 かれ の地 ち にて、斯 か く戦 たたか えり 』
小説 しょうせつ ・漫画 まんが ・アニメ版 ばん にて、異 い 世界 せかい に派遣 はけん された航空 こうくう 自衛隊 じえいたい のF-4EJ改 あらため ファントム に搭載 とうさい されたものが、2頭 とう の新生 しんせい 龍 りゅう の火炎 かえん 放射 ほうしゃ を中断 ちゅうだん させる牽制 けんせい のために使用 しよう される。
『War Thunder 』
米 べい 独 どく 日 にち 仏 ふつ 空軍 くうぐん ツリーや米 べい ヘリコプターツリーの武装 ぶそう として空軍 くうぐん ツリーにはAIM-9B・AIM-9B FGW.2・Rb24(スウェーデンによるAIM-9Bのライセンス生産 せいさん バージョン)・AIM-9C・AIM-9D・AIM-9G・AIM-9E・AIM-9J・AIM-9P(‐3)・Rb24J(スウェーデンによるAIM-9P-3のライセンス生産 せいさん バージョン)・AIM-9L・AIM-9Mが登場 とうじょう する。
『Operation Flashpoint: Dragon Rising 』
AH-1Z ヴァイパー に搭載 とうさい されて登場 とうじょう する。
『Wargame Red Dragon 』
NATO 陣営 じんえい の各種 かくしゅ ヘリコプター や航空機 こうくうき の武装 ぶそう としてAIM-9F・AIM-9J・AIM-9L・AIM-9Mが登場 とうじょう する。
『エースコンバットシリーズ 』
多 おお くの米国 べいこく 製 せい 戦闘 せんとう 機 き に搭載 とうさい される標準 ひょうじゅん ミサイル のモデルになっている他 ほか 、特殊 とくしゅ 兵 へい 装 そう の一 ひと つであるQAAM(高 こう 機動 きどう 空 そら 対空 たいくう ミサイル)はAIM-9Xをモデルの一 ひと つにしている。
『バトルフィールドシリーズ 』
『BFV 』
F-4 ファントムII に搭載 とうさい されている。
『BF2 』
F-15E ストライクイーグル ・F-18 ホーネット ・F-35B ライトニングII ・ユーロファイター タイフーン に搭載 とうさい されている。
『BF3 』
「ヒートシーカー」の名称 めいしょう で登場 とうじょう し、AH-1ZやF/A-18E スーパーホーネット などに搭載 とうさい できる。
『BF4 』
「ヒートシーカー」の名称 めいしょう で登場 とうじょう し、AH-1ZやF-35Bなどに搭載 とうさい できる。
『BF2042 』
「ヒートシーカー」の名称 めいしょう で登場 とうじょう し、F/A-18EやAH-64Dなどをはじめとした、バトルフィールドポータルに登場 とうじょう する各種 かくしゅ 航空機 こうくうき に搭載 とうさい できる。
『フィクショナル・トルーパーズ 』
メカール共和 きょうわ 国軍 こくぐん の空 そら 対空 たいくう ミサイルとして運用 うんよう されている。ただし、1980年代 ねんだい の時代 じだい 背景 はいけい と第 だい 三 さん 世界 せかい の空軍 くうぐん であるため、第 だい 二 に 世代 せだい 型 がた のみで最新 さいしん 兵器 へいき である全 ぜん 角度 かくど 型 がた のL型 がた 以降 いこう は導入 どうにゅう されていない模様 もよう 。
『マーセナリーズ2 ワールド イン フレームス 』
連合 れんごう 軍 ぐん が使用 しよう するAH-1W スーパーコブラ に武装 ぶそう として搭載 とうさい されている。
^ 当初 とうしょ 、海軍 かいぐん ではAAM-N-7、空軍 くうぐん ではGAR-8と称 しょう されていたが、1963年 ねん の三軍 さんぐん 共通 きょうつう 命名 めいめい 規則 きそく の導入 どうにゅう によって現在 げんざい の名称 めいしょう となった。
^ また、1956年 ねん 2月 がつ に発生 はっせい した事故 じこ への対応 たいおう の不備 ふび も、サイドワインダーの導入 どうにゅう を後押 あとお ししたと言 い われている。このとき、海軍 かいぐん のA3D-1が事故 じこ を起 お こして乗員 じょういん が脱出 だっしゅつ した後 のち も機体 きたい が飛行 ひこう を続 つづ けていたことから、空軍 くうぐん のF-100が緊急 きんきゅう 発進 はっしん して撃墜 げきつい しようとしたものの、20ミリ機銃 きじゅう のみではほぼダメージを与 あた えられなかったことから、より強力 きょうりょく な武装 ぶそう を既存 きそん の戦闘 せんとう 機 き に搭載 とうさい する必要 ひつよう 性 せい がクローズアップされた。
^ ただし空軍 くうぐん はより悲観 ひかん 的 てき で、0.285と見積 みつ もった。なおベトナム戦争 せんそう 時 じ の452発 はつ のサイドワインダーの発射 はっしゃ 記録 きろく から算出 さんしゅつ されたSSKPは0.18であった。