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c-Met

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
MET
PDBに登録とうろくされている構造こうぞう
PDBオルソログ検索けんさく: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧いちらん

1FYR, 1R0P, 1R1W, 1SHY, 1SSL, 2G15, 2RFN, 2RFS, 2UZX, 2UZY, 2WD1, 2WGJ, 2WKM, 3A4P, 3BUX, 3C1X, 3CCN, 3CD8, 3CE3, 3CTH, 3CTJ, 3DKC, 3DKF, 3DKG, 3EFJ, 3EFK, 3F66, 3F82, 3I5N, 3L8V, 3LQ8, 3Q6U, 3Q6W, 3QTI, 3R7O, 3RHK, 3U6H, 3U6I, 3VW8, 3ZBX, 3ZC5, 3ZCL, 3ZXZ, 3ZZE, 4AOI, 4AP7, 4DEG, 4DEH, 4DEI, 4EEV, 4GG7, 4IWD, 4K3J, 4KNB, 4MXC, 4O3T, 4O3U, 4R1V, 4R1Y, 4XMO, 4XYF, 5EYC, 5EYD

識別子しきべつし
記号きごうMET, MET proto-oncogene, receptor tyrosine kinase, AUTS9, HGFR, RCCP2, c-Met, DFNB97, OSFD, c-met
外部がいぶIDOMIM: 164860 MGI: 96969 HomoloGene: 206 GeneCards: MET
遺伝子いでんしの位置いち (ヒト)
7番染色体 (ヒト)
染色せんしょく体たい7番ばん染色せんしょく体たい (ヒト)[1]
7番染色体 (ヒト)
MET遺伝子の位置
MET遺伝子の位置
バンドデータ無なし開始かいし点てん116,672,196 bp[1]
終点しゅうてん116,798,377 bp[1]
遺伝子いでんしの位置いち (マウス)
6番染色体 (マウス)
染色せんしょく体たい6番ばん染色せんしょく体たい (マウス)[2]
6番染色体 (マウス)
MET遺伝子の位置
MET遺伝子の位置
バンドデータ無なし開始かいし点てん17,463,799 bp[2]
終点しゅうてん17,573,979 bp[2]
RNA発現はつげんパターン




さらなる参照さんしょう発現はつげんデータ
遺伝子いでんしオントロジー
分子ぶんし機能きのう• トランスフェラーゼ活性かっせい
• ヌクレオチド結合けつごう
• protein kinase activity
• hepatocyte growth factor-activated receptor activity
• キナーゼ活性かっせい
• 血漿けっしょうタンパク結合けつごう
• transmembrane receptor protein tyrosine kinase activity
• protein tyrosine kinase activity
• protein phosphatase binding
• ATP binding
• phosphatidylinositol-4,5-bisphosphate 3-kinase activity
• identical protein binding
• Wnt-protein binding
• semaphorin receptor activity
細胞さいぼうの構成こうせい要素ようそ• integral component of membrane
• 膜まく
• 細胞さいぼう膜まく
• integral component of plasma membrane
• 細胞さいぼう外がい領域りょういき
• cell surface
• basal plasma membrane
• 細胞さいぼう内ない
• receptor complex
生物せいぶつ学がく的てきプロセス• negative regulation of hydrogen peroxide-mediated programmed cell death
• リン酸化さんか
• transmembrane receptor protein tyrosine kinase signaling pathway
• positive regulation of endothelial cell chemotaxis
• endothelial cell morphogenesis
• タンパク質たんぱくしつリン酸化さんか
• 細胞さいぼう表面ひょうめん受容じゅよう体たいシグナル伝達でんたつ経路けいろ
• positive chemotaxis
• 細胞さいぼう増殖ぞうしょく
• negative regulation of autophagy
• branching morphogenesis of an epithelial tube
• semaphorin-plexin signaling pathway
• シグナル伝達でんたつ
• positive regulation of transcription by RNA polymerase II
• peptidyl-tyrosine phosphorylation
• hepatocyte growth factor receptor signaling pathway
• MAPK cascade
• entry of bacterium into host cell
• phosphatidylinositol phosphate biosynthetic process
• positive regulation of microtubule polymerization
• negative regulation of Rho protein signal transduction
• negative regulation of stress fiber assembly
• establishment of skin barrier
• negative regulation of thrombin-activated receptor signaling pathway
• negative regulation of guanyl-nucleotide exchange factor activity
• positive regulation of protein kinase B signaling
• 肝臓かんぞう発生はっせい
• 食しょく作用さよう
• 神経しんけい系けい発生はっせい
• Wntシグナル経路けいろ
• 遊ゆう走はし
• neuron differentiation
• 膵臓すいぞう発生はっせい
出典しゅってん:Amigo / QuickGO
オルソログ
種たねヒトマウス
Entrez

4233

17295

Ensembl

ENSG00000105976

ENSMUSG00000009376

UniProt

P08581

P16056

RefSeq
(mRNA)

NM_000245
NM_001127500
NM_001324401
NM_001324402

NM_008591

RefSeq
(タンパク質たんぱくしつ)

NP_000236
NP_001120972
NP_001311330
NP_001311331

n/a

場所ばしょ
(UCSC)		Chr 7: 116.67 – 116.8 MbChr 7: 17.46 – 17.57 Mb
PubMed検索けんさく[3][4]
ウィキデータ
閲覧えつらん/編集へんしゅう ヒト閲覧えつらん/編集へんしゅう マウス

c-MetまたはMETは、ヒトではMET遺伝子いでんしによってコードされるタンパク質たんぱくしつで、肝かん細胞さいぼう増殖ぞうしょく因子いんし受容じゅよう体たい（hepatocyte growth factor receptor、HGFR）としても知しられる[5][6]。このタンパク質たんぱくしつはチロシンキナーゼ活性かっせいを有ゆうする[7]。一本いっぽん鎖くさりの前駆ぜんく体たいタンパク質たんぱくしつへの翻訳ほんやく後ご、αあるふぁサブユニットとβべーたサブユニットへ切断せつだんされる。両者りょうしゃはジスルフィド結合けつごうで連結れんけつされて成熟せいじゅく型がたの受容じゅよう体たいを形成けいせいする。

METは1回かい膜まく貫通かんつう型がたの受容じゅよう体型たいけいチロシンキナーゼで、胚はい発生はっせい、器官きかん形成けいせい、創傷そうしょう治癒ちゆに必須ひっすである。MET受容じゅよう体たいの既知きちのリガンドは、肝かん細胞さいぼう増殖ぞうしょく因子いんし（英語えいご版ばん）/細胞さいぼう分散ぶんさん因子いんし（HGF/SF）とそのスプライシングによるアイソフォーム（NK1、NK2）のみである。METは通常つうじょう上皮じょうひ由来ゆらいの細胞さいぼうで発現はつげんしており、一方いっぽうHGFの発現はつげんは間あいだ葉は由来ゆらいの細胞さいぼうに限定げんていされている。HGFがMETに結合けつごうすると、METは二に量りょう体からだ化かし活性かっせい化かされるが、その過程かていは完全かんぜんには理解りかいされていない。

がんでのMETの異常いじょうな活性かっせい化かは予よ後ごの悪わるさと相関そうかんしており、異常いじょうな活性かっせい型がたのMETは腫瘍しゅようの成長せいちょうや、腫瘍しゅようへ栄養えいようを供給きょうきゅうする血管けっかんの形成けいせい（血管けっかん新生しんせい）、他たの器官きかんへのがんの拡散かくさん（転移てんい）を引ひき起おこす。METは、腎臓じんぞう、肝臓かんぞう、胃い、乳房ちぶさ、脳のうなどの多おおくのタイプの悪性あくせい腫瘍しゅようで調節ちょうせつ異常いじょうがみられる。通常つうじょう、METを発現はつげんしているのは幹みき細胞さいぼうと前駆ぜんく細胞さいぼうだけであり、胚はいで新あらたな組織そしきを形成けいせいしたり、成体せいたいで損傷そんしょう組織そしきを再生さいせいするための浸潤しんじゅん性せい増殖ぞうしょくを可能かのうにする。しかし、がん幹みき細胞さいぼうでは正常せいじょうな幹みき細胞さいぼうのMETの発現はつげん能力のうりょくが乗のっ取とられており、がんの持続じぞくや他たの部位ぶいへの拡散かくさんの原因げんいんとなっている。MET遺伝子いでんしのさまざまな変異へんいが乳頭にゅうとう状じょう腎じん細胞さいぼうがんと関係かんけいしており[8]、METの過剰かじょう発現はつげんや、HGFとの共きょう発現はつげんによる自己じこ分泌ぶんぴつ型かたの活性かっせい化かの双方そうほうが、発はつがんへ関与かんよしていると示唆しさされている[9][10]。

遺伝子いでんし

[編集へんしゅう]

MET遺伝子いでんし（GeneID: 4233）は全長ぜんちょう125,982bpで、7番ばん染色せんしょく体たいの7q31に位置いちしている[11]。転写てんしゃされて6,641塩基えんきの成熟せいじゅくmRNAとなり、その後ご1,390アミノ酸あみのさんのMETタンパク質たんぱくしつへと翻訳ほんやくされる。

タンパク質たんぱくしつ

[編集へんしゅう]

METは受容じゅよう体型たいけいチロシンキナーゼであり、一本いっぽん鎖くさりの前駆ぜんく体たいとして産さん生むされる。前駆ぜんく体たいはフーリン切断せつだん部位ぶいで切断せつだんされ、高度こうどにグリコシル化かされた細胞さいぼう外がいのαあるふぁサブユニットと、膜まくを貫通かんつうするβべーたサブユニットとなる。両者りょうしゃはジスルフィド結合けつごうで連結れんけつされている[12]。

細胞さいぼう外がい領域りょういき

[編集へんしゅう]

細胞さいぼう外がい領域りょういきには次つぎの構造こうぞうが含ふくまれる。

  • セマフォリン相あい同どう領域りょういき（Semaドメイン） - αあるふぁ鎖くさりの全長ぜんちょうとβべーた鎖くさりのN末端まったん部分ぶぶんからなる。
  • システインに富とむMET関連かんれん配列はいれつ（MRSドメイン）
  • グリシンとプロリンに富とむリピート配列はいれつ（GPリピート）
  • 4つの免疫めんえきグロブリン様よう構造こうぞう（Igドメイン） - 典型てんけい的てきなタンパク質たんぱくしつ間あいだ相互そうご作用さよう領域りょういき[12]

細胞さいぼう内ない領域りょういき

[編集へんしゅう]

膜まく近傍きんぼうセグメントには次つぎの要素ようそが含ふくまれている。

  • リン酸化さんかによって受容じゅよう体たいキナーゼの活性かっせい化かを阻害そがいするセリン残ざん基もと（Ser985）[13]
  • ユビキチンリガーゼ CBLと相互そうご作用さようし、METのポリユビキチン化か、エンドサイトーシスと分解ぶんかいを担になうチロシン残ざん基もと（Tyr1003）[14]
  • METの生物せいぶつ学がく的てき活性かっせいを媒介ばいかいするチロシンキナーゼドメイン。METの活性かっせい化か後ご、Tyr1244とTyr1235でトランスリン酸化さんかが起おこる。
  • C末端まったん領域りょういきには2つの重要じゅうようなチロシン残ざん基もと（Tyr1349とTy1356）が含ふくまれている。これらの残ざん基もとは、SH2ドメインを持もつ下流かりゅうのアダプタータンパク質たんぱくしつをリクルートする、多た基質きしつドッキング部位ぶい（multisubstrate docking site）に位置いちしている[15]。2つのチロシン残ざん基もとはin vitroでのシグナル伝達でんたつに必要ひつようかつ十分じゅうぶんであることが報告ほうこくされている[15][16]。

METシグナル伝達でんたつ経路けいろ

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HGFによるMETの活性かっせい化かはMETのキナーゼ触媒しょくばい活性かっせいを誘導ゆうどうし、Tyr1234とTyr1235のトランスリン酸化さんかを開始かいしする。これら2つのチロシン残ざん基もとはさまざまなシグナル伝達でんたつ因子いんしと結合けつごうし[17]、METによって駆動くどうされるさまざまな生物せいぶつ学がく的てき活性かっせいを開始かいしする。METによって駆動くどうされる過程かていは、invasive growth program（浸潤しんじゅん性せい増殖ぞうしょくプログラム）と総称そうしょうされることもある。シグナル伝達でんたつ因子いんしはMETの多た基質きしつドッキング部位ぶいと相互そうご作用さようするが、GRB2（英語えいご版ばん）、SH2[18]、SRC、PI3Kの調節ちょうせつサブユニットp85[18]のように直接ちょくせつ相互そうご作用さようするものと、足場あしばタンパク質たんぱくしつであるGAB1（英語えいご版ばん）を介かいして間接かんせつ的てきに相互そうご作用さようするものがある[19]。

多た基質きしつドッキング部位ぶいに位置いちするTyr1349とTyr1356はどちらもGAB1、SRC、SHCとの相互そうご作用さように関与かんよしているが、GRB2、PLC-γがんま、p85、SHP2のリクルートにはTyr1356のみが関与かんよする[20]。

GAB1はMETに対たいする細胞さいぼう応答おうとうの重要じゅうような調節ちょうせつ因子いんしであり、METの細胞さいぼう内ない領域りょういきに高たかいアビディティ（英語えいご版ばん）、低ひくいアフィニティで結合けつごうする[21]。METとの相互そうご作用さようによってGAB1のいくつかのチロシン残ざん基もとがリン酸化さんかされ、そこへPI3K、SHP2、PLC-γがんまを含ふくむシグナル伝達でんたつのエフェクター因子いんしがリクルートされる。METによるGAB1のリン酸化さんかによって、下流かりゅうのシグナル伝達でんたつ経路けいろの大だい部分ぶぶんを媒介ばいかいする持続じぞく的てきなシグナルがもたらされる[22]。

シグナル伝達でんたつの活性かっせい化か

[編集へんしゅう]

METとの結合けつごうによって複数ふくすうのシグナル伝達でんたつ経路けいろが活性かっせい化かされる。

  • RAS経路けいろはHGFによって誘導ゆうどうされる細胞さいぼうの拡散かくさんと増殖ぞうしょくのシグナルを媒介ばいかいし、分ぶん枝えだ形態けいたい形成けいせい（branching morphogenesis）を誘導ゆうどうする[23]。HGFは大だい部分ぶぶんの分裂ぶんれつ促進そくしん因子いんしとは異ことなり、持続じぞく的てきなRASの活性かっせい化か、そして長期ちょうきにわたるMAPK活性かっせいを誘導ゆうどうする[24]。
  • PI3K経路けいろは2つの方法ほうほうで活性かっせい化かされる。PI3KはRASの下流かりゅう因子いんしであり、また多た基質きしつドッキング部位ぶいにも直接ちょくせつリクルートされる[25]。PI3K経路けいろの活性かっせい化かは、細胞さいぼう外がいマトリックスへの接着せっちゃくの再さい構成こうせいや、RAC1、PAKなど細胞さいぼう骨格こっかくの再さい組織そしき化かに関与かんよするシグナル伝達でんたつ因子いんしの局所きょくしょ的てきなリクルートを行おこない、これらを介かいして細胞さいぼうの運動うんどう性せいと関係かんけいしていると考かんがえられている。また、PI3Kの活性かっせい化かはAKT経路けいろの活性かっせい化かによって生存せいぞんシグナルを開始かいしする[26]。
  • STAT経路けいろは、持続じぞく的てきなMAPKの活性かっせい化かとともに、HGFによって誘導ゆうどうされる分ぶん枝えだ形態けいたい形成けいせいに必要ひつようである。METは、SH2ドメインを介かいしてSTAT3を直接的ちょくせつてきに活性かっせい化かする[27]。
  • βべーた-カテニンはWntシグナル経路けいろの重要じゅうような構成こうせい要素ようそであり、METの活性かっせい化か後ごに核かくへ移行いこうし、多数たすうの遺伝子いでんしの転写てんしゃ調節ちょうせつに関与かんよする[28]。
  • Notch経路けいろに関かんしては、DLL3（英語えいご版ばん）などのDeltaリガンドの転写てんしゃが活性かっせい化かされる[29][30]。

発生はっせいにおける役割やくわり

[編集へんしゅう]

METは浸潤しんじゅん性せい増殖ぞうしょく（invasive growth）として知しられる複雑ふくざつな過程かていを媒介ばいかいする[26]。METの活性かっせい化かは有ゆう糸いと分裂ぶんれつの開始かいしと形態けいたい形成けいせいを誘導ゆうどうする[31][32]。

胚はい発生はっせいにおいて、扁平へんぺいな2層そうの胚はい盤ばんから3次元じげん的てきな体からだ構造こうぞうへの転換てんかんは、一部いちぶの上皮じょうひ型がた細胞さいぼうの紡錘形ぼうすいけいで運動うんどう性せいの高たかい間あいだ葉は系けい細胞さいぼうへの転換てんかんに依存いぞんしている。この過程かていは上皮じょうひ間あいだ葉は転換てんかんと呼よばれている[33]。胚はい発生はっせいのより後ごの過程かていでは、METは特とくに原はら腸ちょう形成けいせい（英語えいご版ばん）、血管けっかん新生しんせい、筋すじ芽め細胞さいぼうの移動いどう、骨ほね再さい構築こうちく（英語えいご版ばん）、神経しんけいの発芽はつがに重要じゅうようである[34]。METは胚はい発生はっせいに必須ひっすであり、MET −/−マウスは胎盤たいばん発生はっせいの重じゅう篤あつしな欠陥けっかんのため子宮しきゅう内うちで死しぬ[35]。さらに、METは成体せいたいでの肝臓かんぞうの再生さいせいや創傷そうしょう治癒ちゆなどの重要じゅうような過程かていにも必要ひつようである[26]。

HGF/MET軸じくは心筋しんきんの発生はっせいにも関係かんけいしている。HGFとMET受容じゅよう体たいのmRNAは、心臓しんぞうの運命うんめい決定けってい直後ちょくごのE7.5からE9.5まで心筋しんきん細胞さいぼうで共きょう発現はつげんしている。HGFリガンドと受容じゅよう体たいの転写てんしゃ産物さんぶつは心臓しんぞうの拍はく動どうとルーピングの出現しゅつげん以前いぜんから検出けんしゅつされ、心臓しんぞうの形態けいたいが複雑ふくざつ化かしはじめるlooping stageを通つうじて持続じぞくする[36]。鳥類ちょうるいでの研究けんきゅうでは、心しん内ない膜まく床ゆかからの上皮じょうひ間あいだ葉は転換てんかんが起おこる発生はっせい段階だんかいでは、HGFは房ぼう室しつ管かんの心筋しんきん層そうに存在そんざいしている[37]。しかしながら、METは心臓しんぞうの発生はっせいには必須ひっすではなく、心筋しんきんでMetがノックアウトされたコンディショナルノックアウトマウスの心臓しんぞう発生はっせいは正常せいじょうである[38]。

発現はつげん

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組織そしき分布ぶんぷ

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通常つうじょう、METは上皮じょうひ細胞さいぼうで発現はつげんしている[26]。しかし、METは内皮ないひ細胞さいぼう、神経しんけい細胞さいぼう、肝かん細胞さいぼう、造血ぞうけつ系けい細胞さいぼう、メラニン細胞さいぼう、新生児しんせいじの心筋しんきん細胞さいぼうにも存在そんざいしている[32][39]。HGFの発現はつげんは、間あいだ葉は由来ゆらいの細胞さいぼうに限定げんていされている[33]。

転写てんしゃ制御せいぎょ

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METの転写てんしゃは、HGFといくつかの成長せいちょう因子いんしによって活性かっせい化かされる[40]。MET遺伝子いでんしのプロモーターには、浸潤しんじゅん性せい増殖ぞうしょくに関かんするいくつかの遺伝子いでんしを制御せいぎょするETS転写てんしゃ因子いんしファミリー（英語えいご版ばん）の推定すいてい結合けつごう部位ぶいが4つ存在そんざいしている[40]。ETS1はin vitroでMETの転写てんしゃを活性かっせい化かする[41]。METの転写てんしゃは、細胞さいぼう内ないの低てい酸素さんそ状態じょうたいによって活性かっせい化かされるHIF1によっても活性かっせい化かされる[42]。HIF1は、METのプロモーターの低てい酸素さんそ応答おうとうエレメント（HRE）の1つに結合けつごうする[33]。また、低てい酸素さんそ状態じょうたいによって転写てんしゃ因子いんしAP-1も活性かっせい化かされ、これもMETの転写てんしゃに関係かんけいしている[33]。

臨床りんしょう的てき意義いぎ

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がんにおける役割やくわり

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MET経路けいろはがんの発生はっせいに重要じゅうような役割やくわりを果はたす。

  • 重要じゅうような発はつがん性せい経路けいろの活性かっせい化か（RAS、PI3K、STAT3、βべーた-カテニン）
  • 血管けっかん新生しんせい（腫瘍しゅようへ栄養えいようを供給きょうきゅうするために、既存きそんの血管けっかんから新あらたな血管けっかんが出芽しゅつがする）
  • 拡散かくさん（メタロプロテアーゼの産さん生せいによる細胞さいぼうの解離かいり）によって、転移てんいへとつながる[43]

miR-199a*（英語えいご版ばん）によるMETとその下流かりゅうのエフェクター因子いんしERK2の協調きょうちょう的てきなダウンレギュレーションは、細胞さいぼうの増殖ぞうしょくを阻害そがいするだけでなく、腫瘍しゅよう細胞さいぼうの運動うんどう性せいや浸潤しんじゅん性せいも効果こうか的てきに阻害そがいする可能かのう性せいがある[44]。

METの増幅ぞうふくは、明細めいさい胞腺がん（英語えいご版ばん）のバイオマーカーとなる可能かのう性せいがある[45]。

METの増幅ぞうふくは、大腸だいちょうがんの抗こうEGFR療法りょうほうに対たいする抵抗ていこう性せいをもたらすことが多おおい[46]。

自閉症じへいしょうにおける役割やくわり

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自閉症じへいしょうのリスク遺伝子いでんしのデータベースであるSFARI gene databaseではMETの自閉症じへいしょうスコアは2.0であり、METが自閉症じへいしょうに関与かんよする有力ゆうりょくな候補こうほ遺伝子いでんしであることを意味いみしている。データベースでは、少すくなくとも1つの研究けんきゅうにおいて、METが統合とうごう失調しっちょう症しょうの症例しょうれいに関係かんけいしていることが示しめされている。MET遺伝子いでんしは、遺伝子いでんしのプロモーターの多た型かたを同定どうていした研究けんきゅうで初はじめて自閉症じへいしょうへの関与かんよが示唆しさされた[47]。このプロモーターの多た型がたはMETの転写てんしゃを50%低下ていかさせる。さらに、自閉症じへいしょうリスク多た型がたとしてのMET遺伝子いでんしの変異へんいは他たの研究けんきゅうでも示しめされており、自閉症じへいしょうと消化しょうか管かん障害しょうがいを抱かかえる子供こどもで多おおく見みられることが示しめされている[48]。稀まれな変異へんいが家族かぞくの2人ふたりで観察かんさつされており、1人ひとりは自閉症じへいしょう、もう1人ひとりは社会しゃかい的てきコミュニケーション症しょうの症状しょうじょうを示しめしている[49]。脳のうの発達はったつにおけるMET受容じゅよう体たいの役割やくわりは、他たの発生はっせい過程かていにおけるとは異ことなるものであり、MET受容じゅよう体たいの活性かっせい化かはシナプス形成けいせいを調節ちょうせつし[50][51][52][53][54]、社会しゃかい的てき行動こうどうや情動じょうどう的てき行動こうどうに関係かんけいする回路かいろの機能きのうの発達はったつに影響えいきょうを与あたえている[55]。

心臓しんぞう機能きのうにおける役割やくわり

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成体せいたいのマウスでは、METは加か齢よわいと関連かんれんした酸化さんかストレス、アポトーシス、線維せんい形成けいせい、心臓しんぞう機能きのう不全ふぜんを防ふせぎ、心筋しんきん細胞さいぼうを保護ほごするために必要ひつようである[38]。さらに、クリゾチニブやPF-04254644などのMET阻害そがい剤ざいは細胞さいぼうモデルや臨床りんしょう前ぜんモデルでの短期たんき投与とうよ試験しけんが行おこなわれており、活性かっせい酸素さんそ種しゅの産さん生せい、カスパーゼの活性かっせい化か、代謝たいしゃの変化へんか、イオンチャネルの遮断しゃだんによって心筋しんきん細胞さいぼうの細胞さいぼう死しを誘導ゆうどうすることが示しめされている[56][57]。

損傷そんしょうした心臓しんぞうでは、HGF/MET軸じくは心筋しんきん細胞さいぼうでの生存せいぞん効果こうか（抗こうアポトーシス、抗こうオートファジー）の促進そくしん、血管けっかん新生しんせい、線維せんい形成けいせいの阻害そがい、抗こう炎症えんしょう・免疫めんえき調節ちょうせつシグナル、心筋しんきん幹みき細胞さいぼうの活性かっせい化かによる再生さいせいによって、心臓しんぞう保護ほごに重要じゅうような役割やくわりを果はたす[58][59]。

がん抑制よくせい因子いんしとの相互そうご作用さよう

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PTEN

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PTEN（phosphatase and tensin homolog）は、脂質ししつとプロテインホスファターゼに依存いぞんした活性かっせいと依存いぞんしない活性かっせいの双方そうほうを有ゆうするがん抑制よくせい因子いんしである[60]。PTENはホスファターゼであり、PI3Kによって生成せいせいされたPIP3またはSHCのp52アイソフォームを脱だつリン酸化さんかすることでMETシグナル伝達でんたつに干渉かんしょうする。SHCの脱だつリン酸化さんかはGRB2アダプタータンパク質たんぱくしつの活性かっせい化かMETへのリクルートを阻害そがいする[29]。

VHL

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腎じん細胞さいぼうがんにおいて、がん抑制よくせい因子いんしVHLの不ふ活性かっせい化かとMETシグナル伝達でんたつの増加ぞうかが相関そうかんしているという証拠しょうこが存在そんざいする。心臓しんぞうの悪性あくせい形質けいしつ転換てんかんでも同様どうようである[61][62]。

HGF/METを標的ひょうてきとしたがん治療ちりょう

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腫瘍しゅようの浸潤しんじゅんと転移てんいはがん患者かんじゃの主おもな死因しいんであり、METシグナル伝達でんたつの阻害そがいは有望ゆうぼうな治療ちりょうアプローチとなると考かんがえられる。ヒトで臨床りんしょう試験しけんが行おこなわれているHGFとMETを標的ひょうてきとした実験じっけん的てき治療ちりょう薬やくのリストはこちらで見みることができる。

METのキナーゼ阻害そがい剤ざい

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詳細しょうさいは「c-MET阻害そがい剤ざい（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

キナーゼ阻害そがい剤ざいは、ATPがMETに結合けつごうするのを防ふせぎ、受容じゅよう体たいのトランスリン酸化さんかと下流かりゅうのエフェクター分子ぶんしのリクルートを防ふせぐ低てい分子ぶんしである。キナーゼ阻害そがい剤ざいの限界げんかいは、METのキナーゼ活性かっせい依存いぞん的てきな活性かっせいを阻害そがいするだけであること、METに対たいする十分じゅうぶんな特異とくい性せいを示しめすものはまだ存在そんざいしないことである。

  • K252a（Fermentek Biotechnology）は土壌どじょう菌きんNocardiopsis sp.から単たん離はなされたスタウロスポリンアナログであり、すべての受容じゅよう体型たいけいチロシンキナーゼの阻害そがい剤ざいである。K252aはnMレベルの濃度のうどで野生やせい型がたと変異へんい型がた（M1268T）のMETの機能きのうを阻害そがいする[63]。
  • SU11274（SUGEN）は、METのキナーゼ活性かっせいとその後ごのシグナル伝達でんたつを特異とくい的てきに阻害そがいする。また、SU11274はM1268T、H1112Y型がたMET変異へんい体たいの効果こうか的てきな阻害そがい剤ざいであるが、L1213V、Y1248H型がた変異へんい体たいには効果こうかがない[64]。SU11274はHGFによって誘導ゆうどうされる上皮じょうひ細胞さいぼうとがん細胞さいぼうの運動うんどう性せいと浸潤しんじゅん性せいを阻害そがいすることが示しめされている[65]。
  • PHA-66572（ファイザー）はMETのキナーゼ活性かっせいを特異とくい的てきに阻害そがいし、METのHGF依存いぞん的てきなリン酸化さんかと恒常こうじょう的てきなリン酸化さんかの双方そうほうを阻害そがいすることが示しめされている[66]。さらに、MET遺伝子いでんしが増幅ぞうふくしている腫瘍しゅようの一部いちぶは、PHA-665752処理しょりに対たいしてきわめて高たかい感受性かんじゅせいを示しめす[67]。
  • チバンチニブ（英語えいご版ばん）（ARQ197、ArQule）はMETの有望ゆうぼうな選択せんたく的てき阻害そがい剤ざいで、2008年ねんに第だい2相そうの臨床りんしょう試験しけんが行おこなわれたが、2017年ねんに第だい3相そう試験しけんは失敗しっぱいに終おわった[68]。
  • フォレチニブ（英語えいご版ばん）（XL880、Exelixis）は、増殖ぞうしょく促進そくしんと血管けっかん新生しんせい作用さようを持もつ複数ふくすうの受容じゅよう体型たいけいチロシンキナーゼを標的ひょうてきとする。フォレチニブの主要しゅような標的ひょうてきはMETとKDR（英語えいご版ばん）（VEGFR2）である。フォレチニブは、乳頭にゅうとう状じょう腎じん細胞さいぼうがん、胃いがん、頭あたま頸部がんに対たいする第だい2相そう試験しけんが終了しゅうりょうしている。
  • SGX523（SGX Pharmaceuticals）はnMレベルの低ひくい濃度のうどでMETを特異とくい的てきに阻害そがいする。
  • MP470（SuperGen）はc-Kit 、MET、PDGFR（英語えいご版ばん）、FLT3、AXLに対たいする新規しんき阻害そがい薬やくである。MP470の第だい1相そう臨床りんしょう試験しけんが2007年ねんに発表はっぴょうされている。

HGF阻害そがい剤ざい

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HGFはMETの既知きちの唯一ゆいいつのリガンドであるため、HGF:MET複ふく合体がったいの形成けいせいを防ふせぐことでMETの生物せいぶつ学がく的てき活性かっせいを防ふせぐことができる。こうした目的もくてきのために、切きり詰つめられたMETや抗こうHGF中和ちゅうわ抗体こうたい、非ひ切断せつだん型がたHGFがこれまで利用りようされてきた。HGF阻害そがい薬やくの大おおきな限界げんかいは、HGF依存いぞん的てきなMETの活性かっせい化かしか防ふせぐことができない点てんである。

  • NK4はHGFと競合きょうごうし、METと結合けつごうしても受容じゅよう体たいの活性かっせい化かを引ひき起おこさない。そのため、完全かんぜんアンタゴニストとして機能きのうする。NK4はHGFのN末端まったんヘアピンと4つのクリングルドメイン（英語えいご版ばん）を持もつ分子ぶんしである。さらに、NK4はアンジオスタチンと構造こうぞう的てきに類似るいじしており、そのため抗こう血管けっかん新生しんせい作用さようを持もつ[69]。
  • 抗こうHGF中和ちゅうわ抗体こうたいは当初とうしょは複数ふくすう種類しゅるいの組くみ合あわせで試験しけんされており、HGFの異ことなるエピトープに作用さようする少すくなくとも3つの抗体こうたいがMETチロシンキナーゼの活性かっせい化かを防ふせぐために必要ひつようであることが示しめされた[70]。近年きんねんになって、完全かんぜんヒトモノクローナル抗体こうたいが個別こべつにヒトのHGFに結合けつごうして中和ちゅうわし、マウスモデルで腫瘍しゅようの退すさ縮ちぢみを引ひき起おこすことが示しめされた[71]。ヒト化か抗体こうたいAV299（AVEO）、完全かんぜんヒト抗体こうたいAMG102（アムジェン）の2つの抗こうHGF抗体こうたいが現在げんざい利用りよう可能かのうである。
  • 非ひ切断せつだん型がたHGFは1アミノ酸あみのさん置換ちかんによって改変かいへんされたHGF前駆ぜんく体たいであり、前駆ぜんく体たいの切断せつだんによる成熟せいじゅくが防ふせがれる。非ひ切断せつだん型がたHGFはMETに高たかい親和しんわ性せいで結合けつごうし、成熟せいじゅくHGFと置おき換かわることでMETによって誘導ゆうどうされる生物せいぶつ学がく的てき反応はんのうをブロックすることができる。さらに非ひ切断せつだん型がたHGFは、HGF前駆ぜんく体たいの切断せつだんを担になうプロテアーゼの触媒しょくばいドメインを内在ないざい性せいの野生やせい型がたHGF前駆ぜんく体たいと競合きょうごうする。非ひ切断せつだん型がたHGFの局所きょくしょ的てきまたは全身ぜんしん性せいの発現はつげんは腫瘍しゅようの成長せいちょうを阻害そがいし、転移てんいも防ふせぐ[72]。

デコイMET

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デコイMETは切きり詰つめられた可溶性かようせいのMET受容じゅよう体たいである。デコイはリガンドの結合けつごうとMET受容じゅよう体たいのホモ二に量りょう体からだ化かの双方そうほうを防ふせぐため、HGF依存いぞん的てきなMETの活性かっせい化かと非ひ依存いぞん的てきな活性かっせい化かの双方そうほうを阻害そがいすることができる。CGEN241（Compugen）は、腫瘍しゅようの成長せいちょうと転移てんいを高こう効率こうりつで防ふせぐことが動物どうぶつモデルで示しめされている[73]。

METを標的ひょうてきとした免疫めんえき療法りょうほう

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免疫めんえき療法りょうほうに用もちいられる薬剤やくざいは、MET発現はつげん細胞さいぼうに対たいする免疫めんえき反応はんのうを強化きょうかするか、または免疫めんえき細胞さいぼうを刺激しげきし腫瘍しゅよう細胞さいぼうの分化ぶんか・増殖ぞうしょくに変化へんかを与あたえる[74]。

受動じゅどう免疫めんえき療法りょうほう

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モノクローナル抗体こうたいの投与とうよは、一種いっしゅの受動じゅどう免疫めんえき療法りょうほうである。モノクローナル抗体こうたいは補ほ体たい依存いぞん性せい細胞さいぼう傷害しょうがい（CDC）と抗体こうたい依存いぞん性せい細胞さいぼう傷害しょうがい（ADCC）によって腫瘍しゅよう細胞さいぼうの破壊はかいを促進そくしんする。CDCにおいては、モノクローナル抗体こうたいは特定とくていの抗原こうげんに結合けつごうして補ほ体たい系けいの活性かっせい化かを引ひき起おこし、腫瘍しゅよう細胞さいぼうに孔あなの形成けいせいを引ひき起おこす。ADCCにおいては、モノクローナル抗体こうたいのFabドメインが主要しゅよう抗原こうげんに結合けつごうし、Fcドメインがエフェクター細胞さいぼう（食しょく細胞さいぼうとNK細胞さいぼう）に存在そんざいするFc受容じゅよう体たいに結合けつごうすることで、エフェクター細胞さいぼうと標的ひょうてき細胞さいぼうの間あいだにブリッジを形成けいせいする。これによってエフェクター細胞さいぼうの活性かっせい化かが誘導ゆうどうされ、好こう中ちゅう球だまやマクロファージによる腫瘍しゅよう細胞さいぼうに対たいする食しょく作用さようが引ひき起おこされる。さらに、NK細胞さいぼうは細胞さいぼう傷害しょうがい性せい分子ぶんしを放出ほうしゅつし、腫瘍しゅよう細胞さいぼうを溶解ようかいする[74]。

  • DN30は抗こうMETモノクローナル抗体こうたいで、METの細胞さいぼう外がい部分ぶぶんを認識にんしきする。DN30はMETの細胞さいぼう外がいドメインのシェディングと細胞さいぼう内ないドメインの切断せつだんを誘導ゆうどうし、細胞さいぼう内ないドメインはプロテアソームによって分解ぶんかいされる。その結果けっか、細胞さいぼうの内側うちがわではMETは不ふ活性かっせい化かされ、外側そとがわではシェディングされたMETの細胞さいぼう外がいドメインがデコイとして他ほかのMET受容じゅよう体たいの活性かっせい化かを妨さまたげる。DN30は腫瘍しゅようの成長せいちょうを阻害そがいし転移てんいを防ふせぐことが動物どうぶつモデルで示しめされている[75]。
  • OA-5D5はone-armed antibodyと呼よばれる一本いっぽん腕うでの抗こうMET抗体こうたいであり、同所どうしょ移植いしょくされた膵臓すいぞう腫瘍しゅよう[76]と膠にかわ芽め腫しゅ[77]において腫瘍しゅよう成長せいちょうを阻害そがいすること、腫瘍しゅよう異種いしゅ移植いしょくモデルで生存せいぞん率りつを改善かいぜんすることが示しめされている。OA-5D5は大腸菌だいちょうきんEscherichia coliで組くみ換かえタンパク質たんぱくしつとして生産せいさんされ、マウスの重じゅう鎖くさりと軽けい鎖くさりの可変かへん領域りょういきとヒトのIgG1の定常ていじょう領域りょういきから構成こうせいされる。抗体こうたいはHGFのMETへの結合けつごうを競合きょうごう的てきに阻害そがいする。

能動のうどう免疫めんえき療法りょうほう

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MET発現はつげん細胞さいぼうに対たいする能動のうどう免疫めんえき療法りょうほうは、インターフェロンやインターロイキン（IL-2）などのサイトカインの投与とうよによって行おこなわれ、多数たすうの免疫めんえき細胞さいぼうの非特異ひとくい的てきな刺激しげきを引ひき起おこす。インターフェロンは多おおくの種類しゅるいのがんに対たいする治療ちりょうとしての試験しけんが行おこなわれており、治療ちりょう効果こうかが示しめされている。IL-2は、MET活性かっせいの調節ちょうせつ異常いじょうが多おおく見みられる腎じん細胞さいぼうがんと転移てんい性せいメラノーマに対たいする治療ちりょうとして、アメリカ食品しょくひん医薬品いやくひん局きょく（FDA）に承認しょうにんされている[74]。

相互そうご作用さよう

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METは次つぎに挙あげる因子いんしと相互そうご作用さようすることが示しめされている。

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