CD-DA

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Compact Disc Digital Audio
CD-DA
メディアの種類しゅるい ひかりディスク
記録きろく容量ようりょう 74ふん(783MB相当そうとう)※規格きかくじょう容量ようりょう
79ふん57びょう(835MB相当そうとう)※最大限さいだいげん容量ようりょう
コーデック リニアPCM 16bit 44.1kHz
2.0chステレオ
速度そくど 1.2 Mbps
(150 kiB/s、1ばいそく
回転かいてん速度そくど 200 - 530 rpm
方法ほうほう 780 nm赤外線せきがいせんレーザー
策定さくてい ソニーフィリップス
おも用途ようと 音声おんせい
ディスクの直径ちょっけい 12 cm
おおきさ 120×120×1.2 mm
関連かんれん規格きかく コンパクトディスク
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CD-DACompact Disc Digital Audio)は、コンパクトディスク (CD) に音楽おんがくなどの音声おんせいデータデジタルデータ)を記録きろくする規格きかくである。コンパクトディスク開発かいはつともなって、1980ねんフィリップスソニーによって規格きかくされ、1982ねん10月1にち世界せかいはつ商用しょうようソフトとしてビリー・ジョエルアルバムニューヨーク52ばんがい』が発売はつばいされた[1]。これは一般いっぱん消費しょうひしゃけの音楽おんがく供給きょうきゅう媒体ばいたいとして実用じつようされたデジタルオーディオとしても世界せかいはつである。なお「CD」と場合ばあい、ほとんどがこの項目こうもく説明せつめいするCD-DAの規格きかく沿ったひかりディスク、またそのひかりディスクを媒体ばいたいとする音楽おんがくソフトそのものを[2]

従来じゅうらいのアナログオーディオと比較ひかくして、CD-DAはほとんどメンテナンスフリーかつディスクをプレーヤーに配置はいちするだけで再生さいせいでき、ワウフラッターノイズく、人間にんげん可聴かちょう帯域たいいき大体だいたい20Hzへるつ~20000Hzへるつ帯域たいいき)の音声おんせい記録きろく再生さいせい対応たいおうしたオーディオ規格きかくとなっている。ディスクのおおきさが最大さいだい12cmで、プレーヤーに複雑ふくざつ機構きこうもうける必要ひつようもないため、プレーヤーの小型こがた容易よういになっている。このような利便りべんせいたかさから急速きゅうそく普及ふきゅうし、アナログレコードわって世界せかい標準ひょうじゅん音楽おんがく供給きょうきゅう媒体ばいたいになり、のデジタルオーディオシステムにも影響えいきょうあたえた。

CD-DA規格きかく制定せいてい当時とうじはディスクに記録きろくされたデジタルデータをコピー(リッピング)する手段しゅだんがなかった。しかし1990年代ねんだい後半こうはんWindowsパソコン普及ふきゅうにバックアップツールが登場とうじょうしたうえ、CD-DAにはSCMSフラグ以外いがい著作ちょさくけん保護ほご機能きのう存在そんざいしないことから、コピーを無制限むせいげんおこなえることが問題もんだいされた[3]。この対策たいさくとしてコピーコントロールCD(CCCD)とばれるコピーガードを搭載とうさいしたディスクなどが登場とうじょうするが、エラーが多発たはつ[注釈ちゅうしゃく 1]して音質おんしつ低下ていかしたり、一部いちぶのプレーヤーでは再生さいせい自体じたいができないか故障こしょう原因げんいんになるなどの弊害へいがいがある。またコピーガードを搭載とうさいしたことで、CD-DAの仕様しようから逸脱いつだつしたディスクにはCD-DAのロゴマークを付与ふよすることができない。このような問題もんだいからCCCDは登場とうじょうから2ねんはん市場いちばから撤退てったいはじめた[4]

一方いっぽう音質おんしつ向上こうじょう観点かんてんから、CD-DAの仕様しよう範囲はんいないの「高音こうおんしつCD」とばれる製品せいひん登場とうじょうしたり、ハイレゾなどの音質おんしつ向上こうじょう技術ぎじゅつ採用さいようされた音楽おんがくCDも開発かいはつされている。高音こうおんしつ処理しょりほどこされていない旧来きゅうらいのCDであっても、こうタップすう有限ゆうげんインパルス応答おうとうフィルタ適用てきよう倍音ばいおん復元ふくげんなどの高度こうど計算けいさん処理しょりともなアップサンプリングおこなうことで再生さいせいDACにおける情報じょうほう欠損けっそん最小さいしょうし、本物ほんものハイレゾ音源おんげんにはおよばないものの生々なまなましい再生さいせいおんることが可能かのうとなった。

こうしてCD-DAは登場とうじょう以来いらい音声おんせいコンテンツを供給きょうきゅうする規格きかくとして利用りようされつづけている。しかし生産せいさんりょうは12 cmのCDアルバムにかんしては、1998ねんの3おく291まん3せんまいをピーク[5]減少げんしょうしている。そしてインターネットかいして利用りようする音楽おんがく配信はいしんサービス[注釈ちゅうしゃく 2]普及ふきゅうするにともない、CDの市場いちば縮小しゅくしょうつづけている[7]

仕様しよう[編集へんしゅう]

規格きかくしょレッドブック」によりライセンスされているが、これは表紙ひょうしいろあかであったことに由来ゆらいする[8]。レッドブックは機密きみつ文書ぶんしょのため契約けいやくしゃ以外いがいには公開こうかいされないが、IEC-60908 Audio recording - Compact disc digital audio system標準ひょうじゅんされている。

コピーガードがけられていたり、DTS-CDとうのサラウンドデータが収録しゅうろくされている場合ばあいのぞいて、CD-DAの本体ほんたいおよびパッケージには、「compact disc digital audio」ロゴがいている。

おも仕様しよう下記かきである。ほかにも詳細しょうさい規定きていがある。

CD-DAは最大さいだい99のトラックおさめることが可能かのうであり、かくトラックには最大さいだい99のインデックスを付与ふよすることが可能かのうとなっている。

サブチャンネル[編集へんしゅう]

かくセクターには2352バイト(24×98)のオーディオ・データ、および96バイトのサブチャンネル・データがはいされる。

かくセクターの96バイトのサブチャンネル情報じょうほうにはかく24バイトのパケットが4つはいされる。内容ないようは1バイトのコマンド、1バイトのインストラクション、2バイトのパリティQ、16バイトのデータ、4バイトのパリティPである。

96のサブチャンネル・データのかくバイトは8ビットにわけてかんがえられる。そのかくビットは、それぞれ別個べっこのデータ・ストリームに対応たいおうしている。これらのストリームは“チャンネル”とばれ、Pからはじまるラベルをされている。

Channel P Q R S T U V W
Bit 7 6 5 4 3 2 1 0

チャンネルPおよびQは通常つうじょうのオーディオCDではタイミング情報じょうほうためもちいられる。これらはCDプレーヤがディスクないでの現在げんざい位置いち追跡ついせきするのを補助ほじょし、同時どうじにCDプレーヤの時間じかん表示ひょうじため情報じょうほうにもきょうされる。

チャンネルQは、より高性能こうせいのうなプレーヤの制御せいぎょ目的もくてき使つかわれる。MCNISRCふくむ。ISRCはメディア産業さんぎょうもちいられ、ふくまれる情報じょうほうとして、オリジナルばんくに発売はつばいねん権利けんりしゃ、そしてシリアル・ナンバー、およ以下いかようないくつかの追加ついかタグがある。

データ
このトラックは(オーディオよりも)データをふくむ。オーディオCDプレーヤをミュートさせるためもちいること可能かのう
SCMSフラグ
トラックのデジタル・コピーにかんする権限けんげんしめすSCMSのため使用しようされる。ただし、トラックが暗号あんごうされるわけではないので、SCMSフラグの設定せってい意図いとてき無視むししてリッピングおこなこと可能かのうである(とくPCようリッピングツールの場合ばあい)。
4チャンネルCD
このトラックは4チャンネル・オーディオをもちいる。CDにいては使つかわれることかった。

プリエンファシス[編集へんしゅう]

トラックのプリエンファシス有無うむしめため使用しようされる。フラグはTOCかくトラックのサブコードてられる。再生さいせいはプリエンファシスフラグることでディエンファシス処理しょりほどこすかどうかを決定けっていする。TOCかサブコードのどちらか片方かたがたのみにプリエンファシスフラグがっているCDも存在そんざいするが、パソコンとう再生さいせい環境かんきょうってはまさしく判定はんていできない問題もんだい発生はっせいる。CD黎明れいめいおおもちいられたが、段々だんだん利用りようされなくなった。

チャンネルRからWはユーザーデータを格納かくのうするため領域りょういきとしている。曲名きょくめいなどをCD-TEXTや、画像がぞう格納かくのうするCD+GMIDI格納かくのうするCD-MIDIなどの規格きかく存在そんざいする。

回転かいてん速度そくど[編集へんしゅう]

それまでのレコードでは一定いってい回転かいてん角速度かくそくど一定いってい)により外周がいしゅうからうちしゅうけて記録きろく信号しんごうしていたのにたいし、CD-DAではぎゃくうちしゅうから外周がいしゅう回転かいてん速度そくどちてき、せん速度そくど一定いっていされる(CLV)。せん速度そくど規格きかくにより1.2から1.4 m/sとさだめられている。これにはデータの先頭せんとう位置いちであるさいうちしゅう最低さいてい459 rpm、さい外周がいしゅう最低さいてい198 rpmの回転かいてんすう必要ひつようとなる。

データ転送てんそう速度そくど[編集へんしゅう]

音楽おんがくCD(CD-DA形式けいしき)のデータの転送てんそう速度そくどとう倍速ばいそくで1ばいそく(1.2 Mbps=150 kiB/s)であり、この1ばい基準きじゅんとして、転送てんそう速度そくどあらわすのに「○倍速ばいそく」といういいかたをする。最大さいだい記録きろく時間じかんは640 MBのディスクでやく72ふん、650 MBのディスクでやく74ふん、700 MBのディスクでやく80ふんとなる。ただし規格きかくじょうは97ふんまで可能かのう

記録きろく性能せいのう[編集へんしゅう]

規格きかく策定さくてい当時とうじ業務ぎょうむ用途ようとのデジタル録音ろくおん使つかわれていたPCMプロセッサー同等どうとう記録きろく性能せいのうつ。

ビット深度しんどとダイナミックレンジ[編集へんしゅう]

16 bitというビット深度しんど計算けいさんじょう96 dBのダイナミックレンジをつ。規格きかく策定さくていフィリップス実現じつげん容易よういな14 bit(計算けいさんじょう84 dBでしべるのダイナミックレンジ)を提示ていじしたが、ソニーとく土井どい利忠としただ)が21世紀せいきにおいても通用つうようするシステムとするべく少々しょうしょう無理むりをする必要ひつようがある16 bitをつよ主張しゅちょうつづけて採用さいようされた経緯けいいがある[9]ただし、16 bitというビット深度しんどつ96 dBでしべるダイナミックレンジは、マイクダイナミックレンジである100~130 dBでしべる程度ていど比較ひかくするとやや不足ふそくしている[10][11]

サンプリング周波数しゅうはすうおと周波数しゅうはすう[編集へんしゅう]

おおむね20 kHzきろへるつ前後ぜんこう周波数しゅうはすうまで記録きろく出来できる。これは標本ひょうほん定理ていりによるものである。リニアPCMは理論りろんじょうサンプリング周波数しゅうはすうの2ぶんの1までの周波数しゅうはすうおと標本ひょうほん可能かのうであるため、CD-DAのサンプリング周波数しゅうはすう44,100 Hzへるつ半分はんぶんである22,050 Hzへるつ記録きろく可能かのう周波数しゅうはすう上限じょうげんとなる。このえる周波数しゅうはすうたいかえ雑音ざつおんとなるため、通常つうじょう録音ろくおんから音楽おんがくCDがつくられるまでのあいだフィルターけられる。そのため22,050 Hzへるつよりたか周波数しゅうはすう、フィルターのカットオフ周波数しゅうはすう領域りょういきはカット・減衰げんすいされ記録きろくされていない。ちなみにサンプリング周波数しゅうはすうが44.1 kHzきろへるつという一見いっけん中途半端ちゅうとはんぱであるのは初期しょきのデジタル録音ろくおんVTR流用りゅうようしていたことに起因きいんする。CDの開発かいはつ当時とうじはリニアスキャン方式ほうしき音声おんせいようテープにデジタル記録きろくすることが記録きろく密度みつど不足ふそくにより不可能ふかのうであったため、PCMプロセッサー映像えいぞう信号しんごう変換へんかんしてヘリカルスキャン方式ほうしきのビデオテープに記録きろくすることおおかった。

音楽おんがくCDの種別しゅべつ[編集へんしゅう]

音楽おんがくCDとして流通りゅうつうするディスクのだい部分ぶぶんはCD-DAであるが、一部いちぶ例外れいがいもある。CD EXTRA (CD-DA+) はCD-DAに後方こうほう互換ごかんせいがあり、CD-DAようのプレーヤー(CDプレーヤー)やPCCDドライブ再生さいせい可能かのうである。また、リッピングふせぐため独自どくじ規格きかくとしたコピーコントロールCD (CCCD) セキュアCD(ライセンスを逸脱いつだつした製品せいひんのため、厳密げんみつには「CD」とはべない)は、オーディオメーカーやPCメーカーでは動作どうさ保証ほしょうがいとしており、一部いちぶのCD-DAようプレーヤーやPCのCDドライブでは再生さいせい不可能ふかのうである(最悪さいあく場合ばあい機器きき破損はそんすることもある)。詳細しょうさいコピーコントロールCD#問題もんだいてん参照さんしょう

また、時代じだいすすむにつれて、CD-DAのわくえた高音こうおんしつがCD-DAの仕様しよう逸脱いつだつしない範囲はんい実現じつげんできるように、様々さまざま量子りょうしノイズ整形せいけい技術ぎじゅつやデータ圧縮あっしゅく技術ぎじゅつ投入とうにゅうされている。最先端さいせんたんでは、MQA-CDのハイレゾデータのかくしコード技術ぎじゅつ[注釈ちゅうしゃく 3]がある。ただし、かくしコードのハイレゾデータを利用りようするためには専用せんようデコーダーをとお必要ひつようがある。

規格きかくない
通常つうじょうのCD
SPARS(The Society of Professional Audio Recording Studios)コード
デジタル機器きき高価こうか普及ふきゅうしていない1980年代ねんだいにはコスト問題もんだいアナログレコードようマスターテープ流用りゅうようするケースが多々たたあり、制作せいさく工程こうていがデジタル処理しょりかアナログ処理しょりかというちがいも散見さんけんされた。制作せいさく工程こうてい区別くべつする手段しゅだんとして、Society of Professional Audio Recording Services英語えいごばんさだめたSPARSコード英語えいごばんがあり、デジタル処理しょりは「D」、アナログ処理しょりは「A」の表記ひょうきレコーディングミキシングマスタリングじゅんに「AAD」,「ADD」,「DAD」,「DDD」と音楽おんがくCDに明記めいきされる。デジタル環境かんきょうへの移行いこう完了かんりょうした1990年代ねんだい以降いこう音楽おんがくCDは新作しんさく場合ばあい「DDD」で制作せいさくされることが普通ふつうで、SPARSコードが明記めいきされていない音楽おんがくCDがほとんどであるが、フルデジタル処理しょりたりまえ時代じだいにオーディオマニアけとしてえてアナログ処理しょり工程こうてい採用さいようして明記めいきする場合ばあいもある[12][13][注釈ちゅうしゃく 4]
高音こうおんしつCD
これらはいずれも既存きそんのCDプレーヤー、PCのCDドライブで再生さいせいできる。PCではリッピングも可能かのう。あくまでもCD-DAの規格きかくないおもダイナミックレンジ拡張かくちょう着目ちゃくもくしてほろ修正しゅうせいくわえただけであり、高音こうおんしつという役割やくわりハイレゾリューションオーディオってわられている(下記かき一覧いちらんにあるMQA-CDはどちらかとえばMQAという様々さまざま流通りゅうつう形態けいたい想定そうていしたハイレゾ規格きかくの1形態けいたいである)。
エンコードの改良かいりょう
CD-DAがビット深度しんどの16 bitから単純たんじゅん計算けいさんされる96 dBでしべるよりひろダイナミックレンジを、ノイズシェーピングやディザコンパンダ原理げんり駆使くしして16 bitデータにとしみ、標準ひょうじゅんてきCDプレイヤー搭載とうさいする44.1kHzきろへるつ/16bitのDAC最適さいてきして効果こうかられるようにした方法ほうほう中心ちゅうしんであったが、エンコード技術ぎじゅつ進歩しんぽCDプレイヤーDACまわりの機能きのう拡張かくちょうによってハイレゾデータ自体じたいをCD-DAのわくない下位かい互換ごかんせいたせたかたち記録きろく/再生さいせい可能かのうとした規格きかくあらわれている。
  • Super Bit Mapping - 1992ねんにソニーが開発かいはつ。CD-DAなど16 bitデジタルオーディオの高音こうおんしつ技術ぎじゅつ先駆さきがけとなった。20 bitのデジタル音源おんげんを16 bitに変換へんかんするさいディザを使つかわないわりにノイズシェーピングをもちい、ちゅうていいき量子りょうしノイズをエネルギー密度みつどひくくなるこういき集中しゅうちゅうさせることで聴感じょうのダイナミックレンジを拡張かくちょうする。
  • 20bit K2スーパーコーディング - JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント開発かいはつ1993ねん実用じつようされ、20 bit相当そうとうダイナミックレンジディザによって16 bitデータにんだCDにマークが記載きさいされた[14][15]
  • Extended Resolution Compact Disc (XRCD) - JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントが開発かいはつ一時期いちじきのぞいてあまり生産せいさんされなくなった。
  • HDCD - 音声おんせいデータの最下位さいかいビット(普通ふつうではれない最小さいしょう振幅しんぷくあらわすビット)にかくしコードがまれており、対応たいおうプレーヤーではかくしコードをって適応てきおうがたローパスフィルターやディザ、プリエンファシスや波形はけいのピーク拡張かくちょう(あるしゅコンパンディング)のオプション機能きのう適用てきようして音質おんしつ向上こうじょうできる。HDCDはCD-DAの16bitデータにたいして様々さまざま処理しょりくわえてダイナミックレンジや位相いそう特性とくせい改善かいぜんする技術ぎじゅつであって、20bit - 24bitのデータをCD-DAにエンコードする技術ぎじゅつではない。HDCDに対応たいおうしない一般いっぱんてきなプレーヤーではかくしコードはききとれない程度ていど微小びしょうノイズとして再生さいせいされる。
  • MQA-CD - ハイレゾデータの20 kHzきろへるつえる周波数しゅうはすう成分せいぶんをCD-DAの下位かいビット(おもにLSBをふく下位かいすうビット)にかくしコードとしてエンコードしたCD。CD-DAの改良かいりょうというよりもMQAというハイレゾ規格きかくの1形態けいたいであり、従来じゅうらいのCD-DAでは不可能ふかのうな20 kHzきろへるつえるちょう高音こうおんいき専用せんようのデコーダーをとおすことで下位かいビットのかくしコードから元通もとどおりに展開てんかいすることが可能かのうになった。公式こうしきにはCD-DAで記録きろく可能かのう可聴かちょう帯域たいいきちょう高音こうおんいきたた圧縮あっしゅく技術ぎじゅつを『オーディオがみ[16]んでいる。20 kHzきろへるつよりたか周波数しゅうはすう成分せいぶん振幅しんぷくちいさく、CD-DAの下位かいビットだけでも劣化れっかさせずに記録きろく可能かのうであることを仮定かていしており、従来じゅうらいのCD-DAとおなじデータサイズで、352.8 kHzきろへるつ/24 bitのマスターからのデータも劣化れっかさせずに記録きろく可能かのうとしている。データサイズをおさえて様々さまざま環境かんきょうへの負荷ふからしたうえで、おとのにじみをむプリーエコーやポストエコーを人間にんげん知覚ちかく限界げんかいせま水準すいじゅんまでおさえながら、ハイレゾマスターのおと消費しょうひしゃとどけるシステムとしてMQAがつくられており、その一部いちぶとして配信はいしんようのMQAエンコードみファイルや、CD-DAにMQAエンコードをおこなったMQA-CDという製品せいひん想定そうていされている[16][17]。MQAデコーダーしでCD-DAとして再生さいせいした場合ばあいにはハイレゾデータがエンコードされた下位かいビットがノイズとして再生さいせいされるため、有効ゆうこうビット深度しんどが14 bit程度ていどちるというデメリットがしょうじる。
素材そざい改良かいりょう
CDプレイヤーでりやすい素材そざい変更へんこうすることで、ジッターなどの性能せいのう向上こうじょうさせて音質おんしつ向上こうじょうさせる。より良質りょうしつ素材そざいへの変更へんこうとなるため、販売はんばい価格かかくたかくなる傾向けいこうにある。なお、リッピングしてデータする場合ばあいはCDの精度せいど関係かんけいなくなるため、純粋じゅんすいにCDプレイヤーにおける再生さいせい目的もくてきとした改良かいりょうとなる。
後方こうほう互換ごかん
  • CD EXTRA (CD-DA+) - CD-DA規格きかく音楽おんがくデータと、PCで表示ひょうじできるデータを1まい収録しゅうろくできる。2000年代ねんだい初頭しょとうまで製造せいぞうされ、音楽おんがくCDの付録ふろくとして特典とくてん映像えいぞうやコンピュータ・プログラムなどを収録しゅうろくすることがおおかったが、DVDけることがえたため衰退すいたいした。
互換ごかんのないべつ規格きかく
  • Super Audio CD(SACD) -「次世代じせだいCD規格きかく」とばれるが、CD-DAが採用さいようしたPCMとは根本こんぽんてきことなる記録きろく原理げんりであるDSD採用さいようした規格きかくであり、物理ぶつりてき構造こうぞうはDVDにちかい。通常つうじょうのCDと互換ごかんせいはなく、コピーガード採用さいようしている。PCでは再生さいせいできない。ただし、SACDそうとCD-DAそうもうけたハイブリッドばん発売はつばいされている。おなじくCD-DAの次世代じせだいされた規格きかくにはDVD-Audioという規格きかく存在そんざいする。
規格きかくがい
下記かきは「レッドブック」の規格きかくから逸脱いつだつした仕様しよう製品せいひんのため、厳密げんみつには「CD」とはべない。
  • コピーコントロールCD (CCCD) - リッピング防止ぼうしのため意図いとてきにエラーを仕込しこんだ規格きかくがい製品せいひんであり、様々さまざま問題もんだいから2006ねんまでに衰退すいたいした。
  • セキュアCD - 2005ねんから2006ねんまで流通りゅうつうしたしん規格きかくのコピーコントロールCD。東芝とうしばEMI開発かいはつしたが、短期間たんきかん消滅しょうめつした。

ゲームソフトのBGM用途ようと[編集へんしゅう]

かつてパソコンよう家庭かていようゲームようゲームソフト媒体ばいたいCD-ROMであった時代じだいには、BGMをCD-DAで収録しゅうろくしている作品さくひんミックスモードCD)もあった。BGM演奏えんそうにCD-DAが採用さいようされた理由りゆうとしては、当時とうじのパソコンや家庭かていようゲーム搭載とうさいされていた内蔵ないぞう音源おんげんよりも高音こうおんしつだったためである[注釈ちゅうしゃく 5]

こうした作品さくひん1980年代ねんだい末期まっき以降いこうから登場とうじょうするようになり、一時いちじひろもちいられたものの、以下いか理由りゆうなどにより次第しだいすくなくなった。

  • ゲームちゅうはゲームディスクが必要ひつようとなる。
  • 1まいのディスクにゲームプログラムとCD-DAデータの両方りょうほうれる必要ひつようがある。ただしこれは利点りてんでもあり、一種いっしゅコピープロテクトとなりソフトの不正ふせいコピー対策たいさくとして一定いってい効果こうかがあり、不正ふせいコピーをこころみる悪質あくしつ消費しょうひしゃから忌避きひされた。
  • 音楽おんがくデータとして収録しゅうろくする場合ばあいよりもCDの容量ようりょうおおきくる。
  • 仕様しようじょう最大さいだい収録しゅうろく時間じかん関係かんけいから、比較的ひかくてき短時間たんじかんしかBGMを収録しゅうろくできない[注釈ちゅうしゃく 6]

家庭かていようゲームのソフト供給きょうきゅう媒体ばいたいDVD-ROM移行いこうしたこと、内蔵ないぞう音源おんげん性能せいのうやプロテクト技術ぎじゅつ向上こうじょう音楽おんがくデータ圧縮あっしゅく規格きかく普及ふきゅうなどにより、2000年代ねんだい以降いこうはゲームソフトのBGM演奏えんそうにCD-DAが使用しようされることはすくなくなった。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ コピー防止ぼうしのためにエラー訂正ていせい機能きのうをわざと酷使こくしさせてCDプレーヤーに多大ただい負荷ふかける
  2. ^ ダウンロード販売はんばいは2003ねん開始かいしiTunes Music Store、ストリーミング配信はいしんは2008ねん開始かいしSpotify[6]
  3. ^ かくしコードとは、LSB(Least-Significant Bit,最下位さいかいビット)がわおとれない程度ていど微小びしょう振幅しんぷくビット列びっとれつむということ。つまりかくしコードをデコードせずに通常つうじょうのCD-DAとして再生さいせいする場合ばあいには下位かいすうビットが無意味むいみなデータで破壊はかいされた状態じょうたい(ノイズ)になる。音声おんせいデータの一部いちぶこわしてまでかくしコードおこな理由りゆうは、CD-DAの規格きかくじょう元々もともと音声おんせいデータ領域りょういきほか追加ついかデータをれられる領域りょういきいためである。
  4. ^ ふる時代じだいのレコーディングでマスターテープがアナログしかのこされていない場合ばあいは、可能かのうかぎりデジタル処理しょりせたとしてもADDの工程こうてい採用さいようするしかない。またアナログマスターテープのおとをそのままCDに記録きろくするような企画きかく場合ばあいはAADの工程こうてい採用さいようする。DDDによる音圧おんあつたかワウフラッターのない安定あんていしたおと普及ふきゅうしきった時代じだいには、高度こうど処理しょりほどこせるADDの採用さいよう一般いっぱんてきであるが、ぎゃくにAADのマスターテープそのままのおと見直みなおされる場面ばめんてきている。
  5. ^ たとえばPCエンジンメガドライブでCD-ROMを使用しようするための周辺しゅうへん機器ききであるCD-ROM2メガCD発売はつばいされたさいは、それまでのゲームよりも音質おんしつたか音楽おんがく効果こうかおん人間にんげん肉声にくせいなどをゲームないおおもちいることができるてん特長とくちょうの1つとしておおきくげられた。
  6. ^ いちれいとして、PC-98はん信長のぶなが野望やぼう天翔あまがけ』ではBGMとして内蔵ないぞう音源おんげんとCD-DA音源おんげんの2種類しゅるいえらべるが、CD-DA音源おんげん内蔵ないぞう音源おんげんよりもきょくすうすくなくなっている。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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  11. ^ マイクダイナミックレンジは24bitのビット深度しんど完全かんぜんにカバー可能かのうである。
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関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]