国内こくないそう生産せいさん

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GDPから転送てんそう
くにべつGDP(2016ねん[1] 上段じょうだんMERベース、下段げだんPPPベース。単位たんいは10おくドル。名目めいもくベースでは先進せんしんこくたかく、PPPベースではインドや中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくなどの新興しんこうこくやアフリカなどの発展はってん途上とじょうこくたか表示ひょうじされやすいことがれる。

国内こくないそう生産せいさん(こくないそうせいさん、えい:Gross Domestic Product、略称りゃくしょう:GDPどく:Bruttoinlandsprodukt、略称りゃくしょう:BIP)は、一定いってい期間きかんない国内こくないされたものやサービスの付加ふか価値かち合計ごうけいのこと[2][3]である。その国内こくない領土りょうど居住きょじゅうする経済けいざい主体しゅたい基準きじゅんにした数値すうちで「居住きょじゅうしゃたる生産せいさんしゃによる国内こくない生産せいさん活動かつどう結果けっかされた付加ふか価値かち総額そうがく」をいう[4]

以前いぜんは、景気けいきはか指標しひょうとして国民総生産こくみんそうせいさん (こくみんそうせいさん、えい:Gross National Product、略称りゃくしょう:GNP)がもちいられていたが、1993SNA導入どうにゅうともない、“Gross National Income (GNI、国民こくみんそう所得しょとく)”があらたに導入どうにゅうされ、GNPの概念がいねんはなくなり、現在げんざいはGDPが重視じゅうしされている[2]

なお、GDPは “国内こくない”のため、日本にっぽん企業きぎょう海外かいがい生産せいさんした付加ふか価値かちふくまないのにたいして、GNPは“国民こくみん”のため、国内こくないかぎらず、海外かいがいでの所得しょとくふくんでいる[2]

また、世界せかいそう生産せいさん合計ごうけいは、世界せかいそう生産せいさん (えい:Gross World Product、略称りゃくしょう:GWP)と[5]

概要がいよう[編集へんしゅう]

フローとストックダイアグラム

国内こくないそう生産せいさんは「ストック」にたいする「フローあらわ指標しひょうであり[注釈ちゅうしゃく 1]経済けいざい総合そうごうてき把握はあくする統計とうけいである国民こくみん経済けいざい計算けいさんなかいち指標しひょうで、GDPのりつ実質じっしつ経済けいざい成長せいちょうりつあたいする。

原則げんそくとして国内こくないそう生産せいさんには市場いちば取引とりひきされたざいやサービスの生産せいさんのみが計上けいじょうされる。市場いちば取引とりひきされない活動かつどうは、GDPにはふくまれない[6]。このため、家事かじ労働ろうどうやボランティア活動かつどうなどは国内こくないそう生産せいさんには計上けいじょうされない。このてんは、国民総生産こくみんそうせいさんでもおなじである。こうしたあつかいの例外れいがいとして、いえ家賃やちんなど帰属きぞく計算けいさんおこなわれるものがある。

また、今期こんきあらたに生産せいさんされたのでないざいれい美術びじゅつひん)の取引とりひき最終さいしゅうざい原材料げんざいりょうとなるちゅうあいだざい取引とりひき算入さんにゅうされない。地下ちか経済けいざいなども計上けいじょうされないことが一般いっぱんてきであったが、2014ねん以降いこう、EU圏内けんないでは麻薬まやく取引とりひき売春ばいしゅんサービスも計上けいじょうはじめている[7]。オーストラリアに本部ほんぶき、米国べいこく、メキシコ、オランダ、ベルギーなどに支部しぶ経済けいざい平和へいわ研究所けんきゅうじょによると、GDPは「幸福こうふく国富こくふ関連かんれんせい」をあやまって表現ひょうげんする問題もんだい指標しひょうであり、より測定そくてい方法ほうほう必要ひつようであるとしている。具体ぐたいてき問題もんだいてんとしては、GDPには犯罪はんざい経済けいざいなどがふくまれていることがげられる[8]

国連こくれん統計とうけい委員いいんかい勧告かんこくし、統計とうけい設計せっけいざい概念がいねん設定せっていなどは勧告かんこく沿っておこなわれる。直近ちょっきん勧告かんこくとしては、68SNA93SNA2008SNAがある。

日本にっぽん国内こくないそう生産せいさんは、内閣ないかく(2001ねん中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへん以前いぜん経済企画庁けいざいきかくちょう)が推計すいけいし、速報そくほう改定かいていとして発表はっぴょうしているが、その詳細しょうさい計算けいさん方法ほうほうについては他国たこく同様どうよう公開こうかいされていない。

経済けいざいモデル[編集へんしゅう]

国内こくないそう生産せいさん定義ていぎ[編集へんしゅう]

国内こくないそう生産せいさん定義ていぎするために、実際じっさい経済けいざい単純たんじゅんしたモデルをあたえる[9] 。なお、ここで説明せつめいするGDPは名目めいもくGDPばれるもので、実質じっしつGDPとはことなる。

支出ししゅつめん[編集へんしゅう]

国内こくないには家計かけい企業きぎょう政府せいふさん種類しゅるい経済けいざい部門ぶもんがあり、それとはべつ外国がいこくという経済けいざい部門ぶもんがある。

また生産せいさんぶつ市場いちば生産せいさん要素ようそ市場いちば金融きんゆう市場いちばさん種類しゅるい市場いちばがある。

企業きぎょうざい・サービスを生産せいさんするためにべつ企業きぎょうから購入こうにゅうするざい・サービスを中間ちゅうかんざい・サービスといい、それ以外いがいざい・サービスを最終さいしゅうざい・サービスという。

生産せいさんぶつ市場いちば企業きぎょうおよび外国がいこく自身じしん最終さいしゅうざい・サービスをるための市場いちばで、かく経済けいざい部門ぶもんはこの市場いちばからざい・サービスをる。

中間ちゅうかん生産せいさんぶつは、べつの(ちゅうあいだないし最終さいしゅうざい・サービスをつくるための要素ようそとして使つかわれるので、「じゅうカウント」をけるため、国内こくないそう生産せいさんには企業きぎょう中間ちゅうかん生産せいさんぶつることでかねふくまれない。

企業きぎょうによって生産せいさんされた最終さいしゅうざい・サービスは、だれかが自身じしんのおかね支出ししゅつしてるか、あるいは生産せいさんした企業きぎょう在庫ざいことしてかかむ。在庫ざいこは「将来しょうらい販売はんばいするため商品しょうひん」であるから、企業きぎょう将来しょうらいへの投資とうし支出ししゅつ一種いっしゅとみなせる。したがって生産せいさんされた最終さいしゅうざい・サービスは最終さいしゅうてきだれかの支出ししゅつとなる。 企業きぎょうによる支出ししゅつ投資とうし支出ししゅつばれ、Iであらわされる。家計かけいによる支出ししゅつ消費しょうひ支出ししゅつばれ、Cであらわされる。また政府せいふによる支出ししゅつはGであらわされる。

輸出入ゆしゅつにゅうがない場合ばあい、GDPを国内こくない一定いってい期間きかんあいだ最終さいしゅうざい・サービスにたいしておこなわれた支出ししゅつ総額そうがくともみなせ、つぎ成立せいりつすることがわかる:

 GDP = C + I + G

輸出入ゆしゅつにゅうがある場合ばあい国内こくないそう生産せいさんがくであるGDPのうち、輸出ゆしゅつがくぶんだけ海外かいがいへとる。 また国内こくないそう支出ししゅつC+I+Gの一部いちぶ輸入ゆにゅう使つかわれたものである。 したがって輸入ゆにゅうがくをIMとすると、以上いじょう議論ぎろんより、つぎ成立せいりつすることがわかる:

 GDP = C + I + G + X - IM

要素ようそ市場いちばおよび金融きんゆう市場いちば国内こくないそう生産せいさん(GDP)を定義ていぎするさい直接的ちょくせつてきには使用しようしないが、モデルの全体ぜんたいぞうとらえやすくするため、説明せつめいする。生産せいさん要素ようそ市場いちば企業きぎょう労働ろうどう資本しほんといった生産せいさん要素ようそ家計かけいから購入こうにゅうするための市場いちばで、生産せいさん要素ようそたいする対価たいかとして賃金ちんぎん利潤りじゅん利子りし賃料ちんりょうなどのかたち企業きぎょうから家計かけいかねながむ。

金融きんゆう市場いちばは、銀行ぎんこうあいだ取引とりひき市場いちば証券しょうけん市場いちばおよび外国がいこく為替かわせ市場いちばなどの総称そうしょうで、金融きんゆう市場いちばには家計かけいから民間みんかん貯蓄ちょちくながみ、外国がいこくからは外国がいこく貸付かしつけ株式かぶしき購入こうにゅうによりきむながむ。

企業きぎょう銀行ぎんこう借入かりいれ株式かぶしき発行はっこうにより、金融きんゆう市場いちばから資金しきん調達ちょうたつし、政府せいふ政府せいふ借入かりいれにより金融きんゆう市場いちばから資金しきん調達ちょうたつする。 そして外国がいこく外国がいこく借入かりいれ株式かぶしき売却ばいきゃくにより金融きんゆう市場いちばから資金しきん調達ちょうたつする。

三面さんめん等価とうか原理げんり[編集へんしゅう]

うえでは、企業きぎょうざい・サービスの市場いちば自身じしん最終さいしゅうざい・サービスをり、その対価たいかとして金額きんがくとして国内こくないそう生産せいさん定義ていぎした。これを支出ししゅつによる定義ていぎぶ。

GDPにはこのほか生産せいさんによる定義ていぎ分配ぶんぱいによる定義ていぎがあり、これら3つの定義ていぎすべ同値どうちとなる(三面さんめん等価とうか原理げんり)。

生産せいさんによる定義ていぎ[編集へんしゅう]

国内こくない一定いってい期間きかん(たとえばいち年間ねんかん)に生産せいさんされたすべての最終さいしゅうざい・サービスの総額そうがくとして国内こくないそう生産せいさん定義ていぎする。

企業きぎょうによって生産せいさんされた最終さいしゅうざい・サービスは、だれかが自身じしんのおかね支出ししゅつしてるか、あるいは生産せいさんした企業きぎょう在庫ざいことしてかかむ。在庫ざいこは「将来しょうらいるための商品しょうひん」であるから、企業きぎょう将来しょうらいへの投資とうし支出ししゅつ一種いっしゅとみなせる。したがって生産せいさんされた最終さいしゅうざい・サービスは最終さいしゅうてきだれかの支出ししゅつとなる。よって生産せいさんがくによる定義ていぎ支出ししゅつによる定義ていぎ一致いっちする。

ざい・サービスXにたいし、Xの売上うりあげがくからXをつくるのに使つかったなかあいだざい・サービスの値段ねだんいたものをXの付加ふか価値かちという。国内こくないそう生産せいさん定義ていぎよりあきらかに、国内こくないそう生産せいさんは(ちゅうあいだまたは最終さいしゅうざい・サービスの付加ふか価値かち合計ごうけいひとしい。

分配ぶんぱいによる定義ていぎ[編集へんしゅう]

企業きぎょうざい・サービスをることで、その付加ふか価値かちぶんだけのもうけをる。企業きぎょうもうけの一部いちぶは、賃金ちんぎん利子りし賃料ちんりょう、および租税そぜいとして家計かけい政府せいふ利潤りじゅんとなり、のこりは企業きぎょう利潤りじゅんとなる(そして利潤りじゅん一部いちぶ株主かぶぬしへの配当はいとう内部ないぶ留保りゅうほとなる)。したがって国内こくないそう生産せいさん家計かけい政府せいふ、および企業きぎょうへと分配ぶんぱいされた利潤りじゅん総和そうわとしても定義ていぎ出来できる。

先進せんしん諸国しょこく傾向けいこうとしては、国内こくないそう生産せいさんの3ぶんの2が労働ろうどうしゃぶんとなり、3ぶんの1が地主じぬし株主かぶぬしなどの資本しほんぶんとなる[10]経済けいざい学者がくしゃ飯田いいだ泰之やすゆきは「付加ふか価値かちめる賃金ちんぎん割合わりあいは、3ぶんの2くらいが妥当だとうである」と指摘してきしている[11]

分配ぶんぱいめんから国内こくないそう生産せいさん
  • 国内こくないそう生産せいさん=雇用こようしゃ報酬ほうしゅう+(営業えいぎょう余剰よじょう混合こんごう所得しょとく)+固定こてい資本しほん減耗げんもう+(生産せいさん輸入ゆにゅうひんされるぜい補助ほじょきん

計数けいすう特徴とくちょう[編集へんしゅう]

国民総生産こくみんそうせいさん国内こくないそう生産せいさんちが[編集へんしゅう]

国内こくないそう生産せいさん(GDP)にしても国民総生産こくみんそうせいさん(GNP)にしても、「国籍こくせき」は関係かんけいがない。[4]。「国民総生産こくみんそうせいさん」でいう「国民こくみん」とは当該とうがいこく居住きょじゅうしゃ主体しゅたい対象たいしょうとする経済けいざいてき概念がいねんであり国籍こくせきとは関係かんけいがない[4]個人こじん場合ばあいしゅとして当該とうがい領土りょうどないに6かげつ以上いじょう期間きかん居住きょじゅうしているすべてのひとふく一方いっぽう一般いっぱん国外こくがいに2ねん以上いじょう居住きょじゅうするひと居住きょじゅうしゃとしてあつかわれる[4]

GDPとGNPのちがいははしてきつぎしきであらわされる。 GNP=GDP+だいいち所得しょとく収支しゅうし すなわちGDPに、海外かいがいから利子りし配当はいとうるいくわえたものである。例示れいじすれば、トヨタが海外かいがい付加ふか価値かち計上けいじょうしたとして、海外かいがい雇用こようしゃ支払しはらわれた給与きゅうよ日本にっぽんのGDPにもGNPにも加算かさんされることはないが、付加ふか価値かちうち日本にっぽん利子りし配当はいとうなどのかたち日本にっぽん送金そうきんされたものは、日本にっぽんのGDPには加算かさんされないが、GNPには加算かさんされる。むろんぎゃくのケースでは日本にっぽんのGDPからかれる場合ばあいもある。

くに実体じったい経済けいざい」をあらわ指標しひょうとしては、国民総生産こくみんそうせいさん(GNP)よりも国内こくないそう生産せいさん(GDP)が重視じゅうしされるようになった[12][13]。1980年代ねんだいごろまではくに経済けいざい規模きぼ成長せいちょうはかるものさしとして国民総生産こくみんそうせいさん(GNP)がよくもちいられたが、時代じだいくだるにつれて進展しんてんしていった経済けいざいのグローバルともない、国家こっか単位たんいとする経済けいざい指標しひょうとしては実態じったいそくさなくなったとかんがえられるためである。

国連こくれん1993SNAひとしではGNPの概念がいねんそのものがなくなっており、それにわる概念がいねんとして国民こくみんそう所得しょとく(Gross National Income = GNI)が導入どうにゅうされている[12]国内こくないそう生産せいさん推計すいけいする体系たいけい国民こくみん経済けいざい計算けいさん体系たいけい)とぶように、国民こくみん概念がいねんがもともと利用りようされてきたが、国内こくない経済けいざい活動かつどうじょうきょう判断はんだんする基準きじゅんとしては国内こくないそう生産せいさん使用しようすることが一般いっぱんてきとなった。日本にっぽんでも1993ねんから国民総生産こくみんそうせいさんわって国内こくないそう生産せいさん使用しようするようになっている。

問題もんだいてん[編集へんしゅう]

国内こくないそう生産せいさん各国かっこく経済けいざいりょくしめ重要じゅうよう指標しひょうであるが、計算けいさん方法ほうほう公開こうかいしていない推計すいけいであると山内やまうち竜介りゅうすけ[14]はしている。日本にっぽん国内こくないそう生産せいさん公表こうひょうする内閣ないかく非公開ひこうかい理由りゆうを、「国家こっか機密きみつたる」としていると山内やまうち竜介りゅうすけ主張しゅちょうする。また、山内やまうち竜介りゅうすけによれば計算けいさん数式すうしき毎年まいとし改良かいりょうされるので、どれほど客観きゃっかんせい継続けいぞくせいがあるかあきらかではない[15]。しかし、どのように基礎きそ統計とうけいもちいて国民こくみん経済けいざい計算けいさん作成さくせいするかなどは内閣ないかくによってある程度ていど公開こうかいされている[16]

また、ロシアや中国ちゅうごくをはじめとする権威けんい主義しゅぎてき独裁どくさいてき国家こっか政治せいじてき目的もくてきのため自国じこくのGDP成長せいちょうりつ過大かだい発表はっぴょうしていることが指摘してきされており、それらのくにではGDPの数値すうち実際じっさい経済けいざいとのあいだおおきな乖離かいりがある可能かのうせいがある[17][18]

ダイアン・コイルは「GDP――〈ちいさくておおきな数字すうじ〉の歴史れきし[19]」のなかで、問題もんだいてん指摘してきしている。まず金融きんゆう仲介ちゅうかい生産せいさんだか金利きんり使つかっているのでリスクのたか投資とうしをすればするほどGDPがえる。また公的こうてき部門ぶもん計算けいさんには費用ひよう使つかうので、公的こうてき部門ぶもん肥大ひだいするとGDPも増加ぞうかする。ソフトウェアはGDPがえないなかあいだ原材料げんざいりょうとも、GDPがえる投資とうしとしてかんがえることもできる。ただし「GDPより指標しひょうはない」という。評者ひょうしゃ脇田わきたしげる首都しゅと大学だいがく教授きょうじゅは、日本にっぽんの2013年度ねんどのGDP統計とうけいでは、かく項目こうもく税収ぜいしゅうえているのにマイナス成長せいちょうという不思議ふしぎなことがこっているという[20]

アンガス・ディートン[21]は、いままでの経済けいざい成長せいちょう物質ぶっしつりょうではかられてきたため電子でんしメールなどによる生活せいかつ水準すいじゅん向上こうじょう過小かしょう評価ひょうかされてきたとする[22]

今井いまい賢一けんいち一橋大ひとつばしだい名誉めいよ教授きょうじゅべいスタンフォード大学だいがく教授きょうじゅは「21世紀せいき経済けいざいはGDPでははかれない」という。無料むりょうのサービスが普及ふきゅうしたからだという。たとえばスカイプ、ライン、メールなどの普及ふきゅう郵便ゆうびん電話でんわによるGDPは減少げんしょうする。今井いまい河川かせん森林しんりん野生やせい生物せいぶつなどの価値かちが「自然しぜん資本しほん」として重要じゅうようせいつとべる[23][24][25][26]

オスカー・モルゲンシュテルン[27]は、GDPの統計とうけい誤差ごさは5%以上いじょうあったとしている。

2009ねん国連こくれん計算けいさん基準きじゅん見直みなおし、企業きぎょう研究けんきゅう開発かいはつ防衛ぼうえい装備そうび不動産ふどうさん仲介ちゅうかい手数料てすうりょう特許とっきょ使用しようりょうくわえることとした。そのため日本にっぽんのGDPは3%程度ていどやく15ちょうえん増加ぞうかする見込みこみである。世界せかい各国かっこくはやめに導入どうにゅうみで、日本にっぽんでは2016ねん7-9月から導入どうにゅうされ、2016ねん7-9月よりまえのGDPにたいしても、さい計算けいさんされることになる[28]

タックス・ヘイヴンオフショア金融きんゆうセンター)にある資金しきん世界せかいGDPの1/3である推定すいてい21ちょう~32ちょうドルといわれ、GDPの計算けいさんがどこまで意味いみがあるか不明ふめいとなっている。

世界銀行せかいぎんこうによる計算けいさん手法しゅほう[編集へんしゅう]

世界銀行せかいぎんこう公表こうひょうするGDPは、国際こくさい比較ひかくプログラムの計算けいさんほうによる購買こうばいりょく平価へいか(PPP)で比較ひかくしたもので、一般いっぱんてき為替かわせレート使つか計算けいさんほうとはことなる。購買こうばいりょく平価へいかによるGDPは、先進せんしんこくのGDPがひくめに算出さんしゅつされるため、2017ねん国際こくさいあいだ順位じゅんい中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくが1であり、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくが2インドが3となる[29]

関連かんれん指標しひょう[編集へんしゅう]

実質じっしつ国内こくないそう生産せいさん[編集へんしゅう]

以上いじょう説明せつめいした国内こくないそう生産せいさん名目めいもくGDP)は、経済けいざい状況じょうきょうのみならず、インフレによる価格かかく変動へんどうによっても変化へんかしてしまう。そこで価格かかく変動へんどう影響えいきょう排除はいじょした国内こくないそう生産せいさん定義ていぎされており、これを実質じっしつ国内こくないそう生産せいさん実質じっしつGDP)とぶ。

価格かかく変動へんどう影響えいきょう排除はいじょするため、実質じっしつGDPではあるとしたとえば2001ねん)を基準きじゅんねんとしてさだめ、基準きじゅんねんにおける最終さいしゅうざい・サービスの価格かかく使つかって現在げんざい国内こくないそう生産せいさん計算けいさんする。

厳密げんみつには以下いかとおりである。最終さいしゅうざい・サービスiの基準きじゅんねんにおける価格かかくがPiで、今年ことし価格かかくがQiとする。またiは今年ことしXiれたとする。

このとき、今年ことし実質じっしつGDPは

実質じっしつGDP = Σしぐまi PiXi

により定義ていぎされる。ここでΣしぐまiすべての最終さいしゅうざい・サービスをわたる。

一方いっぽう今年ことし名目めいもくGDPは

名目めいもくGDP = Σしぐまi QiXi

である。

以上いじょうべた実質じっしつGDPのは、基準きじゅんねんえらかた依存いぞんしてしまう。したがって現在げんざいでは基準きじゅんねんえらかた影響えいきょう排除はいじょするために、「連鎖れんさ」という方法ほうほう補正ほせいした定義ていぎもちいて実質じっしつGDPを計算けいさんしている。

GDPの変化へんか経済けいざい成長せいちょうりつ)にかんしては経済けいざい成長せいちょう参照さんしょう

一人ひとりたり国内こくないそう生産せいさん[編集へんしゅう]

国内こくないそう生産せいさんをそのくに人口じんこうった一人ひとりたりGDPぶ。 こくごとに人口じんこうちがうので、こくごとの経済けいざい状況じょうきょう比較ひかくするには、通常つうじょう国内こくないそう生産せいさんではなく一人ひとりたり国内こくないそう生産せいさん使つか必要ひつようがある。国内こくないそう生産せいさんには名目めいもく実質じっしつがあるため、一人ひとりたりGDPも一人ひとりたり名目めいもく国内こくないそう生産せいさん一人ひとりたり実質じっしつGDPがある。

現在げんざいくにべついちにんたりGDPについてはくに国内こくないそう生産せいさんじゅんリスト (一人ひとりあた為替かわせレート)参照さんしょう

国内こくないそう生産せいさんデフレーター[編集へんしゅう]

名目めいもくGDPを実質じっしつGDPでったものをGDPデフレーターぶ。 名目めいもくGDPと実質じっしつGDPはそれぞれインフレの調整ちょうせいおこなっていないGDPとおこなったGDPであるから、そのにあたるGDPデフレーターは、インフレの程度ていどあらわ物価ぶっか指数しすうであるのだと解釈かいしゃくできる。 したがってGDPデフレーターの増加ぞうかりつがプラスであればインフレーション、マイナスであればデフレーションとみなせる。

1995ねんからの日本にっぽんのGDPデフレーター前年ぜんねんどう四半期しはんき増加ぞうかりつ(%)。内閣ないかく四半期しはんきべつGDP速報そくほうより作成さくせい

GDPデフレーターが消費しょうひしゃ物価ぶっか指数しすう企業きぎょう物価ぶっか指数しすうなど物価ぶっか指数しすういちじるしくことなるてんは、GDPデフレーターは輸入ゆにゅう物価ぶっか上昇じょうしょうによる影響えいきょう控除こうじょした「国内こくない」の物価ぶっか水準すいじゅんあらわしているというてんである。このため、原油げんゆ価格かかく上昇じょうしょうなど輸入ゆにゅう物価ぶっか上昇じょうしょうするというような場合ばあいには、消費しょうひしゃ物価ぶっか指数しすう企業きぎょう物価ぶっか指数しすう上昇じょうしょうしているにもかかわらず、GDPデフレーターが下落げらくをするということがしばしばこる。

このため1990年代ねんだいまつから2000年代ねんだい初頭しょとうにかけて、日本にっぽん経済けいざい物価ぶっか下落げらくつづくデフレーションがつづいているのかどうかを判断はんだんするさいに、GDPデフレーターを使つかうことが適切てきせつであるかどうかについては見解けんかいかれた。下落げらくつづいていた消費しょうひしゃ物価ぶっか指数しすうは、2005ねんはじめから下落げらくはば縮小しゅくしょうし、そのとしの10がつには前年ぜんねん同月どうげつがゼロとなって、11月以降いこう上昇じょうしょうつづいた。このことには原油げんゆ価格かかく上昇じょうしょうによるコスト・プッシュの影響えいきょうがかなりあったため、GDPデフレーターは前年ぜんねんで1%以上いじょう下落げらくつづいていた。量的りょうてき金融きんゆう緩和かんわ政策せいさく解除かいじょ時期じきめぐって、緩和かんわさく継続けいぞくのぞ日本にっぽん政府せいふ早期そうき解除かいじょのぞ日本銀行にっぽんぎんこうあいだ議論ぎろんこり、政府せいふはGDPデフレーターがデフレであるとして量的りょうてき金融きんゆう緩和かんわ政策せいさく解除かいじょたいしては慎重しんちょう姿勢しせいをみせた。しかし、現実げんじつ上昇じょうしょうしている消費しょうひしゃ物価ぶっか企業きぎょう物価ぶっか無視むしし、GDPデフレーターのみによって、「物価ぶっか上昇じょうしょうしているがインフレでない」と主張しゅちょうすることはきわめて詭弁きべんてきである。GDPデフレーターはあくまで名目めいもくGDPを実質じっしつGDPでった数値すうちにすぎず、現実げんじつ物価ぶっかがっていることを否定ひていできるものでない。

なお現在げんざい日本にっぽんのGDPデフレーターはパーシェがた連鎖れんさ指数しすうで、実質じっしつGDPはラスパイレスがた連鎖れんさ指数しすうであり、米国べいこく実質じっしつGDPはフィッシャーがた連鎖れんさ指数しすう採用さいようされている(パーシェ、ラスパイレス、フィッシャーおよび連鎖れんさ指数しすう説明せつめいについては、指数しすう (経済けいざい)参照さんしょう)。

国内こくないじゅん生産せいさん[編集へんしゅう]

国内こくないじゅん生産せいさん(NDP: Net Domestic Product)は、国内こくないそう生産せいさんから固定こてい資本しほん減耗げんもうぶんいたものである。しかし経済けいざい全体ぜんたいでの固定こてい資本しほん減耗げんもうぶん測定そくていしづらく、このため経済けいざい学者がくしゃたち減耗げんもう推定すいていをあまり信用しんようしていない[30]

グリーンGDP[編集へんしゅう]

グリーンGDPとは、従来じゅうらいのGDPから環境かんきょう破壊はかいによる生活せいかつしつ低下ていかいたもの[31]基本きほんてき概念がいねんは「自然しぜんかい様々さまざま要素ようそを、なんらかの基準きじゅん数値すうちし、価値かちある資源しげんとして計上けいじょうする」というものである。おおくの場合ばあい人類じんるい経済けいざい活動かつどう環境かんきょう悪影響あくえいきょうおよぼしているので、GDPに相応そうおう減少げんしょうぶん発生はっせいする。これは生産せいさん活動かつどうによって減価げんか償却しょうきゃくおこなわれるのとている。

一定いってい期間きかんないいち国内こくない発生はっせいした付加ふか価値かち総量そうりょうのことをGDPといい、この数値すうち増加ぞうかすれば経済けいざい発展はってんしているとなされるが、これはつまり、「よりおおくの付加ふか価値かち生産せいさんされれば、それだけ経済けいざい成長せいちょうしている」とかんがえているということである。

しかし、このかんがかたには欠点けってんもある。たとえば、森林しんりん開発かいはつおこなわれると木材もくざい・パルプ生産せいさん住宅じゅうたく建設けんせつなどがGDPをげるが、土壌どじょう流出りゅうしゅつなど環境かんきょう破壊はかいこっても、GDPにはなん影響えいきょうもない。このような矛盾むじゅんたいして、1980年代ねんだい後半こうはんから環境かんきょう問題もんだいたいするみが強化きょうかされたことで、現行げんこうのGDPの算出さんしゅつ方式ほうしきえようというこえはじめた。そこでわりにグリーンGDPがかんがされる。

1993ねんには国連こくれん統計とうけい独自どくじ基準きじゅん策定さくていしたが、世界せかいてきにはばらばらの基準きじゅんもちいているのが現状げんじょうである。つまり、定評ていひょうのある金銭きんせん換算かんさん計測けいそく方法ほうほういまだにない。

国民こくみんじゅん福祉ふくし[編集へんしゅう]

国民こくみんじゅん福祉ふくし(NNW)とは、GDPから公害こうがい軍事ぐんじなどの社会しゃかいてきのぞましくない価値かちき、家事かじ労働ろうどうやボランティア活動かつどうなど値段ねだんしめされない価値かち金銭きんせん換算かんさんしてくわえたもの[6]。ただし、定評ていひょうのある金銭きんせん換算かんさん計測けいそく方法ほうほういまだにない。

域内いきないそう生産せいさん[編集へんしゅう]

国内こくないそう生産せいさんいち国内こくないにおいて生産せいさんされた付加ふか価値かちがくあらわすのにたいし、域内いきないそう生産せいさん (Gross Regional Product) は都市としけん経済けいざいけんしゅうけんなど、一定いってい地域ちいきない生産せいさんされた付加ふか価値かちがくあらわす。域内いきないそう生産せいさんには中央ちゅうおう政府せいふおこな生産せいさんふくまれない場合ばあいもあり、全国ぜんこく域内いきないそう生産せいさん合計ごうけいしても、かなら国内こくないそう生産せいさん一致いっちするとはかぎらない(日本にっぽん経済けいざい産業さんぎょうしょう公表こうひょうしている地域ちいきあいだ産業さんぎょう連関れんかんひょうのように、整合せいごう項目こうもくとしてもうけるとう調整ちょうせいおこなわないかぎり、全国ぜんこくけい一致いっちすることのほうめずらしい。

都市としけん同士どうし比較ひかく地域ちいき経済けいざいあいだ比較ひかくといった各種かくしゅ分析ぶんせき使用しようされるほか国土こくど広大こうだいロシア統計とうけいでよくもちいられる。

各国かっこく国内こくないそう生産せいさん[編集へんしゅう]

各国かっこく名目めいもく国内こくないそう生産せいさんじゅんリスト[編集へんしゅう]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくドル(US$)ての名目めいもく国内こくないそう生産せいさんにおける上位じょうい10かこく[32]

  • 単位たんいは10おくUS$
順位じゅんい 2023ねん 2017ねん 2007ねん 1997ねん 1987ねん
1 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 26,185.210 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 19,519.40 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 14,477.63 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 8,608.53 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 4,870.23
2 中華人民共和国の旗 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく 19,243.974 中華人民共和国の旗 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく 12,062.29 日本の旗 日本にっぽん 4,515.26 日本の旗 日本にっぽん 4,415.72 日本の旗 日本にっぽん 2,495.96
3 ドイツの旗 ドイツ 4.456.100 日本の旗 日本にっぽん 4,859.79 中華人民共和国の旗 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく 3,571.45 ドイツの旗 ドイツ 2,221.74 西ドイツの旗 西にしドイツ 1,170.62
4 日本の旗 日本にっぽん 4.210.600 ドイツの旗 ドイツ 3,664.51 ドイツの旗 ドイツ 3,444.72 イギリスの旗 イギリス 1,537.56 フランスの旗 フランス 939.45
5 インドの旗 インド 3,820.573 インドの旗 インド 2,652.25 イギリスの旗 イギリス 3,064.35 フランスの旗 フランス 1,462.61 イタリアの旗 イタリア 815.84
6 イギリスの旗 イギリス 3,479.468 イギリスの旗 イギリス 2,640.07 フランスの旗 フランス 2,666.81 イタリアの旗 イタリア 1,240.58 イギリスの旗 イギリス 807.38
7 フランスの旗 フランス 2,806.690 フランスの旗 フランス 2,591.78 イタリアの旗 イタリア 2,206.11 中華人民共和国の旗 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく 965.32 ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦れんぽう 532.61
8 カナダの旗 カナダ 2,326.620 ブラジルの旗 ブラジル 2,052.81 スペインの旗 スペイン 1,481.39 ブラジルの旗 ブラジル 883.53 カナダの旗 カナダ 431.33
9 ロシアの旗 ロシア 2,136.222 イタリアの旗 イタリア 1,950.70 カナダの旗 カナダ 1,464.98 カナダの旗 カナダ 652.83 中華人民共和国の旗 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく 330.30
10 ブラジルの旗 ブラジル 2,059.443 カナダの旗 カナダ 1,649.93 ブラジルの旗 ブラジル 1,397.11 スペインの旗 スペイン 587.97 スペインの旗 スペイン 317.60

日本にっぽん[編集へんしゅう]

日本にっぽん実質じっしつGDPの推移すいいあおが1990ねん基準きじゅんあかが2000ねん基準きじゅんによるグラフである。

円建えんだてでの日本にっぽん国内こくないそう生産せいさん実質じっしつGDPと名目めいもくGDP、GDPデフレーター)の経年けいねん変化へんか[33]

1990年代ねんだい以降いこうやく20年間ねんかんは、円建えんだてでの国内こくないそう生産せいさん名目めいもく経済けいざい成長せいちょうりつ年率ねんりつマイナス0.7%程度ていど実質じっしつ経済けいざい成長せいちょうりつ年率ねんりつ0.6%程度ていど、インフレりつ年率ねんりつマイナス1.3%程度ていどになった[34]名目めいもくGDPは1997ねん記録きろくした536ちょうえんをピークとし、2010ねんにはそれより63ちょうえんすくない473ちょうえんにまで低下ていかした[34]

1999ねん4がつ実施じっしした消費しょうひぜい増税ぞうぜい影響えいきょうだい四半期しはんき成長せいちょうりつは2.9%のマイナス成長せいちょうおちいった[35]。これは過去かこ23年間ねんかん最悪さいあく数字すうじであった。その名目めいもくGDPは低迷ていめいつづけた。

日本にっぽんは2012ねん現在げんざい毎年まいとし1%前後ぜんごのデフレがつづいているため、かり実質じっしつGDP成長せいちょうりつが1%あってもきで名目めいもくGDP成長せいちょうりつはゼロとなる(実質じっしつGDP成長せいちょうりつ1%+インフレりつ-1%=名目めいもくGDP成長せいちょうりつ0%)[36]

US$てにしたGDPでは、えんではなくてUS$で給料きゅうりょうっているひと日本にっぽんには稀有けうなので他国たこくのGDPと正確せいかく比較ひかくすることは出来できない。ただし、ユーロのような共通きょうつう通貨つうか使つかっているEU加盟かめいこく同士どうしでは為替かわせによる変動へんどういため実体じったい反映はんえいした比較ひかくができる。たとえば、日本にっぽん前年ぜんねんより経済けいざい成長せいちょうしたため、円建えんだてのGDPが増加ぞうかしていても、前年ぜんねんよりえんやすときおながくをUSドルてにしたGDPではびるどころかぎゃく減少げんしょうしているようにみえることがおおい。一方いっぽう円建えんだてのGDPが減少げんしょうまた低迷ていめいしている不景気ふけいきでさえ、前年ぜんねんよりえんだかだとUS$てのGDPだと前年ぜんねんより増加ぞうかしていることがおおい。日本にっぽんのGDPをやく500ちょうえんだと仮定かていして1US$= 80えんえんだか日本にっぽんのGDPをUS$てで換算かんさんするとやく6ちょうUS$になり、1US$=120えんえんやすでならやく4ちょうUS$となり、円建えんだてでのGDPがおながくにもかかわらず減少げんしょうしているような統計とうけい結果けっかになってしまう。実際じっさいに2015ねん国民こくみん1にんたり名目めいもくGDPはドルに換算かんさんした「ドルて」では「減少げんしょう」しているが、円建えんだてベースでは1994ねん以降いこう最高さいこう前年ぜんねん3.4%ほど増加ぞうかしている[37][38]一方いっぽうで、えんやすはUSドルベースでのGDPにおいてはマイナス要因よういんとなるが、えんやす輸出ゆしゅつ促進そくしんするため、輸出ゆしゅつ増加ぞうかぶんがGDPに反映はんえいされるころにはプラス要因よういんとなる。このように、ドルベースのGDPは為替かわせ影響えいきょうおおきくける。そのため、USドルベースのGDPは日本にっぽん日本にっぽん以外いがいくにのGDPを比較ひかくするときにおももちいられ、日本にっぽん国内こくない経済けいざい成長せいちょう推移すいい解析かいせきするじょうでは、日本円にほんえんベースのGDPがおももちいられる。

日本にっぽん実質じっしつGDP成長せいちょうりつ推移すいい
1954ねん - 1980ねん 1980ねん - 1993ねん 1994ねん - 2016ねん
暦年れきねん 名目めいもくGDP 実質じっしつGDP GDPデフレーターたい前年ぜんねん増加ぞうかりつ(%)
1954ねん 8,369.5 47,075.0
1955ねん 9,422.2 50,602.7 4.7
1956ねん 10,858.3 54,557.8 6.9
1957ねん 11,538.3 57,946.9 0.0
1958ねん 13,190.3 63,402.7 4.5
1959ねん 16,009.7 71,683.1 7.4
1960ねん 19,336.5 80,179.8 8.0
1961ねん 21,942.7 87,072.6 4.5
1962ねん 25,113.2 94,724.0 5.2
1963ねん 29,541.3 105,319.5 5.8
1964ねん 32,866.0 111,294.3 5.3
1965ねん 38,170.0 122,700.2 5.3
1966ねん 44,730.5 136,300.2 5.5
1967ねん 52,974.9 152,532.1 5.8
1968ねん 62,228.9 170,764.5 4.9
1969ねん 73,344.9 188,323.1 6.9
1970ねん 80,701.3 196,588.9 5.4
1971ねん 92,394.4 213,129.0 5.6
1972ねん 112,498.1 230,248.8 12.7
1973ねん 134,243.8 227,427.7 20.8
1974ねん 148,327.1 234,458.7 7.2
1975ねん 166,573.3 243,778.5 8.0
1976ねん 185,622.0 254,481.2 6.7
1977ねん 204,404.1 267,897.5 4.6
1978ねん 221,546.6 282,588.9 2.8
1979ねん 240,175.9 290,551.1 5.4
暦年れきねん 名目めいもくGDP 実質じっしつGDP GDPデフレーターたい前年ぜんねん増加ぞうかりつ(%)
1980ねん 242,838.7 284,375.0
1981ねん 261,068.2 296,252.9 3.2
1982ねん 274,086.6 306,256.2 1.6
1983ねん 285,058.3 315,629.9 0.9
1984ねん 302,974.9 329,719.3 1.7
1985ねん 319,401.9 350,601.6 1.0
1986ねん 340,559.5 360,527.4 1.8
1987ねん 354,170.2 375,335.8 1.1
1988ねん 387,742.9 402,159.9 0.3
1989ねん 420,122.2 423,756.5 2.2
1990ねん 454,781.0 447,369.9 2.3
1991ねん 481,421.8 468,242.0 2.6
1992ねん 493,782.8 477,027.9 1.6
1993ねん 496,711.8 478,825.1 0.4
暦年れきねん 名目めいもくGDP 実質じっしつGDP GDPデフレーターたい前年ぜんねん増加ぞうかりつ(%)
1994ねん 507,743.4 490,779.9 0.1
1995ねん 516,706.9 501,537.7 1.7
1996ねん 532,934.8 520,715.8 2.6
1997ねん 550,698.3 537,289.4 3.6
1998ねん 550,438.6 534,142.5 0.0
1999ねん 518,903.2 514,957.2 -5.3
2000ねん 519,860.0 521,408.5 -1.2
2001ねん 505,543.2 489,501.1 -1.2
2002ねん 499,147.0 487,914.9 -1.6
2003ねん 498,854.8 485,968.3 -1.7
2004ねん 503,725.3 490,440.7 -1.4
2005ねん 503,903.0 488,921.0 -1.3
2006ねん 505,687.0 492,451.9 -1.1
2007ねん 506,975.2 495,685.8 -0.9
2008ねん 497,209.3 493,230.9 -1.3
2009ねん 464,138.7 480,588.4 -3.5
2010ねん 473,384.4 489,364.6 -2.2
2011ねん 460,623.2 478,439.9 -1.9
2012ねん 474,403.6 492,547.2 -0.9
2013ねん 493,175.5 501,781.4
2014ねん 503,698.0 510,489.2
2015ねん 510,465.7 516,635.6
2016ねん 517,289.4 521,794.3
  • 統計とうけいのGDPは円建えんだてであり、単位たんいは10おくえん
  • 1954 - 1980ねんは、「平成へいせい10年度ねんど国民こくみん経済けいざい計算けいさん」(平成へいせい2ねん基準きじゅん・68SNA)による。実質じっしつは1990(平成へいせい2)暦年れきねん基準きじゅん。1980ねん連続れんぞくせいのためにしめした。
  • 1980ねん - 1993ねん は、2000(平成へいせい12)暦年れきねん連鎖れんさ価格かかく
  • 1994ねん - 2012ねん は、2005(平成へいせい17)暦年れきねん連鎖れんさ価格かかく
  • 2008ねん以降いこうについては、計数けいすう改定かいていおこなわれる可能かのうせいがある。

米国べいこく[編集へんしゅう]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのGDPは米国べいこく商務省しょうむしょう経済けいざい分析ぶんせききょく(BEA=The Bureau of Economic Analysis, U.S. Department of Commerce)から発表はっぴょうされている[39]発表はっぴょう時期じきは1、4、7、10月に速報そくほう次月しづきの2、5、8、11月に改定かいてい、さらに3、6、9、12月にかく定値ていち発表はっぴょうされる[39]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 「ストック(もの知識ちしき)をつくるをふくむ」と「フロー(需要じゅよう供給きょうきゅう)」がともに可能かのう産業さんぎょう職業しょくぎょうは、おも製造せいぞうぎょう建設けんせつぎょう日本にっぽんのGDPを試算しさん算出さんしゅつするさい製造せいぞうぎょう内閣ないかく機械きかい受注じゅちゅう統計とうけい調査ちょうさ建設けんせつぎょう国土こくど交通省こうつうしょう建設けんせつ工事こうじ受注じゅちゅう動態どうたい統計とうけい調査ちょうさ使用しようする)、知識ちしき産業さんぎょう医師いし歯科しか医師いししし医師いし薬剤師やくざいしプログラマシステムエンジニアなど)や、職能しょくのう産業さんぎょうエッセンシャルワーカー航空こうくう旅客機りょかくきパイロットトラック運転うんてんしゅバス運転うんてんしゅタクシードライバー旅客船りょかくせんうみ技士ぎし看護かんご愛玩あいがん動物どうぶつ看護かんご歯科しか衛生えいせい歯科しか技工ぎこう登録とうろく販売はんばいしゃ介護かいご保育ほいく教員きょういんブルーカラー建設けんせつ作業さぎょういんなど)

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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  9. ^ このふしは、クルーグマン『マクロ経済けいざいがく東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ、2009ねん、38 - 41ページおよび189 - 190ページを参考さんこうにした。
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関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]