蒯徹

蒯徹（？—？），范陽人ひと，避諱作さく蒯通（與あずか武たけ帝みかど同どう名な「徹とおる」，《史記しき》、《漢書かんしょ》避漢武たけ帝みかど名めい諱いみな作さく「通つう」。師し古いにしえ曰：「本名ほんみょう為ため徹てっ，其後史家しか追おい書しょ為ため通どおり。」），辯才べんさい無雙むそう，善ぜん於陳說せつ利害りがい，曾為韓かん信しん謀はかりごと士し，並なみ曾經勸すすむ籲已受命じゅめい於劉邦りゅうほう並なみ正ただし在ざい征討せいとう各かく地方ちほう割據かっきょ勢力せいりょく時じ的てき韓かん信しん擁よう兵へい自立じりつ，卻不成功せいこう。據よりどころ傳でん，東ひがし漢かん末すえ年ねん劉りゅう表ひょう的てき謀はかりごと臣しん蒯良、蒯越是ぜ其後裔こうえい。

遊說ゆうぜい縱橫じゅうおう史し

前ぜん209年ねん8月がつ，陳ちん涉わたる命いのち武臣ぶしん北上ほくじょう掃蕩そうとう趙ちょう地ち。蒯徹立りつ即そく游ゆう說せつ范陽縣令けんれい徐じょ公こう投降とうこう趙ちょう王おう武臣ぶしん，稍やや後ご又また說せつ服ふく趙ちょう王おう武臣たけおみ接受せつじゅ范陽縣令けんれい徐じょ公的こうてき投降とうこう，傳つて檄げき千里せんり，不戰ふせん而下三さん十じゅう餘あまり城じょう。

前ぜん204年ねん，當とう韓かん信奉しんぽう漢かん王おう詔みことのり攻おさむ齊ひとし時とき，在ざい得知とくち酈食其成功せいこう說せつ服ふく齊ひとし國こく以後いご，原本げんぽん打算ださん退すさ軍ぐん。此時蒯徹鼓動こどう說せつ「將軍しょうぐん受詔擊げき齊ひとし，而漢獨どく發はつ閒あいだ使し下か齊ひとし，寧やすし有ゆう詔みことのり止とめ將軍しょうぐん乎？何なに以得毋行也！且酈生せい一いち士し，伏ふく軾掉三さん寸すん之の舌した，下した齊ひとし七なな十じゅう餘あまり城じょう，將軍しょうぐん將しょう數すう萬まん眾，歲さい餘あまり乃下趙ちょう五ご十じゅう餘あまり，為ため將しょう數すう歲さい，反はん不ふ如一豎儒之功乎？」以漢朝あさ未み下した詔みことのり退すさ軍ぐん和わ爭そう功勞こうろう，說せつ服ふく韓かん信しん攻擊こうげき未み作さく防備ぼうび的てき齊ひとし國こく。

當とう韓かん信成のぶなり為ため齊ひとし王おう時じ，項羽こうう曾派武たけ涉わたる去さ遊說ゆうぜい韓かん信しん。蒯徹則そく聳そびえ恿韓信しん自立じりつ，成なり三さん分ふん天下でんか、鼎かなえ足あし之の勢いきおい。當とう韓かん信しん以為漢かん必不負まけ我わが時とき，蒯徹直ちょく指ゆび「足下あしもと自じ以為善ぜん漢かん王おう，欲よく建けん萬世ばんせい之これ業ぎょう，臣しん竊以為ため誤あやま矣。……且臣聞勇略りゃく震ふるえ主ぬし者しゃ身み危，而功蓋ぶた天下でんか者しゃ不ふ賞しょう。」但ただし韓かん信しん仍不願ねがい背叛はいはん，蒯徹知道ともみち韓かん信しん日び後ご必為劉邦りゅうほう所しょ害がい，為ため免めん於難，乃佯狂きょう為ため巫祝ふしゅく以避禍か。

後來こうらい韓かん信しん受陳ちん豨事こと累るい，為ため呂りょ后きさき所ところ處しょ死し前ぜん曾說過か「吾われ悔不用よう蒯徹之の計けい」，這話傳でん到いた劉邦りゅうほう耳みみ裡うら，下した令れい逮捕たいほ蒯徹，打算ださん處しょ死し，當時とうじ蒯徹辯べん稱しょう「跖之これ狗いぬ吠ほえ堯，堯非不仁ふじん，狗いぬ因いん吠ほえ非ひ其主。當とう是ぜ時じ，臣しん唯ただ獨どく知ち韓かん信しん，非ひ知ち陛下へいか也。且天下か銳するど精せい持じ鋒ほこさき欲ほし為ため陛下へいか所為しょい者しゃ甚眾，顧力不能ふのう耳みみ。又また可か盡つき烹之邪よこしま？以狗吠ほえ非ひ其主，獨どく知ち韓かん信しん非ひ知ち陛下へいか，欲ほし為ため陛下へいか者しゃ眾又可か盡つき烹邪？」成功せいこう為ため自己じこ免除めんじょ殺ころせ身み之の禍わざわい。

著作ちょさく

• 蒯徹論述ろんじゅつ戰國せんごく時じ遊說ゆうぜい之の士し的てき權けん變へん之の術じゅつ，也加上じょう自己じこ的てき評論ひょうろん，著書ちょしょ立りつ說せつ，號ごう稱しょう《雋永》。（《漢書かんしょ》：通論つうろん戰國せんごく時じ說せつ士し權けん變へん，亦また自序じじょ其說，凡八十じゅう一いち首しゅ，號ごう曰《雋永》）

評價ひょうか

• 司馬しば遷評價ひょうか其為「甚矣蒯通之の謀はかりごと，亂らん齊ひとし驕おご淮陰，其卒亡ほろび此兩人じん！蒯通者しゃ，善よ為ため長短ちょうたん說せつ，論戰ろんせん國之くにゆき權けん變へん，為ため八はち十じゅう一いち首しゅ。通つう善ぜん齊ひとし人ひと安やす期生きせい，安やす期き生せい嘗干項羽こうう，項羽こうう不能ふのう用よう其筴。已やめ而項羽わ欲よく封ふう此兩人じん，兩人りょうにん終おわり不ふ肯受，亡ほろび去ざ。」
• 班はん固かた亦また評ひょう其為「蒯通一說いっせつ而喪三さん俊しゅん（韓かん信しん、田た橫よこ、酈食其）。」
• 劉りゅう勰：「至いたり漢かん定てい秦しん楚すわえ，辨士べんし弭節。酈君既すんで斃於齊おさい鑊，蒯子幾いく入にゅう乎漢鼎かなえ；雖復陸りく賈籍甚，張ちょう釋しゃく傅でん會かい，杜もり欽文辨べん，樓ろう護まもる唇くちびる舌した，頡頏萬まん乘じょう之の階かい，抵戲公卿くぎょう之の席せき，並なみ順風じゅんぷう以托勢ぜい，莫能逆波さかなみ而溯洄矣。」（《文ぶん心こころ雕龍·論說ろんせつ第だい十じゅう八はち》）
• 劉りゅう克かつ莊そう：「酈生方かた橫死おうし，蒯徹亦また陽ひ狂きょう。設しつらえ不ふ逢劉季き，同どう趨一鼎かなえ湯ゆ。」（《雜詠ざつえい一いち百ひゃく首しゅ》）
• 茅かや坤ひつじさる：「武たけ涉わたる之これ說せつ，為ため楚すわえ也，而蒯通どおり何なん為ため哉？其言甚工，假令たとい韓かん信しん聽之，而欲鼎かなえ分ぶん天下でんか，海うみ內矢石せき之の斗と何なん日にち而已乎？大略たいりゃく通どおり特とく傾かたぶけ危之士し，徒と以口舌した縱橫じゅうおう當世とうせい耳みみ，非ひ深ふか識者しきしゃ。」（《史記しき選せん注ちゅう集しゅう說せつ》）
• 王おう夫おっと之の：「且信始はじめ不ふ從したがえ蒯徹之の言げん與あずか漢かん為ため難なん者しゃ，項こう未み亡ほろび也。參まいり分ぶん天下でんか，鼎かなえ足あし而立じりつ，蒯徹狂きょう惑之計けい耳みみ。」
• 蔡東藩はん：「武たけ涉わたる之これ說せつ韓かん信しん，各かく為ため其主，原はら不足ふそく怪かい。蒯徹並なみ非ひ楚すわえ臣しん，何なに為ため唆信叛漢，使つかい之の君臣くんしん相しょう猜，他た時じ鐘かね室しつ之の禍わざわい，非ひ徹てっ致之而誰致之乎？」
• 林はやし西仲にしなか：「蒯生托たく相しょう術じゅつ做個起おこり引，其言三さん分ふん天下でんか也，以息天下でんか之の禍わざわい為ため詞し，且三分之後又可以專制海內，比ひ武たけ涉わたる更さら高だか一いち著ちょ。其言終おわり為ため漢かん王おう所しょ擒とりこ也，以厚交不可ふか恃，忠信ちゅうしん不能ふのう保ほ二意倒入功略之大必不見容於漢，比ひ武たけ涉わたる更さら深ふか一層いっそう。末すえ段だん請其速斷そくだん，以事機き閒あいだ不ふ容よう發はつ，過か此以往いおう，則のり難なん於行，此則武たけ涉わたる未み曾道及也。」（《古文こぶん析義（二に編へん）》卷まき四よん）
• 現代げんだい學者がくしゃ羅ら根ね澤さわ認みとめ為ため蒯通是ぜ《戰國せんごく策さく》一いち書しょ的てき作者さくしゃ。

後裔こうえい

• 蒯良，字じ子こ柔やわ，東ひがし漢かん末まつ年ねん諸侯しょこう劉りゅう表おもて謀はかりごと士し；
• 蒯越，字じ異あや度たび，東ひがし漢かん末まつ年ねん諸侯しょこう劉りゅう表おもて謀はかりごと士し，後ご投降とうこう曹操そうそう。（《傅でん子こ》：越こし，蒯通之の後こう也，深ふか中なか足あし智さとし，魁さきがけ傑すぐる有ゆう雄姿ゆうし。）

延伸えんしん閱讀

[在ざい維基數すう據よりどころ編へん輯]

《漢書かんしょ/卷まき045》，出自しゅつじ班はん固かた《漢書かんしょ》

參考さんこう資料しりょう

• 嘉よしみ靖やすし三さん十じゅう八はち年ねん《興きょう化か縣けん誌し》