ウソ

ウソ
Pyrrhula pyrrhula pileata
保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類ぶんるい
ドメイン : 真ま核かく生物せいぶつ Eukaryota 界さかい : 動物界どうぶつかい Animalia 門もん : 脊索せきさく動物どうぶつ門もん Chordata 亜あ門もん : 脊椎動物せきついどうぶつ亜あ門もん Vertebrata 綱つな : 鳥とり綱つな Aves 目め : スズメ目め Passeriformes 科か : アトリ科か Fringillidae 属ぞく : ウソ属ぞく Pyrrhula 種たね : ウソ P. pyrrhula
学名がくめい
Pyrrhula pyrrhula Linnaeus, 1758
英名えいめい
Eurasian Bullfinch
亜種あしゅ
P. p. cassinii ベニバラウソ P. p. griseiventris ウソ P. p. rosacea アカウソ　など 詳細しょうさいは本文ほんぶんの亜種あしゅの節ふしを参照さんしょう

ウソ（鷽うそ、学名がくめい：Pyrrhula pyrrhula Linnaeus, 1758）は、スズメ目めアトリ科かウソ属ぞくに分類ぶんるいされる鳥類ちょうるいの一いち種たね。

和名わみょうの由来ゆらいは口笛くちぶえを意味いみする古語こご「うそ」から来きており、ヒーホーと口笛くちぶえのような鳴なき声ごえを発はっすることから名付なづけられた。その細ほそく、悲かなしげな調子ちょうしを帯おびた鳴なき声ごえは古ふるくから愛あいされ、江戸えど時代じだいには「弾琴だんきん鳥とり」や「うそひめ」と呼よばれることもあった。

分布ぶんぷ

ヨーロッパからアジアの北部ほくぶにかけて広ひろく分布ぶんぷする。冬季とうきに北方ほっぽうに生息せいそくしていた個体こたいは南方なんぽうへ移動いどうする。

日本にっぽんでは、漂鳥または冬ふゆ鳥とりとして全国ぜんこくに広ひろく分布ぶんぷする。亜種あしゅウソ（P. p. griseiventris）が本州ほんしゅう中部ちゅうぶ以北いほくの亜あ高山こうざん帯たいなどで繁殖はんしょくし、冬ふゆは九州きゅうしゅう以北いほくの低地ていちに移動いどうして越冬えっとうする。また、亜種あしゅアカウソ（P. p. rosacea）は冬ふゆ鳥とりとて飛来ひらいし秋あきから春はるにかけて滞在たいざいする。

形態けいたい

全長ぜんちょうは15-16 cm、翼つばさ開ひらき長ちょうは約やく26 cm。体重たいじゅうは21-34g。体からだはスズメよりやや大おおきく、頭あたまの上うえと尾お、翼つばさの大だい部分ぶぶんは黒色こくしょく、背中せなかは灰はい青色あおいろ。くちばしは太ふとく短みじかく黒くろい。雄ゆうの頬ほお、喉のどは淡あわ桃色ももいろをしているが、雌めすにはこの淡あわ桃色ももいろの部分ぶぶんはない。雄ゆうは照あきら鷽うそ（てりうそ）、雌めすは雨あめ鷽うそ（あめうそ）と呼よばれる。

生態せいたい

繁殖はんしょく期きは山地さんちの針葉樹しんようじゅ林はやしに生息せいそくし、非ひ繁殖はんしょく期きには低地ていちの林はやしにも生息せいそくする。非ひ繁殖はんしょく期きは10羽わほどの小規模しょうきぼの群むれを形成けいせいする。

春はるに木きの実みや芽め（時ときにはサクラ、ウメ、モモなどの花はなや蕾つぼみ）などを食たべ、繁殖はんしょく期きに昆虫こんちゅうのガの幼虫ようちゅうやクモなどを食たべ、秋あきにはズミやナナカマドの果実かじつなどを食たべる。

繁殖はんしょく期きは5-7月がつで、縄張なわばりをもちつがいで生活せいかつする。針葉樹しんようじゅの枝えだの上うえに枯かれ枝えだなどを使つかって椀わん形がたの巣すを作つくる。1腹はら4-6個この卵たまごを産うむ。抱だき卵たまご期間きかんは12-14日にちで、雌めすが抱だき卵たまごする。雛ひなは12-18日にちで巣立すだちする。

囀さえず声こえは「フィー、フィー」と口笛くちぶえのような澄すんだ声こえで、単調たんちょうな節ふしを交まじえ、雄ゆうだけでなく雌めすも囀さえずる。前述ぜんじゅつの通とおり、この口笛くちぶえのような鳴なき声ごえから、口笛くちぶえの古語こごを意味いみするウソという和名わみょうになった。飛翔ひしょうは浅あさい波形はけい。地鳴じなきは「ヒー」、「フィッ」など。

また、囀さえずる時ときに、左右さゆうの脚あしを交互こうごに持もち上あげることから別名べつめい「弾琴だんきん鳥とり」とも呼よばれる。

• 
  巣すと卵たまご
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  幼鳥ようちょう
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  木この実みを食たべるウソ（オス）
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  ハイマツの実みを食たべるウソ（オス）

分類ぶんるい

亜種あしゅ

広義こうぎのウソ（Pyrrhula pyrrhula）は、以下いかの亜種あしゅに分類ぶんるいされている。

• P. p. pileata MacGillivray, W, 1837 - ブリテン諸島しょとうに分布ぶんぷする。
• P. p. pyrrhula (Linnaeus, 1758) - ヨーロッパ（北部ほくぶ、中央ちゅうおう南部なんぶ、東部とうぶ）とシベリア中央ちゅうおう部ぶに分布ぶんぷする。
• P. p. europoea Vieillot, 1816 - ヨーロッパ西部せいぶに分布ぶんぷする。
• P. p. iberiae Voous, 1951 - フランス南西なんせい部ぶとイベリア半島はんとう北部ほくぶに分布ぶんぷする。
• P. p. paphlagoniae Roselaar, 1995 - トルコ北西ほくせい部ぶに分布ぶんぷする。
• P. p. rossikowi Derjugin & Bianchi, 1901 - トルコ北東ほくとう部ぶとコーカサスに分布ぶんぷする。
• P. p. cineracea Cabanis, 1872 - 西にしシベリアとカザフスタン北東ほくとう部ぶから東ひがしシベリアと中国ちゅうごく北東ほくとう部ぶにかけて分布ぶんぷする。
• P. p. caspica Witherby, 1908 - アゼルバイジャンとイラン北部ほくぶに分布ぶんぷする。
• P. p. cassinii Baird, SF, 1869 - ベニバラウソ、シベリア東部とうぶに分布ぶんぷする。オスは胸むねから腹はらにかけて紅色こうしょく。冬ふゆ鳥とりとして、まれに日本にっぽんの中部ちゅうぶ地方ちほう以北いほくに飛来ひらいする。
• P. p. griseiventris Lafresnaye, 1841 - ウソ、千島ちしま列島れっとうと日本にっぽんに分布ぶんぷする。
• P. p. rosacea Seebohm, 1882 - アカウソ、樺太からふとに分布ぶんぷする。冬ふゆ鳥とりとして日本にっぽんに飛来ひらいする。オスは胸むねから腹はらにかけて淡あわい紅色こうしょく。北海道ほっかいどうでは小数しょうすうが繁殖はんしょくしているとみられている。

• 
  P. p. pileata
  オス
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  ベニバラウソ
  P. p. cassinii
  オス
• 
  ウソ
  P. p. griseiventris
  オス
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  アカウソ
  P. p. rosaceas
  左ひだり：オス、右みぎ：メス

日本にっぽんで見みられる亜種あしゅ

日本にっぽんで観察かんさつできるのは、次つぎの3亜種あしゅである。

• ウソ（P. p. griseiventris）
• アカウソ（P. p. rosacea）

冬ふゆ鳥とりとして九州きゅうしゅう以北いほくに渡来とらいする。利尻島りしりとうでは繁殖はんしょくしている可能かのう性せいがある。

• ベニバラウソ（P. p. cassinii）

冬ふゆに北海道ほっかいどうや本州ほんしゅうで、まれに観察かんさつされる。

種たねの保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか

個体こたい数すうは減少げんしょう傾向けいこうにあり、国際こくさい自然しぜん保護ほご連合れんごう（IUCN）により2004年ねんからレッドリストの軽度けいど懸念けねん（LC）の指定していを受うけている。

日本にっぽんでは亜種あしゅウソ（P. p. griseiventris）が、以下いかの都道府県とどうふけんでレッドリストの指定していを受うけている。

• 準じゅん絶滅ぜつめつ危惧きぐ（NT） - 東京とうきょう都と（本土ほんど部ぶ）
• 希少きしょう種しゅ - 滋賀しが県けん

人間にんげんとの関かかわり

材木ざいもくに付つく虫むしを食たべるためと、『鷽うそ』という字じが学がくの旧きゅう字じ『學がく』に似にていることから、太宰府天満宮だざいふてんまんぐうや亀戸かめいど天たかし神社じんじゃでは「天神てんじん様さまの使つかい」とされ、鷽うそを模もした木彫きぼりの人形にんぎょう「木き鷽うそ」が土産みやげの定番ていばんとなっている。この木き鷽うそを使つかった鷽うそ替がえ神事しんじも菅原すがわら道真みちざねを祀まつった大おおきな神社じんじゃの定番ていばんである。

詳細しょうさいは「鷽うそ替がえ」を参照さんしょう

春先はるさきに公園こうえんのソメイヨシノや果樹かじゅ園えんのウメやモモの蕾つぼみを摘つみ取とってしまうため、公園こうえん管理かんり者しゃや果樹かじゅ農家のうかから害鳥がいちょう扱あつかいされることもある。このため駆除くじょされている地域ちいきがある。

1839年ねん（天保てんぽう10年ねん）に毛利もうり梅園ばいえんによる『梅園うめぞの禽譜』で描写びょうしゃされている。高村たかむら光太郎こうたろうが1927年ねん（昭和しょうわ2年ねん）11月に第だい1回かい大だい調和ちょうわ美術びじゅつ展てんに「木彫きぼりウソ鳥とり」を出展しゅってんした時ときの思おもい出でを随筆ずいひつ『木彫きぼりウソを作つくった時とき』に綴つづっている。

1994年ねん（平成へいせい6年ねん）4月がつ25日にちに発売はつばいし、2014年ねん（平成へいせい26年ねん）3月がつ31日にちまで販売はんばいされた130円えん普通ふつう切手きっての意匠いしょうになった。

参考さんこう文献ぶんけん

• 黒田くろだ長久ちょうきゅう監修かんしゅう C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編へん 『動物どうぶつ大だい百科ひゃっか9 鳥ちょうIII』、平凡社へいぼんしゃ、1986年ねん、160頁ぺーじ。
• 五ご百ひゃく澤さわ日び丸まる、山形やまがた則男のりお、吉野よしの俊幸としゆき『新しん訂てい 日本にっぽんの鳥とり550 山野さんやの鳥とり』平凡社へいぼんしゃ〈ネイチャーガイドシリーズ〉、2014年ねん3月がつ8日にち。ISBN 978-4829984000。 
• 高木たかぎ清和きよかず『フィールドのための野鳥やちょう図鑑ずかん-野山のやまの鳥とり』山やまと溪谷社けいこくしゃ、2000年ねん8月がつ。ISBN 4635063313。 
• 叶内かなうち拓哉たくや『絵解えときで野鳥やちょうが識別しきべつできる本ほん』文ぶん一いち総合そうごう出版しゅっぱん、2006年ねん3月がつ。ISBN 978-4829901717。 
• 叶内かなうち拓哉たくや、安部あべ直哉なおや『山やま溪けいハンディ図鑑ずかん7　日本にっぽんの野鳥やちょう』（第だい2版はん）山やまと溪谷社けいこくしゃ、2006年ねん10月がつ1日にち。ISBN 4635070077。 
• 大橋おおはし弘一こういち『庭にわで楽たのしむ野鳥やちょうの本ほん』山やまと溪谷社けいこくしゃ、2007年ねん11月1日にち。ISBN 978-4635596190。 
• 中川なかがわ雄三ゆうぞう（監修かんしゅう） 編へん『ひと目めでわかる野鳥やちょう』成美せいび堂どう出版しゅっぱん、2010年ねん1月がつ。ISBN 978-4415305325。 
• 真木まき広造ひろぞう『名前なまえがわかる野鳥やちょう大だい図鑑ずかん』永岡書店ながおかしょてん、2012年ねん4月がつ10日とおか。ISBN 978-4522430866。 
• 真木まき広造ひろぞう、五ご百ひゃく澤さわ日び丸まる、大西おおにし敏一としいち『日本にっぽんの野鳥やちょう650』平凡社へいぼんしゃ、2014年ねん1月がつ31日にち。ISBN 978-4582542523。 
• 細川ほそかわ博昭ひろあき『江戸えど時代じだいに描えがかれた鳥とりたち　輸入ゆにゅうされた鳥とり、身近みぢかな鳥とり』ソフトバンククリエイティブ、2012年ねん2月がつ16日にち。ISBN 978-4797352566。 
• 柴田しばた佳秀よしひで 著ちょ、樋口ひぐち広ひろ芳よし 編へん『街まち・野山のやま・水辺みずべで見みかける野鳥やちょう図鑑ずかん』日本文芸社にほんぶんげいしゃ、2019年ねん5月がつ、219頁ぺーじ。ISBN 978-4537216851。 

関連かんれん項目こうもく

• アトリ科か
• 日本にっぽんの野鳥やちょう一覧いちらん
• 鷽うそ替がえ
• 木きうそ

外部がいぶリンク

• ウソ （日本にっぽん野鳥やちょうの会かい）
• ウソの標本ひょうほん （山階やましな鳥類ちょうるい研究所けんきゅうじょ）
• 日本にっぽんの鳥とり百科ひゃっか「ウソ」 （サントリー）