(Translated by https://www.hiragana.jp/)
キャッサバ - Wikipedia

キャッサバ

キントラノオトウダイグサイモノキ属きぞく熱帯ねったい低木ていぼく

キャッサバ学名がくめいManihot esculenta)は、キントラノオトウダイグサイモノキ属きぞく熱帯ねったい低木ていぼく[3]マニオクフランス語ふらんすご: manioc)、マンジョカスペインポルトガル: mandioca)、カサーバ英語えいご: cassava)、ユカカリブ: yuca)ともばれる。原産地げんさんち中央ちゅうおうアメリカからみなみアメリカにかけて[3]

キャッサバ
キャッサバ
カサバイモ
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい eudicots
階級かいきゅうなし : バラるい rosids
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうバラるいI eurosids I
: キントラノオ Malpighiales
: トウダイグサ Euphorbiaceae
ぞく : イモノキ属きぞく Manihot
たね : キャッサバ M. esculenta
学名がくめい
Manihot esculenta
Crantz
和名わみょう
イモノキ(いも
英名えいめい
Cassava
キャッサバ、せい
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 667 kJ (159 kcal)
38.06 g
糖類とうるい 1.7 g
食物しょくもつ繊維せんい 1.8 g
0.28 g
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.074 g
一価いっか飽和ほうわ 0.075 g
あたい飽和ほうわ 0.048 g
1.36 g
トリプトファン 0.019 g
トレオニン 0.028 g
イソロイシン 0.027 g
ロイシン 0.039 g
リシン 0.044 g
メチオニン 0.011 g
シスチン 0.028 g
フェニルアラニン 0.026 g
チロシン 0.017 g
バリン 0.035 g
アルギニン 0.137 g
ヒスチジン 0.02 g
アラニン 0.038 g
アスパラギンさん 0.079 g
グルタミン酸ぐるたみんさん 0.206 g
グリシン 0.028 g
プロリン 0.033 g
セリン 0.033 g
ビタミン
ビタミンA相当そうとうりょう
(0%)
1 µg
(0%)
8 µg
0 µg
チアミン (B1)
(8%)
0.087 mg
リボフラビン (B2)
(4%)
0.048 mg
ナイアシン (B3)
(6%)
0.854 mg
パントテンさん (B5)
(2%)
0.107 mg
ビタミンB6
(7%)
0.088 mg
葉酸ようさん (B9)
(7%)
27 µg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
コリン
(5%)
23.7 mg
ビタミンC
(25%)
20.6 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(1%)
0.19 mg
ビタミンK
(2%)
1.9 µg
ミネラル
ナトリウム
(1%)
14 mg
カリウム
(6%)
271 mg
カルシウム
(2%)
16 mg
マグネシウム
(6%)
21 mg
リン
(4%)
27 mg
鉄分てつぶん
(2%)
0.27 mg
亜鉛あえん
(4%)
0.34 mg
マンガン
(18%)
0.384 mg
セレン
(1%)
0.7 µg
成分せいぶん
水分すいぶん 59.68 g
%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい
出典しゅってん: USDA栄養えいようデータベース英語えいご
キャッサバアミノ酸あみのさんスコア[1][2]

熱帯ねったいひろ地域ちいき栽培さいばいされる主食しゅしょく作物さくもつであり、さまざまな調理ちょうりほうがある。根茎こんけいからとったデンプンはタピオカ材料ざいりょう薬剤やくざい原料げんりょうになる。

概要がいよう

編集へんしゅう

タピオカの原料げんりょうとなるキャッサバ(マニオク)は世界中せかいじゅう熱帯ねったい地域ちいき栽培さいばいされる多年生たねんせい植物しょくぶつ落葉らくよう低木ていぼく)である[3]くき根元ねもとにできる塊根かいこん(イモ)は主食しゅしょくとして利用りようされ、ふかす、ゆでる、げる、こなにしていためるなど調理ちょうりほうおおい。世界せかいにおいて、およそ10おくにんぶん食糧しょくりょう・エネルギーげん相当そうとうしており、炭素たんそ資源しげんとしてはイネトウモロコシコムギ規模きぼとみなされている[4]。また、エタノール原料げんりょうバイオマスエタノール)となったり、飼料しりょうになるなど、食材しょくざい以外いがいへの利用りようたかい。

は3〜7ほどのしょうからなり、くき垂直すいちょくがる[3]くき根元ねもとにはゆるい同心円どうしんえんえがいてすうほんのイモがく。イモはりょうはしとがった細長ほそなが形状けいじょうをしている。

栽培さいばいはきわめて簡単かんたんで、ったくき地中ちちゅうすだけで発根はっこんし、そのまま生育せいいくする[3][4]。1ねんほどでたけ2〜3mに成長せいちょうし、地下ちかには1かぶにつきやく20kgものイモができる[4][注釈ちゅうしゃく 1]

作付さくづけ面積めんせきあたりのカロリー生産せいさんりょうはあらゆるいもるい穀類こくるいよりおおく、デンプンしつ生産せいさん効率こうりつたか[3]。しかし食用しょくようとするためにはどく処理しょり必要ひつようであり、またどくきのためにかわしん除去じょきょしたいもはその加工かこうしなければくさってしまうなど、利用りよう制約せいやくおおきい作物さくもつでもある[3]

農作物のうさくもつとしては、あく環境かんきょう乾燥かんそう酸性さんせい土壌どじょうひん栄養えいよう土壌どじょう)でも生育せいいく可能かのうなど、これまで農地のうちとされなかった場所ばしょでの栽培さいばいができ、食糧しょくりょう問題もんだい地球ちきゅう温暖おんだん問題もんだい解決かいけつへの期待きたいおおきい[3][5]

食用しょくよう以外いがい利用りよう範囲はんいひろく、発酵はっこうさせてどくきし家畜かちく飼料しりょうとして利用りようするほか、アルコール発酵はっこうによるバイオ燃料ねんりょう(バイオマスエタノール)製造せいぞう注目ちゅうもくびている[3]

なお、熱帯ねったい都市としでは緑地りょくちたいみにも利用りようされ、室内しつないでの観葉かんよう植物しょくぶつとしても利用りよう価値かちがある [3]観賞かんしょうよう斑入ふいりの品種ひんしゅもある。

品種ひんしゅ

編集へんしゅう

おおきくけて、苦味にがみしゅ甘味あまみしゅがある。

苦味にがみしゅは、シアン化合かごうぶつ青酸せいさんはいとうからだ)のリナマリン (linamarin) とロトストラリン英語えいごばん (lotaustralin) を外皮がいひおおふくむが、おおきな塊根かいこんつくるため、デンプンみなもと作物さくもつとして栽培さいばいされる。甘味あまみしゅは、どくきをおこないふかしたりでたりすることで、食用しょくようにされる[3]あじしょくかん甘味あまみすくないサツマイモている[4]

生産せいさん

編集へんしゅう

国際こくさい連合れんごう食糧しょくりょう農業のうぎょう機関きかん(FAO)が発表はっぴょうした統計とうけい資料しりょうによると、2019ねんれい元年がんねん)のぜん世界せかいにおける生産せいさんりょうは3おく0356まんトンであり、主食しゅしょくにするイモるいではジャガイモ(どう3おく7043まんトン)にぎ、だい3サツマイモどう9182まんトン)をおおきく上回うわまわ[3]

2013ねん時点じてんぜん世界せかい生産せいさんりょうは2おく7676まんトンで、しゅうべつではアフリカしゅうが1/2きょうアジアしゅうが1/4きょうめ、のこりのほとんどがみなみアメリカしゅう生産せいさんされる[3]

1. ナイジェリア 19.2% 5300まんトン
2. タイ 10.9% 3023まんトン
3. インドネシア 8.6% 2394まんトン
4. ブラジル 7.8% 2148まんトン
5. コンゴ民主みんしゅ共和きょうわこく 6.0% 1650まんトン
6. アンゴラ 5.9% 1641まんトン
7. ガーナ 5.8% 1599まんトン
8. モザンビーク 3.6% 1000まんトン
9. ベトナム 3.5% 976まんトン
10. カンボジア 2.9% 800まんトン

上位じょうい10かこく気候きこう区分くぶんはほとんどがケッペンの気候きこう区分くぶんでいう熱帯ねったいサバナ気候きこう (Aw)が卓越たくえつし 、インドネシアのみ熱帯ねったい雨林うりん気候きこう (Af) が卓越たくえつするくにである。また、アンゴラでも南部なんぶ温暖おんだん冬季とうき少雨しょうう気候きこう (Cw) の地域ちいきではあまり栽培さいばいされていない。

日本にっぽんにおけるキャッサバの生産せいさんりょうすくないながらも、沖縄おきなわけん鹿児島かごしまけんといった温暖おんだん地域ちいき栽培さいばいされ、日系にっけいブラジルじん東南とうなんアジアの出身しゅっしん人々ひとびとのコミュニティがおお静岡しずおかけん西部せいぶ群馬ぐんまけん邑楽おうらまちなどでもわずかに栽培さいばいされている[6]

2019ねんなつ日本にっぽんでタピオカりドリンクがブームとなり、台湾たいわんタイからタピオカが大量たいりょう輸入ゆにゅうされた[注釈ちゅうしゃく 2]

加工かこう調理ちょうり

編集へんしゅう

どく

編集へんしゅう

有毒ゆうどく品種ひんしゅふくむキャッサバを安全あんぜんべるために様々さまざま方法ほうほうがあり、5つに大別たいべつされる。

  1. 毒性どくせいひく品種ひんしゅ甘味あまみしゅ)をえらび、有毒ゆうどくかわしんのぞ
  2. 水溶すいようせいである青酸せいさんはいとうからだみずかしてのぞ
  3. 青酸せいさんはいとうからだをキャッサバの細胞さいぼうない酵素こうそ分解ぶんかいする
  4. 青酸せいさんはいとうからだ微生物びせいぶつ酵素こうそ分解ぶんかいする
  5. 青酸せいさんはいとうからだ加熱かねつにより半分はんぶん以下いかにする(ただしじょどくほうとしては不完全ふかんぜん

そのうち 1. は生食なましょくされることもおおい。2. はアフリカのねつ帯域たいいきられるやりかたで、いも加熱かねつしてからちいさくすいにさらす方法ほうほうである。南米なんべいでは 3. がよくられ、なまいもをすりつぶしていちばんしぼってじょどくする。現在げんざい工業こうぎょうてきじょどくほうとしても、伝統でんとうてき方法ほうほうとしてもおお利用りようされているのは 4. である。こう発酵はっこう嫌気いやけ発酵はっこうによるじょどくで、多種たしゅ多様たようなやりかたられている[7][8]

調理ちょうり

編集へんしゅう
 
ファロファ

キャッサバが栽培さいばいされている地域ちいきでは、甘味あまみしゅ根菜こんさいとしてあつかわれている。調理ちょうりほうふかす、でる、げるなど。うすくスライスしたキャッサバをげたキャッサバチップスもつくられる [3]

アフリカではとおしたキャッサバをつぶしてウガリフフつくられる[3]。コンゴ川下かわしも流域りゅういきではペーストじょうにしたキャッサバを発酵はっこうさせ、シクワングとばれるちまきじょう食品しょくひんにしてべられる[3][9]。ブラジルでは、キャッサバのこないためたファリーニャ(「製粉せいふん」という意味いみ)といわれるこなこうばしい食材しょくざいとしてもちいたり、おなじくキャッサバのこなバターやきざんだベーコンいためたファロファfarofa)をにく料理りょうりのつけあわせによくえる [3]

また、キャッサバのこなもちいたパン(れい:ブラジルのポン・デ・ケイジョボリビアクニャペパラグアイチパ)など、キャッサバもちいた料理りょうり庶民しょみんものとしてしたしまれている。

根茎こんけいから製造せいぞうしたデンプンはタピオカばれ、球状きゅうじょうの「タピオカパール」に加工かこうしてデザートの材料ざいりょうもののトッピングとして使つかわれる。

工業こうぎょう利用りよう

編集へんしゅう

タピオカでんぷんなどの加工かこうひん取引とりひきりょうは、世界せかいてき年々ねんねん増加ぞうか一途いっとをたどっており、生産せいさん農家のうか収入しゅうにゅうげんとなっている[3]

東南とうなんアジア(タイが主要しゅようこく)などで栽培さいばいされたキャッサバは乾燥かんそう工程こうていて「キャッサバチップ」へ加工かこうされ、中国ちゅうごくなどに輸出ゆしゅつされる。その中国ちゅうごくでは発酵はっこう工程こうていエタノールバイオマスエタノール)となる。それを原料げんりょうこおり酢酸さくさんエステルした酢酸さくさんエチルが、大量たいりょう生産せいさんされている(やく80まんMT/とし)。中国ちゅうごく生産せいさんされた酢酸さくさんエチルは年間ねんかんやく30まんMT程度ていど海外かいがい輸出ゆしゅつされており、有機ゆうき化学かがく分野ぶんやでは貴重きちょう外貨がいか獲得かくとく手段しゅだんとなっている。

栽培さいばい

編集へんしゅう

現在げんざい栽培さいばいされているすべてのキャッサバの原型げんけいとなった flabellifolia 亜種あしゅ分布ぶんぷ中央ちゅうおうブラジル西部せいぶ中心ちゅうしんとしており、すくなくともここでは1まんねんまえには栽培さいばいはじまったとみられる[10]。ただし、たね全体ぜんたいとしてはブラジル南部なんぶとパラグアイのあたりで発生はっせいしたとの見解けんかいがある。メキシコタバスコしゅうサンアンドレス遺跡いせきから出土しゅつどしたキャッサバの花粉かふんから、6600ねんまえまでにはそこでキャッサバが生育せいいくしていたことがかっている[11]。キャッサバ栽培さいばい最古さいこ証拠しょうこは、エルサルバドルにある1400ねんまえマヤ文明ぶんめい遺跡いせきホヤ・デ・セレンつかっている[12]

キャッサバは、その食料しょくりょうよう作物さくもつとしての有用ゆうようせいから、スペインによるアメリカ大陸あめりかたいりく植民しょくみんはじまる15世紀せいきまつまでにはみなみアメリカ北部ほくぶ中央ちゅうおうアメリカ南部なんぶ西にしインド諸島しょとう人々ひとびと主食しゅしょくとなっており、モチェ文化ぶんかあぶみがたちゅうくち土器どきなど、コロンブス以前いぜんつくられた工芸こうげいひんのモチーフともされた。これらの地域ちいきでは、スペインとポルトガルによる植民しょくみん栽培さいばいつづけられた。

17世紀せいき奴隷どれい貿易ぼうえきさかんになると、アフリカから新大陸しんたいりくまでのつき単位たんいようする輸送ゆそう期間きかん船内せんない奴隷どれいべさせる食物しょくもつ必要ひつようになった[3]。ブラジルを支配しはいしていたポルトガルじんは、栽培さいばい容易よういなキャッサバを奴隷どれい貿易ぼうえきよう食料しょくりょうとして採用さいようしたため、キャッサバはアフリカを中心ちゅうしんとするぜん世界せかいひろまった[3]

ブラジルでは、キャッサバは、ポルトガルじん導入どうにゅうしたコメ、植民しょくみん以前いぜんからあるトウモロコシとともに、主食しゅしょくとして食生活しょくせいかつかせない食材しょくざいである。ブラジル以外いがい南米なんべい諸国しょこくではユカばれ、アマゾン川あまぞんがわ流域りゅういき中心ちゅうしん重要じゅうよう食材しょくざいとなっている。

一方いっぽう、アフリカでは、ポルトガルじんによってつたえられると急速きゅうそく栽培さいばいひろまった(コロンブス交換こうかん)。もっともはやくキャッサバを受容じゅようしたのはコンゴがわしも流域りゅういきにあったコンゴ王国おうこく付近ふきんであり、16世紀せいき後半こうはんにはすでにさかんに栽培さいばいされるようになっており、1650ねんごろには独自どくじ調理ちょうりほう開発かいはつされたとかんがえられている。さらに、コンゴ王国おうこくよりも内陸ないりく地域ちいきにおいてもキャッサバはひろれられ、19世紀せいき後半こうはんにはコンゴがわ流域りゅういきのかなりひろ地域ちいきひろがっていた。一方いっぽう西にしアフリカへの伝播でんぱはややおくれ、18世紀せいきみなみアメリカの調理ちょうりほうとセットでひろがることとなった[13]。キャッサバがアフリカにれられた理由りゆうとしては、

  • やせた土地とちでも栽培さいばいでき、はたけ長期ちょうき保存ほぞん可能かのうなため
  • 作付さくづけに手間てまがかからず収量しゅうりょうおお[14]ため
  • 飢饉ききんさい現地げんちおうによって救荒きゅうこう植物しょくぶつとして奨励しょうれいされたため
  • 奴隷どれい貿易ぼうえきさい保存ほぞんしょくとしてひろまったため
  • 現地げんちしょく文化ぶんかにうまく適合てきごうしたため
  • 20世紀せいきはいると、拡大かくだいする都市とし食糧しょくりょうとして供給きょうきゅうする目的もくてき栽培さいばい拡大かくだいしたため

などがげられる[15]

アジアへは、17世紀せいきにスペインじんによってフィリピン諸島しょとうにもたらされ、18世紀せいきにはオランダじんによってひがしインド諸島しょとう(インドネシア)にもたらされたことによって栽培さいばいひろがった[3]。18世紀せいき末葉まつようマレまれ半島はんとうからタイ、インドシナ半島いんどしなはんとうへと栽培さいばいいき拡大かくだいさせている[3]

伝説でんせつ

編集へんしゅう

ブラジルのインディオ・トゥピーぞく伝説でんせつでは、キャッサバ(マンジョカ)は、んだ少女しょうじょ遺体いたいからしょうじたとされている。[16]

族長ぞくちょうむすめマーラは、あるばんつきからりてきた金髪きんぱつ若者わかものあいげられるゆめた。くりかえしおなゆめたマーラは若者わかものこいをして、処女しょじょのまま子供こども宿やどした。まれたおんな金髪きんぱつで、しろはだをしていた。おんなはマンジと名付なづけられたが、しばらくして病気びょうきんでしまった。マーラはんだむすめはなれたくなくて、自分じぶん小屋こやなかにマンジの遺体いたいめた。ある、マンジのはかからて、やがてくきがのびがしげった。かえしてみると、マンジのはだのようにしろいもがあった。おな族長ぞくちょうゆめ金髪きんぱつ若者わかものあらわれて、人々ひとびとものとなるためにマンジがつかわされたことと、そのいもかたそだかた族長ぞくちょうおしえた。マンジがオッカ(小屋こや)のなかほうむられたことから、いもは「マンジョカ(マンジ・オッカ)」とばれるようになった。[16]

病気びょうき

編集へんしゅう

2000年代ねんだいのアフリカでは、キャッサバに有害ゆうがい褐色かっしょくじょうまだらウイルス発生はっせいられており、爆発ばくはつてき拡大かくだいしょうじた場合ばあい収穫しゅうかくりょう激減げきげんからなる食糧しょくりょう危機きき発生はっせいするという懸念けねん材料ざいりょうがある[17]。このため、抵抗ていこうせいのキャッサバの開発かいはつなど品種ひんしゅ改良かいりょうけたみもおこなわれている[18]

また、2015ねんには、従来じゅうらいアフリカとインド周辺しゅうへんでのみられていたキャッサバモザイク病もざいくびょうがカンボジアでもはじめて確認かくにんされ、東南とうなんアジアでの拡散かくさん懸念けねんされている[19][20]

cDNAライブラリ

編集へんしゅう

理化学研究所りかがくけんきゅうしょ櫻井さくらいらはキャッサバをつかった実験じっけんにより10,577種類しゅるいcDNAからなるcDNAライブラリを作成さくせいした。これは、様々さまざま環境かんきょうストレスをあたえたキャッサバから19,968種類しゅるいのcDNAをたんはなし、そのなかから同定どうていされたものである。ライブラリのなかで4,621種類しゅるいのcDNAはそれまでキャッサバではられていなかったcDNAで、環境かんきょうストレスをあたえられたことにより発現はつげんしたものとかんがえられた[21][5]

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく

編集へんしゅう
  1. ^ 先進せんしんこく主要しゅよう作物さくもつであるイネやトウモロコシなどにくらべ、キャッサバは研究けんきゅうしゃ人口じんこう圧倒的あっとうてきすくなく、研究けんきゅう基盤きばんととのわない状況じょうきょうながつづいてきた[4]
  2. ^ 日本にっぽんでのブームをけて、タイではキャッサバに転作てんさくする農家のうかあらわれた。

出典しゅってん

編集へんしゅう
  1. ^ Food Composition Databases Show Foods -- Cassava, raw
  2. ^ タンパク質たんぱくしつアミノ酸あみのさん必要ひつようりょう WHO/FAO/UNU合同ごうどう専門せんもん協議きょうぎかい報告ほうこく日本にっぽんアミノ酸あみのさん学会がっかい監訳かんやく医歯薬出版いしやくしゅっぱん、2009ねん05がつISBN 978-4263705681 邦訳ほうやくもと Protein and amino acid requirements in human nutrition, Report of a Joint WHO/FAO/UNU Expert Consultation, 2007
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 「キャッサバの基礎きそ基礎きそがわかる キャッサバABC」JICA(国際こくさい協力きょうりょく機構きこう井芹いせり信之のぶゆき、2016ねん8がつ
  4. ^ a b c d e 研究けんきゅう最前線さいぜんせん「タピオカの原料げんりょう"キャッサバ"で世界せかいすくう」 理化学研究所りかがくけんきゅうしょ、2022ねん2がつ2にち
  5. ^ a b 世界せかい最大さいだい規模きぼ:キャッサバ(タピオカ)完全かんぜんちょうcDNAやく11,000しゅ同定どうてい -環境かんきょうストレス処理しょりしたキャッサバから完全かんぜんちょうcDNAライブラリを作製さくせい-』(プレスリリース)独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん理化学研究所りかがくけんきゅうしょ、2007ねん12月6にちhttps://www.riken.jp/medialibrary/riken/pr/press/2007/20071206_1/20071206_1.pdf2022ねん4がつ1にち閲覧えつらん 
  6. ^ withnews編集へんしゅう. “静岡しずおかに「タピオカはたけ」の理由りゆう故郷こきょうあじひろめる」キャッサバ7せんほん”. withnews.jp. 2022ねん12月15にち閲覧えつらん
  7. ^ あんけい貴子たかこアフリカでのキャッサバのかたどくほう体系たいけいてき理解りかいのために」『生態せいたい人類じんるい学会がっかいニュースレター』だい12ごう生態せいたい人類じんるい学会がっかい、2006ねん、26-27ぺーじ2022ねん4がつ1にち閲覧えつらん 
  8. ^ あんけい貴子たかこアフリカ大陸たいりくにおけるキャッサバのどくほう」『熱帯ねったい農業のうぎょうだい49かんだい5ごう日本にっぽん熱帯ねったい農業のうぎょう学会がっかい、2005ねん、333-337ぺーじdoi:10.11248/jsta1957.49.333 
  9. ^ 「バナナとキャッサバ 赤道せきどうアフリカの主食しゅしょく」p556-557 小松こまつかおり(「朝倉あさくら世界せかい地理ちり講座こうざ アフリカⅡ」所収しょしゅう) 池谷いけがや和信かずのぶ佐藤さとうれん也、武内たけうち進一しんいちへん朝倉書店あさくらしょてん、2008ねん4がつ
  10. ^ Kenneth M. Olsen and Barbara A. Schaal (1999). “Evidence on the origin of cassava: Phylogeography ofManihot esculenta. Proceedings of the National Academy of Sciences 96 (10): 5587, 5590. doi:10.1073/pnas.96.10.5586. https://doi.org/10.1073/pnas.96.10.5586. 
  11. ^ Kevin O. Pope and Mary E. D. Pohl and John G. Jones and David L. Lentz and Christopher von Nagy and Francisco J. Vega and Irvy R. Quitmyer (2001). “Origin and Environmental Setting of Ancient Agriculture in the Lowlands of Mesoamerica”. Science 292 (5520): 1370-1373. doi:10.1126/science.292.5520.1370. https://doi.org/10.1126/science.292.5520.1370. 
  12. ^ University of Colorado at Boulder, (2007) "CU-Boulder Archaeology Team Discovers First Ancient Manioc Fields In Americas", press release August 20, 2007, accessed August 29, 2007.
  13. ^ 「バナナとキャッサバ 赤道せきどうアフリカの主食しゅしょく」p552-553 小松こまつかおり(「朝倉あさくら世界せかい地理ちり講座こうざ アフリカⅡ」所収しょしゅう) 池谷いけがや和信かずのぶ佐藤さとうれん也、武内たけうち進一しんいちへん朝倉書店あさくらしょてん、2008ねん4がつ
  14. ^ 「バナナとキャッサバ 赤道せきどうアフリカの主食しゅしょく」p554-555 小松こまつかおり(「朝倉あさくら世界せかい地理ちり講座こうざ アフリカⅡ」所収しょしゅう) 池谷いけがや和信かずのぶ佐藤さとうれん也、武内たけうち進一しんいちへん朝倉書店あさくらしょてん、2008ねん4がつ
  15. ^ 「バナナとキャッサバ 赤道せきどうアフリカの主食しゅしょく」p552-559 小松こまつかおり(「朝倉あさくら世界せかい地理ちり講座こうざ アフリカⅡ」所収しょしゅう) 池谷いけがや和信かずのぶ佐藤さとうれん也、武内たけうち進一しんいちへん朝倉書店あさくらしょてん、2008ねん4がつ
  16. ^ a b ヴァルデ=マール 再話さいわ永田ながた銀子ぎんす やく世界せかいをささえる一本いっぽん —ブラジル・インディオの神話しんわ伝説でんせつ福音館書店ふくいんかんしょてん、1996ねん、46ぺーじ
  17. ^ キャッサバに「植物しょくぶつのエボラ」の脅威きょういせまる、研究けんきゅうしゃらが食料しょくりょう危機きき懸念けねん”. AFP (2018ねん4がつ13にち). 2018ねん4がつ13にち閲覧えつらん
  18. ^ 国際こくさいアグリバイオ事業じぎょうだん(ISAAA)アグリバイオ最新さいしん情報じょうほう【2012ねん8がつ31にち”. 日経にっけいバイオテクオンライン (2012ねん9がつ13にち). 2018ねん4がつ13にち閲覧えつらん
  19. ^ Cassava Mosaic Disease (Cmd) in Southeast Asia” (英語えいご). CIAT. 2019ねん6がつ16にち閲覧えつらん
  20. ^ 5しゅうでキャッサバモザイク病もざいくびょう確認かくにん(カンボジア)|のう畜産ちくさんぎょう振興しんこう機構きこう”. のう畜産ちくさんぎょう振興しんこう機構きこう. 2019ねん6がつ16にち閲覧えつらん
  21. ^ Sakurai, T.; Plata, G.; Rodriguez-Zapata, F.; Seki, M.; Salcedo, A.; Toyoda, A.; Ishiwata, A.; Tohme, J.; Sakaki, Y.; Shinozaki, K.; Ishitani, M. (2007). “Sequencing analysis of 20,000 full-length cDNA clones from cassava reveals lineage specific expansions in gene families related to stress response”. BMC Plant Biology 7 (66). doi:10.1186/1471-2229-7-66. https://bmcplantbiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/1471-2229-7-66 2022ねん4がつ1にち閲覧えつらん. 

参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
  • ヴァルデ=マール 再話さいわ永田ながた銀子ぎんす やく世界せかいをささえる一本いっぽん —ブラジル・インディオの神話しんわ伝説でんせつ福音館書店ふくいんかんしょてん、1996ねん

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

外部がいぶリンク

編集へんしゅう

  ウィキメディア・コモンズには、Manihot esculenta (カテゴリ)にかんするメディアがあります。