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スイカズラ - Wikipedia

スイカズラかずら[2]・吸葛[3]忍冬すいかずら[4]学名がくめい: Lonicera japonica)はスイカズラスイカズラぞく常緑じょうりょくつるせい木本もくほん別名べつめいニンドウ忍冬すいかずら)やキンギンカ金銀きんぎんはな)。

スイカズラ
スイカズラ
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい Eudicots
階級かいきゅうなし : キクるい Asterids
階級かいきゅうなし : キキョウるい Campanulids
: マツムシソウ Dipsacales
: スイカズラ Caprifoliaceae
ぞく : スイカズラぞく Lonicera
たね : スイカズラ L. japonica
学名がくめい
Lonicera japonica Thunb. (1784)[1]
和名わみょう
スイカズラ(かずら
英名えいめい
Japanese Honeysuckle

名称めいしょう

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和名わみょうスイカズラは「かずら」ので、細長ほそなが花筒はなづつおくみつがあり、ふるくはどもがこのんではなかんほそいほうをくちふくんであまみつうことがおこなわれたことにちなむ[5][6][7]砂糖さとうころ日本にっぽんでは、砂糖さとうわりとしてもちいられていた。スイカズラの英名えいめいジャパニーズ・ハニーサックル(Japanese honeysuckle)も、花筒はなづつをちぎってみつhoney)をう(suck)ところからまれた名前なまえであるといわれる[5]

別名べつめいは、キンギンカ(金銀きんぎんはな[8]、ミツバナ[8]、スイバナ[8][9]、スイスイバナ[9]、ニンドウカズラ[9]中国ちゅうごく植物しょくぶつめいは、忍冬すいかずら(にんどう)といい、冬場ふゆばしのび、れずにのこることからこのがついている[8][5]異名いみょうである「金銀きんぎんはな」は、花色はないろしろから黄色きいろ変化へんかすることに由来ゆらいする[8][7]

花言葉はなことばは「あいきずな」。

分布ぶんぷ生育せいいく

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日本にっぽん全国ぜんこく各地かくち北海道ほっかいどう南部なんぶ本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう)のほか[4][6]朝鮮半島ちょうせんはんとう中国ちゅうごくなどひがしアジア一帯いったい分布ぶんぷする[10]

各地かくち平地ひらちから山野やまの野原のはら土手どて山林さんりんはやしゆかりみちばたによくられ[8][11][4][9]にわ垣根かきねにもえられる[3]欧米おうべいでは観賞かんしょうよう栽培さいばいされるが、またひろ野生やせいし、とくアメリカでは外来がいらいしゅとしてクズとともに森林しんりんおおって打撃だげきあたえるなど問題もんだいとなっている。

夏季かき乾燥かんそうしない場所ばしょで、日当ひあたりの場所ばしょこのむが、たい日陰ひかげせいもある[11]

形態けいたい生態せいたい

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常緑じょうりょくまたははん常緑じょうりょくつるせい低木ていぼく[8][11]木質もくしつのつるで、くき分岐ぶんきしながらながみぎき(Sき)にびて植物しょくぶつからみつき[9]つるせい植物しょくぶつくらべておだやかに繁茂はんもしてゆき、ながさは10メートル (m) ほどにもなる[6]わかくきほそくても丈夫じょうぶで、もう密生みっせいはい赤褐色せきかっしょくをしているが、2ねん以降いこうくきふとくなるとつるのずい中空ちゅうくうになり、樹皮じゅひたてほそけてがれてはい褐色かっしょくびる[12][2][6]ふゆにあいだは、つるの先端せんたんのほうのえださきだけがれる[2]

はつるに対生たいせいし、たまごがたから楕円だえんがたちょう楕円だえんがたで、ながさ3 - 7センチメートル (cm) [3]はば0.7 - 4 cmあり、葉柄ようへいながさ3 - 8ミリメートル (mm) ある。かたち成長せいちょう過程かていぶしによって変化へんかがあり、はる若葉わかばえん波打なみうってはねじょうみがあり、なつぜんえん先端せんたんすことが[13]。また、冬期とうきあつめのになり、裏面りめんすこいたようなかたちになる[13]裏面りめんおおく、表面ひょうめんすくない。えださき越冬えっとうする[12]暖地だんちではふゆでもちず、赤色あかいろびて裏側うらがわいている[2]

花期かき初夏しょか(5 - 7がつごろ)で、葉腋ようえきからはなが2ずつならんでき、夕方ゆうがたからあまかおりがただよ[11][6]。つぼみはうす紅色こうしょくはじめのはな白色はくしょくをしているが、受粉じゅふんするなどして徐々じょじょ黄色きいろくなる[8][11][14]。そのため、ひとつのえだしろはな黄色きいろはな同居どうきょすることがめずらしくない[13]花弁はなびらほそつつじょうで、漏斗ろうとがた花冠かかんながさは3 - 4 cm、さきほう上下じょうげ2まいくちびるじょうかれ、上唇うわくちびるはさらにあさく4きれし、しもくちびるはへらじょうである[11][4]花冠かかんつつに、あまみつがある[11]しべは5ながしており、しべはなばしら1個いっこながて、受粉じゅふんまえ柱頭ちゅうとうまる緑色みどりいろである[13]はな基部きぶには、のようなつとがつく[13]

はては10 - 11月[3]果実かじつえきはてで、くろ球形きゅうけいが2ずつなる[13]果実かじつ直径ちょっけいは5 - 7 mmほどで、先端せんたんにはがく残骸ざんがいのこ[13]わか果実かじつ緑色みどりいろをしているが、つやのある黒色こくしょくじゅくして、ふゆのこって目立めだ[11][2][13]

冬芽とうがえだ対生たいせいし、ふしにあるしゅうえふくがつき、せまたまごがたうろこひら気味ぎみになっている[2]落葉らくようしても葉柄ようへいのこるので、こんはわかりにくい[2]

はな茎葉けいようは、薬用やくよう食用しょくよう、また染料せんりょうになる[3]

薬用やくよう

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棒状ぼうじょうつぼみは、金銀きんぎんはな(きんぎんか)という生薬きぐすりあきからふゆあいだ茎葉けいようは、忍冬すいかずら(にんどう)・忍冬すいかずらふじ(にんどうとう)という生薬きぐすり[8][11]、ともに利尿りにょうけん解熱げねつ作用さようきよし作用さようがあるとされ、忍冬すいかずらには収斂しゅうれん作用さようもある[11]漢方薬かんぽうやくとしても利用りようされる。忍冬すいかずらにする茎葉けいようは、はじめ2 - 3にち日干ひぼしにして、あとは陰干かげぼしで調製ちょうせいする[9]金銀きんぎんはなにするはなは、はる(4 - 5がつごろ)の開花かいかまえつぼみく、棍棒こんぼうじょうのものを採取さいしゅして通風つうふうのよいところで天日てんじつ乾燥かんそうさせる[11][9]。また忍冬すいかずらは、がついたままのくき花期かきから盛夏せいかまでにり、水洗みずあら1 cmほどにきざんで日干ひぼしする[8][11]成分せいぶんとして、苦味にがみはいとうたいロガニンふく[9]

民間みんかんでは、ねつがある風邪かぜなどに、金銀きんぎんはな忍冬すいかずらを1にちりょう10 - 15グラム (g) をみず500 cc半量はんりょうになるまでとろせんじ、3かいけて服用ふくようする用法ようほうられている[11]関節かんせついたむときに、金銀きんぎんはな2 - 3 gを1にちりょうとしてみず200 ccで半量はんりょうになるまでせんじて食後しょくご服用ふくようしたり、はれものに忍冬すいかずら5 - 15 gを1にちりょうとしてみず400 ccで半量はんりょうになるまでせんじて、1にち3かい食後しょくご分服ぶんぷくする用法ようほうられている[9]。ただし、患部かんぶねつはなくえているひとへの服用ふくよう禁忌きんきとされている[8]

忍冬すいかずらちゃとしての飲用いんようもよく、腰痛ようつう湿疹しっしんあせもいたみなどのよくりょうとして布袋ほていれた茎葉けいようして風呂ふろれてももよい[8][11][9]金銀きんぎんはな使つかって忍冬すいかずらしゅ金銀きんぎんはなしゅ)もつくられ[5]、はれものの解毒げどく食欲しょくよく増進ぞうしんしょう生理せいりつう高血圧こうけつあつけんせいちょう疲労ひろう回復かいふく金銀きんぎんはなしゅまれる[9]。1にちりょうを30ミリリットル限度げんど朝夕あさゆう2かいけて[9]中国ちゅうごくの『本草ほんぞう綱目こうもく』(1590ねん)、日本にっぽんの『ほん朝食ちょうしょくかん』(1697ねん)、『和漢わかんさんさい図会ずえ』(1713ねん)に忍冬すいかずらしゅという記載きさいがみられ、スイカズラと茎葉けいようもちまいさけつくられるが、江戸えど時代じだい日本にっぽん独特どくとく忍冬すいかずらしゅ工夫くふうされた[9]

食用しょくよう

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新芽しんめ若葉わかば山菜さんさいとして食用しょくようになり、採取さいしゅ時期じきはるからなつで、関東かんとう地方ちほう以西いせいなど暖地だんちが4 - 5がつごろ、東北とうほく地方ちほう以北いほくなどの寒冷かんれいは5 - 6がつごろが適期てっきとされる[4]って、かるでたあとすいにさらし、ひたものあぶらいたなどに調理ちょうりされる[4]日陰ひかげで3 - 4にちほど陰干かげぼししてから、乾煎からいしておちゃがわりにもできる[4]はなは、そのままものにできる[4]

きんえんしゅ

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スイカズラぞくには180しゅあり、日本にっぽんには20しゅばかりあるが、おおくは低木ていぼくである。づるせいのものとしてはハマニンドウ L. affinis とキダチニンドウ L. hypoglauca がある。いずれも分布ぶんぷかぎられ、より南部なんぶ生育せいいくするものである。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Lonicera japonica Thunb. スイカズラ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2022ねん12月24にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g 鈴木すずき庸夫みちお高橋たかはしふゆやすのべ尚文なおふみ 2014, p. 22
  3. ^ a b c d e 西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう 学習がくしゅう研究けんきゅうしゃへん 2009, p. 39.
  4. ^ a b c d e f g h 高橋たかはし秀男ひでお監修かんしゅう 2003, p. 132.
  5. ^ a b c d 深津ふかづただし 2000, p. 152.
  6. ^ a b c d e 谷川たにがわ栄子えいこ 2015, p. 38.
  7. ^ a b 姉崎あねざき一馬かずま 『ヤマケイポケットガイド13 野山のやま樹木じゅもく』、株式会社かぶしきがいしゃやま渓谷社けいこくしゃ、2004ねん(2000ねん初版しょはんISBN 4635062236 267ぺーじ参照さんしょう
  8. ^ a b c d e f g h i j k l 貝津かいづこうこう 1995, p. 99.
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m 主婦しゅふ友社ともしゃへん 2016, p. 91.
  10. ^ 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう 永岡書店ながおかしょてんへん 1997, p. 60.
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m n 馬場ばばあつし 1996, p. 68.
  12. ^ a b 高橋たかはし秀男ひでお 2003, p. 132.
  13. ^ a b c d e f g h 谷川たにがわ栄子えいこ 2015, p. 39.
  14. ^ 谷川たにがわ栄子えいこ 2015, pp. 38–39.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 貝津かいづ好孝よしたか日本にっぽん薬草やくそう小学館しょうがくかん小学館しょうがくかんのフィールド・ガイドシリーズ〉、1995ねん7がつ20日はつか、99ぺーじISBN 4-09-208016-6 
  • 佐竹さたけよし輔ほかへん日本にっぽん野生やせい植物しょくぶつ 木本もくほんII』平凡社へいぼんしゃ、1989ねん
  • 主婦しゅふ友社ともしゃへんべてく! んでく! べる薬草やくそう山野やまのくさはやわかり』主婦しゅふ友社ともしゃ、2016ねん4がつ10日とおか、91ぺーじISBN 978-4-07-412330-8 
  • 鈴木すずき庸夫みちお高橋たかはしふゆやすのべ尚文なおふみ樹皮じゅひ冬芽とうが四季しきつうじて樹木じゅもく観察かんさつする 431しゅまことぶんどう新光しんこうしゃ〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014ねん10がつ10日とおか、22ぺーじISBN 978-4-416-61438-9 
  • 高橋たかはし秀男ひでお監修かんしゅう田中たなかつとむ、松原まつばらけい日本にっぽん山菜さんさい学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ〈フィールドベスト図鑑ずかん13〉、2003ねん4がつ1にち、132ぺーじISBN 4-05-401881-5 
  • 谷川たにがわ栄子えいこ里山さとやまのつるせい植物しょくぶつ 観察かんさつたのしみ本間ほんま秀和ひでかず写真しゃしん)、NHK出版しゅっぱん、2015ねん6がつ20日はつか、38-39ぺーじISBN 978-4-14-040271-9 
  • 西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう 学習がくしゅう研究けんきゅうしゃへん日本にっぽん樹木じゅもく』 5かん学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ増補ぞうほ改訂かいてい フィールドベスト図鑑ずかん〉、2009ねん8がつ4にち、39ぺーじISBN 978-4-05-403844-8 
  • 馬場ばばあつし薬草やくそう500しゅ栽培さいばいから効用こうようまで』大貫おおぬきしげる写真しゃしん)、まことぶんどう新光しんこうしゃ、1996ねん9がつ27にち、68ぺーじISBN 4-416-49618-4 
  • 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう 永岡書店ながおかしょてんへん樹木じゅもくガイドブック』永岡書店ながおかしょてん、1997ねん5がつ10日とおか、60ぺーじISBN 4-522-21557-6 
  • 深津ふかづただし植物しょくぶつ和名わみょう語源ごげん探究たんきゅう八坂やさか書房しょぼう、2000ねん4がつ25にち、152-154ぺーじISBN 4-89694-452-6 

関連かんれん項目こうもく

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