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ハモンドオルガン - Wikipedia

ハモンドオルガン

電気でんき楽器がっき一種いっしゅ

ハモンドオルガンえい: Hammond Organ)とは電気でんき楽器がっき一種いっしゅ

ハモンドB-3とレスリースピーカー

1934ねんローレンス・ハモンドによって発明はつめいされた。パイプオルガンのパイプのわりに、トーンホイール英語えいごばん歯車はぐるまじょう磁性じせい金属きんぞくせい円盤えんばん)を回転かいてんさせて、近接きんせつして設置せっちされた電磁でんじピックアップにより磁界じかい変化へんかなみ音源おんげんとして出力しゅつりょくする。このように生成せいせいされた正弦せいげん基音きおんまたは倍音ばいおんとして、パイプオルガンと同様どうようにミックスしておとつくす。

機種きしゅ演奏えんそう環境かんきょうによって若干じゃっかん差異さいはあるが、空気くうきかん明朗めいろう音色ねいろ特徴とくちょうである。複雑ふくざつ発音はつおん方式ほうしきからしょうじるふかみのあるサウンドをして、ジャズロックなど比較的ひかくてき現代げんだいてき音楽おんがく導入どうにゅうしているれいすくなからず見受みうけられる。

 
トーンホイールのしき

誕生たんじょう

編集へんしゅう

1930年代ねんだい初頭しょとうすで真空しんくうかん使つかったシンプルな電子でんし楽器がっき製品せいひんされていたが、だい規模きぼ本格ほんかくてき電子でんし楽器がっきはまだ研究けんきゅう途上とじょうにあり、真空しんくうかんしき電子でんしオルガンの製品せいひんには困難こんなんがあった [注釈ちゅうしゃく 1]。ローレンス・ハモンドは(もちろん当時とうじとしては)軽量けいりょうかつ小型こがたで、どこでも正確せいかく音程おんてい演奏えんそう出来できるように、自身じしん開発かいはつした電気でんき時計とけい採用さいようした、電源でんげん周波数しゅうはすう同期どうきした同期どうき電動でんどう(シンクロナス・モーター、synchronous AC motor)をもちいてトーンホイールを回転かいてんさせることにした。多数たすうのトーンホイールは、多数たすう減速げんそく歯車はぐるまによって同期どうき回転かいてんさせてかく音程おんてい周波数しゅうはすう発生はっせいさせる。しかし整数せいすう歯車はぐるまつく音程おんてい正確せいかくじゅう平均へいきんりつではないため、合成ごうせいおんコーラス効果こうか独特どくとく音色ねいろとなり、いわゆるハモンド・サウンドといわれるものとなる。

パイプをもちいないこの楽器がっき人々ひとびと当初とうしょ、「オルガン」とはみとめなかったが、シカゴ大学だいがくのホールでパイプオルガンとハモンドオルガンをおおくの人々ひとびとまえブラインドテストした結果けっか、この楽器がっきは「オルガンである」とみとめられたという。日本にっぽんではウィリアム・メレル・ヴォーリズ輸入ゆにゅう代理だいりてんひらき、ひろ紹介しょうかいしたことにより普及ふきゅうした。

全盛期ぜんせいき

編集へんしゅう

1940年代ねんだいごろから、ハモンドオルガンを身近みぢかかんじてそだったどもたちがジャズなどのミュージシャンとなり、一部いちぶのジャズプレイヤーはピアノわる選択肢せんたくしとしてハモンドオルガンを演奏えんそうするようになった。ジャズオルガニストなかでもジミー・スミスはジャズの世界せかいにとどまらない影響えいきょうあたつづけることになる。

1950年代ねんだいロックンロールなどの黒人こくじん音楽おんがく影響えいきょうつよ音楽おんがく一世いっせい風靡ふうびすると、ハモンドオルガンはこうした音楽おんがくにも導入どうにゅうされていった。エレクトリック・ギターなどの電気でんき楽器がっき次々つぎつぎ登場とうじょうし、ますますおおきくなるバンドの音量おんりょうけまいと鍵盤けんばん奏者そうしゃ必死ひっしになってピアノの鍵盤けんばん強打きょうだしていたこの時代じだい比較的ひかくてき簡単かんたんだい音量おんりょうられ、ドラムキット管楽器かんがっきエレクトリック・ギターけない攻撃こうげきてきなトーンをもせるハモンドオルガンは、一躍いちやくおおくの鍵盤けんばん奏者そうしゃたちにあいされることとなった。1960年代ねんだい後半こうはんにはディープ・パープルザ・ナイスステッペンウルフといったロックバンドのオルガン奏者そうしゃギタリスト対等たいとうわたう、もしくはギタリストの在籍ざいせきしないロックバンドが次々つぎつぎ登場とうじょうクラシック技法ぎほうなども導入どうにゅうされ、たくさんのヒットレコードにハモンドオルガンのおと記録きろくされた。

 
レスリー・スピーカーしき

サウンドの発展はってん

編集へんしゅう

ハモンドオルガン・カンパニーは専用せんようアンプとしてPR-40などの専用せんようトーンキャビネットを製造せいぞうし、推奨すいしょうしていた。1940年代ねんだい、オルガン奏者そうしゃであったドン・レスリーという人物じんぶつはパイプオルガンのひびきが左右さゆううごいてこえるのにづき、回転かいてんする高音こうおんようホーンと低音ていおんようローターをもったスピーカーを開発かいはつする。「レスリー・スピーカー」の誕生たんじょうである。ローレンス・ハモンドは生前せいぜん、レスリー・スピーカーをみとめることはなかったが、オルガニストたちはこぞってこのスピーカーを使つかはじめる。またたにハモンドオルガンとレスリー・スピーカーはほとんどの場合ばあいセットでもちいられることになり、現在げんざいではレスリー・スピーカーはハモンドオルガンの個性こせい半分はんぶん以上いじょうになうと看做みなされるようになった。

ギターアンプなどに内蔵ないぞうされたスプリング・リバーブユニット衝撃しょうげきあたえると爆発ばくはつおとかみなりのようなおとることが発見はっけんされてから、一部いちぶのロックオルガニストたちはより「ロックな」パフォーマンスをおこなうため、本来ほんらいリバーブを内蔵ないぞうしないB-3やC-3にユニットをみ、オルガンをらし、たたけ、ドラムスティックなどで直接ちょくせつユニットのバネをこすって攻撃こうげきてきなノイズを発生はっせいさせるようになった。また、一部いちぶのオルガニストはギターアンプをもちいてオルガンサウンドを増幅ぞうふくすることでギターへの憧憬どうけいあらわしたり、より攻撃こうげきてきなトーンをつくしたりした。この代表だいひょう選手せんしゅディープ・パープルジョン・ロードであろう。

 
ディープ・パープル と B-3(うしろでドン・エイリー演奏えんそうしている)

ザ・ナイスELPキース・エマーソンジミ・ヘンドリックスなどの影響えいきょうからフィードバック(ハウリング)やスプリング・リバーブの衝撃しょうげきおんナイフ鍵盤けんばんあいだし、おとたままの状態じょうたいにする)まで利用りようし、オルガンに馬乗うまのりになったり下敷したじきになったりして演奏えんそうするという強烈きょうれつなパフォーマンスをおこない、観客かんきゃくみみ釘付くぎづけにした。ジョン・ロードはスプリングリバーブの衝撃しょうげきおんやリングモジュレーターを使つかって印象いんしょうてきなノイズを多用たようしたことで有名ゆうめいである。また1969ねんから1972ねんまでのディープ・パープルのいわゆる「だい2」にはレスリー・スピーカーをもちいずにギターアンプ(マーシャルしゃのベースアンプ)を使用しようした。

1970年代ねんだい後半こうはんには、元々もともとレスリースピーカーを真似まねつくられたエフェクターであるフェイズシフターを、おおきくかさばるレスリースピーカーの代用だいようとして使つか奏者そうしゃあらわれた。フェイズシフターのおとはレスリーとはまったくことなるものであったが、これも個性こせいてきなオルガンサウンドをした。オルガンの機構きこう利用りようした特殊とくしゅ奏法そうほうも、様々さまざまなものがされている。これについては「メカニズム」のこうれいげることとする。

ポピュラー音楽おんがくでの使用しよう頻度ひんど増加ぞうかともない、1960年代ねんだいはじめごろにはトランジスタ回路かいろでハモンドオルガンのおと模倣もほうした「コンボオルガン」がおおくのメーカーから発売はつばいされるようになった。代表だいひょうてきなものはヴォックス(VOX)しゃせいとファルフィッサ(英語えいごばんしゃせいである。機構きこう比較的ひかくてき単純たんじゅんなためハモンドオルガンよりコンパクトでかるく、安価あんかでもあったためアマチュアバンドにひろ利用りようされたのちドアーズビートルズアニマルズピンク・フロイドなど、プロのバンドにもよく使つかわれるようになり、1960年代ねんだい後半こうはんサイケデリック・ロック特徴とくちょうひとつともなった。音色ねいろ自体じたいはハモンドオルガンにはまったていないチープなものであるが、これが独自どくじ個性こせい確立かくりつし、現在げんざいまで評価ひょうかされている。

衰退すいたいさい評価ひょうか

編集へんしゅう

おおきくおもくならざるをないトーンホイールシステムは、鍵盤けんばん楽器がっき小型こがた軽量けいりょうながれにやがてのこされた。1974ねんすえすべてのトーンホイールオルガンの生産せいさん終了しゅうりょうし、電子でんし回路かいろによる発振はっしんえられて、完全かんぜん電子でんしされた。全盛期ぜんせいきにはどんなヒットきょくでもくことのできたハモンド・サウンドはやがてきられ、1970年代ねんだいまつから急速きゅうそく発展はってんしていたシンセサイザーってわられることになった。

 
ハモンドスズキ XK-1

1986ねんまつハモンド・オルガンカンパニーの経営けいえいゆるやかに終息しゅうそくむかえた。 修理しゅうり部品ぶひん保守ほしゅサービスはべつ会社かいしゃ移行いこうされ [1]商標しょうひょうそのはハモンド・オーストラリアに譲渡ゆずりわたされた [2]唯一ゆいいつ生産せいさん拠点きょてんとなった日本にっぽんハモンドの権利けんり関係かんけい複雑ふくざつし、最終さいしゅうてき親会社おやがいしゃ 阪田さかた商会しょうかい関連かんれん事業じぎょう鈴木すずき楽器がっき譲渡じょうとした [3]鈴木すずき楽器がっき1991ねんハモンド、1992ねんレスリーをそれぞれ買収ばいしゅうし、きゅう日本にっぽんハモンドのながれをむトランジスタ発振はっしん方式ほうしき製品せいひんや、あたらしいサンプリングおと利用りようしたハモンドオルガン、レスリー・スピーカーの生産せいさん開始かいしした [注釈ちゅうしゃく 2]。シンセサイザーのおときられはじめ、ふる電気でんき電子でんし楽器がっきおとさい評価ひょうかされるようになった1990年代ねんだい前後ぜんごからはおおくのメーカーでPCM音源おんげん物理ぶつりモデル音源おんげん利用りようしたオルガンがつくられるようになる。現在げんざいハモンドオルガンの商標しょうひょうっているハモンドスズキ(Hammond-Suzuki)の製品せいひんはビンテージのB-3のトーンホイールひとひとつからサンプリングしたおと使用しようしており、他社たしゃのものは物理ぶつりモデル音源おんげんもちいて再現さいげんしているものがおおい。これらのオルガンは「クローンホイール(Clonewheel)」とばれている。しかしながら、旧式きゅうしきのトーンホイールからされるふかみのあるふとおとは、現在げんざい技術ぎじゅつ完全かんぜん代替だいたい出来できているとはがたい。このため、いまでもヴィンテージのハモンドオルガンをもとめる演奏えんそうおおい。

また伝統でんとうてきなトーンホイール・オルガンをさい生産せいさんするメーカーも存在そんざいする(Pari.E Electromagnetic organ)[4]

 
起動きどうスイッチ
 
Hammond C-2 の内部ないぶ
うえからじゅんに ドローバー/鍵盤けんばん/トーンジェネレータ/アンプ&電源でんげんならぶ。右側みぎがわしろ円筒えんとう2つが給油きゅうゆこう

2つの起動きどうスイッチ

編集へんしゅう

B-3の場合ばあいで91まいのトーンホイールを回転かいてんさせるためにようするトルクはおおきいため、始動しどうにはより回転かいてんりょくのあるモーターを同時どうじうごかす必要ひつようがある。このためオルガン本体ほんたいには、自動車じどうしゃのセルモーターに相当そうとうするStartモーターをまわす"Start"スイッチ(電源でんげんスイッチとStartモーターの始動しどうスイッチをねる)と、トーンホイールを一定いってい速度そくどまわすシンクロナス・モーターようの"Run"スイッチがある。演奏えんそう準備じゅんびのためには、まずStartスイッチを10びょうちかげ、モーターおん安定あんていしたところでRunスイッチをげる。そのStartスイッチはゆびはなすと中央ちゅうおうまり、プリアンプの真空しんくうかんあたたまれば演奏えんそう可能かのうとなる。鍵盤けんばんしながらRunスイッチをると、トーンホイールが減速げんそく停止ていしする一方いっぽう、プリアンプには電気でんき供給きょうきゅうされているために発音はつおんつづけるので、音程おんていのベンドダウンをおこなうことができる。完全かんぜん停止ていししてしまうと、ふたた動作どうさおこな必要ひつようがあり、10びょう以上いじょう演奏えんそうできなくなる。Startモーターを演奏えんそうちゅうまわすことでベンドアップも可能かのうである(Startモーターの回転かいてんすう依存いぞんするため、音程おんてい変化へんかりょう個体こたいがある)。1970年代ねんだいにはロックバンドで頻用ひんようされたうらわざである。なお、前述ぜんじゅつのようにシンクロナス・モーターは電源でんげん周波しゅうはすうにより回転かいてん速度そくど決定けっていしているため、日本にっぽん関東かんとう地方ちほうなど50Hzへるつけんただしい音程おんてい使用しようするには、サイクルチェンジャーのみが必要ひつようである。50Hzへるつけんでそのまま使用しようすると、やくたん3音程おんてい低下ていかする。一部いちぶ業者ぎょうしゃでは50Hzへるつを60Hzへるつ変換へんかんするだけでなく、様々さまざま電源でんげん周波数しゅうはすうえることでこのみの調しらべ移調いちょうできるように製作せいさくしたものがある。

トーンホイール・ジェネレーター

編集へんしゅう

ハモンドオルガンのすべての楽音がくおんすのは、上述じょうじゅつしたとおりトーンホイールとばれる歯車はぐるまじょうのパーツである。そのえんには正弦せいげんした波形はけいきざまれており、ピックアップとの距離きょり周期しゅうきてき変化へんかすることによってしょうじる磁界じかい変化へんかおととして出力しゅつりょくする(エレクトリックギターつる振動しんどうとほぼおなじようなものである)。代表だいひょうてき機種きしゅのB-3で91まいまれている。ペダル鍵盤けんばんようの12まいとメインの79まいけられ、ペダルようの12まい低音ていおんこえやすくするために正弦せいげんよりも複雑ふくざつ波形はけいっている。それぞれのトーンホイールがした音源おんげん信号しんごうは、いくつもの系統けいとうけられて出力しゅつりょくされる。「うえ鍵盤けんばんのBプリセットよう・8'のドローバーに接続せつぞくされる系統けいとう」「しも鍵盤けんばんのA#プリセットよう・2'のドローバーに接続せつぞくされ、かつビブラート回路かいろとお系統けいとう」「2ndパーカッションとして出力しゅつりょくされる系統けいとう」といった具合ぐあいである。このため、トーンホイール・ジェネレーターは非常ひじょう複雑ふくざつ配線はいせんがなされている。かくトーンホイールはピックアップとの距離きょり調整ちょうせいされており、聴感じょう目立めだ高音こうおん出力しゅつりょく低音ていおんよりおさえられていることにくわえ、コンソールモデルではいちされている鍵盤けんばんかずかれているドローバーのかず演奏えんそうされる音域おんいきかかわらず音量おんりょうおおむ一定いっていとなるように設計せっけいされており、これによってしゅ旋律せんりつ伴奏ばんそううずもれてしまうことや多数たすうのドローバーがかれたさい音量おんりょう過大かだいになるのをふせぐことができる(Loudness Robbingとばれる)。ジェネレーターは機械きかいしきであるため、とし1かい程度ていど、トーンジェネレーターとモーターに専用せんよう潤滑油じゅんかつゆ注油ちゅうゆする必要ひつようがある。フェルトせいのトーンジェネレーターカバーに数カ所すうかしょ漏斗ろうとかたち給油きゅうゆこうけられていて、専用せんよう潤滑油じゅんかつゆ少量しょうりょうれておけばよい。そそがれたオイルを適所てきしょ補給ほきゅうするため、ホイールを回転かいてんさせる歯車はぐるまやモーターのベアリングに接触せっしょくするようにいとけられており、オイルが浸透しんとうして必要ひつよう部分ぶぶん伝達でんたつされる。

 
ドローバーの配列はいれつ

ハーモニック・ドローバーは、基本きほんてきには9ほん構成こうせいされる、パイプオルガンのストップ(おとせん)にあたる操作そうさである。これをすことで倍音ばいおんかさね、オルガンのおとつくげる。それぞれ音量おんりょうが0から8までの9段階だんかいあり、こうがわんだ状態じょうたい(0)ではおとず、手前てまえにいっぱいにく(8)と最大さいだい音量おんりょうとなる。ドローバーはひだりから16'(16フィート)・5-1/3'(5と3ぶんの1フィート)・8'・4'・2-2/3'・2'・1-3/5'・1-1/3'・1'となっている(パイプオルガンの、相当そうとうするパイプのながさをしめす)。このうち8'は「基音きおん」とばれ、このおと中心ちゅうしんにドローバーを調整ちょうせいして音色ねいろつくげていく。しろのドローバーは基音きおんおよびそれとオクターブの関係かんけいにある倍音ばいおんで、みぎくほどオクターブががる。くろのドローバーは基音きおんだい3、だい5、だい6倍音ばいおんである。ペダル鍵盤けんばんは16'と8'の2ほん音色ねいろつくる(ペダル専用せんよう倍音ばいおんおおつトーンホイールと通常つうじょうのトーンホイールを併用へいようしている)。5-1/3'のドローバーは8'の左側ひだりがわにあるが、これは8'ではなく16'の整数せいすう倍音ばいおん基音きおん整数せいすうばいたかさのおと。5-1/3'は16'のだい3倍音ばいおん)だからである。8'を基音きおんとしたおとふかみをあたえたりする場合ばあいなどに使用しようされる。16'・5-1/3'のドローバーのみいろ茶色ちゃいろになっている。ドローバーのわせをレジストレーションとよび、「88 8000 000」などと表記ひょうきする。B-3などのコンソールタイプでは上下じょうげ鍵盤けんばんそれぞれに9ほんのセットがふたつずつ、ペダルように2ほんのセットがひと設置せっちされる。安価あんかかつ小型こがたのスピネットタイプではうえ鍵盤けんばんに9ほんのセットがひとつ、しも鍵盤けんばんに7ほんないし8ほんのセットがひとつ、ペダルように1ほん設置せっちされている。

フォールドバック

編集へんしゅう

鍵盤けんばんの16'担当たんとうぶん最低さいていオクターブはうえのオクターブのかえしとなる。また、1'の最高さいこうオクターブはそのしたのオクターブのかえしとなる。これをフォールドバック(かえし)という。これは人間にんげん可聴かちょういきえるトーンホイールを省略しょうりゃくしつつ、ほそくなりがちなこう音域おんいきおとふとく、過剰かじょうひびきがちなてい音域おんいきめる効果こうかがある。パイプオルガンにも同様どうよう理由りゆうかえしがある。61かぎ音域おんいきで9つの倍音ばいおんたせると単純たんじゅん計算けいさんで109まいのトーンホイールをようするはずだが、これにより91まいまる(このなかには12まいのペダル専用せんようトーンホイールもふくまれる)。電子でんし回路かいろもちいたコンボオルガンのおおくはフォールドバックをたなかったため、ハモンドオルガンと電子でんしオルガンをける個性こせいとされる。ハモンドでも小型こがたのスピネットオルガンにはフォールドバックは装備そうびされない(しかし、サードパーティーからフォールドバックを追加ついかするキットがオプションとして発売はつばいされている)。クローンホイールオルガンでは、ユーザーがフォールドバックの程度ていど調整ちょうせいできるものもある。

れつ接点せってん

編集へんしゅう

鍵盤けんばんかくキーにはドローバー9ほんそれぞれに対応たいおうするスイッチが上下じょうげ方向ほうこうくしじょうならんでおり、キーをゆっくりんでいくと高次こうじ倍音ばいおんからじゅん発音はつおんされる(れつ接点せってん)。また、これらのスイッチが接触せっしょくするときの電気でんきてきスパークはキークリックとばれる。ハモンドの開発かいはつじんはこのおと余計よけいなものとして、6kHzきろへるつ以上いじょう周波数しゅうはすうのぞくフィルターを設置せっちするひとしてのぞ努力どりょくをしたが、後年こうねんこのおとはアタックを強調きょうちょう打楽器だがっきてき演奏えんそうをより魅力みりょくてきなものにするためオルガン奏者そうしゃからあいされ、ハモンドサウンドの特徴とくちょうひとつとされている。れつ接点せってんは1970年代ねんだいまでの電子でんしオルガンではハモンドにかぎらず採用さいようしているものはおおかったが、これはたん当時とうじ技術ぎじゅつ限界げんかいによる設計せっけいで、機構きこう複雑ふくざつ重量じゅうりょう増加ぞうかまねいていたため、1970年代ねんだいまつから1980年代ねんだい初期しょきもっ淘汰とうたされていった。しかし、たん接点せってん鍵盤けんばんつクローンホイールオルガンは、デジタル・アナログわずキークリックを発音はつおんするように設計せっけいされ、おおくはクリックの音量おんりょう調整ちょうせいできる。ただしたん接点せってんでは鍵盤けんばん微妙びみょう具合ぐあいによるキークリックのばらつき(ゴーストノートを多用たようする場合ばあい、ノリを要素ようそとなる)やおおくのドローバーをしたレジストレーションをもちいて演奏えんそうするスローテンポの楽曲がっきょくにおけるハープのような効果こうか演出えんしゅつすることができず、これらを利用りようするスタイルをつオルガン奏者そうしゃにとっては不満ふまんのこった。そこで、2003ねんにハモンド鈴木すずきから発売はつばいされた「New B-3」では、れつ接点せってんもハモンドオルガンの魅力みりょくであるとして、デジタルしきクローンホイールオルガンではじめて機械きかいしきれつ接点せってん採用さいようされた(本来ほんらいあし鍵盤けんばんも4れつ接点せってんだが、これはたん接点せってんになっている。アナログしきクローンホイールオルガンについては、フィンランドのウルムしゃせい「HIT Organ」や日本にっぽんエース電子でんし工業こうぎょうせいの「GT-7」など、れつ接点せってんすたれる以前いぜん設計せっけいされたものがある)。

パーカッション

編集へんしゅう

4'と2-2/3のドローバーに対応たいおうする倍音ばいおんは、スイッチをれることにより「コン」という減衰げんすいおんとしても出力しゅつりょくされる。これを「パーカッション」とび、B-3以降いこう開発かいはつされたオルガンのほとんどに搭載とうさいされている。4'に対応たいおうするものが「セカンド(だい2倍音ばいおん)」、2-2/3'に対応たいおうするものが「サード(だい3倍音ばいおん)」と表記ひょうきされる。発音はつおんコンデンサめられた電力でんりょく放出ほうしゅつすることによりおこなわれる。すべての鍵盤けんばんはなすとさい充電じゅうでんされるが、ひとつでも鍵盤けんばんさえていると電力でんりょく放出ほうしゅつされつづけるため、レガート演奏えんそうする場合ばあいにはパーカッションは発音はつおんしない。減衰げんすい速度そくど音量おんりょうは2段階だんかいから選択せんたく可能かのうで、音量おんりょうおおきい設定せっていにするとパーカッション音量おんりょうすこおおきくなるだけでなく、パーカッションを強調きょうちょうするためにオルガントーン音量おんりょうが3 dBほど低下ていかする。また、バランスよくかせるために低音ていおんおおきく、高音こうおんちいさくるようにつくられ、最低さいていおんさい高音こうおんで1dBでしべる程度ていど音量おんりょうもうけている。パーカッションをonにすると、1'に対応たいおうする接点せってんがパーカッションようてられるため、1'の倍音ばいおん発音はつおんしなくなる。また、パーカッションはうえ鍵盤けんばんでのみ発音はつおんし、コンソールタイプではうえ鍵盤けんばんようの2つのドローバーセットのうち右側みぎがわ音色ねいろ(プリセット"B")を選択せんたくしたときのみ発音はつおんする。

B-2/C-2など、パーカッションが装備そうびされないオルガンのために、のメーカーからこうようのパーカッション回路かいろ販売はんばいされている。セカンド、サード以外いがい倍音ばいおんだい5倍音ばいおんなど)も選択せんたく可能かのう、かつ、複数ふくすうのパーカッショントーンをミックスして使つかえるタイプもある。

ドローバーをすべめた状態じょうたいで、パーカッションのおとだけをもちいてエレクトリックピアノのように演奏えんそうすることもある。左側ひだりがわのドローバー3ほんをいっぱいにしたおとぞくに「した3ほん」)とサード・パーカッションをわせた音色ねいろジミー・スミスキース・エマーソンのオルガンスタイルを代表だいひょうする音色ねいろとなった。

コーラスとビブラート

編集へんしゅう

BV/CV以降いこうのコンソールがたハモンドオルガンでは、スキャナービブラートという機構きこう採用さいようしている。コイルタップ切替きりかえによる位相いそう変調へんちょう方式ほうしきで、円筒えんとうなかプロペラのようなパーツが回転かいてんし、周囲しゅういもうけられた16のコイル・タップをえて位相いそうおくれを変更へんこうし、周期しゅうきてき音程おんてい上下じょうげさせる。B-2/C-2以降いこうのモデルでは、ビブラートを上下じょうげ鍵盤けんばんそれぞれに独立どくりつしてon/offを設定せっていできる。ビブラートおん原音げんおんぜることでコーラス効果こうかつくることができ、それぞれ3段階だんかいふかさがセットされている。なお、L-100などの廉価れんかばんスピネットかた)では電子でんし回路かいろフェイズシフター)をもちいたビブラートユニットが装備そうびされているが、おとあつみはおとる。ちなみに最初さいしょ製品せいひん「モデルA」ではトレモロ内蔵ないぞうしていた。つぎ開発かいはつされた「モデルBC」では大型おおがたのコーラスジェネレーターが内蔵ないぞうされていた(モデルBCのコーラスしのモデルがBキャビネットを使用しようした最初さいしょ製品せいひん「モデルAB」である)。

 
プリセット・キー

B-3などの上位じょうい機種きしゅでは、上下じょうげ鍵盤けんばん左端ひだりはし白黒しろくろ反転はんてんカラーの鍵盤けんばん装備そうびされているが、これはドローバーで生成せいせいした音色ねいろおよびプリセットの選択せんたくスイッチになっていて、むとがったままになる。上下じょうげ鍵盤けんばんようにそれぞれ2セットずつ装備そうびされたドローバーの音色ねいろはBおよびA♯のスイッチで選択せんたくできる。2つ以上いじょうのスイッチを同時どうじすと、両方りょうほうわせた音色ねいろになる(れい:88 8000 000+00 8444 200=88 8444 200)。Cスイッチはキャンセルキーで、これをすと選択せんたくされていたスイッチは解放かいほうされ、おとなくなる。なお、前述ぜんじゅつしたパーカッションはうえ鍵盤けんばんのBスイッチの音色ねいろにだけ作動さどうする。また、右手みぎて鍵盤けんばんさえておいて、左手ひだりてでCスイッチをしながらのこりのプリセットキーをランダムにすことで倍音ばいおん構成こうせい次々つぎつぎ変化へんかさせる特殊とくしゅ奏法そうほうがある。なお、L-100など安価あんかなスピネットタイプでは鍵盤けんばんじょうしたのようにたスイッチぐんなかにプリセットを選択せんたくする機能きのうてられている(プリセットはしも鍵盤けんばんに1つか2つ、うえ鍵盤けんばんに4つ。パーカッションはうえ鍵盤けんばんでドローバー音色ねいろえらんださい有効ゆうこうになる)。

代表だいひょうてきなハモンド・トーンホイールオルガン

編集へんしゅう
 
B-3 (レスリー)

200種類しゅるい以上いじょうあるといわれているハモンドオルガンのなかで、代表だいひょうてきかつもっと人気にんきのある機種きしゅ最初さいしょのハモンドオルガン「モデルA」から採用さいようされている、演奏えんそうしゃあしえるようにつくられた四足しそく外観がいかん特徴とくちょう(ただし、B-3にもちいられるBキャビネット当初とうしょ大型おおがたのコーラスジェネレーターを採用さいようした「モデルBC」として開発かいはつされたため、Aキャビネットより大型おおがた)。このモデル以降いこうパーカッションが装備そうびされる。ほとんどのジャズオルガン奏者そうしゃやポピュラーバンドに使つかわれており、ユーザーは枚挙まいきょひまい。ハモンドNew B-3やローランドVK-88などといった、現在げんざい製造せいぞうされているオルガンは外見がいけんてきにB-3を意識いしきしているものがおおい。ロックコンサートで使用しようするために、鍵盤けんばんおよびメカニズムをし、軽量けいりょう簡素かんそ筐体きょうたい内蔵ないぞうする改造かいぞうもよくおこなわれた(以下いか、RT-3まで、この改造かいぞうモデルのベースとしてよく使つかわれた。これらをHammond Chop(s)とぶ)。

 
C3

B-3とならんで有名ゆうめいなものはC-3。チャーチモデルとばれるC-3は音源おんげん部分ぶぶんはB-3と同一どういつだが、教会きょうかいのパイプオルガンの演奏えんそうだい筐体きょうたいつ(このタイプがつくられた理由りゆうは「教会きょうかい使用しようするため」とも「スカートをはいた女性じょせい演奏えんそうしやすくするため」ともいわれている)。筐体きょうたい以外いがい音源おんげん部分ぶぶん鍵盤けんばん部分ぶぶんはB-3と同一どういつである。外観がいかんには3種類しゅるいあり、アメリカせいのものは彫刻ちょうこくおおほどこされた豪華ごうか初期しょきがたと、筐体きょうたい上部じょうぶ彫刻ちょうこく省略しょうりゃくされた1958ねん以降いこうのものがある。イギリスせいは1965ねん以降いこう彫刻ちょうこく省略しょうりゃくして側面そくめんたいらで全体ぜんたいてき鋭角えいかくてき外観がいかん筐体きょうたいとなった。また、イギリスの工場こうじょうではC-3とA-100がB-3よりもおお生産せいさんされたため、イギリスの市場いちばでは新品しんぴんのB-3は高価こうか希少きしょうとなった。このためミュージシャンはどういち機能きのうち、入手にゅうしゅしやすいC-3をおおもとめることになった。そのためディープ・パープルジョン・ロードや、ELPキース・エマーソンイエスリック・ウェイクマンなど、おもにイギリスのロックオルガニストがC-3ユーザーとして有名ゆうめいになった。一部いちぶのロックミュージシャンはオルガンを改造かいぞうした。よくおこなわれたのは筐体きょうたい上下じょうげ分割ぶんかつすることとスプリングリバーブの内蔵ないぞうである。ジョン・ロードはさらにRMIエレクトラピアノんで、オルガントーンとわせて使用しようできるようにした。4ほんあしのB-3とくらべて鍵盤けんばんまえにせりしたC-3はれに不安定ふあんていであり、オルガンをさぶってリバーブに衝撃しょうげきあたえてノイズをすパフォーマンスがおこないやすかった。

A-100シリーズ

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B-3/C-3のバリエーションで、家庭かていようつくられたもの。「A」と銘打めいうたれているが、最初さいしょ製品せいひん「モデルA」の直接ちょくせつ発展はってんしたものではない。音源おんげん部分ぶぶんはB-3と同一どういつであるが、筐体きょうたい前後ぜんごはば短縮たんしゅくされたスリムなものとなった。本来ほんらいB-3やC-3でもビブラートユニットの小型こがたにより前後ぜんごはば短縮たんしゅく可能かのうになっているのだが、筐体きょうたい小型こがたしん設計せっけいのこのモデルにおいてようやくなされた。鍵盤けんばんぶた省略しょうりゃくされ、B-3やC-3とはことなるタイプの譜面ふめんだいつ。設置せっちスペースをはぶくためにスピーカーとスプリングリバーブを装備そうび猫足ねこあし優雅ゆうが外観がいかんつA-102やC-3と同一どういつ筐体きょうたい使用しようするA-105などのバリエーションがある。前後ぜんごはば短縮たんしゅくゆえ、オルガンのうえ鍵盤けんばん楽器がっきせることがおおいロックバンドではあまり使つかわれず、内蔵ないぞうスピーカーを装備そうびしているためおもく、ジャズでの使用しようれいすくない。そのためか、Hammond Chopの材料ざいりょうや、B-3の部品ぶひんよう使つかわれることがおおかった。現在げんざいはそのデザインがさい評価ひょうかされている。なお、イギリスでは需要じゅようがあったようで、アメリカで1964ねん生産せいさん中止ちゅうしとなって以降いこうも、1975ねんのトーンホイール廃止はいしまで生産せいさんされた。ジャズオルガニストの河合かわいだいかいはスピーカーをはずし、レスリースピーカーようジャック追加ついかしたものを使用しようしている。

C-3のバリエーションで、コンサートモデルとばれるカテゴリーにぞくする。あし鍵盤けんばんが25かぎからアメリカン・ギルド・オブ・オルガニスツ(AGO、英語えいごばん準拠じゅんきょの32かぎ(Cから2オクターブじょうのGまで)に拡張かくちょうされ、ペダルドローバーのおとかさねてパイプオルガンみのじゅう低音ていおん実現じつげんするために真空しんくうかんしき発振器はっしんき装備そうびした。このため、よこはば高音こうおんがわが15cmほどおおきい。このモデルの筐体きょうたいもC-3同様どうようのバリエーション(初期しょき後期こうき・イギリスせい)がある。スピーカー内蔵ないぞうタイプとしてD-100シリーズがある。なかでもD-152はアビー・ロード・スタジオにも設置せっちされ、ビートルズピンク・フロイドのレコーディングでも使用しようされた。

M-3およびM-100シリーズ

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以下いか上記じょうきまでのコンソールモデルとくらべて小型こがたかつ安価あんかなモデルで、スピネットモデルという分類ぶんるいはいる。スピネットモデルは内蔵ないぞうスピーカーをそなえ、上下じょうげ鍵盤けんばん各々おのおの44かぎしも鍵盤けんばん低音ていおんがわうえ鍵盤けんばん高音こうおんがわにオフセットされている。フォールドバックをたないため高音こうおんいきおとうすい。また鍵盤けんばんようてい音域おんいきトーンホイールをたない(ドローバーもしも鍵盤けんばんようは16'と5-1/3'をく)ためコンソールモデルとちが鍵盤けんばんでベースラインをけないという特徴とくちょうがある。あし鍵盤けんばんようドローバーは16'が1ほんのみである。

M-3は最初さいしょのスピネットオルガン"Mがた"の改良かいりょうがたであり、ブッカー・T・ジョーンズ使用しようしていたことで有名ゆうめい鍵盤けんばんやスイッチるいはB-3とおなじもの(ウォーターフォールがた鍵盤けんばん、タブレットスイッチ)を装備そうび。M-3までのモデルはリバーブおよびプリセットをたない(M-100以降いこう採用さいよう)。特徴とくちょうてき機能きのうとして、エクスプレッションペダル左側ひだりがわにペダル鍵盤けんばんのサステインスイッチをつ(この機能きのうたせるためにペダルドローバーにはコンデンサーが接続せつぞくされている。M-100以降いこうでは廃止はいし)。またペダル鍵盤けんばんはCからBまでの12かぎ(M-100以降いこうで13かぎ改良かいりょうされる)。M-100以降いこうのMがたのスピネットタイプと同様どうよう仕様しよう(ダイビングボードがた鍵盤けんばん、フリップスイッチ)になる。Mがた全体ぜんたいでの特徴とくちょうは、しも鍵盤けんばんのドローバーセットにLがた以降いこうのスピネット同様どうようの7ほん(16'と5-1/3'をく)にくわえて1ほんで24だい10倍音ばいおん)と26だい12倍音ばいおん)の音程おんてい同時どうじにコントロールするもの(合計ごうけい8ほん)をつことと、B-3同様どうようのスキャナービブラートを装備そうびしていることである。M-100シリーズはジョン・ポール・ジョーンズレッド・ツェッペリンの1まいのアルバムで使用しようしたほか、プロコル・ハルムマシュー・フィッシャーがM-102を使用しようしたれい有名ゆうめい。スピネットだい1世代せだいのMがたは1960年代ねんだいからだい2世代せだいのLがた交代こうたいしていった。

 
L-100 (鍵盤けんばん)

L-100シリーズ

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M-100シリーズの改良かいりょうがた。キークリックをとく抑制よくせいするため、こう音域おんいき出力しゅつりょくげたうえでフィルターをもちいてこう音域おんいきけず設計せっけいになっている(上述じょうじゅつしたように、キークリックは当時とうじ、ハモンドオルガン・カンパニーのスタッフおよび教会きょうかいオルガン奏者そうしゃにとっては邪魔じゃまなものであった。B-3などでも6kHzきろへるつ以上いじょう周波数しゅうはすうをカットするように設計せっけいされている)。した鍵盤けんばんのドローバーのかずは7ほんすくなくなっている(Mシリーズまでの「しも鍵盤けんばんようの8ほんのドローバー」は廃止はいしされた)。ペダルようドローバーはMシリーズ同様どうようの1ほん。プリセットはうえ鍵盤けんばんに4つ、しも鍵盤けんばんに1つ。ビブラート回路かいろ簡単かんたんなものにえられ、2段階だんかい可能かのうなスプリングリバーブとスピーカーを内蔵ないぞう。プリセットやビブラート、リバーブはコンソールがたられるロッカースイッチではなく、したがたのフリップスイッチで選択せんたくする。キース・エマーソンが、有名ゆうめいなナイフをして馬乗うまのりになるなどの破壊はかい行為こういおこなったのはこのオルガンである(スピーカーがあることでフィードバックノイズをつくりやすいうえに小型こがた軽量けいりょうであるためにステージをきずりまわすのに好都合こうつごうだった)。そのイエス初代しょだいオルガニストトニー・ケイらが使用しようしていた。スピーカーと木製もくせい筐体きょうたいはらった「Porta-B」というモデルもある。あし筐体きょうたい仕様しようちがいでL-112などのバリエーションあり。L-200シリーズはロータリースピーカーを内蔵ないぞうしている。

 
TR-200  (T-200派生はせい)

T-100シリーズ

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Lがた発展はってんがた。プリアンプはトランジスタしきとなり、リズムボックスを内蔵ないぞうしている。ジェネシストニー・バンクス数少かずすくない有名ゆうめい使用しようれいあし筐体きょうたい仕様しようちがいでT-112などのバリエーションあり。T-200シリーズはロータリースピーカーを内蔵ないぞうしている。1975ねんのトーンホイール・ジェネレーター廃止はいしまで生産せいさんされた。

日本にっぽんでの普及ふきゅう

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  • ハモンドオルガンは日本にっぽん販売はんばいされるようになった当初とうしょは、メンタームられる近江兄弟社おうみきょうだいしゃ販売はんばい代理だいりおこなっていた。これは創業そうぎょうしゃがオルガン奏者そうしゃだったことによる。
  • きゅう後楽園こうらくえん球場きゅうじょうでは1970ねんだいから1980ねんだい後半こうはんにかけてハモンドオルガンが設置せっちされ、女性じょせい演奏えんそうしゃプロ野球やきゅう試合しあいまえ攻守こうしゅ交替こうたい軽快けいかいなオルガンの演奏えんそうおこなっていた。現在げんざいメットライフドームでのみハモンドオルガンの音色ねいろ[5]NPB試合しあいちゅう攻守こうしゅ交代こうたいくことができる。
  • ハモンドスズキ販売はんばいする最新さいしんのクローンホイールによる電子でんしオルガンは、XK-5[6]

代表だいひょうてきなハモンドオルガン奏者そうしゃ

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ハモンドは1937 - 1938ねん真空しんくうかんしきポリフォニックシンセサイザー「ノバコード」を、1940ねんには単音たんおん電子でんし楽器がっき「Solovox」を開発かいはつ販売はんばいしている. また1938ねんにはアーレン・オルガンが「世界せかい最初さいしょの」真空しんくうかんしき電子でんしオルガンを開発かいはつしている. 詳細しょうさい記事きじ電子でんしオルガンおよび hammond-organ.com参照さんしょう
  2. ^ 鈴木すずき楽器がっきは1980年代ねんだい後半こうはんおおくの海外かいがい有名ゆうめいブランドの国内こくない生産せいさんがけており(Kurzwell製品せいひん、Ensoniqのサンプラー、Oberheim Matrixシンセとう)、その過程かてい日本にっぽん独自どくじ仕様しよう製品せいひんすなどして堅実けんじつ技術ぎじゅつ蓄積ちくせきおこなったと推定すいていされる

出典しゅってん

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  1. ^ Frequently Asked Questions - 2. Is the Hammond Organ Company still in business?”. ORGAN SERVICE COMPANY, INC.. 2009ねん8がつ13にち閲覧えつらん
    1986ねんまつのHammond Organ Company終焉しゅうえん先立さきだち、保守ほしゅサービスはHammond Organ Service Companyに移行いこうされた。社名しゃめいのち商標しょうひょうけん問題もんだいで Organ Service Company に変更へんこうされたものの、現在げんざい保守ほしゅサービスを地域ちいき限定げんてい提供ていきょうしている。
  2. ^ “Marmon Group sells Hammond Organ rights”. Chicago Sun-Times. (January 3, 1986). http://www.encyclopedia.com/doc/1P2-3743847.html 
  3. ^ 「ハモンドメッセージ 43ごう」, ハモンドスズキ(2005ねん3がつ
    鈴木すずき楽器がっき製作所せいさくしょ阪田さかた商会しょうかいからハモンドをいだ事情じじょうや、当時とうじハモンド・ブランドの保有ほゆうけんがオーストラリアの投資とうしにあったことなどが紹介しょうかいされている。[1]
  4. ^ Pari Organ”. HammondWiki. 2009ねん10がつ12にち閲覧えつらん
    Pari Organsは 1960年代ねんだい初期しょきAnton Parieがベルギーに設立せつりつしたオルガンメーカー。1970年代ねんだいまつにいったん生産せいさん終了しゅうりょうしたのち、2005ねんにイタリアでPARI.Eというあらたな名前なまえ復活ふっかつし、トーンホイール・オルガン「K-61」を発売はつばいした。同社どうしゃは2007ねん電子でんし楽器がっきブランドのクルーマー(CRUMAR)をもつBG's Instrumentsしゃ傘下さんかとなり、ハミコード(Hamichord)という名称めいしょうのデジタルオルガン(Windows VistaOSとしてVSTインストゥルメントを動作どうささせる方式ほうしき)を発表はっぴょう。1だん鍵盤けんばんタイプやラックマウント音源おんげんなど、バリエーション展開てんかいをしている。K-61については2009ねんのBG's Instrumentsしゃのカタログには掲載けいさいされているが、現在げんざい販売はんばいされているかかは不明ふめいである。Pari. E公式こうしきサイト
  5. ^ 西武せいぶDにだけのこ昭和しょうわ風物詩ふうぶつし球場きゅうじょうの「せい」をつたえる電子でんしオルガン”. www.sanspo.com (2016ねん3がつ23にち). 2019ねん5がつ1にち閲覧えつらん
  6. ^ XK-5”. www.suzuki-music.co.jp (2018ねん8がつ15にち). 2019ねん5がつ1にち閲覧えつらん
  7. ^ 展示てんじ資料しりょう - 福島ふくしま古関こせきひろし記念きねんかん

外部がいぶリンク

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