トーンホイールの模 も 式 しき 図 ず
1930年代 ねんだい 初頭 しょとう 、既 すで に真空 しんくう 管 かん を使 つか ったシンプルな電子 でんし 楽器 がっき が製品 せいひん 化 か されていたが、大 だい 規模 きぼ で本格 ほんかく 的 てき な電子 でんし 楽器 がっき はまだ研究 けんきゅう 途上 とじょう にあり、真空 しんくう 管 かん 式 しき 電子 でんし オルガンの製品 せいひん 化 か には困難 こんなん があった [注釈 ちゅうしゃく 1] 。ローレンス・ハモンドは(もちろん当時 とうじ としては)軽量 けいりょう かつ小型 こがた で、どこでも正確 せいかく な音程 おんてい で演奏 えんそう 出来 でき るように、自身 じしん が開発 かいはつ した電気 でんき 時計 とけい に採用 さいよう した、電源 でんげん 周波数 しゅうはすう に同期 どうき した同期 どうき 電動 でんどう 機 き (シンクロナス・モーター、synchronous AC motor)を用 もち いてトーンホイールを回転 かいてん させることにした。多数 たすう のトーンホイールは、多数 たすう の減速 げんそく 歯車 はぐるま によって同期 どうき 回転 かいてん させて各 かく 音程 おんてい の周波数 しゅうはすう を発生 はっせい させる。しかし整数 せいすう 比 ひ の歯車 はぐるま の作 つく り出 だ す音程 おんてい は正確 せいかく な十 じゅう 二 に 平均 へいきん 律 りつ ではないため、合成 ごうせい 音 おん はコーラス 効果 こうか で独特 どくとく な音色 ねいろ となり、いわゆるハモンド・サウンドといわれるものとなる。
パイプを用 もち いないこの楽器 がっき を人々 ひとびと は当初 とうしょ 、「オルガン」とは認 みと めなかったが、シカゴ大学 だいがく のホールでパイプオルガンとハモンドオルガンを多 おお くの人々 ひとびと の前 まえ でブラインドテスト した結果 けっか 、この楽器 がっき は「オルガンである」と認 みと められたという。日本 にっぽん ではウィリアム・メレル・ヴォーリズ が輸入 ゆにゅう 代理 だいり 店 てん を開 ひら き、広 ひろ く紹介 しょうかい したことにより普及 ふきゅう した。
1940年代 ねんだい ごろから、ハモンドオルガンを身近 みぢか に感 かん じて育 そだ った子 こ どもたちがジャズなどのミュージシャンとなり、一部 いちぶ のジャズプレイヤーはピアノ に代 か わる選択肢 せんたくし としてハモンドオルガンを演奏 えんそう するようになった。ジャズオルガニスト の中 なか でもジミー・スミス はジャズの世界 せかい にとどまらない影響 えいきょう を与 あた え続 つづ けることになる。
1950年代 ねんだい 、ロックンロール などの黒人 こくじん 音楽 おんがく の影響 えいきょう が強 つよ い音楽 おんがく が一世 いっせい を風靡 ふうび すると、ハモンドオルガンはこうした音楽 おんがく にも導入 どうにゅう されていった。エレクトリック・ギター などの電気 でんき 楽器 がっき が次々 つぎつぎ 登場 とうじょう し、ますます大 おお きくなるバンドの音量 おんりょう に負 ま けまいと鍵盤 けんばん 奏者 そうしゃ が必死 ひっし になってピアノの鍵盤 けんばん を強打 きょうだ していたこの時代 じだい 、比較的 ひかくてき 簡単 かんたん に大 だい 音量 おんりょう が得 え られ、ドラムキット や管楽器 かんがっき 、エレクトリック・ギター に負 ま けない攻撃 こうげき 的 てき なトーンをも生 う み出 だ せるハモンドオルガンは、一躍 いちやく 多 おお くの鍵盤 けんばん 奏者 そうしゃ たちに愛 あい されることとなった。1960年代 ねんだい 後半 こうはん にはディープ・パープル 、ザ・ナイス 、ステッペンウルフ といったロックバンドのオルガン奏者 そうしゃ がギタリスト と対等 たいとう に渡 わた り合 あ う、もしくはギタリストの在籍 ざいせき しないロックバンドが次々 つぎつぎ と登場 とうじょう 。クラシック の技法 ぎほう なども導入 どうにゅう され、たくさんのヒットレコード にハモンドオルガンの音 おと は記録 きろく された。
レスリー・スピーカー模 も 式 しき 図 ず
ハモンドオルガン・カンパニーは専用 せんよう アンプ としてPR-40などの専用 せんよう トーンキャビネットを製造 せいぞう し、推奨 すいしょう していた。1940年代 ねんだい 、オルガン奏者 そうしゃ であったドン・レスリーという人物 じんぶつ はパイプオルガンの響 ひび きが左右 さゆう に動 うご いて聴 き こえるのに気 き づき、回転 かいてん する高音 こうおん 用 よう ホーンと低音 ていおん 用 よう ローターをもったスピーカーを開発 かいはつ する。「レスリー・スピーカー 」の誕生 たんじょう である。ローレンス・ハモンドは生前 せいぜん 、レスリー・スピーカーを認 みと めることはなかったが、オルガニストたちはこぞってこのスピーカーを使 つか い始 はじ める。瞬 またた く間 ま にハモンドオルガンとレスリー・スピーカーは殆 ほとん どの場合 ばあい セットで用 もち いられることになり、現在 げんざい ではレスリー・スピーカーはハモンドオルガンの個性 こせい の半分 はんぶん 以上 いじょう を担 にな うと看做 みな されるようになった。
ギターアンプなどに内蔵 ないぞう されたスプリング・リバーブユニット に衝撃 しょうげき を与 あた えると爆発 ばくはつ 音 おと や雷 かみなり のような音 おと が出 で ることが発見 はっけん されてから、一部 いちぶ のロックオルガニストたちはより「ロックな」パフォーマンスを行 おこな うため、本来 ほんらい リバーブを内蔵 ないぞう しないB-3やC-3にユニットを組 く み込 こ み、オルガンを揺 ゆ らし、叩 たた き付 つ け、ドラムスティック などで直接 ちょくせつ ユニットのバネを擦 こす って攻撃 こうげき 的 てき なノイズを発生 はっせい させるようになった。また、一部 いちぶ のオルガニストはギターアンプを用 もち いてオルガンサウンドを増幅 ぞうふく することでギターへの憧憬 どうけい を表 あらわ したり、より攻撃 こうげき 的 てき なトーンを作 つく り出 だ したりした。この代表 だいひょう 選手 せんしゅ はディープ・パープル のジョン・ロード であろう。
ディープ・パープル と B-3(後 うし ろでドン・エイリー が演奏 えんそう している)
ザ・ナイス ~ELP のキース・エマーソン はジミ・ヘンドリックス などの影響 えいきょう からフィードバック(ハウリング )やスプリング・リバーブの衝撃 しょうげき 音 おん 、ナイフ (鍵盤 けんばん の間 あいだ に突 つ き刺 さ し、音 おと を出 で たままの状態 じょうたい にする)まで利用 りよう し、オルガンに馬乗 うまの りになったり下敷 したじ きになったりして演奏 えんそう するという強烈 きょうれつ なパフォーマンスを行 おこな い、観客 かんきゃく の目 め も耳 みみ も釘付 くぎづ けにした。ジョン・ロードはスプリングリバーブの衝撃 しょうげき 音 おん やリングモジュレーターを使 つか って印象 いんしょう 的 てき なノイズを多用 たよう したことで有名 ゆうめい である。また1969年 ねん から1972年 ねん までのディープ・パープルのいわゆる「第 だい 2期 き 」にはレスリー・スピーカーを用 もち いずにギターアンプ(マーシャル 社 しゃ のベースアンプ)を使用 しよう した。
1970年代 ねんだい 後半 こうはん には、元々 もともと レスリースピーカーを真似 まね て作 つく られたエフェクターであるフェイズシフターを、大 おお きくかさばるレスリースピーカーの代用 だいよう として使 つか う奏者 そうしゃ も現 あらわ れた。フェイズシフターの音 おと はレスリーとはまったく異 こと なるものであったが、これも個性 こせい 的 てき なオルガンサウンドを生 う み出 だ した。オルガンの機構 きこう を利用 りよう した特殊 とくしゅ 奏法 そうほう も、様々 さまざま なものが編 あ み出 だ されている。これについては「メカニズム」の項 こう で例 れい を挙 あ げることとする。
ポピュラー音楽 おんがく での使用 しよう 頻度 ひんど 増加 ぞうか に伴 ともな い、1960年代 ねんだい 初 はじ めごろにはトランジスタ 回路 かいろ でハモンドオルガンの音 おと を模倣 もほう した「コンボオルガン 」が多 おお くのメーカーから発売 はつばい されるようになった。代表 だいひょう 的 てき なものはヴォックス (VOX)社 しゃ 製 せい とファルフィッサ(英語 えいご 版 ばん )社 しゃ 製 せい である。機構 きこう が比較的 ひかくてき 単純 たんじゅん なためハモンドオルガンよりコンパクトで軽 かる く、安価 あんか でもあったためアマチュア バンドに広 ひろ く利用 りよう された後 のち 、ドアーズ 、ビートルズ 、アニマルズ 、ピンク・フロイド など、プロのバンドにもよく使 つか われるようになり、1960年代 ねんだい 後半 こうはん のサイケデリック・ロック の特徴 とくちょう の一 ひと つともなった。音色 ねいろ 自体 じたい はハモンドオルガンには全 まった く似 に ていないチープなものであるが、これが独自 どくじ の個性 こせい を確立 かくりつ し、現在 げんざい まで評価 ひょうか されている。
大 おお きく重 おも くならざるを得 え ないトーンホイールシステムは、鍵盤 けんばん 楽器 がっき の小型 こがた 化 か ・軽量 けいりょう 化 か の流 なが れにやがて取 と り残 のこ された。1974年 ねん 末 すえ に全 すべ てのトーンホイールオルガンの生産 せいさん が終了 しゅうりょう し、電子 でんし 回路 かいろ による発振 はっしん に置 お き換 か えられて、完全 かんぜん に電子 でんし 化 か された。全盛期 ぜんせいき にはどんなヒット曲 きょく でも聴 き くことのできたハモンド・サウンドはやがて飽 あ きられ、1970年代 ねんだい 末 まつ から急速 きゅうそく に発展 はってん していたシンセサイザー に取 と って代 か わられることになった。
ハモンドスズキ XK-1
1986年 ねん 末 まつ ハモンド・オルガンカンパニーの経営 けいえい は緩 ゆる やかに終息 しゅうそく を迎 むか えた。 修理 しゅうり 部品 ぶひん と保守 ほしゅ サービスは別 べつ 会社 かいしゃ に移行 いこう され [1] 、商標 しょうひょう その他 た はハモンド・オーストラリアに譲渡 ゆずりわた された [2] 。 唯一 ゆいいつ の生産 せいさん 拠点 きょてん となった日本 にっぽん ハモンドの権利 けんり 関係 かんけい は複雑 ふくざつ 化 か し、最終 さいしゅう 的 てき に親会社 おやがいしゃ 阪田 さかた 商会 しょうかい は関連 かんれん 事業 じぎょう を鈴木 すずき 楽器 がっき に譲渡 じょうと した [3] 。 鈴木 すずき 楽器 がっき は1991年 ねん ハモンド、1992年 ねん レスリーをそれぞれ買収 ばいしゅう し、旧 きゅう ・日本 にっぽん ハモンドの流 なが れを汲 く むトランジスタ発振 はっしん 方式 ほうしき の製品 せいひん や、新 あたら しいサンプリング 音 おと を利用 りよう したハモンドオルガン、レスリー・スピーカーの生産 せいさん を開始 かいし した [注釈 ちゅうしゃく 2] 。シンセサイザーの音 おと が飽 あ きられ始 はじ め、古 ふる い電気 でんき ・電子 でんし 楽器 がっき の音 おと が再 さい 評価 ひょうか されるようになった1990年代 ねんだい 前後 ぜんご からは多 おお くのメーカーでPCM音源 おんげん や物理 ぶつり モデル音源 おんげん を利用 りよう したオルガンが作 つく られるようになる。現在 げんざい ハモンドオルガンの商標 しょうひょう を持 も っているハモンドスズキ(Hammond-Suzuki)の製品 せいひん はビンテージのB-3のトーンホイール一 ひと つ一 ひと つからサンプリングした音 おと を使用 しよう しており、他社 たしゃ のものは物理 ぶつり モデル音源 おんげん を用 もち いて再現 さいげん しているものが多 おお い。これらのオルガンは「クローンホイール(Clonewheel)」と呼 よ ばれている。しかしながら、旧式 きゅうしき のトーンホイールから生 う み出 だ される深 ふか みのある太 ふと い音 おと は、現在 げんざい の技術 ぎじゅつ で完全 かんぜん に代替 だいたい 出来 でき ているとは言 い い難 がた い。このため、今 いま でもヴィンテージ のハモンドオルガンを買 か い求 もと める演奏 えんそう 家 か は多 おお い。
また伝統 でんとう 的 てき なトーンホイール・オルガンを再 さい 生産 せいさん するメーカーも存在 そんざい する(Pari.E Electromagnetic organ)[4] 。
起動 きどう スイッチ
Hammond C-2 の内部 ないぶ 上 うえ から順 じゅん に ドローバー/鍵盤 けんばん /トーンジェネレータ/アンプ&電源 でんげん 部 ぶ が並 なら ぶ。右側 みぎがわ の白 しろ い円筒 えんとう 2つが給油 きゅうゆ 口 こう 。
B-3の場合 ばあい で91枚 まい のトーンホイールを回転 かいてん させるために要 よう するトルクは大 おお きいため、始動 しどう 時 じ にはより回転 かいてん 力 りょく のあるモーターを同時 どうじ に動 うご かす必要 ひつよう がある。このためオルガン本体 ほんたい には、自動車 じどうしゃ のセルモーターに相当 そうとう するStartモーターを回 まわ す"Start"スイッチ(電源 でんげん スイッチとStartモーターの始動 しどう スイッチを兼 か ねる)と、トーンホイールを一定 いってい 速度 そくど で回 まわ すシンクロナス・モーター用 よう の"Run"スイッチがある。演奏 えんそう の準備 じゅんび のためには、まずStartスイッチを10秒 びょう 近 ちか く押 お し上 あ げ、モーター音 おん が安定 あんてい したところでRunスイッチを押 お し上 あ げる。その後 ご Startスイッチは指 ゆび を離 はな すと中央 ちゅうおう で止 と まり、プリアンプの真空 しんくう 管 かん が暖 あたた まれば演奏 えんそう が可能 かのう となる。鍵盤 けんばん を押 お しながらRunスイッチを切 き ると、トーンホイールが減速 げんそく ~停止 ていし する一方 いっぽう 、プリアンプには電気 でんき が供給 きょうきゅう されているために発音 はつおん を続 つづ けるので、音程 おんてい のベンドダウンを行 おこな うことができる。完全 かんぜん に停止 ていし してしまうと、再 ふたた び立 た ち上 あ げ動作 どうさ を行 おこな う必要 ひつよう があり、10秒 びょう 以上 いじょう 演奏 えんそう できなくなる。Startモーターを演奏 えんそう 中 ちゅう に回 まわ すことでベンドアップも可能 かのう である(Startモーターの回転 かいてん 数 すう に依存 いぞん するため、音程 おんてい 変化 へんか 量 りょう は個体 こたい 差 さ がある)。1970年代 ねんだい にはロックバンドで頻用 ひんよう された裏 うら 技 わざ である。なお、前述 ぜんじゅつ のようにシンクロナス・モーターは電源 でんげん 周波 しゅうは 数 すう により回転 かいてん 速度 そくど を決定 けってい しているため、日本 にっぽん の関東 かんとう 地方 ちほう など50Hz へるつ 圏 けん で正 ただ しい音程 おんてい で使用 しよう するには、サイクルチェンジャーの組 く み込 こ みが必要 ひつよう である。50Hz へるつ 圏 けん でそのまま使用 しよう すると、約 やく 短 たん 3度 ど 音程 おんてい が低下 ていか する。一部 いちぶ の業者 ぎょうしゃ では50Hz へるつ を60Hz へるつ に変換 へんかん するだけでなく、様々 さまざま な電源 でんげん 周波数 しゅうはすう に切 き り替 か えることで好 この みの調 しらべ に移調 いちょう できるように製作 せいさく したものがある。
ハモンドオルガンのすべての楽音 がくおん を生 う み出 だ すのは、上述 じょうじゅつ したとおりトーンホイールと呼 よ ばれる歯車 はぐるま 状 じょう のパーツである。その縁 えん には正弦 せいげん 波 は を模 も した波形 はけい が刻 きざ まれており、ピックアップとの距離 きょり が周期 しゅうき 的 てき に変化 へんか することによって生 しょう じる磁界 じかい の変化 へんか を音 おと として出力 しゅつりょく する(エレクトリックギター の弦 つる 振動 しんどう とほぼ同 おな じようなものである)。代表 だいひょう 的 てき 機種 きしゅ のB-3で91枚 まい が組 く み込 こ まれている。ペダル鍵盤 けんばん 用 よう の12枚 まい とメインの79枚 まい に分 わ けられ、ペダル用 よう の12枚 まい は低音 ていおん を聞 き こえやすくするために正弦 せいげん 波 は よりも複雑 ふくざつ な波形 はけい を持 も っている。それぞれのトーンホイールが生 う み出 だ した音源 おんげん 信号 しんごう は、いくつもの系統 けいとう に分 わ けられて出力 しゅつりょく される。「上 うえ 鍵盤 けんばん のBプリセット用 よう ・8'のドローバーに接続 せつぞく される系統 けいとう 」「下 しも 鍵盤 けんばん のA#プリセット用 よう ・2'のドローバーに接続 せつぞく され、かつビブラート回路 かいろ を通 とお る系統 けいとう 」「2ndパーカッションとして出力 しゅつりょく される系統 けいとう 」といった具合 ぐあい である。このため、トーンホイール・ジェネレーターは非常 ひじょう に複雑 ふくざつ な配線 はいせん がなされている。各 かく トーンホイールはピックアップとの距離 きょり が調整 ちょうせい されており、聴感上 じょう 目立 めだ つ高音 こうおん の出力 しゅつりょく が低音 ていおん より抑 おさ えられていることに加 くわ え、コンソールモデルでは一 いち 度 ど に押 お されている鍵盤 けんばん の数 かず 、引 ひ かれているドローバーの数 かず 、演奏 えんそう される音域 おんいき に関 かか わらず音量 おんりょう が概 おおむ ね一定 いってい となるように設計 せっけい されており、これによって主 しゅ 旋律 せんりつ が伴奏 ばんそう に埋 うず もれてしまうことや多数 たすう のドローバーが引 ひ かれた際 さい に音量 おんりょう が過大 かだい になるのを防 ふせ ぐことができる(Loudness Robbingと呼 よ ばれる)。ジェネレーターは機械 きかい 式 しき であるため、年 とし 1回 かい 程度 ていど 、トーンジェネレーターとモーターに専用 せんよう の潤滑油 じゅんかつゆ を注油 ちゅうゆ する必要 ひつよう がある。フェルト製 せい のトーンジェネレーターカバーに数カ所 すうかしょ 、漏斗 ろうと に似 に た形 かたち の給油 きゅうゆ 口 こう が取 と り付 つ けられていて、専用 せんよう 潤滑油 じゅんかつゆ を少量 しょうりょう 入 い れておけばよい。注 そそ がれたオイルを適所 てきしょ に補給 ほきゅう するため、ホイールを回転 かいてん させる歯車 はぐるま やモーターのベアリングに接触 せっしょく するように糸 いと が取 と り付 つ けられており、オイルが浸透 しんとう して必要 ひつよう な部分 ぶぶん に伝達 でんたつ される。
ドローバーの配列 はいれつ
ハーモニック・ドローバーは、基本 きほん 的 てき には9本 ほん で構成 こうせい される、パイプオルガンのストップ(音 おと 栓 せん )にあたる操作 そうさ 子 こ である。これを引 ひ き出 だ すことで倍音 ばいおん を重 かさ ね、オルガンの音 おと を作 つく り上 あ げる。それぞれ音量 おんりょう が0から8までの9段階 だんかい あり、向 む こう側 がわ に押 お し込 こ んだ状態 じょうたい (0)では音 おと が出 で ず、手前 てまえ にいっぱいに引 ひ く(8)と最大 さいだい 音量 おんりょう となる。ドローバーは左 ひだり から16'(16フィート)・5-1/3'(5と3分 ぶん の1フィート)・8'・4'・2-2/3'・2'・1-3/5'・1-1/3'・1'となっている(パイプオルガンの、相当 そうとう するパイプの長 なが さを示 しめ す)。このうち8'は「基音 きおん 」と呼 よ ばれ、この音 おと を中心 ちゅうしん にドローバーを調整 ちょうせい して音色 ねいろ を作 つく り上 あ げていく。白 しろ のドローバーは基音 きおん およびそれとオクターブの関係 かんけい にある倍音 ばいおん で、右 みぎ に行 い くほどオクターブが上 あ がる。黒 くろ のドローバーは基音 きおん の第 だい 3、第 だい 5、第 だい 6倍音 ばいおん である。ペダル鍵盤 けんばん は16'と8'の2本 ほん で音色 ねいろ を作 つく る(ペダル専用 せんよう の倍音 ばいおん を多 おお く持 も つトーンホイールと通常 つうじょう のトーンホイールを併用 へいよう している)。5-1/3'のドローバーは8'の左側 ひだりがわ にあるが、これは8'ではなく16'の整数 せいすう 次 じ 倍音 ばいおん (基音 きおん の整数 せいすう 倍 ばい の高 たか さの音 おと 。5-1/3'は16'の第 だい 3倍音 ばいおん )だからである。8'を基音 きおん とした音 おと に深 ふか みを与 あた えたりする場合 ばあい などに使用 しよう される。16'・5-1/3'のドローバーのみ色 いろ は茶色 ちゃいろ になっている。ドローバーの組 く み合 あ わせをレジストレーションとよび、「88 8000 000」などと表記 ひょうき する。B-3などのコンソールタイプでは上下 じょうげ 鍵盤 けんばん それぞれに9本 ほん のセットが二 ふた つずつ、ペダル用 よう に2本 ほん のセットが一 ひと つ設置 せっち される。安価 あんか かつ小型 こがた のスピネットタイプでは上 うえ 鍵盤 けんばん に9本 ほん のセットが一 ひと つ、下 しも 鍵盤 けんばん に7本 ほん ないし8本 ほん のセットが一 ひと つ、ペダル用 よう に1本 ほん が設置 せっち されている。
手 て 鍵盤 けんばん の16'担当 たんとう 分 ぶん 、最低 さいてい オクターブは上 うえ のオクターブの繰 く り返 かえ しとなる。また、1'の最高 さいこう オクターブはその下 した のオクターブの繰 く り返 かえ しとなる。これをフォールドバック(折 お り返 かえ し)という。これは人間 にんげん の可聴 かちょう 域 いき を超 こ えるトーンホイールを省略 しょうりゃく しつつ、細 ほそ くなりがちな高 こう 音域 おんいき の音 おと を太 ふと く、過剰 かじょう に響 ひび きがちな低 てい 音域 おんいき を引 ひ き締 し める効果 こうか がある。パイプオルガンにも同様 どうよう の理由 りゆう で折 お り返 かえ しがある。61鍵 かぎ の音域 おんいき で9つの倍音 ばいおん を持 も たせると単純 たんじゅん 計算 けいさん で109枚 まい のトーンホイールを要 よう するはずだが、これにより91枚 まい に留 と まる(この中 なか には12枚 まい のペダル専用 せんよう トーンホイールも含 ふく まれる)。電子 でんし 回路 かいろ を用 もち いたコンボオルガンの多 おお くはフォールドバックを持 も たなかったため、ハモンドオルガンと電子 でんし オルガンを分 わ ける個性 こせい とされる。ハモンドでも小型 こがた のスピネットオルガンにはフォールドバックは装備 そうび されない(しかし、サードパーティーからフォールドバックを追加 ついか するキットがオプションとして発売 はつばい されている)。クローンホイールオルガンでは、ユーザーがフォールドバックの程度 ていど を調整 ちょうせい できるものもある。
鍵盤 けんばん の各 かく キーにはドローバー9本 ほん それぞれに対応 たいおう するスイッチが上下 じょうげ 方向 ほうこう 、櫛 くし 状 じょう に並 なら んでおり、キーをゆっくり押 お し込 こ んでいくと高次 こうじ 倍音 ばいおん から順 じゅん に発音 はつおん される(多 た 列 れつ 接点 せってん )。また、これらのスイッチが接触 せっしょく するときの電気 でんき 的 てき スパークはキークリックと呼 よ ばれる。ハモンドの開発 かいはつ 陣 じん はこの音 おと を余計 よけい なものとして、6kHz きろへるつ 以上 いじょう の周波数 しゅうはすう を取 と り除 のぞ くフィルターを設置 せっち する等 ひと して取 と り除 のぞ く努力 どりょく をしたが、後年 こうねん この音 おと はアタックを強調 きょうちょう し打楽器 だがっき 的 てき な演奏 えんそう をより魅力 みりょく 的 てき なものにするためオルガン奏者 そうしゃ から愛 あい され、ハモンドサウンドの特徴 とくちょう の一 ひと つとされている。多 た 列 れつ 接点 せってん は1970年代 ねんだい までの電子 でんし オルガンではハモンドに限 かぎ らず採用 さいよう しているものは多 おお かったが、これは単 たん に当時 とうじ の技術 ぎじゅつ の限界 げんかい による設計 せっけい で、機構 きこう の複雑 ふくざつ 化 か や重量 じゅうりょう の増加 ぞうか を招 まね いていたため、1970年代 ねんだい 末 まつ から1980年代 ねんだい 初期 しょき を以 もっ て淘汰 とうた されていった。しかし、単 たん 接点 せってん 鍵盤 けんばん を持 も つクローンホイールオルガンは、デジタル・アナログ問 と わずキークリックを発音 はつおん するように設計 せっけい され、多 おお くはクリックの音量 おんりょう も調整 ちょうせい できる。ただし単 たん 接点 せってん では鍵盤 けんばん の微妙 びみょう な押 お し込 こ み具合 ぐあい によるキークリックのばらつき(ゴーストノートを多用 たよう する場合 ばあい 、ノリを生 う み出 だ す要素 ようそ となる)や多 おお くのドローバーを引 ひ き出 だ したレジストレーションを用 もち いて演奏 えんそう するスローテンポの楽曲 がっきょく におけるハープのような効果 こうか を演出 えんしゅつ することができず、これらを利用 りよう するスタイルを持 も つオルガン奏者 そうしゃ にとっては不満 ふまん が残 のこ った。そこで、2003年 ねん にハモンド鈴木 すずき から発売 はつばい された「New B-3」では、多 た 列 れつ 接点 せってん もハモンドオルガンの魅力 みりょく であるとして、デジタル式 しき クローンホイールオルガンで初 はじ めて機械 きかい 式 しき 多 た 列 れつ 接点 せってん が採用 さいよう された(本来 ほんらい は足 あし 鍵盤 けんばん も4列 れつ 接点 せってん だが、これは単 たん 接点 せってん になっている。アナログ式 しき クローンホイールオルガンについては、フィンランドのウルム社 しゃ 製 せい 「HIT Organ」や日本 にっぽん のエース電子 でんし 工業 こうぎょう 製 せい の「GT-7」など、多 た 列 れつ 接点 せってん が廃 すた れる以前 いぜん に設計 せっけい されたものがある)。
4'と2-2/3のドローバーに対応 たいおう する倍音 ばいおん は、スイッチを入 い れることにより「コン」という減衰 げんすい 音 おん としても出力 しゅつりょく される。これを「パーカッション 」と呼 よ び、B-3以降 いこう に開発 かいはつ されたオルガンのほとんどに搭載 とうさい されている。4'に対応 たいおう するものが「セカンド(第 だい 2倍音 ばいおん )」、2-2/3'に対応 たいおう するものが「サード(第 だい 3倍音 ばいおん )」と表記 ひょうき される。発音 はつおん はコンデンサ に溜 た められた電力 でんりょく を放出 ほうしゅつ することにより行 おこな われる。すべての鍵盤 けんばん を離 はな すと再 さい 充電 じゅうでん されるが、一 ひと つでも鍵盤 けんばん を押 お さえていると電力 でんりょく は放出 ほうしゅつ され続 つづ けるため、レガート で演奏 えんそう する場合 ばあい にはパーカッションは発音 はつおん しない。減衰 げんすい 速度 そくど 、音量 おんりょう は2段階 だんかい から選択 せんたく 可能 かのう で、音量 おんりょう を大 おお きい設定 せってい にするとパーカッション音量 おんりょう が少 すこ し大 おお きくなるだけでなく、パーカッションを強調 きょうちょう するためにオルガントーン音量 おんりょう が3 dB ほど低下 ていか する。また、バランスよく聴 き かせるために低音 ていおん 部 ぶ は大 おお きく、高音 こうおん 部 ぶ は小 ちい さく鳴 な るように作 つく られ、最低 さいてい 音 おん と最 さい 高音 こうおん で1dB でしべる 程度 ていど の音量 おんりょう 差 さ を設 もう けている。パーカッションをonにすると、1'に対応 たいおう する接点 せってん がパーカッション用 よう に充 あ てられるため、1'の倍音 ばいおん は発音 はつおん しなくなる。また、パーカッションは上 うえ 鍵盤 けんばん でのみ発音 はつおん し、コンソールタイプでは上 うえ 鍵盤 けんばん 用 よう の2つのドローバーセットのうち右側 みぎがわ の音色 ねいろ (プリセット"B")を選択 せんたく したときのみ発音 はつおん する。
B-2/C-2など、パーカッションが装備 そうび されないオルガンのために、他 た のメーカーから後 こう 付 つ け用 よう のパーカッション回路 かいろ も販売 はんばい されている。セカンド、サード以外 いがい の倍音 ばいおん (第 だい 5倍音 ばいおん など)も選択 せんたく 可能 かのう 、かつ、複数 ふくすう のパーカッショントーンをミックスして使 つか えるタイプもある。
ドローバーを全 すべ て引 ひ っ込 こ めた状態 じょうたい で、パーカッションの音 おと だけを用 もち いてエレクトリックピアノ のように演奏 えんそう することもある。左側 ひだりがわ のドローバー3本 ほん をいっぱいに引 ひ き出 だ した音 おと (俗 ぞく に「下 した 3本 ほん 」)とサード・パーカッションを組 く み合 あ わせた音色 ねいろ はジミー・スミス やキース・エマーソン のオルガンスタイルを代表 だいひょう する音色 ねいろ となった。
BV/CV以降 いこう のコンソール型 がた ハモンドオルガンでは、スキャナービブラートという機構 きこう を採用 さいよう している。コイル のタップ 切替 きりかえ による位相 いそう 変調 へんちょう 方式 ほうしき で、円筒 えんとう の中 なか をプロペラ のようなパーツが回転 かいてん し、周囲 しゅうい に設 もう けられた16個 こ のコイル・タップを切 き り替 か えて位相 いそう 遅 おく れを変更 へんこう し、周期 しゅうき 的 てき に音程 おんてい を上下 じょうげ させる。B-2/C-2以降 いこう のモデルでは、ビブラートを上下 じょうげ の鍵盤 けんばん それぞれに独立 どくりつ してon/offを設定 せってい できる。ビブラート音 おん と原音 げんおん を混 ま ぜることでコーラス効果 こうか も作 つく ることができ、それぞれ3段階 だんかい の深 ふか さがセットされている。なお、L-100 などの廉価 れんか 版 ばん (スピネット 型 かた )では電子 でんし 回路 かいろ (フェイズシフター )を用 もち いたビブラートユニットが装備 そうび されているが、音 おと の厚 あつ みは劣 おと る。ちなみに最初 さいしょ の製品 せいひん 「モデルA」ではトレモロ を内蔵 ないぞう していた。次 つぎ に開発 かいはつ された「モデルBC」では大型 おおがた のコーラスジェネレーターが内蔵 ないぞう されていた(モデルBCのコーラス無 な しのモデルがBキャビネットを使用 しよう した最初 さいしょ の製品 せいひん 「モデルAB」である)。
プリセット・キー
B-3などの上位 じょうい 機種 きしゅ では、上下 じょうげ の鍵盤 けんばん の左端 ひだりはし に白黒 しろくろ 反転 はんてん カラーの鍵盤 けんばん が装備 そうび されているが、これはドローバーで生成 せいせい した音色 ねいろ およびプリセットの選択 せんたく スイッチになっていて、押 お し込 こ むと下 さ がったままになる。上下 じょうげ 鍵盤 けんばん 用 よう にそれぞれ2セットずつ装備 そうび されたドローバーの音色 ねいろ はBおよびA♯のスイッチで選択 せんたく できる。2つ以上 いじょう のスイッチを同時 どうじ に押 お すと、両方 りょうほう を組 く み合 あ わせた音色 ねいろ になる(例 れい :88 8000 000+00 8444 200=88 8444 200)。Cスイッチはキャンセルキーで、これを押 お すと選択 せんたく されていたスイッチは解放 かいほう され、音 おと が出 で なくなる。なお、前述 ぜんじゅつ したパーカッションは上 うえ 鍵盤 けんばん のBスイッチの音色 ねいろ にだけ作動 さどう する。また、右手 みぎて で鍵盤 けんばん を押 お さえておいて、左手 ひだりて でCスイッチを押 お しながら残 のこ りのプリセットキーをランダムに押 お すことで倍音 ばいおん 構成 こうせい を次々 つぎつぎ に変化 へんか させる特殊 とくしゅ 奏法 そうほう がある。なお、L-100など安価 あんか なスピネットタイプでは鍵盤 けんばん 上 じょう に舌 した のように突 つ き出 で たスイッチ群 ぐん の中 なか にプリセットを選択 せんたく する機能 きのう が割 わ り当 あ てられている(プリセットは下 しも 鍵盤 けんばん に1つか2つ、上 うえ 鍵盤 けんばん に4つ。パーカッションは上 うえ 鍵盤 けんばん でドローバー音色 ねいろ を選 えら んだ際 さい に有効 ゆうこう になる)。
代表 だいひょう 的 てき なハモンド・トーンホイールオルガン
編集 へんしゅう
B-3 (左 さ はレスリー )
200種類 しゅるい 以上 いじょう あるといわれているハモンドオルガンの中 なか で、代表 だいひょう 的 てき かつ最 もっと も人気 にんき のある機種 きしゅ 。最初 さいしょ のハモンドオルガン「モデルA」から採用 さいよう されている、演奏 えんそう 者 しゃ の足 あし が見 み えるように作 つく られた四足 しそく の外観 がいかん が特徴 とくちょう (ただし、B-3に用 もち いられるBキャビネット は当初 とうしょ 大型 おおがた のコーラスジェネレーターを採用 さいよう した「モデルBC」として開発 かいはつ されたため、Aキャビネットより大型 おおがた )。このモデル以降 いこう パーカッションが装備 そうび される。ほとんどのジャズオルガン奏者 そうしゃ やポピュラーバンドに使 つか われており、ユーザーは枚挙 まいきょ に暇 ひま が無 な い。ハモンドNew B-3やローランド VK-88などといった、現在 げんざい 製造 せいぞう されているオルガンは外見 がいけん 的 てき にB-3を意識 いしき しているものが多 おお い。ロックコンサートで使用 しよう するために、鍵盤 けんばん およびメカニズムを取 と り出 だ し、軽量 けいりょう で簡素 かんそ な筐体 きょうたい に内蔵 ないぞう する改造 かいぞう もよく行 おこな われた(以下 いか 、RT-3まで、この改造 かいぞう モデルのベースとしてよく使 つか われた。これらをHammond Chop(s)と呼 よ ぶ)。
C3
B-3と並 なら んで有名 ゆうめい なものはC-3。チャーチモデルと呼 よ ばれるC-3は音源 おんげん 部分 ぶぶん はB-3と同一 どういつ だが、教会 きょうかい のパイプオルガンの演奏 えんそう 台 だい に似 に た筐体 きょうたい を持 も つ(このタイプが作 つく られた理由 りゆう は「教会 きょうかい で使用 しよう するため」とも「スカートをはいた女性 じょせい が演奏 えんそう しやすくするため」ともいわれている)。筐体 きょうたい 以外 いがい の音源 おんげん 部分 ぶぶん ・鍵盤 けんばん 部分 ぶぶん はB-3と同一 どういつ である。外観 がいかん には3種類 しゅるい あり、アメリカ製 せい のものは彫刻 ちょうこく が多 おお く施 ほどこ された豪華 ごうか な初期 しょき 型 がた と、筐体 きょうたい 上部 じょうぶ の彫刻 ちょうこく が省略 しょうりゃく された1958年 ねん 以降 いこう のものがある。イギリス製 せい は1965年 ねん 以降 いこう 、彫刻 ちょうこく を省略 しょうりゃく して側面 そくめん が平 たい らで全体 ぜんたい 的 てき に鋭角 えいかく 的 てき な外観 がいかん の筐体 きょうたい となった。また、イギリスの工場 こうじょう ではC-3とA-100がB-3よりも多 おお く生産 せいさん されたため、イギリスの市場 いちば では新品 しんぴん のB-3は高価 こうか ・希少 きしょう となった。このためミュージシャンは同 どう 一 いち 機能 きのう を持 も ち、入手 にゅうしゅ しやすいC-3を多 おお く買 か い求 もと めることになった。そのためディープ・パープル のジョン・ロード や、ELP のキース・エマーソン 、イエス のリック・ウェイクマン など、主 おも にイギリスのロックオルガニストがC-3ユーザーとして有名 ゆうめい になった。一部 いちぶ のロックミュージシャンはオルガンを改造 かいぞう した。よく行 おこな われたのは筐体 きょうたい を上下 じょうげ に分割 ぶんかつ することとスプリングリバーブの内蔵 ないぞう である。ジョン・ロードはさらにRMIエレクトラピアノ を組 く み込 こ んで、オルガントーンと組 く み合 あ わせて使用 しよう できるようにした。4本 ほん 足 あし のB-3と比 くら べて鍵盤 けんばん 部 ぶ が前 まえ にせり出 だ したC-3は揺 ゆ れに不安定 ふあんてい であり、オルガンを揺 ゆ さぶってリバーブに衝撃 しょうげき を与 あた えてノイズを出 だ すパフォーマンスが行 おこな いやすかった。
B-3/C-3のバリエーションで、家庭 かてい 用 よう に作 つく られたもの。「A」と銘打 めいう たれているが、最初 さいしょ の製品 せいひん 「モデルA」の直接 ちょくせつ 発展 はってん したものではない。音源 おんげん 部分 ぶぶん はB-3と同一 どういつ であるが、筐体 きょうたい は前後 ぜんご 幅 はば が短縮 たんしゅく されたスリムなものとなった。本来 ほんらい B-3やC-3でもビブラートユニットの小型 こがた 化 か により前後 ぜんご 幅 はば の短縮 たんしゅく は可能 かのう になっているのだが、筐体 きょうたい の小型 こがた 化 か は新 しん 設計 せっけい のこのモデルにおいてようやくなされた。鍵盤 けんばん の蓋 ぶた は省略 しょうりゃく され、B-3やC-3とは異 こと なるタイプの譜面 ふめん 台 だい を持 も つ。設置 せっち スペースを省 はぶ くためにスピーカーとスプリングリバーブを装備 そうび 。猫足 ねこあし の優雅 ゆうが な外観 がいかん を持 も つA-102やC-3と同一 どういつ 筐体 きょうたい を使用 しよう するA-105などのバリエーションがある。前後 ぜんご 幅 はば の短縮 たんしゅく ゆえ、オルガンの上 うえ に他 た の鍵盤 けんばん 楽器 がっき を載 の せることが多 おお いロックバンドではあまり使 つか われず、内蔵 ないぞう スピーカーを装備 そうび しているため重 おも く、ジャズでの使用 しよう 例 れい も少 すく ない。そのためか、Hammond Chopの材料 ざいりょう や、B-3の部品 ぶひん 取 と り用 よう に使 つか われることが多 おお かった。現在 げんざい はそのデザインが再 さい 評価 ひょうか されている。なお、イギリスでは需要 じゅよう があったようで、アメリカで1964年 ねん に生産 せいさん 中止 ちゅうし となって以降 いこう も、1975年 ねん のトーンホイール廃止 はいし まで生産 せいさん された。ジャズオルガニストの河合 かわい 代 だい 介 かい はスピーカーを取 と り外 はず し、レスリースピーカー用 よう のジャック を追加 ついか したものを使用 しよう している。
C-3のバリエーションで、コンサートモデルと呼 よ ばれるカテゴリーに属 ぞく する。足 あし 鍵盤 けんばん が25鍵 かぎ からアメリカン・ギルド・オブ・オルガニスツ(AGO、英語 えいご 版 ばん )準拠 じゅんきょ の32鍵 かぎ (Cから2オクターブ上 じょう のGまで)に拡張 かくちょう され、ペダルドローバーの音 おと に重 かさ ねてパイプオルガン並 な みの重 じゅう 低音 ていおん を実現 じつげん するために真空 しんくう 管 かん 式 しき の発振器 はっしんき を装備 そうび した。このため、横 よこ 幅 はば は高音 こうおん 側 がわ が15cmほど大 おお きい。このモデルの筐体 きょうたい もC-3同様 どうよう のバリエーション(初期 しょき ・後期 こうき ・イギリス製 せい )がある。スピーカー内蔵 ないぞう タイプとしてD-100シリーズがある。中 なか でもD-152はアビー・ロード・スタジオ にも設置 せっち され、ビートルズ やピンク・フロイド のレコーディングでも使用 しよう された。
以下 いか は上記 じょうき までのコンソールモデルと比 くら べて小型 こがた かつ安価 あんか なモデルで、スピネットモデルという分類 ぶんるい に入 はい る。スピネットモデルは内蔵 ないぞう スピーカーを備 そな え、上下 じょうげ 鍵盤 けんばん は各々 おのおの 44鍵 かぎ で下 しも 鍵盤 けんばん は低音 ていおん 側 がわ 、上 うえ 鍵盤 けんばん は高音 こうおん 側 がわ にオフセットされている。フォールドバックを持 も たないため高音 こうおん 域 いき の音 おと が薄 うす い。また手 て 鍵盤 けんばん 用 よう の低 てい 音域 おんいき トーンホイールを持 も たない(ドローバーも下 しも 鍵盤 けんばん 用 よう は16'と5-1/3'を欠 か く)ためコンソールモデルと違 ちが い下 か 鍵盤 けんばん でベースラインを弾 ひ けないという特徴 とくちょう がある。足 あし 鍵盤 けんばん 用 よう ドローバーは16'が1本 ほん のみである。
M-3は最初 さいしょ のスピネットオルガン"M型 がた "の改良 かいりょう 型 がた であり、ブッカー・T・ジョーンズ が使用 しよう していたことで有名 ゆうめい 。鍵盤 けんばん やスイッチ類 るい はB-3と同 おな じもの(ウォーターフォール型 がた 鍵盤 けんばん 、タブレットスイッチ)を装備 そうび 。M-3までのモデルはリバーブおよびプリセットを持 も たない(M-100以降 いこう で採用 さいよう )。特徴 とくちょう 的 てき な機能 きのう として、エクスプレッションペダル左側 ひだりがわ にペダル鍵盤 けんばん のサステインスイッチを持 も つ(この機能 きのう を持 も たせるためにペダルドローバーにはコンデンサーが接続 せつぞく されている。M-100以降 いこう では廃止 はいし )。またペダル鍵盤 けんばん はCからBまでの12鍵 かぎ (M-100以降 いこう で13鍵 かぎ に改良 かいりょう される)。M-100以降 いこう のM型 がた は他 た のスピネットタイプと同様 どうよう の仕様 しよう (ダイビングボード型 がた 鍵盤 けんばん 、フリップスイッチ)になる。M型 がた 全体 ぜんたい での特徴 とくちょう は、下 しも 鍵盤 けんばん のドローバーセットにL型 がた 以降 いこう のスピネット同様 どうよう の7本 ほん (16'と5-1/3'を欠 か く)に加 くわ えて1本 ほん で24度 ど (第 だい 10倍音 ばいおん )と26度 ど (第 だい 12倍音 ばいおん )の音程 おんてい を同時 どうじ にコントロールするもの(合計 ごうけい 8本 ほん )を持 も つことと、B-3同様 どうよう のスキャナービブラートを装備 そうび していることである。M-100シリーズはジョン・ポール・ジョーンズ がレッド・ツェッペリン の1枚 まい 目 め のアルバムで使用 しよう したほか、プロコル・ハルム でマシュー・フィッシャー がM-102を使用 しよう した例 れい が有名 ゆうめい 。スピネット第 だい 1世代 せだい のM型 がた は1960年代 ねんだい から第 だい 2世代 せだい のL型 がた に交代 こうたい していった。
L-100 (鍵盤 けんばん 部 ぶ )
M-100シリーズの改良 かいりょう 型 がた 。キークリックを特 とく に抑制 よくせい するため、高 こう 音域 おんいき の出力 しゅつりょく を上 あ げたうえでフィルターを用 もち いて高 こう 音域 おんいき を削 けず る設計 せっけい になっている(上述 じょうじゅつ したように、キークリックは当時 とうじ 、ハモンドオルガン・カンパニーのスタッフおよび教会 きょうかい オルガン奏者 そうしゃ にとっては邪魔 じゃま なものであった。B-3などでも6kHz きろへるつ 以上 いじょう の周波数 しゅうはすう をカットするように設計 せっけい されている)。下 した 鍵盤 けんばん のドローバーの数 かず は7本 ほん と少 すく なくなっている(Mシリーズまでの「下 しも 鍵盤 けんばん 用 よう の8本 ほん 目 め のドローバー」は廃止 はいし された)。ペダル用 よう ドローバーはMシリーズ同様 どうよう の1本 ほん 。プリセットは上 うえ 鍵盤 けんばん に4つ、下 しも 鍵盤 けんばん に1つ。ビブラート回路 かいろ は簡単 かんたん なものに置 お き換 か えられ、2段階 だんかい に切 き り替 か え可能 かのう なスプリングリバーブとスピーカーを内蔵 ないぞう 。プリセットやビブラート、リバーブはコンソール型 がた で見 み られるロッカースイッチではなく、舌 した 型 がた のフリップスイッチで選択 せんたく する。キース・エマーソンが、有名 ゆうめい なナイフを刺 さ して馬乗 うまの りになるなどの破壊 はかい 行為 こうい を行 おこな ったのはこのオルガンである(スピーカーがあることでフィードバックノイズを作 つく りやすいうえに小型 こがた ・軽量 けいりょう であるためにステージを引 ひ きずり回 まわ すのに好都合 こうつごう だった)。その他 た 、イエス の初代 しょだい オルガニストトニー・ケイ らが使用 しよう していた。スピーカーと木製 もくせい の筐体 きょうたい を取 と り払 はら った「Porta-B」というモデルもある。脚 あし や筐体 きょうたい の仕様 しよう の違 ちが いでL-112などのバリエーションあり。L-200シリーズはロータリースピーカーを内蔵 ないぞう している。
TR-200 (T-200派生 はせい )
L型 がた の発展 はってん 型 がた 。プリアンプはトランジスタ式 しき となり、リズムボックスを内蔵 ないぞう している。ジェネシス のトニー・バンクス が数少 かずすく ない有名 ゆうめい な使用 しよう 例 れい 。脚 あし や筐体 きょうたい の仕様 しよう の違 ちが いでT-112などのバリエーションあり。T-200シリーズはロータリースピーカーを内蔵 ないぞう している。1975年 ねん のトーンホイール・ジェネレーター廃止 はいし まで生産 せいさん された。
^ ハモンドは後 ご の1937 - 1938年 ねん に真空 しんくう 管 かん 式 しき ポリフォニックシンセサイザー 「ノバコード」を、1940年 ねん には単音 たんおん 電子 でんし 楽器 がっき 「Solovox」を開発 かいはつ ・販売 はんばい している. また1938年 ねん にはアーレン・オルガンが「世界 せかい 最初 さいしょ の」真空 しんくう 管 かん 式 しき 電子 でんし オルガンを開発 かいはつ している. 詳細 しょうさい は記事 きじ 電子 でんし オルガン および hammond-organ.com を参照 さんしょう
^ 鈴木 すずき 楽器 がっき は1980年代 ねんだい 後半 こうはん 、多 おお くの海外 かいがい 有名 ゆうめい ブランドの国内 こくない 生産 せいさん を手 て がけており(Kurzwell製品 せいひん 、Ensoniqのサンプラー、Oberheim Matrixシンセ等 とう )、その過程 かてい で日本 にっぽん 独自 どくじ 仕様 しよう の製品 せいひん を生 う み出 だ すなどして堅実 けんじつ な技術 ぎじゅつ の蓄積 ちくせき を行 おこな ったと推定 すいてい される
ウィキメディア・コモンズには、
ハモンドオルガン に
関連 かんれん するカテゴリがあります。