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フォルクスワーゲン・タイプ2 - Wikipedia

フォルクスワーゲン・タイプ2Volkswagen Type 2)はフォルクスワーゲン製造せいぞうする商用しょうようくるまである。一般いっぱんには、フォルクスワーゲンしゃトランスポーターTransporter)のだい1世代せだい(T1)、だい2世代せだい(T2)、だい3世代せだい(T3)にあたる。狭義きょうぎではトランスポーターのだい1世代せだいだい2世代せだいす。

T1
ポップアップルーフをウエストファリアWestfaliaせいキャンプモビル

ほん項目こうもくではトランスポーターのぜん世代せだいについてあつかい、T4、T5の乗用じょうようモデル(カラベル、マルチバン)貨物かもつモデル(トランスポーター)や日本にっぽんけT4ヴァナゴン、北米ほくべいけT4ユーロバンについてもれる。また、それぞれの詳細しょうさい個別こべつ記事きじ記載きさいされている。

概要がいよう

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カタログ表記ひょうき商品しょうひんめい)ではVW Transporter(トランスポーター)と総称そうしょうされ、パネルバンがVW Lieferwagen(リーファーワーゲン、配達はいたつバン)またはKastenwagen(カステンワーゲン、はこがたバン)、多人数たにんずう乗用じょうよう仕様しようVW Kleinbus(クラインブス、小型こがたバス)、座席ざせきはずしが可能かのう簡素かんそ内装ないそう乗用じょうよう貨物かもつ兼用けんようのものはKombi(コンビ、ステーションワゴン)、後部こうぶがトラックタイプのVW Pritschenwagen(プリッチェンワーゲン、フラットベッドトラック)とされている。

一般いっぱんユーザーけに販売はんばいされたVWのカタログモデルとしては、ドイツのキャンピングカービルダーであるウエストファリアしゃがT1からT3世代せだいのコンビを改造かいぞうした「Campmobile(キャンプモビル)」が1958ねんから発売はつばいされた。また、救急きゅうきゅうしゃ消防車しょうぼうしゃをはじめとした特殊とくしゅ車両しゃりょう数多かずおお存在そんざいする。

タイプ2という1960年代ねんだい北米ほくべいひろまり、現在げんざいではおも専門せんもん愛好あいこうによる愛称あいしょうとなっている。ドイツではテュープ・ツヴァイ(Typ 2)と発音はつおんし、ドイツおよび周辺しゅうへん諸国しょこくにおいてはBulli(ブリ、ブルドッグ)の愛称あいしょうしたしまれている。アメリカ英語えいごではVW Bus、イギリス英語えいごではCamper Van、日本にっぽんでは「ワーゲンバス」や「サンババス」、「デリバン」と総称そうしょうされる。

仕向しむけ年代ねんだいによってカタログ表記ひょうき頻繁ひんぱんわるため、一概いちがいくるまめいめることができず、これら全体ぜんたい統括とうかつした名称めいしょうとして「タイプ2」がもちいられている。フォルクスワーゲンではT1からT5までを連続れんぞくしたシリーズとしてあつかっており、その総称そうしょうにはトランスポーターが使用しようされている。T3発表はっぴょうに、フォルクスワーゲン自身じしん過去かこにさかのぼって世代せだい区分くぶんおこなった。これにより、トランスポーターの初代しょだい、2代目だいめ、3代目だいめりゃくしてT1、T2、T3とかく世代せだいたいしてネーミングをおこなうようになり、2003ねん登場とうじょうしたT5でもつづ使用しようされている。

タイプ2ははやくから世界せかい各国かっこく輸出ゆしゅつされており、メキシコブラジルオーストラリアみなみアフリカなどでは現地げんち生産せいさんおこなわれた。これらの国々くにぐにでは「コンビ」がくるまめいとされ、メキシコや中南米ちゅうなんべいのスペインけんでは、コンビの公共こうきょう交通こうつう機関きかん小型こがたバスをしめ用語ようごとなるほど一般いっぱん浸透しんとうしている。

1960年代ねんだい後半こうはんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおけるヒッピームーブメント時代じだいには、当時とうじ中古ちゅうこ入手にゅうしゅしやすくなっていたT1が若者わかものたちに愛用あいようされた。はこがた平面へいめんてきなボディは格好かっこうのキャンバスとなり、派手はでいろ使づかいによるサイケデリックなペインティングにピースマークなどがえがかれ、のちつづくワーゲンバスのイメージの原点げんてんとなった。スティーブ・ジョブズ所有しょゆうしていたが、Apple I開発かいはつ捻出ねんしゅつするため800ドルほどで売却ばいきゃくした。

フォルクスワーゲンのブランド戦略せんりゃくにより、1995ねん以降いこう乗用車じょうようしゃとはことなる商用しょうようしゃ部門ぶもん(Volkswagen Nutzfahrzeuge:VWN)でのあつかいとなっている。

あく走破そうはせいたかよんりん駆動くどうくるまもT3からラインナップされ、T3およびT4では「シンクロ」、T5は「4モーション」と呼称こしょうされている。

T4、T5のシャシはキャンピングカーやバスへのそうベースとしてももちいられている。ウェストファリアしゃそうした「カリフォルニア」は世界せかいてき有名ゆうめいなキャンピングカーである。

T1(1950-1967ねん

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T1 モデルバン
 
タイプ2の発想はっそうもととなった工場こうじょうない運搬うんぱんしゃ

1950ねんタイプ1(ビートル)をベースとするリアエンジンの汎用はんよう自動車じどうしゃとして登場とうじょうした。

このモデルが考案こうあんされたのは、タイプ1のはじめての輸出ゆしゅつとなった1947ねんオランダ輸出ゆしゅつさい同国どうこくでの仲介ちゅうかい業者ぎょうしゃとなったオランダじんディーラーのベン・ポン(en:Ben Pon (senior) 1904-1968)が、ヴォルフスブルクのVW工場こうじょう視察しさつおとずれたさい知見ちけんがきっかけとなっている。工場こうじょうないではおも部品ぶひん輸送ゆそうようとしてタイプ1のはだかシャシをベースに、リアのエンジンじょうにドライバーズシートを設置せっちし、車体しゃたい前方ぜんぽうをまるまる貨物かもつ搭載とうさいスペースとした特殊とくしゅなトランスポーターが工場こうじょうスタッフの製作せいさく使用しようされていた。ポンはこのキャリアカーをてアイデアに感心かんしんしたが、そこからタイプ1のフラットなシャシ構造こうぞうかせば、スペース効率こうりつすぐれたキャブオーバーかた汎用はんようボディをそうできるのではないか、という着想ちゃくそうた。

タイプ1のシャシはだい世界せかい大戦たいせんなか、フォルクスワーゲンを開発かいはつしたフェルディナント・ポルシェ軍用ぐんよう万能ばんのうしゃキューベルワーゲン軍用ぐんよう水陸すいりく両用りょうようしゃシュビムワーゲンとして軍用ぐんようボディ・駆動くどうけい改装かいそうされ戦地せんちもちいられた実績じっせきもあり、他方たほうではスポーツカーのポルシェ・356のベースにもなったように、対応たいおう可能かのうそうはばひろかった。

タイプ1のシャシにフルキャブオーバータイプのワンボックスかたバンボディをかさねたフリーハンドのラフスケッチがポンのルーズリーフしるされたのは、1947ねん4がつ23にちのことであった。ポンはほどなく、VWの経営けいえい責任せきにんしゃであるハインリヒ・ノルトホフみずからのあたらしいアイデアを提案ていあんした。ノルトホフも、あくまで乗用車じょうようしゃとしての用途ようとかぎられるタイプ1だけの生産せいさんではVWの発展はってん限界げんかいしょうずることを考慮こうりょし、ポンの提言ていげん同意どういした。ノルトホフは戦前せんぜん、ドイツ最大さいだい自動車じどうしゃ会社かいしゃであったオペル幹部かんぶであり、ひろ車種しゃしゅ展開てんかい重要じゅうようせい理解りかいしていたことも判断はんだん材料ざいりょうとなった。

こうして開発かいはつされたのがタイプ2で、プロトタイプは1949ねん完成かんせいした。レイアウトはポンの基本きほんアイデアを踏襲とうしゅうして具現ぐげんしたものだが、タイプ1のシャシをベースにしたプロトタイプは荷重におもえられず失敗しっぱい荷重におも対処たいしょして一般いっぱんてき商用しょうようしゃもちいられるラダーフレームを採用さいようし、タイプ1のサスペンションなどを補強ほきょうし、トーションバー・スプリング荷重かじゅうレートもげた。こうはロードクリアランスをたかめる必要ひつようせいがあったことと、タイプ1よりも積載せきさいこう荷重かじゅうとなり低速ていそくからのちから要求ようきゅうされることを配慮はいりょして、キューベルワーゲンなど軍用ぐんようしゃもちいられた実績じっせきのある、リアハブない減速げんそくギアをんだリダクション・ハブ採用さいようしている。

このシャシにスペース効率こうりつすぐれたぜんはがねせいフル・キャブオーバーかた(フォワード・コントロールがた)の1BOXバンボディをそうした。全長ぜんちょうはタイプ1と大差たいさないが、通常つうじょうでも3れつのシートを配置はいちできるゆか面積めんせきゆうした。しかしながら、初期しょきがた後部こうぶ背面はいめんがエンジンルームへのアクセスハッチに占拠せんきょされていたため、ラゲッジスペースへのアクセスには利用りようできなかった(アクセスハッチをもうけたことにより、エンジンの整備せいびせい良好りょうこうだった。のちにエンジンルームのたかさを縮小しゅくしょうし、上部じょうぶにラゲッジハッチをもうけた)が、側面そくめんひろそこゆかドアを配置はいちすることで、弱点じゃくてんおぎなっている。トランスミッションからロッドをかいしたフロアシフトであった。

車両しゃりょうそう重量じゅうりょうかさみ、たかいバンボディとなったうえにギア低速ていそく重視じゅうしとなったことで、必然ひつぜんてき最高さいこう速度そくどはタイプ1よりもがり、初期しょきがたでは90km/hが精一杯せいいっぱいであった。もっとも、最高さいこうそくよりも確実かくじつ走行そうこう性能せいのうもとめられる商用しょうようしゃという用途ようとであるために問題もんだいされることはなく、むしろこの最高さいこう速度そくどたもって巡航じゅんこうできるてんはタイプ1とおなじであった。乗用車じょうようしゃであるタイプ1のメカニズムを踏襲とうしゅうしているために、商用しょうようしゃとしては心地ごこちにもすぐれていた。

エンジンはタイプ1と同様どうよう空冷くうれいOHV水平すいへい対向たいこう4気筒きとうエンジンを搭載とうさいした。当初とうしょ排気はいきりょう1131ccで最高さいこう出力しゅつりょく25ps(19kw)であったが、改良かいりょうにより1192ccで最高さいこう出力しゅつりょく40ps(25kw)まで向上こうじょうしており、1964ねんには1500cc仕様しようしゃ追加ついかされた。ドライブトレーンはタイプ1搭載とうさいひんだい部分ぶぶん共通きょうつうしたものの、商用しょうようしゃという性質せいしつにより低速ていそくからねばづよ出力しゅつりょく要求ようきゅうされるため、世代せだい交代こうたいにおいてはタイプ1よりさきんじてだい出力しゅつりょくのエンジンを搭載とうさいすることがおおかった。

発売はつばいされるとすぐさま、きわめて丈夫じょうふあつかいやすく小型こがたながら汎用はんようせいすぐれることから、ドイツをはじめとする欧州おうしゅう市場いちばだい好評こうひょうとなり、北米ほくべい市場いちばでも便利べんりなミニ・トランスポーターとしてヒットさくとなった。この結果けっか、フォルクスワーゲンは「乗用車じょうようしゃのタイプ1」と「マルチパーパスカーのタイプ2」の本立ほんだ戦略せんりゃく販路はんろひろげることが可能かのうになり、その同社どうしゃ隆盛りゅうせいおおきく寄与きよすることとなった。この販路はんろ拡大かくだい途中とちゅう、タイプ2は元来がんらいのバンタイプと小型こがたバスタイプのほか、オープンデッキのトラックタイプ(ピックアップトラック)、救急きゅうきゅうしゃ仕様しようなど多彩たさいなバリエーションが展開てんかいされた。

ドイツでの製造せいぞうは1967ねん終了しゅうりょうしたが、1953ねんから生産せいさんおこなわれていたブラジル法人ほうじんの「フォルクスワーゲン・ド・ブラジル」では、T2が導入どうにゅうされる1975ねんまで製造せいぞうされていた。

日本にっぽん市場いちば

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スバル・サンバーをベースにしたカスタムカー

日本にっぽんでは1953ねん昭和しょうわ28ねん)にヤナセ輸入ゆにゅう開始かいしした。T1やT2の前期ぜんきがた中心ちゅうしんなんブームこっており、世界中せかいじゅうから中古ちゅうこしゃ輸入ゆにゅうされた。また、タイプ2とおなじくリアエンジンの4気筒きとうしゃであるスバル・サンバーなどをベースとして、前面ぜんめんをタイプ2ふう改造かいぞうした車両しゃりょう存在そんざいする。

T2(1967-1979ねん

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T2
中期ちゅうきがた(1971ねん-1972ねん

T1の北米ほくべい市場いちばでの成功せいこうけて1967ねん登場とうじょうしたT2は、安全あんぜん基準きじゅんげと、マスキーほうられる世界一せかいいちきびしい北米ほくべい排出はいしゅつガス規制きせいへの対応たいおう、またどう時期じき北米ほくべい市場いちば規模きぼ拡大かくだいしていたトルコンしきセミAT(スポルトマチック)の開発かいはつなど、北米ほくべい市場いちばへの適応てきおうのための大幅おおはば改良かいりょうといえる。

プラットフォームシャシリアエンジンわせなど、車両しゃりょう基本きほん構成こうせいはT1からがれていたが、スタイリングは一新いっしんされ、1まいまどになったフロントウィンドウをはじめ、すべてのまど大型おおがたされて乗員じょういん視界しかい改善かいぜんされた。また、内装ないそうでは、ソフトパッドと樹脂じゅしせい部品ぶひん採用さいよう拡大かくだいした。

リダクションギアを廃止はいししてギヤたかめながら、リアサスペンションをスイングアクスルからダブルジョイントのドライブシャフトもちいたIRS(独立どくりつ懸架けんか)に変更へんこうすることで最低さいてい地上ちじょうだかたかいまま維持いじしている。

灯火ともしびるいバンパーなどの外観がいかんちがいで、T2aT2a/bT2bの3種類しゅるい大別たいべつされる。

T2a (前期ぜんきがた 1968ねん-1971ねん

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フロントウインカー矩形くけい横長よこなが)でヘッドランプしたにあり、リアコンビネーションランプはT1同様どうよう小判こばんかたで、バックアップランプはべつたいとなっている。

1968ねんモデルから1970ねんモデルまではそうドラムブレーキで、エンジンは排気はいきりょう1.6 Lで最高さいこう出力しゅつりょく48 ps(35 kw)を発生はっせいする。1971ねんモデルよりフロントのみディスクブレーキ変更へんこうされ、エンジンは排気はいきりょうきでデュアルポートされ、最高さいこう出力しゅつりょくが50 ps(37 kw)に向上こうじょうしたが、仕向しむによってスペックこまかくことなっている。

T2a/b (中期ちゅうきがた 1972ねん

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リアコンビネーションランプが大型おおがたされた。北米ほくべいけにタイプ4の1.7 Lエンジンが追加ついかされ、その地域ちいきでもメーカーオプションとして設定せっていされた。このためエンジンルームまわりのボディ設計せっけい変更へんこうされている。なお、旧来きゅうらいのタイプ1エンジンも継続けいぞく設定せっていされる。

北米ほくべい安全あんぜん基準きじゅん準拠じゅんきょするため、フロントのフレームが強化きょうかされている。

T2b (後期こうきがた 1973ねん-1979ねん

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フロントウインカーがヘッドランプのうえ移動いどうし、ベンチレーショングリル連続れんぞくしたデザインとなった。バンパーもかく断面だんめん大型おおがたのものに変更へんこうされている。

1973ねんモデルからタイプ4のエンジンに1.8 Lが追加ついかされ、1.8 Lエンジンに3そくセミAT(スポルトマチック)が追加ついかされる。1976ねんモデルからはタイプ4のエンジンが2.0 Lに変更へんこうされ、T1時代じだいからつづいたパワー不足ふそくがかなり解消かいしょうされた。

ブラジルせい「Kombi」

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VWブラジルでは1953ねんからT1の生産せいさん開始かいしされ、1975ねんにT2の生産せいさんわった。西にしドイツ本国ほんごくにおけるT2の生産せいさんは1979ねん終了しゅうりょうしたが、VWブラジルでは2013ねんまで「Kombi」(コンビ)のつづ生産せいさんされた。貨客兼用けんようのスタンダード、貨物かもつようパネルバンのフルガオ(Furgão = 有蓋ゆうがいしゃ)のラインアップとなっていた。なお、T2aに相当そうとうするモデルは存在そんざいしない。

コンビ1600 (T2b 1975ねん-1998ねん

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1975ねん、ブラジルせいコンビもT2へわった。エンジンは西にしドイツ本国ほんごく仕様しようおなじ1.6 Lの空冷くうれい水平すいへい対向たいこう4気筒きとうであるが、高度こうど排気はいきガス対策たいさくおこなわれていない。

もっと豪華ごうかうち外装がいそうまとめられている「バス」、貨客兼用けんようの「コンビ」、貨物かもつようの「フルガオ」、シングルキャブとダブルキャブのピックアップのラインアップが設定せっていされた。

T2bに分類ぶんるいされるが、初期しょきのものはT1のようにぶりのがわまどとリアコーナーウィンドウをまどおおいタイプで、本家ほんけ西にしドイツせいT2にはない独自どくじのスタイルとなっている。

1981ねんにはT2にはつ搭載とうさい水冷すいれいたて直列ちょくれつ4気筒きとうディーゼルエンジン搭載とうさいしたモデルが追加ついかされた。アウディ・80共通きょうつう輸出ゆしゅつパサートもちい1.5 L・4気筒きとうエンジンとトランスアクスル流用りゅうようしたもので、フロントの車体しゃたい外部がいぶけるかたちであらたにラジエーター電動でんどうファン追加ついかするなど、空冷くうれいのT2bとはまったく機構きこうことなる車両しゃりょうとなっている。外装がいそうではつやくろおおきなフロントグリルとウレタンバンパーが特徴とくちょう。フロントに熱源ねつげんのない空冷くうれいエンジンしゃくらべ、ラジエーターと室内しつないあいだ鉄板てっぱん1まいのみでへだてられていることから、渋滞じゅうたいこう負荷ふか運転うんてんには車内しゃないねつつたわる。また、フロントパネルの室内しつないがわぜんせき足元あしもと)には電動でんどうファンのモーターをがすふくらみがある。このモデルは輸出ゆしゅつおこなわないブラジル国内こくない専用せんようしゃで、1985ねんまで生産せいさんされた。

1989ねんには、高地こうちであることから排気はいきガスによる光化学こうかがくスモッグ被害ひがい深刻しんこくメキシコシティがあるメキシコけとして、安定あんてい燃焼ねんしょう実現じつげんして汚染おせん物質ぶっしつ排出はいしゅつりょう低減ていげんさせるべく、空冷くうれいガソリンエンジンを廃止はいししてアウディ・80やサンタナ共通きょうつうの1.6 L水冷すいれい直列ちょくれつ4気筒きとうガソリンエンジンに変更へんこうしたモデルの生産せいさん開始かいしされた。一般いっぱんてき水冷すいれいエンジンとなったことで他社たしゃせいエンジンにかわそうするれいられるようになり、メキシコでは純正じゅんせい水冷すいれいエンジンを修理しゅうりせず、現地げんち工場こうじょうがあり部品ぶひん流通りゅうつう豊富ほうふ日産自動車にっさんじどうしゃせいのエンジンにかわそうした車両しゃりょう散見さんけんされる。

コンビ 1600a(T2c 1998ねん-2006ねん

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1998ねんには屋根やねをわずかにたかくしたスタイルにわり、T2cとして在来ざいらいしゃ区別くべつされるようになる。その前年ぜんねんにはブラジル国内こくないにも水冷すいれいガソリンエンジン搭載とうさいしゃ追加ついかされた。燃料ねんりょう供給きょうきゅう従来じゅうらいキャブレターわり、インジェクションとなった。

コンビの空冷くうれいモデルの生産せいさん2003ねんから2006ねんまでスペインにおいてつづけられ、空冷くうれいビートルの生産せいさん終了しゅうりょうしたのちはフォルクスワーゲンにおける最後さいご空冷くうれいエンジン搭載とうさいしゃとなった。

コンビ 1400(T2c 2006ねん - 2013ねん

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2006ねんからはブラジルでの排出はいしゅつガス規制きせい強化きょうかにより、水冷すいれい新型しんがたエンジンにわった。「トータルフレックス」(TotalFlex)とばれる1.4 LのEA111がたバイフューエルエンジンを搭載とうさいし、エタノール100 %、ガソリン100 %、あるいはそれらの混合こんごう状態じょうたいでも走行そうこう可能かのうとなっている。ガソリンのみでは58.17 kW / 122.58 Nm (78 ps / 12,5 kgf-m)、エタノールのみでは59.66 kW / 124.5 Nm(80 ps / 12,7 kgf-m)の最高さいこう出力しゅつりょく発揮はっきする。2014ねん以降いこう、ブラジルでは新車しんしゃへのエアバッグおよびABS標準ひょうじゅん装備そうび義務ぎむづけられたため、コンビは2013ねんまつをもって生産せいさん終了しゅうりょうとなった。


T3(1979-1992ねん

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T3

1979ねん登場とうじょうゴルフ世界せかいてき成功せいこうおさめたことから、タイプ2にかんしても前輪ぜんりん駆動くどううわさえなかったが、労働ろうどう組合くみあい抵抗ていこうのためにリアエンジン方式ほうしき存続そんぞくされたといわれている。型式けいしき国際こくさい仕様しようとなったVIN準拠じゅんきょして25(一部いちぶ24)となっており、そのためイギリスではT25とばれる。このモデルではじめて、乗用じょうよう仕様しようしゃに「カラベル」(キャラベルせん)という愛称あいしょうがつけられた。

エンジンは当初とうしょ空冷くうれいエンジンをベースにシリンダーヘッドのみ水冷すいれいとした部分ぶぶん水冷すいれい発売はつばいされ、モデルライフの途中とちゅうから一般いっぱんてきぜん水冷すいれいしきエンジンしゃとなった。日本にっぽんではヤナセが「カラベル」の名称めいしょう乗用じょうようモデルを輸入ゆにゅう販売はんばいしていたが、1990ねんフォルクスワーゲン アウディ 日本にっぽん設立せつりつされると、同社どうしゃでも北米ほくべいでの名称めいしょうである「ヴァナゴン」(Vanagon)の輸入ゆにゅう販売はんばい開始かいしし、ヤナセが撤退てったいするまで両者りょうしゃ競合きょうごうしていた。ヴァナゴンとはVanとWagonをわせた造語ぞうごで、米国べいこくフォルクスワーゲンしゃでつけられた名前なまえである。ドイツでの生産せいさん終了しゅうりょうよんりん駆動くどう部分ぶぶん担当たんとうしていたオーストリアのシュタイア・ダイムラー・プフしゃで、よんりん駆動くどうくわえてりん駆動くどう移管いかんして継続けいぞく生産せいさんされ、最終さいしゅうがたは「LLE」(Last Limited Edition)として限定げんてい生産せいさんされた。

特殊とくしゅなモデルとしては、ポルシェ本社ほんしゃコンプリートチューニングカーとして、911カレラ空冷くうれい2バルブ水平すいへい対向たいこう6気筒きとう3.2 Lエンジン搭載とうさいした「B32」を11だいのみ生産せいさんした。発売はつばい当時とうじ各国かっこく雑誌ざっし媒体ばいたい取材しゅざいにより「世界せかい最速さいそくミニバン」とひょうされた。

T4(1990-2003ねん

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T4
 
T4台湾たいわん版本はんぽん

1990ねんドイツさい統一とういつ直前ちょくぜん発売はつばいされた。このだいより構造こうぞう一新いっしんしてよこきエンジン前輪ぜんりん駆動くどうくるまとなり、型式けいしきは70となってタイプ2ではなくなったが、欧州おうしゅうではつづおなじシリーズとしてあつかわれている。また、フォルクスワーゲンしゃがT1からT5までを統括とうかつしてあつかさいのシリーズ全体ぜんたい呼称こしょうは、Transporter(トランスポーター)が使用しようされている。

前期ぜんきがた後期こうきがたけられ、後期こうきがたでは乗用じょうようタイプに2800ccVR6エンジン搭載とうさいしてフロントノーズがわずかにながくなった。外見がいけんではつりタイプのヘッドライトで区別くべつできる。

日本にっぽんではフォルクスワーゲン アウディ 日本にっぽんヴァナゴン(Vanagon)の輸入ゆにゅう販売はんばいした。グレードは乗用じょうようモデルの「GL」で、トランスミッションATのみのいち仕様しようであったが、1997ねん販売はんばい終了しゅうりょうし、後期こうきがた正規せいき輸入ゆにゅうされなかった。この後継こうけいとして発表はっぴょうされたのが、ヨーロッパフォードとの共同きょうどう開発かいはつしゃシャラン」である。北米ほくべいではユーロバン(EuroVan)として、乗用じょうようモデルの一部いちぶおよびキャンピングカーのみが販売はんばいされた。

T5(2003ねん-2015ねん

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T5

2003ねんにフルモデルチェンジ。販売はんばい車種しゃしゅとしては、貨物かもつモデルの「トランスポーター」、一般いっぱん乗用じょうようモデルは「カラベル」、上級じょうきゅう乗用じょうようモデルは「マルチバン」、キャンピングカーの「カリフォルニア」にかれ、それぞれことなる車種しゃしゅとしてのあつかいである。

それぞれのモデルはこまかい仕様しようでのオーダーが可能かのうとなっており、トランスポーターではパネルバン仕様しよう(カステンワーゲン)、貨物かもつ乗用じょうよう共用きょうよう仕様しようコンビ、ライトトラック仕様しようのプリッシェンワーゲン、多人数たにんずう乗車じょうしゃシャトル、装用そうようはだかシャシモデルがある。ホイールベース複数ふくすう存在そんざいし、ルーフのたかさやエンジン性能せいのうまでこまかい仕様しよう選択せんたく可能かのうとなっている。

カラベルにおいてはエンジンはガソリンがVがた6気筒きとう3200ccと直列ちょくれつ4気筒きとう2000cc、ディーゼルが2500ccと1900ccのちょくターボTDI)で、それぞれ2つの出力しゅつりょくで4しゅぜん6しゅのバリエーションで設定せっていされている。駆動くどう前輪ぜんりん駆動くどう4モーションくるま設定せっていがあり、ホイールベースも3mと3.4mのふたつから選択せんたく可能かのう

2003ねん東京とうきょうモーターショーみぎハンドル・6そくATのオーストラリア仕様しよう(マルチバン)が展示てんじされたが、正規せいき導入どうにゅうにはいたらなかった。また、北米ほくべい市場いちばにも導入どうにゅうされなかった。

ダカールラリーでは4モーションがレーストゥアレグのサポートカーとして参加さんかしている。

T6(2015ねん-2022ねん

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T6 トランスポーター2.0

だい6世代せだいとなるT6は2015ねん9がつ登場とうじょうした[1]

T7(2022ねん-)

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T7 マルチバン eHybrid

T7は2021ねん6がつ発表はっぴょうされた。マルチバン eHybridはプラグインハイブリッドカーとなった[2]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Volkswagen Transporter van review”. Auto Express (2020ねん1がつ31にち). 2021ねん11月14にち閲覧えつらん
  2. ^ New 2021 Volkswagen T7 Multivan replaces Caravelle”. Auto Express (2021ねん6がつ11にち). 2021ねん11月14にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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