国民こくみん連合れんごう (フランス)

国民こくみん連合れんごう（こくみんれんごう、フランス語ふらんすご: Rassemblement National：RN）は、保守ほしゅ、国家こっか主義しゅぎ、ポピュリズムを標榜ひょうぼうするフランスの政党せいとうである。旧きゅう党名とうめいは国民こくみん戦線せんせん（こくみんせんせん、フランス語ふらんすご: Front National ：FN）。2018年ねん6月がつ1日にちに改名かいめいした。

フランスの政党せいとう

国民こくみん連合れんごう Rassemblement National
党首とうしゅ	ジョルダン・バルデラ
国民こくみん議会ぎかい議員ぎいん会長かいちょう	マリーヌ・ル・ペン
成立せいりつ年月日ねんがっぴ	1972年ねん10月がつ5日にち
本部ほんぶ所在地しょざいち	フランス パリ 16区く 75016 ミケランジェロ通どおり114bis番地ばんち
国民こくみん議会ぎかい議席ぎせき数すう	126 / 577   (22%) （2024年ねん7月がつ）
元老げんろう院いん議席ぎせき数すう	0 / 348   (0%) （2022年ねん12月がつ）
欧州おうしゅう議会ぎかい	30 / 74   (41%) （2024年ねん6月がつ）
党員とういん・党とう友とも数すう	83,000人にん （2022年ねん）
政治せいじ的てき思想しそう・立場たちば	極右きょくう 愛国あいこく主義しゅぎ ポピュリズム 保護ほご主義しゅぎ 欧州おうしゅう懐疑かいぎ主義しゅぎ 国民こくみん保守ほしゅ主義しゅぎ 国家こっか主権しゅけん主義しゅぎ 反はんグローバリズム 経済けいざいナショナリズム 反共はんきょう主義しゅぎ 反はんイスラーム主義しゅぎ ヨーロッパ中心ちゅうしん主義しゅぎ 保守ほしゅ主義しゅぎ
公式こうしきカラー	ネイビー
国際こくさい組織そしき	アイデンティティと民主みんしゅ主義しゅぎ
公式こうしきサイト	RN – Rassemblement National – Le site officiel

ジャン＝マリー・ル・ペンの国民こくみん戦線せんせん時代じだいは反はんユダヤ主義しゅぎ、排外はいがい主義しゅぎ、人種じんしゅ主義しゅぎといった思想しそうを公然こうぜんと掲かかげ、イタリア社会しゃかい運動うんどう・国民こくみん右翼うよくと並ならんでネオファシズム政党せいとうの代表だいひょう格かくとされていた。

しかし、創設そうせつ者しゃの娘むすめであるマリーヌ・ル・ペンが党首とうしゅに就任しゅうにんしてからは穏健おんけん路線ろせんに転換てんかんしており、党名とうめいも国民こくみん連合れんごうへと変更へんこうした。

党とう史し

ジャン＝マリー・ル・ペン時代じだい（1972年ねん - 2011年ねん）

ジャン＝マリー・ル・ペン

1972年ねん10月、ジャン＝マリー・ル・ペン（ルペン）がイタリア社会しゃかい運動うんどうの影響えいきょうを受うけて結党けっとうし、国旗こっきと同おなじ「三さん色しょくの炎ほのお」の党とう章しょうを採用さいようして右派うは勢力せいりょくの結集けっしゅうを目指めざした。

結成けっせい当初とうしょは弱小じゃくしょう政党せいとうだったが、1980年代ねんだいに入はいりフランスの経済けいざいが悪化あっかし失業しつぎょう者ものが急増きゅうぞうすると、労働ろうどう者しゃ層そうを中心ちゅうしんに支持しじを広ひろげた。しかし、党とうの極端きょくたんな主張しゅちょうはフランス社会しゃかいから忌避きひされており、主要しゅよう政党せいとうからは敬遠けいえんされて孤立こりつした状態じょうたいが続つづいた。二に回かい投票とうひょう制せいを採用さいようしている国民こくみん議会ぎかい選挙せんきょでは、毎回まいかいのように決選けっせん投票とうひょうで落選らくせん運動うんどうを起おこされ、1割わり近ちかい得票とくひょうがありながら議席ぎせきを得える事ことができなかった。

例外れいがい的てきに1986年ねん国民こくみん議会ぎかい議員ぎいん選挙せんきょでは、選挙せんきょ制度せいどが比例ひれい代表だいひょう制せいに変更へんこうされた事ことで35議席ぎせきに躍進やくしんした。しかし、国民こくみん戦線せんせんのこれ以上いじょうの躍進やくしんを恐おそれた主要しゅよう政党せいとうによって、次つぎの選挙せんきょでは早はやくも小しょう選挙せんきょ区く制せいに戻もどされ1議席ぎせきに激減げきげんした。一方いっぽう、比例ひれい代表だいひょう制せいが一貫いっかんして採用さいようされている欧州おうしゅう議会ぎかい選挙せんきょでは、1980年代ねんだいから10議席ぎせき前後ぜんこうの議席ぎせきを獲得かくとくしている。

1997年ねん以降いこう、景気けいきが回復かいふくし失業しつぎょう率りつが解消かいしょうされ始はじめると支持しじ率りつが低下ていかし、ルペンの度重たびかさなる暴言ぼうげんや社会党しゃかいとう候補こうほに対たいする暴行ぼうこう事件じけんに党とうナンバー2のブルーノ・メグレが反発はんぱつするなど党内とうない対立たいりつが生しょうじた。また、議会ぎかい選挙せんきょで唯一ゆいいつ当選とうせんした候補こうほか公職こうしょく選挙せんきょ法ほう違反いはんで当選とうせん無効むこうとなったり、暴漢ぼうかんによってルペンの自宅じたくがダイナマイトで爆破ばくはされる被害ひがいも受うけた。1998年ねん12月の欧州おうしゅう議会ぎかい選挙せんきょを巡めぐって対立たいりつは激はげしくなり、メグレは離党りとうして1999年ねん1月がつに新党しんとう「共和きょうわ国こく運動うんどう」を結成けっせいした。

一時いちじは党とうの存続そんぞくが危あやぶまれたが、EU統合とうごうやグローバリズムの進展しんてんによって経済けいざい格差かくさや移民いみん問題もんだいが表面ひょうめん化かすると、急速きゅうそくに支持しじを回復かいふくした。2002年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょでは泡沫うたかた候補こうほと見みられていたルペンが決選けっせん投票とうひょうまで残のこり、フランス中ちゅうに衝撃しょうげきを与あたえた。だが議会ぎかい選せんと同様どうように、決選けっせん投票とうひょうでは諸しょ政党せいとうの支持しじ者しゃが反はんルペンの一いち点てんで結束けっそくした事ことで17.79%の得票とくひょうに留とまり、現職げんしょくのジャック・シラクに大差たいさで敗北はいぼくした。

2005年ねんに発生はっせいしたパリ郊外こうがい暴動ぼうどう事件じけんなどの影響えいきょうもあって党勢とうせい回復かいふくが続つづくものと見みられていたが、2007年ねんの国民こくみん議会ぎかい選挙せんきょでは過去かこ最低さいていとなる4.3%の得票とくひょうにとどまった。これは大統領だいとうりょう選せんでは協力きょうりょくを継続けいぞくしていたメグレ率ひきいる共和きょうわ国こく運動うんどうの票ひょうが投とうじられなかった事ことが要因よういんと見みられている。2010年ねん、ルペンは党首とうしゅを辞任じにんし引退いんたいする意向いこうを示しめした。

2011年ねん1月がつ16日にち、党とう大会たいかいでルペンの三さん女じょであるマリーヌ・ル・ペン（ルペン）が第だい2代だい党首とうしゅに選出せんしゅつされた。

マリーヌ・ル・ペン時代じだい　（2011年ねん - 2022年ねん）

マリーヌ・ル・ペン

2012年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょに父ちちの後のちを継ついだ党首とうしゅマリーヌ・ルペンが出馬しゅつばし、父ちちを凌しのぐ得票とくひょう率りつ17.90%を獲得かくとくしたが、得票とくひょう1位いのフランソワ・オランドと得票とくひょう2位いのニコラ・サルコジに阻はばまれて決選けっせん投票とうひょうには進すすめなかった。大統領だいとうりょう選挙せんきょ直後ちょくごに行おこなわれた議会ぎかい総そう選挙せんきょでは、マリーヌ現げん党首とうしゅの姪めいにあたるマリオン・マレシャル＝ル・ペンとジルベール・コラールの2名めいが当選とうせん、14年ねんぶりに国民こくみん議会ぎかいにおける議席ぎせきを復活ふっかつさせた。

2013年ねん10月13日にち、ヴァール県けん議会ぎかい補欠ほけつ選挙せんきょの決選けっせん投票とうひょうにおいて国民こくみん戦線せんせんの候補こうほが得票とくひょう率りつ54%で当選とうせんした。地方ちほうの1議席ぎせきをめぐる争あらそいであったが、フィガロ紙しは「国家こっか的てき影響えいきょうがある」と大おおきく報ほうじた。2013年ねん10月の世論せろん調査ちょうさでは、翌年よくねん5月がつの欧州おうしゅう議会ぎかい選挙せんきょでの投票とうひょう先さきを国民こくみん戦線せんせんと回答かいとうした者ものが24%となり、国民こくみん運動うんどう連合れんごう（22%）や社会党しゃかいとう（19%）を上回うわまわって首位しゅいとなった。

2013年ねん10月がつ、アラン・ドロンがスイス紙しとのインタビューで「国民こくみん戦線せんせんは重要じゅうような位置いちを占しめている。よいことだと思おもうし、理解りかいもする」と国民こくみん戦線せんせんへの支持しじを表明ひょうめいした。このことが物議ぶつぎを醸かもし、同氏どうしは10月18日にちに美女びじょコンテスト「ミス・フランス」運営うんえい委員いいん会かいの名誉めいよ会長かいちょうを辞任じにんに追おい込こまれた。

2014年ねんフランス統一とういつ地方ちほう選挙せんきょの第だい1回かい投票とうひょうでは5%の票ひょうを獲得かくとく、2008年ねんの第だい1回かい投票とうひょう時じの得票とくひょう率りつ0.9%を大おおきく上回うわまわり躍進やくしん、ルペン党首とうしゅは「FNは主要しゅような独立どくりつ勢力せいりょくの段階だんかいに到達とうたつした。国家こっかレベルでも地方ちほうレベルでも、ひとつの政治せいじ勢力せいりょくとなった」と語かたった。また、第だい1回かい投票とうひょうにおいてアヴィニョン、エナン＝ボーモンで第だい1位いとなったことが大おおきな話題わだいとなった。3月30日にちに行おこなわれた第だい2回かい投票とうひょうでは得票とくひょう率りつ6.8％となり、14以上いじょうの自治体じちたいで第だい1党とうとなった。

2014年ねん欧州おうしゅう議会ぎかい議員ぎいん選挙せんきょでは、約やく25%の得票とくひょうを得えて24議席ぎせきを獲得かくとく、大だい躍進やくしんを果はたす。マニュエル・ヴァルス首相しゅしょうは、選挙せんきょ結果けっかを「警鐘けいしょうどころではない。衝撃しょうげきであり、地震じしんだ」と述のべた。フランソワ・オランド大統領だいとうりょうは選挙せんきょ結果けっかを受うけて閣僚かくりょうらの緊急きんきゅう会議かいぎを招集しょうしゅうした。

従来じゅうらいの支持しじ層そうに加くわえてマリーヌ・ルペン体制たいせいでは党とうの穏健おんけん化かが推進すいしんされており、反はんユダヤ的てき発言はつげんやホロコースト否定ひてい論ろんなど相変あいかわらず暴言ぼうげんを繰くり返かえしていた前ぜん党首とうしゅジャン＝マリー・ル・ペンとの確執かくしつが深ふかまり、ジャン＝マリーは2015年ねん5月がつに国民こくみん戦線せんせんの党員とういん資格しかくを停止ていしされ、その後ご除名じょめいされた。

2015年ねん11月、パリ同時どうじ多発たはつテロ事件じけんの直後ちょくごに実施じっしされたフランスの州しゅう議会ぎかい議員ぎいん選挙せんきょ（比例ひれい代表だいひょう2回かい投票とうひょう制せい）では、国民こくみん戦線せんせんは「反はん移民いみん」をスローガンに掲かかげ、テロへの不安ふあんを背景はいけいに支持しじを取とり込こんだ。第だい1回かい投票とうひょうにおけるフランス全体ぜんたいでの得票とくひょう率りつは28%と、2010年ねんに行おこなわれた前回ぜんかい選挙せんきょの11%から躍進やくしんし、全ぜん13の選挙せんきょ区くのうち6つで首位しゅいとなり、特とくにジャン＝マリー・ル・ペン党首とうしゅの選挙せんきょ区くとマリオン・マレシャル＝ルペンの選挙せんきょ区くではそれぞれ41％の得票とくひょう率りつを獲得かくとくし、第だい2回かい投票とうひょうで第だい一いち党とうとなる可能かのう性せいが出でた。与党よとうの社会党しゃかいとうは第だい2回かい投票とうひょうで「極右きょくうの躍進やくしん阻止そし」をスローガンに掲かかげ、2002年ねんの大統領だいとうりょう選せん以来いらいとなる選挙せんきょ協力きょうりょくを実施じっし。上記じょうき2つの選挙せんきょ区くでの出馬しゅつばを取とりやめ、サルコジ前ぜん大統領だいとうりょうの率ひきいる共和党きょうわとうへの投票とうひょうを呼よび掛かけた結果けっか、国民こくみん戦線せんせんは全すべての選挙せんきょ区くで敗北はいぼくした。

国民こくみん連合れんごうへの移行いこう

2017年ねん、フランス大統領だいとうりょう選挙せんきょに出馬しゅつばしたマリーヌ・ルペンが21.30%を得票とくひょうして第だい1回かい投票とうひょうで1位いとなり、2002年ねん大統領だいとうりょう選せん以来いらいの衝撃しょうげきをフランス政界せいかいに与あたえた。だが父ちちと同おなじく決選けっせん投票とうひょうでは極右きょくうとみなされて敬遠けいえんされ、33.90%の得票とくひょうに留とどまってエマニュエル・マクロンに敗北はいぼく。穏健おんけん化かの必要ひつよう性せいを再さい認識にんしきする結果けっかとなった。

2018年ねん、穏健おんけん化かの一環いっかんとして党名とうめいを国民こくみん連合れんごう（Rassemblement National）に改称かいしょう、党とうのロゴも刷新さっしんした。また除名じょめい後ごも名誉めいよ職しょくに留とどまっていた父ちちジャン＝マリー・ルペンについて、同年どうねん3月がつ11日にちに名誉めいよ職しょくからも解任かいにんした。改称かいしょう後ごは家計かけい支援しえんの減税げんぜいなど庶民しょみんに訴うったえる選挙せんきょ戦せんを徹底てっていし、排外はいがい的てきな主張しゅちょうを控ひかえた親したしみやすいイメージで国民こくみんに接せっする事ことで確実かくじつに「脱だつ悪魔あくま化か」を達成たっせいしつつある。同時どうじに党内とうないでは穏健おんけん化かへの不満ふまんも根強ねづよく、父ちちルペンを支持しじする姪めいのマレシャル＝ルペンとの対立たいりつも生しょうじている。

2021年ねん、同年どうねんの地方ちほう選挙せんきょでは路線ろせん変更へんこうで極右きょくう支持しじ層そうが離はなれた事ことに加くわえ、コロナウィルスの影響えいきょうによる歴史れきし的てきな低てい得票とくひょう率りつから政権せいけん与党よとうの不満ふまんの受うけ皿ざらとなれず、党勢とうせいは上向うわむかなかった。

2022年ねん5月がつ、大統領だいとうりょう選挙せんきょにおいて従来じゅうらいの支持しじ層そうから引ひき続つづき支持しじを受うけつつ、不ふ況きょうに苦くるしむ庶民しょみんに広ひろく呼よび掛かける戦術せんじゅつが功こうを奏そうして第だい1回かい投票とうひょうで23.4％を獲得かくとくし、決選けっせん投票とうひょうでは41.5%の得票とくひょうを獲得かくとくした。敗やぶれはしたものの、国民こくみんの半数はんすう近ちかくから支持しじを得えた事ことは大おおきな成功せいこうであった。

2022年ねん6月がつ、国民こくみん議会ぎかい選挙せんきょでマリーヌ・ルペンを筆頭ひっとうに国民こくみん連合れんごうの候補者こうほしゃが小しょう選挙せんきょ区くで次々つぎつぎと勝利しょうりし、結党けっとう以来いらい最大さいだいとなる89議席ぎせきに躍進やくしんした。

2022年ねん11月5日にち、パリで開ひらかれた党とう大会たいかいでジョルダン・バルデラが第だい3代だい党首とうしゅに選出せんしゅつされた。

2024年ねん6月がつ9日にちに執行しっこうされた欧州おうしゅう議会ぎかい議員ぎいん選挙せんきょで国民こくみん連合れんごうは躍進やくしんし、得票とくひょう率りつでマクロン政権せいけん与党よとうにダブルスコアをつける大勝たいしょうを収おさめた。これを受うけてマクロン大統領だいとうりょうは議会ぎかいを解散かいさんし、6月がつから7月がつにかけて議会ぎかい総そう選挙せんきょを執行しっこうすると表明ひょうめい。6月10日にちには社会党しゃかいとう＆公共こうきょう広場ひろば、ヨーロッパ・エコロジー＝緑みどりの党とう、不ふ服従ふくじゅうのフランス、フランス共産党きょうさんとうの4党とうが極右きょくう政党せいとうに対抗たいこうするためとして、総そう選挙せんきょで左派さは連合れんごうを結成けっせいすると発表はっぴょうしたが、翌よく11日にちには共和党きょうわとうのエリック・シオッティ総裁そうさいが国民こくみん連合れんごうと選挙せんきょ連合れんごうを組くむと表明ひょうめいした。

台頭たいとうの背景はいけい

社会党しゃかいとうによる自由じゆう化か政策せいさく

フランソワ・オランド所属しょぞくの社会党しゃかいとうは、悪化あっか傾向けいこうの失業しつぎょう率りつを改善かいぜんしフランスの経済けいざいを上向うわむかせる公約こうやくを掲かかげ選挙せんきょに勝利しょうりした。フランソワ・ミッテランのようにオランドも始はじめのうちは伝統でんとう的てきな左派さは路線ろせんに則のっとっていた。オランド政権せいけんの初年度しょねんど、富裕ふゆう税ぜいを提案ていあんしたり衰退すいたいするフランス産業さんぎょうを再さい浮上ふじょうさせるべく努つとめた。だが2014年ねん末まつまでには彼かれらの公約こうやくは空虚くうきょなものであることが露呈ろてい、オランドは自由じゆう主義しゅぎ的てき政策せいさくへの方針ほうしん転換てんかんに反対はんたいする人材じんざいを排除はいじょし、かわりにマニュエル・ヴァルスやエマニュエル・マクロンなどを登用とうようした。労働ろうどう市場いちばの自由じゆう化かを断行だんこうするためである。失業しつぎょう率りつの上昇じょうしょうは止とまらなかった。2015年ねん3月がつ31日にちにオランド政権せいけんはその自由じゆう化かの方向ほうこう性せいを変かえないとアンゲラ・メルケルに確約かくやくした。

  フランスの失業しつぎょう率りつ (%)

  イギリスの失業しつぎょう率りつ (%)

社会党しゃかいとうはフランスの労働ろうどう者しゃ階級かいきゅうの受うけ皿ざらになることができず、見放みはなされ始はじめた。代かわって極左きょくさのメランションが労働ろうどう者しゃの支持しじを集あつめている。

政策せいさく

マリーヌ・ル・ペンが党首とうしゅを務つとめる2014年ねん時点じてんでのFNの基本きほん的てきな政策せいさくとしては、合法ごうほう的てきな移民いみんの数かずを年間ねんかん2万まん人にんから1万まん人にんに下さげる、フランスに住すむ移民いみんの家族かぞくや配偶はいぐう者しゃの無条件むじょうけんなフランス居住きょじゅうを禁止きんし、シェンゲン協定きょうていの破棄はき、そしてフランス市民しみん権けんを得えるための条件じょうけんを厳きびしくするなどがあげられる。さらには警察官けいさつかんの数かずを2倍ばいにする。中小ちゅうしょう企業きぎょうへ減税げんぜいする。フランスの製造せいぞう業ぎょうを守まもるための関税かんぜいを徹底てっていさせる。フランス語ふらんすごの国際こくさい的てき地位ちいの回復かいふくに取とり組くむ。児童じどう手当てあてなど家庭かていへの手当てあてはフランス国民こくみんの家庭かていにのみ給付きゅうふする。伝統でんとう的てきな家族かぞく観かんとりわけ親子おやこ観かんを大事だいじにする。フランスの国家こっか主権しゅけんを取とり戻もどすため、EUの基本きほん条約じょうやくの大幅おおはばな見直みなおし交渉こうしょうを行おこなう。フランス独自どくじの農業のうぎょう政策せいさくの構築こうちくを行おこない、EUの共通きょうつう農業のうぎょう政策せいさくから離脱りだつするなどが挙あげられる。

外交がいこう面めんにおいてはマリーヌ・ル・ペン党首とうしゅはロシアのプーチン大統領だいとうりょうを評価ひょうかしており、ウクライナ問題もんだいにおいてもウクライナがアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくに征服せいふくされているとみており、ウクライナはいずれの勢力せいりょくからも独立どくりつを保たもつべきとの立場たちばを主張しゅちょうしている。NATOによる強つよい反はん露ろ主義しゅぎに警笛けいてきを鳴ならしており、反はん露ろ傾向けいこうを強つよめるアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくを新しん冷戦れいせんの最前線さいぜんせんにいるとして非難ひなんしている。また、父ちちの時代じだいから既すでに親おやイスラエル的てきであったが、より明瞭めいりょうになっている。

同性愛どうせいあいについてはシビル・ユニオンで十分じゅうぶんであるとする立場たちばであり、同性どうせい結婚けっこんを廃止はいしする。ただ、同性愛どうせいあい者しゃの人権じんけんも尊重そんちょうしており、他たの主要しゅよう政党せいとうより同性愛どうせいあい者しゃの幹部かんぶが多おおい。副ふく党首とうしゅのフロリアン・フィリポも同性愛どうせいあい者しゃとされる。

2012年ねん以前いぜんの政策せいさく

極右きょくう政党せいとうの色いろが濃こかったジャン＝マリー・ル・ペン時代じだいの政策せいさく。より現実げんじつ主義しゅぎを取とり、排外はいがい主義しゅぎとは決別けつべつし政策せいさく的てきには福祉ふくしの充実じゅうじつや弱者じゃくしゃの保護ほごを打うち出だした現在げんざいの国民こくみん戦線せんせんとはかなり異ことなる。

• 移民いみんの制限せいげん。ただし、フランスの文化ぶんかを尊重そんちょう、保護ほごする移民いみんは拒こばまない。
• たとえフランス国籍こくせきを持もつ移民いみんや移民いみん二に世せい・三さん世せいでも、犯罪はんざいを行おこなった場合ばあいは出身しゅっしん国こくへ強制きょうせい送還そうかんさせる。
• 伝統でんとう的てきな生活せいかつ様式ようしきを保護ほごする。特とくに農民のうみんを尊重そんちょうする。
• フランス国内こくないのモスク建設けんせつの停止ていし。
• 麻薬まやくの密売みつばい人じんや、小児しょうに性愛せいあいなどの性せい犯罪はんざい者しゃ、児童じどう虐待ぎゃくたいした親おや、殺人さつじん者しゃ、テロリストを特とくに対象たいしょうとして、死刑しけいを復活ふっかつさせる。
• 公務員こうむいんの削減さくげん。
• 減税げんぜい。
• 極左きょくさに操あやつられているような団体だんたいに対たいする補助ほじょ金きんの廃止はいし。
• 放任ほうにん主義しゅぎを減へらし、道徳どうとくの復権ふっけんをはかる。
• 犯罪はんざい者しゃや移民いみんには寛容かんようゼロ（tolérance zéro）で臨のぞむ。ただし、フランスを大切たいせつにする移民いみん・外国がいこく人じんは尊重そんちょうする。
• 同性どうせいカップルもパートナーシップを結むすべる民事みんじ連帯れんたい契約けいやく法ほうの廃止はいし。
• 国籍こくせきに関かんしてはいわゆる血統けっとう主義しゅぎを採用さいようする。

政策せいさくに対たいする評価ひょうか

極右きょくうと評価ひょうかされるが、一方いっぽうで福祉ふくし政策せいさくにも積極せっきょく的てきに取とり組くんでおり、右派うはだけでなく左派さはにも支持しじ者しゃがいる。

役職やくしょく

党首とうしゅ

代だい	歴代れきだい党首とうしゅ（Président）		在任ざいにん期間きかん
1		ジャン＝マリー・ル・ペン	1972年ねん10月がつ5日にち – 2011年ねん1月がつ16日にち
2		マリーヌ・ル・ペン	2011年ねん1月がつ16日にち – 2021年ねん9月がつ13日にち
代行だいこう		ジョルダン・バルデラ	2021年ねん9月がつ13日にち – 2022年ねん11月5日にち
3			2022年ねん11月5日にち – 現職げんしょく

副ふく党首とうしゅ

	氏名しめい
1		ルイ・アリオ
2		デヴィッド・ラシュリンヌ
3		エレーヌ・ラポルト
4		エドヴィージュ・ディアーズ
5		ジュリアン・サンチェズ
6		セバスチャン・ショニュー

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• 及川おいかわ健二けんじ『沸騰ふっとうするフランス : 暴動ぼうどう・極右きょくう・学生がくせいデモ・ジダンの頭あたま突とっき』花伝社かでんしゃ、2006年ねん。ISBN 4-7634-0478-4。 
• 畑山はたやま敏夫としお『現代げんだいフランスの新あたらしい右翼うよく : ルペンの見果みはてぬ夢ゆめ』法律文化社ほうりつぶんかしゃ、2007年ねん。ISBN 978-4-589-03013-9。 
• 畑山はたやま敏夫としお『フランス極右きょくうの新しん展開てんかい : ナショナル・ポピュリズムと新しん右翼うよく』国際こくさい書院しょいん、1997年ねん。ISBN 4-906319-74-2。 
• 本間ほんま圭一けいいち『パリの移民いみん・外国がいこく人じん : 欧州統合おうしゅうとうごう時代じだいの共生きょうせい社会しゃかい』高こう文ぶん研けん、2001年ねん。ISBN 4-87498-258-1。 

外部がいぶリンク

• Rassemblement National - 公式こうしきサイト
• 『国民こくみん戦線せんせん』 - コトバンク
• 『国民こくみん連合れんごう』 - コトバンク
• FYI France, "The Front National" (extensive bibliography, works in English & French & other)
• True Fascists of the New Europe, by Pat Buchanan, column dated April 30, 2002.